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更新日付:2009年3月6日

第二百五十七回定例会提出議案知事説明要旨(平成21年2月)

 本日ここに、県議会第二百五十七回定例会が開会され、平成二十一年度当初予算案をはじめ各般にわたる議案について御審議いただくに当たり、県政運営に関する基本的な方針について、申し上げたいと思います。

 私は、知事就任以来、「地域が変われば、日本が変わる」という強い信念のもと、私たちが生まれ育ったこの青森県を、より一層元気にし、暮らしやすさではどこにも負けない地域として発展させていくため、様々なシステムづくりに取り組んできました。
 産業を元気にするための「攻めの農林水産業」や「あおもりツーリズム」、「あおもり型産業」や「環境・エネルギー産業」の推進、そして県民がこの青森で安んじて暮らしていくための「保健・医療・福祉包括ケアシステム」や「医師確保のためのグランドデザイン」、命を大切にする心を育むための取組みなど、県民の皆様が、この青森の地でいきいきと暮らすことができるよう、また、希望を実現するためにチャレンジすることができるよう、新たな仕組みづくりを進めてきました。
 こうした取組みを積み重ねて活動の基盤を創り、そして豊かな地域資源を活用し、創造性を十分に発揮しながら、ひるまずに新しいものにチャレンジする、私は、このことこそが、私たち青森県の未来を切り拓く確かな力になると考え、これまで発展のための様々な土台を創り、種を蒔いてきました。そして今、次なるステージへ飛躍するための基盤が整い、新たな芽が育ちつつあると確信しているところです。

 しかし、今、世界的な景気後退の波が我が国を覆っています。
 米国発の金融危機に端を発した世界的な経済不況は、今もなお好転の兆しを見せておらず、このような世界経済の動きを背景に、我が国においても景気は急速に後退し、消費活動の鈍化や雇用問題が顕著になってきています。
 我が青森県も、こういった世界経済や日本経済の影響を大きく受けており、県内企業の経営や雇用面におけるマイナスへの動きが目立つようになってきています。
 先般、県として、緊急の雇用対策を取りまとめたところですが、今後、これにあわせて、これまで育んできた地域力をさらに伸展させるとともに、県民の皆様が安心して生活できるよう、あおもり型セーフティネットをしっかりと充実させていくことが重要であると考えています。

 また、平成二十一年度は、昨年十二月に策定した「青森県基本計画未来への挑戦」のスタートの年であるとともに、東北新幹線全線開業のための準備もしっかりと進めなければならない年でもあります。青森の持つ強みを活かした施策を重点的に進め、本県の新たな魅力や価値を創造し、発信していかなければならないと考えているところです。
 こうした考えに立ち、新たな一歩をしっかりと踏み出すため、雇用をはじめ県民の皆様の安全で安心な生活を守るための施策をしっかりと進めること、そして青森の得意分野である農林水産業やあおもり型産業を中心に据えた産業の振興や農商工の連携を図り、地域の力をさらに伸展させること、「人財」の育成や東北新幹線全線開業対策を進めることなど、本県の未来を創る施策にも重点的に取り組み、県民一人ひとりが輝いて生きられる社会、そして心の豊かさ、命・健康・環境など、暮らしやすさが守られ、安んじて生きられる社会を目指してスタートダッシュするための仕掛けづくりと、イノベーションを支えるための仕組みづくりに努めてまいります。

 そこで、平成二十一年度の重点施策について申し上げます。
 まず、「あおもりの未来づくり」になくてはならない「人財」の育成に取り組みます。
 人口減少が進む中にあって、持続可能な青森県づくりを進めるためには、県民一人ひとりの能力を一層高め、その能力を十分に発揮してもらう環境を整えていくことが必要です。そのため、青森県の未来へのいわば投資となる「あおもりの礎」づくりに全力を挙げて取り組みます。

 次に、「雇用の創出・拡大」に向け、仕事づくりに取り組みます。
 創業・起業の支援、企業誘致、異業種参入の促進、知的財産の創造、保護及び活用などによる雇用の場の確保、そして良質な仕事の場の創出・拡大を図ります。
 安全で安心な農林水産物や、水・環境・エネルギーといった本県の有する優れた資源を積極的に活用し、農商工の連携や光技術関連産業の育成、これまで進めてきたユビキタス社会に向けた先駆的取組みの伸展といった点にも留意しながら、創意工夫を凝らし、全力を挙げて雇用の場の創出・拡大に取り組みます。

 そして、県民生活の安定を支える「あおもり型セーフティネット」の構築に取り組みます。
 保健・医療・福祉包括ケアをはじめ、医師確保やがん対策、雇用対策、交通安全、防犯・防災などについて、地球温暖化防止が県民の暮らしと密接不可分であるという点にも留意しながら、県民が安んじて暮らしていける地域社会づくりに全力を挙げて取り組みます。

 また、いよいよ来年十二月に迫った「東北新幹線全線開業対策」に全力を挙げて取り組みます。
 東北新幹線全線開業という、本県の経済・社会に与える大きなインパクトを県勢の発展に直結させるためには、県民の皆様一人ひとりが、それぞれに何ができるかを考え、行動することが必要です。それこそが、本県の活性化の鍵であるといっても過言ではありません。県においては開業準備のための様々な施策を展開することとしておりますが、県だけではなく、市町村や観光関係者をはじめ、県民が一致協力して行動していくことが重要であると考えます。
 先日、JR東日本では、私が強く要請した津軽半島と下北半島を結びつける新型リゾート列車を運行させる旨、発表いたしましたが、このリゾート列車を最大限活かしていくための方策も検討することとしており、このような資源も十二分に活用し、県民の皆様と力をあわせ、全線開業への取組みを進めていきます。

