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更新日付:2025年10月23日 広報広聴課

知事記者会見(定例記者会見)/令和7年9月30日/庁議報告ほか

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知事記者会見録

会見日時:令和7年9月30日火曜日 13時00分~14時05分
会見場所:県庁西棟889会議室
会見者:宮下知事

〇幹事社
 ただ今から、定例記者会見を始めます。
 まずは、知事からご報告をお願いします。

〇知事
【青森県ふるさと納税返礼品の大幅拡充について】
 ふるさと納税制度については最近、ポイント還元がなくなるといった論点も出てきているところですが、ふるさと納税拡大に向けて県として本格的な取組をスタートします。今回のお願いは「ふるさと納税をしてください」ということではなく、あくまでも県内事業者の皆さまに返礼品の提案を募集するというお知らせになります。
 令和6年度における本県への寄附実績は、寄附件数が約3,300件、寄附金額が約5,600万円となっています。今後の目標値としては、件数で25,000件、金額で5億円を目指してまいります。これは十分に達成可能な目標であると考えています。
 返礼品については、事業者数を現状の1事業者から34事業者へと拡大し、返礼品数も81商品から229商品に大幅に拡充します。さらに、新たにトラベルクーポンや、民泊とアクティビティを組み合わせた宿泊付き体験プログラムなどの取扱いも開始します。りんごや米のほか、大間マグロやシャモロック鍋なども返礼品に追加しています。
 また、情報発信の強化も進めていきます。これまで9サイトで展開していたものを22サイトに拡大し、従来のさとふるやふるさとチョイスに加え、楽天、ふるなび、Amazon、一休.comなどでも10月から取り扱っていただけるよう手配を進めています。
 最後に、本日のメインとなりますが、返礼品の提供事業者については随時募集しています。まだ知られていない観光資源や魅力あふれる県産品をぜひ登録していただきたいと考えています。ふるさと納税は、今や1兆2千億円の市場になっていますので、ぜひ積極的に挑戦していただければと考えています。

【特定家畜伝染病対策についての新たな管理システム】
 いよいよ鳥インフルエンザのシーズンを迎えますが、豚熱や口蹄疫なども含め、畜産県である本県は常にリスクを抱えている状況にあります。そのため、特定家畜伝染病対策に係る新たな管理システムを導入することといたしました。
 伝染病が発生した場合、県庁は災害級の対応になります。例えば令和4年度には139万羽の殺処分を行い、延べ1万人、うち県庁職員4,000人を動員しました。しかしその際、マンパワー不足に加え、情報管理におけるヒューマンエラーも多く発生しました。こうした課題を踏まえ、一昨年には佐川急便と協定を締結し、業務の一部を民間に委託することにしましたが、内部業務については県庁DXとして「特定家畜伝染病防疫情報管理システム」を新たに開発いたしました。
 あわせて「防疫計画情報管理アプリ」も開発し、この2つでもって日常から発生時まで対応することとしております。
 まず管理システムについて、これは発生時に使用し、防疫作業に係る情報の一元化により、関係者で即時に情報共有が図られ、防疫作業の早期完了が可能となります。例えば、作業がどこまで進んでいるのか、作業がどのくらい残っているのか、必要な資機材や人員はどれだけかといった点をリアルタイムで把握でき、関係機関と連携しながら作業を行うことができるようになります。
 次に防疫計画情報管理アプリについて、県では、農場単位で防疫計画を作成し、発生した場合の作業手順のほか、集合施設や消毒ポイントなどを定めています。このため、他の農場と共通で使用する拠点の状況の把握や、共有情報の変更を反映するのに時間を要することが課題となっていました。これを一元的にアプリで管理することにより、防疫拠点の位置情報を「見える化」し、より効率よく防疫計画の管理や、発生時の対応ができるようになりました。
 今後は、本システムを効率的・効果的に運用するため、10月末に関係職員を対象とした防疫演習等を実施し、万全の対策を構築していきます。いざ防疫措置を行うような事態が発生した場合にも、県庁の業務体制を整え、県民生活に支障のないようにしていきたいと考えています。

