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更新日付:2015年2月23日 

第281回定例会提出議案知事説明要旨(平成27年2月)

 本日ここに、県議会第281回定例会が開会され、平成27年度当初予算案をはじめ各般にわたる議案について御審議いただくに当たり、県政運営に関する基本的な方針について、申し上げたいと思います。
 私は、知事就任以来、「ふるさと青森県の再生・新生」を実現すべく、自主自立の青森県づくりを目指し、愚直ながらも県政を一歩一歩着実に前へ進めてまいりました。
 まず、「青森県を絶対に潰さない。」という強い決意のもと、県財政を再生させるため、これまで、県議会及び県民の皆様方の御理解をいただきながら、徹底した行財政改革に取り組んでまいりました。
 その途上には、地方交付税の大幅な削減や、東日本大震災などの苦難もありましたが、多額の財源不足に対処し、財政再建団体への転落を回避するとともに、県債残高を県政史上はじめて減少局面に転じさせるなど、財政構造改革を着実に前進させてきました。
 そして、平成27年度当初予算においては、改めて実質的な収支均衡の達成を果たすなど、基金に頼らない財政運営の実現に目処が立ち、次世代に向けて責任ある財政基盤を築くことができました。
 行財政基盤の安定は、青森県の更なる成長と発展を支える礎であります。
 社会経済情勢など県政を取り巻く環境の変化に柔軟に対応するとともに、今後の様々な施策展開の可能性を拓いていくためにも、「行財政基盤の安定なくして県政なし」この強い信念のもと、引き続き行財政改革努力を継続してまいります。
 また、私は、県民が安んじて生きられる、そして輝いて生きられる生活創造社会を実現するために、本県のめざす中長期的な姿をしっかりと見据えながら、産業・雇用の創出や、県民の命と暮らしを守る取組み、そして人財の育成など、持続可能な青森型社会を創り上げていくための様々な仕組みづくりに取り組んできました。
 まず、県民の生活を守り、生業(なりわい)を創り出すことを基本姿勢として、県民の経済的基盤を確立するための施策を積極的に展開してきました。
 「青森の元気は経済の元気から。そして雇用の場づくりから。」との考えのもと、これまで産業・雇用の創出を県政の重要課題と位置づけ、「攻めの農林水産業」の推進や戦略的な企業誘致の展開、次世代型ライフ関連産業の創出、創業・起業の促進など、県経済の活性化に向けた仕組みづくりを進めてきました。
 その結果、農林水産業においては、大手量販店との通常取引額が大幅に増加したほか、6次産業化に取り組む多くの経営体が育ち、特に農業産出額については10年連続で東北トップを堅持し、その伸び率も全国トップクラスを続けているなど、農林水産業の成長産業化という次のステージへ飛躍していくためのしっかりとした土台を築くことができました。
 また、社会経済情勢が不安定な中にあって、平成15年度からの企業誘致・増設件数は300件を超えているほか、開発したプロテオグリカン関連商品は既に180品目を数え、製造出荷額が大幅に拡大し、さらに、平成26年度に創業支援拠点を活用した起業者は、本年1月末現在で過去最高の47名に上るなど、創業・起業に向けた動きが加速しつつあります。
 そして、平成26年の年間平均有効求人倍率は0.8倍と、過去最高を記録した前年を更に0.11ポイント上回るなど、これまでの取組みの成果が、各方面において具体の形となって着実に現れてきています。
 本県経済は緩やかな持ち直しの動きが続いており、明るさを取り戻しつつありますが、未だ景気回復を実感できるまでには至っていない状況にあることから、県経済の活性化を引き続き県政の最優先課題と捉え、県民一人ひとりが一日も早く景気回復を実感できるよう、しっかりと取り組んでまいります。
 また、私は、県民一人ひとりの命が輝き、人と人とがしっかりとした絆で支え合う社会の実現を図るため、全国に先駆けて「保健・医療・福祉包括ケアシステム」の構築を推進するとともに、「良医を育むグランドデザイン」に基づく医師確保対策に誠心誠意取り組み、本県高校生の医学部医学科合格者数を10年前の水準から倍増させることができました。
 さらには、救急医療体制の更なる充実に向けて、ドクターヘリの2機運航体制を確立したほか、災害時に人命を守ることを最優先とした「防災公共」の推進に積極的に取り組み、県内全市町村の「防災公共推進計画」を策定・公表するなど、災害に強い地域づくりを着実に進め、県民の命と暮らしを守るための仕組みを充実・強化させてきたところであります。
 今後とも、県民の皆様が安心して生きられる、真に豊かなふるさと青森県を実現していくために、力の限りを尽くしてまいります。
 そして、生活創造社会を実現していくための礎は、人の財(たから)、「人財」にあるとの認識のもと、少人数学級編制の実施をはじめ、次代の青森県を担う子どもたちの教育環境の整備に取り組むとともに、あおもり立志挑戦塾による地域経済、地域づくりを牽引するリーダーの育成、若手農業トップランナーなど将来の本県農業をリードする人財の育成、これからの地域発展に不可欠な女性の経営者やリーダーの育成など、様々な観点から取組みを進めてきました。
 未来の青森県づくりの基盤である人財の育成こそが、私たちの負っている最大の責務と捉え、引き続き取組みを徹底してまいります。
 さて、今日本は、本格的な人口減少時代に突入しています。
 私は、全国の中でも速いスピードで人口減少や少子高齢化が進む本県の状況を踏まえ、人口減少社会への対応は今後の青森県のみならず日本の最重要課題であり、本県の総合力が問われることになるとの強い認識のもと、平成18年度から研究・検討を開始し、その対策を進めてきました。
 この国の人間と文化と食の「ゆりかご」として大切な役割を担っているのが農山漁村の集落群であり、この集落群や、町や村が元気に存在できてこそ、都市は存在できるという認識に立ち、本格的な人口減少社会を迎える中でこれを守り育てるため、農山漁村の「地域経営」という仕組みを創り出し、取組みを進めてきたところであります。
 また、先ほど申し上げました「攻めの農林水産業」や戦略的な企業誘致などによる雇用の創出・拡大、「保健・医療・福祉包括ケアシステム」などの県民の命と暮らしを守る仕組みづくり、人口減少社会を支える人財の育成など、これまで長い年月をかけて積み重ねてきたこれらの施策は、本県が今後の本格的な人口減少時代をしっかりと歩んでいくための仕組みづくりでもあります。
