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知事記者会見

知事記者会見(定例)/令和7年2月28日/庁議報告ほか

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知事記者会見録

会見日時:令和7年2月28日金曜日 11時00分~12時00分
会見場所:県庁西棟889会議室
会見者:宮下知事

〇幹事社
 ただ今から、定例会見を始めます。
 まずは、知事からご報告をお願いします。

〇知事
【通学路スクラムラインについて】
 「路面標示」修繕工事の見える化・最適化に向けた取組として、「通学路スクラムライン」をスタートいたします。
 現状、道路に引かれている線は、県や市町村などの道路管理者と、交通管理者である県警の2つの主体によって表示されています。外側線やセンターラインは道路管理者が設置していますが、横断歩道や停止線、ダイヤマークは、交通規制に関するものなので、県警が設置しています。
 これまでは、同じ場所であっても、発注時期や施工時期が違うと、センターラインは修繕されていても横断歩道は摩耗している、あるいは、横断歩道は修繕されていてもセンターラインは摩耗しているという状況が散見されていました。
 また、入学式や夏休みなどの学校行事を反映した施工スケジュールとなっていなかったため、入学式が終わってから修繕される、夏休みの最中に修繕されるということもありましたし、摩耗の進行状況を踏まえた施工順番となっていないという現場の課題もありました。
 今年は冬季の除排雪が多かったので、路面の摩耗が例年以上になっていることから、先手を打った対応が必要であるため、この「通学路スクラムライン」を実施することといたしました。
 具体的な内容としては、まずは小学校にターゲットを絞って、県道のエリアにある小学校周辺の横断歩道や道路の白線等について、一体的にエリアを定めて、一気に修繕を実施します。これまで、6月から7月までに実施していた修繕工事について、できるだけ入学式前までに完了させることとします。
 今シーズンは、青森市、弘前市、八戸市の10校程度を試行的に選定して、実施します。
 小学校を中心に実施しますが、もちろん中学校もありますし、通学路は広いです。また、通学路以外の道路もありますので、順次、この通学路スクラムライン事業として拡大していきたいと考えていますし、後々は、市町村にも県警と連携して取り組んでいただきたいと考えています。
 新学期を迎えるお子さんが安心して通学できる環境を整えていきます。

【災害支援を担う新たな専門技術チームの設置について】
 昨日、青森県町村会定期総会の場でも少し話題にしましたが、市町村では専門技術者の採用、獲得に難儀しています。
 そこで、県内市町村への支援として、新たな専門技術チームの設置についてご報告申し上げます。
 これまで、インフラ施設の災害支援は、県庁から各市町村へ直接職員を派遣し支援を行っていましたが、被災時の現場では、支援の優先度の検討に加え、派遣職員の役割分担の明確化などについて、一刻を争う対応が求められておりました。
 また、アクセス困難な箇所を把握する際の有効な手段であるドローン調査についても、活動が限定的、人口が集中する地区では飛行許可が必要であるなどの課題が散見されていました。
 そこで、これらの課題を踏まえ、インフラの被害状況を速やかに把握し早期復旧へとつなげるための新たな専門技術チームを2つ設置することといたしました。
 1つ目が「県土整備部災害支援チーム」、通称「Team-AXIS(チーム・アクシス)」です。災害時には直ちに市町村役場や被災現場に派遣し、被災状況の調査支援や情報提供、建設インフラ被害への技術的支援を行います。市町村では、被災時の緊急対応もありますが、その後、災害査定を乗り越えていかなければ、復旧に取り組めません。災害査定を乗り越えるためには、被災当初からのしっかりとした技術支援が必要であるため、この「チーム・アクシス」を派遣して、災害現場の対応にあたります。
 2つ目が「県土整備部ドローン調査隊」、通称「ABBs(あおもりブルービー)」です。国家資格保有職員を中心に結成し、災害時には被災現場へ直行します。
 DID地区(人口が集中する地区)内でもドローン飛行を可能にすることで、空から被災状況の写真や映像の撮影、3Dデータ作成用の写真撮影などに取り組むこととしています。
 こうした状況については、県庁の災害対策本部はもちろんのこと、直ちに市町村の災害現場とも共有していきたいと考えています。
 具体的な内容について、県庁から地域整備部に「チーム・アクシス」を派遣し、市町村役場に派遣された県庁のリエゾンと協力して技術的支援を行うのと同時に、直接現場にも出向き、市町村や県庁本部と情報共有する役割を担います。「あおもりブルービー」は、現場に直行し、画像データを市町村と県庁本部に提供する役割を担います。
 高性能ドローンについて、現状は4機体制ですが、今後、各県土整備事務所全てに配備して7機体制とする予定です。一般ドローンと合わせると、県内で26機体制になりますので、全域の災害でも対応できますし、局地的な災害になった場合には、集中投入ができるような体制になっています。
 このことによって、県の災害対応が強化されることはもちろんのこと、市町村の応援にもしっかりと貢献していきたいと考えています。
 最後になりますが、新たに発足するドローン調査隊「あおもりブルービー」の初回訓練を3月11日、9時から9時半まで実施いたします。天候によって、どこでドローンを飛ばすかは決めますが、「現場からのリアルタイム配信」の訓練を行いますので、ぜひ取材をお願いします。

