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更新日付:2012年2月28日

第二百六十九回定例会提出議案知事説明要旨(平成24年2月)

 本日ここに、県議会第二百六十九回定例会が開会され、平成二十四年度当初予算案をはじめ各般にわたる議案について御審議いただくに当たり、県政運営に関する基本的な方針について、申し上げたいと思います。
 昨年三月十一日に発生した東日本大震災から、早くも一年が経とうとしています。本県をはじめ、東北の太平洋沿岸地域を中心に多くの尊い命が失われ、家屋をはじめとする建物や事業用資産が津波に破壊されるなど、甚大な被害が生じました。改めて亡くなられた方々の御冥福を衷心よりお祈りするとともに、被災された方々に心からお見舞い申し上げます。
 私は、未曾有の大震災からの一日も早い復旧・復興を成し遂げるため、震災関連経費として、これまで延べ十回にわたり補正予算を編成し、復旧・復興への取組みを集中的に進めてきました。
 まず何より、被災者の方々の救援や避難所に避難された方々への支援など、県民の生命・身体に関わる事柄を最優先に、被災中小企業者及び農林漁業者の事業再開を後押しするための取組みや、復興を妨げる港湾・漁港・河川等の障害物除去による公共施設等の迅速な復旧など、スピード感を持ってでき得る限りの対策に取り組んでまいりました。
 次いで、被災者の雇用を確保するための取組みや、本県産輸出品や外国人観光客に係る風評被害対策、本格的な産業インフラの復興支援など、復興への動きを加速させながら、昨年十二月には、震災をバネとして、単なる復元にとどまらず、今までよりも進化した地域社会を形成し、東北全体の復興に貢献していく「創造的復興」を目指した「青森県復興ビジョン」を策定いたしました。
 このたびの震災では、防災対策や食料・エネルギーの安全保障、脆弱な物流網など、様々な課題が浮き彫りになりました。一方、豊富な食料や水資源、エネルギーそして人財など、本県の強みについても再確認することができました。復興ビジョンでは、こうした課題や強みに着目し、人口減少やグローバル化の進展など大きな時代のうねりの中、本県が創造的復興を実現するための五つの基本理念を掲げたところであります。
 まずは、「あおもりイノベーションの推進による『攻めの復興』」であります。
 本県には豊かな自然環境がもたらす良質な水資源があり、その恵みを活かしてバランスの良い農林水産物を生産することができます。
 また、エネルギー分野での高いポテンシャルは、今後の産業振興と持続可能な低炭素社会の先進地形成への大きな可能性を有しています。こうした本県の価値と強みを最大限活用し、不断のイノベーションに取り組みながら「攻めの姿勢」で創造的復興を目指します。
 二つ目は、「グローバル社会で飛躍する青森県づくり」であります。
 これから本県が「攻めの復興」を進めるためには、
 「Think Globally, Act Locally」
 地球規模で考え、地域に根付いて行動し、世界に飛躍する青森県を目指すことが重要です。農林水産業の競争力強化を図り、国際物流の拠点化を進め、外国人観光客の回復・拡大や県産品の輸出拡大を図ります。
 そして海外を単に市場としてとらえるだけではなく、交流の深い国や地域をパートナーとして、その活力を取り入れながら、ともに飛躍することを目指します。
 三つ目は、「安全・安心、災害に強い新たな青森県づくり」であります。
 未曽有の大震災から得た教訓をしっかりと受け止め、県民の命を守るインフラの整備を「防災公共」と新たに位置づけ、これを計画的に推進し、あわせて防災教育の充実といったソフト対策にも一層力を入れ、県民が安全に安心して暮らすことができる災害に強い青森県づくりを目指します。
 四つ目は、「県民力による地域の絆の強化」であります。
 今回の震災では、県内全域が停電となるなど大変厳しい状況の中で、県内各地から被災地への支援が迅速に行われました。被災地の方々が力を合わせてがれきの片付けをしている姿がありました。
 本県にはお互いを支え合う素晴らしい絆、そして正直で真面目な県民性、これら「青森の正直」ともいうべき県民力があります。郷土や地域に愛情を持ち、ボランティア精神に富んだ人財、地域を支える人財の育成を進め、コミュニティの再生・強化を目指します。
