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更新日付:2021年2月22日 

第305回定例会提出議案知事説明要旨(令和3年2月)

 本日ここに、県議会第三百五回定例会が開会され、令和三年度当初予算案をはじめ各般にわたる議案について御審議いただくに当たり、県政運営に関する基本的な方針について申し上げたいと思います。
 今から百五十年前、一八七一年の七月十四日、廃藩置県により、弘前県、黒石県、八戸県、七戸県及び斗南県が成立しました。同年九月四日には、これら五県に、旧松前藩の館県を加えて合併した新たな弘前県が誕生し、同二十三日に青森県と改称しましたが、当時の本県は、現在の北海道道南地域や岩手県北地域の一部を含む広大な範囲を占めており、今日まで続く、本県の原形となりました。
 以来、百五十年間にわたり、積み重ねられてきた長い歴史に思いを巡らせると、様々な困難に立ち向かいながら、未来を切り拓いてきた先人達の御尽力と御功績に心から敬意を表するものであり、同時に、現代を生きる者としての責任 も痛感し、身が引き締まる思いであります。
 私は、知事就任以来、県民の「生業(なりわい)」と「生活」が好循環を生み出す「生活創造社会」の実現をめざし、本県経済の活性化と、安全・安心な県民生活の確保に、全力で取り組んでまいりました。
 経済・産業分野においては、「攻めの農林水産業」の推進による収益力の向上と産業力の強化、「立体観光」の推進による国内外からの誘客促進、地域資源を生かした新産業の創出や戦略的な企業誘致、多様な生き方・働き方を応援する創業・起業支援など、県民一人ひとりの豊かな生活を支える経済的な基盤となる生業づくりを進めてきました。
 また、生活分野においては、保健・医療・福祉包括ケアシステムの構築、医師確保対策や地域医療構想の推進による医療提供体制の充実、「青森県型地域共生社会」の実現に向けた仕組みづくりと多様な担い手の育成など、県民の命と暮らしを守るための取組を推進してきました。
 そして、これまでの道のりにおいて、東日本大震災という大きな試練も経験し、まもなく十年が経とうとしています。
 私は、「青森県復興プラン」及び「青森県復興ビジョン」に基づき、被災者の生活再建支援、産業やインフラの復興はもとより、「エー・プレミアム」流通サービスの構築や輸出・インバウンドの拡大等による県民の生業づくり、防災公共の推進や地域防災力の強化など災害に強い地域づくりを進め、単なる復旧・復元にとどまらない、創造的復興に取り組んできたところであり、県議会及び県民の皆様の多大なる御尽力と御協力により、これらの取組は、着実に成果を挙げているものと実感しております。
 そして、私たちは今、再び試練の真っただ中にあります。
 昨年来、世界中で感染拡大が続いている新型コロナウイルス感染症は、私たちの暮らしや経済に甚大な影響を及ぼしており、感染症との闘いは、今後、更なる長期化も想定されます。
 私は、このような中にあっても、過去幾多の困難を克服してきた先人達の魂と、未曾有の国難と呼ばれたあの震災を、心を一つにして乗り越えてきた県民の底力に思いを致し、この苦境に活路を見出していきたいと考えています。
このため、令和三年度においては、基本計画に掲げる五つの戦略プロジェクトに基づき、取組の重点化を徹底するとともに、次の二点を特に重視し、各種施策を展開していくこととしております。
 一点目は、「経済を回す」仕組みの再起動であります。
 私はこれまで、地域において魅力ある「しごと」をつくり、多様な雇用を生み出し、そこで生まれた収入を地域経済の中でしっかり回していく、「経済を回す」仕組みづくりを進めてきました。
 新型コロナウイルス感染症の影響により、消費の低迷や観光需要の落ち込みに加え、厳しい雇用情勢が続いていることから、再び経済を力強く回す施策を推進し、本県経済を早期に回復させるためには、従来の手法にとらわれることなく、新たな発想で、環境変化に柔軟に適応し、私たちも自ら果断に変化する姿勢が重要であると考えております。
 そこで、需要の落ち込みが見られる県産品については、「高品質の県産品づくり」に向け、「新しい生活様式」の定着や消費・購買動向の変化等を踏まえた、付加価値の高い商品づくりに取り組み、これまで以上に「売れる」県産品づくりを進めるとともに、「県産品の販路開拓」に向けては、新たな宣伝・販売手法の構築等により、更なる市場開拓と販路拡大を図ります。
 また、「交流人口の拡大」については、地方への関心の高まりや新たな働き方の拡大を好機と捉え、移住促進対策を強化するとともに、国内外からの誘客促進に向け、感染状況や旅行ニーズ等に即応した需要喚起策を機動的に講ずるほか、観光需要の本格的な回復後における速やかな反転攻勢に備えた取組を推進します。
 さらに、「新産業の創出・育成」に向けては、社会経済環境の変化等を踏まえ、県内企業の新分野進出や業態転換等を促進します。
 二点目は、「新しい生活様式」を支えるデジタル化の推進であります。
 新型コロナウイルス感染症の拡大は、我が国のデジタル化への課題を顕在化させると同時に、リモートワークやワーケーションといった多様な働き方の普及、キャッシュレス決済の導入拡大、GIGAスクール構想実現の加速化など、様々な分野において、急速なデジタル化の進展をもたらしました。
