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更新日付:2022年6月13日 広報広聴課

令和4年度当初予算案について[臨時記者会見][2月18日]

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知事記者会見録

会見日時:令和4年2月18日金曜日 14時00分~14時30分
会見場所:第三応接室
会見者:三村知事

〇知事
 それでは、令和4年度当初予算案につきまして、お手元の資料、令和4年度当初予算案の概要に基づきご説明をいたします。
 まず、今回の予算編成についての基本的な考え方を申し上げます。
 令和4年度当初予算の編成に当たっては、県民の命と暮らしを守るため、新型コロナウイルス感染症の拡大防止と地域経済の回復に向けて引き続き総力を挙げて取り組むとともに、安全・安心な県土づくりを目指し、頻発化・激甚化する自然災害に備えたインフラの機能強化にも集中的に取り組むことといたしました。
 また、「青森県基本計画『選ばれる青森』への挑戦」に基づく各種施策につきまして、コロナ禍により顕在化した課題や社会経済環境の変化を踏まえ、県民一人ひとりに寄り添ったきめ細かな対応や社会的な孤独・孤立への対応を重視するとともに、デジタル化の進展や脱炭素社会の実現に向けた動きなどにも的確に対応しながら、積極的な展開を図ることといたしました。
 以上の結果、年間総合予算として編成した令和4年度一般会計当初予算の規模としては、7,333億円、令和3年度当初予算対比147億円、2.0パーセントの増となりました。
 なお、一体として編成した令和3年度2月補正予算を加えた「実行」予算ベースの総額は7,785億円余となり、令和3年度「実行」予算ベース対比66億円余、0.9パーセントの増となっております。
 また、県政が直面するさまざまな課題に最大限の対応を図った上で、これまでの財政健全化努力を継続しつつ、各種財源を有効活用することにより、収支均衡を堅持するとともに、県債残高についても着実に縮減するなど、持続可能な財政運営の継続と強靭で安定的な財政基盤の確立に向けて取り組んだところです。