 最後に、地域県民局による「地域における「生業(なりわい)」づくり」に取り組みます。
 それぞれの地域が持つ特長、個性を活かし、どのように「生業(なりわい)」を創出していくのか、それぞれの地域が持つ資源の資産価値をいかにして最大化していくのか、という視点から、地域における「生業(なりわい)」づくりの具現化に向けた取組みを推進します。

 一方、このような施策を推進していくため、昨年末に策定した「青森県行財政改革大綱」に基づき、県民サービスの維持向上を基本に、健全な県財政と効率性・柔軟性を重視した行政組織づくりを徹底して進めます。
 行財政改革については、平成十五年度に財政改革プランを策定し、翌十六年度には行政改革大綱の改定を行い、これらを両輪として、「自主自立の青森県づくり」の土台となる行財政基盤の確立に取り組んでまいりました。
 この間、職員数の適正化や組織の見直し、民間活力の活用、事務事業の見直し等、県行政全般にわたる大改革を断行してきましたが、国の財政再建の影響により、基金の取り崩しによる財政運営を余儀なくされるなど、財政運営の厳しさは依然として続いており、真に持続可能な財政構造を確立するためには、基金に頼らない財政運営を実現する必要があります。

 こうしたことから、持続可能な青森型社会を築き、次代にしっかりと引き継いでいくため、新たに策定した「青森県行財政改革大綱」に基づき、県民サービスの維持向上を基本に、健全な県財政と効率性・柔軟性を重視した行政組織づくりを徹底して進めます。
 そして、県政の運営にあたっては、「青森県行財政改革大綱」の冒頭にも述べておりますが、県職員全体が、「私たちは、安全・安心で豊かな県民生活の実現と青森県のさらなる発展に向けて、県民の皆様とともに、全力で取り組みます。私たちは、めざす姿を実現するため、強い意志と実行力をもったプロとして行動します。そして、柔軟で機動的な行財政運営を行い、イノベーションの波をおこし、自主自立の青森県づくりを進めます。」という心構えで臨みます。

 「県民のための行政」、常にこのことを念頭に、職員一同、思いを新たにして自主自立の青森県づくりにしっかりと取り組んでまいります。

 はるか縄文の昔から、私たちの先人は、様々な困難や厳しい状況を、幾度となく乗り越えてきました。私たちは、豊かな自然と共生しながら時代の基層文化を創り上げ、比類のない、誇るべき芸術を生み出した縄文人の魂を、強靱でしなやかな、そして闊達な精神を受け継いでいます。私たちが、私たちの力、私たちが受け継いだ力を信じて、持てる資源を活かし、進むべき方向をしっかりと見据えれば、きっと道は拓けます。
 私たちには先達から引き継いだ、自主自立の気風、未来を切り拓く力、そして活かすべき豊かな資源があります。今こそ、イノベーションに取り組む時です。変革の時であります。
 そして、まさに平成二十一年度は、新たな基本計画に掲げた「県民一人ひとりが輝いて生きられる社会、そして心の豊かさ、命・健康・環境など、暮らしやすさが守られ、安んじて生きられる社会」を目指して、新たな取組みを始める年であります。職員一同、思いを新たにして、皆様とともに未来への挑戦を進めていく覚悟です。議員各位並びに県民の皆様の御協力と御支援をよろしくお願い申し上げます。

 次に、提出議案について、その概要を御説明申し上げます。

 まず、議案第一号「平成二十一年度青森県一般会計予算案」について申し上げます。
 本県財政は、平成十五年十一月の財政改革プラン策定以降、徹底した行財政改革に取り組み、生活創造社会実現のための重点施策の推進や、新幹線鉄道整備事業費負担金等の県政が抱える緊急課題に係る財源を確保するとともに、平成二十年度当初予算では元金ベースでのプライマリーバランスを実質的に黒字に転換させるなど、財政構造改革を着実に前進させてきたところであります。
 こうした改革努力にもかかわらず、過去数年にわたる地方交付税総額の削減や社会保障関係経費の増加等により多額の財源不足が生じ、依然として厳しい財政運営を余儀なくされております。
 平成二十一年度当初予算の編成に当たっては、昨年十二月に策定した「青森県行財政改革大綱」に基づき財政健全化努力を継続しつつ、県税収入が急激に落ち込むなどの厳しい歳入環境にはあるものの、国の第二次補正予算に呼応した平成二十年度二月補正予算と一体で編成することにより、生活者や地方重視により措置された国の対応をも総動員して、本県の厳しい経済・雇用情勢と県民生活の安心確保のため、最大限対応することといたしました。
 また、「青森県基本計画未来への挑戦」の推進を図るため、「平成二十一年度 選択と集中 その基本方針」に掲げた「あおもりの未来づくり」、「雇用の創出・拡大」、「あおもり型セーフティネット」、「東北新幹線全線開業対策」の四つの戦略キーワードに基づく施策の重点化に努めるとともに、地域県民局による地域づくりの推進にも適切に対応することといたしました。
 以上の結果、年間総合予算として編成した平成二十一年度一般会計当初予算は、規模としては、六千九百十二億円、平成二十年度当初予算対比百六十六億円、二・三パーセントの減となったものの、平成二十一年度当初予算と一体編成した国の第二次補正予算に呼応した平成二十年度二月補正予算を合算した規模としては、七千百八十億円余、平成二十年度当初予算対比百二億円余、一・四パーセントの増となりました。
 また、元金ベースでのプライマリーバランスについては、地方交付税の原資となる国税収入や地方税収入の大幅減に伴い新たな赤字地方債が多額に生じたことから、再び赤字へと転じるといった厳しい状況に至ったものの、この特殊要素を除いた実質的な元金ベースでのプライマリーバランスでは、黒字幅の維持・拡大を図ることができたほか、財源不足額(基金取崩額)については、前年度当初比で大幅に圧縮するなど、「青森県行財政改革大綱」に掲げる財政健全化目標の実現に着実に対応し、新たな改革に向かって確かなスタートを切ることができたところであります。

