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更新日付:2023年2月22日 財政課

第313回定例会提出議案知事説明要旨(令和5年2月)

 本日ここに、県議会第三百十三回定例会が開会され、令和五年度当初予算案をはじめ各般にわたる議案について御審議いただくに当たり、県政運営に関する基本的な方針について申し上げたいと思います。
 今から四百年ほど前の江戸時代前期、海原での漁を終え、港に帰る漁師たちが目印にしていた「青い森」、これが私たちのふるさと「青森」という名前の由来と言われています。
 私は、知事就任以来、常に県民の目線、生活者の視座に立ち、全ては県民のため、この「ふるさと青森の再生・新生」のために、身を捨てる覚悟を持って愚直に一歩一歩前進していくとの思いを胸に、全力で取り組んできました。
 このたび、今任期をもって青森県知事を退任することを決意しましたが、縄文時代の古より平和で協調的な社会を形成し、先人たちが紡いできたこのふるさと青森で生まれ育った誇りと自信、そして未来を切り拓いていく確かな希望と勇気を、次の世代にしっかりと引き継いでいくことこそ、今を生きる私たちに課された大きな使命であります。
 就任当時、長引く経済・雇用情勢の低迷や厳しさを増す財政状況など多くの困難な課題を抱えており、県民が将来に不安を抱き、明るい未来像を描けない状況にありました。
 このため、私は、「青森県を絶対に潰さない」という強い決意のもと、県財政を再生させるべく、県議会並びに県民の皆様方の御理解をいただきながら、徹底した行財政改革に取り組み、厳しい歳入環境が続く中にあっても、多額の財源不足に対処し、平成二十九年度以降の当初予算における収支均衡を実現するとともに、平成二十三年度には県債残高を県政史上はじめて減少局面に転じさせ、現在は一兆円を下回る規模となるなど、次世代に向けて責任ある持続可能な財政基盤への道筋を示すことができました。
 この間、国の三位一体の改革に伴う地方交付税の大幅削減や、世界的な金融危機と世界同時不況による経済の低迷、東日本大震災の発生など、幾多の困難を乗り越え、県政を着実に前に進めることができたのは、皆様とともに築き上げてきた行財政基盤の支えがあったからこそだと実感するところであります。
 そしてまた、私は、「暮らしやすさではどこにも負けない地域として発展させる」との決意を胸に、県民の「生業(なりわい)」と「生活」が好循環する「生活創造社会」の実現に向けた様々な仕組みづくりに、全力で取り組んできました。これまで、皆様とともに果敢に挑戦し続けてきた努力の結晶は、長期化するコロナ禍においても確かな成果として着実に現れております。
 農林水産分野では、知事就任以来、「攻めの農林水産業」を県政の柱に据え、生産、流通、販売に携わる関係者と協働・連携しながら、私自らその先頭に立って県産品の販売活動を積極的に展開するとともに、青森発の新たな流通サービス「エー・プレミアム」の活用などによる国内外への販路拡大に徹底して取り組んできました。その結果、令和三年の農業産出額は七年連続で三千億円を突破し、十八年連続で東北トップを堅持するとともに、本県の主力作物であるりんごの販売額は八年連続で一千億円、輸出実績も九年連続で百億円を上回るなど、本県経済を力強くけん引しております。
 観光・交流分野では、全国に先駆けて提唱してきた立体観光や周遊観光の推進、「青森・台北線」の新規就航による複数の国際定期便の実現などにより、令和元年の外国人延べ宿泊者数が過去最高を記録するなど、交流人口の拡大はもとより、本県経済の好循環を創出してきたところです。近年はコロナ禍で大変厳しい状況が続いていましたが、令和四年六月からの本県宿泊施設における客室稼働率は五か月連続で全国一位を記録したほか、本年一月には二年十か月ぶりにソウルから青森へのチャーター便運航が実現するなど、観光需要の回復に向けた確かな道筋が見え始めています。
 さらには、これまでの取組により、平成十五年からの企業誘致件数は累計で六百十二件に達し、七千八百人を超える雇用の確保につながっているほか、新規就農者数が高い水準を維持し、県内の創業支援拠点を利用して創業した方が着実に増加するなど、多くの方々が本県を働く場所・生きる場所として選択し、この青森の地でしっかりと夢を実現させています。
 このように、これまで長い年月をかけて各分野において「経済を回す」仕組みをつくるための地道な営業活動を展開し、関係者の皆様とともに築き上げてきたネットワークと信頼関係は、長引くコロナ禍においても途切れることなくしっかりと繋がっており、本県経済の回復はもとより、更なる成長・発展へと導く大きな力になるものと確信するところであります。
 一方で、人口減少克服をはじめ、若者や女性の県外流出、労働力不足、超高齢化時代の到来、平均寿命・健康寿命の延伸など、本県が抱える諸課題に加え、長引くコロナ禍や緊迫化する国際情勢等を背景とした物価高騰、近年頻発化・激甚化する自然災害など、今なお私たちを取り巻く様々な困難や課題が山積しています。
 しかしながら、厳しい状況に直面したときにこそ、決して怯むことなく、常に将来を見据え、青森県の次代を担う子どもたちのため、このふるさと青森で安心して暮らしていける仕組み、命が守られる仕組み、そして人財が育まれる仕組みをしっかりと紡いでいく強い決意をもって臨む姿勢が必要であります。