 次に、令和4年度の重点施策について、お手元の別資料「令和4年度『選ばれる青森』の挑戦推進事業の概要」に基づきご説明いたします。
 県ではこれまでも、「人口減少」、「人手不足」、「2025年超高齢化時代」、「平均寿命・健康寿命」といった課題に向けて、短期及び中長期的視点を持って取り組んできましたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大は社会のあらゆるところにさまざまな影響を与え、これらの大きな課題についてもより複雑化・深刻化しています。
 引き続き、県民の命と暮らしを守るという強い決意のもと、本県の最重要課題である人口減少克服に向けた各種施策の展開に当たっては、ウィズコロナ、アフターコロナの環境変化も踏まえながら、健康と経済の両立に総力を挙げて取り組む必要がございます。
 このため、令和4年度は、コロナ禍がもたらしたものへの対応を加え、特に「ウェルネス」、「デジタル」、「グリーン」の3つの視点に力を入れていくこととしました。
 1点目の視点は「ウェルネス」です。
 感染拡大による影響が長期化する中、事業者・県民一人ひとりに寄り添ったきめ細かな対応や、社会的な孤独・孤立への対応が重要となります。
 このため、コロナ禍により損なわれた県民の暮らしや心身の健康などへの対応の重要性に鑑み、さまざまな悩みを抱える女性への支援、高齢者のフレイル予防、ヤングケアラーへの支援、ひとり親家庭へのサポート、コロナ禍で悩みを抱える方への支援など、社会のさまざまな課題への対応を強化します。
 具体的には、「県民一人ひとりに寄り添った支援」といたしまして、さまざまな悩みを抱え、孤独・孤立に悩む女性の課題解決、ヤングケアラーの実態調査及び早期発見、支援体制の構築、ひとり親向けのワンストップ相談体制の充実、ひとり親家庭を応援する企業表彰制度の創設、コロナ禍の影響で悩みを抱えた人に必要な情報が届く体制構築などに取り組みます。
 また、「高齢者のフレイル予防の推進」では、コロナ禍で外出自粛等により活動機会が減少する中、健康な高齢者が要介護状態になる手前の段階である「フレイル」状態となることが懸念されるため、テレビCM等による予防啓発や、IT事業者と連携し、老人クラブ、「つどいの場」等における、eスポーツ等のICTを活用した予防対策も推進していきます。
 2点目の視点は、「デジタル」です。
 コロナ禍を契機とした、急速な官民デジタル化の動きにより社会全体が刻々と変わりつつある中、農業をはじめさまざまな分野へのデジタル技術の応用や、県内中小企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進、それを担うデジタル人財の定着・還流・育成など、行政分野のみならず、あらゆる産業分野におけるデジタル化への対応力を強化してまいります。
 特に、「スマート農業・林業の推進」では、本県の強みである農業へのデジタル技術の応用として、青森型スマート農業技術や機械の開発実証、西北地域や下北地域等でのスマート農業普及展示ほの設置などのほか、ドローン活用等によるスマート林業を推進するなど、さまざまな分野での取組を展開してまいります。
 また、「県内中小企業のDX推進」としては、中小企業経営者のDXに関する意識啓発、中小企業のDX実態調査の実施、21あおもり産業総合支援センターへのDXコーディネーター設置と、DXに向けた課題可視化・戦略策定支援などにより、県内中小企業を支援します。
 3点目の視点は、「グリーン」です。脱炭素社会の実現に向けましては、昨年4月、「あおもり脱炭素チャレンジ宣言」を採択し、県民、事業者、各種団体、行政等のあらゆる主体が一体となって取り組むことを宣言したところです。
 国内外において喫緊の課題となっている地球温暖化に関しまして、2050年温室効果ガス排出実質ゼロを目指し、あおもり脱炭素チャレンジの推進やエシカル消費の普及啓発、グリーン関連産業の誘致やアップサイクルビジネスの創出、水素エネルギー利活用普及推進など、脱炭素社会の実現に向けた対応を強化します。
 特に、「あおもり脱炭素チャレンジの推進」では、現在実施中の県民意識調査の結果等を踏まえながら、県民、事業者、各種団体等の全ての主体を対象に、2050年脱炭素社会実現に対する意識改革と行動変容に向けた気運醸成に取り組みます。
 また、産業面におきましても、脱炭素関連産業である自動車・蓄電池産業、資源循環産業、半導体・情報通信産業など、市場拡大や新たな設備投資が見込まれ、成長が期待されるグリーン関連産業の誘致に取り組みます。
 以上、3つの視点には特に力を入れていきます。

 続いて、本県の強みである「食」と「観光」がけん引する「経済を回す」取組についてです。
 県民の命と暮らしや健康を守るための取組に加えて、度重なる感染拡大で大きく影響を受けている地域経済の回復に全力で取り組んでいかなければなりません。
 これまで、農林水産業や観光分野をはじめ、各方面において地道な営業活動を展開し、国内外で多くの方々と信頼関係を築いてきました。
 令和4年度は、これまで築いてきたこのネットワークを最大限に生かしますとともに、社会環境の変化を踏まえながら、県民一人ひとりの豊かな生活を支えるため、「経済を回す」取組を強力に進めていきます。
 「交流人口の拡大」に向けて、令和4年度は特に、昨年7月に世界文化遺産に登録された「北海道・北東北の縄文遺跡群」を活用し、再び県内外から多くのお客様に訪れていただけるよう取組を進めます。
 具体的には、世界自然遺産「白神山地」と連携したツーリズムの推進、縄文を生かした新たな観光コンテンツの開発、登録1周年記念事業の実施や西日本でのPRなどの取組を、コロナの感染状況を注視しながら進め、縄文の持つ価値や魅力を広く内外に発信するとともに、持続可能な来訪者の確保に向けて、青森駅新駅ビル内に整備する「青森県の縄文遺跡群」情報発信拠点施設の設計に着手するなど、来訪者の増加による登録効果を積極的に獲得してまいります。
 「県産品の販路開拓」に向けて、令和4年度に香港の政府関係機関との連携協定を締結する予定としており、同地域との関係強化や台湾へのECによる食品ビジネス・輸出拡大、首都圏・西日本への県産品の販路開拓や、A!Premium(エー・プレミアム)の活用などロジスティクスを最適化し、県外・国外からの外貨獲得に強力に取り組みます。
 
