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更新日付:2023年9月20日 財政課

第315回定例会提出議案知事説明要旨(令和5年9月)

 本日ここに、県議会第三百十五回定例会の開会に当たり、上程されました議案の主なるものについて、その概要を御説明申し上げ、御審議の参考に供したいと思います。
 まず、議案第一号「令和五年度青森県一般会計補正予算案」について御説明申し上げます。
 今回の補正予算は、物価高騰の影響を受ける県民の声に応え、子育て世帯の暮らしを支援するとともに、事業構造の転換等に向けた事業者の取組を支援するほか、市町村が実施する高齢者、低所得者等をはじめとした全ての住民や地域の事業者に寄り添った対策を支援するのに要する経費について、所要の予算措置を講ずることといたしました。
 また、青森新時代の実現に向けた施策の始動に要する経費について、所要の予算措置を講ずることといたしました。
 そのほか、公共事業及び国庫補助事業等について、国からの割当見込額等に基づき事業費の補正を行うとともに、当初予算編成後の事態の推移等に対処するための各経費について、それぞれ所要の予算措置を講ずることといたしたものであります。
 その結果、今回の補正予算額は、歳入歳出とも二百五億八千二百六十万円余となり、これと既決予算額とを合計いたしますと、令和五年度青森県一般会計の予算規模は、七千七百二億五千八百二十万円余となります。
 以下、計上の主なるものについて、御説明申し上げます。
 はじめに、今回の補正予算の中心となります物価高騰対策関連経費について申し上げます。
 ウクライナ情勢に端を発した国際情勢の変化に伴うエネルギーや原材料等の価格高騰は長期化し、県民生活や事業活動に様々な影響が生じています。
 こうした状況を踏まえ、本年六月二十九日、私が知事に就任した初日の臨時庁議において、直面する物価高騰に全庁一丸となって取り組むため、青森県物価高騰緊急対策本部の設置を指示いたしました。
 七月十一日の第一回本部会議において、私が本部長として各部局に指示したのは、生活者、事業者、そして市町村の皆様の声を改めて丁寧にお聞きし、その中から県として優先的に取り組むべき対策をスピード感を持って検討することでした。
 これを受け、七月中旬から八月下旬にかけて生活者団体、事業者等団体合わせて百六十一の団体に対し、各部局がヒアリングを行い、各分野の現状や御意見・御要望の把握に努めたところです。
 また、県内四十市町村長の皆様から、それぞれ肌で感じておられる地域の実情について、率直な御意見を頂戴したところです。
 こうした声に応え、県として優先的に実施する取組をとりまとめ、昨年度から引き続く物価高騰への対策としてはこれまでで最大規模となる総額百十八億七千五百六十万円余の物価高騰対策関連経費を計上することといたしました。
 今回の物価高騰対策は、子育て世帯の暮らしへの支援、物価高騰に対応可能な事業構造への転換等支援、市町村が行う物価高騰対策への支援の三本柱からなります。
 一つ目の柱であります子育て世帯の暮らしへの支援といたしましては、十八歳までの子どもを持つ全ての世帯に対し、所得による制限を設けることなく、子ども一人につき三万円の応援金を給付します。
 各団体や市町村長の皆様からは、家計の負担軽減、小・中学生や高校生の子どもを持つ家庭への支援、ミルクやおむつ代の無償化といった御要望など、県民生活に関する様々な声を届けていただきました。子育て世帯においては、ミルク代、おむつ代、給食費、教材費など、子どもの年代に応じた様々な経費が掛かっていることから、物価高騰の影響を軽減するため、子育て世帯に対する全ての子どもを対象とした支援を行うこととしたものです。
 少子化対策は本県の最重要課題であり、今後の子育て費用の段階的な無償化も見据えながら、この応援金を通じて、物価高騰下においても全てのステージで安心して子育てができる環境づくりにつなげていきたいと考えています。
 二つ目の柱は物価高騰に対応可能な事業構造への転換等支援です。
 物価高騰が長期化する中、事業継続のための一時的な支援だけではなく、エネルギー使用量の低減や業務効率化によるコストの削減、商品やサービスの高付加価値化など、事業者が物価高騰に持続的に対応していくために事業のあり方を改善していく必要があり、今回特に事業構造の転換に向けた取組を重視することといたしました。