 それでは、平成二十一年度の主要施策について、四つの戦略キーワードに沿って、その概要を申し上げます。

 第一は、「あおもりの未来づくり」についてであります。
 まず、あおもりの未来をつくる人財の育成については、
 きめ細やかな学習指導や生徒指導を実施するため、引き続き、小学校一・二年生及び中学校一年生を対象に、少人数学級編制を実施するとともに、新学習指導要領の先行実施や教育課題に対応するため、規模の大きな小学校及び中学校に非常勤講師を配置するほか、教師が子どもと向き合う時間を確保し、個に応じたきめ細やかな指導を可能とするため、外部の知見を活用し、学校運営の改善に取り組むことといたしております。
 また、家庭と連携した一貫性のある児童生徒の学習習慣の形成、教員の指導力の向上及び学校安全の充実を図るため、小学校・中学校・高等学校が連携して課題解決に取り組むほか、高校生が地域の産業等について主体的に学び、実践することにより、地域の活性化につなげる取組みを推進することといたしております。
 平成二十三年度に北東北三県で開催される全国高等学校総合体育大会については、引き続き、開催準備を進めるとともに、同大会において活躍が期待される有望選手の競技力向上を図ることといたしております。

 次に、あおもりの今をつくる人財の育成については、
 地域経済をけん引する人材の育成を図るため、県内製造業における経営・生産管理者及び企画・営業部門の従業員のスキルアップや、組込みソフトウェア及びユビキタス関連産業の技術者育成・確保を図ることといたしております。

 次に、人財育成のための仕組みづくりについては、
 地域の教育力を向上させるため、学校・家庭・地域が連携して子どもを育む機運の醸成を図るとともに、県民個々の学習成果を生かした社会参加を総合的に支援する仕組みづくりに取り組むほか、「人財」の育成を総合的に推進するための機能連携のあり方等について検討することといたしております。

 次に、安全・安心で質の高い教育環境の改善を図るため、県立学校校舎等の整備を計画的に進めることとしており、特に、耐震化対策については、平成二十五年度までの六か年計画を平成二十三年度までの四か年計画に前倒しするなど積極的に対応することといたしております。また、県内の公立小・中学校の耐震化を促進するため、耐震診断及び耐震補強工事を行う市町村に対する特別な負担軽減措置を平成二十年度二月補正予算において講ずることといたしております。
 このほか、私立学校については、経常費補助をはじめ、高等学校授業料軽減補助、特色教育支援経費補助等の助成を行い、特色ある教育の振興を図ることといたしております。

 第二に、「雇用の創出・拡大」についてであります。
 まず、農商工連携の強化については、
 中小企業の活性化及び農林水産業の振興を図るため、農商工連携による取組みを促進することとし、新商品の開発等事業化に向けた検討段階における取組みを重点的に支援するとともに、創業・経営革新等を促進するため、地方独立行政法人青森県産業技術センターが運用する「あおもり農商工連携支援基金」を造成することといたしております。また、農商工団体等と連携して、若手女性起業家を発掘・育成することにより、農林水産業及び農山漁村の持続的発展を図るほか、薬用植物等県内において生産量が少ない作物の大規模経営を行うビジネスモデルを構築し、建設企業の経営基盤の強化と雇用の維持・拡大を図ることといたしております。
 知的財産の創造、保護及び活用については、県内企業の国内外における競争力の強化のための有効な手段であることから、議案第十八号「青森県知的財産による新事業等の創出の推進に関する条例案」により、知的財産による新事業等の創出に関する県の責務並びに事業者、大学等及び金融機関に期待される取組みを明らかにするとともに、知的財産による新事業等の創出の推進に関する施策の基本となる事項を定めることといたしております。県では、本年四月に、知的財産支援センターを開設し、農商工連携等による知的財産を活用した新事業等の創出に向け、事業化に至る一貫した総合的な支援を行うことといたしております。
 このほか、工業総合研究センター、農林総合研究センター、水産総合研究センター及びふるさと食品研究センターの業務を行う地方独立行政法人青森県産業技術センターにおいては、機動的かつ効率的な試験研究等を実施し、本県の工業及び農林水産業の一層の振興を図ることといたしております。