【10月の台湾での総合トップセールスの実施について】
 10月に台湾でトップセールスを実施いたします。
 まず、りんご等輸出拡大に取り組みます。ちょうどシーズンを迎える黄色いりんごを中心に、スーパーやデパートのトップの方々や政府の防疫関係者の方々とお話をして、県産りんごのPRを行う予定です。
 それから、自治体交流ということで、高雄市と友好交流協定を締結する予定です。これは、台南、台中に続いて3都市目となります。
 また、誘客促進の取組として、直行便の増便に向けて、この機会にできるだけ結果が出せるよう取り組んでいきたいと考えています。
 さらに、昨年来取り組んでいる半導体関連の企業誘致について、台湾において初めて青森県の産業立地フェアを開催します。今のところ10数社に関心を寄せていただいています。こちらも企業誘致に向けて、さらなる取組を進めていきたいと考えております。
 10月中旬以降はしばらく青森を離れることになりますが、台湾での活動に集中してまいります。

【わたSHIGA輝く国スポ・障スポの開催について】
 現在、滋賀県で国スポ・障スポが開催されています。こちらに、私自身も参加してまいります。
 まず、10月8日の国スポ総合閉会式で引き継ぎ式が行われます。その後、来年度に向けて、三日月滋賀県知事との共同会見も行う予定です。
 障スポは、開会式から閉会式の引き継ぎまで大会を視察し、障がい者スポーツのあり方について、これから青森県でどのように取り組んでいくか検証してまいります。

【質疑応答(報告案件について)】
〇幹事社
 それでは、ただ今のご報告に対する各社からの質問といたしますが、質問は簡潔になるようご協力をお願いします。質問のある方は挙手をお願いします。

〇記者
 ふるさと納税についてお伺いします。
 目標値について、どのように算出されたのか、また、目標値を達成する時期についても教えてください。

〇知事
 まず、目標値についてですが、現状、青森県のふるさと納税の受入額は5,600万円となっています。一方で、青森県民がさまざまな自治体にふるさと納税をしているため、令和7年度の減収額は約11億円となっており、圧倒的に赤字となっています。
 ただし、減収補塡があるので、この補塡分を加味すると減収額は2億円程度です。目標である5億円を達成すれば、収支はプラスになると計算し、5億円を当面の目標として設定しています。
 達成時期については、5年以内に達成したいと考えています。

〇記者
 先ほど知事もおっしゃっていましたが、明日からポイント還元が廃止になります。このタイミングでこうした施策に取り組む背景をお伺いします。

〇知事
 特にポイントが廃止されるタイミングだからというわけではなく、ここ数年、税収が減収額に抜かれっぱなしになっていましたので、組織を変更して、前向きにふるさと納税に取り組み、税収でプラスになる施策を準備してきた結果、たまたま今日発表になったということでご理解ください。

〇記者
 特に事業者の方に参加していただきたいとのことでしたが、ふるさと納税をする県外の方に向けて、どのように情報発信をされ、どのターゲットに訴求していくお考えでしょうか。

〇知事
 あらゆるターゲットに情報発信を行っていきます。10月以降、22サイトで本県のふるさと納税返礼品を紹介します。ふるさと納税は成熟した市場ですので、この22サイトに登録すれば、返礼品を目当てにふるさと納税をしたい方々に自然に訴求できると考えています。

〇記者
 特に県内に住んでいた方で県外に異動された方などに訴えたい、といった考えはありますか。

〇知事
 皆さんに目を向けていただきたいと考えています。

〇記者
 私もふるさと納税について1点お伺いします。
 県として返礼品を充実させていくとのことですが、各市町村もふるさと納税に取り組んでいる中で、返礼品が重なることでニーズを奪い合う形にもなりかねないのではないかと思います。そのあたり、返礼品の選び方やすみ分けなどに配慮されている部分はありますか。

〇知事
 そもそも、県の返礼品にする際には、市町村の了解を得ることが第一条件です。また、事業者の方から県に応募があった場合も、まず市町村に県で取り上げてもよいかを確認した上で、県の返礼品にします。
 ですから、市町村には了解をいただいており、今後も了解いただけるものしか返礼品になりません。
 さらに、物によっては市町村で取り扱えないものもあります。例えば、生産地がA市で、加工地がB市の場合、それぞれの市町村で扱うこともありえますが、どちらの市町村も取り扱えないこともあります。それでも県産品であることに変わりはないため、そういったものは積極的に県の返礼品として取り上げていきたいと考えています。

〇記者
 台湾での産業立地フェアについてお伺いします。10数社の半導体関連企業が参加されるとのことですが、県としては具体的に県内の工業団地など、地点を示してプレゼンを行うのでしょうか。

