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更新日付:2014年7月17日 環境保全課

県境不法投棄事案アーカイブ本編  1.事案の概要

1 事案の概要

(1)背景

 経済の著しい成長や生活の質の向上に伴い、廃棄物の量は増大し、質も多様化してきました。昭和29年に制定された「清掃法」が全面改正され「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(以下「廃棄物処理法」という。)が制定されたのは昭和45年のことです。
 青森県八戸市に本社を置く三栄化学工業株式会社が青森・岩手県境に位置する原野で廃棄物処理業を始めたのは、廃棄物処理法の施行から10年を経た昭和55年のことでした。当時、廃棄物処理施設の設置は届出制でした。
 平成2年、当時戦後最大級といわれた香川県豊島の産業廃棄物不法投棄事件が発覚、平成3年には廃棄物処理施設の設置が届出制から許可制になるなど、廃棄物政策が見直されます。このような中、平成3年に三栄化学工業株式会社は中間処理業の許可を受け、廃棄物を堆肥化する事業を始めます。平成4年頃から同社は、埼玉県の産業廃棄物処理業者である縣南衛生株式会社から廃棄物の処理を受託するようになり、事業を拡大させていきました。
 その後、ダイオキシン対策が社会問題化、平成10年には「ダイオキシン対策推進基本方針」が策定されました。廃棄物処理への不信感などから処理施設設置に対する反対運動が多発し、廃棄物の排出量は増加する一方、特に首都圏において、処理施設や処分場の設置が困難になり、廃棄物は行き場を失っていきました。
 平成11年、岩手・青森両県警合同の強制捜査により、三栄化学工業株式会社と縣南衛生株式会社が共謀し、青森・岩手県境の現場に産業廃棄物を不法投棄していた事実が判明します。それ以前も、住民等からの情報提供をもとに行政指導等を行ってきましたが、解決には至りませんでした。
 マニフェストや帳簿類の調査から、三栄化学工業株式会社に持ち込まれた廃棄物は、排出事業者の所在地の大部分が首都圏であったことが分かりました。
  • 不法投棄現場位置図
    不法投棄現場位置図

(2)不法投棄現場の概要

 青森県南東部の大平洋に臨み、全国屈指の水産都市・工業都市である八戸市から南西方向の内陸部に、ニンニクで有名な田子町があります。田子町の中心部から約15kmほどの、岩手県二戸市にまたがる原野が、本事案の不法投棄現場です。
 現場は、標高約450mほどの緩やかな起伏を有する台地にあり、周辺には山林や牧草地などが広がっています。また、現場は八戸方面まで貫流する一級河川馬淵川水系の上流部に位置しており、農林水産業が盛んな地域の一角にあります。
 青森県が汚染実態や周辺環境への影響を把握するため平成12年度から14年度にかけて実施した調査の結果、以下のようなことが分かりました。
  • 廃棄物が投棄された面積は、青森県側が約11ヘクタール、岩手県側が約16ヘクタール、合わせておよそ27ヘクタール
  • 不法投棄廃棄物は、堆肥様物、焼却灰、汚泥、RDF様物が主体
  • 廃棄物等の量は推定約67万立方m
    (平成22年度に約84万立方mに、平成24年度に約78万立方mに再推計。最終的な撤去実績は約79万立方mとなった。)
  • 現場全体が揮発性有機化合物(VOC)により汚染されている。
  • 現場周辺の環境は概ね環境基準を満たしている。
  • 平成12年10月当時の現場全景
    平成12年10月当時の現場全景
  • 緑豊かな風景が広がる現場付近(平成23年撮影)
    緑豊かな風景が広がる現場付近(平成23年撮影)

(3)沿革

 県は不法投棄の原因者に対し、平成12年以降順次、不法投棄廃棄物等の撤去等を命じる措置命令を行ってきましたが、一部を除き措置を講じる見込みがないと判断されたため、平成14年度から県が代執行を行うこととしました。
 また、平成12年度から汚染実態調査や周辺環境モニタリング調査、地盤調査等を実施し、岩手県との合同検討委員会等を実施し、原状回復方針について検討しました。
平成15年には学識経験者や地域住民を含めた「県境不法投棄現場原状回復対策推進協議会」を設置して協議を重ね、同年8月には「馬淵川水系の環境保全のため汚染拡散の防止を最優先とし、廃棄物及び汚染土壌は全量撤去を基本とする」原状回復方針を決定しました。
 平成16年には環境大臣の同意を得て「青森・岩手県境不法投棄事案に係る特定支障除去等事業実施計画書」を策定し、原状回復事業に着手、同年12月から廃棄物等の撤去を開始しました。
 撤去作業と併行して現場跡地の取扱い方策を検討し、平成21年度に「青森・岩手県境不法投棄現場・環境再生計画」を策定しました。環境再生計画では、原状回復事業等で培われてきた経験等を貴重な財産として次世代に引き継ぎ、二度とこのような出来事を起こさせてはならないというメッセージへとつなげていくこととし、地元住民等を対象とした環境学習事業を実施したほか、植樹による自然再生事業等を実施することとしています。
 平成25年12月19日、青森県は廃棄物及び汚染土壌の全量撤去を完了しました。
 廃棄物撤去完了後も現場に残る汚染された地下水は、積極的に揚水して浄化し、平成34年度までには原状回復事業を終了することとしています。

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