 また、事業者の皆様からも、省エネ設備導入への支援、生産性向上の取組への支援、デジタルツール導入のサポート、価格転嫁に向けた機運醸成などといった前向きな取組に対する支援の御要望も頂いたところです。
 こうした声にも応え、県内企業の省エネ診断や設備更新等に対する支援の強化を図るほか、業務の効率化や人手不足の解消などの生産性向上を図るためのデジタルツール等の導入に向けた取組を促進していきます。また、商品やサービスの魅力向上を図るためのコーディネーター等による伴走型支援も実施し、その中で、特に物流の「二〇二四年問題」に対応するための運送業等における業務効率化の取組も支援していきます。
 加えて、県内事業者が賃金引上げの必要性を認識している一方で、対応に苦慮している現状を踏まえ、県と商工団体、労働組合等による「企業収益と賃上げの好循環の実現に向けた価格転嫁の円滑化に関する共同宣言」を実施したところです。
 こうしたことを踏まえ、中小企業者が実施する賃金引上げに資する取組や、物流の業務効率化への対応について、青森県特別保証融資制度の融資枠の拡大と信用保証料の軽減により金融面での支援も行うこととしています。
 農林水産事業者については、エネルギーや資材等の価格高騰に対応するための設備の導入等に対する支援について、スマート農業機械の導入や循環型林業推進のためのメニューを追加するなどの充実を図ったうえで、支援枠の拡充を図ることとしています。
 こうした事業者の中長期的な展望を見据えた取組を後押しする一方で、燃油価格等の高騰の影響を強く受けている漁業者等への緊急的な支援についても声が寄せられたところです。
 そこで、今回初めて国の漁業経営セーフティーネット構築事業における漁業者等の負担分の一部を支援することで、事業継続を下支えすることとしたほか、物価高騰や海洋環境の変化等の影響を受けるホタテガイ、ナマコ、シロサケなどのつくり育てる漁業の維持・安定化に向けた支援も実施します。
 また、観光分野においては、宿泊施設の生産性向上や貸切バスを利用した冬季平日の旅行需要確保に取り組むこととしています。
 三つ目の柱は市町村が行う物価高騰対策への支援です。
 物価高騰の影響は住民生活、事業者の活動の隅々にまで及んでおり、四十市町村長の皆様からは、物価高騰下のそれぞれの地域における多種多様な課題を伺ったところです。
 こうした声を受け、県として特に子育て世帯や事業構造の転換等に取り組む事業者への支援を行うのに併せて、住民生活や地域の事業者の実情に即した支援が必要と考え、市町村が行う物価高騰対策に対し、総額三十億円の交付金を創設し、支援することといたしました。
 生活者支援といたしましては、県として子育て世帯に対し重点的に支援を行うとともに、高齢者や低所得者等をはじめとした全ての県民の暮らしに対し、市町村がきめ細かな支援を実施することで、県民の皆様からの御要望に幅広くお応えできるものと考えています。
 市町村の皆様におかれましては、県と市町村が一体となった対策の推進について、御理解、御協力をお願い申し上げます。
 以上が、物価高騰対策関連経費の概要であります。
 次に、青森新時代の実現に向けた施策の始動に要する経費について、御説明申し上げます。
 私が目指す青森新時代の実現に向けた本格的な予算編成は令和六年度当初予算からとなりますが、スピード感を持って戦略的に政策を進めていくため、足掛かりとなる調査・検討や試行的取組に要する経費について五十一億三千二百九十万円余を計上することといたしました。
 主なものについて申し上げますと、
 「自然環境と再生可能エネルギーとの共生構想」の実現に向け、保全すべき地域等のゾーニングや地域との合意形成に係るプロセスの制度化に向けた調査・検討に要する経費、
 HPVワクチンの接種や風しん抗体検査の受検を促進するための普及啓発に要する経費、
 ICT教育と教職員の働き方改革の推進に向けたICT教育サポーターの配置に要する経費
などを計上いたしております。
 また、先ほど申し上げた子育て世帯に対する応援金については、物価高騰下における支援でありながら、今後の子育て環境の充実・強化に向けた第一歩となる取組でもあると考えております。
 これらの取組結果等を踏まえ、今後の施策の立案や事業のブラッシュアップを図り、来年度以降の本格的な施策の推進につなげていきます。
 そのほか、計上した経費の主なものといたしまして、
 高病原性鳥インフルエンザの防疫対応の効率化を図るため、民間事業者と連携した防疫資材の管理・輸送等の体制整備を図るのに要する経費、