 ここからは、基本計画の推進、人口減少克服に向けて、特に重点的に取り組む5つの戦略プロジェクトに沿ってご説明します。
 
 まずは、「『選ばれる青森』食と観光成長プロジェクト」36事業、8.1億円です。
 「食の商品力を極める」取組では、あおもり米新品種「はれわたり」の令和5年の本格デビューに向けた準備や、水田を活用した冷凍野菜の産地創出などを進めるとともに、「食の販売力を極める」取組では、拡大を続ける冷凍食品市場への参入に向けた産業振興や、EC企業との連携、非対面方式での販路開拓など、アフターコロナを見据えた食の販売などに取り組みます。
 「立体観光の推進」では、三沢・羽田線4便運航を継続するための取組をはじめ、本県と国内の主要都市を結ぶ航空路線の維持・強化などに取り組みます。
 「観光消費の拡大」では、国内外から訪れる観光客の多様なニーズに対応した縄文コンテンツの開発や関西・中京・九州からの誘客対策などに取り組みます。
 続いて、「多様なしごと創出プロジェクト」、35事業、4.4億円です。
 「魅力ある雇用の創出」に向けては、コロナ禍でも年間100件を超える実績を上げている創業・起業者について、伴走型による相談支援体制の充実など、取組の強化を図ります。
 「多様な労働力確保」に向けては、副業・兼業等による人財の活用推進など、県内企業の人財確保支援と求職者の就労支援などに取り組みます。
 「生産性向上・働き方改革」に向けては、生産性向上などを図ろうとする県内企業の人財育成を促進するため、デジタル人財育成に向けた研修機会の提供などに取り組みます。
 
 続いて、「『住みたいあおもり』若者・女性プロジェクト」、29事業、5.9億円です。
 「高校生・大学生の県内定着促進」のため、県立高校において、就職支援員を引き続き配置し、県内就職を希望する生徒の進路実現をサポートするとともに、高校生が地域資源や人財を活用して高校所在地域などについて学ぶ「あおもり創造学」を通じて、地域への理解を深める取組などを行います。
 「女性の県内定着促進」に向けて、県内中小企業による女性の活躍推進に向けた取組を支援するとともに、男性の家事や育児への参画を促進します。
 「移住・Uターン促進」では、地方の暮らしやすさが見直されていることを踏まえ、新たな移住関心層への訴求や、高校生等が県外転出後も地元とつながる仕組みづくりなどに取り組みます。
 「魅力ある生活環境づくり」に向けては、ナイトミュージアム等による県立美術館の新たな魅力創出や世界文化遺産登録を契機とした「地元の縄文」の価値や魅力の再発見などに取り組むとともに、「結婚・妊娠・出産・子育てしやすい環境づくり」に向けては、結婚を希望する者同士のAI機能を活用した結婚マッチングシステムの運用を令和4年度中に開始します。
 また、このプロジェクトを推進するに当たり、特に重要な若者の県内定着・還流を一層促進するための取組として、産業界と連携して「あおもり若者定着奨学金返還支援制度」を創設します。
 若者の県内定着・還流促進及び産業人財確保を目的に、日本学生支援機構や青森県育英奨学会の奨学金を利用した、大学等の新卒・既卒者で、35歳未満の方が県内で一定期間就業した場合、1年度当たり100名程度、1人当たり最大150万円を支援します。
 人口減少克服に向けては、若者の県内定着・還流が重要な鍵の一つとなります。青森の価値や魅力、可能性、そして、青森で実現できる多様な生き方・働き方を発信すること、創業・起業、新規就農など、青森でチャレンジする若者を支援すること、本県への移住を希望する方への移住相談や受入態勢の強化などUIJターンのさらなる促進を図り、一人でも多くの若者の県内定着・還流を進め、学ぶ場所、働く場所、生きる場所として「選ばれる青森」を実現していきます。
 
