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第二百三十七回定例会提出議案知事説明要旨(平成16年2月)

《知事就任後初の当初予算案編成等に当たっての県政運営に関する所信表明》

 提出議案について、その概要を御説明申し上げます。
 まず、議案第一号「平成十六年度青森県一般会計予算案」について御説明申し上げます。
 平成十六年度当初予算の編成においては、冒頭御説明申し上げましたとおり、財源不足額を解消しつつ、将来にわたって持続可能な財政構造へ転換を図るため、財政健全化への取組みを着実に進める一方で、庁内各部局の政策連携を強めつつ、人材育成・教育という「人づくり」の視点にも十分配慮しながら、
 創造性と活力あふれる「産業・雇用」
 共に支え合う、健やか・安心の「福祉」
 次世代へ誇れる財産としての「環境」
の三分野について、重点的に経費を配分し、「施策の選択と重点化」を一層推進することといたしたところであります。

 基金取崩額については、予算編成過程において、予測をはるかに超える地方交付税及び臨時財政対策債の急激かつ大幅な削減の影響を受け、当初想定した財源不足額が著しく拡大する見込みとなったところでありますが、これに対処すべく財源確保に鋭意努めた結果、前年度当初予算の取崩額よりは十億円下回る百六十二億円となりました。

 また、厳しい財政状況にあっても、重点三分野に係る「ふるさと再生・新生重点枠経費」については、総額二十五億円余の事業費を確保したほか、投資的経費については、一般公共事業費で、十三・一パーセントの減、県費単独事業費で十二・七パーセントの減となっておりますが、「生活創造公共事業重点枠経費」の創設により、雇用・地域経済への影響を緩和するよう配慮いたしました。

 以上の結果、平成十六年度青森県一般会計当初予算の規模は、歳入歳出とも七千六百八十五億円となり、前年度当初予算に対して、四百八十億円、五・九パーセントの減と、四年連続のマイナス予算となっております。

 以下、平成十六年度の主要施策について、重点三分野を中心に、その概要を御説明申し上げます。
 まず、それぞれの主要施策推進の土台となる「自主・自立を支える基盤づくり」について御説明申し上げます。

 自主自立の青森県づくりの推進に当たっては、情報公開に基づく県民との情報共有や協働が不可欠であり、県民参加の新しい開かれた県政づくりを目指してまいります。
 また、「小さな政府、大きな地方主権」、すなわち、真の分権型社会を構築していくためには、県自らの不断の行財政改革が必要であります。
 このため、引き続き、「未来デザイン県民会議」を開催するとともに、新たに、各種広聴活動で寄せられた県民の意見をデータベース化し、併せてこれらに対する県の対処方針等を周知するための「県民の声データベース」を構築することとしているほか、県が直面する諸課題や新たな施策の展開方策等について各分野の専門家と意見交換を行う「青森県政策懇話会」を設置し、同懇話会で検討された課題について機動的に調査、検討を行うこととしております。

 また、当面の厳しい財政環境の下、県行政の全般にわたる大胆かつ抜本的な見直しや行政経営手法の改革を推進することにより、効果的な行政運営の確立を図ることを目的として、行政改革大綱の改定を行うこととしているほか、北東北三県の広域連携については、国と県との役割分担等を検討しつつ県民への情報提供を行うとともに、その意見を伺いながら推進してまいります。
 市町村合併については、新たに、市町村合併支援特別交付金を計上したほか、各地域の市町村合併に向けての取組みをこれまで以上に支援してまいります。

 さらに、「新青森県長期総合プラン」に替わる新たな計画である、仮称「新青森県基本計画」については、本年中を目途に策定することといたしております。
 以上のほか、県有施設の総合的・戦略的な経営管理活動を行うファシリティマネジメントの導入を推進するため、施設管理データベースの作成等を実施することといたしております。

 次に、重点三分野とともに重要な施策である、人材育成・教育の推進を図る「未来への人づくり」について申し上げます。
はじめに、「次代を担う教育の推進」について御説明申し上げます。
 まず、個を生かし創造性を育む学校教育については、
 きめ細かな学習指導や生徒指導を実施するため、引き続き、小学校一・二年生及び中学校一年生を対象に、少人数学級編制を実施することといたしております。