 今後、「新しい生活様式」を実践していくうえで、官民を通じたデジタル化の推進は必須の取組であり、これを変革のチャンスと捉え、様々な分野において活用を図っていくことが重要であると考えております。
 具体的には、「安全・安心、健康」分野において、遠隔医療やオンライン診療の拡大、介護現場におけるロボットやICT機器の導入、地域公共交通のデジタル化を推進します。
 「産業・雇用」分野においては、県内企業による先端技術の導入、ECサイトの活用による販路拡大、観光分野におけるビッグデータの活用、スマート農業の普及など、各産業分野においてデジタル化を推進します。
 「行政経営」分野においては、市町村業務のデジタル化の促進、障害者・高齢者等に係るICT利活用の普及に努めます。
 「基盤整備、人財育成」分野においては、教員の指導力向上等により、学校教育におけるICTの活用を進めていきます。
 続きまして、提出議案について、その概要を御説明申し上げます。
 まず、議案第一号「令和三年度青森県一般会計予算案」について申し上げます。
 令和三年度当初予算の編成に当たっては、県民の命を守るため、新型コロナウイルス感染症の拡大防止を最優先に、引き続き、検査・医療提供体制の確保に万全の対応を図るとともに、喫緊の課題である雇用の維持や事業継続への支援など、県民の生業と暮らしをしっかりと下支えするための施策を講ずることといたしました。
 また、コロナの先を見据えた地域経済の回復と発展に向けて、再び経済を力強く回すための各種施策や、人口減少克服をはじめとした「青森県基本計画『選ばれる青森』への挑戦」に基づく取組について、デジタル化の推進など新たな技術や手法による事業展開を図ることで、現下の厳しい経済状況を乗り越え、各産業が更なる成長を遂げられるよう、総力を挙げて取り組むことといたしております。
 以上の結果、年間総合予算として編成した令和三年度一般会計当初予算は、規模としては、七千百八十六億円、令和二年度当初予算対比三百七十億円、五・四パーセントの増となりました。なお、一体として編成した令和二年度二月補正予算を加えた「実行」予算ベースとしては、七千七百十九億円余となり、令和二年度の「実行」予算ベース対比六百五十八億円余、九・三パーセントの増となりました。
 また、長引く感染症の影響により、県税収入等の減が見込まれる厳しい状況の中、これまでの財政健全化努力に加え、臨時財政対策債を含む実質的な地方交付税の増額などにより、収支均衡を堅持するとともに、県債残高についても着実に縮減するなど、直面する課題に最大限の対応を図りつつ、持続可能な財政運営の継続と、強靱で安定的な財政基盤の確立に向けて取り組んだところであります。
 以下、令和三年度の主要施策について、戦略プロジェクト、政策分野等に沿って、その概要を申し上げます。
 最初に、五つの戦略プロジェクトについて御説明申し上げます。
 一つ目は、「選ばれる青森」食と観光成長プロジェクトであります。
 まず、「食の商品力を極める」取組では、県産農林水産品のブランド価値の向上と付加価値の高い商品づくりを進めることとしております。デビュー七年目を迎える「青天の霹靂」については、国内を代表するブランド米としての確固たる地位を獲得するため、企業との連携によるブランドイメージの向上、ウェブ等によるターゲットを絞った情報発信、小売店と連携した店頭プロモーションを展開し、新たな顧客層の開拓を図ります。
 また、食味や品質等において優れた特徴を持つあおもり米新品種「青系一九六号」について、品種特性を発揮できる生産指導体制の整備を進めるほか、名称の選定をはじめとした戦略的な宣伝・販売対策に取り組みます。
 昨年全国デビューを果たした「ジュノハート」については、更なるブランド力強化に向け、高品質・安定生産に向けた技術開発等に取り組むとともに、首都圏等における消費宣伝、観光分野との連携による販売モデルの構築、各種メディアを通じた戦略的な情報発信を行います。
 次に、「食の販売力を極める」取組では、「新しい生活様式」や消費・購買動向の変化等に対応し、宣伝・販売・流通における新たな手法を積極的に取り入れながら、県産品の市場開拓と販路拡大を図ることとしております。店頭での試食販売等、対面型の消費宣伝活動が制限される中、販売現場の実情に応じた新たなセールス手法の確立と実践に取り組むとともに、「エー・プレミアム」流通サービスにおいては、新たに個人消費者向けのECサイトを活用した販路開拓を行います。
 また、冷凍食品の市場が拡大し、国産品の需要が高まっていることを踏まえ、県内加工業者による実需者ニーズに対応した商品の企画・開発を促進するとともに、産地と加工業者が連携した付加価値の高い冷凍食品の開発と商品化を実現するため、県産業技術センターによる技術開発やアドバイザーの派遣、加工業者の機器導入に対する支援等を行い、生産者の所得向上と食品産業における新分野の創出・成長をめざします。
 さらに、デジタル・トランスフォーメーションの進展に対応し、県産農林水産品の更なる輸出拡大を図るため、東アジア地域を対象に、現地企業等と連携した物産・観光PRや市場分析、オンラインを活用した商談や消費者向けの体験型プロモーション等を実施します。
 次に、「立体観光の推進」では、陸路・海路・空路といった多様な交通手段の充実と周遊観光の推進に取り組むこととしております。本年四月から六か月間にわたり実施される東北デスティネーションキャンペーンについては、観光ルートや二次交通の整備、コンテンツの磨き上げなどにより、観光需要回復後における反転攻勢の起爆剤となるよう、その効果を最大限に獲得してまいります。