〇知事
 当然、県の工業団地を示してプレゼンを行うことになります。青森、六ケ所、さらには金矢工業団地、それから市町村も含めると八戸も対象になりますし、いろいろな場所があります。そのことはプレゼンテーションの中で申し上げるつもりです。
 実際には、現地に来ていただくことの方が大事だと考えていますので、フェアで関心を持っていただいた企業の皆さまには、ぜひとも年度内に青森に来ていただいて、各地を見ていただく段取りを考えています。

〇記者
 参加する企業について、半導体といってもさまざま分野があると思います。どういった分野の企業が多いのでしょうか。

〇知事
 本当にさまざまです。もちろん製造業が一番多いと思いますが、まだ最終的なリストは固まっておりませんので、ぜひプレスリリース、あるいは台湾まで取材に来ていただいて、その場の雰囲気等を報道していただければと思います。

〇記者
 ふるさと納税の件でお伺いします。制度のあり方に関する見解についてですが、ふるさと納税は実財源として生かせるメリットがある反面、住民税の流出や一部自治体での過当競争、総務省から制度の対象外とされるケースもあり、課題やネガティブな部分もあるかと思います。こうした点も含め、ふるさと納税の意義やメリットについて、知事のお考えをお聞かせください。

〇知事
 ご指摘のとおり、いろいろな論点があり、ネガティブなことを挙げれば切りがありません。しかし一方で、ふるさと納税はすでに産業としてのプラットフォームが確立され、1兆2千億円規模の市場が出来上がっています。
 その中で、私たちがこれまでのように減収を受け止めて黙っているのか、それとも1兆2千億円の市場に積極的に参入し、県産品を新たなプラットフォームに乗せていくのかという選択があるとすると、それは後者を取るべきだと考えています。
 そのことによって、今まで隠れていた県産品に光が当たり、県内産業の競争力が高まり、そして所得が上がるというシナリオを描けると考えています。
 また、ポイント制度がなくなるからといって、成長市場でなくなるわけではないと考えています。むしろ、こうした市場にしっかりとついていくことこそ、取り組むべきことだと考えています。

〇記者
 特定家畜伝染病の防疫体制についてお伺いします。
 今回、全国初の有事の際のシステムということですが、2022年に139万羽が大量死した際、ヒューマンエラーが多発したとのことでした。
 この全国初のシステムを導入することで、具体的にどのようなヒューマンエラーを防げるのでしょうか。

〇知事
 少なくとも手書きがなくなることで、数量を間違える、人の名前を間違える、人数を間違える、資機材の品目を間違える、といったことはなくなり、かなり効率的になると考えています。
 また、情報が一元的に管理できるので、皆で情報を確認することで間違いに気付くことができるようになります。

〇記者
 運用は、それぞれ10月1日からということでよろしいでしょうか。

〇知事
 防疫情報管理システムは、実際に発生したときに使用するものです。
 なお、防疫計画情報管理アプリについては、すでに運用を始めています。

〇記者
 家畜伝染病対策についてお伺いします。
 今回、新しいシステムを導入することで、情報の一元化がなされて、ヒューマンエラーも減るとの説明がありました。
 例えば、このシステムによって、家畜伝染病の対応にあたる動員人数が少なくなるなどの効果は想定されていますか。

〇知事
 まず、管理部門、つまり県庁でコントロールする人数は減ると考えています。
 ただ、鶏や豚の殺処分に対応する人数自体は変わらないと思います。

〇記者
 このシステムを作るにあたって、関係機関との意見交換の場は設けたのでしょうか。

〇知事
 もちろん設けています。何よりも、今の県庁DXの中でノーコードツールを使って職員が開発したというのは、極めて特別なケースだと思いますし、私自身もすばらしいことだと考えています。

〇記者
 ふるさと納税についてお伺いします。今年度から担当部署を観光交流推進部に移していますが、その目的や、現段階での効果をどのように感じていらっしゃいますか。

〇知事
 効果については、まだ始めたばかりですので、これからだと考えています。目的としては、単に税収が減ることを受け入れるのではなく、私たち自身が積極的に商品を出して、ふるさと納税という新しい仕組みのメリットを青森県に取り込むことです。

〇記者
 今年度から新たに始めている、観光交流推進部だからこそできる取組はどのようなものでしょうか。

〇知事
 県産品の取扱いについては、観光交流推進部の県産品販売・輸出促進課が担当していますので、こういった産業とのつながりをうまく活用して、ふるさと納税の拡充に取り組むことができるのが当部の特徴であり、当部でしかできないことだと考えています。