 また、平成十七年度に開催される「第二十九回全国高等学校総合文化祭青森大会」の開催準備を進めることといたしております。
 学校施設の整備については、青森高校等七校の校舎等の建築、八戸第二養護学校の校舎等建築のための調査設計、弘前中央高校等三校の運動場等用地の整備を行うことといたしております。
 私立学校については、経常費補助をはじめ、高等学校授業料軽減補助、教育改革推進特別経費補助等の助成を行い、特色ある教育の振興を図ることといたしております。

 次に、青少年の健全育成については、
 子どもの健全育成の推進及び地域の教育力の向上を図るため、地域の大人が指導者となり、小中学生を対象としたスポーツ・レクリエーション活動を支援することといたしております。

 次に、「国際交流と国際協力の推進」について御説明申し上げます。
 友好提携関係にあるブラジル連邦共和国サンタ・カタリーナ州については、在伯青森県人会創立五十周年を迎え、また、同じくアメリカ合衆国メーン州については、友好協定締結十周年を迎えることから、それぞれ記念となる交流事業を実施することとしているほか、ロシア連邦ハバロフスク地方及びイタリア共和国リグーリア州や環日本海諸国とも、各地域の特性に応じた分野での交流を進めてまいります。

 次に、「文化やスポーツの振興」について御説明申し上げます。
まず、文化の振興については、
 平成十八年度の開館を目指し、仮称「青森県立美術館」の整備を進めることとしているほか、ドイツ連邦共和国で開催される日本の原始・古代文化を一堂に紹介する展覧会にあわせて、三内丸山遺跡を中心とした縄文シンポジウムを開催することといたしております。

 次に、スポーツの振興については、
 本県で開催される第五十四回全国高等学校スケート競技選手権大会及び第二十五回全国中学校スピードスケート大会の開催経費に対し助成することといたしております。
 また、平成十九年度に本県で開催される第二十回全国スポーツ・レクリエーション祭の開催準備を進めることといたしております。
 さらに、下北半島地域の振興を図る中核拠点施設である克雪ドームの建設を進めることといたしております。

 次に、重点三分野に関する主要施策について御説明申し上げたいと思いますが、その第一は、「創造性と活力あふれる『産業・雇用』」であります。
 はじめに、「雇用対策の推進」について御説明申し上げます。
 まず、雇用環境の整備については、
 国の制度も活用しながら、若年者の雇用拡大を図るため、新たに、就業支援サービスを総合的に提供する若年者のためのワンストップサービスセンター、いわゆる「ジョブカフェ」を設置するとともに、若年者の就業を促進するため、新たに本県独自の短期職業訓練を実施することといたしております。

 また、新たに、長期・中高年失業者の再就職を支援するため、キャリアカウンセリング等の職業能力習得機会の提供を行うほか、障害者の雇用・就業を一層促進するため、「障害者就業・生活支援センター」の指定に向けた取組みに対し助成することといたしております。
 さらに、引き続き、県の公務部門のワークシェアリングを実施し、新規高校卒業予定者の雇用の確保に努めることといたしております。

 次に、緊急的雇用創出対策の推進については、
 「県民仕事おこし運動」を推進するため、地域密着型の事業活動として展開されているコミュニティビジネスや、地域で話題となっている商品、技術、アイディアを生かしたコミュニティベンチャー、さらには、自らの働く場を創造する企業組合に対する設立支援を行うことといたしております。
 また、県内の企業誘致の促進と雇用機会の拡大を図るため、一定規模以上の新規雇用を行った誘致企業等に対する助成を行うこととしているほか、幅広い分野で緊急地域雇用創出特別基金を活用した事業を展開することといたしております。

 次に、「新たな地域産業づくり」について御説明申し上げます。
 まず、新成長産業の創造・育成については、
 「環境・エネルギー産業創造特区」エリアへの関連企業の集積による地域経済の活性化や雇用の創出を促すため、環境・エネルギー産業フロンティアの形成を推進するとともに、新たに、環境・エネルギー関連の製品及びサービス等の研究開発に助成することといたしております。