 そして最後は、「美しいふるさとの創造と継承」であります。
 本県の豊かな自然は私たち県民共通の財産です。
 本県の自然、素晴らしい環境を、美しい姿のまま、より良い形で次代に引き継ぐことができるよう、自然環境の保全と創造に取り組みます。
 今後は、これら五つの基本理念のもと、県民の皆様と力を合わせ「攻めの復興」に取り組み、青森県の創造的復興を実現し、東北全体の復興を支え、我が国の未来に貢献してまいりたいと考えております。
 震災後、これまでの間、県民の皆様も、それぞれの分野で、着実にそして強力に復興を進めてこられ、明るい話題も報じられるようになりました。
 大津波による漁船・漁具の流失など、多大な被害を受けた八戸漁港では、遠洋アカイカ漁が不漁だったものの、サバの水揚量が増加するなど、復興への兆しが見受けられました。八戸港においては、コンテナ貨物取扱量が、港湾設備の復旧や臨海部の工場操業の回復につれて、昨年十月には過去最高を記録しております。
 また、震災後減便となっていた青森・ソウル線については、民間と連携して実施したキャンペーンも功を奏し、来る三月二十五日からの夏期運航スケジュールにおいて週四便体制が復活するほか、青森・名古屋定期路線についても、就航以来の好調な利用状況により、一日二便に増便されることが決定しております。
 さらに、企業誘致の分野では、県及び八戸市の誘致企業として、日本ハム株式会社が百パーセント出資する株式会社宝幸が、八戸市内に水産加工工場を増設する運びとなり、去る一月十三日、立地協定調印式が行われました。これまで皆様とともに進めてきた「攻めの農林水産業」や、「食産業の振興」という取組みが実を結んだ、大きな成果の一つであると考えております。
 このほか、震災直後に大きく落ち込んだ有効求人倍率は、関係各位の御努力もあって、昨年十二月には震災前の水準を超える〇・五一倍となり、十九年ぶりの水準にまで回復してきております。さらに、平成二十三年度の誘致企業件数は三年ぶりに十件を超えることとなり、県内の雇用情勢の更なる改善が期待されるところです。
 今後とも、本県の「食」、「環境」、「エネルギー」及び「人財」といった優位性をアピールしながら、官民一体の取組みを強力に進め、産業・雇用の創出・拡大に尽力し、皆様とともに青森の元気づくりを進めてまいりたいと考えております。
 一方、私は、知事就任以来、「行財政基盤の安定なくして県政なし」という強い思いの下、持続可能な財政構造の確立に向け、県議会及び県民の皆様の御理解と御協力をいただきながら、徹底した行財政改革を進めてきました。
 行財政基盤の安定は、本県の産業・雇用、県民の安全・安心を支えるための礎であり、これまでの取組みがあったからこそ、東日本大震災からの復旧・復興対策に迅速かつ積極的に対応することができたものと確信しております。
 今後も、創造的復興に向けた取組みを最優先で進めるための財源をしっかり確保していくためには、もう一度、持続可能な青森県づくりを支える行財政基盤の安定に向けて、走り出さなければなりません。本県の未来を担う子どもたちのためにも、今まで以上に、施策の選択と集中に努め、予算の効率的・効果的な配分を行い、行財政改革努力を継続していきます。
 県議会をはじめ、県民の皆様方の御協力と御支援をお願い致します。
 次に、提出議案について、その概要を御説明申し上げます。
 まず、議案第一号「平成二十四年度青森県一般会計予算案」について申し上げます。
 本県財政は、平成十五年度の財政改革プラン策定以降の行財政改革により、地方交付税の大幅削減などの極めて厳しい歳入環境が続く中、多額の財源不足に対処し、財政再建団体への転落を回避しつつ、生活創造社会の実現に向けて、県政が抱える諸課題に積極的に対応してきました。
 こうした取組みにより、元金ベースでのプライマリーバランスを黒字転換させるとともに、平成二十三年度当初予算においては、実質的に収支均衡予算を達成するなど、財政構造改革を着実に前進させてまいりました。
 しかしながら、東日本大震災の影響等により、県税収入等の歳入環境が厳しさを増す中、震災対応に万全を期す必要があるとともに、社会保障関係費の増大等による県財政への影響が懸念されるなど、再び厳しい財政運営を強いられております。