 続いて、「未来へつなぐ『地域のゆりかご』プロジェクト」、33事業3.9億円です。
 「持続可能な地域づくり」に向けては、ワンストップ窓口の機能を生かした農福連携に踏み出しやすい環境整備に取り組み、農福の輪を広げる人財育成を推進します。
 「保健・医療・福祉体制の充実」に向けては、医療的ケア児とその家族が安心して在宅で生活できるような短期入所施設の開設を促進するなど、地域での受入体制づくりなどに取り組みます。
 「交通ネットワークの形成・買い物支援の充実」に向けては、食品スーパーなどと連携し、買い物弱者をターゲットとした買い物支援サービスの取組などを行います。
 「多様な主体・人財の参画・協働」に向けては、県外在住者が地域と関わる多様な機会を創出することによる関係人口の増加などに取り組みます。
 県ではこれまで、地域で生まれ、地域で育ち、地域を助け、地域で安心して老後を迎えることができる「青森県型地域共生社会」の実現に向けて、市町村や地域住民とさまざまな取組を進めてきました。
 令和4年度は、これまで積み重ねてきた取組を一層充実させ、意欲のある市町村への伴走支援や全市町村への個別訪問支援、看護師が地域を巡回する地域ナース活動の実証、地域経営体の地域貢献の取組支援など、県民一人ひとりが「この地で生きることができてよかった」と心から思えるよう「青森県型地域共生社会」の実現に全力で取り組んでいきます。

 続いて、「健康ライフ実現プロジェクト」、15事業1.6億円です。
 「県民の健やか力向上」に向けては、弘前大学が開発したQOL健診の県内展開などによる地域や職域での健康づくりに取り組みます。
 「『食』と『運動』で健康」に向けては、野菜摂取促進及び食習慣改善や、「だし活」「だす活」の推進、運動習慣の定着による県民の健康づくりに取り組みます。
 「こころの健康」確保のため、自殺対策として学校や関係団体等との連携やオンラインやSNSなどによる相談体制の充実などに取り組みます。

 続いて、地域県民局の主な取組についてご説明します。
 東青地域では、新規就農希望者への支援強化、中南地域では、地域の暮らしを支える拠点づくり、三八地域では、協働ロボットを活用したものづくり企業への支援、西北地域では、地域ナースを活用したモデル実証、上北地域では、若者と企業の協働による地域課題解決プロジェクトの実施、下北地域では、下北の海で育てたマツカワの高品質出荷の推進など、各県民局が、それぞれの地域の課題を克服し、強みを磨き上げるための事業を進めることとしています。
 また、引き続き、各市町村の総合戦略に基づく人口減少対策や「青森県型地域共生社会」に関する取組を強力に支援するため、元気な地域づくり支援事業費補助3億円を確保しております。
 新型コロナウイルス感染症による影響や、さらに厳しさを増す人口減少への対応等、山積するさまざまな課題に対して、世界の宝、縄文のふるさと青森に住む県民一人ひとりが、自信と誇りを持ち、「ここに生まれて良かった」、「ここで暮らして良かった」と心から思えるよう、「選ばれる青森」の実現に向けて、引き続き全力で取り組んでいきます。
 
 また、新型コロナウイルス感染症対策につきましては、お手元の資料、「新型コロナウイルス感染症対策関連経費のポイント」のとおり、「1 感染防止対策の推進と医療提供体制の確保」、「2 コロナを乗り越える地域経済活動の推進」、「3 ウィズコロナ下での社会生活・暮らしへの支援」の3つを施策の柱に位置づけ、令和4年度当初予算と令和3年度2月補正予算の総額で942億円余の対策を講じていくこととしております。