 また、むつ小川原工業開発地区への液晶産業を中心としたフラットパネルディスプレイ(FPD)関連産業の集積を目指すクリスタルバレイ構想の推進については、引き続き研究開発を推進するほか、関連企業の立地を促進するため、起業や新事業創造等の支援を目的とした基金造成に対する出資を行うことといたしております。
 国際熱核融合実験炉(ITER)については、サイト選定に関する関係極間の協議が大詰めを迎えており、県としても、引き続き的確な情報把握に努めながら、国及び日本原子力研究所等の関係機関との連携を一層強化し、県議会、青森県ITER誘致推進会議、関係市町村等と一体となり、ITERの本県誘致実現に全力で取り組んでまいります。

 次に、地域中小企業の再生・活性化については、
 県内建設投資の縮減という厳しい構造変化による地域経済・雇用に及ぼす影響を最小限にとどめるための支援を行うこととしているほか、魅力ある個店を起点とした商店街の魅力向上・活性化を図ろうとする取組みへの支援を行うこととしております。
 また、県内中小企業が厳しい経済環境に置かれていることから、引き続き「セーフティネット資金」をはじめとする特別保証融資制度を活用した金融支援を実施することといたしております。

 さらに、観光、農林水産物をはじめとする各種県産品に関する情報を一元的かつ効果的に発信するためのPR活動を行う「まるごと青森情報発信事業」を実施するとともに、社会資本を限られた予算の中で効率的に維持管理していくためのシステム構築を行い、建設産業の新たな需要として「社会資本長寿命化市場」の創出を図ることといたしております。

 次に、「攻めの農林水産業の推進」について御説明申し上げます。
 まず、消費者ニーズの多様化に対応した販売・生産体制づくりについては、
 マーケティング活動による販売・生産体制の強化を図るため、農林水産物の総合的な販売戦略を策定するほか、消費者ニーズに対応した生産・販売の推進を図るとともに、中国での農林水産物の販売促進活動等の展開、県産の米、りんご、野菜、ほたて等の消費拡大を図る宣伝活動等に対する助成を行うことといたしております。

 特に、りんごについては、総合評価の向上を目指し、本職自らトッププロモーション活動を展開するほか、りんご園地の立地条件、品質情報等のデータを一元管理し、生産者、園地ごとの特徴を把握するマッピングシステムの導入を支援してまいります。
 また、付加価値の高い青森ブランドを確立する観点から、究極の栽培方法、収穫方法等により明確に差別化された一次産品を対象としたブランドの認証制度を検討するとともに、青森シャモロック、特産えだまめ、あおもり牛やさくらますのブランド化促進のための取組みを進めてまいります。

 さらに、県産材の需要拡大による林業・木材産業の活性化を図るため、県産材を多用した住宅建築を推進することといたしております。
 次に、山・川・海をつなぐ水循環システムの再生・保全による農林水産業の振興については、
 県内六流域の健全な水循環システムの再生・保全に向けたグランドデザインを策定することとしているほか、森林の整備・保全を社会全体で支えるという意識を醸成するための森林ボランティア養成研修等の実施や木質バイオマスの利用促進による森林地域の水環境保全等に取り組んでまいります。

 また、水と土がもたらす安全・安心な恵みの場づくりを推進するため、「有機の郷づくり」を推進することとし、地域指定や推進方策・販売戦略の構築に取り組むとともに、共同利用機械等の導入に対し助成することといたしております。
 さらに、津軽海峡におけるこんぶの藻場等の保全・再生、日本海におけるわかめ等の増養殖及び陸奥湾におけるすげあまもの藻場の保全・再生に取り組むことといたしております。

 次に、地域資源を生かした新たな産業づくりについては、
 首都圏の中高年層をターゲットとした観光振興と地域振興を図るため、名川町と連携し、あおもりツーリズムを推進するあおもり「達者村」の開村を支援することといたしております。

 次に、米づくり改革の推進については、
 「売れる米づくり」を目指し、県が定める栽培基準に基づき、銘柄米づくりに取り組む産地を認定し、その産地が行う体制整備や販売対策を支援するとともに、稲作の省力・低コスト化の有効な技術である水稲直播栽培の普及拡大を図ることといたしております。
 また、需要に応じた転作作物の本作化を推進するとともに、地域の水田農業を主体的に担う「担い手」の効果的な育成を図るため、総合的な支援を行うことといたしております。