 盛土等を規制する区域を指定するための基礎調査を実施するのに要する経費、
 前年度に受け入れた新型コロナウイルス感染症対策に関連する国庫支出金の精算に伴う国への返還金
などを計上いたしております。
 以上が歳出予算の概要であります。
 次に、歳入予算について申し上げます。
 今回の補正予算の主なる財源としては、歳出との関連等において、国庫支出金、諸収入、県債等について、増減額を調整のうえ計上したほか、財政調整基金からの繰入金六十四億円、繰越金三十七億五千六百七十万円余及び普通交付税三十億七千七百六十万円余を計上いたしました。
 このほか、上程されました議案の主なるものについて御説明申し上げます。
 議案第二号から議案第四号までは、特別会計一件及び企業会計二件の予算補正に係るものであります。
 条例案については、議案第五号から議案第八号までの四件であります。
 議案第五号「職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例案」は、家畜伝染病の防疫作業のうち、心身に著しい負担を与えると認められるものに従事した場合に支給する感染症等防疫作業手当の支給限度額を引き上げるものであります。
 議案第六号「青森県旅館業許可申請手数料等徴収条例の一部を改正する条例案」及び議案第七号「青森県旅館業法施行条例の一部を改正する条例案」は、旅館業法の改正により、旅館業の譲渡に当たり知事の承認を受けたときは、新たな許可が不要となったことに伴う所要の整備を行うものであります。
 議案第八号「青森県興行場条例の一部を改正する条例案」は、興行場法の改正により、興行場営業の譲渡に当たり新たな知事の許可が不要となったことに伴う所要の整理を行うものであります。
 その他の議案は、議案第九号から議案第十五号までの七件、諮問が一件、報告案件は十八件であります。
 その主なるものとして、
 議案第十二号「青森県教育委員会委員の任命の件」は、青森県教育委員会委員野澤正樹氏の任期が、来る十月九日をもって満了いたしますので、後任の委員として松本史晴氏を任命いたしたく、御同意を得るためのものであります。
 議案第十三号「青森県公安委員会委員の任命の件」は、青森県公安委員会委員野呂知子氏の任期が、来る十月十日をもって満了いたしますので、後任の委員として同氏を再任いたしたく、御同意を得るためのものであります。
 議案第十四号「青森県収用委員会予備委員の任命の件」は、来る九月三十日をもって青森県収用委員会予備委員一人が欠員となるので、後任の予備委員として葛西洋輔氏を任命いたしたく、御同意を得るためのものであります。
 議案第十五号は、令和四年度の決算の認定を求めるものであります。また、報告第十四号及び報告第十五号は、地方公共団体の財政の健全化に関する法律に基づき、令和四年度の決算に係る健全化判断比率及び資金不足比率について報告するものであり、いずれの比率も早期健全化基準又は経営健全化基準を下回っております。
 次に、諮問第一号「審査請求の諮問の件」は、退職手当支給制限処分について取消しを求める審査請求があったので、その裁決を行うに当たり、地方自治法の規定に基づき、議会に諮問するものであります。
 次に、専決処分した事項の報告及び承認を求めるの件について御説明申し上げます。
 報告第一号「令和五年度青森県一般会計補正予算」は、教育改革及び少子化対策に関する議論を速やかに開始するため、青森県教育施策の大綱及び教育施策全般にわたる専門的事項について助言等を行う青森県教育改革有識者会議並びに本県における少子化の要因分析、少子化対策の企画立案や効果検証等を行う青森県こども未来県民会議の運営等に要する経費について、早急に予算措置を講ずる必要が生じましたが、議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認め、本職において専決処分をいたしたものであります。
 以上をもちまして、提出議案の概要について御説明申し上げましたが、議事の進行に伴い、御質問に応じ、本職をはじめ関係者から詳細に御説明申し上げたいと思います。
 なにとぞ、慎重御審議のうえ、原案どおり御議決、御同意、御認定並びに御承認を賜りますようお願い申し上げますとともに、御答申を賜りますようお願い申し上げます。