 次に、あおもり型産業及び地域中小企業の成長促進については、
 引き続き、光技術をはじめとした先端技術を活用した産業、医療・健康福祉関連産業等のあおもり型産業の創出に向けた各種取組みを進めるほか、海外への事業展開を推進するための市場開拓・販路拡大に対する支援、中国アジア地域等におけるビジネス展開の促進を図るための商談会の開催、ビジネス交流の拡大のための市場調査、県内誘致企業が必要とする人材確保を支援するための本県出身の県外工学系大学生を対象とした就職フェアの開催等に取り組むことといたしております。
 また、厳しい経営を余儀なくされている県内中小企業の経営安定対策については、昨年十月に運転資金確保対策及び既存債務に対する資金繰り対策を、十二月には資金繰りを緩和するため、国の緊急保証制度をはじめとした信用保証制度が円滑に推進されるよう、青森県信用保証協会の体質強化を図ることとしたところであり、今回、二月補正予算において、青森県信用保証協会の与信力補完に係る対策を講ずることといたしております。平成二十一年度においても、引き続き、特別保証融資制度の積極活用により、中小企業者の事業活動の促進と経営の安定化を図ってまいります。

 次に、「攻めの農林水産業」のステップアップについては、
 新たに策定した「攻めの農林水産業」推進基本方針に基づき、消費者視点での取組みを推進することとし、「青森の販売力」を結集させるため、物産振興団体の再編強化を図るとともに、民間活力による大都市圏及び県内における県産品統一キャンペーンを展開するほか、首都圏における販売戦略拠点であるアンテナショップの機能強化や、消費者ニーズに対応し消費者に訴える商品づくりの促進を図ることといたしております。
 また、集落営農組織の法人化・企業化を進め、過疎化・高齢化の進行がみられる農山村地域を支える経営体として育成し、地域の維持・発展を図る仕組みづくりを行うことといたしております。

 次に、農林水産業の生産力強化については、
 本県が我が国有数の食料供給県としての地位を維持、発展させていくため、消費者の食に対する安全・安心志向にしっかり対応し、環境に配慮しながら全国に誇れる農産物の生産に取り組んでいくことが必要なことから、これまで展開してきた日本一健康な土づくりのレベルアップを図るほか、未利用水田を有効に活用できる転作作物の生産拡大や、全国有数の夏秋いちご産地の育成に向けた生産体制の整備と販路の開拓を促進することといたしております。
 また、産業廃棄物として処理される屑ながいもの有効活用を図るとともに、配合飼料価格の高騰に対応するため、屑ながいもを家畜飼料として活用するための技術確立に取り組むほか、地域の未利用エネルギーの有効活用による「冬の農業」の推進、高品質にんにくの生産供給体制の整備、木質ペレットボイラーの普及による木質バイオマスの地産地消の推進、最新型LED水中灯を使用した省エネ型いか釣り漁法の開発・実用化、ほや、しじみ、あゆの安定的な種苗生産技術開発等に取り組むことにより、農林水産業の生産力の強化を図ることといたしております。

 次に、環境共生型農林水産業の創生については、
 水稲、りんご等の温暖化に対応した栽培技術や、病害虫の防除体系の開発及び新品種の育成、高温耐性を持つ藻場造成用こんぶの育種及び藻場造成技術の開発を行うほか、大量かつ安定的な間伐材供給体制づくりによる間伐の推進に取り組むことといたしております。
 また、健全な農林水産業が支える地域の環境を将来に引き継いでいくためには、地場の資源や技術、人材を最大限に活用する「環境公共」の更なる推進を図ることが必要なことから、推進体制の強化を図るとともに、理念の理解促進に向けた情報発信を行うことといたしております。

 次に、エネルギー産業クラスターの形成については、
 原子力人材育成・研究開発推進構想の実現を国等に求めていくほか、国際熱核融合実験炉(ITER)計画と並行して取り組まれる幅広いアプローチとして、六ケ所村に整備される「国際核融合エネルギー研究センター」の円滑な立地推進に努めるとともに、EUとの国際共同による研究活動が展開されることに伴い、国際研究拠点にふさわしい教育環境の整備を進めることといたしております。

 次に、再生可能エネルギーの利活用推進については、
 電気自動車及びプラグインハイブリッド車の導入・普及を促進するためのマスタープランを策定するとともに、プラグインハイブリッド車等を県内各地に試験的に導入し、走行特性、充電特性などを踏まえた今後の普及方策を検討するほか、太陽光、地中熱、温泉熱などの自然エネルギーの普及及び利用促進に取り組むことといたしております。
 また、風力発電導入量全国第二位を誇る本県の特性を最大限活用し、風車のメンテナンス業務をはじめとした風力発電関連産業への県内企業の参入を促すとともに、排出量取引の試行などで我が国でも高まりつつあるグリーンエネルギー導入需要を背景にして、本県に立地する再生可能エネルギー発電施設等を活用した企業立地モデルを構築し、本県への企業立地の促進を図ることといたしております。

 次に、交流資源の活用については、
 本年一月に世界遺産暫定一覧表に追加記載された「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」の世界文化遺産登録に向けた機運醸成を図るとともに、世界遺産登録推薦に求められる条件整備を図るほか、三内丸山遺跡を総合的・体系的に紹介する展示・収蔵施設を縄文時遊館に整備することといたしております。
 また、観光客等が、携帯電話で店舗・施設等に関する情報等を容易に取得できるよう、ユビキタス技術を活用した利便性の高い連携システムの構築等に取り組むほか、ブロードバンド等の情報通信技術の利活用による地域活性化策をモデル的に実施し、ブロードバンド・ゼロ地域の解消につなげることといたしております。
 このほか、八戸港における貨物取扱量の拡大を図るため、津軽地域から八戸港までの輸送形態、輸送コスト等の調査検討を行い、港湾流通再編戦略の構築に取り組むことといたしております。

