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更新日付:2021年9月17日 財政課

第307回定例会提出議案知事説明要旨(令和3年9月)

 提出議案の御説明を申し上げる前に、議長のお許しを得て、永年にわたり県議会議員として、また、県議会議長として県政に御貢献されました故上野正藏先生の御逝去に対し、謹んで哀悼の意を表します。
 さらに、議長のお許しをいただき、八月九日からの大雨災害及び八戸沖貨物船重油流出事故について御報告申し上げます。
 はじめに、八月九日からの大雨災害について申し上げます。
 まず、このたびの災害により被災された方々に心からお見舞い申し上げるとともに、一日も早く安定した生活に戻られるようお祈りいたします。
 今回の大雨災害では、幸いにして人的被害はなかったものの、下北及び上北地域では局地的に非常に激しい雨が降ったことで、建物の浸水被害が発生し、多くの方々が避難を余儀なくされ、ライフライン等にも大きな被害が生じました。また、下北地域の重要路線である国道二七九号が橋りょうの崩落や複数の土砂崩れ等により通行止めとなり、むつ市及び風間浦村の一部の集落が孤立する状況となったほか、河川の護岸崩落、水稲等の冠水、林地の崩壊など県土整備・農林水産関係等において多大な被害が発生いたしました。
 県では、土砂崩れ等の被害が確認されたことを受け、速やかに災害対策本部を設置し、初動期においては人命最優先で対応するとともに、被害者や孤立状態にある地域の支援、被災市町村のニーズへの対応、各種インフラの応急復旧などに全力で取り組んできたところです。
 この間、八月十四日には本職がむつ市、風間浦村に赴き現地の被害状況を確認するとともに、八月十八日には被災市町村のきめ細かなニーズに対応するため、下北地方支部の事務局に現地統括調整部を設置し、総合的な調整を図りながら、寸断された国道二七九号の早期開通をはじめとする復旧作業を進めてまいりました。
 むつ市大畑地区小赤川の仮橋については、本職より赤羽国土交通大臣に対し要望したところ、国の権限代行により設置され、また、国道二七九号の風間浦村桑畑・下風呂間についても、安全確保対策が完了し、現在はそれぞれ一般車両の通行も可能となっています。加えて、被災地域におけるライフラインも既に回復しており、発災後の応急期における対応に目途がついたものと考えております。
 発災直後より、懸命の対応に当たられた被災市町村、地元消防本部や消防団の皆様をはじめ、その活動を全面的に支えられた自衛隊の皆様、そして、応急復旧に御協力いただいた国、関係機関、建設事業者、電力・通信事業者の皆様や被災者・避難者支援等に御協力いただいた災害時応援協定締結事業者、医師、保健師、ボランティアの方々など、全ての皆様に、改めまして心より感謝申し上げます。
 被災した公共土木施設や農地、農業用施設等の復旧については、既決の現年発生災害復旧費等で適切に対応することとしておりますが、その一方で、現在も不自由な生活を余儀なくされている方々がおり、インフラの本格復旧にも相当の時間を要するものと考えております。引き続き、被災地域の復旧・復興と生活再建に向け、国、市町村、関係機関等との連携を密にしながら、総力を挙げて取り組んでまいります。
 次に、八戸沖貨物船重油流出事故について申し上げます。
 去る八月十一日、八戸港防波堤外側を航行中のパナマ籍貨物船「CRIMSON POLARIS」が座礁し、船体が亀裂部分から二つに断裂した後、船尾側のタンクに残っていた燃料油が海上に流出いたしました。
 県では、燃料油の流出確認後、速やかに災害警戒本部を設置し、海上保安庁、関係市町村、関係機関等と連絡調整を行い情報共有を図り、船舶を所有する民間会社等から流出油の防除等について協力要請があった場合に備えるとともに、県が管理する河川・海岸等において巡視やオイルフェンスの設置等を行ったところです。
 流出した燃料油は、三沢市、八戸市、おいらせ町、階上町及び六ケ所村の海岸等への漂着が確認され、地元漁協が漁業操業を見合わせる等の影響が生じたところですが、船首側船体については、燃料油の回収後、船体そのものも八戸港を出港し、また、海上に流出又は海岸等に漂着した燃料油の回収や防除作業などもほぼ終了しており、現在は船舶の所有者等が中心となり、船尾側船体の撤去等に向けた作業を実施しています。