【青森県LINE公式アカウントの開設について】
 本日から青森県LINE公式アカウントがスタートしました。
 ポイントの1つ目は、県民の皆さま個々のニーズに応じたくらしに役立つ身近な情報をプッシュ配信していきます。ぜひ通知はオンにしてください。
 ポイントの2つ目は、知りたい情報に素早くアクセスできるようになっています。現状、さまざまなメニューを設置していますが、今後もどんどん進化していく情報提供プラットフォームにしていきたいと考えています。
 LINEは、月間アクティブユーザー数が約9,700万人と、国民の情報プラットフォームになっていますので、LINEを活用した情報発信を進めていきたいと考えています。
 友だち登録をして受信設定を行うと、受け取りたい分野の情報が届きます。「子育て・教育」「防災・防犯」「健康」「ビジネス」「観光・物産」「イベント」「くらし」「県政情報一般」といったさまざまな情報がプッシュ型で皆さんの手元に届きます。このことによって、県政をより身近に感じていただくきっかけになればと考えています。
 「メインメニュー」では、県の各種広報媒体等にアクセスできるようになっていますし、「結婚・子育て・教育」メニューや「災害・防災・防犯」メニューでも、さまざまな情報にアクセスできるようになっています。
 「結婚・子育て・教育」メニューでは、結婚応援パスポートや子育て応援パスポートを簡単に表示することや、応援メニューがある応援店を検索することもできます。
 また、災害発生時は、災害モードとなり、「災害・防災・防犯」メニューの色が黄色から赤に変わって、災害時に役立つ情報に素早くアクセスできるようになります。
 すでに登録できますので、ぜひ報道機関の皆さまもご登録をお願いいたします。

【プロバスケットボールチーム「青森ワッツ」を応援しよう】
 4点目、青森ワッツをぜひ皆さんで応援しましょう。
 2026~2027シーズンから、プロバスケットボールのBリーグの構成が変わり、青森ワッツが、現在の「B2」に相当する「Bリーグ・ワン」に所属するためには、観客動員数の要件があり、残る9試合のホーム戦で、あと13,113人、1試合あたり1,457人の来場者が必要です。
 青森県内で、プロスポーツがもたらす歓喜や感動を体験できるのはすばらしいことであり、青森ワッツの「Bリーグ・ワン」参入に向けて、県民の皆さまと一緒に応援していきたいと考えています。3月1日と2日は八戸市東体育館で、8日と9日は弘前市にある青森県武道館で開催されます。また、3月26日と4月は青森市で行われますので、ぜひ皆さん、ご観戦よろしくお願いいたします。
 私も3月1日は公務として観戦しますし、残された試合もできるかぎり観客として観に行きたいと考えています。