 また、「北海道・北東北の縄文遺跡群」を巡る旅行商品の造成を支援するなど、域内観光・周遊観光を推進します。
 さらに、昨年十月から一日四便体制となった三沢・羽田線について、引き続き、地元市町村と連携しながら、利用促進を図るほか、クルーズ船の誘致に向けては、航空機利用と組み合わせたフライ・アンド・クルーズを提案するなど、観光需要回復後における国内外の競争激化を見据えた新たな取組を展開します。
 次に、「観光消費の拡大」では、ライフスタイルや観光需要の変化に対応した戦略的なプロモーションにより、滞在時間の増加と滞在の質の向上を図ることとしております。旅行者ニーズの多様化等を踏まえ、本県ならではの魅力的な資源を活用した滞在型観光を推進するため、広域連携の促進やテーマ型コンテンツの創出に取り組みます。
 また、観光ニーズの変化等を的確に捉えるため、ビッグデータに基づくマーケティング調査を行うとともに、その分析と活用を促進し、観光需要の早期回復につなげていきます。
 さらに、ワーケーションの普及など働き方の変化に対応し、県外企業による県内宿泊施設の利用を促進するため、優待プランの造成や企業への提案といったマッチング支援をはじめ、滞在モデルの提案やモニターツアーの開催など、新たな顧客層の獲得を図ります。
 二つ目は、多様なしごと創出プロジェクトであります。
 まず、「魅力ある雇用の創出」では、県内企業の事業承継や新たな事業展開等を支援するとともに、社会経済環境の変化を踏まえた戦略的な企業誘致や新産業の創出に取り組むこととしております。円滑な事業承継を通じた地域経済の活性化と雇用の確保を図るため、青森県事業承継ネットワークと連携し、地域が主体的に事業承継を支援する体制づくりや、ベンチャー型事業承継の普及を推進します。
 また、今後大きな可能性を持つデジタルものづくり関連産業について、立地意向調査に基づく企業誘致活動を展開するとともに、オンライン内覧会等を通じ、県内へのサテライトオフィスの開設を促進するほか、本県の地域資源や地理的特性を生かし、東北圏を主な市場とする食関連産業の企業立地と産業集積をめざします。
 さらに、産学官金の連携により県内企業の新たなビジネス創出を図るほか、国の中小企業等事業再構築促進事業と連携し、県内企業の新分野進出や業態転換等を支援するとともに、ウェブ商談会や越境EC等を活用し、台湾とのビジネス交流を再開・加速化させるなど、県内企業による海外へのビジネス展開を促進します。
 このほか、八戸港の物流拠点機能の強化を図るため、八戸市や民間企業と連携し、国際コンテナ貨物定期航路の維持・新設に向けた利用促進対策に取り組みます。
 なお、これらの施策と呼応し、産業立地促進費補助において、補助対象業種の拡充、補助率の引上げ等を行うほか、IT・コンタクトセンター関連産業立地促進費補助においても、雇用拡大を伴う増設を新たに補助対象とするなど、社会経済情勢を踏まえた企業活動の変化や厳しい雇用情勢に機動的に対応し、各種支援制度の充実を図ってまいります。
 次に、「多様な労働力確保」では、人材不足が深刻化している分野における労働力確保を推進するとともに、雇用情勢の変化を踏まえた対応を進めることとしております。引き続き、誘致企業の人材確保を支援するほか、農業分野における労働力の確保を図るため、多様な労働力の掘り起こしや就労環境の改善、ワンストップ相談窓口におけるマッチング等を行います。
 また、県では、昨年十月に「あおもり人財確保推進センター」を開設、十一月には「コロナ離職者等雇用促進庁内連絡会議」を設置したところであり、離職者の再就職支援と県内企業の人材確保支援を一体的に進めていきます。特に、労働力不足が深刻化している介護分野については、新たに、高校生や未経験者に対する修学・就職支援、有資格者を県外から採用する事業所への支援を行い、介護人材の確保に努めてまいります。
 次に、「生産性向上・働き方改革」では、各産業分野におけるICTの活用を促進し、県内事業者の収益力向上と働き方改革に取り組むこととしております。県内産業におけるデジタル化の推進と人材育成を図るため、県内企業を対象としたAI活用研修会の開催、IoTビジネスに係る実証及び県産業技術センターによる技術支援を行うとともに、県内ものづくり企業の生産性向上と経営基盤強化に向け、AI、IoT、ロボットなど先端技術の導入によるスマート化・デジタル化を促進します。
 また、ECサイトの活用による県内事業者の販路開拓を支援するほか、県内企業のテレワーク導入及び県外企業による本県でのテレワーク実施を促進します。
 さらに、ICTの活用により、野菜や果樹生産における労働力不足に対応するため、本県に適した技術の開発と導入に向けた実証を行うとともに、これらスマート農業技術の普及・拡大を担う人財を育成するほか、ながいもの新品種導入や作業の省力化等による産地力強化、加工需要向けりんごの安定供給や樹園地の円滑な集積・承継などを通じた、りんごの生産基盤強化に取り組みます。
 三つ目は、「住みたいあおもり」若者・女性プロジェクトであります。
 まず、「高校生・大学生の県内定着促進」では、高校卒業後の進路選択において、地元志向の傾向が強まっていることを好機と捉え、高校生の県内就職に向けた取組を強化することとしております。高校生を対象とした県内企業のPRイベントや若手OBとの座談会を開催するほか、保護者や教員も巻き込んだ多様なアプローチにより、若者の県内定着・還流を図ります。
