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第二百四十九回定例会提出議案知事説明要旨(平成19年2月)

 本日ここに、県議会第二百四十九回定例会が開会され、平成十九年度当初予算案をはじめ各般にわたる議案について御審議を願うに当たり、県政の運営に関する所信を明らかにし、提出議案の概要について御説明申し上げ、議員各位並びに県民の皆様の深い御理解と御協力をお願い申し上げます。

 私は、知事就任にあたり、真に必要なものは「ふるさと再生・新生」であると考え、その実現のため「参加」、「共生」、「創造」そして「公平」の四つの基本理念を掲げ、自主自立の青森県づくりを目指し、「ふるさと青森県の再生・新生」の実現に全身全霊を捧げ、愚直と言われながらも不退転の決意で、常に県民の皆様の目線、生活者の視座に立ち、誠心誠意取り組んで参りました。
 この間の取組みは、何よりも行財政基盤確立のための改革でありました。
 決して次世代に負担を残さない、増やさないという強い決意の下、財政改革プランや中期的な財政運営指針を定め、身の丈にあった、すなわち財政力に見合った歳出規模への転換や、元利ベースでのプライマリーバランスの黒字化を達成したほか、行政改革大綱を改定し、県行政の抜本的な見直しを念頭に、組織機構の見直しや職員数の適正化等に取り組んで参りました。
 そしてまた、厳しい社会経済情勢が続く中、「人財育成」、「産業・雇用」、「福祉・医療」などの各分野において、ひとつひとつの施策をじっくりと進めて参りました。
 地域資源を活かした「攻めの農林水産業」の推進、「環境・エネルギー産業」の創出、「あおもり農工ベストミックス新産業創出構想」や「あおもりウェルネスランド構想」、更には「青森県エネルギー産業振興戦略」の策定、「達者村」や「海彦・山彦の里」事業等あおもりツーリズムの推進、喫緊の課題であり少子高齢化対策としても重要である「保健・医療・福祉包括ケアシステム」の推進や「医師確保のためのグランドデザイン」の策定、若年者の就職を支援する「ジョブカフェあおもり」や中高年の再就職を支援する「キャリア情報センター」の開設、原子力施策の安全対策の徹底や県民の安全安心に向けた取組み等、自主自立の青森県づくりに向け着実に進めてきたという思いがあります。
 このような取組みの結果、「ふるさと再生・新生」に向けての基礎固めはなされつつあるものと考えており、この間の議員各位をはじめ広く県民の皆様の御支援・御協力に対し、改めて心から感謝申し上げます。

 さて、我が国は今、戦後六十年余が経過し大きな転換期を迎えております。
 振り返ってみますと、我が国は、敗戦時のどん底から、昭和三十年代、四十年代の高度経済成長を経て世界に冠たる経済大国へと成長を遂げました。
 そして昭和六十年代から平成にかけてのバブル経済と、バブル崩壊後の「失われた十年」とも呼ばれる経済の失速時代を経験いたしました。
 現在、我が国の経済は、「いざなぎ景気」を超える戦後最長の景気拡大期にあるといわれておりますが、かつての力強さはとても実感できないというのが大方の意見のようであります。
 また、経済だけでなく、我が国の社会全体にも大きな変化が訪れております。
 戦後一貫して増加を続けてきた我が国の人口は、一昨年から減少に転じました。
 この流れは今後加速していくことが見込まれると同時に、少子高齢化が一層進行していくことも予測され、我が国は現在、世界に例のない、巨大な人口変動の入口に立っている状況にあります。
 このような状況を踏まえると、「団塊の世代」と呼ばれる方々の大量退職に伴う様々な影響を総称した「二〇〇七年問題」は、まさに現在の日本の社会経済情勢を象徴する言葉であるといえるでしょう。
 こうした変化が、我が国の経済システム、財政システム、社会保障システム等にも大きな影響を与えることは確実ですが、私は、それら諸システムの改革、改編の過程で「生産性」や「効率性」が過度に重視され、そのことが地域格差や企業・個人の所得格差等、様々な分野において、社会・経済のひずみを増幅させているのではないかと懸念しています。

 一方、昨年暮れには、十二年前の第一期分権改革に続き、第二期分権改革の原動力となる「地方分権改革推進法」が成立するなど、地方分権は着実に進展しておりますし、また今後とも一層推進していかなければならないものであります。
 こういった社会情勢にあっては、まさに地方の姿は地方自らが描きあげ、多様な地域力を活かして自らの地域の姿を創造していかなければならず、自主自立の地域経営に対する責任を果たすべき地方公共団体の役割は、ますます重要になるものと考えております。
 改めて「持続可能な青森型社会」の実現という重い課題に身の引き締まるような思いです。
 本県を取り巻く社会経済環境は、今後も厳しい状況が続くものと予想されますが、自主自立の青森県づくりを進めるためにこれまで進めてきた行財政改革や重点推進プロジェクトをはじめとする各種の取組みの種が、ようやくひとつずつ芽吹こうとしています。
 こうした種を豊かな実りに結実させていくことこそが、今の私の使命であると考えます。
 自主自立の青森県づくりを進め、「持続可能な青森型社会」、「生活創造社会」を実現させるためには、産・学・官・金融、そして県民の皆様との連携・協働の下に、青森県が持つ多様で恵まれた諸資源、「人財」、ネットワークを総動員した、自立する力、構想する力、行動する力といういわば青森県ならではの地域力である「青森力」を結集していくことが極めて重要であると考えております。

