県境不法投棄事案アーカイブ本編　８－４　交通安全対策

　平成１６年１２月の一次撤去開始から平成２５年１２月の撤去完了まで、土日祝日等を除く平日は、特別な理由がない限りほぼ毎日、現場から撤去した廃棄物を処理施設まで運搬しました。
　運搬車両の台数は、1日約60台、多い時で1日約100台（本格撤去期間中約1,500日間の延べ運行台数約9万台）にのぼり、運搬時の汚染拡散防止や交通安全対策に万全を期すため、廃棄物本格撤去マニュアルにおいて運搬手順や管理方法等を詳しく規定するとともに、様々な啓発活動や訓練等を通じ、適正かつ安全な廃棄物運搬に努めてきました。

　廃棄物運搬車両は、運搬中の廃棄物流出・飛散防止のため天蓋付き全密閉型車両を基本とし、廃棄物運搬車両であることが分かるよう、黄色など鮮明で目立ちやすい車両識別シートを車体の前面、側面、後部に貼り付けて走行しました。
　運行にあたっては、複数台がまとまって走行することで一般車両や歩行者の注意を喚起し、事故時や故障時に運転手同士で協力して応急処置ができるよう、2～3台ずつのグループ走行を基本としました。
　また、現場での積み込みの際に車両に付着した汚染物が現場外に出ないよう、現場内に洗車設備を設置し、タイヤや車体をきれいに洗浄してから場外に出ました。

　廃棄物運搬車両の運行状況を把握するため、廃棄物運搬業者ごとに運行管理センターを設置して管理・連絡体制を整え、運行日は毎日、車両基地、不法投棄現場、処理施設間の運行計画と運行結果報告書を提出させて運行状況をチェックしました。
　また、現場内に計量管理室を設けて搬出量の重量測定を行い、事故や飛散・流出の原因となる過積載がないようチェックしました。
　このほか、定期的に開催する会議等で運搬業者等に交通安全についての指導や注意喚起を行い、万が一事故が発生した場合に備え緊急時対応マニュアルで事故時等の詳細な対応手順を定め、いざという時に適切な対応ができるよう、事故や故障等を想定した緊急時対応訓練を毎年実施しました。
　更に、運搬車両の運行状況を確認するため、抜き打ちで実際の走行状況を確認するなど、マニュアルが確実に遵守され、運搬時の安全が保たれるよう様々な対策を講じました。

　事故防止のため、現場付近の見通しが悪い場所や、信号がなく交通量が多い交差点など、搬出ルート上の要所に車両誘導員を配置し、特に交通安全に配慮すべき項目（通学路、横断歩道、バス停等）をまとめた「交通安全マップ」を作成し、運転者への安全教育を実施しました。
　また、運搬ルート沿線の市町村や関係機関には随時運搬期間や運行台数等を通知し、平成１６年度の撤去開始時には、搬出ルート沿線住民の方々に協力を呼びかける交通安全チラシや反射材（交通安全用品）などを配付し、注意を喚起しました。
　子どもたちが道路に出る機会が多くなる夏休みや冬休みには、地元の小中学生に交通安全を呼びかけるチラシを配付するなど啓発に力を入れ、事故の未然防止に努めました。

　地域住民や一般車両の安全を確保するため、廃棄物搬出ルート上のカーブ部分の視距改良（見通しを良くする）工事や、カーブミラー設置、歩道やガードレールの整備など、様々な道路・施設整備を行ったほか、定期的に搬出路の破損状況を確認し、道路管理者に補修を依頼しました。
○セーフティタウン道路事業（平成１６～２５年度、青森県県土整備部）
○交通安全施設等整備事業（平成１７～２５年度、青森県県土整備部）