 また、県立高校に配置している就職支援員を増員し、県内企業とのネットワーク強化や県内求人の更なる開拓に努めるほか、令和四年度に本県で開催される第三十二回全国産業教育フェアを契機とし、産業教育の充実と、高校生の県内定着を促進します。
 さらに、企業の採用活動、学生・生徒の就職活動におけるオンライン化の進展等を踏まえ、企業説明会やインターンシップのデジタル化など、県内企業の採用活動を支援し、若者から選ばれる県内企業を増やします。
 次に、「女性の県内定着促進」では、各分野における女性の活躍と働きやすい環境づくりを進めることとしております。県内中小企業による女性の活躍推進に向けた取組を支援するとともに、男性の家事や育児への参画を促進します。
 また、あおもり女子就活・定着サポーターズ「あおもりなでしこ」と連携し、県内の女子高校生や女子大学生が、本県での仕事や暮らしの魅力について語り合うワークショップ等を開催します。
 さらに、建設業への女性の入職と職場定着を促進するため、経営者に対する意識啓発や建設業の魅力発信、女性建設技術者ネットワーク会議を中心とした取組を強化するとともに、農山漁村における女性の起業支援や、十周年を迎える「奥入瀬サミット」の開催を通じた、女性人財の育成とネットワーク形成を推進します。
 次に、「移住・Uターン促進」では、地方への関心の高まりや新たな働き方の拡大等を踏まえ、本県への移住促進対策を強化することとしております。インターネット広告やオンラインイベントなど新たな手法を活用した移住プロモーションを展開するとともに、UIJターン就職を希望する方に対する継続的な情報発信や、就職活動における交通費の支援を実施します。
 また、市町村と連携し、リモートワークやワーケーションなどに対応した新たな移住促進モデルを構築するとともに、市町村等が行う移住体験拠点の整備を支援します。
 さらに、県内外からの新規就農者等の獲得と移住・定住の促進に向けて、ライフプランを含めた具体的な就業モデルを作成するとともに、体験会の開催やSNSを活用した情報発信等に取り組みます。
 次に、「魅力ある生活環境づくり」では、 文化、芸術など本県の持つ魅力について、県民の理解を促進するとともに、安全・安心で快適な生活環境の整備を進めることとしております。県立美術館の魅力を発信し、県全域から来館者を増やすため、県内各地において地域アートプロジェクトを展開します。
 また、交通事故防止に向けて、横断歩道における自動車の一時停止の徹底など、県民の交通ルール・マナーの向上に努めます。
 次に、「結婚・妊娠・出産・子育てしやすい環境づくり」では、社会全体で結婚から子育てまでを応援する気運醸成を図ることとしております。あおもり出会いサポートセンターを中心に、結婚を応援するネットワーク体制を強化するとともに、市町村等が行う婚活イベントの開催支援、結婚を希望する男女のためのマッチングシステムの構築などに取り組みます。
 また、「あおもり働き方改革推進企業」の更なる増加を図り、結婚や子育てを応援する企業を拡大させるとともに、保育人材の育成・確保を進めます。
 さらに、子育て家庭を地域ぐるみで支援する体制づくりに向け、地域住民を交えたワークショップの開催を通じ、市町村の主体的な取組を促進します。
 このほか、国の施策に対応し、特定不妊治療について、所得制限の撤廃や補助限度額の引上げなど、本年一月から助成制度の充実を図っているほか、不育症に係る検査費用についても、助成制度を創設します。
 四つ目は、未来へつなぐ「地域のゆりかご」プロジェクトであります。
 まず、「持続可能な地域づくり」では、二〇二五年以降の超高齢化時代を見据え、県民の誰もが、住み慣れた地域で安心して暮らしていける「青森県型地域共生社会」の実現に向けた取組を推進することとしております。地域経営体が社会福祉法人等と連携して行う地域貢献型マネジメントの定着とレベルアップ、中間支援組織の伴走支援によるモデル集落の育成等を行います。 また、県内市町村における行政手続きのデジタル化やICTを活用した業務改革のほか、これらを支える人財の育成を支援します。
 さらに、青森ベイエリアに完成する人工海浜を活用し、青森市や民間事業者等と連携した住民参加型の賑わい拠点づくりに取り組むほか、十和田湖休屋地区において、国や十和田市、地元DMO等と連携しながら、景観形成やまちづくりの手法を通じ、持続可能な観光地の再生モデルを創出します。
 次に、「保健・医療・福祉体制の充実」では、市町村と連携しながら、県民が安心して保健・医療・福祉サービスが受けられる、持続可能な仕組みづくりを進めることとしております。認知症の当事者が認知症の人を支える「認知症ピアサポーター」の養成及び活動促進に取り組むほか、若年性認知症に係る実態調査を行います。
 また、ひきこもり地域支援センターを拠点とした相談支援、関係機関のネットワーク形成を進めるとともに、ニート・ひきこもり・不登校など困難を抱える子ども・若者を地域で支える体制づくりを推進します。
 さらに、高齢者のつどいの場づくり、子どもの居場所づくりを進め、取組の拡大に向けた県民の理解促進と気運醸成を図ります。
 このほか、へき地等における遠隔医療の導入に向けたICT環境の整備や、巡回診療・在宅医療を推進するための車両整備について、市町村の取組を支援するとともに、かかりつけ医によるオンライン診療の体制整備を進めます。