 重点分野の第二は、「共に支え合う、健やか・安心の『福祉』」であります。
はじめに、「保健・医療・福祉包括ケアの推進」について御説明申し上げます。
 まず、保健・医療・福祉包括ケアシステムの推進については、
 医療機関の利用者が円滑に地域に生活の場を移行し、必要なサービスを受けることができるようにするための医療機関と地域との連携を担う人材の養成を行うとともに、リハビリテーションを地域ぐるみで円滑に実施し、介護予防や寝たきり防止を積極的に推進するための地域リハビリ調整者の養成を行うことといたしております。

 次に、保健・医療・福祉サービスの総合的な提供体制の構築については、
 虐待、ドメスティック・バイオレンスについての総合的な対策を推進していくための体制整備を行うこととしているほか、体力面でハンディキャップを有する旅行者が安心して県内を旅行できる受入体制の整備を行うバリアフリー観光の推進に努めてまいります。

 次に、地域の特性を考慮した保健・医療・福祉サービスの提供については、
 北海道・北東北三県の広域連携による健康増進を図るための共同事業を実施するとともに、事業成果等を地域で活用するための研究会を開催することといたしております。
 また、軽度要介護認定者等への介護度の改善・重症化防止のためのトレーニングプログラムを用いたモデル事業を実施することといたしております。
 さらに、農水産物、温泉、自然環境など健康の維持・増進に役立つ本県の地域資源を調査するとともに、それらを活用した新たなサービス産業創出のためのパイロット事業を実施することといたしております。

 次に、「医療体制の充実と再構築」について御説明申し上げます。
 まず、医師等の人材確保・養成対策については、
 県外に在住する医療関係者による連携・協力組織の確立を図るとともに、県外在住医師や医学生などに対する本県の医療状況や医師募集の積極的なPRを行い、本県への就業を斡旋するほか、医師確保に係る調査・検討を行うことといたしております。

 次に、医療機能の高度化については、
 本県の高度専門医療の機能分担のあり方と県立中央病院の健全な経営を確保するための体制構築のための調査検討を行うほか、県立つくしが丘病院の整備に向けた実施計画を策定することといたしております。

 次に、「健やかに伸びやかに子どもを生み育てられる環境づくり」について御説明申し上げます。
まず、小児・周産期医療環境の充実については、
安心して子どもを生み育てる環境づくりを推進するため、本年十月の開設を目指し、県立中央病院において「総合周産期母子医療センター」の整備を進めてまいります。
 また、各地域の拠点的周産期医療施設との連携体制を構築し、周産期医療の質的向上を図ることといたしております。

 次に、子育ての社会的支援体制の整備については、
次世代育成支援対策推進法の施行に伴い、次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、育成される環境を整備するための行動計画を作成することといたしております。

 次に、「安心して暮らせる地域社会づくり」について御説明申し上げます。
 まず、地域安全対策の充実については、
 野辺地警察署庁舎の建築に着手するとともに、老朽化した警察ヘリコプターの更新を行うほか、街頭犯罪等の発生を抑止するため、街頭緊急通報システムの整備を行うことといたしております。
 さらに、災害時の通信手段の確保と気象予警報等の伝達手段として活用されている防災行政用無線ネットワークについて、映像デジタル化対応等のための改修を行うことといたしております。

 次に、生活環境の充実については、
 地域住民との協働により冬期間の歩行者空間を確保するため、小型除雪機を購入し、市町村経由で町内会等に貸し付ける「スクラム除雪事業」を実施することといたしております。
 また、多様な交通手段を活用し、効率的で誰もが安心して利用できる生活交通体系の構築を図るための地域生活交通行動計画の策定や実証実験の実施に要する経費に対し助成することといたしております。
 さらに、仮称「青森県動物愛護センター」については、その規模を縮小したうえで整備を進めることといたしております。

 次に、消費生活の安全・安心の確保については、
 消費者被害の未然防止を図るため、マスメディア等を利用した啓発活動を行うことといたしております。
 また、食の安全・安心を推進・確保するため、食品の監視指導・検査体制を強化するとともに、消費者等との交流会を実施することといたしております。