 そこで、平成十九年度の青森県重点推進プロジェクト(わくわくテン)においては、「結集!青森力」をスローガンに、引き続き「人財育成」及び「産業・雇用」を最重点課題とするとともに、「人」を創り、「人」と交わり、「人」と手を取り、「人」を守るため、「人口減少への対応」、「交流人口の拡大」、「地域づくり支援」及び「命を守る社会の形成」の四つの視点を中心に据えた取組みを進めることといたしました。
 まず最重点課題である「人財育成」については、あらゆる分野において、何をするにも最も基本となるものは「人財」であり、未来の青森県づくりの基盤である「人財」の育成は、私たちの最大の責務であることから、家庭、学校、地域、企業及び行政などの関係者が、より一層連携と協力を深め、中長期的な視点で「人財育成」を進めるべく「人づくり戦略」を策定し、県民、市町村と一体となって様々な取組みを進めていきたいと考えております。
 もう一つの最重点課題である「産業・雇用」については、青森ならではのものづくりを重視しながら「あおもり型産業」の創造・育成に向けた取組みを加速し、創業・起業への支援を進め、雇用の場を創出していきたいと考えております。
 産業振興の柱の一つである「攻めの農林水産業」においては、トップセールスなど、これまで以上に販売活動を強化するとともに、消費者が求める高品質な農産物の生産拡大と環境にやさしい農業の実践のため、有機資源を活用した地力の高い、日本一健康な土づくりに全県的に取り組むことを基本としながら、安全・安心で高品質な青森産品づくりを進めることとしております。
 また、環境とそれを支える農林水産業を一体としてとらえる「環境公共」の考えの下に、地場の資源、地場の技術、地場の人材を組み合わせながら、持続可能な農林水産業の基盤づくりを進めます。
 さらに、本県の比較優位の分野である、環境・エネルギー産業関連分野の取組みや、豊かな資源、優れた人材、様々な分野での最先端を行くローカルテクノロジーといった、本県が有する地域力というものを、産・学・官・金融の新たな連携の中でコーディネートし、新たな産業や仕事を創る仕組みづくりなどに取り組んでいくこととしております。

 次に、四つの視点について御説明いたします。
 まず、「人口減少への対応」につきましては、本県の人口減少の主因である若年層の県外流出を抑制するための取組みを進めるとともに、人口減少社会に対応し得る青森県づくりを進めることとしております。
 次に「交流人口の拡大」につきましては、団塊世代の大量退職や二○一○年東北新幹線新青森駅開業により、交流人口の飛躍的な拡大が期待されることから、産業や雇用の各分野にその効果を活かしていくこととしております。
 次に「地域づくり支援」につきましては、昨年四月、総合的な出先機関として、弘前市、八戸市、むつ市の三市に地域県民局を試行的に設置したところであり、各地域県民局においては、それぞれの実情に即した地域づくりのための施策提言をまとめ上げるなど、着実に成果をあげてきております。
 このような状況を踏まえ、各地域からの提言の具体化に向けた取組みを進めるとともに、新たに、青森市、五所川原市、十和田市の三市に地域県民局を設置し、市町村等地域との役割分担を図りながら、協調・連携して地域づくりを強化、推進していくこととしています。
 最後に「命を守る社会の形成」につきましては、全国各地において様々な事件や事故が発生している中、本県の未来を担う子どもたちをはじめ、県民が健やかに暮らせる安全・安心な社会を形成する取組みを進めることとしています。
 こうした視点を持って、重点施策を推進することとしておりますが、自主自立の青森県づくりを進めるためには、行財政基盤の確立が不可欠であります。
 このため、引き続き、中期的な財政運営指針に基づき、持続可能な財政構造の確立に取り組むとともに、行政改革実施計画に掲げた取組みを着実に進めていくこととしております。

 次に、組織・機構改革の主なる内容について御説明申し上げます。
 まず、地域県民局については、先ほども申し上げましたが、現在設置していない地域にも新たに設置し、県内全域をカバーするとともに、現在所掌していない産業・雇用・観光をはじめとした業務についても総合的に担当し、地域における県の総合窓口としての役割を担うこととするほか、局長の権限や内部組織体制等の見直しを通じて組織としての一体感を図ることとしております。
 次に、県立中央病院及び県立つくしが丘病院について、「県立病院改革プラン」の実施も踏まえ、地方公営企業法の全部適用により受けられる効果を十分活かすため、特別職である「病院事業管理者」を配置するとともに、病院事業管理者の広範な権限と責任の下で事業を執行するため、「病院局」を設置することとしております。
 以上が、平成十九年度の組織・機構改革の主なる内容でありますが、関係条例案として、今回、議案第二十三号「青森県行政機関等設置条例の一部を改正する条例案」及び議案第三十九号「青森県公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例案」などを提案いたしておりますので、よろしくお願いいたします。

 次に、平成十九年度の我が国の経済見通し等について申し上げます。
 日本経済は、平成十四年初めから五年にわたる景気回復を続けており、平成十八年七月に公表された「経済財政白書」においては、新たな成長を目指すための条件が復元したとされております。
 平成十八年度については、企業部門の好調さが、雇用・所得環境の改善を通じて家計部門に波及し、民間需要中心の回復が続くと見込まれております。
 平成十九年度の経済見通しについては、世界経済の着実な回復が続く下、企業部門・家計部門ともに改善が続き、改革の加速・深化と政府・日本銀行の一体となった取組み等により、物価の安定の下での自律的・持続的な経済成長が実現すると見込まれております。
 こうした結果、国内総生産の成長率は名目で二・二パーセント程度、実質で二・〇パーセント程度になると見通されております。

 次に、本県の経済動向について申し上げます。
 平成十八年度における本県経済のこれまでの動向を見ますと、生産面では、生産額のウェイトが高い食料品工業で原料不足から生産水準を落とす動きが一部に見られましたが、電子部品・デバイスや電気機械工業では、需要増による在庫調整が進んでいることから高い生産水準を維持するなど、持ち直しの傾向にあります。
 次に需要面を見ますと、住宅建設が堅調に推移しているほか、個人消費では軽自動車販売が好調を続ける一方、大型小売店販売は、春以降の天候不順や暖冬が影響し、盛り上がりに欠ける動きとなっております。

 次に、雇用面ですが、有効求人倍率が緩やかな上昇傾向にあるほか、今春の新規高卒者の就職内定率も前年比でプラスに推移するなど、改善の動きが出ております。
 このように、本県経済は、生産面を中心に、雇用面でも改善の動きが見られますが、依然として予断を許さない状況が続いております。
 このようなことから、引き続き「産業・雇用」を県政の最重要課題と捉え、地域経済の活性化と雇用の維持拡大に向けた取組みを徹底・加速して参ります。

 次に、提出議案について、その概要を御説明申し上げます。
 まず、議案第一号「平成十九年度青森県一般会計予算案」について申し上げます。
 本県財政は、地方交付税総額の大幅削減、国庫補助負担金改革等、近年の地方財政改革の進展による歳入環境の劇的変化により、財政改革プランや青森県行政改革大綱に基づく財政健全化への取組みを徹底・加速してもなお財源不足額の大幅な拡大を余儀なくされ、元来、自主財源に乏しく脆弱な財政構造にある本県財政は厳しい状況に立ち至っております。