 私たちには、未曾有の国難と呼ばれた東日本大震災を乗り越え復興を遂げた、互いが互いを支え合う県民の素晴らしい絆、地道にこつこつと物事を成し遂げる正直で真面目な県民性、さらには美しく豊かな自然、農林水産業をはじめとする類いまれな地域資源、そして誇るべき地域文化があります。
 私は、まさに今、縄文時代の人々が緑豊かな自然と共生し、争うことなく「共に支え合い、共に生きてきた」、そのかけがえのないメッセージを改めて深く胸に刻み、本県の多様性と可能性を最大限に生かしながら、このふるさとの地に生まれて良かった、暮らせて良かったと思える青森県、そして、若者・女性をはじめ多くの方々から、学ぶ場所・働く場所・生きる場所として「選ばれる青森県」を実現できる確かな未来への礎を、次の世代へしっかりと引き継いでいく覚悟であります。
 そこで、令和五年度の重点施策について、その概要を御説明申し上げます。
 令和五年度は、「青森県基本計画『選ばれる青森』への挑戦」が最終年度を迎えることから、人口減少克服をはじめとする諸課題の解決と成果の発現に向けて、計画の総仕上げとなる取組を戦略的・重点的に展開していく必要があります。
 このため、基本計画の推進に当たっては、長期化するコロナ禍や物価高騰等により、一層深刻化・複雑化している社会経済環境に的確に対応するため、次の三つの視点を重視し、徹底した取組の重点化を図るとともに、本県の未来を支える新たな社会構造の構築やイノベーションの創出に向け、あらゆる主体が連携・協力しながら、各種施策に取り組んでいくこととしております。
 一つ目の視点は、「経済を回す」ことであります。
 私はこれまで、地域において魅力ある「しごと」と多様な雇用を生み出し、そこで生まれた収入を地域の中でしっかりと循環させる「経済を回す」仕組みづくりを進めることが、持続可能で魅力ある青森県づくりの基盤になるとの考えのもと、各種取組を積極的に推進してきました。
 新型コロナウイルス感染症や物価高騰等による影響が長期化する中においても、社会経済環境の変化に対応しつつ、疲弊した地域経済の回復はもとより、県民の生業と生活の基盤である本県経済を更に成長・発展させるための取組を強化していくことが重要であります。
 このため、本県の強みである「食」と「観光」に加え、人財や成長分野への積極投資を行うとともに、これまで培ってきた国内外のネットワークを最大限に活用しながら、外貨獲得に向けた新たな需要創出にも戦略的・重点的に取り組むなど、コロナ禍で落ち込んだ本県経済を取り戻すべく、攻めの姿勢で「経済を回す」取組を力強く展開することとしています。
 二つ目の視点は、「暮らしを守る」ことであります。
 コロナ禍における人の移動や交流の制限は、地域経済や社会の停滞を招くとともに、婚姻数や出生数の減少、受診・検診控えや高齢者のフレイル等の懸念、さらには社会的な孤独・孤立や貧困の顕在化、自殺者数の増加など、本県が抱えている課題をより一層深刻化・複雑化させており、個々に寄り添ったきめ細かな支援を充実させていく必要があります。
 加えて、現下の国際情勢等を背景とする物価高騰や近年頻発化・激甚化する自然災害から県民の命と暮らしを守り、人口減少が進展する環境下においても、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らしていける環境づくりの重要性がこれまで以上に高まっております。
 このため、様々な不安や悩み、生活に困難を抱えている方々を誰一人取り残すことなく、社会全体で支え合う「青森県型地域共生社会」の実現に向けた取組をより一層推進するほか、自助・共助・公助全体の更なる底上げと防災・減災、地域の強靱化に全力で取り組むこととしています。
 三つ目の視点は、「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」であります。
 昨年十二月、国はデジタル技術の活用により地方の活性化と持続可能な社会の構築を目指すため、これまでの「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を抜本的に改訂した「デジタル田園都市国家構想総合戦略」を新たに策定しました。
 デジタル技術の急速な進展は、生産性・利便性の向上による地域産業の発展のみならず、テレワークやオンラインの活用などにより、時間・空間にとらわれない新たな暮らしや働き方を可能とするなど、私たちの生活や仕事に対する価値観にも大きな変化をもたらしており、社会経済環境が急激に変化する今こそ、持続可能な地域づくりを支える社会基盤を構築するため、デジタル社会の実現に向けた構造改革を強力に進めていく必要があります。
 このため、行政のみならず、県民の暮らしや経済活動を支えるあらゆる分野におけるデジタル化の実装を戦略的に推し進め、人口減少をはじめ、少子化、高齢化、労働力不足など本県が抱える課題の解決に向けた取組を深化・加速化させるとともに、これらの課題を克服することでさらなる地域の成長・発展につなげる原動力へと転換し、県民の誰もが便利で快適に暮らすことができる豊かな社会づくりを進めてまいります。
 以上の三つの視点を踏まえ、徹底した取組の重点化を図りながら、県民の誰もが「ふるさと青森県で安心して暮らしていける」という明るい未来を展望できるよう、元気と幸せ、そして確かな希望に満ち溢れる青森県の実現に向け、全庁一丸となって取り組んでいく所存でありますので、引き続き、議員各位並びに県民の皆様の御支援と御協力をよろしくお願い申し上げます。