 また、漁業被害については、船舶の所有者が加入する保険により補償されるとのことですが、その交渉に当たっては、青森県漁業協同組合連合会が窓口となり、漁業者に対する情報提供や助言等を行うこととしています。
 県としては、引き続き、今なお海上に残る船尾側船体の撤去等についての情報把握に努めながら、適切に対応してまいります。
 それでは、本日ここに、県議会第三百七回定例会の開会に当たり、上程されました議案の主なるものについて、その概要を御説明申し上げ、御審議の参考に供したいと思います。
 まず、議案第一号「令和三年度青森県一般会計補正予算案」について御説明申し上げます。
 今回の補正予算は、新型コロナウイルス感染症の発生状況等を踏まえ、引き続き、感染防止対策の推進と医療提供体制の確保に取り組むとともに、消費喚起による地域経済の活性化とコロナ離職者等への支援を行うのに要する経費について、所要の予算措置を講ずることといたしました。
 また、公共事業及び国庫補助事業等について、国からの割当見込額等に基づき事業費の補正を行うとともに、当初予算編成後の事態の推移等に対処するための各経費について、所要の予算措置を講ずることといたしたものであります。
 その結果、今回の補正予算額は、歳入歳出とも二百二十九億四千九百七十万円余となり、これと既決予算額とを合計いたしますと、令和三年度青森県一般会計の予算規模は、七千五百八十億八千七百七十万円余となります。
 以下、計上の主なるものについて、御説明申し上げます。
 はじめに、新型コロナウイルス感染症対策関連経費について申し上げます。
 新型コロナウイルス感染症の収束が未だ見通せず対応が長期化する中、感染防止対策に御協力いただいている県民の皆様、最前線で患者の治療等に当たられている医療従事者の皆様をはじめ、私たち県民の暮らしを支えてくださっている全ての皆様に、心からの感謝を申し上げます。
 私はこれまで、県議会、そして県民の皆様の御理解と御協力をいただきながら、感染防止対策や医療提供体制の整備、地域経済の回復や県民の安全・安心な暮らしを支えるために必要な対策を、躊躇することなく講じてまいりました。
 国内の新型コロナウイルス感染症については、七月下旬以降、首都圏や関西圏をはじめ、全国各地で感染が急速に拡大し、現在も多くの都道府県で、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態措置及びまん延防止等重点措置の実施が継続されているところです。
 本県においても、八月以降、帰省等による人流の増加や、感染力が強く重症化しやすいとされる新たな変異株への置き換わりが急速に進み、一日当たりの感染者数が過去最多となるなど、これまでに経験したことのない勢いで感染が拡大し、再び病床がひっ迫し医療崩壊にもつながりかねない状況が続いたところです。
 私は、このような事態に、強い危機感を抱き、早急に新規感染症患者の発生を抑え込むため、全県を挙げて人の流れを抑制し、人同士の接触機会を減らす対策として、「青森県新型コロナウイルス感染症緊急対策パッケージ」をとりまとめ、九月一日からの一ヶ月間、取り得る感染防止対策を集中的に実施しているところです。
 その主なものとして、県主催の行事やイベント等については原則中止・延期するとともに、不特定あるいは多くの県民の皆様が利用する県有施設等を原則休館・使用中止としたほか、集団での感染拡大が特に懸念される県立学校においては、学校行事等の原則中止・延期に加え、部活動を禁止することとし、市町村や関係団体、民間事業者等に対しても、これらの対策に準じた対応を取るよう協力を依頼したところです。
 また、七月十八日から開始している県民を対象とした青森県おでかけキャンペーン等については、既に新規の予約受付を停止していたところですが、今般の措置により、これまでに予約受付が完了している分についての各種割引も一時停止することといたしております。
 さらに、緊急対策パッケージの考え方に基づき、八戸市では、中心街において飲食店に関連した複数のクラスターの発生が確認され、感染拡大の封じ込めが急務となっていたことから、対象となる飲食店等に対し、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく営業時間の短縮要請を行い、御協力いただいた事業者の皆様には、感染拡大防止協力金を支給することとしたほか、本県におけるワクチン接種の加速化を図るため、市町村が実施する接種体制に加え、新たに県が広域接種等に対応できる会場を設置することとし、これらに係る予算措置については、先般専決処分を行ったところです。