【質疑応答(報告案件について)】
〇幹事社
 それでは、ただ今の報告に対する各社からの質問としますが、質問は簡潔になるよう、ご協力お願いいたします。
 質問のある方は挙手をお願いします。

〇記者
 災害時の専門技術チームの設置について伺います。
 これは、リエゾンが市町村役場に配置された上で、新たにこの「チーム・アクシス」が包括的な支援を行うということでしょうか。

〇知事
 そのとおりです。

〇記者
 知事は、市長として災害対応を経験されている中で、このような編制をする必要があるという課題認識は、どういうものが原点になっているのでしょうか。

〇知事
 現状、市町村では、それぞれの持っている公共施設について、非常に限られた人員で災害に対処しています。そうしますと、現場の対応だけで手一杯になってしまいますが、緊急対応だけではなく、応急復旧や本格復旧という次のフェーズが待っています。
 その応急復旧や本格復旧に速やかに入るためには、外側からの支援が必要だと考えていましたが、県にはその枠組みがありませんでした。今までは、国交省の「テックフォース」という技術支援部門に大きく貢献していただいていました。
 県自身の技術力を高めるため、県としての災害対応力を高めるためにも、市町村の支援は必須であると考えていますし、また、市町村の支援を通じての積み重ねが、県全体の災害対応力の強化につながるという観点から、今回、チームを編成しました。

〇記者
 現状、地域県民局の地域整備部にも土木系の職員がいますが、そこで新たに「チーム・アクシス」が本庁から派遣された場合、現場の地域整備部と「チーム・アクシス」の役割分担はどのようになるのでしょうか。

〇知事
 現場の地域整備部は、現場の県所有の公共施設について緊急対応する必要があります。例えば、市道の橋と県道の橋が両方落ちていたら、県は県道の対応をしなければなりません。そうすると、現場が市町村を応援する余裕はほとんどありません。
 一方で、本庁の職員は、被災していないエリアから被災しているエリアに行けば、もちろん地域整備部の応援もしますが、市町村の応援もできるようになります。

〇記者
 LINE公式アカウントに関連してお伺いします。2025年度予算にも関連する費用が計上されています。その時の説明ですと、県の公式SNSアカウントは、既に200以上あるとのことで、それらを状況分析して利活用していくとのことでした。現状、200以上ある県のSNSアカウントを、これからどのように整理して活用していくのでしょうか。

〇知事
 一度、このようなプラットフォームを作ると、情報が集約できるようになります。このLINE公式アカウントでプッシュ型の通知が届くようになると、より便利になります。そのため、200のプラットフォームが1個でできるということに意味がある取組だと考えています。

〇記者
 スクラムライン事業についてお伺いします。
 まず、小学校10校程度とのことですが、これは県道のみということでしょうか。

〇知事
 そのとおりです。

〇記者
 先ほど、今後、中学校も順次、それからいずれは市町村でも連携して実施したいとのことでしたが、実施時期の目安はありますか。

〇知事
 一度実施してみて、どのぐらいスピード感を持って実施できるのかなどの検証作業が必要になりますので、今年1年間検証して、来年度以降、どのくらい広められるかということを、年度の途中にでもご報告したいと考えています。

〇記者
 災害支援チームについて、県から自治体への応援についての発表でしたが、災害査定とかですと、知事がむつ市長時代にむつから外ヶ浜に職員を派遣して応援した例もあったかと思います。今回の除雪の時もそうですが、自治体間のマッチングみたいなものも県として支援したりはするのでしょうか。

〇知事
 もちろん県が、災害発生時にそのようなマッチングを行うこともあり得ますが、現状の仕組みでは、市長会や町村会を通じて行った方が、事務局ベースでは早く行われる場合があると考えています。
 まずは、県ができることとして、技術支援を行うということが、今回の発表の要諦ですので、そのようにご理解ください。