 続きまして、提出議案について、その概要を御説明申し上げます。
 まず、議案第一号「令和五年度青森県一般会計予算案」について申し上げます。
 令和五年度当初予算の編成に当たっては、社会経済環境の急激な変化等に対応するため、地域経済の回復と外貨獲得による経済の活性化、暮らしにおける安全・安心の確保と心身の健康づくり、あらゆる分野でのデジタルによる変革の三つの視点を重視しながら、最終年度を迎える「青森県基本計画『選ばれる青森』への挑戦」の総仕上げとともに、本県の未来を支える基盤づくりに積極的に取り組むことといたしました。
 また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止と医療提供体制の確保等に向けて引き続き万全の対応を図るとともに、安全・安心な県土づくりを目指し、頻発化・激甚化する自然災害に備えたインフラの機能強化に集中的に取り組むことといたしております。
 以上の結果、年間総合予算として編成した令和五年度一般会計当初予算の規模は、七千三百八十四億円、令和四年度当初予算対比五十一億円、〇・七パーセントの増となりました。
 また、県政が直面する様々な課題に最大限の対応を図った上で、「青森県行財政改革大綱」に基づく財政健全化努力を継続しつつ、各種財源を有効活用することにより収支均衡を堅持するとともに、県債残高についても着実に縮減するなど、持続可能な財政運営の継続と強靱で安定的な財政基盤の確立に向けて取り組んだところであります。
 以下、令和五年度の主要施策について、戦略プロジェクト、政策分野等に沿って、その概要を申し上げます。
 最初に、五つの戦略プロジェクトについて御説明申し上げます。
 一つ目は、「選ばれる青森」食と観光成長プロジェクトであります。
 まず、「食の商品力を極める」取組では、県産農林水産品のブランド価値の向上と付加価値の高い商品づくりや将来に向けた生産力の向上に取り組むこととしております。県産米全体のブランド力を強化するため、「青天の霹靂」をけん引役としたプロモーション活動を強力に展開するとともに、特に本年全国デビューを迎える「はれわたり」については、これまでの販売活動で築き上げてきた強固なネットワークを活用し、首都圏等における認知度向上と新たな顧客層の獲得を図ります。
 また、全国デビュー四年目を迎え、更なる生産量の増加が見込まれる「ジュノハート」については、確固たるブランド力の確立に向け、高品質・安定生産技術の開発・普及を進めるとともに、各種メディア等を通じた情報発信や観光分野等との連携による販売モデルの創出等に取り組みます。
 さらに、県産水産物等の生産体制を強化するため、持続的・安定的な漁業生産を実現する「つくり育てる漁業」等の取組を推進するほか、コロナ禍で変化した海外需要に対応するための新たな輸出戦略を策定し、県産農林水産品の更なる輸出拡大につなげていきます。
 次に、「食の販売力を極める」取組では、これまで国内外に築き上げてきた販売ネットワークを活用し、多様化する消費者ニーズを捉えた県産品の販路開拓と輸出拡大を図ることとしております。量販店等とのつながりを生かした店舗型の「青森県フェア」の開催等に加え、対面型の各種活動が制限される環境下においては、オンラインによる商談会やライブコマース等の商談手法、アバター等を活用した消費宣伝活動を実践するなど、多様な販売手法を活用した販路開拓を行います。
 また、昨年八月に新たな輸送スキームを構築し、海外向けの流通サービスを再開した「エー・プレミアム」の利用促進を図るとともに、本県産りんご輸出の主要市場である台湾をはじめ、経済交流の促進に向け連携協定を締結した香港、経済成長が著しい東南アジア等の新たな市場開拓にも意欲的に取り組み、外貨獲得による本県経済の更なる活性化を推進します。
 次に、「立体観光の推進」では、陸路・海路・空路といった多様な交通手段の充実と航空会社や旅行会社等と連携した誘客促進に取り組むこととしております。国内航空路線については、乗り継ぎ利用による利便性等をPRした新たな旅行商品の造成や、近年増加している個人旅行客に対応した二次交通の整備に取り組むなど、アフターコロナに対応した航空需要の創出・拡大を図ります。特に、増便が決定した青森・大阪線をはじめ、三沢・羽田線や青森・神戸線については、地元自治体や関係団体等と緊密に連携し、路線の維持・拡大に向けた取組を積極的に展開します。
 また、青森空港における国際定期便については、本年一月、コロナ禍で運休が続いていた青森・ソウル線のチャーター便運航が二年十か月ぶりに実現するなど、本格的な運航再開に向け関係者の気運が高まるこの機会を確実に捉え、更なるチャーター便の誘致活動やインバウンド需要の獲得に向けた集中的なプロモーション活動を展開し、早期復便につなげてまいります。
 さらに、津軽海峡交流圏の周遊観光を促すため、複数のフェリー航路を活用した旅行商品を造成するとともに、青函圏エリアを巡るクルーズ船メニューの確立を進めるほか、蟹田・脇野沢航路の新船建造を見据えた基本構想を策定することとしています。