以上であります。

〇記者
 前年度は、コロナ収束後の県の備えが中心だったかと思いますが、ずっと年間を通して波が訪れたりして、結局、その備えを十分に生かせなかったような感じもあるかと思います。
 今回、コロナと共存するウィズコロナの視点というか対応が入ってきたと思いますので、その辺の思いをお聞かせください。

〇知事
 その辺の思いとなりますと、例年お答えしている、今年の当初予算をどう名づけるかを含めて、お答えします。
 去年は、コロナ禍が終わることを見越して、「さあ行くぞ、攻めに行くぞ」と攻めに行く段取りをするたびに、ご存知のとおりコロナの拡大などでダメになる。それでも国内ではどんどんつなげて、物販にしても誘客にしても、これまでのコネクションを使い、お願いしながらつなげてきました。海外とは、さすがに冬になったら活動を再開できると思っていたわけですが、冬になったらこういう(感染拡大の)状況で残念でした。特に経済の部分については厳しいところがあったと思っています。
 これらの経験も踏まえ、今年は「収束」という言葉をまだ遠慮をして、どう名づけるかということですが、「今日を守り、明日を拓く、安心・希望予算」。前向きに名づけることにしました。
 考え方としては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止ですとか、近年、頻発化・激甚化する自然災害への備えなど、そのような予算を確保し、まずは県民の命と暮らしを守ることを最優先で取り組んでいかなければいけないと思っています。これが基本中の基本。今日、今を守っていく。県民の方々が安心して日々の生活を営めるようになってこそ、経済界を含む県政のさらなる発展が図られるわけです。
 その一方で、やっぱり地域経済。この点では、積極的に国内外の経済を獲得していくという取組を、準備ではなくて、コロナで萎縮してしまいそうな状況でも攻め続けなければいけないというのが本音です。令和3年度も、感染状況をみながら行ける時に国内をいろいろと販売等をやって歩きましたが、今年はロジスティクスが途切れているとか、ネットワークが途切れているとか、そういうところを徹底して直しながら進めていきたい。やっぱり経済を取り戻すための施策については、とにかく県民の皆さま方とともに困難を乗り越えて、それで経済も戻るような仕組みになっていき、一定の時期になれば一気に元の勢いに戻せるという姿にしたい。去年は予算を執行できないところが多くありましたから、思いっきり執行できるようになって、県民の誰もが明日に希望を持てるというところまでつなげていきたい。
 また、新型コロナウイルス感染症が影響し、県民の健康状態がものすごく悪くなっておりますので、感染症の収束と健康の改善というところをしっかり手当てした上で、経済が動いてきたことが見えないと、明日というものに対して希望を持てないと思います。だからこそ、「今日を守り、明日を拓く、安心・希望予算」としての思いでやりたいと思っています。率直な思いです。

〇記者
 収支均衡を今年度も維持されたということで、県税が増えたり、一方で地方交付税が減ったりということもありましたけれども、今年も維持できた要因というのはどの辺に特にあったとお考えでしょうか。

