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更新日付:2013年3月26日 県民活躍推進課
青森県女性ロールモデル 島康子さん
思いついたら、とにかくやってみるべし。理屈こねる前に、まんず動げ!

島 康子さん(大間町)
【プロフィール】
大間町生まれ。
就職により東京、仙台と勤務した後、平成10年に大間町にUターン。実家の製材所にて勤務。
平成12年2月、NHK連続テレビ小説「私の青空」の舞台が大間町となったことをきっかけに、まちおこしゲリラ集団「あおぞら組」設立。
平成17年12月より青森県教育委員会委員に就任。
現在、特定非営利活動法人「ぷらっと下北」代表を務めるなど、おもしろがる心で地域を元気にする様々な取組を行っている。
島康子さんの主な分野 「NPO・ボランティア」「まちづくり」
チャレンジのきっかけは?
ふるさとへの想いと次のステージへの挑戦
Uターンした直接の理由は、実家が製材所をやっていて、二人姉妹の長女なので継いだという感じです。そうは言っても、帰りたくないと頑張ることもできたかもしれないですが、私の中で、自信というか、何となく「ふるさとに帰ってもおもしろくできそうだな、次の新しい場で何かをやれるかな」という気持ちになってきていたんですよ。それが33歳位の時で、年齢的にちょうど次のステージに向かう時期なんじゃないでしょうか。今まで自分が歩んできた所を極める人もいるでしょうし、場を変える人もいるといった感じだと思います。
会社勤めの頃は残業が多くて、完全に会社人間でしたが、その後の自分に繋がって良かったと思うのは、東京から仙台へ転勤し、地元の中小企業の社長達と接する中で、何となく父の会社、父親に想いを巡らせ、私自身のふるさとに想いが至るようになってきたことです。地域で商売することが、自分達の利益の部分だけじゃなく、その町への影響力というか社会貢献という部分も持っていて、Uターンで会社を継いだ社長達の話を聞くうちに、何となく自分に重ね合わせて、生まれ育ったところで仕事をするイメージが湧いてきました。
大間を発信。「あおぞら組」の結成
「あおぞら組」の設立は、ふるさとの大間が、NHK連続テレビ小説「私の青空」の舞台になったことがきっかけです。全国に大間を売り込むために、このチャンスを活かして、自分たちのアイディアでできることを怒涛のように形にしていこうと、幼なじみや友達が集まった正月の宴会で誕生しました。注目度の高いドラマだったので4月からの放送に合わせて、ロケの裏話などに大間の情報も載せて2月にインターネットで配信し始め、4月から本格的にホームページを立ち上げました。その後、フェリーのお客さんを大漁旗で歓迎する「旗ふりウェルカム活動」などまちおこしゲリラ活動をスタートさせました。