 こうした取組の多くは、県民の皆様をはじめ、市町村や民間事業者の皆様に大変な御不便・御苦労をおかけするものでありますが、感染拡大防止のために皆様方の御理解と御協力を改めてお願い申し上げます。
 また、私は、こうした対策を進めていく中で、自由民主党青森県支部連合会をはじめとした県議会各会派、商工団体など多くの方々から、様々な御要望・御提言をいただくとともに、県内事業者や県民の皆様からも切実な声を伺ってまいりました。
 そこで、今回の補正予算においては、感染防止対策の推進と医療提供体制の確保に向けた取組をさらに充実・強化するとともに、感染拡大による影響の長期化が懸念される地域経済の回復や離職者等への支援に重点的に取り組むこととし、総額六十一億百四十万円余を計上いたしました。
 まず、感染防止対策の推進と医療提供体制の確保については、今般の緊急対策パッケージに掲げる取組を推進するため、クラスター発生時等における保健所機能の支援体制やPCR検査体制を強化するとともに、中小企業や大学等の職域単位で行うワクチン接種体制を支援することとしています。
 また、感染力が強い新たな変異株への置き換わりが進み、若年者層でも重症化するリスクが高まっている中、感染拡大時においても必要な医療提供体制が確保できるよう、感染症患者を受け入れる医療機関や宿泊療養施設の更なる確保を進めることとしています。
 次に、消費喚起による地域経済の活性化とコロナ離職者等への支援については、県が飲食店における感染防止対策を強化するために創設した「あおもり飲食店感染防止対策認証制度」による認証を受けた飲食店の利用促進と、県産品を活用したテイクアウト需要の喚起や県産酒の消費拡大を図るための各種キャンペーンを展開することとし、年末年始における域内消費を促していきます。
 また、新型コロナウイルス感染症の影響による離職者等の再就職を支援するため、福祉・建設等の人材不足分野における仕事内容の紹介や生活支援に係る各種相談等を行うマッチングイベントを開催するほか、生活福祉資金に係る特例貸し付けの申請期限が本年十一月末まで延長されたことに伴い、貸付原資を増額することとしています。
 以上が、新型コロナウイルス感染症対策関連経費の概要であります。
 新型コロナウイルス感染症については、現在直面している最大の危機を共に乗り越え、安全・安心な県民の暮らしと、活力ある本県経済を早期に取り戻すことができるよう、県議会での御議論等も踏まえながら、今後とも適時適切に取り組んでまいりますので、県民の皆様、そして議員各位の御支援・御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 次に、新型コロナウイルス感染症対策関連以外の経費について、款を追い、御説明申し上げます。
 総務費については
 企画費において、青森・佐井航路維持のため、運航事業者の欠損に対して支援を行う地元市村への助成に要する経費二千九百八十万円余を計上いたしました。
 民生費については
 社会福祉費において、令和二年度に受け入れた新型コロナウイルス感染症対策に関連する国庫支出金について、事業の精算に伴う国への返還金六十億千六百三十万円余を計上いたしました。
 環境保健費については
 医薬費において、令和六年から開始される医師の時間外労働の上限規制に対応するため、医師の労働時間短縮に向けた体制整備を行う医療機関の支援に要する経費一億千三百三十万円余を計上いたしました。
 農林水産業費については
 畜産業費において、県内における農場での豚熱発生を防止するため、豚熱ワクチンの継続接種に要する経費七千六百八十万円余を計上いたしました。
 商工費については
 商工費において、首都圏における本県の物産・観光等の情報発信拠点である東京アンテナショップの移転先を決定するための物件調査に要する経費二百九十万円余を計上いたしました。
 土木費については
 都市計画費において、新青森県総合運動公園新水泳場における競技用備品等を整備するため、四億千七百六十万円余の債務負担行為を設定いたしました。
 以上が歳出予算の概要であります。
 次に、歳入について申し上げます。
 今回の補正予算の主なる財源としては、歳出との関連等において、国庫支出金、繰入金、県債等について、増減額を調整のうえ計上したほか、繰越金四十六億二千三百万円余及び普通交付税三億九千四百八十万円余を計上いたしました。
 以上が、「令和三年度青森県一般会計補正予算案」の概要であります。
