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第二百四十一回定例会提出議案知事説明要旨(平成17年2月)

 本日ここに、県議会第二百四十一回定例会が開会され、平成十七年度当初予算案をはじめ各般にわたる議案について御審議を願うに当たり、県政の運営に関する所信を明らかにし、提出議案の概要について御説明申し上げ、議員各位並びに県民の皆様の深い御理解と御協力をお願い申し上げます。
 私は、知事就任以来、「参加」、「共生」、「創造」そして「公平」の四つの基本理念の下、自主自立の青森県づくりを目指し、行財政改革や雇用・経済対策など県政の抱える重要かつ困難な諸課題に取り組んで参りました。
 県政を取り巻く環境が厳しい中にあって、議員各位をはじめ広く県民の皆様の御支援・御協力により、一歩一歩着実に県政を推進することができましたことを心から感謝申し上げます。

 さて、新たな希望を抱いて迎えた二十一世紀も既に四年が経過いたしましたが、振り返ってみると、この四年間は、我が国にとって、大きな変革の時代でありました。
 戦後、長きにわたって我が国の飛躍的な高度経済成長を支えてきた様々な制度や社会のシステムが、バブル崩壊以降の長引く景気低迷の中で変換を迫られており、我が国が持続的な経済成長を取り戻すため、政府は「改革なくして成長なし」との基本理念の下、経済、財政、行政、社会などの分野における構造改革を積極的に推進して参りました。
 この改革は、途半ばであり、その先にあるこの国のかたちは、未だ、はっきりとした全体像を見せてはおりませんが、間違いなく申し上げられますことは、二十一世紀は「自立する地方の時代」だということであります。
 明治以来続いてきた中央集権型の行政システムが、近年の経済の成熟化や少子・高齢化の進行、人々の価値観やライフスタイルの多様化といった新たな社会環境の中で制度疲労に陥っており、このようなことを背景に、一九九〇年代、地方分権への流れが次第に加速を始めました。
 平成十二年の地方分権一括法の施行により、国と地方の関係が、これまでの「上下・主従」から「対等・協力」へと位置付けを変える大きな転換点を迎え、そして今、三位一体の改革や市町村合併の進展に伴い、国と地方の関係や地方自治体のあり方が急速かつ大きく変化しようとしております。
 こうした流れを踏まえると、これからは、分権の時代にふさわしい自立した地方が、それぞれの多様な個性と創造性を発揮し、互いに競争していく中で、経済社会の活力を生み出しながら、「地方から日本を変えていく」、そういう時代に向かっていくものと思います。
 その道程は、決して平坦なものではありませんが、我々は覚悟を据えて、新たな時代を切り拓いていかなければなりません。
 このような時代の転換期にあって、本県においても、真に県民の幸せと県勢の発展につながる未来を切り拓き、次代を担う子どもたちへかけがえのない「ふるさと青森県」を責任をもって引き継いでいくためには、時代の潮流を正しく見据えた新しい自主自立の青森県づくりを着実に推進していく必要があります。
 私は、この実現のためには、自主自立の青森県づくりを支える確固たる行財政基盤の確立が喫緊の課題であると考え、まず、平成十五年十一月、本県財政の健全化のための道筋を示す財政改革プランを策定いたしました。
 その後、平成十六年度の国の地方財政対策における地方交付税総額の急激かつ大幅な削減の影響により、財源不足額が再び大幅に拡大することとなりましたが、財政改革プランで掲げる歳出削減、歳入確保等の取組みを徹底・加速するとともに、これに加えての新たな視点からの取組みも必要であると考え、県行政の役割分担の抜本的な見直しの下、組織機構の見直しや職員数の適正化、事務事業の更なる見直しに着手し、昨年十二月、青森県行政改革大綱を改定するなど、行財政基盤の確立に向け、不退転の決意で改革に取り組んで参りました。
 また一方で、こうした取組みによる時代環境にふさわしい行財政基盤の上に立って、私が求める自主自立の青森県づくりを具体化するべく、青森県の将来ビジョンをお示しすることが必要であるとの認識の下、新たな青森県の基本計画の策定に取り組み、県議会の御議決をいただいた上で、昨年十二月、「生活創造推進プラン」を策定いたしました。
 このプランの策定に当たっては、青森県総合開発審議会の委員の方々をはじめとして、一万人の県民を対象としたアンケート調査や各市町村からの御意見など多くの方々の協力をいただくとともに、県議会の議員各位からは、多くの貴重な御提言や御助言を賜りました。
 議員各位をはじめ今回のプランの策定に関わった多くの方々に改めて感謝申し上げます。
 二十世紀の経済と産業の豊かさを求める時代を経て、二十一世紀はまさに心の豊かさや環境・健康など暮らしや生活のフィールドの健全さをどのように守り、発展させていくのかを志向する時代に入っております。こうした流れを踏まえると、これからは地域の総合的な魅力、即ち地域の住みやすさ、暮らしやすさを高めていくことこそが時代が求める最大価値であると考えております。
 このため、「生活創造推進プラン」では、今後の青森県づくりを進めていくための将来像として「生活創造社会」を掲げたところです。
 「生活創造社会」とは、暮らしやすさではどこにも負けない地域づくりを目指すことであり、豊かな自然環境の中で、自然のリズムやゆっくりと流れる時間が大切にされ、青森で生きることの価値や素晴らしさを実感できる社会です。そして、物事や人生にチャレンジする意欲が湧いてくる社会です。
 このような社会を実現するため、暮らしやすさを支える基盤である「産業・雇用」、「健康」、「安全・安心」や青森らしさをつくる財産である「人財」、「環境」の五つの戦略分野において、県が重点的に推進する十本のプロジェクト「わくわく10」を積極的に進めていくことといたしております。
 私は、この「生活創造推進プラン」をもとに、県民の皆様と一緒になって、青森県の新たな地平を切り拓き、暮らしやすさのトップランナーとしての青森県の未来を確かなものにしたいと思います。
 議員各位並びに県民の皆様の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。