〇記者
 特定家畜伝染病対策の管理システムについて、先ほどのご回答の中で、ノーコードツールを使って開発したというお話がありましたが、これまでも県庁内で、同様にノーコードツールを使って作られたものはあるのでしょうか。

〇知事
 全ては把握できていませんが、たくさんあると思います。詳しくは、後ほど担当課にご確認ください。

〇記者
 今回のシステムは、その中でも主なものの1つということでしょうか。

〇知事
 内部の管理業務においてノーコードツールを使って効率化を図るということは、県庁DXの取組として日常的に行われていることです。
 ただ今回は、特定家畜伝染病という社会的にも大きな出来事に対して、県庁が全国で初めてDXを活用し、ノーコードツールを使って仕組みを構築したという点で、発表させていただきました。

【質疑応答】
〇幹事社
 次に、報告以外に対する質問に移ります。
 まずは、幹事社の方から質問させていただきます。
 Jリーグクラブのキャンプ誘致について伺います。
 県では、新青森県総合運動公園などの練習場や宿泊施設を巡る視察ツアーを開催するなど、キャンプ誘致に向けた取組を進めています。キャンプの獲得に向けては、視察ツアーで把握した各クラブのニーズや要望に対応していく必要があると思います。
 そこで、キャンプ獲得に向けて、県は今後どのように誘致活動を進めていくのか伺います。 また、Jリーグクラブキャンプを地域の活性化にどのように結び付けていくのかをお聞かせください。

〇知事
 これまで6チームに県内各施設を視察いただきました。その中で、やはりJリーグでは芝の状況が一番大切だというお話をいただきました。現時点では、この管理が十分に整っている施設が県内にはないということであったと受け止めています。
 したがって今後は、青森県に来たいと決めていただいたチームとの関係で、芝を整備することが次の段階になると考えています。
 後半の質問で、地域活性化にどのように取り組んでいくのかということですが、最初から複数チームを呼び込むのは現実的ではなく、まずは1チームに来てもらうことが大切だと考えています。1チームでも来ていただければ、それが他のチームを呼び込むきっかけになったり、練習試合や地元とのサッカー交流、さらには地域貢献活動につながる可能性があります。
 そうした取組を軸に地域の盛り上げが期待できますので、まずは決めていただいて、施設をチームに合わせて整備して、そこの市町村、自治体がいろいろなアイデアを出しながら、地域活性化に取り組んでいただきたいと考えています。

〇記者
 緊急銃猟制度について伺います。
 今月頭の弘前市長会見で、市町村の境でクマが出没した時の対応などに関して、一自治体だけでの対応には無理があるということで、県に対して、県全体の取組方針を出してほしいと要望する場面がありました。
 秋田県や岩手県では、9月補正予算に緊急銃猟制度に関する市町村支援を盛り込んでいますが、本県として何か取り組まれるお考えはありますでしょうか。
 先日の一般質問で、知事が「市町村の取組を後押ししていく」と答弁されましたが、具体的にどのような取組を想定されているのか教えてください。

〇知事
 まず、緊急銃猟制度について、私自身の見解を述べさせていただきます。
 この制度は、クマが市街地に出た場合に必ず駆除できたり、追い込める仕組みになっているかというと、今の時点ではそうではないと考えています。撃てる場所や場面が限定されていること、発砲に当たっては関係住民への周知が必要なこと、また許可するのが市町村長であることなど、手続きが多く、本当に緊急と言える状況で機能するのか疑問があります。現場で周囲の安全確認や周知をしている間に、クマが逃げてしまうということもあり得ます。
 例えば、秋田であった事案で、スーパーにクマが入り、人が誰もいないことが確認された場合などには対応できるかもしれませんが、現状ではあまり大きな期待はできないと考えています。
 一方で、ご質問にあった、県がどのように市町村の応援をしていくかということについては、国の仕組みが現場で機能するように助言していくことが重要だと考えています。市町村担当者を集めて研修会を行ったり、マニュアル作りを手伝ってほしいという要望があればお手伝いすることもあると考えています。

〇記者
 知事は40市町村長とホットラインを持っていると思いますが、緊急銃猟制度に関して、要望が寄せられたことはあるのでしょうか。

〇知事
 特にありません。クマの対応については何度もやり取りしていますが、緊急銃猟制度について、市町村長からの要望は、私自身は受け取っていません。皆さん、同じような認識だと考えています。

〇記者
 最低賃金についてお伺いします。
 11月に本県の最低賃金が1,029円に引き上げられることになりました。現在の最低賃金から76円の引き上げとなり、全国的に見ても引き上げ幅は大きいのですが、金額としては全国で3番目に低い水準です。
 知事は、所得向上や労働力の確保、若者の県内定着などに力を入れたいとおっしゃっていますが、今回の本県の最低賃金をどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。