 平成二十四年度当初予算の編成に当たっては、「青森県行財政改革大綱」に基づく財政健全化努力の継続や財源の効果的活用に努め、震災からの復旧・復興への万全な対応を図るとともに、「平成二十四年度「選択と集中」の基本方針」に掲げた四つの戦略キーワードに基づく施策の重点化により、震災をバネにして県民の暮らしと本県産業の更なるレベルアップを積極的に推進することといたしました。
 なお、施策効果を最大限に発揮するため、国の補正予算関連の平成二十三年度二月補正予算を一体で編成したところであります。
 以上の結果、年間総合予算として編成した平成二十四年度一般会計当初予算は、規模としては、七千七十五億円、平成二十三年度当初予算対比百四十七億円、二・一パーセントの増となり、震災からの創造的復興を積極的に推進する予算となりました。
 しかし一方で、財源不足額(基金取崩額)については、県税収入の落ち込み等による厳しい歳入環境の中、可能な限りの圧縮に努めてまいりましたが、平成二十三年度当初予算を上回る結果となりました。
 このことから、私としては、収支均衡型の財政運営の実現に向けて、引き続き行財政改革努力を継続していく必要があるものと考えている次第であります。
 以下、平成二十四年度の主要施策について、四つの戦略キーワードに沿って、その概要を申し上げます。
 第一は、「暮らしと産業の復興・創生」についてであります。
 震災からの復興に当たっては、社会情勢の変化を捉えながら、県民の暮らしと本県産業の両面において、更なるレベルアップを図り、新たな青森県を創り上げることが重要であります。
 まず、「次代につなぐ暮らしの創造」については、
震災により省エネや防災に対する県民意識が高まっていることを踏まえ、災害に強く美しいふるさとを次代に引き継ぐ取組みであります。
 このため、県民の生命と財産を守るためのハード整備・ソフト対策を一体となって行う「防災公共」の観点から、地震・津波等の災害への対策を進めるほか、企業・商店街などが災害時においても事業の継続や早期復旧を可能とするための計画(BCP)の策定を支援することといたしております。
 また、低炭素社会の実現に向け、家庭や企業の省エネ設備の導入や消費電力を見える化する取組みを促進するほか、豊かな自然環境を次代につなぐため、森林による二酸化炭素吸収量のクレジット化や森林整備の低コスト化の取組みを推進することといたしております。
 次に、「震災をバネとする産業振興」については、
 再生可能エネルギー関連産業の更なる推進や水産加工分野における新たなニーズへの対応など、震災後、新たに浮かび上がった課題に的確に対応し、次代を見据えた本県産業の振興を図る取組みであります。
 このため、次代を担うエネルギー分野として、スマートグリッド関連技術や海洋エネルギーを活用した産業振興策の検討に取り組むほか、風力やバイオマスなど本県がこれまで取り組んできた再生可能エネルギーを地域資源として一層活用するため、産学官金からなるネットワークを形成し、県内事業者の参入促進に取り組むことといたしております。
また、全国一の設備導入量を誇る風力発電等の本県の優位性を活かして、データセンターの集積を図るグリーンITパーク設立構想の実現に向けた実証調査等を実施するほか、ビジネスの多様化を目指す県内水産加工業者の技術導入を支援しながら、震災後の新たな加工ニーズに対応するための新魚種の加工技術開発に取り組むことといたしております。
 なお、震災関連経費としては、八戸港北防波堤の改修や避難用道路の建設等ハード面での対策として約百四十億円、防災公共の推進や被災者の住宅再建支援等、ソフト面での対策として約百三十六億円の合わせて約二百七十六億円、さらに青森県特別保証融資制度貸付金の震災関連分を含めますと約六百二十三億円の経費を予算計上いたしております。
 第二は、「発進、青森力」についてであります。
 私は、知事就任以来、本県の課題に果敢に挑戦するチャレンジ精神あふれる人財を育成するため、様々な取組みを行ってまいりました。
 最も基本となるのは人の財(たから)すなわち「人財」であり、人財の育成は未来の青森県づくりの礎であります。
 また、本県には豊かな自然環境や水資源、歴史・文化、食料など、多彩な魅力がそろっています。さらに一昨年十二月には、県民が長年待ち望んだ東北新幹線全線開業が実現したところであります。