 次に、平成十七年度の我が国の経済見通し等について申し上げます。
 政府は、平成十六年六月に、バブル崩壊後の負の遺産からの脱却に目処をつけるための集中調整期間の仕上げの施策と新たな成長基盤の重点強化を図るための重点強化期間の施策を取りまとめた「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇四」を策定し、「金融再生プログラム」の着実な実施により、主要行の不良債権比率が半減に向けて順調に低下するなど、不良債権問題の正常化に向けた着実な進展が見られるほか、「新産業創造戦略」、「規制改革・民間開放推進のための基本方針」及び「今後の地域再生の推進に当たっての方向と戦略」に基づく施策を推進いたしております。
 平成十六年度の我が国経済は、一部に弱い動きが見られるものの、年度全体を通して見ると、企業収益が大幅に改善するなど企業部門が引き続き堅調な中、雇用環境が持ち直す動きが見られ、民間需要中心の回復を続けると見込まれております。
 平成十七年度の経済見通しについては、世界経済の回復が続く中で、生産や設備投資が増加するなど企業部門が引き続き改善することを背景に、景気回復が雇用・所得環境の改善を通じて家計部門へ波及する動きが強まり、消費は着実に増加すると見込まれ、我が国経済は、引き続き民間需要中心の緩やかな回復を続けると見込まれております。この結果、国内総生産の成長率は名目で一・三パーセント程度、実質で一・六パーセント程度になると見通されております。

 次に、本県の経済動向について申し上げます。
 平成十六年度における本県経済のこれまでの動向を見ますと、需要面につきましては、大型小売店販売額などの個人消費は低調に推移し、公共投資及び住宅建設も前年を下回って低調に推移しております。
 生産面につきましては、デジタル家電や携帯電話機等電子機器用の部品・装置を生産する電子部品・デバイス工業等を中心として、年度当初は好調な生産活動が続いておりましたが、生産調整等の動きが見られるなど、現在は全体として低調に推移しております。
 雇用情勢につきましては、十一月の有効求人倍率が〇・〇三ポイント上昇するなど、わずかに回復も見られますが、依然全国最低水準となっており、新規高卒者の県内就職内定率についても、昨年同様厳しい状況にあります。
 以上のように、本県経済は、雇用情勢の一部に明るい動きも見られるものの、需要、生産、雇用面を含めて、依然として厳しい状態となっております。
 このようなことから、「青森県重点推進プロジェクト(わくわく10)」のうちの六本を「産業・雇用」を推進するためのプロジェクトとするなど、引き続き、地域経済の活性化と雇用の維持拡大に向けた取組みを全力で進めて参りたいと思います。

 次に、提出議案について、その概要を御説明申し上げます。
 まず、議案第一号「平成十七年度青森県一般会計予算案」について御説明申し上げます。
 平成十六年度の地方財政対策における地方交付税総額の急激かつ大幅な削減や国の三位一体の改革の進展等、本県財政にとって、一層厳しく、かつ不透明さが増す環境変化の中にあって、県政の抱える緊急かつ重要な課題への積極的な取組みを推進するためには、新しい青森県づくりの基本計画である「生活創造推進プラン」の着実な推進を支える持続可能な財政構造の確立に向け、財政改革プランに基づく財政健全化方策を徹底・加速するとともに、昨年十二月に改定された青森県行政改革大綱に定める取組方策を着実に推進することにより、財源不足額の圧縮に努めていく必要があります。
 このため、平成十七年度当初予算の編成に当たっては、昨年五月に作成・公表した中期財政試算のローリングにおいて見込まれた百七十七億円の財源不足額を「九十億円程度以下に抑制する」ことを目指しつつ、組織、職員数及び事務処理など行財政運営システムの簡素・効率化、他団体に比較して単独事業費の構成割合が高い普通建設事業費の構造的な課題解消、行政サービス提供施設等の再編と運営体制の見直しへの着手など、財政改革プランや行政改革大綱に掲げる歳出削減及び歳入確保の取組みを徹底・加速したところであります。
 一方、二十一世紀の中で確かな未来を拓く自主自立の青森県づくりを進めていくための将来像として掲げた「生活創造社会」の実現に向けて、「人財」、「産業・雇用」、「健康」、「環境」、「安全・安心」の五つの戦略分野において、平成二十年度までに県が重点的に推進する「青森県重点推進プロジェクト(わくわく10)」について、部局の枠を超えた視点から横断的に取り組み、「施策の選択と重点化」を一層推進することといたしました。
 中でも、青森県の未来を担う人づくりには特に意を用いるとともに、本県の厳しい経済・雇用情勢を踏まえ、新しい産業・雇用の創出や産業構造の転換への取組みを積極的に図るなど、地域経済の活性化と雇用刺激に特に配慮したところであります。
 以上の結果、平成十七年度青森県一般会計当初予算の規模は、歳入歳出とも七千四百一億円となり、前年度当初予算に対して、二百八十四億円、三・七パーセントの減と、五年連続のマイナス予算となっております。
 地方行財政を巡る激しい環境変化の中にあって、本県の行財政改革は次の一歩を踏み出したところであり、今後とも、ふるさと青森県の未来を拓く「生活創造社会」の実現のため、粘り強く取り組んで参ります。

 以下、平成十七年度の主要施策について、「生活創造推進プラン」の五つの社会像に沿って、その概要を申し上げます。
 第一は、「青森の豊かさを知り、夢をもって未来を拓く社会」についてであります。
 「生活創造社会」を実現する上で最も大切なものが、未来の青森県づくりの財産となる人づくりであります。
 まず、「子どもたちの生きる力と夢を育む教育の推進」については、
 きめ細かな学習指導や生徒指導を実施するため、引き続き、小学校一・二年生及び中学校一年生を対象に、少人数学級編制を実施するほか、小・中学校の普通学級に在籍する多動傾向や要介助など特別な配慮を必要とする児童生徒に対する支援体制の充実を図ることといたしております。
 また、全国の都道府県代表の高校生による芸術文化の総合的な祭典である「第二十九回全国高等学校総合文化祭」を、本年七月、県内八市において開催することといたしております。
 さらに、受験指導に優れた教員による医学部等難関学部を志望している生徒への受験指導システムを構築するとともに、医師を目指す生徒に対する職業教育プログラムを実施することといたしております。
 私立学校については、経常費補助をはじめ、高等学校授業料軽減補助、特色教育支援経費補助等の助成を行い、特色ある教育の振興を図って参ります。
 以上のほか、小・中学校段階におけるキャリア教育を促進するとともに、小学校高学年を主な対象とした青森県ならではの仕事について紹介するDVDを作成することといたしております。