〇知事
 結局は、単年度の要因というよりも、強い意志で、「行財政基盤の安定なくして県政なし」と言い続けてきたことと、厳しい時でも財政規律を念頭に置いて、県庁一丸となって、絶対に事実上の破綻とならないためにどう努力をしていくかということを工夫し続けてきたというところだと思っています。
 その結果で、ご存知のとおり一気に到達ではなく10年もかかって何とか収支均衡になったのですが、そういった、無理せずとも毎年、毎年、着実にそれぞれの分野で節約というか、いい形で効率良く実施できる工夫とか、より良い予算のあり方をそれぞれに工夫してきました。
 また何よりも、県民の皆さま方に財政基盤の安定ということが、やはり基本中の基本だということを理解していただき、「時間はかかったけれども、それはその通りだ、そこはしっかりそれでやれ」と。「しかし必要な予算はしっかり出せ」と。そういう良い関係というか、バランスがとれるようになったことだと思っています。
 何よりも、長年、そういう強い意志を示し、積み重ねてきた努力がここに至っていると思っています。
 加えて、今はガクッときておりますが、それまでには農業所得が倍になったり、企業の出荷額が伸びたり、いろいろな経済環境を良くするための努力、観光消費も伸びたり、経済が集まる流れが出てきていて、そういうことも積み重なってということだと思っています。
 要するに総合力。財政規律への強い意志と経済を回す総合的な意欲。そういった、行ったり来たりいろいろやる中で収支均衡を続けていられると思います。
 もちろん、ご存知のとおり、先般、専決処分で30億円を出動しましたように、必要な時には絶対出動するという強い意志は持っています。それを可能にするためにも、常に念頭には財政基盤があります。だからこそ、収支均衡につながったとご理解をいただければと思います。まあ、長い道のり。
 ただ、自前の借金(県債)に加えて、本来であれば交付税が配分されますが、それがなかったので臨時財政対策債というものを借りることになっています。そういったもの等を含めれば、借金が1年分の予算以上にあるという状況で、やっぱり辛く、今後とも着実な行財政改革に向けた意思を示しながら、収支均衡に向かっていかなければいけないと思っています。

〇記者
 「選ばれる青森」への挑戦の中で、ウェルネス・デジタル・グリーンという3つの視点を加えたということですが、特にデジタルなどは成長分野であると同時に、どの地方も必須で、狙っている状況ですが、どういった青森の強みを生かして選ばれる青森にしたいか、お聞きします。

〇知事
 DX分野について言えば、青森県はまず人材です。だからこそ、まずは人材獲得や、育成から取り組むこととしています。ただ、募集したら結構な倍率で応募があり、「お、何とかつなげる」という状況も生まれています。
 5GなどのDXの環境そのものが、まだ本県に来ていない。光回線の時もそうでしたが、本県はどうしてもインフラ環境が普及するのが遅い。そのためDX、DXと言いながら、具体的に行動する時には、すでに回線料が安くて、太くて、速い地域に人が取られていってしまう。
 だから今回、とにかく何よりもDX人材を確保して、企業や市町村にも、ちゃんとDXの意義を理解してもらうところから始めたいと思っています。
 今回、出遅れて人材を確保できなければ何もスタートができないと思っています。人材確保をしておいて、次はやっと産業化ということになっていくと思う。

 今、コロナ対策で密を避けるとか親御さんを看たいなどという関係で、IOT関連企業の方々が、「青森に行って、親御さんを看ながら仕事をしてもいいよ」と言ってくれたり、分社化してくれたり、そういう流れが出てきています。光回線がしっかりつながって、二地域居住とか、分社や別会社を起こすとか、あるいは青森に住んでいるけれど東京の本社に勤めた形にできるとか、できる仕事は青森でしてとか。そういうことが次々と起こってきているわけですから、ますますDX人材というのか、そういう方々が集まることによって、新産業として結びついてくるというか。うちは起業・創業が、こういうコロナ禍でも130件とか、ずっと続いています。そういう雰囲気も出てきたので、DX分野、それからIOT関連の移転して来られた方々との複合体が出てくることによって、また産業化ということに向かっていけると思っています。
 何よりも、まずは人材確保、普及・啓発。
 だから、真面目な話、むしろ郡部、地方から進めていかないといけないと思っています。

〇記者
 推進事業の概要の農林水産関係について質問ですけれども。概要でも、さまざまな取組をされるということでしたが、今回、農林水産関係の予算において、狙いですとか、どのような観点に重きをおいて取り組んで予算を編成したのかなという点についてお尋ねできればと思います。