【質疑応答】
〇幹事社
 次に、報告以外の案件に対する質問に移りたいと思います。
 まずは、幹事社の方から1点、質問させていただきます。
 みちのく記念病院について、先般、八戸市とともに立入検査を行いましたが、現時点での進捗状況等をお伺いします。
 加えて、知事は今回の案件について、医療の根幹を揺るがしかねない非常に重大な案件であると発言されていますが、県のこれまでの対応等を踏まえた知事の所感を改めてお聞きかせください。

〇知事
 2月19日と26日に、八戸市と県で立入検査を実施しました。同病院の医療提供体制に問題がないかということについて、医療法の立場からの検査です。
 この立入検査によって、一部の常勤医師について勤務実態が判然としないということ、病室を別の用途に使っているということについて疑義が生じています。
 こうした点については、これから集中的に詳細を確認しますので、県と八戸市で、同病院に対して、改善勧告による行政指導を検討しています。
 まず大事なのは、今も入院患者さんがいらっしゃるということです。また、現に医療行為にあたっている医師や看護師を含めた善意の従事者の皆さまがいらっしゃいますので、まずここを守ることが第一だと考えています。
 所感としては、今回、事件が発覚して逮捕案件となり、令和5年の殺人事件後に、院長が2回交代しているという状況の中で、病院は、やはりまずは患者さんやご家族、地域に対して、説明責任をしっかり果たしていくことが大事だと考えています。
 今、病院がどのような考えでいるのかということは、病院からしっかり聞いた方がいいと考えています。

〇記者
 先の衆議院総務委員会で村上総務大臣が、今世紀末の人口減少を念頭において、個人的意見とした上ですが、「1,700以上の市町村の構成が難しくなる。大体、30万から40万人の市で区切れば、全国300から400の市で済むし、極端なことを言えば、県庁も全部いらないし、道州制も意味がない」と述べました。
 総務大臣のこうした発言について、どのように受け止めていらっしゃるかお聞きします。

〇知事
 根拠が不明確であるため、論評はできないと考えています。
 例えば、人口推計というものを基に語るのであれば、何年後にこの地方の人口はこれぐらいになるので、そういう中で、統治機構はどうあるべきか、ということを議論することが大事であり、市だけで良い、県はいらない、町村はいらないという議論にはならないと考えています。
 地方のあり方については、いつの時点でどういう状況だからどうあるべき、ということを議論する必要があると考えています。

〇記者
 青森県は人口減少への対応ということでは、全国の先頭を走っていると思います。今回の予算案でも人口減少をどうやって食い止めるか、どうしても減ってしまうなら、その中でどうやって県民が幸せになれるのかということが大きな軸となっていると思います。
 そういう意味では、今のこどもたちが20年後、50年後といった将来、自治体のあり方や、国と地方のあり方が大きく変わるということ自体は、荒唐無稽な話ではないと、私は考えています。
 そういう自治体のあり方、国と地方のあり方については、今のままで変化しないとお考えでしょうか。

〇知事
 変化はすると考えています。国があることは間違いないことですが、県や市町村のあり方が今のままで良いとは誰も思っていないと考えています。
 ただ、そのような議論をするのであれば、いつの時点で、どういう状況になるから、こうした方が良いのではないか、ということを議論のスタートにするべきであると考えています。
 こどもたちにとって、自治体がどうあるかは関係なく、こどもたちが自由に未来を描いて、それが実現できる社会であることの方が大事であり、そこに自治体の形がどのように追いついてくるのかだけだと考えています。
 そのような社会を作ること自体がこどもたちに託されていると私は考えているので、こどもたちがそのことで、希望を失うということはないでしょう。むしろ、どんな状況でも希望を持って生きていける日本社会になれるように、こどもたちには主体性を持ってしっかり頑張ってほしいと考えています。

〇記者
 みちのく記念病院について、先ほど、検査の結果、一部の常勤医の勤務実態が判然としないですとか、病室を別の用途に使っていたというお話がありました。
 まず、病室を別の用途にというのは、具体的にどういったことに使っていたのでしょうか。

