ホーム > ようこそ知事室へ > 議会での提案説明 > 第九十二回臨時会提出議案知事説明要旨(平成23年5月)

更新日付:2012年1月27日

第九十二回臨時会提出議案知事説明要旨(平成23年5月)

 ただいま上程されました議案の説明に先立ち、一言ごあいさつを申し上げます。
 我が国観測史上最大級の地震が引き起こした東日本大震災から、本日で二か月が経過しました。これまで県内外で十一名の県民の命が失われ、未だ三名の方が行方不明となっているほか、本県出身の自衛官の方が岩手県への災害派遣中にお亡くなりになるという不幸な出来事がありました。また、震災後の四月五日には、八戸沖で操業していた八戸みなと漁業協同組合所属小型底びき網漁船第十八漁栄丸が遭難し、死者三名、行方不明者三名を出す痛ましい海難事故も発生しました。改めて、亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げ、御遺族の方々に対し深く哀悼の意を表すとともに、現在も行方不明となっている方々が一刻も早く発見されますよう心から願うものであります。また、被災された方々には、心からお見舞い申し上げますとともに、これまでの間、被災者支援等に多大なる御協力を賜りました自衛隊、海上保安庁、警察、消防機関の方々、県内市町村、民間事業者の皆様、ボランティアをはじめ県内外から青森県を応援していただいた全ての皆様に、深く感謝を申し上げます。
 さて、議員各位におかれましては、去る四月十日に行われました県議会議員選挙において、県民の皆様の大きな期待を担われ、みごとに御当選されました。これは、ひとえに議員各位の御人格と県政に対する御抱負とが県民の皆様の信任を得られた結果にほかならないものと深く敬意を表し、心からお祝いを申し上げます。
 私はこれまで、持続可能な青森型社会の実現を目指して、県民の皆様方とともに考え、行動する県政を進めてまいりました。中でも、「行財政基盤の安定なくして県政なし」という強い思いのもと、徹底した行財政改革を推進してきた結果、平成二十三年度当初予算において、収支均衡、すなわち基金に頼らない財政運営の実現に目処が立ち、次世代にしっかりと引き継いでいくための財政構造の確立を果たすことができました。今まさに、強化された行財政基盤を背景に、東北新幹線全線開業を起爆剤として、あらゆる産業の振興と地域の活性化を図り、自主自立の青森県づくりに大きく踏み出そうとした矢先の東日本大震災でありました。
 目下、県政の最大かつ緊急の課題は、この大震災からの県民生活の再建と本県産業の復興でありますが、本日、卓越した識見と豊富な経験を有する皆様によって、新しい県議会が構成されましたことは、執行部一同、誠に心強く感じているところであります。私としては、本日お集まりの議員各位をはじめ県民の皆様方と一丸となって、今こそ青森県の底力を発揮し、この難局を乗り切っていく決意でありますので、御支援を賜りますようお願い申し上げます。
 私は、三月十一日の震災発生以来、国、市町村、消防本部、自衛隊などと緊密に連携を図りながら被災者の救援に全力を尽くすとともに、被災現場に足を運び、地元の市町村長や被害に遭われた方々などから直接お話を伺い、自分の目で被害の状況を把握し、避難されている方々に対する毛布、食料、水、燃料等の提供をはじめ、住居を失われた方々に対する県営住宅や県内宿泊施設等の提供、県税の減免等の特別措置の実施、生活福祉資金の特例貸付、災害援護資金の無利子化など被災者の生活を支える手だてを講じつつ、港湾、漁港、道路、河川等における支障物の撤去や施設の応急復旧、被災農漁業者及び中小企業者の早期の経営再建を図るための災害復旧資金の無利子化など、地域産業を支えるために必要かつ緊急を要する事柄について最優先で対応してまいりました。
 また、本県よりもさらに甚大な被害を受けた岩手県、宮城県、福島県に対して職員の派遣や物資の提供などの支援を行いつつ、未曾有の震災から一日も早く東北全体が復興するためには、国による早急な対応が必要不可欠であるとの考えから、県議会とも連携し、様々な支援策を国等に提案するなど、できる限りの対策についてスピード感を持って取り組んできたところであります。
 この結果、青森港を活用した東北地方全域への燃料輸送体制が早期に確立されたほか、今般成立した国の補正予算において、特別交付税の増額措置をはじめ、被災中小企業への金融支援や重点分野雇用創造事業の拡充等、本県が提案した内容に沿った支援策が一部盛り込まれたところであります。また、四月二十三日には八戸港のコンテナ貨物定期航路が再開し、四月二十九日には東北新幹線東京・新青森間が全線開通するなど、着実に復興への息吹が芽生えております。
 「東北の元気、日本の元気を青森から」