〇知事
 結果的に言えば、物価水準がどんどん上がっている中で、労働者側に立ってみると、なお低い水準であると言わざるを得ないと受け止めています。
 次に、最低賃金の決め方について一言申し上げます。どのように決めているのか、はっきり分からない部分があります。中央最低賃金審議会が物価水準等を基準に上げ幅の目安を示し、青森県内の労働者の代表と経営者の代表等が集まって審議します。労働者側は当然、「まだまだ上げてほしい」と言い、使用者側は「これ以上は経営が成り立たない」と主張し、せめぎ合って決めています。しかし、この決定が科学的根拠に基づいているかといえば、必ずしもそうではありません。誰も、どの指標を使ってもその適正さを検証できない状況です。
 そのため、決め方については、もっと科学的に、例えば有効求人倍率や企業の内部留保などのデータを活用して、どの水準なら企業が耐えられるかを判断する仕組みも必要だと考えています。この前、経済学会でも同じ話をしました。現状は、評価に基づき私が「少し低いのでは」と言っているだけで、根拠はあいまいです。物価水準から見れば、なお低い水準にあるということしか言えません。国としても、決め方をもう少し整理してほしいと考えています。

〇記者
 最低賃金の引き上げを受けて、県内企業への支援を行う県も出てきています。青森県として、企業への支援策などを実施するご予定はありますでしょうか。

〇知事
 今回の補正予算では、そうした支援は含まれていませんが、今後検討するかどうかは、最低賃金が実際に上がった後の実質賃金の推移や企業の体力を総合的に考えて検証していくことだと考えています。

〇記者
 みちのく記念病院についてお伺いします。
 今月2日、みちのく記念病院を運営する医療法人杏林会に対して、県が改善命令を出し、9月末までに改善計画を出すよう求めています。現時点で改善計画は提出されているのでしょうか。
 また、改善命令を出された際に知事からコメントをいただいていましたが、昨日、元院長の求刑が1年6月と出されたことも踏まえて、知事としての受け止めを改めてお聞かせください。

〇知事
 改善計画は現時点で提出されています。現在、内容を検証している段階です。
 こうした事案はあってはならないことであり、医療の信頼を大きく揺るがす事案だと受け止めています。改善命令は、全国でも類を見ない厳しい対応ですが、当該病院が改善命令に従い、正常な病院運営ができるように、県として指導や検査を継続していきます。
 第1審が行われている最中ですが、元院長が起訴内容を認めたことで、今回の事件が元院長の指示によるものであったことが明らかになりました。今後、裁判の中でさらに事実が明らかになると思いますので、そういったことも含めて検査を継続し、しっかりと業務が改善できるように、私たちとして取り組んでいきたいと考えています。

〇記者
 裁判の中で新たな事実が判明した場合、それに基づいて追加で立入調査を行う可能性もあるということでしょうか。

〇知事
 可能性はあります。

〇記者
 改善計画について、いつ付けで提出されたものか教えていただけますか。

〇知事
 改善計画の内容については現在検証中ですので、具体的な内容については差し控えさせていただきます。

〇記者
 GX戦略地域の応募について伺います。
 先般、石破首相との懇談で、知事が応募する考えを示されたかと思います。10月までに計画を提出するとのことですが、進捗状況はいかがでしょうか。

〇知事
 現在、具体的な提案内容を検討しており、期限までにしっかり取りまとめる予定です。取りまとまった時点でお伝えできると思います。

〇記者
 改めて、今回応募される理由や目的をお聞かせください。

〇知事
 もともと、今年度からGX青森として、AIデータセンターも含めた最先端の産業を青森県に取り入れる機会を作れるよう取り組んでいます。
 そうした中で、国の方も新しい制度、仕組みとして、モデル地域を作るということですから、これに応募するというのは、必然的な流れだと考えています。

〇記者
 先日、データセンターの設置を目指すとお伺いしましたが、具体的な地域など、想定されていることはございますか。

〇知事
 現在、市町村に照会を行い、関心のあるところを募っています。
 AIデータセンターは、立地することによって、データセンターを活用する産業がクラスターのように形成されるというところに意味があるので、これが成功すれば、青森県の中で非常に有望な産業になっていくと考えています。