 重点分野の第三は、「次世代へ誇れる財産としての『環境』」であります。
 はじめに、「循環型社会づくり」について御説明申し上げます。
まず、環境・リサイクル産業に対する支援・育成については、
 あおもりエコタウンプランが展開されている八戸港リサイクルポートへの環境リサイクル産業の立地を促進するため、環境アセスメント等の前提となる気象データ等の測定を行うことといたしております。
 また、ほたて貝殻とりんご搾り粕を用いた環境に優しい非塩素系凍結防止剤製造プロセスを確立するための研究開発を推進してまいります。

 次に、資源循環型社会システムの整備については、
 県民、NPO、事業者、行政等が一体となって資源循環型社会の構築や廃棄物の適正処理を推進するため、循環型社会形成推進基本計画を策定するとともに、廃棄物処理対策の強化に努めてまいります。
 また、県庁舎に発電機を設置し庁舎の電気料金を節減した上で、その廃熱を利用し歩道融雪を行う「省エネ庁舎と歩道融雪のコージェネレーション導入事業」に取り組んでまいります。

 次に、自然及び生活環境の保全と活用の推進については、
世界自然遺産白神山地の適切な保全・利用のあり方を再検討するための調査を実施するとともに、自然保護意識の普及啓発を行うことといたしております。
 また、平成十七年秋に予定されている「第二回世界自然遺産会議」の開催準備を進めることといたしております。

 次に、「廃棄物の適正処理の推進」について御説明申し上げます。
 まず、不法投棄防止対策の徹底については、
 事業者、行政、県民の環境意識の共有化を図りながら、民間との協働による不法投棄防止対策を推進するための環境づくりに取り組むことといたしております。
 また、悪質・巧妙化する廃棄物不法投棄事案の取締り体制を強化するため各種装備資機材を整備することといたしております。

 次に、安全・安心な生活環境確保の推進については、
 県境における産業廃棄物不法投棄現場の汚染拡散防止対策として、水処理施設の建設を推進するとともに、有害廃棄物の撤去を行うことといたしております。
 また、周辺対策として、田子町の農林畜産物の販売促進に対する助成や廃棄物撤去車両の通行に対する交通安全対策等を実施するほか、風評被害に対する損失補てんのための給付金に係る所要の債務負担行為を設定いたしております。
 以上が、重点三分野に係る主要施策の概要であります。

 最後に、重点三分野以外の項目として、「安全・安心な社会づくり」について申し上げます。
 はじめに、「安全な県土づくり」について御説明申し上げます。
 まず、県土の安全の確保については、
 公共事業等を活用し、山地の保全、砂防・地すべり対策、河川・海岸の整備、農用地の保全等に努めてまいります。

 次に、原子力安全対策の充実についてでありますが、
 本県における原子燃料サイクル事業及び原子力発電については、資源小国である我が国ではエネルギーの安定供給が不可欠との観点から、安全確保を第一義に国策に協力してまいりました。
 県としては、県民の不安・懸念の解消を図るため、「青森県原子力センター」を中心に、環境放射線等の総合監視を行うとともに、県独自の安全性チェックを行うなど、安全確保に万全を期することといたしております。

 次に、「交通基盤の整備等」について御説明申し上げます。
 まず、東北新幹線の建設促進についてであります。
 東北新幹線「八戸・新青森間」については、平成十六年度の政府予算案において四百八十四億円が配分され、着実に建設が進められており、今後とも一年でも早い開業を目指してまいります。
 青森空港については、滑走路三〇〇〇メートル化の整備を進めるとともに、就航率改善を図るための有効手段である、計器着陸装置等の高カテゴリー化を行うこととしております。

 また、冬の暮らしの快適性を高め、県民の利便性向上を図るため、公共事業を活用した立体駐車場等の建設に着手することといたしております。
 道路整備については、東北縦貫自動車道八戸線等の高規格幹線道路、下北半島縦貫道路等の地域高規格道路等、幹線道路網の整備促進を図ることといたしております。
 以上が、平成十六年度の主要施策の大綱であります。