 次に、「交通ネットワーク形成・買物支援の推進」では、移動手段の確保や買物・食事など、生活に欠かせないサービスの提供体制を整備することとしております。持続可能な地域公共交通ネットワークの維持・構築を図るため、地域公共交通計画の策定に向けた実態調査等を行うとともに、青森県地域公共交通再編指針に基づき、広域路線バスの再編を進めるほか、域内交通の維持・構築に向けた市町村の取組を支援します。
 また、国、市町村、交通事業者等と連携しながら、地域の多様な輸送資源を切れ目なくつなぐMaaSの取組を推進するとともに、通院や買物など、MaaSを活用した地域住民の移動支援モデルを構築し、県内事業者のビジネス参入を促進します。
 さらに、商店街等による買物弱者支援や、産直施設を中心とした高齢農家のための集荷支援などに取り組みます。
このほか、弘南鉄道弘南線について、「弘南鉄道維持活性化支援計画」に基づき、安全対策経費等に対する財政支援を行う沿線市村に対し、新たに支援を行います。
 次に、「多様な主体・人財の参画・協働」では、「青森県型地域共生社会」を支える様々な担い手を育成し、活動を促進することとしております。次世代のトップリーダーを育成する「あおもり立志経営塾」の開催や、グローバル人財の育成とネットワークづくりに取り組むほか、参加型プロジェクトを通じ、若者の地域づくりへの参画を進めます。
 また、農福連携、農山漁村女性のコミュニティ活動、複数の社会福祉法人の連携による地域貢献活動を促進します。
 さらに、高齢化が進む統計調査員の確保、農林業への被害が懸念されるニホンジカ等の捕獲を担う狩猟者の育成を進めます。
 五つ目は、健康ライフ実現プロジェクトであります。
 まず、「県民の健やか力向上」では、ライフ関連産業の振興に取り組むとともに、県民の健康意識の向上と健康的な生活習慣の定着を図ることとしております。本年三月に策定予定の新たな青森ライフイノベーション戦略に基づき、医福工連携の推進やヘルスケアサービスの創出、健康美容産業の市場開拓など、ライフ関連産業の更なる成長に向けた取組を加速させます。
 また、県民の健康寿命の延伸を図るため、市町村や住宅事業者、福祉関係者等と連携しながら、空き家を活用したモデルリフォームを実施し、断熱性能等を備えた「健やか住宅」の普及に取り組みます。
 さらに、職域におけるがん検診の推進、農業者・漁業者の健康づくり、「青森県健康経営事業所」の拡大等に努めます。
 このほか、県民のがん死亡率の改善に向け、科学的根拠に基づくがん検診のガイドラインを作成し、がん検診の適切な運用による精度向上を図ります。
 次に、「食と運動で健康」では、県民の運動習慣や、健康を支える食生活の普及に取り組むこととしております。働き盛り世代を対象とした健康増進キャンペーンを展開し、職域を巻き込んだ運動習慣の改善・定着を図ります。
 また、県民の健全な食生活の実現に向け、高齢者サロンや子ども食堂等での出前講座や、オンラインによる食育講座を開催するほか、若者をターゲットに、魚を食べる習慣の定着を図り、県民の健康づくりと県産水産物の消費拡大に取り組みます。
 次に、「こころの健康」では、引き続き、市町村や関係機関と連携した自殺防止対策を進めることとしております。自殺者数は近年、減少傾向にあったものの、昨年は増加に転じたほか、自殺死亡率は依然として全国上位にあることから、取組を更に強化することとし、インターネット広告による普及啓発やSNSを活用した若年層への相談支援など、一人ひとりに寄り添ったきめ細かな対策を講じてまいります。
 また、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、生活困窮者等に対する経済的支援を行うとともに、施設・事業所等においてクラスターが発生した場合に備え、職員の心のケアを担う専門スタッフ等の支援体制を確保します。
 続いて、基本計画に掲げる四つの政策分野に関する施策について御説明申し上げます。
 一つ目は、産業・雇用分野であります。
 アグリ分野の持続的成長に向け、第三者承継に係る気運醸成とモデル事例の創出により新規就農を促進するほか、林業の担い手を安定的かつ継続的に育成・確保するため、本年四月に青い森林業アカデミーを開講します。
 また、グリーンツーリズムの需要回復に向けた体験メニューの情報発信や教育旅行向けのプロモーションを強化するとともに、漁港や藻場を活用した新たな漁業体験ツールの開発に取り組むなど、農山漁村の活性化を図ります。
 世界から選ばれる「あおもりツーリズム」の推進に向けては、国内線・国際線ともに、航空需要の大幅な減少が続く中、早期の需要回復と運航再開に向け、航空会社及び旅行会社との連携をこれまで以上に強化するとともに、運航再開後を見据えた旅行商品の造成、利用促進のためのPRや情報発信等に取り組み、路線の維持・拡充につなげていきます。また、DMOなど県内の観光関連団体を対象に、これからの観光地域づくりを担う人財を育成するとともに、観光事業者等による、スマートフォンアプリを活用した情報発信の体制づくりを進めます。
 グリーン分野の産業創出に向けては、再生可能エネルギーに係る利活用の高度化モデルを構築し、県内企業の新たなビジネス参入を促進します。
