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所信表明(平成15年7月定例会冒頭あいさつ)

 私は、この度、県民の皆様の暖かい御支援をいただき、知事の重責を担うこととなりました。私に寄せられた県民の皆様の期待の大きさと、責任の重大さを痛感いたし、身の引き締まる思いがいたします。
 今、本県は、長引く経済・雇用情勢の低迷や厳しさを増す財政状況など、多くの困難な課題を抱えており、県民が将来に不安を抱き、明るい未来像を描けない状況にあります。このような状況から脱却し、生涯を安心して暮らすことができる「ふるさと」を創るためには、青森県を再生させ、未来を切り開いていかなければなりません。
 私は、かねてより、「地域・地方が良くならなければ日本は良くならない」と主張してまいりましたが、今、県に求められているのは、「ふるさとの再生と新生」であります。

 私は、「青森から日本を変える」との気概を持って、自主自立の青森県づくりを目指し、この「ふるさと再生・新生」を実現すべく、邁進していく覚悟であります。
 その第一歩として、早急に取り組むべき課題は、財政改革と雇用・経済対策であります。
 この相矛盾する二つの課題解決を同時に進めるためには、多くの困難が伴いますが、私は、強い決意を持ってこれに立ち向かいたいと思います。

 まず、財政改革について申し上げます。
 本県財政は多額の県債残高を抱え、県債償還に伴う公債費が増加を続けており、何らかの対策を講じなければ、数年のうちにも、いわゆる財政再建団体に転落するような状況にありますが、現在の経済情勢からすれば、今後も大幅な税収増は望むべくもなく、徹底した歳出抑制が必要であります。

 この歳出抑制に当たりましては、大規模施設の整備を含む公共投資を重視してきた姿勢の是正と、事業の優先順位再検討等による予算配分の抜本的な見直しを行うとともに、義務的経費にも踏み込んだ聖域なき事務事業の総点検を実施し、大胆な見直しを行います。また、情報公開を徹底し、県財政のありのままの状況を県民の皆様にお示しすることにより、財政再建の必要性を御理解いただいたうえで、県内各界各層からなる委員会の御意見を伺いながら、財政改革のプランを取りまとめ、真に県民の幸せと県勢の発展につながる財政再建の道筋を確立したいと考えております。
 「今後五年間で概ね十パーセントを削減する」との姿勢を踏まえ、事務事業の見直しを行い、最終的には財源不足額の解消につながる適正な数値目標を設定いたします。

 次に、雇用・経済対策について申し上げます。
 本県の経済・雇用情勢は深刻な状況にあり、特に、雇用については早急な対策と即効性が求められております。今年度の当初予算において、大規模な雇用対策関連経費が計上されておりますので、この枠を着実に活用することで、事業効果を早期に発現させ数千人規模の雇用確保を目指したいと考えております。
 また、地域経済の活性化と雇用回復は、県民が将来に希望を持てる根幹であることから、今後とも県独自の対策と国の支援制度等との連携を密にしながら強力に推進してまいります。

 地域経済の活性化については、自助自立を促す、新しい発想・技術による起業やコミュニティ・ビジネスなどの県民仕事おこし運動を推進してまいります。県は、「自ら助くるものを助く」の精神で、意欲のある企業や団体などへの支援等を、新たな発想で見直してまいりたいと考えています。

 特に、生産者自らが、安心でおいしい青森の農林水産物のブランド化を目指すという姿勢をより強固にしていただく中で、私自らもトップセールスを展開し、販路拡大に尽力します。さらに、生産から流通までを結びつけ、収益性のアップを図る「攻めの農林水産業」への転換にも取り組んでまいります。

 これらの取り組みを含め、来年度予算では、政策経費の概ね十パーセントを雇用刺激型予算として編成したいと考えております。次に、私の県政運営方針について御説明いたします。
 「ふるさと再生・新生」を実現するため、私は、今回、県政運営に当たっての基本的事項として、「参加」、「共生」、「創造」、そして「公平」の四つのテーマをお示しいたしましたので、順次御説明してまいりたいと思います。

 まず、「参加」では、
県民が参加して政策の実現を目指す、開かれた県政づくりと大胆な情報公開を推進いたします。

 次に、「共生」では、
県民一人ひとりが安心と幸せを実感でき、飛躍と美しい環境の調和が持続する青森県を築き、小さな命がすくすくと育まれる環境づくりを推進いたします。

 次に、「創造」では、
青森県の資源と人的資産を最大限に生かした新たなローカル・テクノロジーと産業文化の創造に取り組み、再生、発展の仕組みづくりを推進いたします。 
 最後に、「公平」では、県政を再生するため先頭に立ち、県民が県政の主人公であるという自治の原点に立ち返った、公平・公正を実感できるふるさとづくりを推進いたします。
 これらはいずれも私の県政運営の基本理念であり、常にこれらを念頭に置きながら、個々具体の施策展開を図ってまいります。

 次に、施策の推進について、今回私が提唱いたしました「わくわくビジョン21」に沿って、その概略を御説明申し上げます。
 この「わくわくビジョン21」は四つの柱で構成されておりますが、まず、第一の柱「安心きずこう運動」についてであります。
 この分野では、県職員の意欲・能力を存分に発揮してもらうことなどをめざした県経営の革新と財政再建、雇用・景気回復のための大胆かつきめ細かな施策展開、保健・医療・福祉を一体化した包括ケアシステムの推進、女性たちのための子育て支援、民間の力を活用した自然・環境保全などに取り組んでまいります。

 次に、第二の柱「夢・活力おこそう運動」についてであります。
 この分野では、雇用と環境の両立、「攻めの農林水産業」の展開、求人・求職のミスマッチ解消、日本のエネルギー政策に貢献する産業やリサイクル産業の育成などに取り組んでまいります。

 次に、第三の柱「個性つくろう運動」についてであります。
 この分野では、県民との協働による未来像の策定、健康・収入・教育が確保できる三位一体の青森型ライフスタイルの実現、次世代の子どもたちのための教育・学習環境の改善、北東アジアとの連携などに取り組んでまいります。

 次に、第四の柱「安全しっかり運動」についてであります。
 この分野では、雪の克服から利活用への転換を目指した研究等の推進、原子力施設の安全対策の徹底、三沢米軍基地問題への対応などに取り組んでまいります。

 以上、県政運営を担うに当たっての私の基本的な考え方について申し上げてまいりました。
 今、県政を取り巻く環境は、非常に厳しいものがありますが、県民全体が元気を失うようなことがあってはなりません。私は、自らを律し、公正・公平で透明性の高い県政運営を常に心がけ、微力ではありますが、全力を傾注し「ふるさと再生・新生」を実現いたしたいと考えておりますので、議員各位並びに県民の皆様の御理解と御協力を心からお願いいたします。

過去の議会説明要旨

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