〇知事
 部長からお答えします。

〇健康医療福祉部長
 具体的な内容について、今、精査しておりますので、詳しくはお話しできません。

〇記者
 関連しまして、2人の医師の逮捕後、2度の立入検査を行いました。先日、熊谷八戸市長の会見で、2023年3月の殺人事件の発覚後、2023年5月に県と連携して立入検査を行っていたとの発言がありました。今回、臨時の検査で事実が明らかになったとのことですが、その当時の検査では、何か明らかになっていたことはあるのでしょうか。

〇知事
 なかったので、今、検査しています。

〇記者
 前回の検査体制について、これまで市が定期検査を行っていたわけですが、熊谷市長は犯罪の事実を確認するには限界があったと発言しており、今後、検査体制を強化する必要があるという認識を示しておられました。
 現在、県の方でも精神病棟に関しては、実地指導などに入っていると思いますが、現状の検査のあり方や方法、例えば、事前通告の有無など、改善すべきというお考え、宮下知事のご見解があれば教えてください。

〇知事
 当時の検査で見つからなかった事実が出てきたということなので、それは、改善すべきだと考えています。
 そもそも検査は、相手方の協力的な対応を基本としています。今までは、協力的に検査に応じてくれて、私たちが提供を求めたものを提供してくれて、それに嘘や偽りやごまかしはないということを前提に実施してきました。
 ところが、そうではなさそうだという話になってきたので、先ほど申し上げたように行政指導や改善勧告も含めて、指導という部分で検査を強化していきたいと考えています。

〇記者
 この病院について、不適切な医療提供などの公益通報や情報提供というのは、これまで県に寄せられていたのでしょうか。

〇健康医療福祉部長
 個別の話に関しては、回答を差し控えさせていただきます。

〇記者
 先ほど知事は、医療従事者の方に関する思いをおっしゃっておられましたが、仮に今言った事実を基に重い処分を下した時に、現在入院する患者さんへの対応ですとか、県としてどのような対応が求められるのでしょうか。

〇知事
 処分したらという仮定の話はできません。
 私たちが、第一に考えなければならないのは、患者さんの健康と命です。どのような処分があろうが、そこを第一に考えていることに変わりはありません。

〇記者
 一部の常勤医師の勤務実態が判然としない点があったとのことですが、そもそもどれくらいの医師の登録届出があって、そのうち、どれくらいの人数について判然としなかったかをお伺いします。
 また、院長が2回交代しているという発言がありましたが、逮捕後ということなのか、それとも事件発覚後の令和5年3月の後を指しているのか、その時期をご明示ください。

〇健康医療福祉部長
 医師の配置については、手元に資料がございませんので、現時点ではお答えできません。
 また、院長の交代時期ですが、令和5年9月1日に石山隆医師から古賀雄二医師に、令和7年2月20日に古賀雄二医師から石山菜穂医師に変更となっています。
  
〇知事
 登録の医師の数について、資料を持ってきてください。
 私たちが答えられないと言っているのは、隠しているわけではありません。私たちも検査をしている過程です。私たちがここでそういう話をすると、先方も準備する可能性がありますので、申し上げられないということは、むしろ患者さんや地域の医療を守るためであるということをご理解ください。

〇記者
 みちのく記念病院に関しては、急性期の病院から転院される患者や、家族の介護がなかなか難しい患者を積極的に受け入れており、地域医療の砦という性格もあったとのことです。
 今回の事件が発覚して、そうした病院をなくすわけにはいかないというところで、行政のチェックが甘くなっていたのではないかと思うところもあります。これまでの検査で気付けなかったのはチェックが甘くなっていたのではないかというところ、知事の考えを聞かせていただけますか。

〇知事
 検査は、どこの病院でも一律に実施していますので、みちのく記念病院が地域の医療を支えているから、チェックが甘くなったということはありません。むしろ、今回のような場合に、検査そのものが機能しないということが明らかになったことの方が問題だと考えています。
 事件が発覚した時に、より厳しい検査をすべきだったという論点については、私たちの反省ではありますが、みちのく記念病院だったからチェックが甘かったということはありません。