 また、国では財政健全化に向け、歳出改革路線を継続することとし、その一環として、地方歳出の厳しい抑制方針を示しており、今後とも地方一般財源の総額確保に相当の困難が予想される一方で、歳出面においては、社会保障関係費や公債費等の義務的経費の増加が見込まれるなど、財政環境は一層厳しさを増すものと見込まれております。
 このため、平成十九年度当初予算の編成に当たっては、平成十七年十月に策定した「中期的な財政運営指針」に基づき、中長期的視点に立って公債費や人件費などの義務的経費等の改革を進めていくとともに、引き続き、財政改革プラン及び青森県行政改革大綱に基づく取組方策を徹底・加速し、「県債発行の抑制等により、平成二十年度までの元金ベースでのプライマリーバランスの黒字化達成に向けた改善を着実に進めること」及び「拡大が見込まれる財源不足額について、中期財政試算・ローリング(平成十八年十月試算)以下に圧縮すること」を目標に掲げ、「改革努力の継続」に努めることとしたところであります。
 また、構造的改革への不断の努力により財政の自由度を高めながら、「施策の選択と重点化」をこれまで以上に徹底し、「人財」及び「産業・雇用」を最重点分野と捉えつつ、「人口減少への対応」、「交流人口の拡大」、「地域づくり支援」及び「命を守る社会の形成」といった視点に特に意を用い、青森県の将来像としての「生活創造社会実現への加速」に努めたところであります。

 以上の基本的な考え方により編成した平成十九年度青森県一般会計当初予算の規模は、歳入歳出とも七千百七十億円となり、前年度当初予算に対して、五十一億円、〇・七パーセントの減となっております。

 また、財政構造の観点からは、歳入環境の変化や義務的経費に係る歳出増圧力がある中で、平成十六年度当初予算編成以降、四年連続して元利ベースでのプライマリーバランスの黒字化を達成し、将来世代への最低限の責任を果たすことができたことに加え、元金ベースでのプライマリーバランスの着実な改善、義務的経費の縮減、普通建設事業費における単独事業費から補助事業費へのシフトなど、たゆみない改革努力の継続が図られたものとなっております。

 以下、平成十九年度の主要施策について、「生活創造推進プラン」の五つの社会像に沿って、その概要を申し上げます。

 第一は、「青森の豊かさを知り、夢をもって未来を拓く社会」についてであります。
 まず、「子どもたちの生きる力と夢を育む教育の推進」については、
 きめ細かな学習指導や生徒指導を実施するため、引き続き、小学校一・二年生及び中学校一年生を対象に、少人数学級編制を実施するほか、小・中学校の教育課程を見通した一貫性のある指導内容・指導方法について、工夫や改善を図るための調査・研究に取り組むことといたしております。
 また、小・中学校教員の授業力及び特別支援学校教員の専門的な指導力の向上を図るための退職教員等によるモデル授業及び専門研修等を実施することにより、児童生徒の学力向上等を図ることといたしております。
 さらに、多くの高校生の社会参加を推進する仕組みづくりを構築することにより、自主自立の青森県を支える「逞しい高校生」を育成することといたしております。
 私立学校については、経常費補助をはじめ、高等学校授業料軽減補助、特色教育支援経費補助等の助成を行い、特色ある教育の振興を図ることといたしております。
 このほか、自主自立の青森県づくりに向けて、自主的に考え、自ら行動し、目標の実現に向けて挑戦していく人材を育成するための人づくり戦略の策定や少子化を前提に地域特性に応じた人材育成方策の検討及び人づくり戦略の推進に向けた人的ネットワークの構築等に取り組むことといたしております。

 次に、「地域の教育力を高める環境づくりの推進」については、
 地域社会全体で子どもを育む環境づくりを推進するため、教育活動を支援する地域コーディネーター等を養成するとともに、退職教員を活用した学校支援の仕組みづくりを行うことにより、地域の教育力の向上を図ることといたしております。

 次に、「文化・スポーツの振興と国際交流の推進」について御説明申し上げます。
 まず、芸術文化の振興についてであります。
 昨年七月に開館した県立美術館の開館記念展「シャガール『アレコ』とアメリカ亡命時代」は、県民の皆様をはじめ、全国の十九万人を超える方々に堪能していただき、青森の元気を全国に向けて発信することができました。
 今後も、県立美術館を三内丸山遺跡や縄文時遊館と一体となって青森県の個性豊かな芸術文化を世界に向けて発信する文化観光拠点として位置付け、美術にとどまらず、演劇、音楽、舞踊、映画など様々な芸術活動を展開することにより、新たな美術館としてのイメージを国内外に強くアピールし、国内外から多くの観光客の方々に訪れていただけるよう取り組んで参りたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 平成十九年度の企画展としては、「工藤甲人展」、「旅順博物館展」、「ロシア舞台芸術の世界展」及び「棟方志功と崔榮林展」を開催するとともに、県立美術館の総合的な芸術拠点としての魅力向上策の一環として、県民参加型演劇を制作及び上演するほか、韓国との演劇交流として、県立美術館と韓国の劇作家の双方が創作した脚本による演劇をソウル、青森、東京で上演することといたしております。
 次に、スポーツの振興については、
 誰もが気軽に楽しめるスポーツ・レクリエーション活動の振興を図り、県民が生涯にわたりスポーツに親しむことができる環境づくりを推進するため、本年九月、「第二十回全国スポーツ・レクリエーション祭」を開催することといたしております。
 また、本県で開催される全国中学校体育大会各種目別大会の開催経費に対し助成するほか、平成二十三年度に北東北三県で開催される全国高等学校総合体育大会の開催準備を進めることといたしております。
 次に、国際交流の推進については、
 本県が友好協定を締結している各地域の特性に応じた分野での交流を引き続き推進するほか、経済交流協定を締結している中国大連市との交流を進めることといたしております。

