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更新日付:2008年6月25日 環境保全課

北海道新幹線(新青森・札幌間)環境影響評価方法書(青森県)についての意見の概要

知事意見

  • 全般的事項
     北海道新幹線(新青森・札幌間)の建設事業が実施される地域及びその周囲は、豊かな自然に恵まれ、水田耕作、花井栽培、ひば林、ホタテ養殖等の農林水産業が盛んに行われいる地域である。また、その一部において過去に鉄道騒音等の苦情が発生したことのある地域でもある。
     このため、環境影響評価の実施に当たっては、本地域のこのような環境の特性に配慮して環境影響評価の項目並びに調査、予測及び評価の手法を選定する必要がある。
     なお、今後、環境影響評価を実施中に、環境への影響について新たな事実が生じた場合においては、必要に応じ選定した項目等の見直し又は追加を行い、適正な環境影響評価を行う必要がある。
  • 環境影響評価の項目
    (1) 環境影響評価を実施するに際して、環境にどのように配慮するのかその基本的考え方について、環境影響評価準備書において明らかにされたい。
    (2) 現地の調査結果に基づき、影響をできるだけ回避・低減するよう計画路線、工法等の計画を検討し、これが困難な場合は、その理由を示した上で適切な代償措置を検討し評価することが必要であり、特に留意すべきものについては適切なモニタリング計画を示す必要がある。
    (3) 特に、路線を決定する際は、貴重な動植物や貴重な植物群落が確認された場合には、それらへの影響を回避するよう選定し、また、景観及び人と自然との触れ合いの活動の場への影響についても配慮すべきである
  • 事業計画の検討に当たっての配慮事項
     今後、事業者が環境影響評価の項目を選定するに際しては、具体的な事業の特性及ぴ地域の環境の特性を十分考慮して、方法書に記載されている項目のほか次の事項を含む別表の項目について検討し、必要に応じ、項目の追加、重点化を行うことにより適切な環境影響評価を行うこと。
    (1) 青森市西部地区等において路線が住宅地等の付近を通過する場合は、列車騒音・振動影響について、沿道における列車走行形態、路線構造、住居形態等を詳細に検討し、具体的な地点を複数選定しつつ、特に詳しく調査、予測及び評価を行うこと。
     また、同地区の地盤沈下の発生しやすい地域において土地を掘削する等の工事を実施する場合は、これに伴う地盤沈下、地下水位及び地下水脈への影響について調査、予測及び評価を行うこと。
     同地区の野木和公園付近を路線が通過する場合は、公園を地域住民が多数利用していることを考慮し、景観及び人と自然との触れ合いの活動の場について調査、予測及び評価を行うこと。
    (2) 青森市、蓬田村、蟹田町及び今別町において水道水源若しくは井戸の付近を線路が通過する場合又はトンネルの工事を行う場合は、地下水及び水資源への影響について調査、予測及び評髄を行うこと。
     また、水田等の農業用水若しくは内水面漁業に利用され、若しくは地先海域においてホタテ養殖等が行われている河川又は農業用溜池の付近を路線が通過する場合は、濁水又はコンクリート吹き付け工事に起因するアルカり排水等による水質の汚染について十分な調査、予測及び評価を行うこと。
     さらに、森林においてトンネルの工事等を実施する場合は、動植物及び生態系への影響についても調査、予測及び評価を行うこと。
    (3) 今別町に建設する奥津軽駅(仮称)の工事又は供用に伴うアクセス車両等関係車両の運行に伴う大気、騒音及び振動の影響について、発生交通量及び周囲の環境を把握し、検討すること。
     また、同駅舎から発生する汚水の量、処理方法及び処理水質並びに放流先の河川の現況の水質、環境基準の当てはめの状況及び達成の状況等について、詳細に把握し、検討すること。
    (4) 小泊村、三厩村及び蟹田町において路線が既存のトンネル内を通過する区域は、一部鳥獣保護区であることから、振動その他による貴重な種への影響について、既存の事例等の解析により検討すること。
    (5) 高架からの雪、つららの落下等の雪による影響について勘案すること。
    (6) 猛禽類の営巣等があった場合、建設機械の稼働、資材及び機械の運搬に用いる車両の運行、切土工等及び既存の工作物の除去並びにトンネルの工事の実施や列車の走行(地下を走行する場合を除く。)による騒音、振動等の影響が考えられるため、これらの項目について、調査、予測及び評価を行うこと。