 次に、「地域の教育力を高める環境づくりの推進」については、
 地域全体で子どもたちを育む環境づくりを推進するため、学校と地域の協働による教育活動を推進する人材を養成するほか、地域における家庭教育支援者のネットワークを形成するため、専門的・実践的な講座を開催することといたしております。

 次に、「文化・スポーツの振興と国際交流の推進」について御説明申し上げます。
 まず、芸術文化の振興については、
 平成十八年度の開館を目指し、仮称「青森県立美術館」の整備及び開館記念展の準備を進めることとしているほか、美術館のブランドイメージの形成を図るため、代表的収蔵品「アレコ」を題材とした舞踊劇の開催準備等を実施することといたしております。
 また、三内まほろばパークと総合芸術パークの一体運営及び活性化のための検討を行うとともに、両パークを舞台にした県民参加型演劇「津軽」の公演を行うことといたしております。

 次に、スポーツの振興については、
 築後三十七年を経過し、老朽化した青森県総合運動公園野球場について、中学・高校球児が良好な状態で試合ができるよう改修することといたしております。
 また、平成十九年度に本県で開催される「第二十回全国スポーツレクリエーション祭」の開催準備を進めて参ります。
 さらに、下北半島地域の振興を図る中核拠点施設である克雪ドームについては、本年七月の完成に向けて、建設を進めて参ります。

 次に、国際交流の推進については、
 本県が友好協定を締結しているブラジル連邦共和国サンタ・カタリーナ州、ロシア連邦ハバロフスク地方、アメリカ合衆国メーン州並びにイタリア共和国リグーリア州と各地域の特性に応じた分野での交流を推進することとしております。
 また、北東アジアとの交流については、本年が国交正常化四十周年に当たる韓国についての記念事業を実施するほか、昨年十二月、経済交流協定を締結した中国大連市との交流を進めることといたしております。

 第二は、「いきいきと働ける豊かな社会」についてであります。
 はじめに、「働く場の創出・充実」について御説明申し上げます。
 まず、雇用の促進については、
 若年者の雇用拡大・維持を図るため、昨年設置した「ジョブカフェあおもり」の運営等を通じて、引き続き若年者の就業支援に取り組むことといたしております。
 また、中高年齢者の再就職を促進するため、県内の商工会議所等に雇用開拓推進員を設置するほか、障害者の雇用拡大と維持・安定に資するため、障害者の就労支援を行う人材の育成やITを活用した在宅就業の推進を図って参ります。

 次に、県民仕事づくりについては、
 コミュニティビジネスやコミュニティベンチャー及び企業組合に対する設立支援を行うほか、建設投資の縮減という厳しい構造変化に直面している県内建設産業の再生・活性化を図り、地域経済・雇用に及ぼす影響を最小限にとどめるため、建設業者の自助努力に対する各種支援を行うことといたしております。
 また、企業誘致の促進と雇用機会の拡大を図るため、一定規模以上の新規雇用を行った誘致企業等に対する助成を行うこととしているほか、テレマーケティング関連産業に対する助成措置を拡大することといたしております。
 さらに、中国大連市との産業経済交流の推進については、現地スタッフの配置や現地商談会の開催等を行うほか、ビジネス資源の調査・分析や事業可能性調査を行う事業者に対する助成等を行うことといたしております。
 以上のほか、県内中小企業が厳しい環境に置かれていることから、引き続き「セーフティネット資金」をはじめとする特別保証融資制度を活用した金融支援を実施して参ります。

 次に、「『攻めの農林水産業』の推進」について御説明申し上げます。
 まず、市場競争に打ち勝つ販売活動の強化については、
 県産品の総合的なイメージアップを図り、販路・販売額を拡大するため、県産品統一キャッチフレーズ及びシンボルマークの策定や情報発信の強化を行うほか、デザイナー等異業種と連携して、消費者に選ばれる満足度の高い県産品の開発に取り組んで参ります。
 また、国指定伝統的工芸品「津軽塗」を地域産業として再生させるため、海外進出に向けた新商品開発と国内外における販売促進活動を行うことといたしております。
 さらに、県産米、りんご、野菜、ほたてがい等のブランド力向上と消費拡大を図るため、農林水産団体が実施する消費宣伝等に対する助成を行うほか、大手量販店等における県産品フェアの開催等を行うことといたしております。

 次に、安全・安心の青森産品づくりについては、
 生産者等の食の安全に対する意識向上を図るとともに、生産者団体等が実施する農産物の残留農薬検査や生産段階でのリスク管理手法の導入に対する支援を行うことといたしております。
 また、本県地域農業の基盤である水田農業の再生を図るため、米販売農家の意向把握を踏まえた再生への取組みの誘導や新たな産地化を図る取組みを支援することといたしております。
 さらに、県産材の需要拡大による林業・木材産業の活性化を図るため、県産材認証制度を創設するとともに、県産材を多用した住宅建築を推進して参ります。
 このほか、地域の気象条件を踏まえた適地適作を基本とした収益性の高い野菜・花き栽培の導入を推進するとともに、りんごわい化栽培や、優良種雄牛の活用などによる高品質な肉用牛生産を維持発展させるための産地体制づくり、資源管理型漁業やつくり育てる漁業などによる水産物の安定生産等を推進して参ります。

 次に、山・川・海をつなぐ「水循環システム」の再生・保全については、
 水循環システムに対する流域住民の意識啓発と主体的な水資源の保全活動を促進するため、県内六流域単位でフォーラムやワークショップを開催するほか、森林の整備・保全を社会全体で支える意識を醸成するための森林を活用した体験活動や学習機会の提供を行うことといたしております。
 また、森林の公益的機能の高度発揮を図るため、郷土樹種による複層林・混交林施業を推進するほか、「春の小川」のような水辺空間を創造するため、地域住民と一体となった農村環境保全活動を推進することといたしております。
 さらに、海域浄化機能を持つ水産資源の培養を通じて、多様な水産生物からなる清らかな海の創出を図って参ります。

