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更新日付:2022年2月25日 地域生活文化課

本業に活きる社会貢献活動セミナーを開催しました。

開催報告

 県では、このほど、企業における社会貢献活動を推進するため、SDGs時代の新たな企業価値を創出する社会貢献活動の事例をお伝えする標記セミナーを下記のとおり開催しました。

趣旨

企業も社会課題解決の一員としてSDGsに対応した取組が求められる昨今、企業にとって、新しい価値の創出や経営強化につながる社会貢献活動とは何か?

持続可能な社会、企業をめざして第一線で活躍する方々にお話を伺います。

本業に活きる社会貢献活動セミナーチラシ
画像をクリックすると、チラシ(PDF)をダウンロードできます。

開催日時

令和4年2月1日(火) 13時30分~15時30分

開催方法

Zoomによるオンライン開催

(アピオあおもり及びオンラインでの開催を予定しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の急速な拡大により、Zoomによるオンライン開催のみとなりました。)

内容

第1部 対談 ~企業の新しい社会貢献活動とは~

「事業を通じて人々のくらしの向上と社会の発展に貢献する」を経営理念に掲げ、長年、企業市民活動に取り組まれているパナソニック株式会社の東郷琴子氏を講師にお招きし、日本におけるプロボノの草分けとして知られる認定NPO法人サービスグラントの嵯峨生馬氏が企業の新しい社会貢献活動について、対談形式でお話しを伺いました。

(※プロボノ:仕事の経験や知識を生かしたボランティア)

講師
東郷琴子氏

東郷 琴子(とうごう ことこ)氏

パナソニック株式会社 オペレーショナルエクセレンス社
企業市民活動推進部 主幹

1999年に企業市民活動を推進する「企業市民活動推進部」に異動し、現在に至る。
同部では、「社会福祉」「環境」分野の担当を経て、2006年より「NPO/NGO支援」、現在は従業員の社会参画を促進する取組を担当。
主なプログラムに、NPO/NGOの組織基盤強化に助成する「Panasonic NPO/NGOサポートファンド for SDGs」、従業員のビジネススキルを活かした「Panasonic NPO/NGOサポート プロボノプログラム」等がある。

コーディネーター
増田典生氏

嵯峨 生馬(さが いくま)氏

認定特定非営利活動法人サービスグラント代表理事

シンクタンク研究員を経て、2005年、仕事の経験・スキルを活かしたボランティア活動「プロボノ」により、NPOの基盤強化を支援するサービスグラントのフロンティアとして活動を開始。プロボノプログラムの企画・開発をはじめ、企業・行政・財団等、幅広いセクターとの協働を推進。
これまでに7,000人を超える社会人の登録を集め、約1,100件を超えるプロジェクトを実施。著書に『プロボノ』(勁草書房)。

第2部 パネルディスカッション ~本業に活きるプロボノ活動~

県が企業人等による社会貢献活動の促進を目的として実施している「青森プロボノチャレンジ」の参加者2名を交え、社員を社会につなぐ「プロボノ」の意義や企業にもたらされる効果などについて、ディスカッションを行いました。

<パネリスト>
・パナソニック株式会社 東郷琴子 氏
・株式会社小坂工務店 渉外部 部長 野村笑美 氏※
・公文教育研究会青森事務局 局長 野村一平 氏※

※青森プロボノチャレンジ2021参加者

<コーディネーター>
・認定NPO法人サービスグラント 代表理事 嵯峨生馬 氏

セミナー概要

第1部 対談「企業の新しい社会貢献活動とは」

  • 対談1
  • 対談2
  • 対談3
  • 対談4
1.導入(嵯峨氏)

(1) 企業をめぐる社会貢献活動の動き
 企業をめぐる社会貢献活動の動きは、CSR(企業の社会的責任)から、2015年に国連が採択したSDGs(持続可能な開発目標)へとシフトしてきている。
 SDGsには「誰一人取り残さない」というキーフレーズがある。SDGsをプラットフォームとし、多様な主体がパートナーシップを形成してゴールを目指すことが、最重要ポイントである。

(2) 社会貢献活動に対する企業の意識変化
 経団連が昨年発表した企業のCSRに対するアンケート結果から、経営理念やビジョンの実現、社員の成長に期待する意識が大幅に高まってきている。
 また、世界経済フォーラムの報告書では、ビジネスに求められる能力のトップ10が発表されており、求められる能力に入れ替わりが見られます。これからのビジネス環境では、「社会感度」「共創力」「イノベーションマインド」の3つのチカラが重要になってくるのではないかと考えている。

(3) プロボノとは
 プロボノとは、専門的なスキル・経験等をボランティアとして提供し、社会課題の解決に成果をもたらすこと。このプロボノ活動によって身に付くチカラは、これからのビジネス環境で求められる3つのチカラに似ているため、社員のプロボノ活動により、企業のSDGsの推進や社会貢献活動のレベルアップ、ブランド価値の向上、人材育成といったメリットがあると考えている。
2.パナソニック株式会社の取組(東郷氏)