これまでのみちのり
ふるさとに対する劣等感からの覚醒
子どもの頃から、田舎くさいとか貧しいとか、自分のふるさとに対してとにかく劣等感を抱えていて、そういう思いで都会に出ていったのですが、都会生活が普通となった感覚で大間に戻った時、そこには都会とは真逆のものがあって、「なんじゃこりゃ!」と、ふるさとが別物のように感じられました。最初のうちは、旅行客のような非日常が日々展開されていて、人も食べ物も言葉も、全てが「おもしろい」の連続でした。その当時は自分も仕事まみれで疲れていたこともあり、都会暮らしで疲れている人たちに、こういう世界があるんだよっていうのを教えたくて、ホームページ「ひみつの本州最北端」を自分で立ち上げました。
それまで本州の最果てということが私の劣等感だったのに、インターネットで発信することで、「ここは突端ではなく、世界の中心じゃないか」と自分の中の地図が変わり、都会が良い、田舎の方が悪いという価値観の物差しも変わりました。そして、物差しが変わった途端、「何でもできるよ!大間で!」というエネルギーが自分の中に湧き上がったんです。まさしく『覚醒』です。
これまでのまちおこしゲリラ活動歴
- フェリー客に向けての旗ふりウェルカム活動
- ドラマ「私の青空」そっくりさんを探せ
- マグロのお菓子「まぐがし制作委員会」発足、しかし挫折
- ジジババが主役!町民スター化大作戦
- ライブカメラの前で、見えるようにゴミ拾い
- 手漕ぎ舟で津軽海峡を横断・縄文チャレンジ乱入
- 女川二小&大間小の「ものより思い出」大交流会
- 大間語ぶっかましFM放送「大間ナスティー・ダスティー」
- 「マグロ一筋」テーシャッツで世界征服
- 鯉のぼりを凌駕せよ!「ニッポン列島マグのぼ化計画」
- なぐすなぢゃ!大間函館フェリー存続ゲリラ運動
- 都会の下北に田舎の下北が!下北沢音楽祭に乱入~
- 漁師からもらった大漁旗と網で「大漁だべさバッグ」を開発
- 勝手にデスティネーション・キャンペーン「オーマの休日」展開
これらの発想は、みんなで話しているうちに出てきますね。
例えば、フェリーの旗ふりは、小さい頃に岸壁で遊んでいてフェリーが入って来たらみんなで手を振るという私たちの年代で共有している思い出と、ドラマの中で阿藤快さんがフェリーの別れのシーンで旗を振っていたことが結びついて、1回やってみようという流れで始まりました。
大抵の人は、思いついてもやらないことが多いかもしれませんが、「まんずやってみるべし、理屈をこねる前にまんず動げ」というのが「あおぞら組」の行動原則なんです。
大間崎のマグロのモニュメントの辺りでライブカメラに映るようにゴミ拾いをして、いいことやってるなと知ってもらうのも、まず行動して、なおかつそれを発信するということが、まちの人たちにも元気を与えることになると思ってやったものです。
小さい頃、体が大きかったせいか何をするにも目立って、いつもまちの人に見られている感じがとても息苦しかったのですが、帰ってきてこういう活動をするようになってからは、そういうまちの人達の温かさが非常に有り難く感じます。自分の小さい頃から知っている人達がいることの温かさには本当に感謝しています。
色々とやっていますが、へたることもありますよ。そんな時はとにかく寝ます。睡眠不足が一番弱くて、寝不足になると思考がネガティブになるし、インプットができたらそれを自分の中で整理する時間を持たないとダメだということが分かってきたので、1日中リセットのため気配を消してずっと家の中にいたりしてます。

現在の活動状況や今後の目標など
息の長い活動を続けるために
去年はこうだから今年はこうしてみようとか、絶対に同じことを繰り返さないようにしないと、元気がなくなり長続きしないと思います。新しいことを始めるというのは辛いことですよね。同じことを繰り返す方が楽だからとそれをやると、結局は自分の首を絞めることになります。チャレンジするということを自分自身も心がけていかないと自分がダメになるし、周りもダメになると思います。
自分達のグループのメンバーもだんだん年齢が高くなり、最近、チャレンジするということが億劫になったり、色々リスクを考えたりという感じが出てきたんですよ。やっぱり若い血というのは大事だなと、一昨年辺りからすごく痛感しています。これからは、高校生や大学生とかをもっと絡めて一緒にやるとか、インターンシップを受け入れるとか、今まであまりなかったこともやっていかなければと思っています。
ゲリラ活動とビジネスの共存を目指して
「あおぞら組」は、それこそ好きなことを勝手にやり始めた任意のボランティア団体でスタートしましたが、マグロ一筋のTシャツとか色々な商品が出てきたこともあり、おもしろがる心とゲリラ的な機動力・発信力を持ちながら、しっかりと収益をあげていけるビジネスモデルを模索中です。今年の春に向けて、ボランティア組織である「あおぞら組」と、収益をあげていく組織を切り分けて法人化する予定です。今までやってきたことの流れからの法人化ではありますが、とにかくまず起業して、ビジネスとして将来的な発展の可能性を探っていきたいと考えています。
これからチャレンジする女性へのメッセージ
走りながら、考えろ!
何かやろうとした時、あまり考えすぎると逆に怖くてやれなくなるので、ある程度のところまで計画を立てたらまずはちょっとやってみる。始めた時がスタートではなく、うまくいかなくなってからが本当のスタートで、そこで軌道修正して、またうまくいかなければどうする?ということを、自分がその場その場で一生懸命に考えながら進んでいけば、絶対道ができてくると思うんですよね。
それと、自分がやりたいことがあるんだったら、とにかくいろいろなところで話すことです。今やろうとしていることや考えていることを、とにかくどこででも口にすれば、それに対して応援する人はいるんですよ。その場にいなくても、それを聞いていた人がどこか別の場所で、あの人こういう事を話していたよ、と言ってくれるかもしれません。ただ黙って自分の中に抱え込んでいても、誰も分からないし伝わりませんが、口に出せば絶対に支援者が出てきます。支援というほどではなくても、こういうことだったら誰に相談すればいいとか、やりたいことに関する情報も集まってくるので、口に出すのは良いと思いますよ。

平成25(2013)年2月取材
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