〇記者
 知事は、19日の時点で検査を繰り返し実施することになると思うとおっしゃっていましたが、1回目の結果を精査している中で、2回目が必要だと判断した理由を教えていただきたいのと、3回目の必要性についてはどのようにお考えでしょうか。

〇知事
 2回検査をして、一部の常勤医師の勤務実態が判然としていない、病室を他の用途に利用しているということが明らかになってきました。
 それについて、1回目と2回目の検査の結果、行政指導の必要が生じているということですから、当然、3回目以降もあり得るということでしょう。
 情報の1個1個について、全部詳らかにすることは、かえって病院の患者さんたちに対してマイナスになっていくと考えていますので、発表の限りでご理解ください。

〇記者
 昨日、厚生労働省が発表した人口動態の速報値で、本県の出生数が5,410名で前年と比べて1割ぐらい減少していたという結果でした。そのことについての受け止めをお伺いします。

〇知事
 推計どおりの結果であり、これからもそのような傾向がどんどん続いていくのだと考えています。

〇記者
 少子化傾向の対策として、青森モデルを作られて、予算にも盛り込んでいると思います。すぐ効果が出るというのはなかなか難しいかもしれませんが、いつぐらいまでこの状況を改善したいとか、目途はございますか。

〇知事
 青森モデルでは、2040年を目標に、純移動率が反転、合計特殊出生率2以上の達成に向けて取り組むこととしています。
 しかし、それは政策総動員の結果、上手くいけば達成されるということですから、これがなかなか難しい環境になれば、今の傾向は変わりませんし、それは、皆さんにとっても他人事ではないと考えています。

〇記者
 他人事ではないとのことですが、今回の結果を踏まえて、県民の方に伝えたいことはございますか。

〇知事
 人口減少というのは、国家有事です。このままいけば、本当に青森県はなくなります。2040年に青森県が掲げている目標が仮に達成されたとしても、2070年代までは人口は増えません。これから人口が減っていき、人口オーナスと言われる、人口減少が経済社会に負荷をかける状況については、甘受していかなければなりません。それに向けて、社会構造を変革していく覚悟をまず持たなければならないと考えています。
 その状況を克服して乗り越えていくためには、県や市町村の取組ももちろん大事ですが、皆さんの会社や皆さん自身も含めて、この人口減少にどう対応できるのかを真剣に考えて、それぞれが行動し始めないといけません。
 女性や若い人たちが活躍できる環境や、若い人たちが定着できる環境がなければ、生産年齢人口は増えません。ここが増えていかなければ、結婚する人の数も増えません。結婚する人の数が増えなければ、こどもの数も増えません。
 今は悪循環モードになっていますが、好循環を作り出すためには、県民一人ひとり、県内の企業や団体、1社1社が、しっかりとこの問題について、自分たちは何ができるかということを考えなければ、なかなか克服できないと考えています。

〇記者
 間もなく東日本大震災から14年となることに関連してお伺いします。
 北海道・三陸沖後発地震注意情報の制度開始から2年が過ぎました。こうした中で、似た仕組みの南海トラフ地震臨時情報が昨年夏に初めて発表されました。お祭りやイベントを予定どおりに開催するか、あるいは小中学校の授業を続けるかどうかを巡り、自治体間での対応はバラバラで、国に統一の考え方を求める声が主に西日本の自治体から出ています。
 こうした点は、北海道や東北など、北海道・三陸沖後発地震注意情報の対象地域でも起き得る問題かと思いますが、イベントや学校運営の判断について、完全に自治体に任せるべきか、あるいは国が一定程度は考え方を示すべきか、知事のお考えがあればお聞かせください。

〇知事
 私たちは、後発地震情報に対する知見を持ち合わせていません。そのため、国が発する情報の精度や情報の確度を私たちは判定できないので、国がしっかりした方針を示すべきだと考えています。