 今後は、全国の自治体においても、国のまち・ひと・しごと創生の動きに対応し、移住促進や産業誘致など、取組みが加速していくことが予想されますが、若者の定住を促し人を呼び込む魅力ある地域社会を形成していくためには、地域自らが地域の特性をしっかりと捉え、地域資源を効果的に活用し、また、そこに暮らす人々の生活とも連動した形で経済的基盤を確立し、地域全体の活性化につなげていくことが重要であると考えています。
 このため、現在進めている「地域経営」の取組みを更に充実させ、農山漁村地域の持続的・自立的発展につなげていくほか、健康づくりや子育て支援、高齢者の見守り、買物弱者対策など、地域の生活ニーズに応じた生業(なりわい)づくりへの支援を進め、経済的に自立した地域を創っていくことが大切であると考えております。
 今後とも、「地方が光れば日本が輝く。日本の元気を青森から。」という強い思いで、人口減少を克服すべく、青森県を元気にしていくための新たな仕組みづくりを積極的に進めていきたいと考えています。
 また、私は、人口減少という大きな課題を解決していくためには、「子ども」を中心に据えた、切れ目のない施策を展開していくことが大切であると考えています。
 青森県の未来を担う子どもたちが、この青森で生まれ、希望をもって成長し、その希望をふるさと青森の地で実現できるよう、結婚、妊娠・出産、子育てなどの「子ども」を中心に据えた、県民の一連のライフステージを地域を挙げて支援するとともに、子どもたちの希望を実現するための環境を整えていくことが、人口減少を克服していくうえでも不可欠であり、今後は、こうした視点に立った施策の展開に努めていきたいと考えています。
 さて、人口減少社会への対応を考えていくうえで、本県の強みの一つになるのが、1年後に迫った平成27年度末の北海道新幹線の開業であります。
 今回の開業により、青函圏における陸・海・空の交通基盤・ネットワークが更に充実することとなり、観光のみならず、経済、医療、教育などの様々な分野において新たな可能性が生まれます。
 私としては、この開業を契機とした新たな可能性を圏域内での交流の活性化、圏域外からの交流人口の拡大、滞留時間の質的・量的拡大に生かすべく、道南地域とも連携しながらしっかりと取組みを進め、交流人口の更なる拡大につなげていきたいと考えております。
 そして、これを一つの起爆剤として、来る平成27年度は、津軽海峡交流圏の形成に向けた大きな流れを創り出していきたいと考えております。
 そこで、平成27年度の重点施策について、その概要を御説明申し上げます。
 本年度スタートした「青森県基本計画未来を変える挑戦」では、「強みをとことん、課題をチャンスに」というコンセプトのもと、分野横断で取り組む三つの戦略プロジェクトを設定し、その第一に「人口減少克服プロジェクト」を掲げ、全庁一丸となった取組みを展開してきました。
 平成27年度は、人口減少克服に向けて、相乗効果が期待される他の二つの戦略プロジェクトを結びつけ、三つの戦略プロジェクトを更に進化させるとともに、国の緊急経済対策により措置された地方創生先行型の交付金なども有効に活用しながら、取組みの充実・強化を図ったところであります。
 なお、先ほど申し上げました人口減少克服に向けた「子ども」を中心に据えた各種支援策は、「子ども・未来の希望プロジェクト」と位置づけ、三つの戦略プロジェクトに基づく取組みも含め、関連事業を一体的に展開することといたしております。
 そこで、第一のプロジェクト「人口減少克服プロジェクト」については、急激な人口減少に歯止めをかけ、持続可能な地域経済を維持し、県民生活を守るため、結婚、出産、子育てしやすい環境づくりに向けた取組みを強化するとともに、女性やシニア世代が活躍できる仕組みづくり、若年層の県内定着を促進するための雇用の創出・拡大、持続可能な交通ネットワークの構築、社会を築き支える人財育成などの取組みを進めるほか、北海道新幹線の開業に的確に対応し、地域の魅力の活用による交流人口の拡大を進めます。
 第二のプロジェクトは、「健康長寿県プロジェクト」であります。
 御承知のとおり、本県の平均寿命は、着実に延びているものの、依然として全国最下位の状況が続いています。
このため、「今を変えれば!未来は変わる!!」のスローガンのもと、短命県返上に向けた健康づくり運動に全県を挙げて取り組んできたところであり、現在では、市町村はもとより、企業や学校、関係団体などにおける主体的な取組みや、マスメディアによる積極的なキャンペーンの展開など、県全域で健康づくりに関する気運が大いに高まっているものと、私自身実感しているところです。
 今後とも、この流れを途切れさせることのないよう、健康で長生きな青森県の実現に向けた取組みを更に進め、県民一人ひとりの「健やか力」の向上や自発的な健康づくりの実践へと着実につなげていきたいと考えています。
 そこで、県民が生涯にわたって健康で活力ある生活を送ることができるよう、豊かな自然や食を生かしながら、働き盛り世代をはじめライフステージに応じた生活習慣の改善やスポーツを通じた健康づくりを、地域・家庭、職場、学校など社会全体で積極的に進めるとともに、保健・医療・福祉サービスの充実を含めた生活習慣病対策やこころの健康づくりを強化し、健康長寿の青森県をめざします。
 第三のプロジェクトは、「食でとことんプロジェクト」であります。
 本県の農林水産業は、基幹産業として地域経済を支えるだけでなく、国民への食料の安定供給という重要な役割を担っており、この大切な産業をこれからも守り続けていかなければなりません。
 特に、農政の根幹である米政策の見直しに加え、米価の大幅な下落により、厳しさを増している水田農業にとって、今年は、まさに正念場の一年になるものと考えています。
 私としては、このようなときだからこそ、「攻め」の姿勢で目の前の課題に果敢に立ち向かっていく決意であり、第3期目をスタートさせた「攻めの農林水産業」の推進に、引き続き全力で取り組んでいきたいと考えています。
 そして、いよいよ本年、本県待望の「特A」評価を獲得したあおもり米新品種「青天の霹靂」が本格デビューいたします。