 第二は、「いきいきと働ける豊かな社会」についてであります。
 はじめに、「働く場の創出・充実」について御説明申し上げます。
 まず、雇用の促進については、
 若年者の雇用拡大・維持を図るため、引き続き「ジョブカフェあおもり」の運営等を通じて、若年者の就職支援に取り組むほか、若年者の早期離職を防止するための新社会人に対する地域巡回カウンセリングや電話相談等を実施することといたしております。
 また、本年度開設した「キャリア情報センター」において、団塊世代を中心とした働き盛りの離退職者等に対し雇用に関する様々な情報提供・相談等を行うほか、首都圏等に在住する本県出身者等の県内企業への就職促進を図るための相談員の設置及びインターネットによるUターン求人求職検索システムの構築を図ることといたしております。
 さらに、障害者の就業促進及び障害者雇用の理解を深めるため、県の出先機関において障害者の短期研修を実施するほか、障害者のITを活用した在宅就業を支援するため、仲介支援団体が行う受注促進のためのPR活動等を支援することといたしております。
 次に、県民仕事づくりについては、
 団塊世代が本県で活躍できる環境等を整備することにより、長年培ってきた知識・経験・技能等を本県の産業振興や人材育成、地域づくり活動の活性化に結びつけ、交流人口の拡大と地域経済の活性化を図るほか、橋梁長寿命化補修市場の拡大に対応し、県内建設関連企業が本県出身の団塊世代の特殊・専門技術者を受け入れることにより県内建設関連企業のスキルアップを図ることといたしております。
 また、本県における起業を促進するため、引き続き、弘前市において創業準備スペースを提供するとともに、より多くの創業希望者に対する幅広い創業支援を行うほか、企業育成の視点に立った観光産業の振興や若手商業者の育成等に取り組むことといたしております。
 さらに、下北地域に立地する国等の各種機関との連携を促進し、下北地域における人材の育成及び地域雇用の創出等を図るための戦略を策定することといたしております。
 このほか、中国アジア地域を対象とした海外ビジネス展開を促進するため、中国アジア地域内で開催される交易会等への参画を支援するとともに、本県及び中国大連市双方の投資促進に向けた商談会等を開催するほか、ロシア連邦ハバロフスク地方における県内企業の経済交流を促進するため、ビジネス市場調査の実施及び経済調査団の派遣等を行うことといたしております。
 県内中小企業に対する特別保証融資制度については、県内中小企業を取り巻く環境が依然として厳しい状況に置かれていること等に対処するため、引き続き「セーフティネット資金」をはじめとする金融支援を実施するほか、新たに「地域成長企業応援資金」や「新幹線開業対策資金」を創設することといたしております。

 次に、「『攻めの農林水産業』の推進」について御説明申し上げます。
 まず、市場競争に打ち勝つ販売活動の強化については、
 マーケティングに基づく商品力・競争力の強化、販売活動の促進を図るため、付加価値の高い商品づくり、戦略的な販売活動の実践等に対し支援するほか、金融機関、事業者との連携により優れた県産品の掘り起こしを行い、首都圏への販路拡大を図るための展示商談会の開催を行うとともに、大手量販店、食品スーパー及び卸業者等との連携による県産品の販路拡大等に取り組むことといたしております。
 さらに、米とりんごの新品種を売れる商品として銘柄確立するためのプロモーション活動等を展開するほか、米、りんご、野菜、ほたてがい等のブランド力向上と消費拡大を図るため、農林水産団体が実施する消費宣伝等に対する助成を行うとともに大手量販店等における県産品フェアの開催等に取り組んで参ります。
 次に、安全・安心の青森産品づくりについてであります。
 本県が我が国有数の食料供給県としての地位を維持、発展させていくためには、「攻めの農林水産業」を推進するうえで、最も重要な消費者の食に対する安全・安心志向に、しっかり対応し環境を守りながら全国に誇れる農産物の生産に取り組んでいく必要があります。
 本県の全農業者が共通の目的を持って、稲わらや畜産有機質資源等の活用による日本一健康な土づくり実践活動を全県的に展開していくことにより、環境にやさしい農業の普及を図り、ながいもをはじめとする高品質な農産物の生産及び販売の拡大を目指すことといたしております。
 また、冬の農業の推進及び建設業者等異業種参入による雇用創出を図るため、中南地域において野菜テラスの導入による野菜周年栽培の実証等を行うほか、県立柏木農業高校との連携による自然エネルギー等を活用した新たな栽培技術の検討等を行い周年栽培作物の拡大等を目指すことといたしております。
 さらに、生産・流通団体等が農産物の出荷前段階に自主的に行う残留農薬検査等の実施に対し支援を行い、農産物の安全・安心を確保することといたしております。
 このほか、りんごわい化栽培の推進や新たなりんご加工需要の創出を図るほか、優良種雄牛の活用などによる高品質な肉用牛生産を維持発展させるための産地体制づくり、資源管理型漁業やつくり育てる漁業などによる水産物の安定生産等を推進していくことといたしております。
 次に、山・川・海をつなぐ「水循環システム」の再生・保全についてであります。
 私は、県内に広がる里地里山や田園空間などの自然環境は農林水産活動による持続的な働きかけによって形成されたものであり、また、農林水産業の持続的な発展によって、これらの環境を良好な姿で次世代に引き継ぐことが可能であり、また必要であると考えております。
 こうしたことから、農業農村整備事業を含め農林水産業を支える、山・川・海の水の循環の健全化につながる公共事業のことを「環境公共」と位置付け、重要性をアピールしているところですが、平成十九年度は、「環境公共」の一層の推進を図るため、事業実施の各段階において地場の資源・技術・人材の更なる有効活用等について検討を行い、県民本位の新たな公共事業実施のかたちを構築することといたしております。
 次に、あおもり発食文化・農村文化の発信については、
 津軽地域で古くから伝承されている田舎料理を提案・普及することにより、地産地消の更なる推進及び観光への波及効果の創出を図るほか、農村文化の学習や森林体験などの場を地域ぐるみで提供する仕組みづくりや農家民宿の拡大等により「あおもりツーリズム」の推進を図ることといたしております。
 次に、農林水産業を担う革新的な経営体の育成については、
 創造力、実行力、経営力に優れた本県農業のトップランナーを育成するため、農業者、教育者等とのコラボレーションによる青年農業者育成システムの構築に向けた調査研究を行うことといたしております。 また、りんごの在庫量が一定基準を上回った場合等における価格浮揚を図るための緊急需給調整対策事業及び価格暴落時における次年度の再生産を図るための経営安定対策事業に要する交付準備金の造成に対する支援を行うほか、災害に強い漁業経営体の育成を図るため、引き続き、漁業生産に意欲のある優良な経営者等の共済掛金に対し助成を行うことといたしております。