 次に、「観光消費の拡大」では、本県の多様な地域資源を生かした新しい魅力の創出やターゲットに応じた戦略的な情報発信により、滞在時間の増加と滞在の質の向上を図ることとしております。令和五年度は、白神山地が世界自然遺産登録三十周年の節目を迎えることから、話題性が高まる絶好の機会を捉え、一昨年世界文化遺産に登録された「北海道・北東北の縄文遺跡群」と合わせ二つの世界遺産を有する本県の優位性を生かした誘客対策に取り組み、国内外の観光需要獲得を図ります。
 また、量から質へと変化する観光ニーズを的確に捉えた観光需要の創出を図るため、観光地域づくりを進める担い手の育成やデジタル技術を活用した顧客満足度を高める情報発信機能の構築に取り組むなど、持続可能な観光産業の基盤づくりを推進します。
 二つ目は、多様なしごと創出プロジェクトであります。
 まず、「魅力ある雇用の創出」では、県内企業の事業承継等を支援するとともに、本県の強みを生かした新たなビジネスの創出と雇用の拡大に取り組むこととしております。円滑な事業承継を通じた地域経済の活性化と雇用の確保を図るため、市町村と連携し、事業承継を実現するマッチング機会の創出に取り組むとともに、地域の実情に応じた支援体制づくりを促進します。
 また、県内中小企業が、自らの企業価値や競争力を高めるために行うカーボンニュートラルの実現に向けた取組を推進するため、中長期的な経営戦略の策定や高効率な生産設備等の導入を支援するとともに、成長が期待されるグリーン成長戦略分野への参入を促進します。
 企業誘致については、本県の強みである「食」を生かした食関連産業をはじめ、デジタルものづくりやグリーン関連産業等の県内立地や産業集積を図るほか、産業立地促進費補助において、原油や資材の価格高騰等の影響を踏まえた企業の立地動向を捉えるため、製造拠点の分散化や再構築等を行う企業に対する支援の実施期間を延長するなど、社会経済情勢等の変化に対応し、制度の充実を図ることとしています。
 次に、「多様な労働力確保」では、深刻化している労働力不足に対応するため、女性や高齢者等の潜在的な労働力を掘り起こすとともに、柔軟な働き方を生かした人材の確保に取り組むこととしております。求職者等の状況に応じた就労支援を行うため、職業訓練やリカレント教育等の活用を促進するセミナー等を開催するほか、ジョブカフェあおもりが県内三か所に設置しているサテライトスポットの相談スタッフを増員し、女性や高齢者等からの求職相談にきめ細かく対応できる体制を構築します。
 また、県内企業の人材確保を支援するため、「あおもり人財確保推進センター」による総合的な相談支援を実施するとともに、兼業や副業などの多様な働き方を受け入れる就労環境の構築や若手人材の確保・定着に向けた企業の主体的な取組を支援することとしています。
 さらに、農林水産分野における労働力確保を図るため、「特定地域づくり事業協同組合制度」を活用した就労モデルの創出に取り組むとともに、特定技能外国人等を含めた多様な人材の受入体制づくりを進めます。
 次に、「生産性向上・働き方改革」では、各産業分野におけるICT等を活用したデジタル・トランスフォーメーションを推進し、経営革新や働き方の改善に取り組むこととしております。デジタル技術を活用した新ビジネスの創出や企業の経営革新を促すため、県内企業からの相談業務に応じるワンストップ窓口を新たに設置し、公益財団法人二十一あおもり産業総合支援センターと連携した総合的な支援体制を構築するとともに、新たなサービスの創出や新分野への進出等を図る県内企業の意欲的な取組を支援することとしています。
 また、各産業分野におけるデジタル化の推進と人材の育成・確保を図るため、県内企業を対象としたデジタル技術を体験する研修会や高校生向けの出前授業等を実施するほか、農林水産現場におけるスマート技術の普及・開発や、建設工事に係るデータ共有に向けたプラットフォームの構築等を進め、生産性の向上等による産業基盤の強化を図ります。
 三つ目は、「住みたいあおもり」若者・女性プロジェクトであります。
 まず、「高校生・大学生の県内定着促進」では、地方への移住・定住に対する関心が高まっている今を好機と捉え、高校生・大学生の県内定着・還流促進に向けた取組を官民一体となって推進することとしております。青森の暮らしやすさ、働きやすさ等を伝えるPR冊子の制作やワークショップの開催、県立高校における「あおもり創造学」の学習等を通じ、高校生や大学生等にふるさと青森の価値や魅力を知る機会を提供するなど、多様なアプローチを展開してまいります。
 また、県内就職の魅力を情報発信する「あおもり県内就職促進パートナー企業」や首都圏等の大学と連携したプロモーション活動を行うとともに、「あおもり若者定着奨学金返還支援制度」の更なる活用を促すなど、地元産業界との連携を図りながら、本県の未来を支える若者の県内定着・還流を促進します。
 次に、「女性の県内定着促進」では、多くの女性が県内でいきいきと働き、活躍の場を広げることができる環境づくりを進めることとしております。県内中小企業における女性の活躍推進に向けた環境づくりや男性の家事・育児への参画を促す取組を推進するほか、育児や介護等のライフステージや生活スタイルに応じた女性の就業を促進するため、テレワーク等のデジタル技術を活用した柔軟な働き方を実践できる女性人材の育成を図ります。
 また、あおもり女子就活・定着サポーターズ「あおもりなでしこ」や、女性建設技術者ネットワーク会議などとも連携しながら、青森で働く女性の魅力を効果的に発信し、各産業分野における担い手の確保とともに、女性の県内就職や県内定着を促進します。