 なお、この機会に議長のお許しを得て、次期青森県基本計画及び青森県行財政改革大綱について御説明申し上げるとともに、第十三回核燃料サイクル協議会の結果について御報告申し上げます。
 まず、次期青森県基本計画については、今後の青森県の目指す姿とその実現に向けた取組の方向性を示す基本方針として、去る九月八日に青森県総合計画審議会から答申を受けたところであります。これを基に計画原案を取りまとめ、その概要等について、青森県行政に係る基本的な計画の策定等を議会の議決すべきものとして定める条例第四条の規定に基づき、議長に対しまして、立案過程における御報告をすることとしております。
 次に、青森県行財政改革大綱の改定については、次期青森県基本計画の着実な推進を支えるとともに、県民の声を県政に反映させ、県民が主役の県政を実現するための改革を推し進めるためのものであり、去る九月一日に開催された青森県行財政改革推進本部会議において大綱素案を取りまとめたところであります。
 これらにつきましては、議会からの御意見等を踏まえて、策定を進めてまいりたいと考えておりますので、議員各位の御理解と御協力をお願い申し上げます。
 最後に、第十三回核燃料サイクル協議会の結果について御報告申し上げます。
 核燃料サイクル協議会につきましては、これまでも核燃料サイクル政策に係る重要な節目において、本県の要請を受け、国が開催してきたところであります。
 今回、新知事の就任を重要な節目と捉え、私自身の言葉で本県の現状等を関係閣僚にお伝え申し上げ、改めて国から原子力・核燃料サイクル事業についての考え方、今後の見通しを伺うため、核燃料サイクル協議会の開催を要請いたしました。
 八月二十九日に開催された同協議会では、松野内閣官房長官、高市科学技術政策担当大臣、西村原子力防災担当大臣、永岡文部科学大臣、西村経済産業大臣、池辺電気事業連合会会長に御出席いただきました。
 まずはじめに、国に対して、私自身の基本認識として、
・原子力・核燃料サイクル事業は、国の主体性と責任の下に進めることが大切であり、安全性を第一に、全国の自治体が協力をしながら、国民国家のために進んでいくものと認識していること
・福島での事故を受け、世界最高水準ともいうべき規制基準と規制審査の体制が出来上がり、これを経て高度に安全な原子力・核燃料サイクルの確立が予定されていると認識していること
・一方で、原子力・核燃料サイクル事業は、地域の協力、その源泉としての地域の発展なくしては存立しえないものであること
・本県は、むつ製鉄に始まり、原子力船むつ、そしてこの原子燃料サイクル事業の立地要請においても、地域を二分する大きな論争を経て、あるいは翻弄され続けた歴史があり、現在に至ること
・地域の発展を期してこれらに向き合って長い年月が経った現在においても、本県の県民平均所得は全国でワースト二位、社会資本整備や医療水準、その他の生活環境に改善の余地も大いにあること
・青森県を核のゴミ捨て場にしない、核のゴミ捨て場のように扱われることは絶対に許さないことを維持しながら、政府に協力し、本事業を通じ、本県を大いに発展させていく所存であること
を申し上げました。
 続けて、私からは、
一 原子力・核燃料サイクル政策の推進について
一 原子力施設の安全性の確保について
一 特定放射性廃棄物の最終処分と搬出期限の遵守について
一 地域振興と立地地域との共生について
一 原子力防災対策について
一 使用済燃料対策について
の六項目について、十一件の確認及び六件の要請をいたしました。
 一点目の「原子力・核燃料サイクル政策の推進について」は、私から、国策としての原子力・核燃料サイクル政策の推進について、「利用目的のないプルトニウムは持たない」という我が国の原子力利用の原則の下、サイクルの環の確立に向けた取組方針について、さらに、国が将来的に目指す高速炉サイクルについても、取組方針を確認いたしました。
 また、研究機関の本県への立地を含め、人材育成及び関連技術の研究開発についても着実に進めるよう要請いたしました。
 これに対して、西村経済産業大臣からは、
・原子力・核燃料サイクルの推進は、我が国の基本的方針として、引き続き堅持していく
・軽水炉サイクルの実現に向け、六ケ所再処理工場やMOX燃料加工工場のしゅん工は最も重要な課題であり、安全性の確保を大前提に、しゅん工目標の達成と操業に向けた準備を、官民一体で進めていく。また、回収したプルトニウムを再利用するプルサーマルについては、二〇三〇年度までに少なくとも十二基でのプルサーマル実施を目指し、事業者と連携しながら、一層推進していく