 これら「人財」と「青森の魅力」を最大限活用しながら、人財育成と地域力再生、国内外への情報発信の強化に取り組んでいくこととしております。
 まず、「人財育成と地域力再生」については、
 高齢化や人口減少社会に対応していくため、人と人との「絆」で結ばれた地域力の再生・創出に取り組むことが重要であります。
 自由に発想して、いろいろなことにチャレンジできる人財が数多く生まれることで、地域が元気になり、そして元気な地域がさらに人財を呼び込み新たな人財を育て、さらに地域が元気になるという人財育成の好循環が生まれます。
 このため、引き続き「あおもり立志挑戦塾」の開催を通じた地域づくりを牽引するリーダーの育成を図るとともに、人づくりサミットの開催による県内外の経営者の交流促進を図るほか、将来の農山漁村の地域経営を支える組織・人財や、ものづくりを支える技術力の高い人財の育成支援等を進めてまいります。
 また、学校、家庭、地域の連携等により、子どもたち一人一人の社会的・職業的自立に向けたキャリア教育を一層推進するため、学校と企業等を結ぶ窓口となる「教育支援プラットフォーム」の構築等に取り組むことといたしております。
 さらに、様々な分野で活躍している本県出身の人材の発掘及び活用による子どもたちの夢や目標の形成に向けた環境づくり、本県ゆかりの著名アーティストによる芸術文化活動に取り組む中・高校生の支援、本県の次代を担う理工系人財の育成、将来、スポーツの全国大会等で活躍できる人財の育成などに取り組むことといたしております。
 なお、スポーツの振興に関連して、「青森県スポーツ振興基盤整備計画」において老朽化した県有体育施設のうち優先整備することとされた陸上競技場について、移転に向けた設計準備を行うこととしているほか、八戸市等から要望のある屋内スケート場について、将来の整備に向けた課題を整理するための整備構想の策定に取り組むことといたしております。
 次に、「国内外への情報発信」については、
 本県が有する自然、食、文化などの魅力を国内外に強力に発信するとともに、震災による風評被害を払拭するため農林水産物の安全確保対策に重点的に取り組むことが必要と考えております。
 このため、本県が有する映像素材の利活用を促進するほか、これまでの取組みで築き上げたメディア等に影響力のある人材との関係を強化し、本県の魅力を強力に発信するとともに、各地域単位で情報の掘り起こしや発信方法のノウハウを共有するネットワークの構築や、多様化する情報メディアを活用した情報発信に取り組むことといたしております。
 また、震災の影響により伸び悩んでいる観光客の増加を図るため、東北新幹線青森県開業十周年を契機としたPR活動に取り組むほか、青森・名古屋線の認知度向上により路線の維持・拡充を図るため、株式会社フジドリームエアラインズとのタイアップによるイベントの実施、県産品の販路拡大に向けた量販店等における「青森県コーナー」の開設等に取り組んでいくことといたしております。
 さらに、経済成長著しい東アジア等をターゲットに、誘客宣伝活動や芸術文化を通じた交流人口の拡大を目指した取組みとして、韓国・台湾において、公共交通機関を活用し本県情報の集中的な広告展開に取り組むほか、韓国での本県知名度の向上を図るための韓国ドラマのロケ誘致に対する支援、本県を舞台とした映画「明日に架ける愛」の日中同時公開に合わせた、映画ロケ地を巡るタイアップ番組の制作や旅行商品の造成支援を行うことといたしております。
 なお、安全・安心な県産品を国内外に発信するため、輸出りんごをはじめとした県産農林水産品はもとより、県内に流通している食品の放射性物質検査及び調査結果の積極的な情報発信に取り組むほか、全国の消費地で開催する県産品フェア等を通じて安全・良質な県産品をアピールするとともに、「日本一健康な土づくり運動」を加速させるための生産者の育成強化と情報発信を行うことといたしております。
 第三は、「雇用の創出・拡大」についてであります。
 本格的な人口減少社会の到来、若者を中心に非正規労働者が増加していることに加え、震災直後からの電力供給不安や歴史的な円高などが続いており、私たちの暮らしや経済に大きな影響を与えています。しかし、悲観するばかりでは未来を切り拓くことはできません。
 幸いにも本県には「水資源」、「食料」、「エネルギー」といった、優位性の高い資源が豊富にあります。