 次に、「『あおもりツーリズム』の推進」について御説明申し上げます。
 四年後に迫った東北新幹線新青森駅開業を本県の産業振興や地域経済の活性化等につなげていくためには、地域一体となって取り組む必要があります。
 このことから、昨年十二月には県内の経済産業界、農林水産団体、交通事業者など各界各層の代表者からなる全県的な組織である「青森県新幹線開業対策推進本部」が設立され、また、去る二月五日には、庁内に「新幹線開業効果活用推進会議」を設置し、新幹線開業効果の最大限の獲得に向け、全庁をあげて取り組んでいくことといたしております。
 その主な取組みとして、県内外の団塊世代を本県に環流・流入させるための受入体制の整備を進めるとともに、新幹線開業効果を全県的に波及させるために観光、産業振興、交通アクセス等の各分野においてそれぞれの地域が重点的に推進するシンボルプロジェクトに対する支援を行うほか、新青森駅開業に向けて、県内各地の魅力向上、観光客の県内周遊促進のための取組みや大都市圏からの誘客を促進するための首都圏での観光キャンペーン等を実施することといたしております。
 また、東北新幹線新青森駅開業を八戸駅にとっての第二の開業として捉え、三八地域の交流拠点としての魅力を高め、更なる交流人口の拡大につなげていくため、地域の様々な資源や機能を最大限活用するための方策等の検討を行うことといたしております。
 東北新幹線新青森駅開業は、本県経済活性化の起爆剤となるものであり、千載一遇のチャンスであることを強く認識し、観光分野のみならず様々な分野において開業効果を獲得するため積極的に対応して参ります。
 青森空港については、本年三月十五日から供用開始する計器着陸装置カテゴリーIIIの導入を絶好の機会として捉え、引き続きエアポートセールスを強力に推進するほか、ソウル便の利用促進策をはじめ、より一層の国際化を目指した活動を展開していくことといたしております。
 このほか、国が推進するビジット・ジャパン・キャンペーンと連動し、韓国、台湾、中国大連市、ロシア連邦ハバロフスク地方を海外戦略の重点市場として、通年での集客及び交流人口の拡大を図るための誘客プロモーションを実施することといたしております。

 次に、「青森の特性を踏まえた地域産業の振興」について御説明申し上げます。
 まず、先端型成長産業の創造・育成については、
 あおもり型産業の集積と振興を図るため、医療・健康福祉、あおもり農工ベストミックス、環境・エネルギーなど各分野に関連する業界・企業のニーズを把握し戦略的な企業誘致活動を実施することといたしております。
 また、本県のエネルギー分野のポテンシャルを地域経済の活性化につなげていくため策定した「青森県エネルギー産業振興戦略」の着実な推進を図るための体制整備及び戦略に掲げた取組みの具体化に向けた調査を実施することといたしております。
 さらに、国際熱核融合実験炉(ITER)計画については、次世代炉の本県への誘致も念頭に置きながら、「国際核融合エネルギー研究センター」等幅広いアプローチの六ヶ所村への円滑な立地推進に努めるとともに、同センター等の立地を本県発展のために活用していくための可能性について調査・検討を行うことといたしております。
 次に、ローカルテクノロジーなどを生かした地域産業の振興については、
 あおもり農工ベストミックス新産業創出構想の戦略プロジェクトの実現に向けた研究及び実証プロジェクトの支援等を行うほか、医療・健康福祉関連産業の創出・育成を図るため、あおもりウェルネスランド構想の戦略プロジェクトの具体化促進のためのビジネスモデルの作成、開発製品のPR等を実施することといたしております。
 また、本県が保有するインフラについて、総合商社との連携により新たな利活用方策を調査・検討することといたしております。
 次に、産業創出のための環境づくりについては、
 地域資源を活用した創業の促進及び企業の育成を図るため、独立行政法人中小企業基盤整備機構の事業を活用し、民間経済団体とともに二十億円の地域ファンドを創設するほか、県内中小企業者による地域資源を活用した創業・経営革新等の新たな取組みを支援するため、財団法人21あおもり産業総合支援センターにおいて、同機構の事業を活用し五十億円の「スタート・アップ応援型ファンド」を創設することといたしております。
 また、中南地域を中心に集積している光技術関連企業の連携による新技術・新製品の研究開発を促進するため、光産業に関する最新情報の共有や産業集積に向けた同意形成を目的とするフォーラム等を開催することといたしております。
 次に、産業振興のための人づくりについては、
 全国的に需要が増大している組込みソフトウェア分野への対応を促進するため、県内企業等を対象にした技術研修等を開催することといたしております。
 また、人口減少社会に対応し、安定した明るい地域社会の形成を図るための長期的視点に基づく本県の将来像を描くとともに、その将来像に向けた今後の取組みのあり方について検討することといたしております。

 第三は、「健やかで安心して暮らせる社会」についてであります。
 まず、「健康寿命アップの推進」については、
 県民の健康寿命の延伸を図るための県民健康づくり運動「健康あおもり21」の着実な推進を図るとともに、自殺予防を推進するため、関係者の一層の連携による自殺予防体制の構築を図ることといたしております。
 また、本県の豊富な農林水産物等を活用し、心身共に健康で活力に満ちたくらしを実現するため、食育県民運動を推進することといたしております。
 次に、「医療サービスの充実」についてであります。
 私は、本県における慢性的な医師不足問題の深刻さに鑑み、これまで、高校生への職業教育や新たな修学資金を発足させるなどの医学部進学対策、必修化された臨床研修制度に的確に対応するための指導医の育成や研修医の増加促進、県外の医師が安心して本県で勤務できるための受け皿となる機構の設置など医師確保対策に精力的に取り組んで参りました。
 また、「日本きっての『良医』を育む地域づくり」に取り組むこととし、平成十七年十一月に「医師確保のためのグランドデザイン」を策定し、県と市町村がパートナーとなって、すぐれた医育環境の充実に取り組んできているところであります。
 平成十九年度は、これらの取組みの充実に加え、医師・看護師の定着を一層推進することといたしております。
 まず、県内の臨床教育水準の向上を図るため、海外連携医療機関からの指導医の短期招へい等交流事業を実施するほか、へき地医療に興味を持つ県内外の医学生を受け入れ、将来のへき地勤務医師の養成を図ることといたしております。
 また、医学部入学者の増加を図るための県内高校生を対象とした医療施設見学等の実施や、臨床研修指導医の事務負担軽減のために専属のメディカルクラーク(医療秘書)を配置する経費に対する助成等を行うことといたしております。
 このほか、救急医療体制の充実強化については、救急医療に関する訓練を積んだ看護師を防災ヘリコプター等に搭乗させ、重篤な救急患者に対する速やかな救命措置等を行う体制の整備を図ることといたしております。
 県立病院については、県立つくしが丘病院の改築・改修を行うことといたしております。
 次に、「親と子の健やかな育ち合いの推進」については、
 次代を担う子どもたちが、命を大切にし、他人への思いやりを持ち、たくましく生きていけるよう、県民一体となった「命を大切にする心を育む県民運動」を県をあげて推進するとともに、県民運動を地域に定着させるための体制づくりを進めることといたしております。
 また、「ほほえみ」と「笑い」で子育て中の保護者に精神的ゆとりを生み出すことをテーマとした研修等を通じて、児童虐待の発生予防を図るとともに、地域子育て支援を担う人材を育成することといたしております。