 私は、この思いで、本県の復興、そして東北の復興に全力で取り組んでまいりますので、議員各位の御支援と御協力を重ねてお願い申し上げます。
 それでは、上程されました議案について、その概要を御説明申し上げ、御審議の参考に供したいと思います。
 まず、議案第一号「平成二十三年度青森県一般会計補正予算案」について御説明いたします。
 今回の補正予算は、東日本大震災に係る国の補正予算が去る五月二日に成立したこと等を踏まえ、生活再建・産業復興対策として、被災者等の雇用対策に要する経費、被災漁業者の漁船取得等に対する助成に要する経費及び青森県特別保証融資制度の実施に要する経費等について、所要の予算措置を講ずることとしたものであります。
 その結果、今回の補正予算額は、歳入歳出とも百七十六億八千五十万円余となり、これと既決予算額とを合計いたしますと、平成二十三年度青森県一般会計の予算規模は、七千百九十七億九千二百十万円余となります。
 以下、計上の主なるものについて、款を追い、御説明申し上げます。
 総務費については
 企画費において、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、本県に立地する原子力施設の安全対策について独自に検証するための委員会の設置・運営に要する経費として四百八十万円余を計上いたしました。
 また、防災費において、本県の復興への中長期的な方向性を示すための仮称「青森県復興ビジョン」の策定に要する経費として三百四十万円余を計上いたしました。
 労働費については
 労政費において、今般の国の補正予算により重点分野雇用創造事業が拡充されたこと等に伴い、緊急雇用創出事業臨時特例基金について新たに二十五億千四百五十万円余を積み立てるとともに、当該積立金全額を震災により離職を余儀なくされた方々などの雇用・就業機会の創出を図るのに要する経費として計上いたしました。
 農林水産業費については
 「漁船なくして浜の再生なし」、「浜の再生なくして青森の再生なし」という強い思いのもと、水産業費において、被災した漁船、定置網の復旧を図るとともに、効率的かつ収益性の高い経営体を育成するため、漁船の共有化、協業化、操業の効率化等に向けた共同計画に基づいて行う漁船の新規建造、中古船の取得等及び定置網の整備に要する経費に対する助成として八十億円を計上いたしました。 
 商工費については
 商工費において、被災中小企業者に対する金融の円滑化を図るための青森県特別保証融資制度の拡充実施に要する経費として四十二億三千七百万円余を計上するとともに、十億九千四百六十万円余の債務負担行為を設定いたしました。
 以上が歳出予算の概要であります。
 次に、歳入について申し上げます。
 今回の補正予算の主なる財源としては、国の財源措置の内容を踏まえ、歳出との関連において、国庫支出金、繰入金、諸収入を計上したほか、普通交付税九千六百九十万円余を計上いたしました。
 以上が議案第一号「平成二十三年度青森県一般会計補正予算案」の概要であります。
 議案第二号「青森県監査委員の選任の件」は、青森県監査委員相川正光氏及び三橋一三氏の任期が平成二十三年四月二十九日をもって満了いたしましたので、後任の監査委員として工藤兼光氏及び岡元行人氏を適任と認め、両氏の選任について御同意を得るためのものであります。
 次に、専決処分した事項の報告及び承認を求めるの件について御説明いたします。
 報告第一号、報告第二号及び報告第四号から報告第六号までは、いずれも東日本大震災に係る生活再建・産業復興対策関連経費として本職において専決処分したものであります。
 報告第一号「平成二十二年度青森県一般会計補正予算」は、災害弔慰金の支給に要する経費、県内外の被災地における災害救助活動及び被災者の生活支援に要する経費等について、予算補正の必要が生じたものであります。
 報告第二号「平成二十二年度青森県下水道事業特別会計補正予算」及び報告第五号「平成二十三年度青森県下水道事業特別会計補正予算」は、いずれも馬淵川流域下水道における設備の応急復旧に要する経費について、予算補正の必要が生じたものであります。
 報告第四号「平成二十三年度青森県一般会計補正予算」は、青森県特別保証融資制度の実施に要する経費及び公共施設等の復旧に要する経費等について、予算補正の必要が生じたものであります。
 報告第六号「平成二十三年度青森県一般会計補正予算」は、災害援護資金の貸付け及び同資金の利子補給に要する経費、被災中小企業者及び農漁業者の早期の経営再建を図るための災害復旧資金の利子補給に要する経費等について、予算補正の必要が生じたものであります。