 これらを本県の「強み」として、地域産業を活性化するとともに、農商工連携による食産業づくりと販売・生産体制の強化に取り組んでいくこととしております。
まず、地域産業の活性化については、
 県内企業の生産改善活動や人財育成、営業力強化等を支援するほか、企業誘致や創業・起業に対する支援、本県の強みを活かす観光コンテンツの磨き上げ等、本県が有するポテンシャルを最大限引き出す取組みを行うことといたしております。
 このため、昨年九月に策定した「青森県低炭素型ものづくり産業振興指針」に掲げた目標を達成するための各種取組みを推進するとともに、県内製造業者の取引拡大に向けて、新技術・新工法を有する企業の掘り起こしと企業間のマッチングを推進するほか、誘致企業の事業拡大に伴う雇用創出や県内企業への発注に対する奨励金の支給等を通じ、企業誘致の促進と県内雇用の拡大を図ることといたしております。
 また、八戸港にLNG(液化天然ガス)の輸入基地が立地することを踏まえ、その冷熱エネルギー等を有効活用するための調査研究を通じて新たな産業を創出することといたしております。
 さらに、観光コンテンツの掘り起こしによる量的拡大や、コンテンツの磨き上げ支援による質的向上を図るとともに、外国クルーズ客船の受入態勢の充実等を図ることといたしております。
 なお、これまで研究開発の面から本県産業振興の一翼を担ってきた青森県産業技術センター弘前地域研究所について、施設の老朽化を解消し、時代の変化や高度化する中小企業ニーズに柔軟に対応できる施設とするため、移転改築に向けた設計及び用地の取得を行うことといたしております。
 次に、農商工連携による食産業のステップアップについては、
 本県の強みである豊富な農林水産資源と人財を活用し、農商工連携や農林水産業の六次産業化により食産業を更に強化していく必要があります。
 このため、従来の事業者間のマッチングによる商品開発の取組みに加え、食品加工分野における加工技術の高度化に向けた産学官連携による共同研究の実施のほか、共同プロジェクトによる商品づくりの支援、展示・商談会などのイベント開催、食品製造業の立地・設備投資に向けた課題抽出のための調査及び戦略づくりなどに取り組むことといたしております。
 次に、食産業を支える販売・生産体制の強化については、
 安全・安心な県産品の更なる販路拡大を図るため、これまで取り組んできた「総合販売戦略」における首都圏での販売活動を更に進化させ、新たな取引先の開拓に向けた取引情報の収集をはじめ、多方面にわたって強い影響力を持つホテルや百貨店等とタイアップしたイベントの実施等に取り組むことといたしております。
 また、地域の特性や優位性を活かした農林水産物の生産基盤を強化するため、りんごの周年販売体制を維持するための省力的有袋栽培技術の普及拡大に取り組むとともに、ながいも生産量日本一を奪還するための若年農業者への技術継承や革新的な栽培技術の実証、陸奥湾産ほたてがい・なまこの安定生産に向けた技術開発等を強化することといたしております。
 なお、平成二十六年度以降の次期「攻めの農林水産業」基本方針の策定に向けて、現行の「攻めの農林水産業」について、これまでの取組成果や今後の課題整理に向けた検証等を行うことといたしております。
 第四は、「あおもり型セーフティネット」についてであります。
 さきの震災では、心の豊かさや命・健康・環境など、生業(なりわい)に裏打ちされた日々の生活の大切さが、改めて問われたと感じております。
 これまで私は、県民の命を守る取組みや、暮らしや雇用のセーフティネットの構築を進めてまいりましたが、県民が健やかで安心して暮らしていける生活創造社会の実現を目指し、これらの取組みをより一層加速させていく所存であります。
 まず、健康力の向上については、
 県民が安心して健康に生活を送ることができる仕組みづくりに積極的に取り組むこととし、引き続き、「良医を育むグランドデザイン」を踏まえ、研修医の確保や、へき地等においてニーズの高い総合的な診療能力を有する医師の育成など、医育環境の充実等の取組みを強力に推進することといたしております。