 第四は、「環境と共生する循環型社会」についてであります。
 まず、「水と緑の自然環境づくり」については、
 津軽半島地域に生息するニホンザルの適正な保護管理を行うための生息状況の調査等を実施するほか、県内に生息しているツキノワグマによる人的・農作物被害等に対処するため、被害防除マニュアルの策定及びテレメトリー調査による保護管理対策を検討することといたしております。
 次に、「ゼロエミッションをめざす資源循環の推進」については、
 認定リサイクル製品の品質・安全性を広くPRし、全県的な使用推進を図るための認定リサイクル製品を使用したモデル事業を実施するほか、県内事業者等による事業系一般廃棄物の減量化及び再資源化を目的とした地域連携ネットワークの構築に対し助成することといたしております。
 次に、「廃棄物処理・公害防止対策の推進」については、
 県と産業界、関係団体等が協働して行う廃棄物の撤去作業体験キャンペーンや環境フォーラム等の不法投棄防止対策に対して助成することといたしております。
 また、県境不法投棄対策については、遮水壁工事の完成を図るほか、引き続き、不法投棄された産業廃棄物の掘削、選別、撤去等に取り組むことといたしております。

 第五は、「安全・安心で快適な社会」であります。
 まず、「安全・安心な生活環境づくり」については、
 安全・安心まちづくりに関する活動を行う団体等を育成し、犯罪の発生しにくい環境づくりを推進するほか、子ども自身の危機回避能力を高めることにより、犯罪に巻き込まれないようにするための学校、家庭、地域社会との連携・協力による安全教育の推進を図ることといたしております。
 また、小・中学生を対象とした交通安全検定の実施と高齢者を対象とする参加・体験・実践型の交通安全教室の開設により、交通安全教育の充実強化に努めることといたしております。
 このほか、老朽化した弘前自動車運転免許試験場の移転新築に係る調査設計を行うことといたしております。
 次に、「災害に強い地域づくり」については、
 地震による建築物崩壊被害を防ぐため、市町村が実施する昭和五十六年五月以前に建築された住宅の耐震診断事業に対し助成を行うほか、管理者が異なる既存の排水路・側溝等を連携させ、局所的集中豪雨の発生時に迅速に排水する「減災対策」を推進することといたしております。
 次に、「原子力安全対策の推進」について申し上げます。
 本県における原子燃料サイクル事業及び原子力発電については、資源小国である我が国ではエネルギーの安定供給が不可欠との観点から、安全確保を第一義に国策に協力して参りました。
 県としては、県民の安全・安心を確保するという立場から、これまでも立地村とともに事業者と安全協定を締結して、環境の監視を行うとともに、施設への立入調査を実施するなど、安全確保を第一義に取り組んできているところであり、今後ともこの姿勢を堅持して参ります。
 次に、「交流を支える基盤づくり」について御説明申し上げます。
 まず、ITの活用による県民生活の向上については、
 多様な広報媒体を活用しながら県政に関する情報を積極的に発信し、県民と行政が情報を共有できる体制を整備することといたしております。
 また、本年十月、「地域ICT未来フェスタ」を開催することといたしております。
 このほか、これまで青森市、弘前市、五所川原市において、ユビキタス技術の最先端を行く実証実験に取り組んで参りましたが、来年度も引き続き、ユビキタスネットワーク社会の実現に向けて、新しい情報通信技術の利活用推進のための調査・検討を行うほか、携帯端末による総合交通情報システムの開発を行うことといたしております。
 次に、利用しやすい生活交通の確保については、
 東北新幹線新青森駅開業と同時にJR東日本から経営分離される並行在来線八戸・青森間に係る各種調査等を実施するほか、並行在来線八戸・青森間開業後の運行管理を行う指令システムの整備等を行うことといたしております。
 次に、交通ネットワークの整備についてであります。
 まず、平成十九年度の東北新幹線八戸・新青森間の整備に係る予算配分については、前年度に比べ約百十一億円、二十二・二パーセントの増となっております。
 八戸・新青森間については、既に平成十六年十二月の政府・与党申し合わせで「平成二十二年度末の完成を目指す」ことが決まっておりますが、本区間は工事を進めるための環境が整っていることから、新青森駅までの一日でも早い開業を実現するため、今後とも、県議会の皆様方のお力添えをいただき、政府・与党をはじめとした関係機関への働きかけを進めていきたいと考えております。
 次に、道路整備については、一般国道四五号上北道路や津軽自動車道及び下北半島縦貫道路の早期整備が図られるよう国に強く働きかけていくほか、主要幹線ネットワークの整備促進に努めて参ります。

 最後に、「五つの社会像を実現するための仕組みづくり」について御説明申し上げます。
 まず、「男女共同参画の推進」については、
 政策・方針決定過程への女性の参画推進を図るため県外研修へ派遣するなど、幅広い分野で即戦力となる人材の育成を図ることといたしております。
 次に、「社会参加と協働の推進」については、
 県民参加型の県政を推進するための県民による政策形成の促進、県民の参加と協働による地域づくりの推進等に助成することといたしております。
 以上が、平成十九年度の主要施策の大綱であります。

 次に、歳入予算の主なるものについて御説明申し上げます。
 県税については、地方税制改正の内容、本県経済の動向等を踏まえ、千四百四十五億五百八十余万円を計上いたしております。
 地方消費税清算金については、地方消費税の都道府県間における清算金二百八十六億千四百七十万余円を計上いたしております。
 地方交付税については、原資総額の伸び率及び国の算定方針を基礎に、過去の交付実績等を勘案して普通交付税の交付見込額を推計したうえで、当初予算において二千二百二十四億七千五百万円を計上したほか、特別交付税については、三十五億円を計上いたしております。
 県債については、地方債計画、その運用方針等を勘案して積算のうえ、九百四十三億五千五百万円を計上いたしております。
 繰入金については、厳しい財政状況等に対処するため、財政調整基金から十五億円、県債管理基金から百四十億円、公共施設等整備基金から十五億円及び地域振興基金から二十八億円をそれぞれ繰り入れることといたしております。
 このほか、国庫支出金等については、主として歳出との関連において計上いたしております。
 以上が「平成十九年度青森県一般会計予算案」の概要であります。