 次に、交流ネットワークの基盤整備については、
 上北横断道路や下北半島縦貫道路の早期整備が図られるよう国に強く働きかけていくほか、主要幹線道路ネットワークの整備促進に努めてまいります。

 第三に、「あおもり型セーフティネット」についてであります。
 まず、あおもりの安全・安心総合対策については、
 下位に低迷している平均寿命の改善のため、がん対策の一層の推進を図る各種の取組みを進めるとともに、ライフステージを通じた生活習慣の改善による生活習慣病予防のため、親と子の二世代を対象とした歩育・食育の推進による肥満予防に取り組むほか、自殺予防対策の徹底、周産期医療体制の強化を図ることといたしております。
 また、健康を支える地域医療サービスの充実を図るため、医師不足問題を打開するために策定した「医師確保のためのグランドデザイン」を踏まえ、県と市町村がパートナーとなって、医育環境の充実に取り組んでまいります。
 平成二十一年度は、引き続き、修学資金の貸与等による医学生の育成と県内定着の推進、県外の医師が安心して本県で勤務できるための受け皿となる機構の運営等による県外からの医師の確保促進、臨床研修制度への的確な対応等による医師の研修・研究体制の充実等に精力的に取り組むことに加え、医育環境の充実をより一層推進することといたしております。
 具体的には、海外連携医療機関である米国クリーブランドクリニックとの人的交流による県内の臨床教育水準の向上を図るほか、女性医師等が安心して妊娠・出産後も意欲を持って勤務できる環境整備を図るための相談窓口の設置や、サポートシステム・ネットワークの構築等に取り組むことといたしております。
 さらに、救急医療体制の充実・強化を図ることとし、ドクターヘリの運航体制確立のための人材育成等を図るほか、県立中央病院においては、救命救急センター及びヘリポートの整備に着手するとともに、弘前大学医学部附属病院が実施する高度救命救急センターの整備を支援することといたしております。
 人口減少の一要因である急速な少子化の進行に歯止めをかけるためには、様々なニーズを持つ子育て家庭に適切な支援を行うことが重要なことから、青森県子育て支援対策臨時特例基金を活用し、保育所の緊急整備及び認定こども園の整備を図ることといたしております。また、多様な保育サービス等に対応するため、県内市町村におけるファミリーサポートセンターの設置促進を図るほか、子育てしやすい地域づくりに向け、ほほえみプロデューサー等の養成と積極的活用を図ることといたしております。
 さらに、次代を担う子どもたちが健やかに育つ環境づくりをより一層推進するため、本年度、助成対象を拡充した乳幼児医療費助成を継続するとともに、青森県妊婦健康診査臨時特例基金を活用し、望ましいとされている十四回全ての妊婦健康診査が公費負担により実施可能となるよう、市町村を支援することといたしております。
 防災・危機管理機能の充実については、災害情報の迅速かつ確実な伝達手段を確保する青森県防災情報ネットワークの整備に着手することといたしております。
 また、新型インフルエンザ発生の危機に備え、生活基盤の確保を含む危機管理体制の構築、医療提供体制及び相談・検査体制の整備等を図るとともに、抗インフルエンザウイルス薬の備蓄を行うことといたしております。
 このほか、老朽化している弘前高等技術専門校及び障害者職業訓練校校舎、むつ警察署庁舎の建替えに向けた取組みを進めるほか、災害に強い県土づくりを推進するため、二月補正予算において、生活支援道路の整備や、河川・港湾における防災対策等の緊急かつ集中的な整備を図ることといたしております。
 地域防犯対策の推進については、防犯・交通安全・消費分野全般にわたって関係団体が連携・協働し、地域の安全・安心は地域で守る体制の構築を図るとともに、住宅防犯対策や万引き抑止対策を総合的に実施するほか、IC運転免許の導入により、偽変造運転免許証を使用した犯罪の防止を図ることといたしております。
 また、消費生活の安全・安心の確保を推進するため、青森県消費者行政活性化基金を活用し、消費者行政の充実・強化を図ることといたしておりますが、本基金の活用にあたっては、中期的な消費者行政活性化のための方針を策定する必要があることから、当面は、市町村と連携して方針の策定に取り組むことといたしております。
 本県における原子燃料サイクル事業及び原子力発電については、資源小国である我が国ではエネルギーの安定供給が不可欠との観点から、安全確保を第一義に国策に協力してまいりました。県としては、県民の安全・安心を確保するという立場から、これまでも立地村とともに事業者と安全協定を締結して、環境の監視を行うとともに、施設への立入調査を実施するなど、安全確保を第一義に取り組んできているところであり、今後ともこの姿勢を堅持してまいります。