 このほか、本県における原子力施設については、原子力発電及び核燃料サイクルの推進が我が国を支える重要な政策であり、確固たる国家戦略であるとの認識のもと、安全確保を第一義に立地に協力してきたところであり、今後とも「安全なくして原子力なし」との姿勢で、国、事業者の責任ある対応を見極めつつ、適切に対処していく考えであります。
 二つ目は、安全・安心、健康分野であります。
 質の高い地域医療サービスの提供については、青森県地域医療構想の実現に向け、津軽圏域新中核病院の施設・設備整備費に対し支援を行うとともに、老朽化・狭隘化等が課題となっている県立中央病院について、青森市民病院と連携しながら、今後の医療提供体制のあり方を検討します。
 災害や危機に強い人づくり、地域づくりに向けては、災害の発生が想定される地域を対象に、自主防災組織の設立を重点的に促進するとともに、地域の防災活動をけん引する人財を育成するほか、小中学校における防災教育を推進するため、地域の関係機関と連携した防災訓練の実施や学校防災リーダーの養成等を行います。また、大規模災害の発生に備え、「青森県災害備蓄指針」に基づき、被災者の避難生活に不可欠な物資や資機材等の備蓄を計画的に進めるとともに、迅速かつ円滑な初動対応に必要となる被災者支援物資の調達等に要する経費について予算計上しております。
 安全・安心で快適に暮らせる生活環境づくりに向けては、青少年の適切なインターネット利用を推進するほか、地区防犯協会を対象とした防犯カメラの設置に係るモデル事業を通じ、地域の防犯力向上に取り組みます。
 三つ目は、環境分野であります。
 気候変動による影響が世界的に拡大する中で、国際社会の取組が急速に進んでおり、我が国においても、昨年十月、政府が、二〇五〇年までの温室効果ガス排出実質ゼロをめざすことを表明し、関係法令等の見直しをはじめ、あらゆる分野で脱炭素化への動きを加速させています。
 私は、気候が危機的状況にあるという認識のもと、地球温暖化に伴う気候変動の影響から県民の暮らしを守り、豊かで美しい自然環境と持続可能な社会を将来に引き継ぐことが極めて重要であると考え、本県においても、二〇五〇年までの温室効果ガス排出実質ゼロをめざして取り組むことを、ここに表明いたします。
 このため、県民、事業者、各種団体、行政など全ての主体と一丸となって、この新たな目標の実現に向けた気運醸成や人財育成等を進めることとし、キックオフ・フォーラムの開催をはじめ、メディア等と連携した情報発信、普及啓発活動を展開するほか、県地球温暖化対策推進計画の改定に向けた県民意識調査を実施します。
 また、SDGsの理念を取り入れながら、若手環境人財の育成と、多様な主体による環境配慮行動の拡大を図るとともに、引き続き、県内中小企業の省エネルギー対策やごみの適正分別の促進、食品ロスやプラスチックごみの削減、3Rの推進等に取り組みます。
 自然と共生する「暮らし」や「生業」を育む環境づくりに向けては、地域住民による主体的・継続的な環境保全活動の促進と担い手育成を図るため、県管理の湿原における自然観察会の開催や保全活動プログラムの策定に取り組むとともに、ニホンジカ等の適正管理と効率的な捕獲を推進するため、生息状況の調査や目撃情報の収集・提供を行います。
 四つ目は、教育・人づくり分野であります。
 あおもりの未来をつくる人財の育成については、子どもたち一人ひとりにきめ細かな学習指導、生活指導を行うため、小学校一年生から四年生及び中学校一年生を対象に実施している三十三人以下による少人数学級編制について、教育環境の更なる充実を図るため、令和三年度から二年間で計画的に拡充し、小学校全学年で実施します。
 教職員の働き方改革の推進に向けては、学校業務を補助するスクール・サポート・スタッフ及び部活動指導員を増員するとともに、学校現場における様々な問題について法律的な観点から助言等を行うスクールロイヤーを新たに配置し、教育の質の向上と、教員が子どもと向き合う時間の確保に努めます。
 このほか、私立学校については、引き続き、経常費補助や特色教育支援経費補助などによりその振興を図るとともに、就学支援金等により保護者負担を軽減します。また、校舎等の耐震化に係る支援を充実させるほか、新たに、冷房設備の整備に対する支援制度を創設することとし、児童生徒の安全確保及び「新しい生活様式」への対応を促進します。
 あおもりの活力をつくる文化・スポーツの振興については、二〇二六年、冬季大会及び本大会を併せた、国民スポーツ大会として初の完全開催となる第八十回国民スポーツ大会の本県開催に向け、引き続き、開催準備や競技力向上に取り組むとともに、第二十五回全国障害者スポーツ大会についても、ボランティアの養成や選手の育成・強化を図ってまいります。
 「北海道・北東北の縄文遺跡群」については、本年の世界遺産登録実現に向けて、引き続き、関係自治体と連携し、ユネスコの審査にしっかりと対応していくほか、登録後を見据え、体験プログラムの開発やガイドの育成といった受入体制の充実、国内外への情報発信や周遊観光の推進などに取り組み、ふるさと青森の魅力の一層の向上と活性化につなげていきます。
 東京オリンピック・パラリンピック大会に向けては、本年六月に本県で開催されるオリンピック聖火リレー、八月に開催されるパラリンピック聖火フェスティバルについて、関係市町村と連携しながら、新型コロナウイルス感染症対策を含めた万全の準備をして臨みたいと思います。
 次に、各地域県民局が行う地域づくりに関する施策について御説明申し上げます。