(1) パナソニックの企業市民活動について
 パナソニックグループの経営理念は、「事業を通じて人々のくらしの向上と社会の発展に貢献する」こと。事業活動とともに、企業市民としての社会貢献活動である企業市民活動においても「共生社会の実現に向けた貧困の解消」を重点テーマとした社会課題の解決に取り組んでいる。貧困の解消に向けた「機会創出」の取組の一つとして、プロボノプログラムがある。

(2) Panasonic NPO/NGOサポートプロボノプログラムについて
ア プログラムの背景・概要・実績
 元々、NPO/NGOの組織基盤強化を支援する助成プログラムがあり、2011年から助成先のフォローアップとして従業員がビジネススキルを活かしてNPO/NGOの事業展開力を支援するプロボノプログラムも併せて実施している。
 プログラムの狙いは3つ。1.従業員のビジネススキル・経験をさらに社会の中で役立てること、2.プロボノで事業展開力の強化を支援し、社会課題の解決をさらに促進すること、3.従業員のイノベーションマインドが向上すること。
 これまでの10年間で330名が活動し、56団体60件のNPO/NGO支援を行ってきた。

イ 10周年節目アンケート結果
 昨年、10周年の節目を機に行ったアンケート結果では、支援先団体の92%が組織基盤強化につながった、96%が団体にとって良い変化があったと回答している。また、参加従業員へのアンケート調査の結果から、プロボノは1.社会感度を高める、2.多様性への理解や自己効力感・主体性を高める、3.仕事にも活きる経験が積める、4.後の自律的なキャリアを考えるスタートとなる、5.企業市民活動や自社への愛着・ロイヤリティが高まる、といった5つの発見があった。(参考:パナソニック「プロボノのススメ」)https://www.panasonic.com/jp/corporate/sustainability/citizenship/pnsf/probono/report_10th.html
3.対談

(1) プロボノに参加した従業員にどのような変化があったか、エピソードを伺いたい。
 先ほどのアンケート結果のほか、参加者間で自主的なプロボノコミュニティが生まれたり、参加従業員の行動が変わり、上司から仕事ぶりの良い変化を報告いただくこともある。また、プロボノ後も支援先と繋がりを持ち続けている人が多い。

(2) 企業としてプロボノ活動に取り組むことで、本業、経営にどう役立つのか、企業としてのSDGsの推進にどうつながるのか、東郷さんのお考えを伺いたい。
 社会課題に取り組むNPO/NGO支援を通じて社会課題に触れ、そのような従業員が増えることは、会社として社会課題へのアンテナが高く張られ、「人々のくらしの向上と社会の発展に貢献する」という経営理念に即した事業活動の実践につながると思っている。また、多様なメンバーとの協働経験は、DEI(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)の理解を促進し、より良い企業風土の醸成にもつながると思う。あわせて、SDGsに「パートナーシップを組んで取り組もう」とあるように、セクターを超えた方々との協働は、その重要性・意義も体感できるのではないか。

(3) 今後のプロボノ活動について、パナソニックとして目指していきたい方向性を伺いたい。
 参加従業員の拡大に向けて、管理者層への啓発や人事等関連部門との連携、参加経験者で自主的にプロジェクトを運営できるような体制の構築を目指していきたい。

第2部 パネルディスカッション「本業に活きるプロボノ活動」

  • パネルディスカッション1
  • パネルディスカッション2
1.パネリスト自己紹介とプロボノ支援内容

(1) 株式会社小坂工務店 渉外部 部長 野村笑美 氏
ア 参加のきっかけ
 県からの案内により会社側に社員の参加を提案した際に、まずは自分が体験してみてはと会社に背中を押してもらったこと。
イ プロボノ支援内容
 NPO法人ハッピーエンジェル(八戸市)が運営する就労継続支援B型施設「りんごっこ」のホームページ制作

(2) 公文教育研究会青森事務局 局長 野村一平 氏
ア 参加のきっかけ
 昨年7月に転勤してきたばかりで、仕事以外での地域とのつながりを作りたいと思っていた頃、県ホームページの検索でプロボノチャレンジを知ったこと
イ プロボノ支援内容
 多胎児を持つ家庭の情報共有の場づくりを行っている青森市ふたご・みつごの会の組織体制及び運営マニュアルづくり

※青森プロボノチャレンジ2021の実施状況はこちらからご覧いただけます。
2.異業種の方々との取組について、良かった点や難しかった点、また、プロボノ活動は本業や生活に支障があったかどうかを伺いたい。

(1) 野村笑美 氏
 業種や働き方が多様なメンバーのチームであったが、オンラインミーティングや役割分担などプロジェクトの進め方を工夫したためスムーズに進められた点が良かったし、本業や生活への支障もなかった。