 次に、「移住・Uターン促進」では、地方への移住に対する関心の高まりを捉えた効果的な情報発信や相談・受入体制の強化に取り組むこととしております。インターネット広告や各種メディア等を通じ、本県への移住に対する関心度に応じた効果的な情報発信を行うほか、市町村や関係団体と連携し、移住者の様々な相談に対応する移住相談会やセミナーを開催するなど、本県への移住促進に向けたきめ細かな相談支援に取り組みます。
 また、移住者の受入態勢を強化するため、地域おこし協力隊員を受け入れる自治体等の支援体制を構築するほか、市町村と民間団体が協働して行う移住体験の拠点づくりを推進します。
 次に、「魅力ある生活環境づくり」では、本県特有の自然、文化、芸術などの魅力について、県民の気づきや誇りを喚起するとともに、安全・安心で快適な生活環境の整備を進めることとしております。世界文化遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」については、引き続き関係道県や市町との連携による一体的な保存と活用を推進するほか、県内八遺跡の周遊を促すスタンプラリーの実施、世界文化遺産の魅力を発信するガイドや団体等の育成、SNSや新聞広告等を活用したプロモーション活動の展開など、縄文遺跡群が持つ価値や魅力を効果的に発信し、地域の更なる活性化につなげる取組を推進します。
 また、県内構成資産への来訪や周遊を促す情報発信拠点について、令和六年度の青森駅新駅ビルの開業に合わせ整備を進めるほか、構成資産の受入態勢を強化するため、市町が行う遺跡施設等の整備促進に向けた新たな支援制度を創設することとしています。
 さらに、県民の暮らしの利便性や質の向上を図るため、デジタル技術を活用し地域課題の解決を図る市町村の取組を支援するとともに、高齢者等を対象としたデジタル技術の利活用講座を開催するなど、日常生活を支えるデジタル技術の社会実装を加速化し、安全・安心で快適な生活環境の整備を促進します。
 次に、「結婚・妊娠・出産・子育てしやすい環境づくり」では、結婚から子育てまでのライフステージに応じ、社会全体で総合的に支援する気運醸成を図ることとしております。あおもり出会いサポートセンターを中心に、AI機能を活用したマッチングシステムの更なる利用促進を図るとともに、商工団体等と連携した結婚を応援する新たな仕組みづくりを進めるなど、市町村や関係団体等が一丸となった結婚支援体制の充実・強化に取り組みます。
 また、妊産婦や子育て世帯等に対する切れ目ない支援を実施するため、妊娠・出産も含めた子育て支援に係る情報をワンストップで提供する情報サイトを構築するとともに、母子保健と児童福祉業務を統括する支援員の設置を促進し、市町村が運営する相談支援機関の体制強化を図ります。
 さらに、幼児教育に関する一体的な取組を推進するため、本年四月に幼児教育センターを設置し、様々な課題に対応する幼児教育施設を包括的に支援する体制を構築します。
 このほか、国の施策とも呼応し、妊娠から出産・子育てをする方々を対象とした、伴走型による相談支援や妊娠・出産時に応援金を給付するための新たな制度を創設する市町村の取組を支援することとしています。
 四つ目は、未来へつなぐ「地域のゆりかご」プロジェクトであります。
 まず、「持続可能な地域づくり」では、超高齢化時代を間近に控え、県民の誰もが、住み慣れた地域で安心して暮らしていける「青森県型地域共生社会」の実現に向けた取組を促進することとしております。複雑化・多様化する地域の課題に対応するため、地域経営体等の多様な主体の参画を促すとともに、市町村や地域との協働を促す団体等を掘り起こし、これまで以上に地域が抱える個々の実情に応じた支援が可能となる体制づくりを進めます。
 また、地域資源を活用した堆肥等の利用拡大や耕畜連携体制を推進し、持続可能な農業経営の確立を図るほか、企業等と連携した白神山地の環境保全プログラムを開発します。
 さらに、デジタル技術等を活用し、危機管理体制の強靱化や各行政分野における業務改革を推進するなど、人口が減少する中にあっても持続可能な地域社会を実現できる基盤づくりにしっかりと取り組んでまいります。
 次に、「保健・医療・福祉体制の充実」では、誰もが安心して保健・医療・福祉サービスが受けられるよう、地域で支え合う環境づくりを進めることとしております。超高齢化時代に対応した県民生活を地域ぐるみで支える体制づくりを推進するため、県内六圏域に生活支援コーディネーターを設置し市町村が実施する支援活動の充実・強化を図るとともに、地域活動への積極的な参画を促す仕組みづくりやICTを活用した高齢者の見守り体制を構築します。
 また、県内の医療・福祉分野における人材を確保するため、保育士や看護師、福祉・介護の資格を有する移住者等を対象とする県独自の支援金制度を創設することとしており、特に子育て環境が充実している本県の優位性を生かし、ひとり親世帯をはじめとする子育て世帯向けの支援を充実することとしております。
 次に、「交通ネットワーク形成・買物支援の推進」では、移動手段の確保や買物・食事など、生活に欠かせないサービス提供体制を構築し、誰もが安心して暮らせる持続可能な地域づくりを促進することとしております。広域的な公共交通ネットワークの維持・構築を図るため、広域バス路線の再編等に向けた実態調査等を行うとともに、地域の実情に応じ域内交通の再構築等を行う市町村の主体的な取組を支援するほか、JR在来線や青い森鉄道など、県内における鉄道利用の促進を図ります。