 東青地域県民局では、若い世代の移住・定着を図るため、オンラインによる移住相談会や移住者同士のネットワーク形成を進めるとともに、移住者の視点を生かした地域づくり活動を促進します。
 中南地域県民局では、林業女子会等と連携しながら、森林空間を多様に活用する「森林サービス産業」の創出を図るほか、弘南鉄道沿線地域の活性化に向け、地元の高校生や民間事業者等と連携し、ビジネス創出や地域の魅力発信等に取り組みます。
 三八地域県民局では、マイクロツーリズムによる圏域内の広域観光を推進するため、観光需要の把握やコンテンツの創出、地域が一体となった情報発信を行います。
 西北地域県民局では、磯根資源の適正管理と持続的な利用を図るため、ナマコやホヤの増養殖技術の確立と海藻類の資源評価手法の開発等に取り組みます。
 上北地域県民局では、産直施設の販売力強化と農業生産者の所得向上を図るため、産直施設による買物支援や商品開発等の新たな取組を促進します。
 下北地域県民局では、夏秋いちごの産地づくりを進めるため、新規就農者を対象としたサポート体制の強化、栽培技術の向上、インターネットを活用した販売力強化を支援します。
 また、県では、市町村が自発的・主体的に行う地域の資源や特性を生かした地域づくり等を推進するため、引き続き、市町村に対して「元気な地域づくり支援事業費補助」により支援を行います。
 最後に、新型コロナウイルス感染症対策関連経費について御説明申し上げます。
 県内において多数のクラスターが発生するなど、厳しい感染状況が続く中、最前線で患者の治療に当たられている医療従事者の皆様、高齢者等の生活を支える介護・福祉施設等の職員の皆様、そして、私たち県民の暮らしを支えてくださっている全ての皆様に、改めまして心からの感謝を申し上げます。
 令和三年度当初予算においては、基本計画重点枠事業をはじめとする施策・事業全般にわたり、感染拡大防止や地域経済の回復等に最大限配慮した内容としておりますが、これまで御説明申し上げました取組以外のものについて、以下の三つを施策の柱と位置付け御説明申し上げます。
 第一の柱は、医療提供体制の確保と感染拡大防止対策であります。
 PCR検査及び抗原検査について、引き続き、適切な検査体制の確保に努めるとともに、コールセンター及び受診・相談センターにおいて、県民からの相談に対応するほか、入院病床の確保や検査・医療機器の整備を進めます。
 また、市町村が実施するワクチン接種に関して、広域的な視点から、関係機関との連絡調整、専門的な相談体制の確保に取り組むとともに、去る一月十五日には、保健医療調整本部に「ワクチン接種体制整備チーム」を設置し、全庁的な応援体制を構築したところであり、市町村業務を積極的に支援することとしております。
 さらに、介護施設等が行う感染拡大防止対策や、感染者発生時等のサービス継続に係る支援を行うほか、県有施設における感染拡大防止のための資機材整備等を行います。
 第二の柱は、地域経済の回復とコロナの先を見据えた事業展開であります。
 まず、事業の継続と雇用の維持に向け、本年二月一日から、青森県特別保証融資制度の経営安定化サポート資金「災害枠」の融資限度額を引き上げるとともに、四月一日以降についても、引き続き、市町村と連携しながら、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける県内中小企業の資金繰り支援を継続するほか、前向き資金である「選ばれる青森」への挑戦資金「雇用創出枠」においても、雇用要件を緩和します。また、離職者や新卒未就職者の技術習得を支援し、早期の就労促進に取り組みます。
 中小企業等の新しい事業展開に向けては、商工団体等と連携した経営相談や専門家派遣を行うとともに、新たなサービス展開による販路拡大や新商品の開発等を支援するほか、ECサイトを活用し、県産加工品等の消費拡大を図ります。
 県産農林水産品等の需要喚起と県内外での販売促進に向けては、県産品利用促進キャンペーンを展開するとともに、関係団体による販売活動を支援します。また、量販店における県産米フェアの開催や、県外アンテナショップにおけるキャンペーン等を通じ、「まっしぐら」の消費拡大に取り組みます。
 安全・安心な観光の推進に向けては、観光事業者等が行う感染拡大防止対策を支援するとともに、本県観光の安全・安心や魅力を全国に発信します。また、Go To トラベルキャンペーンや東北デスティネーションキャンペーン終了後の観光需要の落ち込みを緩和するため、新たに、二十万人泊規模の観光キャンペーンを展開するとともに、貸切バス、タクシー、レンタカーを利用した旅行商品の造成を支援し、観光需要の維持・拡大を図ります。
 県民生活と地域経済を支える公共交通を維持するため、路線バス、民営鉄道、タクシーといった地域公共交通のデジタル化対応や新たなサービス提供など、利用促進と経営基盤強化に向けた取組を支援します。
 さらに、県民の暮らしをしっかりと支えるため、生活福祉資金の特例貸付に係る原資を増額するとともに、生活困窮者等の住居費、教育費に係る支援を行います。
 第三の柱は、デジタル化の推進や「新しい生活様式」等への対応であります。
 県立学校の産業教育におけるデジタル化や、県立図書館における電子図書館システムの導入をはじめ、各種行政サービス等のデジタル化を推進します。また、みちのく有料道路にETCを設置し、感染リスクの低減はもとより、物流や交流を支える交通ネットワークの基盤強化を図ります。