〇知事
 まず、基本的な説明を述べてから少し補足します。
 令和4年度は、コロナ禍や気候変動等による長期的な環境変化を見据えつつ、最大の課題である人口減少社会の克服に向けて、農林水産業の競争力の強化と共助・共存の農山漁村づくり、要するにゆりかごとして農山漁村集落を守りたいと取り組んできましたので、これらを引き続き重点的に取り組むこととしました。
 競争力強化対策では県産品のブランド力強化とともに、EC市場等への販路開拓や冷凍食品分野への参入など、消費行動の変化に柔軟に対応するほか、労働力不足対策として、他産業とも連携をした地域ぐるみの人材確保であるとかスマート農業技術の導入等による省力化、あるいは低コスト化を加速させ、本県の強みであります安全・安心、高品質生産体制の強化を図ってまいります。
 また、米価の影響を受けにくい経営への転換を促進し、水田農業の再構築を進めるとともに、水資源の確保や地域の防災力を高める環境公共、土地改良事業と一体として、これも推進してまいります。
 さらに共助・共存の農山漁村づくりでは、地方分散、田園回帰気運の高まりを踏まえつつ、就業後のサポート体制の強化や経営基盤を継承する仕組みづくりとともに、地域貢献型経営体の育成等により、農山漁村の活性化と地域を支える人財の育成、定着を図る取組を着実に進めるなど、こういうかたちで攻めの農林水産業を進めてまいりたいと思っています。
 その上で、いくつか補足します。
 資料「令和4年度『選ばれる青森』への挑戦推進事業」の2ページ目、まず何よりも、コロナ禍のため、もう2年もお茶を挽いている状況ですから、とにかく段取りをして、経済を集める仕組みの強化をこの分野でもガツッとやらなきゃいけないなと思っています。総合販売戦略課など農林水産部とミーティングをしていますが、要するに、商品力。何よりも商品力を高めて、冷凍分野とか輸出分野とかいろいろ働きかけていく。それから販売力。国内においても、このまま途切れた販売網を放っておけない。だから首都圏市場の新しいDX活用だとかEC活用にも先手を打って対応していく。
 あるいは、ロジスティクス戦略の中で、A!Premiumという取組をしてきて、これまでは沖縄空港をハブ空港として使って、例えば香港とか海外に売り込んできましたが、コロナで空輸路線が無くなり、真っ先に潰されてしまいました。しかし「このまま負けていられるか」と、今度は改めて羽田空港を起点に輸出パターンの新しい最適化ということと、国内においても名古屋空港を含めた西日本を中心に今、取組を始めているところです。
 このように国内外の長距離販売の仕組みを変える取組ですとか、他には香港とMOUを結ぶ取組では、先方から話を頂き、こちらも「おお、やろうじゃないか」となりました。もちろん台湾についても、18ページにもあるとおりです。3ページには立体観光、輸出拡大とありますが、その輸出の部分を強化するためには、商品力を高め、販売力を高め、そして一番重要なのが、16ページの農業生産の基礎力の向上です。本県の農業の基礎力をきちんと高めていきたい。
 というように、農業でただ単に「作っています」、「おいしいです」ではなくて、16ページのとおり、きちんと段取りをして、いいものをきちんと作った上で商品力を高め、高めたら、今度は販売力を高めて経済につなげなければいけないということを、今まで以上に取り組んでいきます。
 本当にこの2年は、先ほども言ったとおり、準備をして「さあ、行くぞ」という時に感染拡大があり、まん延防止等重点措置となりました。そのような中で、ウェブを使ったり、お手紙を300ぐらいずつ書いたり、というようなことでやってきたわけですが、いよいよオミクロン株の収束後は、16ページにある取組で、生産力、基礎的な生産力をアップして、商品力を高めて、2ページ、3ページの取組をやると。商品力を高め販売力を高めていくという形で、しっかりと所得を倍にまでしてきた農業であり、300人も就農者が帰って来てくれています。また、Iターンでも100人とか来てくれているので、やっぱりそれに対応した経済システムと体制に整えていきます。
 全部やり直す。ロジスティクスも含めて。というような年になると思っています。
 そのためにも、早く皆さんにワクチンを打っていただき、基本的感染対策をしっかりして、早くオミクロンをやっつけましょうという思いです。