 今後は、この「青天の霹靂」を新たな牽引役として、県産米全体の評価向上に努めるとともに、世界に誇れる「豊富な農林水産資源」と、それを支える「恵まれた生産基盤」、さらには「元気のある人財」といった本県の強みを最大限に発揮する施策を展開し、農林水産業の成長産業化を目指していきたいと考えています。
 そこで、地域資源を生かし、県内での付加価値を増加させ、県産品のブランド化を進めるため、戦略的な情報発信・販路拡大に向けた取組みを強化するとともに、消費者ニーズに対応した生産振興や安全・安心な農林水産物等の供給体制の構築を進めるほか、これらの取組みを支える人財の育成を強化します。
 このほか、戦略キーワードについては、「地域資源の活用と競争力強化で稼ぐ『正直で本物』の生業づくり」、「いのちを守る仕組みづくりと健やかな暮らしづくり」、「環境負荷を低減し次世代につなぐ低炭素・循環型社会づくり」、「郷土に誇りを持ちグローバルに活躍できる人づくり」の四つを設定し、基本計画における各分野ごとの課題やニーズに的確に対応していくこととしています。
 また、地域県民局においては、引き続き各地域が置かれている状況や地域資源の特性をしっかりと捉えながら、地域に密着した地域づくりを推進するため、地域別計画に基づく取組みを積極的に展開してまいります。
さて、東日本大震災からの一日も早い復旧・復興のために、必死に奔走した日々を思い起こすとき、あのとき、県民の皆様から、お互いに助け合い支え合うことの大切さを改めて教えていただいたことを思い出します。
 震災により県内全域が停電となるなど大変厳しい状況の中で、県内各地から被災地に向けて人的及び物的支援が迅速に行われ、また、被災された地域の方々が、自ら力を合わせて炊き出しや瓦礫の片付けをしている姿を目の当たりにし、まさに、県民の底力を見る思いでした。
 互いが互いを支え合う青森県民の素晴らしい絆、そして、地道にこつこつと物事を成し遂げる正直で生真面目な県民性、これら「青森の正直」ともいうべき県民のパワーを結集すれば、震災からの復興、そして「ふるさと青森県の再生・新生」を成し遂げることができると確信し、これまで、県民の皆様方と力を合わせ、震災からの復旧・復興に全力で取り組んでまいりました。
 その結果、インフラ施設については機能回復を終え、また、産業復興については、農林水産業の産出額やりんご輸出量、観光客の入込数などが震災前の水準にまで回復を見せているほか、新たな物流ネットワークも動き始めるなど、本県の創造的復興に向けた歩みは着実に前進しています。
 この青森県民ならば、私たちが直面する人口減少や短命県といった困難な課題についても、まさに「未来を変える」という強い意志を持って、果敢にチャレンジしていくことで、必ずや克服できると私は確信しています。
 そして、県民の皆様が、この青森県に生まれ、暮らして本当に良かったと心から実感できるふるさと青森を創造していくため、私自身、これまで進めてきた様々な取組みを更にワンステージ上へとグレードアップさせるべく、全身全霊でチャレンジしていきたいと考えております。
 議員各位並びに県民の皆様方の御協力と御支援をよろしくお願い申し上げます。
 次に、提出議案について、その概要を御説明申し上げます。
 まず、議案第1号「平成27年度青森県一般会計予算案」について申し上げます。
 本県財政は、平成15年度の財政改革プラン策定以降の行財政改革により、極めて厳しい歳入環境の中にあっても、財源不足額(基金取崩額)の圧縮を図るとともに、県債発行総額の抑制に努めるなど、財政構造改革を着実に前進させてきました。
 また、こうした取組みを進める中においても、生活創造社会の実現や東日本大震災からの創造的復興など、県政の重要・緊急課題に積極的に対応してきたところであります。
 平成27年度当初予算の編成に当たっては、「青森県行財政改革大綱」に基づく財政健全化努力を継続しつつ、「青森県基本計画未来を変える挑戦」に掲げた、世界が認める「青森ブランド」の確立に向け、設定した三つの戦略プロジェクトを更に進化させ、人口減少の克服に向けた取組みの充実を図るとともに、産業・雇用の創出など各種施策を積極果敢に展開することといたしました。
 また、国の補正予算に呼応した平成26年度2月補正予算を一体で編成することにより、地域経済の活性化や地方創生に向けた取組みを充実・強化するなど、施策効果の最大限の発現を図ることといたしました。
 以上の結果、年間総合予算として編成した平成27年度一般会計当初予算は、規模としては、7,008億円、平成26年度当初予算対比98億円、1.4パーセントの増となり、3年ぶりのプラス予算となりました。
 なお、一体として編成した平成26年度2月補正予算を加えた「実行」予算ベースの規模としては、7,076億円余となっております。
 また、財源不足額(基金取崩額)については更なる圧縮を図り、実質的な収支均衡を達成するとともに、県債発行総額についても可能な限り抑制し、中長期的視点に立った財政健全性の確保に努めたところであります。
 以下、平成27年度の主要施策について、三つの戦略プロジェクト及び四つの戦略キーワードに沿って、その概要を申し上げます。
 第一の戦略プロジェクト「人口減少克服プロジェクト」についてであります。    
 プロジェクトの一つ目の柱「人口減少社会においても持続可能な地域をつくる」については、
人口減少社会に対応したコンパクトなまちづくりのあり方を検討するため、遊休公有地等を活用した都市拠点づくりのモデルの創出に取り組むほか、高齢者や子育て世代等のニーズに対応した居住・福祉情報等を提供するワンストップ窓口の開設や、子育て世帯及びUIJターン者向けに中古住宅等の有効活用を図る取組みを支援するなど、地域力の再生・創出に向けた取組みを進めることといたしております。
 また、女性の管理職やリーダーのネットワークの構築を図り、企業や地域における女性の活躍に向けた環境づくりを推進するとともに、シニア世代の持つ知識・技術・経験を生かし、積極的に教育支援活動等に取り組むアクティブシニアを育成するなど、多様な人財が活躍できる仕組みづくりを進めることといたしております。
 二つ目の柱「人口増加につながる仕組みをつくる」については、
 県外の移住希望者に対し、移住に必要な生活関連情報や仕事情報を一元的に提供するサイトを構築するなど情報発信機能を充実するほか、住民に最も身近な市町村における移住・交流施策の充実を促すとともに、先進的な取組みを支援することといたしております。