 以上、新型コロナウイルス感染症対策関連経費の概要について御説明申し上げましたが、引き続き、的確な状況把握に努め、感染拡大防止と県内経済の早期回復に向け、県議会での御議論等も踏まえながら、今後とも適時適切に取り組んでまいります。
 以上が、令和三年度の主要施策の大綱であります。
 次に、歳入予算の主なるものについて御説明申し上げます。
 県税については、地方税制改正の内容、本県経済の動向等を踏まえ、千三百九十億四千四百十万円余を計上いたしております。
 地方消費税清算金については、地方消費税の都道府県間における清算金五百六十八億八千二百六十万円余を計上いたしております。
 地方交付税については、原資総額の伸び率及び国の算定方針を基礎に、過去の交付実績等を勘案して普通交付税の交付見込額を推計したうえで、当初予算において二千百十六億三千万円を計上したほか、特別交付税については、三十四億円を計上いたしております。
 県債については、地方債計画、その運用方針等を勘案して積算のうえ、六百八十五億五千万円を計上いたしております。
 このほか、国庫支出金等については、主として歳出との関連において計上いたしております。
 以上が「令和三年度青森県一般会計予算案」の概要であります。
 このほか、上程されました議案の主なるものについて御説明申し上げます。
 議案第二号から議案第十七号までは、特別会計及び企業会計に係る予算案であります。
 議案第十八号「青森県自転車の安全な利用等の促進に関する条例案」は、自転車の安全な利用等の促進について、基本理念を定め、並びに県、県民、事業者及び交通安全団体の責務を明らかにするとともに、自転車の安全な利用等の促進に関する施策の基本となる事項を定めるものであります。
 議案第二十号「青森県国民スポーツ大会開催基金条例の一部を改正する条例案」は、基金を第二十五回全国障害者スポーツ大会の開催等に要する経費の財源に充てることができることとするものであります。
 議案第四十一号「青森県教育委員会教育長の任命の件」は、青森県教育委員会教育長和嶋延寿氏の任期が来る三月三十一日をもって満了いたしますので、後任の教育長として同氏を再任いたしたく、御同意を得るためのものであります。
 議案第四十二号「青森県人事委員会委員の選任の件」は、青森県人事委員会委員熊地貴志氏の任期が来る三月三十一日をもって満了いたしますので、後任の委員として奥崎栄一氏を選任いたしたく、御同意を得るためのものであります。
 議案第四十三号「青森県監査委員の選任の件」は、青森県監査委員須藤光昭氏の任期が来る三月三十一日をもって満了いたしますので、後任の委員として竹内均氏を選任いたしたく、御同意を得るためのものであります。
 議案第四十六号から議案第四十九号までは、先に成立した国の令和二年度補正予算に対応するため、一般会計、特別会計及び企業会計について、所要の予算措置を講ずるものであります。
 議案第五十号「青森県新型コロナウイルス感染症対応中小企業者経営再建利子補給基金条例案」及び議案第五十一号「青森県ホストタウン等新型コロナウイルス感染症対策基金条例案」は、補正予算案に関連し、それぞれに定める事業に要する経費の財源に充てるための基金を設置するものであります。
 次に、専決処分した事項の報告及び承認を求めるの件について御説明申し上げます。
 報告第一号「令和二年度青森県一般会計補正予算」は、新型コロナウイルス感染症の感染の拡大に対処するため、県産品の消費回復に向けた県産品購入促進キャンペーンの実施に要する経費について、予算補正の必要が生じたものであります。
 報告第二号「令和二年度青森県一般会計補正予算」は、昨年十二月中旬以降の降雪に伴い、道路の除雪に要する経費について、予算補正の必要が生じたものであります。
 これらはいずれも早急に措置する必要がありましたが、議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認め、本職において専決処分をいたしたものであります。
 それ以外の議案につきましては、各議案の末尾に記載されている提案理由等のとおりであります。
 「人間が唯一偉大であるのは、自分を越えるものと闘うからである。」
 フランスの小説家、アルベール・カミュが残した言葉とされています。
 新型コロナウイルス感染症の拡大は、今、私たちが乗り越えていかなければならない、厳しい試練であります。
 私は、この試練を乗り越えた先に、必ずや、危機に強い強靱な社会経済と、活力に満ちた県民の暮らし、そして明るい未来を実現させるべく、これからも、県議会をはじめ、国、市町村、企業・団体、そして一人ひとりの県民と心を一つにして、全力で取り組んでまいる所存でありますので、議員各位並びに県民の皆様の御支援と御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 以上をもちまして、県政運営に関する基本的な方針を申し述べるとともに、提出議案の概要について御説明申し上げましたが、議事の進行に伴い、御質問に応じ、本職をはじめ関係者から詳細に御説明申し上げたいと思います。
 なにとぞ、慎重御審議のうえ、原案どおり御議決、御同意並びに御承認を賜りますようお願い申し上げます。

過去の議会説明要旨

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