(2) 野村一平 氏
 チームメンバーの職種や働き方など様々なバックグラウンドを知り、自分自身の視野が広がった。オンラインのみでのコミュニケーションに不安はあったが、その中でも情報交換・情報共有を密に行ったので、プロジェクトを円滑に進めることができた。
3.青森プロボノチャレンジ2021参加者アンケート結果の紹介(嵯峨氏)

 社会貢献活動とは社外のための取組という印象があるが、プロボノ参加者のアンケートから、多くの参加者が、今の仕事に活かせる有意義な経験を得ることができたなど回答しており、本業にも活きる経験を得ていることが分かる。
4.プロボノに参加したことで、本業にどのような変化があったか伺いたい。

(1) 野村笑美 氏
 支援先団体や利用者本人に直接ヒアリングを行う機会を通じて、多様性や協働というものを改めて感じることができた。弊社は支援先団体同様の施設とも関わりがあるため、その点が、今後本業に活きてくるのはないかと思う。

(2) 野村一平 氏
 コロナ禍でリモート等が当たり前になったが、支援先団体へのヒアリングを通じて、現場で生の声を聴くことの大切さを実感したほか、チームメンバーとも本業に活かせる情報交換ができた。また、ゴールと現状のギャップを埋める成果物の検討過程はとても勉強になった。

(3) 東郷氏からのコメント
 お二人の話を聞いて、プロボノは多様性への理解を深め、社会課題を身近に、また自分事にできる場であることを感じた。さらに、机上の空論ではなく、生きた実社会の中で行われるところがプロボノの醍醐味であり、目的意識を持つことや課題設定の検討プロセスは、まさに本業に活きてくると感じた。
5.プロボノへの参加について、会社の理解はどのようなものだったか伺いたい。

(1) 野村笑美 氏
 社員の定年後のことを考えた際に現役のうちからの社会参加が大切だと感じ、プロボノへの参加を会社に提案した。会社の定例会議で自分の活動状況を報告していたので、会社の理解はあると思っている。次の参加につなげていきたい。

(2) 野村一平 氏
 本社にはパネリストの依頼を受け事後報告した。弊社としても、社会課題の解決に向けグローバルに貢献していくという理念があるため、SDGsの達成に貢献できるよう、私の今回の活動を社内にフィードバックしながら、他の社員のプロボノ参加へつなげていきたい。

(3) 東郷氏からのコメント
 お二人のように管理職の方が率先してプロボノに参加されているのが、素晴らしいと感じた。弊社としても、管理職の方に参加いただき意義を感じてもらうことで、ボランティア活動や社会参加しやすい企業風土を目指していきたい。
6.最後に改めて、SDGs時代に企業がプロボノ等社会貢献活動に取り組む意義について、どのように感じているか伺いたい。

(1) 野村笑美 氏
 今回の支援では、誰に対して何を伝えたいのかを重視し様々な関係者にヒアリングを行いながらチームで検討し、様々な考え方を知ることができたため、社会貢献活動によって多様性の理解やパートナーシップの重要性を知る意義があると感じた。

(2) 野村一平 氏
 プロボノへの参加により、シンクグローバルアクトローカル(地球規模で考え、足元から行動せよ)を肌で実感できたほか、人との出会いが一番の学びであった。SDGsのキーワードである誰一人取り残さない社会を目指すには、他者との協働が不可欠だということを改めて認識できたことから、個人のみならず企業として取り組む意義は大きいと感じた。

(3) 東郷氏からのコメント
 お二方のお話を伺い、社員一人ひとりが社会課題に向き合って社会参画することの大切さを改めて感じた。SDGsにおけるパートナーシップという点では、NPO/NGOの方々の物事の捉え方や考え方を知り一緒に課題解決に取り組むことを通じて、本業でもパートナーシップによる取り組みが促進されるのではないかと思っている。弊社としても、プロボノに取り組む従業員を拡大し、一人ひとりのアクションから大きなムーブメントにつなげていきたい。

(4)  嵯峨氏まとめ
 社会貢献活動を経験することで様々な気付きを得て人が磨かれ、それが本業にも生かされるというお話をいただいた。それがまさにSDGs時代における協働、パートナーシップをベースとしたビジネスの在り方の一つなのではないかと感じた。最近では企業のトップから社会課題解決ということが言われるようになり、ビジネスと社会貢献活動を一体的に考えたほうが企業にとっても社会にとってもメリットがあるのではないかと感じている。その裏付けが、東郷さんやパネリストの皆さんのお話からも感じることができた。

この記事についてのお問い合わせ

【現在作業中】R5の問い合わせ先です
県民生活文化課 文化・NPO活動支援グループ
電話:017-734-9208  FAX:017-734-8046

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