 また、移住希望者が円滑に本県に定着できるよう、県内企業とUIJターン希望者のマッチングや転職フェアへの出展、県内企業における県外人財の受入れ・確保を支援するなど、移住促進の取組みを強化することといたしております。
 人口減少に歯止めをかけるためには、移住促進に加え、県内の雇用を創出し、若年層の流出を抑制する観点も重要です。
 そこで、UIJターン希望者や若者・女性の本県での創業を促進するため、起業構想の具体化から起業初期までの各段階における支援策の充実を図るなど、新たな生業(なりわい)の創出に積極的に取り組むほか、県内外取引の中核となる企業に着目した取引拡大方策の検討や人財育成などにより、外貨獲得や域内循環の促進を図ることといたしております。
 さらに、人口増加につながる仕組みをつくるためには、若い世代の結婚、出産、子育ての希望を実現し、「子育てに最適の地」と感じてもらえる青森県をめざす取組みが不可欠であります。
 このため、結婚より仕事や趣味を優先しがちな20代の若い世代に対し、青森県での就職、出産、子育てを実現するライフプランを考える機会の提供や情報発信に取り組むほか、多様な保育ニーズに応じた満足度の高い保育サービスの提供に向けた取組みを進めるとともに、出産・育児後の女性の再就職を支援することといたしております。
 三つ目の柱「交流人口を増やす仕組みをつくる」については、
 平成27年度末に迫った北海道新幹線開業に向けて、開業PRと県民の気運醸成に向けた開業カウントダウン事業や、首都圏等における開業イベント及び観光PRキャンペーンを実施するほか、平成28年夏にJRグループ6社の協力のもとで実施される青森県・函館デスティネーションキャンペーン推進のためのプロモーション活動など、開業効果を最大限に獲得するための各種取組みを展開することといたしております。
 今回の開業は、本県と道南地域が連携し、一つの旅行エリアとして国内外に強力に情報発信することで、更なる観光需要を獲得することができる大きなチャンスであります。
 前回の東北新幹線全線開業の際は、東日本大震災の影響により、その効果を存分に獲得するに至らず、私自身大変悔しい思いをしたところであり、今回のデスティネーションキャンペーンの実施に向けて、両地域の魅力を余すところなくアピールするとともに、観光コンテンツの更なる磨き上げやホスピタリティあふれる受入体制づくりを進め、開業後の持続的な誘客促進につなげていきたいと考えております。
 このため、ターゲットの特性に応じ、「青森県ならでは」の魅力を強く印象づける観光コンテンツの開発や受入環境の整備、戦略的な情報発信に取り組むほか、津軽海峡をまたいだダイナミックなサイクリングエリアとしての青函観光圏の認知度向上を図るなど、本県の地域資源を最大限に生かした誘客促進に取り組むことといたしております。
 なお、これらの取組みも含め、平成27年度の「λ(ラムダ)プロジェクト」については、「滞留時間の拡大」、「一体感の醸成」、「北海道との連携」、「交流圏の情報発信」の四つの視点から、集中的に事業を展開することといたしております。
 第二の戦略プロジェクト「健康長寿県プロジェクト」についてであります。
 プロジェクトの一つ目の柱「地域を挙げて取り組む『健活』」については、
 健康意識の向上と実践推進という観点から、企業等における健康づくりリーダーの育成や働く世代を中心とした食生活、運動などの生活習慣の改善、若い世代からの喫煙防止対策など、「健やか力」の更なる向上と定着に取り組むほか、トップアスリートとの交流会や、総合型地域スポーツクラブを活用した健康づくり教室の開催など、スポーツを通じた健康づくりを推進することといたしております。
 また、食を通じた健康づくりを進めるため、「あおもり食命人」のスキルアップと組織化・自立化を図り、自主的な地域貢献活動ができる体制づくりを支援するほか、県産素材を利用した「だし」商品の開発や、減塩定着に向けた「だし」の活用を促進する「だし活」に引き続き取り組むことといたしております。
 二つ目の柱「自然環境や地域資源を生かした健康づくり」については、
 下北地域県民局において、保健保安林等を活用したモデルコースでの森林ウォーキング等を実施するほか、東青地域県民局において、奥津軽いまべつ地域における海藻食文化の魅力発信や伝統的な加工技術の伝承に取り組むなど、地域県民局が主体となって、地域資源を生かした特色のある取組みを行うことといたしております。
 三つ目の柱「地域の保健・医療・福祉をサポート」については、
 県民の健康づくりを支えるため、引き続き、若手医師の県内定着に向けた取組みや予防を重視した包括ケアシステムの充実に取り組むとともに、認知症の早期発見、早期対応や自殺予防対策のための地域における連携体制の充実・強化などに取り組むことといたしております。
 また、本県の成長産業である次世代型ライフ関連産業の更なる活性化に向けて、「青森ライフイノベーション戦略」に基づき、医療福祉機器開発に向けた研究開発支援や人財育成、地域の健康課題の解決に向けたヘルスケアサービスモデルの構築、健康・美容分野における地域資源を活用した商品開発のほか、プロテオグリカンのブランド力の強化などに取り組むことといたしております。
 第三の戦略プロジェクト「食でとことんプロジェクト」についてであります。
 プロジェクトの一つ目の柱「食の生産力・商品力を極める」については、
 本年本格デビューする「青天の霹靂」について、今後3年間をブランド形成の重点期間と位置づけ、マスメディア等を活用したイメージ戦略や、首都圏の小売店、街頭における積極的なプロモーション活動を展開するとともに、「つがるロマン」や「まっしぐら」等についても、大都市圏の実需者との意見交換や各種イベントを通じた情報発信など、積極的なセールス活動を展開し、県産米全体の評価向上に取り組むことといたしております。
 また、経営体質を強化する観点から、水田を中心とした地域農業の構造改革を進めるため、農地集積・集約促進活動等を強化し、先進モデルを育成するほか、産地連携による実需者ニーズに対応した業務用加工食品の取引拡大に向けた関係者間のマッチングや、実需者との連携によるカットりんご専用園を取り入れた経営の実証などに取り組むことといたしております。
 二つ目の柱「食の販売力を極める」については、
 食文化や作り手の技術・想いなどのストーリー性を重視した情報の発信による青森県産品のファン拡大に取り組むほか、大手量販店等とのネットワークを活用した販売促進活動及び企業の販路開拓を担う人財育成を行うことといたしております。