〇記者
 昨年冬に発生、判明した八戸市で5歳の女児が死亡した虐待が疑われる事件についてお伺いします。
 県では、児童相談所の対応について、児童処遇部会で、第三者も交えて検討を進めており、24年度内に報告書の取りまとめを目指していたかと思います。
 まだ、事件を巡る裁判が全て終わっておらず、作業を終えるのは難しい部分もあるかもしれませんが、報告書の年度内の取りまとめが可能かどうかなど、検証作業の進捗状況をお伺いします。

〇知事
 部会を複数回開催しておりまして、年度内には報告書をまとめて、皆さまに提示していきたいと考えております。

〇記者
 18日に閣議決定されましたエネルギー基本計画について伺います。
 再エネや原子力を最大限活用すると明記したことなどが主な特徴です。
 一方、青森県でも新年度予算案でGX青森を推進、打ち出しておりまして、県内でもそういった産業の集積を図ろうとしているかと思います。
 そうした取組の音頭をとっている知事として、今回のエネ基をどう受け止めてらっしゃるか、また、GX青森を推進していくために、国にどういったことを求めたいかを教えてください。

〇知事
 時代の流れに応じて電源構成を変えているのだろうと受け止めています。
 今回のエネ基が前と違うというのは、これから人口減少が激しく進んでいく日本社会にあって、電力需要が増えるという見通しを立てたところです。資源エネルギー庁は、産業構造が大きく転換すると考えているのでしょう。
 1つには、やはりAIだと考えています。これから、AIの社会になっていくにあたって、電力消費量が増えていくという見通しを示したことが、大きな転換点であると受け止めています。
 GX青森の推進について、国に期待するというよりは、まず私たちとして、既に立地しているさまざまな再生可能エネルギー産業をどう取りまとめて、それをどう地元の仕事に落とし込んでいくかの方が大事だと考えています。国との関係でいくと、共生構想の中にGX青森の推進を掲げていますので、折りに触れて、国にさまざまな協力を要請することはあるかもしれませんが、まずは、青森県内の取組としてしっかりと進めていきたいと考えています。

〇記者
 給食費に関してお伺いします。政府の来年度予算案を巡って自民、公明、維新の3党が交わした合意文書の中で、小学校の給食無償化を26年度に実現すると明記され、中学校についてもできる限り速やかに実現するとされています。
 知事は、これまでさまざまな場面で、全国一律の無償化を求めていらっしゃいましたが、今回の合意をどのように受け止めていますでしょうか。

〇知事
 将来的にそうなることは良いことなのかもしれませんが、やはりスピード感が求められています。
 給食費無償化だけでは人口減少に歯止めをかけることはできませんので、子育て環境を徹底的に整備していくことが必要です。こどもが経済的な負担となっている社会を大転換しなければ、本当に国や地域がなくなるということが現実味を帯びてきています。
 そういう環境の中で無償化など、経済的な負担を軽減することは、当たり前のことだと考えています。
 1年遅れると、全体が10年遅れるという世界観になってしまいますので、もっとスピード感を持って取り組んでいただきたいと考えています。

〇記者
 今、まさにありましたけども、子育てが経済的なリスクになっており、逆に言うと、こどもがいると得をするというような社会の構築が必要だと知事はおっしゃっています。
 今回、全県的に給食無償化した効果について、どのように計っていくか、例えば、何かしらの統計データやアンケートなどを使って、その効果を検証していくお考えはありますでしょうか。

〇知事
 少なくとも小中学校の子育て世帯に対する所得増には、間違いなくなっていますので、それがどれだけの影響があるのかということについては、他のさまざまな子育て施策との関係で、検証する必要があると考えています。
 各市町村の様子をお伺いすると、青森県では来年度、18歳までのこども医療費の無償化が実現できそうです。そういった第二弾、第三弾の大きな山は、これからも作っていきたいと考えています。
 その際、使い道としてそれが正しかったかという検証は必要だと考えますが、今の時点で、実施してまだ半年であるため、人口減少との関係を論じるところの成果までは、なかなか検証しきれないのではないかと考えています。