 また、平成二十四年十月を目途にドクターヘリの二機運航体制を確立し、救急医療体制の一層の強化を図るほか、「青森県地域医療再生計画」に基づき、弘前大学医学部附属病院ICUの増床、つがる西北五広域連合等が行うつがる総合病院の整備、県立中央病院総合周産期母子医療センターNICUの増床や県立医療療育センターの福祉型転換、国立病院機構青森病院重症心身障害児者病棟の増床など、青森県地域医療再生臨時特例基金等を活用した医療体制の充実・支援を重層的に実施していくことといたしております。
 さらに、「保健・医療・福祉包括ケアシステム」の基本単位である市町村の推進体制を強化するとともに、効果的にがん対策を展開していくための体制強化を図るほか、糖尿病をはじめとした生活習慣病対策の強化に向け、地域の健康課題の分析や療養体制の強化、食育活動と協働した県民の意識啓発等により、県民一人一人が健康情報や医療情報を適切に利用し、活用する力「ヘルスリテラシー」を向上させる取組みを推進していくことといたしております。
次に、健やか子ども支援については、
 子どもたちがすくすくと元気に育つよう、地域ぐるみでの食生活改善や運動支援による児童・生徒の生活習慣病予防に取り組むほか、低出生体重児の減少に向けた妊婦の受動喫煙防止対策、発達障害児者のライフステージに応じた支援体制の構築、児童虐待に関する行政の相談支援体制の強化に取り組むことといたしております。
 次に、就労支援については、
 有効求人倍率の回復基調を確固たるものにするためには、若年者から中高年者、障害者など全てのライフステージに応じた対策が必要と考えております。
 このため、若年者の早期離職防止と正規雇用化を促進するための企業に対する理解促進や高校生等の就労意識形成を図るほか、四十歳以上の働き盛り世代を対象に、正規雇用化を促進するための雇用奨励金を創設するとともに、障害者雇用のための理解促進、職業訓練支援を実施することといたしております。
 また、緊急雇用創出事業臨時特例基金を積極的に活用し、約三千百人の雇用創出を図るとともに、若年者の就職支援窓口の一体的運営施設として本年四月に本格オープンする「ヤングジョブプラザあおもり」の積極的な活用などにより、新規学卒者を含む若年者の就職支援対策を強力に推進していくことといたしております。
 次に、安全・安心な生活環境づくりについては、
 高齢者や子どもをはじめ、県民誰もが住み慣れた地域で安心して暮らせる仕組みづくりに引き続き取り組むものであります。
 このため、高齢者交通安全対策の充実・強化を図るとともに、子どもや女性に対する声かけやストーカー行為の抑止に取り組むほか、感染症対策の充実・強化に向けた人財育成とネットワークの構築に取り組むことといたしております。
 最後に、各地域県民局が行う地域づくりについてであります。
 東青地域県民局では、北海道新幹線の本県唯一の駅となる仮称「奥津軽駅」の開業を見据えた地域資源の発掘・ブラッシュアップ、地域の人財の発掘・育成及びネットワーク構築に取り組むほか、日本一のカシス産地を維持・拡大するための取組みや、高齢者や女性が栽培する自給的野菜の新たな販売ルートの構築等に取り組むことといたしております。
 中南地域県民局では、着地型旅行商品としてニーズが高い「街歩き観光」の推進を図るため、「日本まちあるきフォーラム」を開催するとともに街歩き観光コースのブラッシュアップに取り組むほか、自らの夢の実現や起業を志す女性を対象とした起業支援、りんごの機能性成分であるアップルペクチン等を含む加工品開発や販売促進を行うことといたしております。
 三八地域県民局では、震災による被災三県の企業の復興を支援するため、被災地企業のニーズ調査や三八地域企業の支援ポテンシャル調査を行い、企業間のマッチングを図るとともに、三八地域の震災からの復興を全国にPRし観光客の誘致を促進するほか、特産果樹を資源とした農業観光を推進するための商品開発等に取り組むことといたしております。
 西北地域県民局では、津軽半島の芸術文化資源を活かした新たな観光コンテンツの創出や津軽半島観光アテンダントの設置に取り組むとともに、水田農業経営体の育成を図るための先導的農業経営体のネットワーク構築による農地の集約化や販路開拓等を行うほか、深浦産くろまぐろの高品質安定供給とブランド化等に取り組むことといたしております。
 上北地域県民局では、十和田湖周辺地域の集客力向上を図るため、若手観光事業者の育成やPRイベント、キャンペーンを実施するほか、鉄道資源を活用した誘客対策、留学生による地域の魅力発掘を通じた海外誘客対策等に取り組むことといたしております。