 次に、雇用環境の整備推進については、
 現下の厳しい雇用情勢に対処するため、昨年十二月、県、青森労働局及び関係機関が連携し、県内事業所における雇用の維持、離職を余儀なくされる方々への再就職支援等を行うため、「青森県緊急雇用対策本部」を設置したところであります。
 本部においては、雇用調整、内定取消等の情報の共有化、事業主に対する雇用維持等の要請、関係機関の支援策の総合的な情報提供等を内容とする緊急の雇用対策を取りまとめ、去る一月七日には県内金融機関に対し、離職者への支援要請を行うとともに、離職者や事業主の方々に対し、各種雇用支援策を情報発信するための緊急雇用対策本部のホームページを開設したところであります。
 また、各機関の各種雇用支援制度を項目別に一覧できる「支援ナビ」を作成したほか、二月二十三日には弘前市に、四月上旬には三沢市に、国と共同で「青森県地域共同就職支援センター」を開設することとなっております。このセンターは、離職者、非正規雇用労働者、障害者の方々を対象に、求人情報の提供、カウンセリング、ガイダンスやスキルアップ講習会の開催など、様々な再就職支援をワンストップで提供できるもので、国への強い要請により、全国で唯一、県内二か所の設置が認められたところであります。
 さらに、平成二十一年度はこうした取組みに加え、青森県緊急雇用創出事業臨時特例基金及び青森県ふるさと雇用再生特別基金を最大限活用するなど、県、市町村を挙げて、雇用の維持・安定に全力で取り組むことといたしております。
 具体的には、離職を余儀なくされた非正規労働者等の一時的な雇用・就業機会を創出するとともに、継続的な雇用機会の創出につながる取組みを行うことといたしているほか、非正規労働者の正社員化を促進するための非正規労働者のスキルアップ支援や、離職予定者が失業を伴わずに円滑に再就職するための実践講座の開催、離職者等の円滑な労働移動の支援及び雇用の安定確保を図るための職業能力習得機会の提供を行うことといたしております。
 また、若年者の雇用拡大・維持を図るため、引き続き「ジョブカフェあおもり」の運営等による就職支援に取り組むほか、障害者の雇用促進と円滑な就職支援を推進することといたしております。

 次に、環境対策については、
 昨年六月にG8エネルギー大臣会合及び五カ国エネルギー大臣会合において採択された「青森宣言」を踏まえ、産業・運輸・民生などの各部門における低炭素・省エネルギー対策の強化を図るため、あおもり低炭素社会づくり戦略を策定するとともに、県内事業者における省エネルギー対策の取組みを支援するほか、環境教育の充実を図るため、各地域における環境教育サポーターの育成を行うとともに、環境教育を機動的に実施するための環境教育専用車の整備等を行うことといたしております。
 また、ごみ排出量の削減と、リサイクル率の向上を図るため、県民や事業者、市町村が一体となってごみ減量・リサイクルに取り組む県民運動の展開や、リサイクル率低迷の要因となっている紙ごみのリサイクルシステムの構築に取り組むことといたしております。
 このほか、県境不法投棄対策については、引き続き、不法投棄された産業廃棄物の掘削、選別、撤去等に取り組むとともに、環境の再生に向けた検討等を行うことといたしております。

 第四は、「東北新幹線全線開業対策」についてであります。
 間近に迫った東北新幹線全線開業を本県の産業振興や地域経済の活性化等につなげていくため、県民が一致協力して全線開業効果の最大限の獲得に向けた取組みを加速していく必要があることから、官民一体となって、「結集青森力」をスローガンに積極的に取り組んでまいります。
 まず、東北新幹線全線開業効果の拡大については、
 誘客宣伝活動の強化として、東北新幹線全線開業を契機に首都圏からの誘客促進を図るため、大型観光キャンペーンを展開することとし、平成二十一年度はプレキャンペーンとして、県内観光地等と首都圏をITで結ぶ情報交流拠点を設置するほか、開業予定時期である冬季における観光資源の魅力向上対策及び多面的な広告・宣伝を展開することといたしております。
 また、新たな魅力の創出を促進するため、各地域県民局が行う地域の魅力づくり等と連携し、本県を訪れる観光客が県内を広く回遊し、滞在時間を長くしてもらうことにより、宿泊客の増加につながるような滞在型観光を推進するためのモデルコースの設定と旅行商品の造成促進を図るほか、津軽半島と下北半島を周遊する新たなリゾート列車の導入に係る受入態勢について検討を行うことといたしております。

 次に、太宰治生誕百年記念事業については、
 太宰治の生誕百年を契機とした誘客促進と観光客の受入態勢の整備を行うこととし、津軽鉄道金木駅から太宰治の生家「斜陽館」を中心に太宰文学や津軽三味線をはじめとした伝統芸能などに触れられる体験・滞在型観光の態勢の構築支援を行うとともに、津軽鉄道芦野公園駅において小説「津軽」を題材とした県民参加型演劇を公演するほか、県立美術館及び近代文学館において特別展等を開催することといたしております。 

 次に、交流ネットワークの拡大については、
 航空路線対策として、平成二十二年度の羽田空港発着枠の拡大と東北新幹線全線開業を見据え、航空需要拡大方策や立体交通の実現に向けた検討及び県内空港の利用促進を図ることといたしております。
 東北新幹線八戸・新青森間の整備については、平成二十一年度の予算配分は三百五十億円と、平成二十年度の追加配分を加えた平成二十一年度末の進捗率は事業費ベースで九十六・一パーセントとなり、平成二十二年十二月開業に向け、順調に進捗しているところであり、新幹線駅と県内各地を結ぶ二次交通のあり方の検討及び整備促進を図るほか、全線開業効果を波及させるための県民意識の醸成に取り組んでまいります。
 また、東北新幹線全線開業と同時にJR東日本から経営分離される並行在来線八戸・青森間については、引き続き、開業に向けた各種事業に取り組むこととしており、鉄道施設事業特別会計において、運行に必要な施設・設備の整備を行うとともに、鉄道資産の取得に係る債務負担行為を設定することといたしております。
 並行在来線の資産譲渡については、無償若しくは低廉な価額での譲渡をJR東日本に求めてきたところでありますが、先般、県議会新幹線・鉄道問題対策特別委員会に御報告申し上げたとおり、JR東日本からは、本県への鉄道資産の譲渡価額については、税抜きでおおむね八十億円程度とし、あわせて、この価額を上回る貢献策を実施することが示されました。これにより、鉄道資産の譲渡については、長期的視点に立てば、県の実質的な負担は生じないものと考えております。開業準備を円滑に進めるため、来年度には、資産取得に係る文書を取り交わし、具体的協議を行い、事務を進めていく必要が生じたことから、今回、鉄道資産の取得に係る債務負担行為を設定することといたしたものであります。