 次に、あおもり発食文化・農村文化の発信については、
 都市住民のスローライフへの関心の高まりや農家民泊に係る規制緩和の動きに対応し、グリーン・ツーリズムの受入体制の整備を図るための情報受発信ネットワークの構築を推進するとともに、農家の啓発と衛生管理の支援を行うことといたしております。

 次に、農林水産業を担う革新的な経営体の育成については、
 地域農業の担い手である認定農業者や農業法人等の育成を総合的に支援するとともに、遊休農地等の利用再生等に取り組むNPO団体や援農団体等多様な主体の育成とその活動を支援することといたしております。

 次に、「『あおもりツーリズム』の推進」について御説明申し上げます。
 まず、新幹線効果を最大限に高めるための全県的な体制の充実と取組みを推進するほか、本県の農林水産資源を活用した食材を地域の観光宿泊施設等で提供するシステムづくりを支援して参ります。
 また、冬季観光の振興を図るため、十和田湖冬物語に次ぐ冬季観光中核イベントの創出の支援や広告・宣伝を展開するとともに、韓国、台湾及び中国大連市を対象とした観光宣伝を実施することといたしております。
 さらに、本年十月の「第二回世界自然遺産会議」の開催を契機に、白神山地の魅力を全国に情報発信していくことといたしております。
 以上のほか、青森・ソウル及び青森・ハバロフスク間の定期便就航十周年を契機とした利用拡大の推進を図るとともに、韓国における青森県のイメージアップのため、ソウル市において青森ねぶたを公演することといたしております。

 次に、「青森の特性を踏まえた地域産業の振興」について御説明申し上げます。
 まず、先端型成長産業の創造・育成については、
 「環境・エネルギー産業創造特区」エリアへの関連企業の集積による地域経済の活性化や雇用の創出を促すため、環境・エネルギー産業フロンティアの形成を促進するとともに、新たに、水素・燃料電池関連産業の集積を目指した戦略の策定と、先駆的プロジェクトの導入調査等を実施することといたしております。
 また、むつ小川原工業開発地区への液晶産業を中心としたフラットパネルディスプレイ(FPD)関連産業の集積を目指すクリスタルバレイ構想の推進については、引き続き研究開発を推進するほか、構想実現のための地域産学官の実現化推進体制の整備及び情報発信を行うとともに、戦略的な企業誘致を行うことといたしております。
 国際熱核融合実験炉(ITER)については、サイト選定に関する関係極間の協議が続いておりますが、県としても、引き続き的確な情報把握に努めながら、国及び日本原子力研究所等の関係機関との連携を一層強化し、県議会、青森県ITER誘致推進会議、関係市町村等と一体となり、ITERの本県誘致実現に全力で取り組んで参ります。

 次に、ローカルテクノロジーなどを生かした地域産業の振興については、
 医療・健康福祉関連産業の創出育成を推進していくほか、新たに、企業等の産業活力と本県の農業分野を最適な形で融合させる「あおもり型農工ベストミックス」による新しい産業の創出を支援していくことといたしております。

 第三は、「健やかで安心して暮らせる社会」についてであります。
 まず、「健康寿命アップの推進」については、
 県民の健康寿命の延伸を図るための県民健康づくり運動「健康あおもり21」の着実な推進を図るとともに、新たに、県民が主体的に取り組む機会を提供するほか、本県における自殺予防を推進するため、自殺率の高い市町村の自殺予防活動に対する支援を行うことといたしております。

 次に、「医療サービスの充実」についてであります。
 平成十六年度からの医師臨床研修の必修化、弘前大学の医局制度の廃止及び独立行政法人化など医療や大学を取り巻く環境が大きく変化しており、特に、町村部における医師確保はますます困難な状況となりつつあります。
 このため、県では、青森県医師確保対策調整会議において医師の確保・定着を図るための対策を検討して参りましたが、昨年十月、最終報告が取りまとめられましたので、その内容に沿って、今回、関連する予算を提案いたしております。
 その主なものとして、
 主に本県高校出身の弘前大学医学部入学生に対する、一定期間の県内自治体医療機関等への勤務を条件とした修学資金等の貸与に対する助成について市町村と連携して行うほか、臨床研修医を確保するための研修体制の充実に向けた検討、医学生に対するPR及び指導医の養成に対し助成することといたしております。
 また、本県勤務を希望する医師を採用し、自治体医療機関においてへき地医療を担いつつ、キャリア形成にも配慮した医師配置等を行う機構の設置・運営を行うほか、機構で採用した医師のスキルアップのための研修派遣に対し助成することといたしております。
 さらに、医学振興のための研究開発や医師養成課程への誘導等を行うことにより、地域医療の担い手である医師の確保に強力に取り組んで参ります。
 県立病院については、その経営の健全性を確保しつつ必要な医療機能を実現していくための調査検討を行うとともに、県立つくしが丘病院の施設整備に向けた地質調査、設計者選定及び基本設計を行うことといたしております。

 次に、「親と子の健やかな育ち合いの推進」については、
 次代を担う子どもたちが、命を大切にし、他人への思いやりを持ち、たくましく生きていけるよう、県民一体となった「命を大切にする心を育む県民運動」を県をあげて推進して参ります。
 また、自閉症・発達障害児者及び家族に対する支援を総合的に行う自閉症・発達障害支援センターを設置するほか、虐待を受けた子どもとその家族が家族としての機能を再生するための家族再統合プログラムの開発に取り組むことといたしております。
 さらに、少子化対策の一環として、不妊に悩む夫婦の経済的負担を軽減するため、特定不妊治療に要する費用の一部を助成することといたしております。

 次に、「誰もが生きがいを持ち自立して生活できる環境づくり」については、
 難病患者等の日常生活における相談・支援、地域交流活動の促進等を行う拠点となる施設の設置・運営を行うことといたしております。
 次に、「保健・医療・福祉包括ケアの推進」については、
 医療機関の利用者が円滑に地域に戻り、早期に社会復帰できるようにするための地域連携パス標準化モデルの開発に取り組むとともに、市町村が自らの包括ケアシステムについて自己評価し、システムを改良・発展させていくことができるようにするための包括ケアシステム自己評価手法の開発に取り組むことといたしております。
 また、本年四月から、県立保健大学の大学院に博士課程を開設することといたしております。