 報告第三号「平成二十二年度青森県一般会計補正予算」は、平成二十二年度の地方譲与税、寄附金等の額が確定したこと等に伴い、これらの歳入及び地域振興基金積立金等について、予算補正の必要が生じたものであります。
 報告第七号「東日本大震災の被災者に係る手数料の不徴収及び権利利益の保全等の特別措置に関する条例」は、東日本大震災の被災者が行う免許証の再交付、書換えその他の申請等に係る手数料の不徴収及び行政上の権利利益の保全等の特別措置について条例を定める必要が生じたものであります。
 報告第八号「青森県県税条例の一部を改正する条例」及び報告第九号「青森県県税の特別措置に関する条例の一部を改正する条例」は、国民生活等の混乱を回避するための地方税法の一部を改正する法律等が平成二十三年三月三十一日に公布され、その一部については、同年四月一日から施行されることとなったことに伴い、青森県県税条例及び青森県県税の特別措置に関する条例の一部を改正する必要が生じたものであります。
 報告第十号「青森県県税条例の一部を改正する条例」は、地方税法の一部を改正する法律が平成二十三年四月二十七日に公布され、その一部については、同日から施行されることとなったことに伴い、青森県県税条例の一部を改正する必要が生じたものであります。
 これらは、いずれも早急に措置する必要がありましたが、議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認め、本職において専決処分をいたしたものであります。
 以上をもちまして、提出議案の概要について御説明申し上げましたが、議事の進行に伴い、御質問に応じ、本職をはじめ関係者から詳細に御説明申し上げたいと思います。
 なにとぞ、慎重御審議のうえ、原案どおり御議決、御同意並びに御承認を賜りますようお願い申し上げます。
 なお、この機会に議長のお許しを得て、「青森県復興プラン」について御報告致します。
 去る五月九日の復興対策本部において、本県が「復旧から復興へ」と新たなステージに移行していくにあたっての方向性を示すとともに、今後の国の予算編成や制度設計等に対する提言ともなる「青森県復興プラン」を決定いたしました。
 これまで、被災された方々や事業者の皆様、県議会各会派や市町村をはじめ、水産業、農業、商工業、医療、福祉などの関係団体からも広く御意見を賜ったところであり、いただいた御意見を踏まえつつ、現時点での県の対応状況や課題を整理し、復興に向けた当面の取組みについてとりまとめた次第であります。
 今後、本プランに基づく取組みを迅速に進めることにより、震災により大きな被害を受けた本県が復興に向けていち早く立ち上がり、本格的な復興への第一歩を踏み出し、その歩みを着実に進めていくことが、東北の復興、日本の復興につながるものと考えるところです。
 プランの内容につきましては、「生活再建」、「産業復興」、「インフラ復興」という三つの分野を中心とした当面の取組みや国への提案・要望などで構成しております。
 当面の取組みのうち、
 「生活再建」に関しましては、「当面の資金と住宅の確保」、「雇用対策の強化」、「健康で安心して暮らせる生活環境の確保」について、
 「産業復興」に関しましては、「『攻めの農林水産業』の基盤復興」、「企業活動の維持と早期復興」、「『とことん元気な観光・輸出産業』の復興」、「風評被害の防止」について、
 「インフラ復興」に関しましては、八戸港をはじめとする物流・産業基盤、漁業基盤、農業基盤などの本格的な復旧への取組みについて、
それぞれ取りまとめたところであります。
 また、国への提案・要望に関しましては、この歴史的な大震災からの復興を実現していくためには、今までの仕組みや常識にとらわれることなく、国の全面的なバックアップのもと、地域の自主的・主体的な取組みによって進められるべき、という基本的な考えに立ち、縦割りではなく、地域の被害状況に即した復興対策を進めるための大規模な仮称「災害復興交付金」の創設をはじめ、がれき等災害廃棄物の撤去・処理に係る経費への支援、住宅再建の支援、雇用の維持・創出、被災した農林水産業者や企業等の事業再開に向けた支援、各種インフラ施設の早期復興に向けた支援、さらには原子力関連施設に係る安全・安心の確保対策などを盛り込んでいるところであります。
 今後は、情勢の変化や様々な御意見・御要望に柔軟に対応しつつ、このプランに基づいて復興に向けた取組みを適時適切に進めていく所存であります。
 以上、御報告といたします。

過去の議会説明要旨

この記事をシェアする

  • facebookでシェアする
  • twitterでシェアする
  • LINEでシェアする

フォローする

  • facebookでフォローする
  • twitterでフォローする