 また、交通手段を持たず広域の移動が困難な買物弱者を支援するため、地域の食品スーパーや社会福祉法人等と連携し、顧客満足度の高い持続可能な買物支援サービスが提供できる体制を構築します。
 次に、「多様な主体・人財の参画・協働」では、住民主体の地域づくりを支える担い手の確保・育成に取り組むとともに、多様な人財が活躍できる環境づくりを進めることとしております。県内の経営者等を対象とした「あおもり立志経営塾」を開催するとともに、県内大学との連携による経営者の育成体制を構築し、地域経済をけん引する次世代のトップリーダーの育成を図ります。
 また、済州特別自治道及び台湾台中市・台南市との友好交流を通じたグローバル人財の育成を推進するほか、高齢化が進む統計調査員や消防団員など、地域の活動を支える多様な担い手の確保・育成を進めます。
 五つ目は、健康ライフ実現プロジェクトであります。
 まず、「県民の健やか力向上」では、地域や職域での健康づくりを進め、県民一人ひとりの健康意識の向上と健康的な生活習慣の定着を図ることとしております。高齢者のフレイル対策を推進するため、テレビCMや民間企業との連携による普及啓発や、ICTを活用した多世代交流による予防活動等を展開するほか、行動変容を促す啓発型検診手法を県内へ展開していくモデルの確立に取り組むなど、生活習慣の改善・定着による健康づくりを進めます。
 また、県民のがん死亡率の改善を図るため、市町村等と連携し、託児スペース等が設置された受診環境の整備を促進するとともに、事業所におけるがん検診の導入に向けた相談支援等を行うなど、子育てや働き盛り世代の受診率向上につながる環境づくりを推進します。
 なお、関係条例案として、受動喫煙により健康を損なうおそれの高い未成年者や妊産婦に配慮する観点から、受動喫煙の防止対策に係る県民の理解を深めるため、今回、議案第二十号「青森県受動喫煙防止条例案」を提案いたしておりますので、よろしくお願いいたします。
 次に、「食と運動で健康」では、食生活の改善や運動習慣の定着による県民の健康増進に向けた取組を促進することとしております。児童生徒や保護者の食生活や生活習慣を調査するとともに、食育を含めた運動指導に関する研修会や運動習慣の改善に向けたイベントを実施するなど、学校と家庭の両面から生活習慣の改善・定着を促す取組を進めます。
 また、取組を始めてから十周年の節目を迎える「だし活」と「だす活」の更なる普及・実践を促すとともに、若者世代の野菜摂取に向けた効果的な情報発信を行うなど、多様なアプローチを展開し、県民の健康を支える食習慣づくりを働きかけていきます。
 次に、「こころの健康」では、市町村や関係機関と連携し、様々な悩みや困難を抱えている方々に必要な支援が行き届く環境づくりを進めることとしております。喫緊の課題である自殺者数や自殺死亡率の改善に向けては、SNSを活用した相談支援やウェブ広告等による情報発信を強化するとともに、地域や職域で予防活動に関わる人材の育成や、データ等に基づく効果的な予防対策の実践を働きかけるなど、市町村や民間団体等と連携した重層的な対策を講じてまいります。
 また、コロナ禍での雇用や生活等について、不安や悩みを抱える女性への総合的な相談支援を行うとともに、各種支援機関等との連携・協力体制を強化するなど、一人ひとりに寄り添った支援を提供できる環境づくりを進めます。
 続いて、基本計画に掲げる四つの政策分野に関する施策について御説明申し上げます。
 一つ目は、産業・雇用分野であります。
 アグリ分野の持続的成長に向け、県産品を自ら選択する意識の醸成と域内消費を促す官民一体となった新たな県民運動を展開するほか、大豆の安定生産技術やスマート農業を導入した栽培技術の実証、中山間地域におけるICTの利活用に向けた基盤整備の推進など、将来的な担い手不足に対応できる経営基盤の構築に取り組みます。
 世界から選ばれる「あおもりツーリズム」の推進については、青森空港を発着するチャーター便の運航や増便が決定し、航空需要回復の機運が高まるこの好機を逃すことなく、航空会社等と連携した認知度向上や旅行商品の造成など、路線の維持・拡充に向けた取組を関係者一丸となって進めます。
 また、全国旅行支援による切れ目ない観光需要の創出に取り組むほか、観光分野におけるデジタルの実装を進め顧客起点の戦略的な情報発信を行うとともに、多様化する旅行ニーズや地域の特性に応じたプロモーション活動を展開するなど、アフターコロナに対応した観光需要の最大限の獲得を図ります。
 グリーン分野の産業創出に向けては、地域における再生可能エネルギーを利活用した高度化モデルを構築するとともに、県産材の需給安定と利用促進を図るため、森林クラウドを活用した木材需要の情報共有モデルの構築に取り組みます。
 このほか、本県における原子力施設については、原子力発電及び核燃料サイクルの推進が我が国を支える重要な政策であり、確固たる国家戦略であるとの認識のもと、安全確保を第一義に立地に協力してきたところであり、今後とも「安全なくして原子力なし」との姿勢で、国、事業者の責任ある対応を見極めつつ、適切に対処していく考えであります。
 二つ目は、安全・安心、健康分野であります。