 第四は、「環境と共生する循環型社会」についてであります。
 まず、「水と緑の自然環境づくり」については、
 流域圏の視点で水循環系に係る地域の問題の本質を解明し、その問題がどうすれば解決され、それによって地域の人々の暮らしがどのように良くなるかを示す総合的なビジョンの策定に取り組んで参ります。
 また、世界自然遺産に対する理解と保全意識をより高めるため、アジア・太平洋地域の自治体関係者等による「第二回世界自然遺産会議」を、本年十月に開催することといたしております。
 さらに、本県の誇れる財産である十和田湖の水環境の保全を図るため、秋田県と連携して水質汚濁の原因と対策の検討を行うほか、十和田湖を含む奥入瀬川流域の水循環の健全化を図るための流水管理システムを策定することといたしております。

 次に、「ゼロエミッションをめざす資源循環の推進」については、
 県内から発生する循環資源を原材料としたリサイクル製品の使用推進を図るため、リサイクル製品認定制度を創設することとし、今回、議案第二十四号「青森県リサイクル製品の認定及び使用の推進に関する条例案」を提案いたしております。
 また、あおもりエコタウンプランの推進を図るため、国からの補助金を活用した同プランの中核的事業に係る施設整備に対する助成に加え、新たに地域密着型の事業の具体化に向けた施設整備に対し助成することといたしております。
 さらに、一般廃棄物のリサイクル率の向上を図るため、新たに「青い森のリサイクル推進員」を設置し、市町村の現状調査及び指導等を行うことといたしております。

 次に、「廃棄物処理・公害防止対策の推進」については、
 「青森県県外産業廃棄物の搬入に係る事前協議等に関する条例」に基づき、環境保全協力金を活用し、県外から搬入される産業廃棄物の適正処理を推進するとともに、不法投棄に係る監視・指導等を行うことといたしております。
 県境不法投棄対策については、不法投棄された産業廃棄物の撤去を進めるほか、汚染拡散防止対策として浸出水処理施設の建設に加え、新たに遮水壁の建設に着手することといたしております。

 次に、「多様な主体による環境保全活動の推進」については、
 次代を担う子どもたちの環境問題に対する理解と認識を高めるため、北東北三県の子どもたちを対象に、環境保全に関する体験学習を中心とした研修会を開催することといたしております。
 また、環境教育を実践し、県民の環境に対する理解促進と自主的な環境活動の推進を図る専門的な人材を養成して参ります。

 第五は、「安全・安心で快適な社会」であります。
 まず、「安全・安心な生活環境づくり」については、
 街頭犯罪、侵入犯罪等の県民の身近で起こる犯罪の抑止と被害防止を図るため、県民に対して街頭犯罪等に関する情報を提供するとともに、県民の自主防犯活動を支援して参ります。
 また、交通事故の要因分析を踏まえた総合的な交通事故防止対策を検討するとともに、交通弱者である高齢者を重点とした交通事故防止対策を推進することといたしております。
 さらに、消費者被害の防止を図るため、防犯モデル地区において地域に密着した啓発活動等の自主的活動を行う「安心生活推進員」の養成を図るほか、悪質商法等による消費者被害への対応や多重債務者が自力再生するための方策等について検討し、情報提供することといたしております。

 次に、「災害に強い地域づくり」について御説明申し上げます。
 昨年は、自然災害が大変多い年でありました。全国各地で集中豪雨や台風被害が相次いだほか、新潟県では震度七の大地震が発生し、甚大な被害をもたらしました。
 また、本県においても、観測史上最多となる相次ぐ台風の襲来や暴風等が発生したところです。
 さらに、昨年末にインドネシアのスマトラ島沖で発生した地震津波は、インド洋沿岸諸国に未曾有の被害をもたらしました。犠牲になられた方々と御遺族に心から哀悼の意を表するとともに、被災国、被災者の方々に謹んでお見舞いを申し上げます。
 県としても、県民の皆様の生命と財産を守るために、安全・安心で災害に強い地域づくりを進めていかなければなりません。
 そのため、まず、大規模地震発生時における避難路・輸送路の確保を図るため、橋梁健全度の診断を行うとともに緊急時道路ネットワーク計画を策定することといたしております。
 また、洪水発生時における地域住民の円滑な行動を支援し、被害の最小化を図るための浸水想定区域図を作成・公表することといたしております。
 さらに、土砂災害危険箇所等の情報を県民と共有し、警戒・避難体制の確立を図るため、市町村が作成する警戒避難マニュアルのガイドラインを作成するとともに、県民への情報提供を行うことといたしております。

 次に、「原子力安全対策の推進」についてでありますが、
 本県における原子燃料サイクル事業及び原子力発電については、資源小国である我が国ではエネルギーの安定供給が不可欠との観点から、安全確保を第一義に国策に協力して参りました。
 県としては、県民の安全・安心を確保するという立場から、これまでも立地村とともに事業者と安全協定を締結して、環境の監視を行うとともに、施設への立入調査を実施するなど、安全確保を第一義に取り組んできているところであり、今後ともこの姿勢を堅持し、県民の安全と安心に重点を置いた対応をすべく、安全確保を第一義に慎重かつ総合的に対処して参ります。

 次に、「快適な生活環境づくり」については、
 地域住民との協働により冬期間の歩行者空間を確保するため、小型除雪機を購入し、市町村経由で町内会等に貸し付ける「スクラム除雪事業」を実施するほか、快適な生活環境を確保するため、下水道や浄化槽並びに農山漁村の集落排水施設などの整備に努めて参ります。

 次に、「交流を支える基盤づくり」について御説明申し上げます。
 まず、ITの活用による県民生活の向上についてでありますが、
 「いつでも、どこでも、誰でも、何でも」つながるユビキタスネットワーク社会の実現により、これまでできなかった様々なことが可能となり、県民生活の豊かさの向上や産業・経済の活性化につながるものと期待されます。
 このため、電子タグ等の新しい情報通信技術を活用して、積雪寒冷地における歩行支援技術の検証と、りんごの適正な流通環境の確保を図るほか、災害関連情報の提供の仕組みづくりなどの取組みを進めて参ります。