 また、上北地域県民局において、上北ならではの健康志向の食のコンテンツを確立するため、上北地域の特徴ある食材と薬草を生かした「上北薬膳」のメニュー開発に取り組むことといたしております。
 最後の柱「食を支える人づくりを極める」については、
 先進技術の実践などを通じた畜産農家の若手後継者の育成や、地域の若手農業女性のネットワーク化などに取り組むことといたしております。
 以上、三つの戦略プロジェクトに基づく施策について御説明申し上げましたが、第一に掲げた「人口減少克服プロジェクト」と、「健康長寿県プロジェクト」、「食でとことんプロジェクト」のそれぞれが結びつき、相乗効果を発揮できるよう、しっかりと施策を進めてまいります。
 また、人口減少克服に向けて、これらの三つの戦略プロジェクトも含め一体的に展開する「子ども・未来の希望プロジェクト」については、「結婚の応援」、「妊娠・出産の支援」、「子育てと仕事の両立の支援」、「子どもの希望を未来につなぐ取組み」など、「子ども」を中心に据えた県民の一連のライフステージに応じた切れ目のない施策展開を図ることといたしております。
 続いて、四つの戦略キーワードに沿って、概要を御説明いたします。
 第一のキーワード「地域資源の活用と競争力強化で稼ぐ『正直で本物』の生業づくり」についてであります。
 まず、農林水産業分野の成長産業化については、
 県内食料品製造業における工場診断等を通じた生産性の向上による競争力の強化を図るほか、本県に国内最大規模のLVL(単板積層材)工場が稼働することを踏まえ、県産LVL製品の県内利用の促進に向けた取組みを進めることといたしております。
 また、経済性とおいしさを両立した赤身主体の県産牛肉の肥育生産技術の確立・普及を図るほか、いか釣り漁業の効率的操業体制を確立するため、国等の開発モデルを活用した本県独自のあかいか漁場探索技術の開発に取り組むことといたしております。
 次に、環境・エネルギー関連産業の振興についてであります。
 私はこれまで、本県の環境・エネルギー分野における高いポテンシャルを生かした産業振興を図るため、再生可能エネルギーの導入促進に積極的に取り組んできたところであり、その結果、風力発電の設備導入量が6年連続で日本一となっているほか、地元事業者の関連産業への参入が進むなど、着実な成果に結びついています。
 今後は、新たなエネルギー産業振興戦略の策定や地域の産学官金の連携体制の構築のもと、地中熱利用システムの導入促進に向けた取組みを進めるほか、奥津軽いまべつ駅を活用した電気自動車の利活用モデルの構築などに取り組むことといたしております。
 また、原子力人材育成・研究開発拠点施設の整備を進めるとともに、施設の円滑な管理運営等について、調査・検討を進めることといたしております。
 なお、本県における原子力施設については、原子力発電及び核燃料サイクルの推進が我が国を支える重要な政策であるとの認識のもと、安全確保を第一義に立地に協力してきたところであり、引き続き「安全なくして原子力なし」との姿勢で、国、事業者の責任ある対応を見極めつつ、適切に対応していく考えであります。
 次に、戦略的な青森ならではのツーリズムの推進についてであります。
東日本大震災の影響などにより、本県への外国人観光客は、一時大幅に減少いたしましたが、これまでの官民を挙げた懸命な努力により、昨年上半期における外国人宿泊者数は、東北で唯一震災前の水準に回復いたしております。
 そこで、本県の外国人観光客の大勢を占める韓国、台湾、香港及び中国を重点地域として、メディアの活用による知名度の向上や、旅行エージェントと連携したプロモーション活動などによる積極的な誘客拡大を図るほか、今後も経済発展が見込まれる東南アジアや本県への宿泊者数が増加しているオーストラリアからの誘客拡大に取り組むことといたしております。
 次に、青森県の強みを生かした地域産業の振興については、
 農工連携の促進による県内製造業と農林水産業の活性化を図るため、県内研究機関等が有する技術シーズの活用による、農林水産業の現場が求める新製品開発を支援するほか、むつ小川原開発地区における浮体式LNG基地及びLNG火力発電所の一体的・効率的な整備実現に向けた調査・検討等を行うことといたしております。
 また、本県の地域特性や人財などの優位性を生かした戦略的な企業誘致の促進と雇用の拡大を図るため、本県に新たに立地するデータセンターに係る助成措置を創設するほか、テレマーケティング関連産業に対する助成対象要件を拡充するとともに、一定規模以上の設備投資及び新規雇用を伴う増設を行う誘致企業に対する助成措置を創設することといたしております。
 さらに、経済成長著しい東アジア地域への本県中小企業の海外ビジネス展開を支援するとともに、県内ものづくり企業の工業製品の輸出拡大に向けた取組みを支援することといたしております。
 このほか、将来の北東アジアにおけるグローバル物流拠点化をめざす「青森県ロジスティクス戦略」に基づき、本県の新鮮な農林水産品を翌日午前中に西日本エリアへ届けることを可能とする新たな輸送サービスの利用促進に向けた情報発信や、津軽海峡及び北極海航路を通過している船舶の本県港湾への寄港可能性の研究、八戸港モーダルシフトの可能性調査等を進めることといたしております。
 次に、安定した雇用の確保と県民の活動を支える基盤の整備についてであります。
 本県の雇用情勢については、年間の平均有効求人倍率が2年連続で過去最高を更新したほか、昨年12月の有効求人倍率も0.85倍と高水準を維持し、また、新規求人倍率も1.26倍と、更に上昇を続けているなど、着実な改善が見られています。
 一方で、最近の雇用情勢下においては、安定的で良質な雇用の創造や、在職者の処遇改善、さらには、分野によっては人材確保難などの課題も生じており、今後は、雇用の質を高めていくための取組みが必要であります。
 このため、就職支援セミナー等による雇用の拡大や、非正規職員の正規雇用化など処遇改善に向けた取組みを重点的に進めるほか、離職を余儀なくされた中高年齢者に対する再就職支援に取り組むことといたしております。
 また、本年4月に就航20周年を迎える青森・ソウル線の安定運航の確保など、国内外の航空路線の維持・拡充や、主要幹線道路ネットワークの整備など、産業や県民生活を支える交通体系の充実・強化に取り組むことといたしております。