次に、歳入予算の主なるものについて御説明申し上げます。
 県税については、地方税制改正の内容、本県経済の動向等を踏まえ、千百五十八億三千六百十余万円を計上いたしております。
 地方消費税清算金については、地方消費税の都道府県間における清算金二百六十七億二千三十余万円を計上いたしております。
 地方交付税については、原資総額の伸び率及び国の算定方針を基礎に、過去の交付実績等を勘案して普通交付税の交付見込額を推計したうえで、当初予算において二千二百三十三億八千三百万円を計上したほか、特別交付税については、三十九億円を計上いたしております。

 県債については、地方債計画、その運用方針等を勘案して積算のうえ、千百五億五千九百万円を計上いたしております。
 繰入金については、厳しい財政状況等に対処するため、財政調整基金から二十億円、県債管理基金から九十三億円、公共施設等整備基金から三十億円及び地域振興基金から十九億円をそれぞれ繰り入れることといたしております。
 このほか、国庫支出金等については、主として歳出との関連において計上いたしております。
 以上が、「平成十六年度青森県一般会計予算案」の概要であります。

 このほか、上程されました議案の主なるものについて御説明申し上げます。
 議案第二号から議案第二十号までは、青森県公債費特別会計等の特別会計及び青森県病院事業会計等の企業会計に係る予算案であります。
議案第二十一号「青森県使用済自動車引取業者登録申請手数料等徴収条例案」は、使用済自動車の再資源化等に関する法律の施行に伴い、使用済自動車の引取業者及びフロン類回収業者の登録の申請手数料並びに使用済自動車等の解体業及び解体自動車の破砕業の許可等の申請手数料の徴収に関し必要な事項を定めるものであります。

 議案第三十号「職員の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例案」は、平成十六年四月から平成二十一年三月までの間、課長級相当職以上の職員については、給料月額の四パーセントから六パーセント及び管理職手当の五パーセントを、その他の職員については給料月額の二パーセントから三パーセントを削減するものであります。
 議案第三十四号「青森県核燃料物質等取扱税条例の一部を改正する条例案」は、課税標準の算定期間を改めるものであります。
 議案第四十号「青森県肢体不自由児・重症心身障害児施設条例の一部を改正する条例案」は、肢体不自由児施設として設置している「青森県立はまなす学園」の業務を拡充し、肢体不自由児・重症心身障害児施設とするものであります。

 議案第四十四号「青森県職業能力開発校及び障害者職業能力開発校条例の一部を改正する条例案」は、青森県行政改革大綱に基づき、三沢高等技術専門校を八戸工科学院の分校とするとともに、木造高等技術専門校を弘前高等技術専門校の分校とするものであります。
 議案第五十号「青森県営駐車場条例の一部を改正する条例案」は、土曜日、日曜日及び休日における二時間を超えて駐車する場合の普通料金の額を引き下げる等の改正を行うものであります。

 議案第五十一号「青森県立高等学校授業料、受講料、入学料及び入学者選抜手数料徴収条例の一部を改正する条例案」は、県立高等学校の授業料及び受講料の額を改めるものであります。
 議案第五十六号「青森県消費生活センター条例を廃止する条例案」は、青森県行政改革大綱に基づき青森県消費生活センターの主要な業務を民間委託することに伴い、同センターを廃止するものであります。

 議案第六十号「町村の廃置分合の件」は、平成十六年七月一日から、三戸郡倉石村を廃し、その区域を同郡五戸町に編入するものであります。
 議案第六十五号「青森県監査委員の選任の件」は、青森県監査委員橋本敏子氏の任期が来る三月三十一日をもって満了いたしますので、後任の委員として鶴賀茂世氏を選任いたしたく、御同意を得るためのものであります。

 その他の議案につきましては、各議案の末尾に記載されている提案理由等のとおりでありますので、御了承をいただきたいと思います。
 なにとぞ、慎重御審議のうえ、原案どおり御議決、御同意並びに御承認を賜りますようお願い申し上げます。