 次に、交通ネットワークの整備についてであります。
 東北新幹線「八戸・新青森間」については、昨年末の政府・与党の申し合わせで「平成二十二年度末の完成を目指す。」ことが明記され、また、平成十七年度政府予算案では本年度を上回る予算額が配分されたことから、完成に向けて着実に前進が図られるものと考えております。今後は、新青森駅開業を見据え、新幹線効果を効果的・広域的に波及させる全県的な取組体制の充実などに取り組み、開業が早まることに対して万全の体制で対応していきたいと思います。
 青森空港については、本年四月に滑走路三〇〇〇メートル化の供用開始を予定しているほか、就航率改善を図るための有効手段である計器着陸装置等の高カテゴリー化の早期完成を進めることといたしております。
 道路整備については、一般国道四五号三沢・天間林間の早期整備が図られるよう国に働きかけていくほか、下北半島縦貫道路等の地域高規格道路等、幹線道路網の整備促進を図ることといたしております。

 最後に、「五つの社会像を実現するための仕組みづくり」について御説明申し上げます。
 まず、「男女共同参画の推進」については、
 男女共同参画を推進するリーダーを養成するための研修派遣を行うとともに、職場等における男女共同参画に関する意識の醸成と定着を図ることといたしております。
 また、配偶者からの暴力の防止についての総合的な対策を推進するとともに、配偶者暴力防止法の改正に基づき、関係機関と連携を図りながら基本計画を策定することといたしております。

 次に、「社会参加と協働の推進」については、
 県民と県との適切な役割分担の下、双方からの提案に基づいた協働事業の実現を図るためのシステムの試行を行うことといたしております。
 また、県と県民の計画である「生活創造推進プラン」を効果的に推進していくため、県民視点に立った進行管理と評価を行うことといたしております。
 以上が、平成十七年度の主要施策の大綱であります。

 次に、歳入予算の主なるものについて御説明申し上げます。
 県税については、地方税制改正の内容、本県経済の動向等を踏まえ、千百八十一億八千三百四十余万円を計上いたしております。
 地方消費税清算金については、地方消費税の都道府県間における清算金二百六十七億四千五百四十余万円を計上いたしております。
 地方交付税については、原資総額の伸び率及び国の算定方針を基礎に、過去の交付実績等を勘案して普通交付税の交付見込額を推計したうえで、当初予算において二千二百七十六億六千七百万円を計上したほか、特別交付税については、三十七億円を計上いたしております。
 県債については、地方債計画、その運用方針等を勘案して積算のうえ、千七億九千七百万円を計上いたしております。
 繰入金については、厳しい財政状況等に対処するため、財政調整基金から十五億円、県債管理基金から四十五億円、公共施設等整備基金から十億円及び地域振興基金から十九億円をそれぞれ繰り入れることといたしております。
 このほか、国庫支出金等については、主として歳出との関連において計上いたしております。
 以上が、「平成十七年度青森県一般会計予算案」の概要であります。

 このほか、上程されました議案の主なるものについて御説明申し上げます。
 議案第二号から議案第十九号までは、青森県公債費特別会計等の特別会計及び青森県病院事業会計等の企業会計に係る予算案であります。
 議案第二十三号「青森県国民保護対策本部及び緊急対処事態対策本部条例案」は、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律の制定に伴い、知事が設置する国民保護対策本部及び緊急対処事態対策本部に関し必要な事項を定めるものであります。
 議案第二十五号「青森県指定管理者による公の施設の管理に関する条例案」は、指定管理者に青森県立三沢航空科学館等六十五施設の管理を行わせることができることとするほか指定管理者に公の施設の管理を行わせることに関し必要な事項を定めるものであります。
 議案第二十九号「青森県部等設置条例の一部を改正する条例案」は、企画政策部の分掌事務のうち市町村その他公共団体の行政一般に関する事項を総務部に分掌させ、並びに特別対策局を廃止し、その分掌事務のうち広報及び広聴に関する事項を企画政策部に分掌させるものであります。
 議案第三十号「青森県行政機関設置条例の一部を改正する条例案」は、北地方農林水産事務所及び西地方農林水産事務所を統合して西北地方農林水産事務所を設置するものであります。
 議案第三十八号「職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例案」は、速記手当等を廃止し、衛生検査手当等の支給限度額を改め、その他所要の改正を行うものであります。
 議案第四十号「青森県個人情報保護条例の一部を改正する条例案」は、公安委員会及び警察本部長を実施機関に加える等の改正を行うものであります。
 議案第四十三号「青森県立三沢航空科学館条例の一部を改正する条例案」、議案第六十三号「青森県水族館条例の一部を改正する条例案」、議案第六十九号「青森県営スケート場条例の一部を改正する条例案」並びに議案第七十号「青森県武道館条例の一部を改正する条例案」は、いずれも指定管理者に施設の管理を行わせた場合の使用料金の納入等について定めるものであります。
 議案第四十四号「青森県白神山地ビジターセンター条例の一部を改正する条例案」は、白神山地ビジターセンターの映像体験ホールに係る観覧料及び指定管理者に白神山地ビジターセンターの管理を行わせた場合の観覧料金の納入等について定めるものであります。
 議案第八十号「町村の廃置分合の件」は、平成十七年三月二十八日から、南津軽郡藤崎町及び同郡常盤村を廃し、その区域をもって同郡藤崎町を設置するものであります。
 議案第九十三号「青森県人事委員会委員の選任の件」は、青森県人事委員会委員増田孝介氏の任期が来る三月三十一日をもって満了いたしますので、後任の委員として原田和夫氏を選任いたしたく、御同意を得るためのものであります。
 議案第九十四号「青森県監査委員の選任の件」は、青森県監査委員片谷稔氏の任期が来る三月三十一日をもって満了いたしますので、後任の委員として林忠男氏を選任いたしたく、御同意を得るためのものであります。
 その他の議案につきましては、各議案の末尾に記載されている提案理由等のとおりでありますので、御了承をいただきたいと思います。