 第二のキーワード「いのちを守る仕組みづくりと健やかな暮らしづくり」についてであります。
 東日本大震災の記憶を風化させることのないよう自主防災組織の結成支援など地域の防災力・減災力を強化するとともに、老朽化した公共インフラ等への対応、防犯意識の向上や交通安全対策などに引き続き取り組むほか、誰もが生きがいを持って健やかに生活できるよう、高齢者の活躍の場づくりや共生社会づくりに向けた取組みを進めるとともに、保健・医療・福祉サービスの充実などに取り組むことといたしております。
 このうち、「防災公共」の推進という観点から、インフラ整備などハード面の取組みを着実に進めるとともに、大規模災害時に機能する物流インフラ網を形成するための「防災物流インフラ強化計画」を策定するほか、土砂災害警戒情報発表時における市町村の迅速な避難勧告等の発令の判断を支援することといたしております。
 このほか、耐震強度が不足するとともに老朽化が進行している県庁舎の耐震・長寿命化改修工事を行うほか、老朽化した防災ヘリコプター「しらかみ」を更新することといたしております。
 また、安全・安心で快適な生活環境づくりに向け、道の駅よこはまエリアを賑わいと見守りをコンセプトとした産業振興・地域福祉・防災の機能を持つ地方創生拠点とするための多角的な検討を行うほか、LED信号灯器の着雪・凍結による交通障害等を未然に防止するため、産学官連携により寒冷・積雪地帯向けのLED信号灯器の開発を行うことといたしております。
 さらに、がん対策については、がんの早期発見・早期治療に向けたがん検診の受診率の向上を図るため、市町村が行うがん検診を支援するほか、県立中央病院におけるがん診療の充実・強化を図るため、PET-CTを導入することといたしております。
 第三のキーワード「環境負荷を低減し次世代につなぐ低炭素・循環型社会づくり」についてであります。
 自然共生社会、低炭素・循環型社会の実現に向けて、省エネルギー対策の推進や再生可能エネルギーの導入促進、廃棄物の3Rの推進に取り組むほか、本県の環境を保全する人財育成などに取り組むことといたしております。
 そこで、廃棄物の3Rを推進するため、市町村との連携によるキャンペーンを展開するとともに、小学校の協力を得て家庭における雑紙の資源回収チャレンジ事業を実施するほか、大学等との協働による環境教育の推進に向けた取組みを進めることといたしております。
 また、自然との共生を図る観点から、ニホンジカ被害の発生を未然に防止するため、適確な初動対策に取り組むことといたしております。
 第四のキーワード「郷土に誇りを持ちグローバルに活躍できる人づくり」についてであります。
 人口減少や少子高齢化、経済のグローバル化など、大きな時代の転換点を迎える中、未来の青森県づくりの基盤となる人財育成の取組みを更に強化する必要があります。
 このため、あおもりの未来をつくる人財の育成については、
 子どもたち一人ひとりにきめ細かな学習指導、生徒指導を行うため、小学校1年生から3年生及び中学校1年生を対象に実施している33人以下による少人数学級編制について、平成27年度から、これを小学校4年生まで拡充し、次代の青森県を担う子どもたちの教育環境の充実を図ることといたしております。
 また、小中学生が身に付けた基礎的な知識や技能を活用し、主体的に課題を解決する力を養う取組みを進めるとともに、高校生が自ら学びたいテーマを設定し調査研究を行う探究型学習を推進することといたしております。
 このほか、いじめ防止体制を強化するため、スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーの配置等を拡充することといたしております。
 特別支援教育については、特別支援学校高等部生徒の卒業後の社会的・職業的自立を促進するため、青森県版「特別支援学校技能検定」を開発・実施するほか、教室不足が著しい青森第二養護学校及び弘前第一養護学校の校舎増築のための調査設計を行うことといたしております。
 また、私立学校については、経常費補助をはじめ、特色教育支援経費補助、私立幼稚園特別支援教育費補助等の助成を行い、特色ある教育の振興を図るとともに、国の高等学校等就学支援金に加え、引き続き県独自に一定額を助成することで、保護者負担の軽減を図ることといたしております。
 次に、あおもりの今をつくる人財の育成については、
 グローバル社会に対応し、地域・経済を活性化する人財を養成するための環境整備を図るほか、引き続き各分野において、これからの青森県を牽引するチャレンジ精神あふれる人財の育成に向けた各種施策を進めることといたしております。
 次に、あおもりの今と未来をつくる文化・スポーツの振興については、
 平成28年度の県立美術館の開館10周年に向け、地域との交流を通じた多様なプログラムを展開し、芸術に親しむ県民気運の醸成と美術館の更なる魅力を発信することといたしております。
 また、三内丸山遺跡をはじめとする「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界遺産登録の早期実現に向けた取組みを引き続き進めるとともに、当該遺跡群の情報発信を強化し、三内丸山遺跡展示室の展示・収蔵機能等を充実確保するため、縄文時遊館を増築するための調査設計を行うことといたしております。
 さらに、本県のスポーツの振興を図るため、ジュニア選手の発掘・育成を行うとともに、競技力向上のための取組みを強化することといたしております。
 また、「青森県スポーツ振興基盤整備計画」を踏まえ、老朽化した陸上競技場の移転整備を進めるほか、八戸市が整備する屋内スケート場については、整備に向けた実施設計等に対する支援を行うことといたしております。
 最後に、各地域県民局が行う地域づくりに関する施策について申し上げます。
 東青地域県民局では、北海道新幹線奥津軽いまべつ駅の開業効果を最大限に獲得するため、市町村と連携した開業記念イベントを実施するとともに、東青地域ならではの体験型観光の仕組みの構築に向けた受入環境を整備するほか、人口減少が著しい地域において、持続性のある生業(なりわい)を創出していくための課題や対応方策を検討することといたしております。