 このほか、上程されました議案の主なるものについて御説明申し上げます。
 議案第二号から議案第十七号までは、青森県公債費特別会計等の特別会計及び青森県病院事業会計等の企業会計に係る予算案であります。
 議案第十八号「青森県副知事定数条例案」は、地方自治法の改正に伴い、副知事の定数を定めるものであります。
 議案第十九号「青森県障害者自立支援対策臨時特例基金条例案」は、法施行に伴う激変緩和等のための事業に要する経費及び当該事業を行う市町村に対する補助に要する経費の財源に充てるため、「青森県障害者自立支援対策臨時特例基金」を設置するものであります。
 議案第二十九号「職員の給与に関する条例の一部を改正する条例案」は、平成十八年十月十日付けの青森県人事委員会からの職員の給与等に関する報告及び勧告に基づき職員の管理職手当及び扶養手当の額を改定し、栄養教諭並びに准教授及び助教に適用する給料表を定める等の改正を行うものであります。
 議案第三十五号「青森県指定管理者による公の施設の管理に関する条例の一部を改正する条例案」は、青森県立自然ふれあいセンターの管理を指定管理者に行わせることができることとするものであります。
 議案第四十四号「青森県営農大学校条例の一部を改正する条例案」は、青森県営農大学校を専修学校とすることに伴う所要の整備を行うものであります。
 議案第五十二号「青森県発電用施設等所在市町村等振興基金条例の一部を改正する条例案」は、原子力発電施設等立地地域特別交付金を基金として積み立てて原子力発電施設等立地地域特別交付金交付規則に基づく公共用施設に係る整備の措置等に要する経費の財源に充てることができることとするものであります。
 議案第五十六号「青森県立高等学校授業料、受講料、入学料及び入学者選抜手数料徴収条例の一部を改正する条例案」は、授業料及び受講料の額を改めるものであります。
 議案第六十四号「青森県養護老人ホーム条例等を廃止する条例案」は、行政改革大綱に基づき、青森県立安生園、青森県立八甲学園及び青森県知的障害者総合福祉センターなつどまりを社会福祉法人青森県すこやか福祉事業団に移譲することに伴い、施設を廃止するものであります。
 議案第六十五号「青森県立海洋学院条例を廃止する条例案」は、行政改革大綱に基づき、青森県立海洋学院を廃止するものであります。
 議案第七十七号「青森県教育委員会委員の任命の件」は、青森県教育委員会委員三浦昭子氏が平成十八年十二月十五日をもって辞職いたしましたので、補欠の委員として高橋幸江氏を任命いたしたく、御同意を得るためのものであります。
 議案第七十八号「青森県人事委員会委員の選任の件」は、青森県人事委員会委員熊谷ヤス子氏の任期が来る三月三十一日をもって満了いたしますので、後任の委員として遠藤妙子氏を選任いたしたく、御同意を得るためのものであります。

 次に、専決処分した事項の報告及び承認を求めるの件について御説明申し上げます。
 その主なるものとして、報告第一号「平成十八年度青森県一般会計補正予算」及び報告第三号「上告の提起及び上告受理の申立ての件」は、去る一月十七日に東京高等裁判所で言い渡しのあった奥入瀬渓流落枝事故に係る損害賠償請求事件の判決内容を吟味した結果、判決が確定すれば、国立公園内における安全性の確保について全国的に大きな影響があることなどから、被害者の方には誠にお気の毒ですが、苦渋の選択として最高裁判所へ最終の判断を仰ぐため、速やかに上告の提起及び上告受理の申立てを行うこととし、これに伴い判決に基づく損害賠償の仮執行を免れるための担保の提供について、早急に予算措置を講ずる必要が生じましたが、いずれも議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認め、本職において専決処分をいたしたものであります。
 その他の議案につきましては、各議案の末尾に記載されている提案理由等のとおりであります。

 以上をもちまして、県政の運営に関する所信を申し述べるとともに、提出議案の概要について御説明申し上げたところでありますが、議事の進行に伴い、御質問に応じ、本職をはじめ関係者から詳細に御説明申し上げたいと思います。
 なにとぞ、慎重御審議のうえ、原案どおり御議決、御同意並びに御承認を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、この機会に議長のお許しを得て、日本原燃株式会社六ヶ所再処理施設アクティブ試験第二ステップの結果について、御報告いたします。
 昨年八月十二日に開始した、六ヶ所再処理施設のアクティブ試験第二ステップについては、十二月六日に終了したことから、日本原燃株式会社は、これらの結果をとりまとめた「再処理施設アクティブ試験中間報告書」を十二月二十六日に原子力安全・保安院へ提出しました。
 本年一月十五日、原子力安全・保安院薦田審議官から、また、一月十八日、原子力安全委員会事務局片山局長から私に対して、「アクティブ試験第三ステップを開始するための条件は満たしている。」との判断が示されました。
 私は、これらの状況を踏まえ、第三ステップへ移行することについて理解したい旨の考えを示した上で、一月十九日に議員の皆様に御説明し、一月二十六日には市町村長会議及び青森県原子力政策懇話会において御意見等をお伺いしました。
 また、一月二十九日、三役関係部局長会議を開催し、さらには、古川六ヶ所村長の意向を確認しました。
 私としては、これらひとつひとつ慎重に確認した上で、同日、私から兒島社長に対して、第三ステップに入ることを理解した旨伝え、安全確保を第一義とした厳しい心構えで試験を進めるよう要請しました。
 現在、六ヶ所再処理施設においては、第三ステップの試験が行われているところですが、県としては、今後とも、国及び事業者の対応状況を厳しく見極めつつ、安全確保を第一義に慎重に対応して参ります。

 以上、御報告といたします。
※知事選挙に関し、立候補予定者の立場での説明については、公平・公正を期すため、掲載しておりません。

第二百四十九回定例会追加提出議案知事説明要旨(平成19年2月)

 ただいま上程されました議案の主なるものについて、その概要を御説明申し上げ、御審議の参考に供したいと思います。

 まず、議案第七十九号「平成十八年度青森県一般会計補正予算案」について御説明いたします。
 今回の補正予算は、電源立地地域対策交付金等の効率的な活用を図るための青森県発電用施設所在市町村等振興基金の積立てに要する経費等について、所要の予算措置を講ずることとしたほか、去る二月六日に成立した国の補正予算に係る公共事業関係費等について、国からの割当見込額に基づき予算措置を講ずるとともに、災害復旧費における現年発生災害復旧費の額の確定等による増減額の調整を行うことといたしました。
 また、「中期的な財政運営指針」に基づき、でき得る限りの基金の復元等を図るため、財政調整基金及び県債管理基金にそれぞれ積立てを行うとともに、後年度の財政負担の軽減を図るため、県債の繰上償還を行うのに要する経費について、所要の予算措置を講ずることといたしたものであります。
 その結果、今回の補正予算額は、歳入歳出とも八億六千三百二十余万円となり、これと既決予算額とを合計いたしますと、平成十八年度青森県一般会計の予算規模は、七千三百十七億二千百六十余万円となります。