・高速炉は、高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減や、資源の有効利用等に資するものであり、高速炉サイクルの実現に向けて、今後とも開発を推進していく
・原子力利用の基盤である技術・人材の維持・強化は、重要な課題であり、長期的な目線に立って、しっかり取り組んでいく
旨の発言がありました。
 高市科学技術政策担当大臣からは、
・我が国は、「利用目的のないプルトニウムは持たない」との原則を堅持しつつ、核燃料サイクルを推進することとしている
・今後とも、プルトニウム保有量の適切な管理と利用に取り組んでいく
旨の発言がありました。
 永岡文部科学大臣からは、
・核燃料サイクルの確立や原子力の安全性の向上に向け、研究開発の推進や高いレベルの人材の確保・育成は重要である
・今後とも、地元とよく相談しながら、引き続き取組を進めていく
旨の発言がありました。
 池辺電気事業連合会会長からは、
・原子燃料サイクルについては、再処理事業の着実な実施や、プルサーマルによるプルトニウムの適切な利用など、総合的かつ整合的にしっかりと対応していく
・引き続き、六ケ所再処理工場の確実な審査対応と早期しゅん工に向け日本原燃をオールジャパン体制で支援していく
・プルサーマルの早期かつ最大限の導入を目指すとともに、二〇三〇年度までに少なくとも十二基のプルサーマル実施を目指すため、情報共有、事業者間でのプルトニウム交換などを計画的に進めている
旨の発言がありました。
 二点目の「原子力施設の安全性の確保について」は、私から、国として原子力事業者に対して、安全審査への対応や安全対策工事の実施、継続的な技術力向上にしっかり取り組むよう一層の指導を要請いたしました。
 また、原子力事業者に対して、自主的な安全性向上に向けた継続的な取組を要請いたしました。
 これに対して、西村経済産業大臣からは、
・原子力事業者に対しては、原子力規制委員会の審査に的確に対応し、安全対策工事を着実に実施するとともに、自ら安全を不断に追求していく組織体制の整備を進めるよう、引き続き指導していく
旨の発言がありました。
 池辺電気事業連合会会長からは、
・発電所運営における自主的安全性向上の取組として、昨年十月に設置した安全マネジメント改革タスクチームの仕組みを活用 し、継続的に安全マネジメントの品質を高める活動を行っている
旨の発言がありました。
 三点目の「特定放射性廃棄物の最終処分と搬出期限の遵守について」は、私から、最終処分法の施行から二十二年が経過した現時点においても最終処分の見通しが得られていない状況にあることから、
・青森県を特定放射性廃棄物の最終処分地にしないこと
・最終処分のプロセス加速化の取組
・青森県に搬入されたガラス固化体の搬出期限の遵守とそのための取組
を確認いたしました。
 これに対して、西村経済産業大臣からは、
・青森県を特定放射性廃棄物の最終処分地にしないとの約束を引き続き遵守する
・文献調査の実施地域の拡大を目指し、最終処分に向けた取組を加速させることにより、早期に最終処分地に関する目途がつけ られるよう、最善の努力を尽くしていく
・日本原燃で貯蔵されている高レベル放射性廃棄物については、事業者において地元との搬出期限の約束を遵守するよう、国として指導する
旨の発言がありました。
 池辺電気事業連合会会長からは、
・青森県を特定放射性廃棄物の最終処分地にしないことの確約は引き続き遵守する
・発生者としての基本的な責任を有する立場から、最終処分の実現に向けて、国・NUMOとの連携を強化しつつ、文献調査の実施地域の拡大に取り組んでいく
・青森県に搬入されたガラス固化体の搬出期限については、事業者として責任を持って遵守し、そのための取組についても検討する
旨の発言がありました。
 四点目の「地域振興と立地地域との共生について」は、私から、国策に協力する青森県の歴史や全国唯一の商業用原子燃料サイクル施設の立地地域であること等を踏まえ、立地・周辺市町村及び全県への地域振興に対する基本認識について確認いたしました。
 また、国や立地自治体、事業者等が一体となり、地域と原子力施設が共生していく未来像について共に考え、共に築き上げていく形をつくりたいと考えており、その速やかな実現に向けて、会議体の早期の設置を要請いたしました。
 これに対して、西村経済産業大臣からは、