 中南地域県民局では、市町村の移住・交流の受入態勢を整備するため、生業(なりわい)体験や地域交流等のプログラム体験ツアーを実施するとともに、生活圏としての魅力や居住イメージを発信するほか、ミニトマトを導入した水稲や果樹の複合経営による農家所得の向上を図るため、ミニトマトの生産拡大等に向けた取組みを進めることといたしております。
 三八地域県民局では、人口減少や少子高齢化に伴う地域課題の解決に向けて、地域の住民・団体による自立的な取組みを、市町村が中心となって促進していくための体制づくりを支援するほか、小川原湖におけるしじみの安定生産や十和田湖におけるひめますの付加価値向上を図るための技術開発等を行うことといたしております。
 西北地域県民局では、働き盛り世代の早世の減少に向けて、特定健診・がん検診の受診率の向上に向けた企業経営者等に対する働きかけや、地域保健関係者等による連携・強化策を検討するほか、中小規模稲作農家の経営安定に向けた収益性の高い野菜の導入支援や、屏風山地域における根菜類の安定生産と合理的な輪作体系の確立に取り組むことといたしております。
 上北地域県民局では、畜産農家の若手後継者を育成するため、効率的かつ高品質な肉用牛生産のための先進技術の普及や地域内外の後継者との連携強化を推進するほか、地域の若手農業女性のネットワーク化を図り、上北地域の農業、農産物を女性の視点から県内外へ広く情報発信することといたしております。
 下北地域県民局では、子どもの肥満予防など健康的な生活習慣の定着を図るため、引き続き下北地域が一体となった健康づくり対策に取り組むほか、下北地域の女性建設技術者などの「下北ドボジョ」の活躍推進と地元出身の建設技術者等の確保に向けた取組みを進めることといたしております。
 また、地域の資源や特性を生かした地域づくり等を進めるため、市町村が自発的、主体的に実施する取組みについては、総額2億円の「地域の元気支援事業費補助」により支援することといたしております。
 以上が、平成27年度の主要施策の大綱であります。
 次に、歳入予算の主なるものについて御説明申し上げます。
 県税については、地方税制改正の内容、本県経済の動向等を踏まえ、1,343億9,580万円余を計上いたしております。
 地方消費税清算金については、地方消費税の都道府県間における清算金476億4,170万円余を計上いたしております。
 地方交付税については、原資総額の伸び率及び国の算定方針を基礎に、過去の交付実績等を勘案して普通交付税の交付見込額を推計したうえで、当初予算において2,129億800万円を計上したほか、特別交付税については、34億円を計上いたしております。
 県債については、地方債計画、その運用方針等を勘案して積算のうえ、813億5,980万円余を計上いたしております。
 繰入金については、「青森県行財政改革大綱」に基づく取組みを通じて、財源不足額の更なる圧縮を図り、財政調整基金及び県債管理基金からそれぞれ4億円、合わせて8億円を繰り入れることといたしております。
 このほか、国庫支出金等については、主として歳出との関連において計上いたしております。
 以上が「平成27年度青森県一般会計予算案」の概要であります。
 このほか、上程されました議案の主なるものについて御説明申し上げます。
 議案第2号から議案第16号までは、青森県公債費特別会計等の特別会計及び青森県病院事業会計等の企業会計に係る予算案であります。
 議案第17号「青森県控除対象特定非営利活動法人に係る寄附金を定めるための手続等に関する条例案」は、特定非営利活動法人に対する寄附金で寄附金税額控除の対象となるものを条例で定めるために必要な手続等を定めるものであります。
 議案第18号「青森県民生委員の定数を定める条例案」は、民生委員法の改正に伴い、民生委員の定数を定めるものであります。
 議案第26号「職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例案」は、平成26年10月14日付けの青森県人事委員会からの「職員の給与等に関する報告及び勧告」に基づき、職員の給料月額並びに地域手当及び単身赴任手当の額を改定するとともに、住居手当及び単身赴任手当に係る支給対象職員の範囲並びに管理職員特別勤務手当に係る支給事由を拡大するものであります。
 議案第29号「青森県指定管理者による公の施設の管理に関する条例の一部を改正する条例案」は、青森県立種差少年自然の家の管理を指定管理者に行わせることができることとするものであります。
 議案第39号「青森県発電用施設等所在市町村等企業導入促進基金条例の一部を改正する条例案」は、企業の導入を促進するための措置に要する経費の財源として基金を処分することができることとするものであります。
 議案第50号「青森県公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例案」は、青森県立中央病院の結核病床を感染症病床に変更する等の改正を行うものであります。
 議案第52号「青森県教育委員会委員定数条例の一部を改正する条例案」は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正に伴い、教育委員会の委員の定数を改めるものであります。
 議案第65号「あっせんの申立ての件」は、東京電力株式会社原子力発電所の事故に係る損害賠償についてあっせんを申し立てるものであります。
 議案第71号「青森県人事委員会委員の選任の件」は、青森県人事委員会委員遠藤妙子氏の任期が来る3月31日をもって満了いたしますので、後任の委員として中林弓子氏を選任いたしたく、御同意を得るためのものであります。
 議案第72号「平成26年度青森県一般会計補正予算案」は、さきに成立した地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策に係る国の補正予算に呼応し、所要の予算措置を講ずるものであります。
 このうち、国の地域住民生活等緊急支援のための交付金を活用した地域消費喚起・生活支援型の取組みとして、低所得者・子育て世帯向けを含むプレミアム付き商品券の発行支援や、県産品の割引販売、観光客の宿泊費助成など、国の施策に対応した各種事業を実施することといたしております。
 その他の議案につきましては、各議案の末尾に記載されている提案理由等のとおりであります。