 以下、計上の主なるものについて御説明申し上げます。
 はじめに、国の補正予算関連経費について申し上げます。
 まず、一般公共事業費については、国からの割当見込額に基づいて、十六億九千三十余万円を計上するとともに、三十九億六千八百二十余万円の債務負担行為を設定し、合計で五十六億五千八百五十余万円を予算措置いたしました。
 そのうち、歳出計上分の主なるものとして、
 道路関係では、国道改築事業費等九億五千万円、
 河川海岸関係では、砂防事業費等五億八百八十万余円、
 林政関係では、治山事業費等一億七千百五十万余円、
を計上いたしております。
 また、債務負担行為分の主なるものとして、都市計画関係九億六千万円、道路関係九億四千万円、漁港漁場関係七億七千万円、港湾関係四億六千万円を設定いたしております。
 国直轄事業負担金については、河川海岸国直轄事業負担金等八億九千二百七十余万円を計上いたしております。

 次に、国庫補助事業費については、十六億七千三百六十余万円を計上いたしております。
 その主なるものとして、
 民生費では、障害者自立支援対策臨時特例基金積立金十三億七千三百三十余万円、障害者自立支援特別対策事業費二億九千四百三十余万円、児童虐待等緊急対策事業費補助二百五十余万円、
 教育費では、二十四時間電話相談事業費三百三十余万円、
を計上いたしております。
 以上のほか、特別会計に係る国の補正予算関連経費として、
 議案第八十五号「平成十八年度青森県下水道事業特別会計補正予算案」におきまして、五千四百万円の債務負担行為を設定いたしております。
 以上の結果、国の補正予算関連経費の総額は、八十二億二千四百九十余万円、うち本年度歳出予算額は四十二億五千六百七十余万円、債務負担行為の設定に係るものは三十九億六千八百二十余万円となっております。

 次に、国の補正予算関連経費以外の経費について申し上げます。
 まず、公共事業関係費については、国からの割当決定額等に基づき、各事業費についてそれぞれ増減調整のうえ、一般公共事業費においては四億六百七十万余円の減額、国直轄事業負担金においては災害に係る負担金を含め五百七十余万円の増額となっておりますが、先ほど申し上げました国の補正予算関連経費に係る歳出計上分と合わせると、それぞれ十二億八千三百六十万余円、八億九千八百四十余万円の増額となっております。
 また、災害公共事業費においては、現年発生災害復旧費を中心に増減調整のうえ、三億八千八百八十余万円を計上いたしております。
 以下、公共事業関係費以外の計上の主なるものについて、款を追い、御説明申し上げます。
 総務費については
 総務管理費において、「中期的な財政運営指針」に基づき、でき得る限りの基金の復元等を図るため、財政調整基金積立金十四億四千万円、県債管理基金積立金七十五億二千五百六十余万円を計上いたしました。
 また、企画費において、東北新幹線新青森駅開業により、広域的な交通拠点となる新青森駅の南北連絡通路の整備費に対する助成に要する経費五百五十万円を計上いたしました。
 商工費については
 大規模開発費において、電源立地地域対策交付金等の効率的な活用を図るための青森県発電用施設所在市町村等振興基金の積立てに要する経費十三億千四百九十余万円を計上いたしました。
 公債費については、県債の繰上償還に要する経費四十五億六千五百九十余万円を計上したほか、既計上の公債費の精査による調整を行ったうえで所要額を計上いたしました。
 以上が歳出予算の概要であります。

 次に、歳入について申し上げます。
 今回の補正予算の主なる財源としては、主として歳出との関連において、国庫支出金、諸収入、県債等について、それぞれ増減額を調整のうえ計上したほか、県税については、法人事業税等の増収見込額と地方消費税及び軽油引取税等の減収見込額を合わせた十七億七千七百二十余万円を計上するとともに、地方消費税清算金について十五億五千七百五十万余円を減額計上いたしました。
 また、普通交付税については、交付決定額と既計上額との差額七十八億二百余万円を計上いたしております。
 以上が「平成十八年度青森県一般会計補正予算案」の概要であります。

 このほか、上程されました議案についてでありますが、議案第八十号から議案第九十四号までは、特別会計十二件及び企業会計三件の予算補正に係るものであります。
 その他の議案については、各議案の末尾に記載されている提案理由のとおりであります。
 以上、提出議案の概要について御説明申し上げましたが、議事の進行に伴い、御質問に応じ、本職をはじめ関係者から詳細に御説明申し上げたいと思います。
 なにとぞ、慎重御審議のうえ、原案どおり御議決を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、この機会に議長のお許しを得て、「水力発電施設等に係る自主点検結果」について御報告申し上げます。
 県は、東北地方整備局及び東北経済産業局からの指示を受け、水力発電施設及び工業用水道施設において、河川法に基づく申請内容と相違している工作物の有無、及び定期報告しているデータの実績値と報告値の相違の有無について自主点検を行いました。
 その結果、申請内容と相違している工作物につきましては、岩木川第一発電所の施設においては、新設した監視カメラや取水口階段など六箇所、改修した護岸が一箇所、撤去した除塵機が一箇所で、合計八箇所が確認されました。
 また、八戸工業用水道施設においては、床固工の設置など新設した工作物が三箇所確認されました。
 定期報告しているデータの相違につきましては、水力発電施設の使用水量において、毎秒二十立方メートルを超過して使用したものを、毎秒二十立方メートルとして報告しておりました。
 このような事態が発生した要因といたしましては、河川法の手続きにかかるチェック体制の不備及び河川法の認識不足によるもの、また最大使用水量の運用方法が不適切であったことによるものと考えております。
 これらの事象については、直ちに安全性が損なわれて県民生活に支障を与えるものではないと考えておりますが、いずれにしても河川法に抵触した行為を行っていたことにつきまして深く反省し、今後は、法令順守を徹底するとともに、県土整備部内にチェック体制を新たに構築して再発防止に万全を期して参ります。

 以上、御報告といたします。

過去の議会説明要旨

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