〇記者
 データセンター設置の実現可能性について、どのようにお考えでしょうか。

〇知事
 やってみなければ分かりませんが、挑戦する価値があると考えています。

〇記者
 最低賃金について確認させてください。
 今回の審議過程において、他県では知事が意見を述べるという事例も多くありました。
 知事が最低賃金の決定過程に対して意見を述べることについての宮下知事のご見解と、来年以降、最低賃金の審議に当たって、知事としての意見を審議会などにお伝えするお考えはありますか。

〇知事
 少なくとも、私としては最低賃金を決める労働審議会に対して意見を述べることはありません。
 他県の知事がどのように対応しているかについて、私が論じる立場にはないと考えています。

〇記者
 自民党総裁選について伺います。
 総裁選も佳境に入ってきましたが、さまざまな公約が出揃う中で、今回の総裁選をどのようにご覧になっていますか。また、支持候補等について、改めてご所感をお伺いします。

〇知事
 総裁選をどう見ているかという点については、地方の論点が出てこないのは非常に残念だと感じています。国政のことだから出てこないのかもしれませんが、地方政策は国の政策の中で非常に重要なことですが、どの候補からも出てきていません。とりわけ人口減少は、非常に大きな課題だと思いますが、なかなか理解してもらえていないという気持ちがあります。
 どの候補を応援するかについては、私の立場で申し上げることではないと考えています。

〇記者
 話題変わりまして、原子力政策について伺います。
 日本原燃が昨日の規制委員会の審査会合で、11月までに審査の説明を完了できない可能性に言及しました。原燃としては、2026年度のしゅん工目標は可能だとしていますが、審査計画に遅れが出ていることは否めない状況です。
 この状況について、知事の受け止めをお聞かせください。

〇知事
 いつまでにということよりも、やはり丁寧に審査を進めることが大事だと考えています。
 もともとの約束はしゅん工ですので、しゅん工に影響がないということであれば、丁寧に審査を進めて、しっかり安全性を確保した上でしゅん工に向かっていただきたいと考えています。

〇記者
 知事はこれまで、むつ市の中間貯蔵施設の事業開始を機に、青森県として中間貯蔵事業の継続に関与する仕組みを作られた中で、もし再処理工場のしゅん工が28回目の延期となった場合、中間貯蔵事業の継続は認めないというお考えはありますか。

〇知事
 延期するから認めないということではありません。
 ただし、再処理工場そのものができないということになれば、それは認めないということになると思います。行き場所がなくなりますからね。

〇記者
 必ずしも延期ということが、中間貯蔵事業を認めないということに直結するわけではないということですか。

〇知事
 単純に延長するから認めないとは言えません。
 例えば、「全然できません。あと30年延長します」というような話であれば、それはさすがに一度待ってもらわないと困る、ということになるでしょう。
 一方で、「しゅん工が3月の予定だったのが4月になります」という程度であれば、それをもって認めないという話にはなりません。
 ただし、一定の関連はあり、中間貯蔵を認めた経緯として、再処理工場の進捗と関係していることは確かだと思います。

〇記者
 武藤経産大臣が先ほど閣議後の記者会見で、近日中に六ケ所再処理工場を視察すると発表されました。知事として、お会いするご予定はありますか。

〇知事
 今の時点ではありません。

〇記者
 再エネの共生条例について伺います。7月1日の施行から2か月余りが経過しましたが、南部町では風力発電を計画していた事業者が、候補地が保護地域や保全地域に該当したことなどを理由に事業の中止を表明しました。
 共生条例が潜在的にでも効力を発揮したとの見方もあると思いますが、この撤退の動きをどのようにご覧になっていますか。

〇知事
 今後、青森県内では、地方公共団体が認めないメガソーラーや風力発電といった大規模な再生可能エネルギー事業は実施できないということを、この条例によって明確に意思表示したつもりです。したがって、今回の撤退は1つの効果だと受け止めています。
 ただ、完全体は税条例ができてからだと考えていますので、そうした中で、また新規の事業がきたときに、効果を発揮すると考えています。

〇記者
 陸奥湾ホタテについてお伺いします。
 今年も気温が高く、海水温も高い状況で推移しています。その中で、主産地の平内町漁協の清水川支所が9月11日に行った調査では、6か所で調査したうち、最もひどい箇所では100%が低水準に達していたとのことです。
 3年連続で厳しい状況が続く中で、改善が必要な状況も考えられます。知事としてのお考えをお聞かせください。