 次に、国際交流の拡大・航空路線の強化については、
 国が推進するビジット・ジャパン・キャンペーンと連動し、韓国、台湾、香港における知名度向上及び誘客宣伝活動等を実施するほか、青森・ソウル線の利用促進を図るための交流訪問団の派遣や、韓国からの誘客促進を図るための各種取組みを集中的に展開することといたしております。
 最後に、各地域県民局が行う地域づくりについてであります。
 東青地域県民局では、地域住民とともに東青地域の未来戦略の検討等を行うとともに、温泉、そば等の地域資源を活用した地域力強化に取り組むほか、引き続き、中心商店街との協働による地産地消の推進等に取り組むことといたしております。
 中南地域県民局では、りんごを核とした「りんご観光」の創出のため、各種のりんご関連情報を収集し総合的に全国に発信するほか、津軽ならではの伝統工芸品を活用した新商品の開発支援や人材育成、地域内の温泉地の魅力アップを図る取組み等を行うことといたしております。
 三八地域県民局では、ものづくり産業の振興を図るため、企業が抱える課題に対するサポート体制を構築するほか、体験型観光の推進、産地直売施設の魅力向上等に取り組むことといたしております。
 西北地域県民局では、食品加工業等への参入を促進し、地域におけるいわゆる六次産業化を図るほか、米ビジネスの創出、窯業産地づくり等に取り組むことといたしております。
 上北地域県民局では、乗馬を活用した体験・滞在型観光の推進に取り組むほか、新たな担い手による肉用牛生産の底辺拡大、地域の農畜水産物のブランド力強化、土地改良区活動を軸にした未利用水田の有効活用等に取り組むことといたしております。
 下北地域県民局では、「下北学」を活用した観光人材の育成に取り組むほか、さけ資源の拡大に向けた海中飼育技術の開発、「一球入魂かぼちゃ」のブランド力強化等に取り組むことといたしております。
 また、市町村の自主的な地域づくりに対する支援については、現行の補助制度に市町村の財政力に応じた補助率の設定、複数市町村による連携事業の促進などの見直しを図ったうえで、引き続き、総額二億円の「創意と工夫が光る元気なあおもりづくり支援事業費補助」を実施することといたしております。

 以上が、平成二十一年度の主要施策の大綱であります。

 次に、歳入予算の主なるものについて御説明申し上げます。
 県税については、地方税制改正の内容、本県経済の動向等を踏まえ、千二百二十二億五千三百十万余円を計上いたしております。
 地方消費税清算金については、地方消費税の都道府県間における清算金二百七十一億三千八百九十余万円を計上いたしております。
 地方交付税については、原資総額の伸び率及び国の算定方針を基礎に、過去の交付実績等を勘案して普通交付税の交付見込額を推計したうえで、当初予算において二千三十二億三千五百万円を計上したほか、特別交付税については、三十五億円を計上いたしております。
 県債については、地方債計画、その運用方針等を勘案して積算のうえ、千百八十三億四千六百万円を計上いたしております。
 繰入金については、厳しい財政状況等に対処するため、財政調整基金から十億円、県債管理基金から三十一億円、公共施設等整備基金から十五億円及び地域振興基金から十五億円をそれぞれ繰り入れることといたしております。
 このほか、国庫支出金等については、主として歳出との関連において計上いたしております。
 以上が「平成二十一年度青森県一般会計予算案」の概要であります。