 さて、「自立」、「挑戦」、「協働」の三つの姿勢をお示ししながら、3期目の県政を担うに当たっての基本的な考え方について述べさせていただきました第266回定例会から、はや4年の月日が経とうとしております。
 この4年間はもちろんのこと、これまでに私たちが手にしてきた数々の成果は、手を携えともに歩んできた県民の皆様のたゆまぬ努力があったればこそであります。
 我らがふるさと青森の行く先には様々な困難が待ち受けているものと思いますが、先ほども申し上げましたとおり、青森県民は地道にこつこつと物事を成し遂げる正直で生真面目な県民であります。幸いであります。
「陰徳有る者は、必ず陽報有り。陰行有る者は、必ず昭名有り。」
 正直に、そして懸命に努力する私たち青森県民が報われ、安んじて暮らすことができる社会を創り上げるため、今後とも県民の皆様とともに愚直に取り組んでまいりたいと考えております。
 重ねての御理解、御協力をお願い申し上げる次第であります。
以上をもちまして、県政運営に関する基本的な方針を申し述べるとともに、提出議案の概要について御説明申し上げましたが、議事の進行に伴い、御質問に応じ、本職をはじめ関係者から詳細に御説明申し上げたいと思います。
 なにとぞ、慎重御審議のうえ、原案どおり御議決並びに御同意を賜りますようお願い申し上げます。

第281回定例会追加提出議案知事説明要旨(平成27年2月)

 ただいま上程されました議案の主なるものについて、その概要を御説明申し上げ、御審議の参考に供したいと思います。
 まず、議案第七十三号「平成二十六年度青森県一般会計補正予算案」について御説明いたします。
 今回の補正予算は、八戸市櫛引地区における産業廃棄物不適正処理事案に係る行政代執行に要する経費、県管理道路等の除雪に要する経費、道路、河川などの社会基盤や県立施設等の安全確保・老朽化対策に要する経費等について所要の予算措置を講ずることとしたほか、県税市町村交付金等、現年発生災害復旧費、青森県特別保証融資制度貸付金等について減額を行うことといたしました。
 また、県庁舎の耐震・長寿命化改修に係る後年度負担の軽減と「青森県基本計画未来を変える挑戦」に基づく諸施策の着実な推進等を図るため、公共施設等整備基金及び地域振興基金に積立てを行うのに要する経費について予算措置を講ずることといたしました。
 その結果、今回の補正予算額は、歳入歳出とも百四十億二千四十万円余の減額となり、これと既決予算額及び今定例会に既に提出しております補正予算額とを合計いたしますと、平成二十六年度青森県一般会計の予算規模は、六千八百九十八億七千八百五十万円余となります。
 計上の主なるものについては、
 まず、八戸市櫛引地区における産業廃棄物不適正処理事案について、県民の安全な生活環境を確保する観点から、予防的措置として早期に行政代執行を実施することとし、当該産業廃棄物による生活環境保全上の支障の除去等に向けた調査設計に要する経費六千三百九十万円余を計上いたしました。
 また、今冬の豪雪に対処するため、県管理道路の除雪に要する経費二十一億二千四百十万円余を計上するとともに、青森空港の滑走路等の除雪に要する経費一億九千三百三十万円余を計上いたしました。
 歳入については、歳出との関連等において、国庫支出金、諸収入、県債等について、それぞれ増減額を調整のうえ計上したほか、県税について十二億八千万円余、地方譲与税について十六億二千七十万円余を計上するとともに、地方消費税清算金について五十八億五千八百十万円余、財政調整基金及び県債管理基金からの繰入金について合わせて十億円を減額計上いたしました。
 また、普通交付税については、交付決定額と既計上額との差額九十五億八千六百六十万円余を計上いたしております。
 以上が、「平成二十六年度青森県一般会計補正予算案」の概要であります。
 このほか、上程されました議案についてでありますが、議案第七十四号から議案第八十七号までは、特別会計十二件及び企業会計二件の予算補正に係るものであります。
 その他の議案については、各議案の末尾に記載されている提案理由のとおりであります。
 以上、提出議案の概要について御説明申し上げましたが、議事の進行に伴い、御質問に応じ、本職をはじめ関係者から詳細に御説明申し上げたいと思います。
 なにとぞ、慎重御審議のうえ、原案どおり御議決を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、この機会に議長のお許しを得て、いじめ防止対策推進法に基づく再調査の結果について、御報告申し上げます。
 昨年七月に発生した八戸北高校における重大事態については、同年十二月二十六日に教育長から、教育委員会の附属機関である青森県いじめ防止対策審議会が実施した調査の結果について報告を受けたところです。
 その際に、亡くなられた生徒の保護者の方が、県に対し再調査を求める意向を示しているとの報告があったことから、私としては、保護者の方の心情も踏まえ、青森県青少年健全育成審議会いじめ調査部会における再調査の実施を指示したところです。
 本日、いじめ調査部会の部会長から、再調査に係る報告書の提出がありましたので、その内容について御報告いたします。
 報告書の主な内容は、いじめの有無、いじめと自殺の因果関係、再発防止に向けた提言となっております。
 まず、いじめの有無については、いじめと判断される可能性のある十一の出来事のうち八つについて、いじめがあったと判断されております。
 また、いじめと自殺の因果関係については、いじめは自殺の直接的原因とは言えず、摂食障害の重症化が自殺の主たる要因と考えられるが、高校入学後に、いじめや友人関係のトラブル、学業成績といったストレス要因が発生し、その一方で、居場所や絆といった環境要因が弱体化したことにより、摂食障害が発症し悪化していったと考えられることから、いじめと自殺の間には一定の因果関係があったと推察されています。
 再発防止に向けては、学校・家庭・地域社会・関係機関が一体となったいじめ対策への取組みや、県民におけるいじめ根絶に向けた意識改革と理解の促進などが提言されています。
 私としては、調査の結果を真摯に受け止め、今後このような事態が二度と起きないよう、教育委員会と連携しながら、いじめ防止対策の一層の推進に取り組んでまいります。
 以上、御報告といたします。

過去の議会説明要旨

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