〇記者
 今後、国の合意文書どおりに全国的に給食が無償化されれば、現在、県から各市町村に支出している交付金について、財政的な負担も軽くなると思います。
 そうなった時に、今おっしゃった第三、第四の山、子育て費用の負担軽減策、今後重点的に取り組むものについて、現時点でどのようにお考えでしょうか。

〇知事
 国政が流動化しているので、そのような話についても仮定の話のようだと私は考えています。実現したらどうするかということは、実現した時に考えます。準備だけは進めておき、直ちにスピード感を持っていろいろなことに取り組めるようにしていきたいと考えています。
 それが何かということについては、現時点では、申し上げる状況にはないということはご理解ください。

〇記者
 自公維新の合意の中では、高校の無償化についても合意がございました。所得制限の撤廃や、支援金額の引き上げという方向性のようですが、これに関して何かお考えがございましたらお願いします。

〇知事
 所得制限を撤廃して、私立も公立も一律の支援が行われるということについては、全面的に賛成です。親の所得と一人ひとりのこどもを大切に育てるということは、全く別の話なので、これは良いことだと考えています。
 また、私学助成を45万7千円まで増やすことについて、そのこと自体に反対はしませんし、むしろ青森県の状況を見ると賛成します。
 一方で、合意の中でも少し出てきていますが、公立はどうするのかということは、しっかり検討しなければならないと考えています。
 例えば、私学では、無料で通学バスを出したり、寮を作ってこどもたちを寮に住まわせたりということを授業料の中で賄っています。また、部活動で強いチームを作るために全国各地から生徒を集めるための原資として、授業料を活用しています。
 そういうことを考えると、公立高校に対しても一人あたり45万7千円を支援しなければ、不平等になると考えています。
 公立は、すでにさまざまな補助メニューがあり、県立高校については、県もさまざまな事業を実施しているので、45万7千円相当になっているかもしれませんが、そのあたりをしっかり整理しなければ、不平等な取り扱いになるのではないかと私は懸念しています。

〇記者
 話題が変わりまして、特定利用空港・港湾の件についてお伺いします。
 先日、県の方から、国より説明があったという趣旨で議会にも説明されていました。
 この国から受けた説明、内容をもって、知事が今、お考えであることや懸念していることなどがありましたら、ご所感をお伺いします。

〇知事
 特に懸念はありません。緊急時というのは、国民にとって、県民にとっても緊急時でありますので、民間利用の空港・港湾だということが保たれながら、緊急時に使うということは当然のことだと考えています。
 ただ、地元の自治体の意向ということが大事ですので、青森市の意向をしっかりと確認した上で最終的に判断します。

〇健康医療福祉部長
 先ほどのご質問の補足でありますけども、常勤の医師は13名となってございます。
 また、院長の交代時期については、殺人事件後に2回替わられたということでご留意いただければと思います。

〇記者
 13人というのは、いつ時点の話でしょうか。

〇健康医療福祉部長
 現時点で確認できている人数です。

〇記者
 それは、病床数に対して医師数は充足しているのでしょうか。

〇健康医療福祉部長
 数だけを見れば充足しています。

〇知事
 数は充足しているとはいえ、勤務状況が判然としていない医師がいるということは、事実として認められているということであります。

〇幹事社
 最後に知事からお願いします。

〇知事
 いよいよ春が見えてきて、雪も一息ついた感じがあります。
 ただ、その一方で農業の被害が拡大していることについて、私自身も大変心を痛めていますし、現場を見て大変な状況であることを確認しています。
 りんご園を中心に、こうした農業被害に対して、しっかりとした支援ができるように、私たちとしても、今から取り組んでまいります。
 本当に2月はあっという間だったので、3月もあっという間だと思いますが、まずは、令和7年度予算をしっかり成立させて、また県民の皆さまと一緒に青森新時代の挑戦、新しい挑戦をしていきたいと考えていますので、よろしくお願いいたします。
 本日もありがとうございました。

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