 このほか、上程されました議案の主なるものについて御説明申し上げます。
 議案第二号から議案第五号までは、特別会計二件及び企業会計二件の予算補正に係るものであります。
 条例案については、議案第六号から議案第九号までの四件であります。
 その主なるものとして、
 議案第七号「青森県県営土地改良事業分担金等徴収条例の一部を改正する条例案」は、水利施設整備事業及び農業水利施設保全合理化事業に係る分担金の額を改め、その他所要の整備を行うものであります。
 議案第九号「青森県特定公共賃貸住宅条例の一部を改正する条例案」は、県営住宅の団地として管理するために、特定公共賃貸住宅の団地である弘前市所在の小沢団地を廃止するものであります。
 その他の議案は、議案第十号から議案第十九号までの十件、報告案件は二十七件であります。
 その主なるものとして、
 議案第十三号「青森県道路公社が行う県道の改築及び料金の徴収に係る変更について同意するの件」は、青森県道路公社が行う県道の改築及び料金の徴収に係る料金の徴収期間の変更について同意するものであります。
 議案第十六号から議案第十九号までの四件は、令和二年度の決算の認定を求めるものであります。また、報告第二十号から報告第二十四号までの五件は、地方公共団体の財政の健全化に関する法律に基づき、令和二年度の決算に係る健全化判断比率及び資金不足比率について報告するものであり、いずれの比率も早期健全化基準又は経営健全化基準を下回っております。
 次に、専決処分した事項の報告及び承認を求めるの件について御説明申し上げます。
 報告第一号「令和三年度青森県一般会計補正予算」は、先ほど申し上げましたとおり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に対処するため、予算補正の必要が生じたものであります。
 報告第二号「令和三年度青森県一般会計補正予算」は、長期化する新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい経営状況の中、事業継続に取り組む県内中小企業者等を支援するため実施している青森県中小企業者等事業継続支援金給付事業について、給付見込額の増加に対応するため、予算補正の必要が生じたものであります。
 これらはいずれも、早急に措置する必要がありましたが、議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認め、本職において専決処分をいたしたものであります。
 以上をもちまして、提出議案の概要について御説明申し上げましたが、議事の進行に伴い、御質問に応じ、本職をはじめ関係者から詳細に御説明申し上げたいと思います。
 なにとぞ、慎重御審議のうえ、原案どおり御議決、御同意、御認定並びに御承認を賜りますようお願い申し上げます。
 なお、この機会に議長のお許しを得て、「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界遺産登録について御報告申し上げます。
 去る七月二十七日、第四十四回世界遺産委員会拡大会合において、「北海道・北東北の縄文遺跡群」の審議が行われ、世界文化遺産への登録が決定いたしました。
 平成十七年十月に世界文化遺産への登録を目指すことを表明して以来、十七年に及ぶ長い道のりとなりましたが、三内丸山遺跡をはじめとする縄文遺跡群の価値が、世界から認められたことは誠に喜びに堪えません。
 これまで御支援と御協力をいただいた県議会の皆様をはじめ、国会議員連盟や関係者の皆様、そして応援していただいた多くの皆様に心から感謝申し上げます。
 自然とともに生き、平和で協調的な社会を一万年以上にわたって築き上げた、先人たちの歴史と文化を誇りに思うとともに、「北海道・北東北の縄文遺跡群」が持つ顕著で普遍的な価値を未来に継承していく大きな使命に、改めて身の引き締まる思いであります。
 今後は、関係自治体と連携しながら、縄文遺跡群を守り、次の世代に伝えていく責務を果たしていくとともに、本県を訪れる人々に一層の感動をもたらすことができるよう、活力と魅力あふれる地域づくりに向けて、しっかりと取り組んでまいりますので、引き続き、皆様の御支援と御協力をお願い申し上げます。
 以上、御報告といたします。

過去の議会説明要旨

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