・青森県はエネルギー・原子力政策において極めて重要な地域であり、立地市町村をはじめ、周辺市町村や青森県の持続的な発展を図っていくことが重要と認識している。このため、要請を踏まえ、国や立地自治体、事業者などが一体となり、地域と原子力施設の共生に向けた方策を検討する会議体を早期に設置したい
旨の発言がありました。
 池辺電気事業連合会会長からは、
・青森県の発展に貢献するため、地域振興への協力にしっかりと取り組んでいく
・協力の内容や新たな会議体を含めた進め方については、我々事業者としても、有効な協力ができるよう、今後、国や県としっかり相談して進めていく
旨の発言がありました。
 五点目の「原子力防災対策について」は、私から、避難道路や放射線防護対策施設、大間原子力発電所・むつ使用済燃料中間貯蔵施設に係るオフサイトセンターの整備をはじめ原子力防災対策について、国が前面に立って継続的に充実強化を図ることを要請いたしました。
 また、原子燃料サイクル施設を含む「東通地域の緊急時対応」の取りまとめに当たっては、県及び市町村と十分協議・調整のうえ、実効的なものとすることを要請いたしました。
 これに対して、西村原子力防災担当大臣からは、
・避難道路や放射線防護対策施設、オフサイトセンターの整備などの原子力災害対策や原子燃料サイクル施設を含む「東通地域の緊急時対応」の取りまとめに当たっては、関係省庁や関係自治体と連携し、原子力防災体制の充実・強化に着実に取り組んでいく
・引き続き、国も前面に立ち、原子力災害対応の更なる実効性の向上を図っていく
旨の発言がありました。
 六点目の「使用済燃料対策について」は、私から、国民全体での課題の共有、対策の全体像、地元への丁寧な対応などに事業者が連携して取り組むことや、国が前面に立って取り組むことが重要であるとの考えの下、国の認識と対応について確認いたしました。
 これに対して、西村経済産業大臣からは、
・今後も安定的に原子力発電を利用していくため、しゅん工に向けて最終段階にあるむつ中間貯蔵施設の事業開始について地域を挙げて協力していただきたい
・全国的に見ても、貯蔵能力の拡大に向けた具体的な取組の進展は重要な課題と認識しており、事業者間の一層の連携強化を進めることも使用済燃料対策の柔軟性を確保する上で大きな意義がある
・この課題に対して、立地自治体の意向も踏まえながら、国も事業者とともに、前面に立って主体的に取り組んでいく
旨の発言がありました。
 池辺電気事業連合会会長からは、
・原子力事業者としては、地域の皆様の理解をいただきながら、必要な対策を安全かつ計画的に講じていく
旨の発言がありました。
 最後に、私から、松野内閣官房長官に対し、
・原子力・核燃料サイクル政策の推進が我が国の基本方針であり、安全確保を第一に、政府一体として取り組んでいく決意
・特定放射性廃棄物の最終処分については、一刻も早い最終処分の実現に向け、政府一丸となって取組を加速させていく決意
・原子力施設と地域の共生の実現に向け、政府一体として取り組んでいく決意
について、改めて確認いたしました。
 これに対し、松野内閣官房長官からは、
・我が国の原子力政策にとって、核燃料サイクルを確立することは重要な課題であり、中核となる六ケ所再処理工場のしゅん工目標実現と操業に向け、政府の総力を挙げて、事業者と一体となって取り組んでいく。安全性の確保を第一に、しっかりと核燃料サイクル政策を進めていく
・特定放射性廃棄物の最終処分について、これまで関係閣僚と青森県知事との間でなされた青森県を最終処分地にしない旨の約束については、現内閣においてもしっかりと継承している。最終処分は必ず解決しなければならない課題であり、政府一丸となって、かつ、政府の責任で、最終処分の実現に向けた取組を加速していく
・青森県には原子力施設が集中して立地しており、これらの施設が地域と共生していくことが重要であり、その実現に向け関係省庁が連携して取り組んでいく
・今後も、原子力政策については、安全確保を第一に、政府一丸となって、ぶれることなく、進めていく
旨の発言がありました。
 私といたしましては、核燃料サイクル協議会における松野内閣官房長官をはじめとする関係閣僚、また、池辺電気事業連合会会長からこれまでの考え方、今後の見通しについて、責任ある立場で御回答いただいたことには意義があったと受け止めております。
 以上、御報告といたします。

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