 災害や危機に強い人づくり、地域づくりに向けては、近年頻発化・激甚化する自然災害に備えるため、県民の命と暮らしを守る道路・河川等のインフラ機能の更なる強化に取り組むとともに、防災公共推進計画の点検・更新、災害時におけるボランティア活動の受入体制の充実、自主防災組織の設立促進など、ハード面の対策とあわせ、県民の自助・共助を促すソフト面の対策を一体的に推進してまいります。
 質の高い地域医療サービスの提供については、モバイルICTを活用した救急医療に係る連携体制の構築を支援するほか、青森県地域医療構想の実現に向け、県立中央病院と青森市民病院による統合新病院整備に係る基本構想・計画の策定を、青森市と連携して進めることとしております。
 なお、新型コロナウイルス感染症に係る保健・医療提供体制については、引き続き、相談・検査体制、入院病床や宿泊等の療養体制をしっかりと確保するとともに、医療機関や職域等における円滑なワクチン接種を推進するなど、県民の命と暮らしを守るための対策に万全を期してまいります。
 安全・安心で快適に暮らせる生活環境づくりに向けては、青少年の適切なインターネット利用を促す環境づくりを進めるほか、中小事業者等を対象としたサイバー事案への対処能力向上セミナー等を開催し、セキュリティ対策の推進と被害の未然防止に取り組みます。
 三つ目は、環境分野であります。
 県民みんながチャレンジする低炭素・循環型社会づくりについては、二〇五〇年までの温室効果ガス排出実質ゼロの実現に向けて、省エネ性能の高い電化製品への買い替えを促進するキャンペーンの実施、EC取引の拡大により近年増加している宅配便の再配達減少に向けた取組など、各主体の意識改革と主体的な行動変容を促す地域一体となった脱炭素対策に取り組みます。
 自然と共生する「暮らし」や「生業」を育む環境づくりについては、世界自然遺産登録三十周年の節目を迎える白神山地を活用した校外学習や環境保全活動を推進するほか、森林の集約化や低コスト手法による再造林に向けた取組を積極的に支援し、森林資源の循環利用を推進することとしています。
 四つ目は、教育・人づくり分野であります。
 あおもりの未来をつくる人財の育成については、子どもたち一人ひとりにきめ細かな学習指導、生活指導を行うため、小学校全学年及び中学校一年生を対象に実施している三十三人以下による少人数学級編制について、中学校全学年での実施に向け、令和五年度から二年間で計画的に拡充することとし、教育環境の更なる充実を図ります。
 また、近年応募者が減少傾向にある小学校教員の確保に向けては、教員としてのやりがいと本県で働くことの魅力について情報発信するとともに、県内外の大学生やその保護者等を対象としたPR活動や、潜在教員の掘り起こしに向けた研修会を実施するほか、主体的・対話的で深い学びを実現するICTを活用した授業の実践に取り組むこととしています。
 このほか、私立学校については、引き続き、経常費補助や特色教育支援経費補助などによりその振興を図るとともに、校舎等の耐震化や冷房設備の整備、認定こども園の整備等を支援することとしています。
 あおもりの活力をつくる文化・スポーツの振興については、令和六年度に予定している青森県立美術館版バレエ「アレコ」の公演に向けた準備等を進めるとともに、三内丸山遺跡センターにおいて、国内外の観光客へ遺跡の価値を伝える体験型プログラムの開発等を行うこととしております。
 二〇二六年、国民スポーツ大会としては、冬季大会及び本大会を併せた初の完全開催となる第八十回大会の本県開催に向け、引き続き、開催準備や競技力向上に取り組むとともに、第二十五回全国障害者スポーツ大会についても、ボランティアの養成や選手の育成・強化を図ります。
 なお、令和五年度は両大会の開催が正式決定する見込みであり、大会関係業務が本格化すること等から、新たに部相当の組織である「国スポ・障スポ局」を設置することとし、関係条例案として、今回、議案第二十二号「青森県部等設置条例の一部を改正する条例案」を提案いたしておりますので、よろしくお願いいたします。
 最後に、各地域県民局が行う地域づくりに関する施策について御説明申し上げます。
 東青地域県民局では、地域における課題解決や持続可能な地域づくりを推進するため、域内の大学や団体・企業等との連携による支援体制を構築します。
 中南地域県民局では、高品質りんごの安定生産を図るため、収益性の高い高密植わい化栽培の導入を支援する連携体制を強化するとともに、安定生産技術の実証や栽培技術の早期普及を推進します。
 三八地域県民局では、働き盛り世代の健康づくりを推進するため、市町村と職域との連携体制の構築、事業所向け「健康づくり応援プログラム」の作成、ウェブサイト等を活用した情報発信等に取り組みます。
 西北地域県民局では、低コストな肉用牛の生産体制づくりを推進するため、リモート技術を活用した飼養管理の効率化や公共牧場の有効活用を進めます。
 上北地域県民局では、持続可能な水田農業を確立するため、高収益作物の導入による複合経営の推進、スマート農業技術の普及拡大、地域特有の地盤に適した改良工法の構築等に取り組みます。
 下北地域県民局では、移住促進による地域の活性化を図るため、管内市町村と連携した広域的な関係人口の受入体制を構築するとともに、首都圏等での情報発信や地域づくり活動等を推進します。