〇知事
 11月に県で一斉に調査を行います。今の時期に籠を揚げる調査を行うとリスクがあるため、海水が冷たくなる11月に実施する予定です。その結果を踏まえて、今後の対策を検討していきたいと考えています。

〇記者
 生産者にお伺いした中で、これ以上この状況が続くと廃業を考えなければならないという、悲痛な声も聞こえてきました。生産者に対する支援について、どのようにお考えでしょうか。

〇知事
 支援についても同様で、11月の調査結果を踏まえて検討していきます。

〇記者
 サッカーのヴァンラーレ八戸についてお伺いします。現在、J3で首位を走っており、J2に昇格すると、新たな要件を満たしたスタジアム整備が必要になります。今後、スタジアム整備の話が出てきた時には、県として支援するお考えはありますか。

〇知事
 あくまで仮定の話ですので、まずヴァンラーレ八戸には一戦必勝で勝ち続け、J2昇格を勝ち取っていただきたいと考えています。

〇記者
 新たなスタジアム整備が必要になるという課題については、どのように認識していますか。

〇知事
 それは、ヴァンラーレ側がどのように考えているかということが全てだと思います。

〇記者
 チームや市とは情報交換はされていますか。

〇知事
 行っていません。

〇記者
 かねてから知事は、プロスポーツによる地域振興は大事だとおっしゃっていました。そういった中で、今回、ヴァンラーレ八戸がJ2に昇格するということが地域に与える影響や期待される点をどのようにお考えでしょうか。

〇知事
 ぜひJ2に昇格してほしいと思います。勝ち続ければ観客も増え、週末に2千人、3千人が集まるイベントが、青森県内で当たり前に行われるようになるのはすばらしいことです。J1に上がればさらに5千人、1万人規模の観客が見込め、アウェーからも多数のサポーターが駆けつけることで、サッカーを通じた交流人口が大いに拡大することは、青森県にとって非常に大きいことだと考えています。
 また、サッカーは小さいこどもから高齢者の方まで家族で楽しめるスポーツです。こうした文化が根付けば、地域に広がりが出てくると思います。まずは残りの試合で勝ち続け、J2昇格を決めていただきたいと考えています。熱烈に応援しています。

〇記者
 7月に出た、むつ市の中間貯蔵施設への使用済燃料の搬入・搬出計画についてお伺いします。新たに示された4,000~4,500トン程度という貯蔵量に対して、地元むつ市が税や交付金の試算を行ったところ、490億円程度の減収が見込まれるとのことでした。市や市議会では、減収に対する懸念の声が上がっていますが、知事としても同様の懸念をお持ちでしょうか。

〇知事
 県は税収減がないので、県としての論点はあまりないと考えています。

〇記者
 むつ市は年内に計画の提示を求めていますが、知事としては、どのあたりのスケジュール感で臨んでほしいとお考えですか。

〇知事
 特に我々は何も求めていません。これからは、毎年の搬入計画や核燃料サイクル全体の進捗状況を見て適切かどうかを判断して、受け入れるかどうかを決めていく、それだけだと考えています。

〇記者
 JR新青森駅駐車場の混雑の問題についてお伺いします。先日、一般質問で渋滞解消のため東口を利用する2つの案が示されました。また昨日は、青森市の西市長から、西口をうまく活用していくというようなお話もありました。今の段階で、知事として言えることがありましたら教えてください。

〇知事
 基本的には、市の話なので、市としてしっかり取り組んでいただくことに期待しています。

〇記者
 みちのく記念病院についてお伺いします。先ほど、病院から改善計画の提出があったとお話がありました。これだけ注目を浴びている事件でもありますので、病院の方からどういった改善計画が出されたのか、概要を教えてください。

〇知事
 今はお答えできません。内容をオープンにして公益に資するのであれば公開しますが、現段階でそのまま公表してしまうと、「これができていない」、「あれができていない」と報道が先行してしまいます。
 私たちは、出てきた改善計画に対して一つひとつ確認し、これができていないからこう改善する、という話を繰り返しています。病院が改善計画に基づき、通常の医療機関として正常化していくかをしっかり確認することが重要ですので、そこはご理解ください。

〇記者
 業務改善計画自体は、改善が見込める内容であり、県としても納得できる内容ということでしょうか。

〇知事
 現在しっかり確認しています。

〇記者
 関連して、八戸市議会で先日、精神保健福祉法の改正を国に求める意見書が可決されました。今回の事件を受けて、知事として法律改正などに関してお考えはございますか。