 パスカルは、「パンセ」の中でこう語っています。
 「人間は一本の葦にすぎない。自然のなかで最も弱いものである。だが、それは考える葦である。」
 大いなる自然の前で、我々人間は、時に無力であります。しかしながら、人間は考えることができるがゆえに偉大でもあるのです。
 これからの「知」の時代にあって、県民一人ひとりが持つ、人間の尊厳なる「考える」能力を十二分に発揮し、さらには、その「知」を結集しながら、私は、県民とともに自主自立の新しい青森県づくりに邁進して参りたいと思います。
 以上をもちまして、県政の運営に関する所信を申し述べるとともに、提出議案の概要について御説明申し上げたところでありますが、議事の進行に伴い、御質問に応じ、本職をはじめ関係者から詳細に御説明申し上げたいと思います。
 なにとぞ、慎重御審議のうえ、原案どおり御議決並びに御同意を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、この機会に議長のお許しを得て、今冬の豪雪による被害の概況及びその対策について御報告申し上げます。
 御承知のとおり、昨年末から今月にかけて大陸からの強い寒気が断続的に本県上空を覆い、青森市をはじめとして県内各地に記録的な豪雪をもたらしました。
 この豪雪に対処するため、県は、二月十三日に豪雪対策本部を設置して、道路交通確保のための除排雪の計画的実施をはじめ、りんご樹、ハウス等の被害防止に関する指導の強化など諸般にわたる対策を講ずるとともに、除排雪経費に対する国の財政措置等について、関係省庁に対し、要請を行ったところであります。
 今回の豪雪による被害は、二月二十一日現在で、屋根の雪下し作業中の転落事故等による人的被害において、死者十名、負傷者百三十三名に達したのをはじめ、尾上町で住家の全半壊が二棟発生したほか、県内で住家の一部損壊が十四棟、弘前市で用水堰等の溢水による住家の床上床下浸水五棟、県内各地で農業用ハウスの損壊が百二十七棟などとなっております。このほか、JR、市営バス等の公共交通機関が運休するなどし、大幅にダイヤが乱れるなど、間接的被害も甚大で、県民生活に大きな混乱をもたらしたところであります。
 このたびの豪雪により不幸にして尊い生命を失われた方々の御冥福をお祈り申し上げるとともに、御遺族の方々に深く哀悼の意を表します。また、被害にあわれた方々に対し心からお見舞いを申し上げます。
 なお、豪雪はまだ予断を許さない状況であります。また、これから春先にかけて、なだれや融雪災害のほか、りんご樹の被害、水田等の雪融けの遅れによる農作業への影響等が危惧されるところでもあり、今後、引き続きこれらについての対策に万全を期して参ります。

 さらに、議長のお許しをいただき、去る二月十一日に発生した、小泊村権現崎地先におけるカンボジア船籍の木材運搬船「ヘレナ2」の座礁事故について御報告申し上げます。
 まず、報告に先立ち、このたびの座礁事故発生に際し、人命救助並びに被害拡大の防止に御尽力されました小泊村役場及び地元漁業関係者の皆様に対し、心から感謝申し上げます。
 県においても、事故発生直後、現地に職員、防災ヘリコプター及び漁業取締船を派遣するとともに、関係部局からなる庁内連絡会議を組織し、情報の把握に努めております。
 また、二月十六日には、船主、運航者及び運航者代理店に対し、早期に船体からの油の除去と船体撤去を行うことを要請したほか、財政支援について関係省庁に要請を行うため、出納長及び農林水産部長を派遣したところであります。
 同船に積載されている油が流出した場合、漁業への影響が懸念されるところであり、県としては、小泊村が実施する油防除措置に対する緊急支援措置を早期に講じて参ります。

 以上、御報告といたします。

第二百四十一回定例会追加提出議案知事説明要旨

 ただいま上程されました議案の主なるものについて、その概要を御説明申し上げ、御審議の参考に供したいと思います。

 まず、議案第九十五号「平成十六年度青森県一般会計補正予算案」について御説明いたします。
 今回の補正予算は、私立幼稚園の預かり保育を推進するための設備整備に対する助成に要する経費、五所川原市内に不適正に保管されている硫酸ピッチに係る行政代執行に要する経費、県管理道路の除雪に要する経費等について、それぞれ所要の予算措置を講ずることとしたほか、去る二月十一日に小泊村権現崎地先において発生した木材運搬船「ヘレナ2」の座礁事故に係る油防除措置に対する助成について、所要の債務負担行為を設定することといたしたものであります。
 また、二月一日に成立した国の補正予算に係る災害復旧関連経費等について、所要の予算措置を講ずることといたしました。
 さらに、後年度の財政負担の軽減を図るため、県債の繰上償還等に要する経費を計上したほか、県債管理基金について所要の積立てを行うことといたしたものであります。
 その結果、今回の補正予算額は、歳入歳出とも八十七億三千四十余万円となり、これと既決予算額とを合計いたしますと、平成十六年度青森県一般会計の予算規模は、七千八百二十二億六千百二十余万円となります。

 以下、計上の主なるものについて御説明申し上げます。
 はじめに、国の補正予算関連経費について申し上げます。
 まず、一般公共事業費については、国からの割当見込額に基づいて、四億四千七百九十余万円を計上するとともに、六十三億三千八百三十余万円の債務負担行為を設定し、合計で六十七億八千六百三十余万円を予算措置いたしました。
 そのうち、歳出計上分として、治山事業費三億三千五百十余万円、河川等災害関連事業費一億千二百八十万円を計上いたしております。
 また、債務負担行為分の主なるものとして、道路関係二十二億二千万円、河川海岸関係九億千六百万円、港湾空港関係十一億千六百万円、漁港関係五億八千万円を設定いたしております。
 国直轄事業負担金については、道路国直轄事業負担金等四億八百八十万円を計上いたしております。
 災害公共事業費については、四十六億二千六百四十余万円を計上いたしております。
 その主なるものとして、
 現年発生河川等災害復旧費三十九億八千八百二十余万円、
 現年発生港湾災害復旧費一億五千七百四十余万円、
 現年発生団体営土地改良災害復旧費四億七千百二十余万円、
を計上いたしております。
 災害国直轄事業負担金については、河川等災害国直轄事業負担金等二億九千四十余万円を計上いたしております。
 国庫補助事業費につきましては、十一億五千二百三十余万円を計上いたしております。
 その主なるものとして、
 民生費では、保育所整備費補助一億七千五百七十余万円、知的障害者更生施設整備費補助二億二千六百十余万円、
 農林水産業費では、昨年の台風等による被害に加え今冬の雪害への対応として、りんご被災園復旧対策事業費補助六億七千五百七十余万円、
 土木費では、県営住宅費五千二百十余万円、
を計上いたしております。
 また、特定資金公共投資事業債の繰上償還に要する経費五十二億五千六百八十万余円を計上いたしております。
 以上のほか、企業会計に係る国の補正予算関連経費として、
 議案第百八号「平成十六年度青森県病院事業会計補正予算案」におきまして、災害派遣用医療機器等の整備に要する経費六百八十余万円を計上いたしております。
 以上の結果、国の補正予算関連経費の総額は、百八十五億二千八百十余万円、うち本年度歳出予算額は百二十一億八千九百八十万余円、債務負担行為の設定に係るものは六十三億三千八百三十余万円となっております。