    (7) 鉄道施設(トンネル)の存在により地下水への影響があった場合、地表の植生等への影響が考えられるため、この項目について、調査、予測及び評価を行うこと。
    (8) 残土を山間部において処分する場合は、濁水による公共用水域への影響並びに土地の改変による動植物及び生態系への影響について検討すること。
     また、汚泥等建設工事の実施に伴い発生する産業廃棄物のうち、多量に発生するなどによりその処理によって環境への影響が考えられるものについて、調査、予測及び評価を行うこと。
    (9) 予定ルートの市町村内においては、周知の埋蔵文化財包蔵地のほかにも複数の埋蔵文化財包蔵地が所在する可能性があるため、既存の文献資料等に限らずルート内の現地調査も実施すること。
     また、国の特別天然記念物「カモシカ」が出没する可能性があるので、留意すること。
  • 環境影響評価の手法
    (1) 環境騒音については、新たな騒音に係る環境基準(平成10年9月30日環境庁告示第64号。平成11年4月1日施行)において、評価指標として等価騒音暴露レベルが採用されたことから、この指標に基づき環境影響評価を行う必要がある。
    (2) 動植物の調査等の手法について具体的に明示されていないが、適切かつ効果的な現地調査地点を選定しその区域を図示するとともに、動植物の現状把握に当たっては四季を網羅した全種調査を行い、リスト作成を行った上で、この中から注目すべき種等の選定を行う必要がある。
     また、植生については、十分な幅をもった全域の適切な現地調査を実施し、調査結果をまとめて1万分のlから5千分のl程度の植生国を作成し、予測及び評価を行う必要がある。
     さらに、特に重要な動植物種及び注目すべき生息地、重要な群落については、その分布位置や生息・生育環境などさらに詳細な現地調査、予測及び評価が必要である。
    (3) 地域を特徴づける生態系に関する調査及び予測については、上位性、典型性、特殊性の各視点から注目される動植物の種又は生物群集を複数抽出して行う必要がある。
     また、動植物についての調査結果を流用するのではなく、別個に生態系の状況を把握するための適切な現地調査計画を立て、この計画に従って調査を実施し、これらに対する影響の程度を適切に予測し評価する必要がある。
    (4) 景観に対する調査及び予測の地点については、本事業の具体的規模及び内容並びに事業の実施区域の景観の特性を踏まえ、既存資料のほか現地調査による情報の収集に努め、季節による変化にも配慮しながら適切かつ効果的に選定する必要がある。
    (5) 人と自然との触れ合いの活動の場の調査、予測及び評価に当たっては、野外レクリエーション及び日常的な人と自然との触れ合いの活動を調査、予測及び評価することとし、特に日常的な人と自然との触れ合いの活動が行われている施設又は場については、現地調査やアンケート、ヒアリング等を通じその現況の把握に努め、季節による変化にも配慮しながら適切かつ的確な地点を選定する必要がある。
    (6) 予測の基本的手法を事例の引用又は解析としている環境要素があるが、その具体的事例の内容又は解析の手法を明らかにする必要がある。
     また、騒音等において、調査の基本的手法に係る文献その他の資料についても明らかにする必要がある。
    (7) 今後、事業者が環境影響評価の項目並びに調査、予測及び評価の手法を選定するに際し、方法書において明示されるべき想定路線位置及び想定構造を記載した適切な縮尺の図を明らかにするとともに、具体的な調査地点、調査時期、調査手法及び予測地点、予測手法等を明らかにする必要がある。
  • その他
    (1) 青森県景観条例に基づく「青森県公共事業景観形成基準jに準拠し、事業を行う必要がある。
    (2) 地域の環境を把握するに当たっては、次の参考文献等にも配慮されたい。
     「第4回自然環境保全基礎調査 植生改変図(平成4年 環境庁)」
     「植物版レッドリスト(平成9年 環境庁)」
     「両生類及び爬虫類のレッドリスト(平成9年 環境庁) 」
     「日本の希少な水生生物に関するデータブック(水産庁編)(平成10年 (社)水産資源保護協会)」
     「青森県環境計画(平成10年 青森県)」

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環境保全課 水・大気環境グループ
電話:017-734-9242  FAX:017-734-8081

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