〇知事
 今回の事案では、医療法等に基づく検査が、病院ぐるみの隠ぺいには機能しませんでした。この点については、今後、我々としても検証すべきだと考えています。運用の問題として、例えば立入検査を抜き打ちでやれば良かったというレベルの話なのか、あるいはそうではないのかということも含めて、検査のあり方についてはしっかり検証していきます。
 その過程で、国に要望する必要があれば、伝えていくことになると考えています。

〇記者
 十和田湖の遊覧船の不法係留についてお伺いします。先日、一般質問でもお答えいただいたとおり、県は撤去命令を出しています。これまでの経緯を見ていると、組合側が撤去するのは難しい状況にあるのではないかと思います。
 3月22日の期限までに撤去されない場合、当然、代執行を視野に入れているという認識でよろしいでしょうか。

〇知事
 まずは撤去していただくことを考えてもらいたいと思います。

〇記者
 10月29日で、エバー航空の台湾線が復活して1年を迎えます。先ほどトップセールスの話もありましたが、これまでの受け止めや今後の課題などについて、改めてお聞かせください。

〇知事
 やはり定期便があることで、行き来がしやすくなっています。観光交流やビジネス、特にりんごの関係のビジネスにおいて利便性が高まっています。
 これがさらに拡大すれば、投資案件や相互交流も深まっていくと考えています。特に台湾は親日国家でもあり、我々のビジネスの相手でもありますので、大切にしながら、これからも路線の維持にしっかり取り組んでいきたいと考えています。

〇記者
 国内線についてお伺いします。冬ダイヤでは、残念ながら青森・神戸線が年末年始以外は休止となり、またJALの羽田線は時期によって6往復から5往復に減便になるとのことです。これに対する受け止めをお聞かせください。

〇知事
 特にJALの減便は、私も影響があります。ちょうど6時ぐらいの便がなくなるので、青森での公務が終わってすぐ東京に飛んで、また次の日に帰ってくるということができなくなってしまうため、少し残念に思っています。
 ただ、需要に応じた対応であると思いますので、今後、青森県として誘客促進や交流拡大に取り組むことで、復活してくれるものと考えています。復活に向けて、青森県の魅力をしっかりPRしていく方が大事だと考えています。

〇記者
 医療法に基づく検査について、検証すべきとのお話がありましたが、検証のスケジュールがもし決まっていたら教えてください。

〇知事
 年度内を目途に検証したいと考えています。

〇記者
 検証結果は、何らかの形で対外的に公表されるのでしょうか。

〇知事
 その予定です。
 現在、改善命令に基づく検査を行っていますので、それと並行して検証も進めていきたいと考えています。

〇記者
 来年、本県で開催される国スポ・障スポまで1年となりました。改めて、どのような大会にしたいかお聞かせください。特に、スポーツを「する」「みる」「ささえる」大会に向けて、こどもたちが多くの競技に触れる機会でもあると思うので、そのあたりについてお伺いします。
 また、もてな手話をはじめとしたおもてなしの取組などを通じて、気運を高める機会でもあると思うので、その辺も含めて期待する効果をお願いします。

〇知事
 この大会を開催すること、そして成功させることは、青森県にとっても私自身にとっても、本当に大きな挑戦になると考えています。
 どんな大会にしたいかを一言で申し上げると、青森県がスポーツで1つになり、そして県民の心がスポーツで1つになる大会を目指していきたいと考えています。
 49年前に開催されたあすなろ国体の思い出は、私たちの親の世代から語り継がれています。どの選手を見たか、開会式に動員されたなど、50年経っても語れる体験として残っています。私たちとしても、こどもたちには思い出に残る体験をしてほしいと考えています。
 障スポについては、もてなしや大会の盛り上げを通じて障がい者に対する理解を深め、差別をなくして、新しい障がい者行政がこの障スポをきっかけに先に進み、新しい共生社会ができあがる大会を目指したいと考えています。

〇記者
 最後に知事から一言お願いいたします。

〇知事
 ありがとうございます。
 もう秋ですが、朝晩は大分涼しくなってきました。皆さん、体調管理にはくれぐれもお気をつけください。私も先月、少し体調を崩してしまいましたが、ご覧のとおり元気に復活しております。
 これからきのこ狩りのシーズンになりますが、例年にないぐらい市街地にもクマが出ています。山の中にはもっと多くいますし、ブナが大凶作ということで冬眠を前にして餌を求めて徘徊する可能性が非常に高い状況です。くれぐれもクマ対策をしっかりと講じた上で、山や秋を楽しんでいただければと思います。

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