第二百三十七回定例会追加提出議案知事説明要旨

 ただいま上程されました議案の主なるものについて、その概要を御説明申し上げ、御審議の参考に供したいと思います。
 まず、議案第六十六号「平成十五年度青森県一般会計補正予算案」について御説明いたします。
 今回の補正予算は、「海上における人命の安全のための国際条約」の改正に対応するための国際埠頭施設に係る保安設備の整備等に要する経費、中型いかつり漁業の減船を行うための資金造成に対する助成に要する経費等について、所要の予算措置を講ずることといたしたものであります。

 また、災害の発生が少なかったことに伴う災害公共事業費の大幅な減額をはじめ、一般公共事業費及び国庫補助事業費等について額の決定に伴う増減額の調整を行うこととしたほか、国の補正予算に係る所要の債務負担行為を設定いたしました。
 さらに、後年度の財政負担の軽減等を図るため、県債の繰上償還に要する経費を計上したほか、県債管理基金及び土地開発基金について所要の積立てを行うことといたしたものであります。

 その結果、今回の補正予算額は、歳入歳出とも百四十四億九百九十余万円の減額となり、これと既決予算額とを合計いたしますと、平成十五年度青森県一般会計の予算規模は、八千三十一億千三百六十余万円となります。
以下、計上の主なるものについて、款を追い、御説明申し上げます。

 総務費については
 総務管理費において、先ほど申し上げました趣旨で、県債管理基金積立金四十三億五千六百七十余万円及び土地開発基金積立金二十億円を計上いたしました。
 環境保健費については
 環境衛生費において、県境産業廃棄物不法投棄事案に係る風評被害認定基準の策定等に要する経費十余万円を計上するとともに、風評被害に対する損失補てんのための給付金に係る三十億円の債務負担行為を設定いたしました。

 農林水産業費については
 水産業費において、新日中漁業協定により影響を受ける本県中型いかつり漁業の減船を行うための資金造成に対する助成に要する経費五百五十余万円を計上いたしました。
 土木費については
 港湾費において、「海上における人命の安全のための国際条約」の改正に伴い保安措置の実施が義務付けられる青森港及び八戸港の国際埠頭施設について、国の補正予算で創設された国庫補助事業をも活用しつつ、保安規程を策定するとともに、フェンス、保安照明、監視設備等の埠頭保安設備を緊急に整備することとし、所要額九億二千七百六十万円を計上いたしました。

 公債費については、県債の繰上償還に要する経費四十七億四千余万円を計上したほか、既計上の公債費の精査による減少額との調整を行ったうえで所要額を計上いたしました。
 以上が歳出予算の概要であります。

 次に、歳入について申し上げます。
 今回の補正予算の主なる財源としては、主として歳出との関連において、国庫支出金、諸収入、県債等について、それぞれ増減額を調整のうえ計上したほか、県税について十五億五千三百九十余万円を計上するとともに、地方消費税清算金について二十二億五千二百八十万余円を減額計上いたしました。

 また、普通交付税については、交付決定額と既計上額との差額三十二億三千六百四十万余円を計上いたしました。
 なお、国の補正予算の成立に伴い、国道改築事業費等の一般公共事業費について、事業効果の早期発現を図るため、総額四十四億四百六十余万円の債務負担行為を設定いたしております。
 以上が「平成十五年度青森県一般会計補正予算案」の概要であります。

 このほか、上程されました議案についてでありますが、議案第六十七号から議案第八十二号までは、特別会計十一件及び企業会計五件の予算補正に係るものであります。
 議案第八十三号「青森県核燃料物質等取扱税条例の一部を改正する条例案」は、東北電力株式会社東通原子力発電所一号機の立地に伴い、安全確保のための諸施策及び地域振興に資する諸施策を実施する必要があることから、原子炉設置者が行う発電用原子炉への核燃料の挿入に対して、核燃料物質等取扱税を課するものであります。

 その他の議案については、各議案の末尾に記載されている提案理由のとおりでありますので、御了承をいただきたいと思います。
 以上、提出議案の概要について御説明申し上げましたが、議事の進行に伴い、御質問に応じ、本職をはじめ関係者から詳細に御説明申し上げたいと思います。
 なにとぞ、慎重御審議のうえ、原案どおり御議決を賜りますようお願い申し上げます。

過去の議会説明要旨

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