 下北地域県民局では、下北地域への教育旅行を誘致するため、受入態勢づくりや教育旅行プログラムを作成するほか、下北ブランド牛乳の開発に対する支援、磯根漁業の振興を図るためのこんぶ群落造成等に取り組むことといたしております。
 また、市町村の自主的な地域づくりに対する支援については、現行の補助制度に復興等支援事業一億円を追加することとし、総額三億円の「市町村元気事業費補助」を実施するほか、県内唯一の財政健全化団体である大鰐町が財政再生団体となることを回避し、持続的かつ安定的な財政運営を可能とするための支援を実施することといたしております。
 さらに、県内原子力施設の立地及び周辺市町村が行う防災・安全対策や地域振興対策に要する経費に対する交付金制度を創設することといたしております。
 以上が、平成二十四年度の主要施策の大綱であります。
 次に、歳入予算の主なるものについて御説明申し上げます。
 県税については、震災の影響、地方税制改正の内容、本県経済の動向等を踏まえ、千百四十六億五千七百十万円余を計上いたしております。
 地方交付税については、原資総額の伸び率及び国の算定方針を基礎に、過去の交付実績等を勘案して普通交付税の交付見込額を推計したうえで、当初予算において二千百四十五億九千万円を計上したほか、特別交付税については、三十五億円を計上いたしております。
 県債については、地方債計画、その運用方針等を勘案して積算のうえ、千六十九億六千六百七十万円余を計上いたしております。
 繰入金については、「青森県行財政改革大綱」に沿って可能な限りの圧縮に努めたものの、県税収入の落ち込み等が大きく影響したことによって、昨年度当初予算を上回る財源不足額(基金取崩額)が生じたことにより、財政調整基金から九億円、県債管理基金から八億円、合わせて十七億円を繰り入れることといたしております。
 このほか、国庫支出金等については、主として歳出との関連において計上いたしております。
 以上が「平成二十四年度青森県一般会計予算案」の概要であります。
 このほか、上程されました議案の主なるものについて御説明申し上げます。
議案第二号から議案第十六号までは、青森県公債費特別会計等の特別会計及び青森県病院事業会計等の企業会計に係る予算案であります。
 議案第二十六号「職員の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例案」は、平成二十一年四月から平成二十四年三月までの期間において実施している職員の給与の特例減額措置について、適用期限を平成二十六年三月まで延長するものであります。
 議案第二十九号「青森県県税条例の一部を改正する条例案」は、東日本大震災からの復興に関し地方公共団体が実施する防災のための施策に必要な財源の確保に係る地方税の臨時特例に関する法律の施行に伴い、個人の県民税の均等割の税率の特例を定める等の改正を行うものであります。
 議案第四十七号「青森県港湾管理条例の一部を改正する条例案」は、港湾管理上支障となる放置艇対策として野辺地港に設置する小型船舶用物揚場及び船舶保管施設の使用料を定め、臨港道路の敷地に水道管、ガス管等を設置する場合の港湾施設用地の使用料の額を改めるものであります。
 議案第四十八号「青森県都市公園条例の一部を改正する条例案」は、新青森県総合運動公園に特定公園施設として新たに球技場を設けるとともにその使用料の額を定め、変圧器等の設置に係る使用料の額を改めるものであります。
 議案第五十一号「青森県企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例案」は、病院事業の業務に従事する職員が大学等における修学のため修学部分休業の承認を受けて勤務しない場合には、減額して給与を支給することとするものであります。
 議案第五十二号「職員の給与に関する条例の一部を改正する条例案」は、県費負担教職員の住居手当及び通勤手当の支給に関する事務のうち一定のものを市町村が処理することとし、その他所要の改正を行うものであります。
 議案第五十八号「青森県道路交通法関係手数料の徴収等に関する条例の一部を改正する条例案」は、運転経歴証明書再交付手数料を徴収し、手数料の額を改め、災害により運転免許証を紛失した場合等に運転免許証再交付手数料を免除することができることとするものであります。