 このほか、上程されました議案の主なるものについて御説明申し上げます。
議案第二号から議案第十六号までは、青森県公債費特別会計等の特別会計及び青森県病院事業会計等の企業会計に係る予算案であります。
 議案第二十四号「職員の給与に関する条例の一部を改正する条例案」は、平成二十年十月九日付けの青森県人事委員会からの職員の給与等に関する報告及び勧告に基づき職員の初任給調整手当の額を改定し、給料の調整額の廃止、初任給調整手当に係る支給対象職員の範囲の拡大並びに特地勤務手当及びこれに準ずる手当、へき地手当及びこれに準ずる手当、義務教育等教員特別手当、産業教育手当、定時制通信教育手当並びに農林漁業普及指導手当の支給限度額の改定等を行うものであります。
 議案第二十五号「職員の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例案」は、平成二十一年四月から平成二十四年三月までの間、課長級相当以上の職員の給料月額の三パーセントから五パーセントを削減するものであります。
 議案第二十六号「職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例案」は、放射線取扱手当等を新設し、農薬散布作業手当等を廃止し、県税事務手当等の支給限度額を改め、その他所要の改正を行うものであります。
 議案第二十七号「職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例案」は、定年前早期退職者に対して支給する退職手当についてその算定の基礎となる給料月額の加算措置の特例の適用期間を延長するものであります。
 議案第三十二号「青森県環境保全基金条例の一部を改正する条例案」及び議案第五十二号「青森県三内丸山遺跡保存・活用基金条例の一部を改正する条例案」は、それぞれに定める事業に要する経費の財源として基金を処分することができることとするものであります。
 議案第七十五号「青森県教育委員会委員の任命の件」は、青森県教育委員会委員川村恒儀氏から来る三月三十一日をもって辞職したい旨の申出があったことから、補欠の委員として清野暢邦氏を任命いたしたく、御同意を得るためのものであります。
 議案第七十六号「青森県人事委員会委員の選任の件」は、青森県人事委員会委員佐々木忠一氏の任期が来る三月三十一日をもって満了いたしますので、後任の委員として同氏を再任いたしたく、御同意を得るためのものであります。
 議案第七十七号「青森県監査委員の選任の件」は、青森県監査委員林忠男氏の任期が来る三月三十一日をもって満了いたしますので、後任の監査委員として泉山哲章氏を選任いたしたく、御同意を得るためのものであります。
 議案第七十八号「平成二十年度青森県一般会計補正予算案」については、「平成二十一年度青森県一般会計予算案」の中で申し上げたとおり、去る一月二十七日に成立した国の第二次補正予算に呼応し、所要の予算措置を講ずるものであります。
 議案第八十一号「青森県消費者行政活性化基金条例案」、議案第八十二号「青森県子育て支援対策臨時特例基金条例案」、議案第八十三号「青森県妊婦健康診査臨時特例基金条例案」、議案第八十四号「青森県緊急雇用創出事業臨時特例基金条例案」及び議案第八十五号「青森県ふるさと雇用再生特別基金条例案」は、いずれもそれぞれに定める事業に要する経費の財源に充てるため、基金を設置するものであります。

 次に、専決処分した事項の報告及び承認を求めるの件について御説明いたします。
 報告第一号「平成二十年度青森県一般会計補正予算」は、平成十五年八月四日に発生した奥入瀬渓流落枝事故に係る損害賠償請求事件について、平成十九年一月十七日に言い渡された判決が去る二月五日に確定したことに伴い、損害賠償金の支払いに要する経費について、早急に予算措置を講ずる必要が生じましたが、議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認め、本職において専決処分をいたしたものであります。

 その他の議案につきましては、各議案の末尾に記載されている提案理由等のとおりであります。


 「登ったのは記録を作るためではなく、七十五歳の自分自身への挑戦。
  人類は常に未知の領域に挑戦している。
  私もさらに新しい可能性の扉を開いていきたい。」

 これは、先日、ギネス・ワールド・レコーズから「世界最高齢登頂」と認定された、我らが三浦雄一郎氏の言葉であります。
 「挑戦」、このことこそが私たちの未来を切り拓く鍵であると信じ、皆様とともに歩む覚悟です。
 以上をもちまして、県政運営に関する基本的な方針を申し述べるとともに、提出議案の概要について御説明申し上げましたが、議事の進行に伴い、御質問に応じ、本職をはじめ関係者から詳細に御説明申し上げたいと思います。
 なにとぞ、慎重御審議のうえ、原案どおり御議決、御同意並びに御承認を賜りますようお願い申し上げます。

第二百五十七回定例会追加提出議案知事説明要旨(平成21年2月)

 ただいま上程されました議案の主なるものについて、その概要を御説明申し上げ、御審議の参考に供したいと思います。

 まず、議案第八十七号「平成二十年度青森県一般会計補正予算案」について御説明いたします。
 今回の補正予算は、県税・地方消費税清算金の大幅な減収に伴い県税市町村交付金等について減額計上することとしたほか、現年発生災害復旧費を中心とする災害公共事業費、青森県特別保証融資制度貸付金や県立病院運営資金貸付金の貸付金等について大幅な減額を行うことといたしました。
 また、予算執行段階において経費の節減等に努めて生じた財源により基金の復元を図るほか、国庫補助事業の事務費の執行状況に関する調査に係る国庫補助金等の返還に要する経費等について所要の予算措置を講ずることといたしました。
 その結果、今回の補正予算額は、歳入歳出とも二百二十五億千百七十余万円の減額となり、これと既決予算額及び今定例会に既に提出しております補正予算額とを合計いたしますと、平成二十年度青森県一般会計の予算規模は、七千百四十四億三千七百七十余万円となります。

 歳入については、歳出との関連等において、国庫支出金、諸収入、県債等について、それぞれ増減額を調整のうえ計上したほか、県税について六十九億六千四百八十余万円、地方消費税清算金について十一億四千四百五十余万円を、それぞれ減額計上するとともに、道路特定財源の暫定税率の失効期間中における減収を補てんするため交付される地方税等減収補てん臨時交付金八億七千百九十余万円を計上いたしました。
 また、普通交付税については、交付決定額と既計上額との差額三十億千三百二十余万円を計上いたしております。
 以上が、「平成二十年度青森県一般会計補正予算案」の概要であります。

 このほか、上程されました議案についてでありますが、議案第八十八号から議案第九十九号までは、特別会計十件及び企業会計二件の予算補正に係るものであります。
 その他の議案については、各議案の末尾に記載されている提案理由のとおりであります。

 以上、提出議案の概要について御説明申し上げましたが、議事の進行に伴い、御質問に応じ、本職をはじめ関係者から詳細に御説明申し上げたいと思います。
 なにとぞ、慎重御審議のうえ、原案どおり御議決を賜りますようお願い申し上げます。

過去の議会説明要旨

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