 次に、国の補正予算関連経費以外の経費について申し上げます。
 まず、公共事業関係費については、国からの割当決定額等に基づき、各事業費についてそれぞれ増減調整のうえ、一般公共事業費においては六億三千九百三十余万円、国直轄事業負担金においては災害に係る負担金を含め千三百三十余万円を計上いたしております。
 また、災害公共事業費においては国の補正予算関連経費に振り替わったこと等により、四十二億六千七百四十余万円を減額計上いたしております。
 なお、一般公共事業費のうち、今冬の豪雪に対処するため、県管理道路の除雪に要する経費として十億三千五百万円を計上いたしております。

 以下、公共事業関係費以外の計上の主なるものについて、款を追い、御説明申し上げます。
 総務費については
 総務管理費において、先ほど申し上げました趣旨で、県債管理基金積立金二十三億三千百五十余万円を計上いたしました。
 環境保健費については
 環境衛生費において、五所川原市内に不適正に保管されている硫酸ピッチ入りのドラム缶の一部について早期に撤去・処理する必要があることから、行政代執行を行うこととし、これに要する経費六千百六十余万円を計上いたしました。
 農林水産業費については
 水産業費において、去る二月十一日に小泊村権現崎地先において発生した木材運搬船「ヘレナ2」の座礁事故について、座礁船に積載されている油が流出した場合、漁業への影響が懸念されることから、小泊村が実施する油防除措置に対し緊急的に支援措置を講じることとし、所要の債務負担行為を設定することといたしました。
 土木費については
 土木管理費において、東北新幹線鉄道整備事業費負担金八億四百三十余万円を計上いたしております。
 教育費については
 教育総務費において、私立幼稚園の預かり保育を推進するための預かり保育室の整備に対する助成に要する経費八百二十余万円を計上いたしました。
 公債費については、公有林整備事業に係る既借入金の低利な資金への借換及び財政融資資金に係る県債の繰上償還を行うのに要する経費七十三億八千八百三十余万円について、既計上の公債費の精査による調整を行ったうえで所要額を計上いたしました。
 以上が歳出予算の概要であります。

 次に、歳入について申し上げます。
 今回の補正予算の主なる財源としては、主として歳出との関連において、国庫支出金、諸収入、県債等について、それぞれ増減額を調整のうえ計上したほか、県税については、不動産取得税等の増収見込額と法人事業税等の減収見込額を合わせた九億五千七百六十余万円、普通交付税については、交付決定額と既計上額との差額七十六億五千九百九十余万円を計上いたしました。
 以上が「平成十六年度青森県一般会計補正予算案」の概要であります。

 このほか、上程されました議案についてでありますが、議案第九十六号から議案第百十二号までは、特別会計十二件及び企業会計五件の予算補正に係るものであります。
 議案第百十三号「市町村の合併に伴う関係条例の整理に関する条例案」は、むつ市、川内町、大畑町及び脇野沢村の合併等今後予定されている十の市町村合併に伴い、青森県行政機関設置条例ほか七条例について所要の整理を行うものであります。
 その他の議案については、各議案の末尾に記載されている提案理由のとおりでありますので、御了承をいただきたいと思います。
 以上、提出議案の概要について御説明申し上げましたが、議事の進行に伴い、御質問に応じ、本職をはじめ関係者から詳細に御説明申し上げたいと思います。
 なにとぞ、慎重御審議のうえ、原案どおり御議決を賜りますようお願い申し上げます。

第二百四十一回定例会追加提出議案知事説明要旨

 ただいま上程されました追加提出議案について御説明申し上げ、御審議の参考に供したいと思います。
 議案第百二十三号「平成十六年度青森県一般会計補正予算案」は、本年二月末から三月上旬にかけての予測を大幅に上回る降雪等に伴い、今後、更なる増嵩が見込まれる県管理道路の除雪に要する経費及び青森空港の除雪に要する経費について、合わせて四億三千九十余万円の追加予算措置を講ずることといたしたものであります。
 歳入につきましては、歳出との関連において国庫支出金を計上したほか、財政調整基金からの繰入金一億八千五百三十余万円を計上いたしております。
 その結果、今回の補正予算額と既決予算額及び今定例会に既に提出しております補正予算額とを合計いたしますと、平成十六年度青森県一般会計の予算規模は、七千八百二十六億九千二百二十余万円となります。
 以上、提出議案について、その概要を御説明申し上げましたが、議事の進行に伴い、御質問に応じ、本職をはじめ関係者から詳細に御説明申し上げたいと思います。
 なにとぞ、慎重御審議のうえ、原案どおり御議決を賜りますようお願い申し上げます。

第二百四十一回定例会追加提出議案知事説明要旨

 ただいま上程されました追加提出議案について御説明申し上げ、御審議の参考に供したいと思います。
 議案第百二十四号「青森県監査委員の選任の件」は、青森県監査委員 清水 悦郎氏が本日をもって退職いたしますので、後任の委員として 滝沢 求氏を適任と認め、同氏の選任について御同意を得るためのものです。
 なにとぞ、慎重御審議のうえ、原案どおり御同意を賜りますようお願い申し上げます。

過去の議会説明要旨

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