 議案第六十四号「青森県監査委員の選任の件」は、青森県監査委員元木篤子氏の任期が来る三月三十一日をもって満了いたしますので、後任の監査委員として同氏を再任いたしたく、御同意を得るためのものであります。
 議案第六十五号「平成二十三年度青森県一般会計補正予算案」は、さきに成立した国の第三次補正予算及び第四次補正予算に呼応し、所要の予算措置を講ずるものであります。
 議案第六十六号「青森県再生可能エネルギー等導入推進基金条例案」及び議案第六十七号「青森県東日本大震災災害廃棄物処理促進基金条例案」は、補正予算案に関連し、それぞれに定める事業に要する経費の財源に充てるための基金を設置するものであります。
 その他の議案につきましては、各議案の末尾に記載されている提案理由等のとおりであります。
 折しも、小惑星探査機「はやぶさ」を題材とした映画が上映されております。
 一昨年の「はやぶさ」の帰還は、私たちの心に大きな勇気と感動を与えてくれました。数々のトラブルを克服し、困難を乗り越え、絶望の中からの帰還を果たすことができたのは、本県出身の川口淳一郎教授をはじめ、プロジェクトに携わった方々の、「決してあきらめない」という強い意志でした。「創造すること」への強い意志でした。
 大きな震災に見舞われ、日本の、そして世界の社会経済情勢が大きな地殻変動を起こしている状況です。
 しかしながら、私たちには希望があります。目標があります。そして恵まれた資源や、多くの人財があります。これらを活かし、知恵を絞って、決して諦めずにイノベーションに取り組んでいく、そのことこそが、今、私たちのなすべきことであります。 私たちの力を信じ、希望を実現するという強い意志をもって、私たちの未来を、そして日本の未来を切り拓いていかなくてはなりません。
 是非とも、皆様方の御理解と御協力をお願い申し上げます。
 以上をもちまして、県政運営に関する基本的な方針を申し述べるとともに、提出議案の概要について御説明申し上げましたが、議事の進行に伴い、御質問に応じ、本職をはじめ関係者から詳細に御説明申し上げたいと思います。
 なにとぞ、慎重御審議のうえ、原案どおり御議決、御同意並びに御承認を賜りますようお願い申し上げます。

第二百六十九回定例会追加提出議案知事説明要旨(平成24年2月)

 ただいま上程されました議案の主なるものについて、その概要を御説明申し上げ、御審議の参考に供したいと思います。
 まず、議案第七十五号「平成二十三年度青森県一般会計補正予算案」について御説明いたします。
 今回の補正予算は、陸奥湾ほたてがいの再生産に向けた成貝づくりを促進するための基金の造成に対する助成に要する経費、今冬の豪雪災害により亡くなられた方々の御遺族への災害弔慰金の支給に要する経費、県管理道路等の除雪に要する経費等について所要の予算措置を講ずることとしたほか、現年発生災害復旧費、青森県特別保証融資制度貸付金及び県立病院運営資金貸付金等について減額を行うことといたしました。
 その結果、今回の補正予算額は、歳入歳出とも二百二十三億四千四百八十万円余の減額となり、これと既決予算額及び今定例会に既に提出しております補正予算額とを合計いたしますと、平成二十三年度青森県一般会計の予算規模は、七千七百八十九億千四百七十万円余となります。
 歳入については、歳出との関連等において、国庫支出金、繰入金、諸収入、県債等について、それぞれ増減額を調整のうえ計上したほか、普通交付税について三十二億七千百六十万円余、特別交付税について九十八億円をそれぞれ計上いたしました。
 以上が、「平成二十三年度青森県一般会計補正予算案」の概要であります。
 このほか、上程されました議案についてでありますが、議案第七十六号から議案第九十号までは、特別会計十三件及び企業会計二件の予算補正に係るものであります。
 その他の議案については、各議案の末尾に記載されている提案理由のとおりであります。
 以上、提出議案の概要について御説明申し上げましたが、議事の進行に伴い、御質問に応じ、本職をはじめ関係者から詳細に御説明申し上げたいと思います。
 なにとぞ、慎重御審議のうえ、原案どおり御議決を賜りますようお願い申し上げます。

過去の議会説明要旨

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