 また、県では、市町村が自発的・主体的に行う地域の資源や特性を生かした地域づくり等を推進するため、引き続き、市町村に対して「元気な地域づくり支援事業費補助」により支援を行います。
 以上が、令和五年度の主要施策の大綱であります。
 次に、歳入予算の主なるものについて御説明申し上げます。
 県税については、本県経済の動向、地方税制改正の内容等を踏まえ、千四百七十九億千百九十万円余を計上いたしております。
 地方消費税清算金については、地方消費税の都道府県間における清算金六百八十三億三千五百万円余を計上いたしております。
 地方交付税については、原資総額の伸び率及び国の算定方針を基礎に、過去の交付実績等を勘案して普通交付税の交付見込額を推計したうえで、当初予算において二千百二十三億七千二百万円を計上したほか、特別交付税については、三十四億円を計上いたしております。
 県債については、地方債計画、その運用方針等を勘案して積算のうえ、四百七十九億七千六百万円を計上いたしております。
 このほか、国庫支出金等については、主として歳出との関連において計上いたしております。
 以上が「令和五年度青森県一般会計予算案」の概要であります。
 このほか、上程されました議案の主なるものについて御説明申し上げます。
 議案第二号から議案第十七号までは、特別会計及び企業会計に係る予算案であります。
 議案第十八号「青森県定年退職者等退職手当基金条例案」は、職員の定年引上げ期間中における定年退職者等に対する退職手当の支給に要する経費を安定的に確保するため、当該経費の財源に充てるための基金を設置するものであります。
 議案第十九号「青森県個人情報の保護に関する条例案」、議案第二十四号「青森県情報公開・個人情報保護審査会条例の一部を改正する条例案」及び議案第二十五号「青森県情報公開条例の一部を改正する条例案」は、個人情報の保護に関する法律の改正に伴い、保有個人情報の開示、訂正及び利用停止の手続等に関する事項を定める等の改正等を行うものであります。
 議案第二十九号「青森県立自然公園条例の一部を改正する条例案」は、質の高い自然体験活動の促進又は利用拠点の質の向上のための協議会の設置及び計画の認定に係る制度を設けるとともに、特別地域内における行為の制限に係る罰則を強化する等の改正を行うものであります。
 議案第三十六号「青森県道路交通法関係手数料の徴収等に関する条例の一部を改正する条例案」は、道路交通法の改正により、特定自動運行に係る許可制度が創設されることとなったことから、当該事務に係る手数料を徴収するためのものであります。
 議案第四十四号「青森県人事委員会委員の選任の件」は、青森県人事委員会委員中林弓子氏の任期が来る三月三十一日をもって満了いたしますので、後任の委員として森理恵氏を選任いたしたく、御同意を得るためのものであります。
 議案第四十五号「令和四年度青森県一般会計補正予算案」は、先に成立した国の令和四年度補正予算に対応するため、所要の予算措置を講ずるものであります。
 次に、専決処分した事項の報告及び承認を求めるの件について御説明申し上げます。
 報告第一号「令和四年度青森県一般会計補正予算」は、昨年十二月の三沢市における高病原性鳥インフルエンザの発生に伴い、防疫措置等に要する経費について、予算補正の必要が生じたものであります。
 報告第二号「令和四年度青森県一般会計補正予算」は、一月下旬における集中的な降雪に伴い、道路の除雪に要する経費について、予算補正の必要が生じたものであります。
 これらはいずれも早急に措置する必要がありましたが、議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認め、本職において専決処分をいたしたものであります。
 それ以外の議案につきましては、各議案の末尾に記載されている提案理由等のとおりであります。
 さて、ふるさと青森の再生・新生のため愚直に努力していく強い思いを胸に、就任の御挨拶を述べさせていただきました第二百三十四回定例会から、はや二十年の月日が経とうとしています。
 これまでの道のりは決して平坦なものではなく、幾多の苦難や課題に直面しましたが、まさに福沢諭吉の言葉「進まざる者は必ず退き、退かざる者は必ず進む。」との思いで、それらを乗り越えるべく、県民の皆様とともに、今日まで全力を尽くしてきました。
 私たちがこれまで地道に積み重ねてきた成果は、人口減少克服をはじめとする課題を正面から受け止め、青森県を更なる成長・発展へと導き、明るい未来を切り拓くための確かな礎となるものであります。
 先人たちが築き上げてきたこの緑豊かな美しいふるさと青森の地で、県民の誰もが、生きる喜びを実感しながら、安心して働き、暮らしていける青森県、そして確かな希望に満ち溢れる青森県の実現をめざし、一意専心、全力で駆け抜けてまいります。
 重ねまして、御理解と御協力をお願い申し上げる次第であります。
 以上をもちまして、県政運営に関する基本的な方針を申し述べるとともに、提出議案の概要について御説明申し上げましたが、議事の進行に伴い、御質問に応じ、本職をはじめ関係者から詳細に御説明申し上げたいと思います。
 なにとぞ、慎重御審議のうえ、原案どおり御議決、御同意並びに御承認を賜りますようお願い申し上げます。

過去の議会説明要旨

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