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更新日付:2026年3月4日 DX推進課
DXの連鎖で新たな価値創造!~「製造者」の枠を超え、物流を支える「戦略的パートナー」へ~

世界で生産される自動車は年間およそ1億台。
その多くに、青森県つがる市の株式会社宮坂ポリマー青森が手がける自動車用ゴム部品が使われています。
岩木山を望むのどかな地域で、同社が送り出す部品は年間4億個。
自動車部品の世界では、たった1か所の傷や異物混入が大きな問題に繋がります。
場合によっては、100万個単位で「全数再検査・再納入」を求められることも‥。
そのため、現場には「絶対に間違えてはいけない」という精神的なプレッシャーがのしかかっていました。
今回は、「二次元コード」という翼を得て重圧を解放した方法と、
そこから始まった「DXの連鎖」、そして、地方から世界基準の信頼を勝ち取るまでの軌跡に迫ります。
インタビュイー紹介
取材へのご協力ありがとうございます!
株式会社宮坂ポリマー青森
代表取締役社長 利根川 敏さん
社員への社長メッセージはあえて紙で。
あたたかいコミュニケーションを
大事にしています。
桜並木の奥に見えるのが
(株)宮坂ポリマー青森社屋
同社が手掛けるシリコンゴム製品
(とっても綺麗…!)
DXが解放した「精神的なプレッシャー」

(利根川社長)当社では、年間4億個もの「シリコンゴム」製品を製造しています。自動車の電気系統を守るための製品です。
指先に乗るほど小さな部品ですが、電気系統に水が入り込むのを防ぎ、車が安全に走行するための重要な役割を果たしています。

(利根川社長)「出荷工程」に課題がありました。
出荷工程では、納入先ごとに「出荷記録表」を作成します。以前は、担当者が寒い冬も暑い夏も、倉庫内で毎日1時間ほどかけて、出荷する箱のラベルを目視し、製品名やロット番号を手書きで記録表に転記していました。
単純な作業に見えますが、もし転記ミスがあれば、世界中の自動車生産ラインに影響を及ぼしかねないため、担当者にとっては、体への負担より「絶対に書き間違えてはいけない」という精神的な重圧が、大きな苦しみでした。

(利根川社長)社員からの提案で、二次元コード化された製品情報をハンディ端末で読み取り、「出荷記録表」を自動作成する仕組みを導入しました。すると、1時間かかっていた作業が、わずか5分から10分ほどに短縮され、転記ミスは「ゼロ」に。
そして、業務効率化以上に効果が大きかったのは、担当者の心の変化です。
「機械が転記してくれるから安心」。担当者たちは、それまで抱えてきた精神的プレッシャーから解放され、表情にも余裕が生まれました。
意欲が生んだ「DXの連鎖」が、やがて「世界とつながる」
――この取組は大きな賞に輝きました。社内の意識に変化はありましたか?
(利根川社長)令和5年に受賞した「文部科学大臣表彰 創意工夫功労者賞」は当社創業以来初の公的な賞で、社員の大きな自信に繋がりました。このことが、やがて「次の改善」への意欲を醸成するきっかけとなったのです。
ある時、「計量・梱包」の工程で、色が同じで長さがわずかに違う製品が混入してしまうトラブルがありました。
通常、ミスの再発防止策は「ダブルチェックの工程追加」といった作業者の注意力に頼りがちですが、このとき社員からは、「この工程は二次元コードを活用した製品照合システムに変えよう」と提案が上がってきたのです。
先の成功体験があったからこそ、従業員自らが業務改善に貪欲になった。
まさに「DXの連鎖」が始まった瞬間でした。
また、更にありがたいことに、お客様からは「再発防止のためにここまでするのか!」と逆にお褒めの言葉をいただく結果となりました。
(利根川社長)令和5年に受賞した「文部科学大臣表彰 創意工夫功労者賞」は当社創業以来初の公的な賞で、社員の大きな自信に繋がりました。このことが、やがて「次の改善」への意欲を醸成するきっかけとなったのです。
ある時、「計量・梱包」の工程で、色が同じで長さがわずかに違う製品が混入してしまうトラブルがありました。
通常、ミスの再発防止策は「ダブルチェックの工程追加」といった作業者の注意力に頼りがちですが、このとき社員からは、「この工程は二次元コードを活用した製品照合システムに変えよう」と提案が上がってきたのです。
先の成功体験があったからこそ、従業員自らが業務改善に貪欲になった。
まさに「DXの連鎖」が始まった瞬間でした。
また、更にありがたいことに、お客様からは「再発防止のためにここまでするのか!」と逆にお褒めの言葉をいただく結果となりました。


(利根川社長)はい。そして更に、「顧客が指定した二次元コードと、当社で生成した二次元コードの製品名照合」を行うシステムを新たに構築しました。
その結果、「顧客側が管理に使用する二次元コードの製品名」と「当社が出荷した製品名」が完全に一致し、顧客側と製造側の二次元コードが一気通貫で繋がる体制が実現。
顧客側での受入検査や、顧客が製品を海外へ輸出する際の通関手続きの効率化、更に、インボイスと製品名の不一致が解消するなど、劇的な円滑化を実現するに至りました。
これにより、当社は単なる「部品の製造元」に留まらず、今や顧客の物流やビジネスそのものを支える「戦略的パートナー」へ歩みを進めるという、新たな価値創出にも繋がりました。
二次元コードを活用したトレーサビリティ(追跡可能性)を確立できたことは、他社には真似できない強力な武器です。
雪国で培われた「実直さ」「粘り強さ」が、DXの土台
――利根川社長は県外の複数社で製品開発とともに経営企画等にも携わり、数々の現場を見てこられましたが、今回の成功の要因は何だったとお考えですか?

問題を後回しにすれば、雪かきと同じで凍って大変なことになるため、「やるべき時にやるべきことをする」。
雪国で暮らす人たちの「実直さ」と「粘り強さ」という本来持っているポテンシャルが、DXで発揮されたと思います。
DXは「ご利益」を実感できる、身近な仕事から

(利根川社長)DXを成功させるポイントは、「発生頻度が多いルーティン業務」で、かつ「人の手間がかかっている仕事」を狙うことです。
これをシステム化することは、効率化だけでなくミス防止にも繋がり、「ご利益」を一番感じやすい部分ですよね。
また、DXを推進するフロントランナーには、一定の覚悟と「最後までやり切る」ということが重要です。
既存の仕組みを変えるのは、少なからず反発を生み、最初は孤独を感じるかもしれません。
しかし、一度仕組みが稼働し成果が出れば必ず定着し、支援をしてくれる仲間も増えていきます。
DXの第一歩は、身近なところから。ご利益を実感できれば、成功体験となり、会社にも地域にも「サプライズ」を生む大きな変革へと繋がっていくはずです。
編集後記

確かに、雪が軽いうちにコツコツと雪かきをすることで、冬の暮らしが快適に、また、満開の春を軽やかに迎えることができると、私たちは体感で知っています。
「自分たち自身やお客様の中にある『困りごと、悩み』を何とかしたい」と、目の前の課題に誠実に実直に向き合うことから、DXの連鎖は始まっていくのだと実感。
「私たちにはDXの素養がある」そう背中を押された気がしています。
自分たちの限界を自分たちで決めない、「世界と対等である」という熱いプライドを感じる取材でした。
利根川社長はじめ、(株)宮坂ポリマー青森の皆様、お忙しい中の御協力ありがとうございました!(吉田)