〇記者
 来年度予算でも各部署が人口減少対策の事業に取り組まれると思いますが。この2年ほど、転出超過の数が少し和らいだりですとか、県内の高校生の県内就職率がちょっとずつ上昇したりとか、積極的な選択の上での変化かどうかは分かりませんけれども、少なからず変化があるということで、この状況を知事はどう捉えていらっしゃるのかということと、この状況をどう事業に絡めて使っていきたいかというのをお聞かせください。

〇知事
 ふり返ればほんの10年ちょっと前までは有効求人倍率が0.29とか0.3とか。すごくつらくて、卒業した高校生の就職の場を県内で探せず、われわれが高校の先生たちと一緒に首都圏の企業を回って、「どうしたら採用してくれますか」ということをやっていました。ついこの間、10年ちょっと前まで。
 その時にさまざまな県外就職のルートができてしまったという面があります。先輩・後輩の関係で「いい会社だ、ここは」というように。要するに、かつては非常に雇用の場ということで苦労をしていました。
 その後、皆で、誘致企業数を600近く増やし、起業・創業的なムードをつくってきました。その結果、多様な働く場、ものづくり産業だけではなくて、ITの話も先ほどしました。それから最近では10年粘ってコールセンターにも来てもらいました。沖縄まで行って交渉して、「ちょっと、青森は寒いですかね」というようなことも言われて、「まあ、そうだな」と思って帰ってきたこともありました。いろいろなことをやりながら今の雇用の状態に持ち込めました。
 ただ、親御さんにも高校生たちにも、青森には、世界に通じるようなセンサーの多摩川精機があったり、胃カメラのトップ企業や医療機器メーカーなどの非常に独特の企業群があったり、そして起業・創業など、要するに就労の多様性がすごくあるということになかなか気がついてもらえないでいました。
 それと、過去に作ってしまった県外就職のルートを切るのも難しいということもあります。「今まで青森のために応援したのに何だ」と。「それはそれで大事です」と思いながらも、県内の企業群について知ってもらう取組と、親御さんと高校の先生にも、逆に今、県内就職は求人倍率が高いだけではなくて内容が良くなっていますということとか、起業・創業を含めていろんなことをできますとか、あるいは二地域居住という、技術を身に付けたら帰ってこれるような、本社はあっちにあるけれどもこっちにも住む場所があって、行き来ができるとか。そういうシステムをどんどん提案して、それがジワジワと理解されてきました。それから、お子さんが少ない時代のコロナ禍において、やはり「地元にこんなに就職先があるんだったら」と、地元に就職先を用意できたら、そういう外部環境もあり、何とか地元に就職をしようという雰囲気になってきています。
 でもやっぱり、これまでの経緯もあるものだから、なかなかそれを全て取り戻すというところに至っていないということです。
 だから、質問で消極的・積極的と言われましたが、これまでの県内就職定着促進の取組によって、徐々に、「何だ、青森にもこれだけ企業あるじゃん。就職、活躍できるじゃん」という状況にはなってきています。
 やはりこの私どもの青森でも人手不足ということがあって、これからますます取り合いになると思いますが、だからこそ暮らしやすさとか居住環境とか生きやすさ、多様性とか、そういうところの訴え方をこれからも丁寧に丁寧に段取りして、基礎的総合力として青森に残りたいという選択をしていただける形になっていくように取り組んでいます。
 また、高校には就職支援員の方がいます。昔は首都圏就職の支援員がいたこともありましたが、今は逆で、青森に残ってもらうための支援員に丁寧に仕事をしていただいています。そのような状況と受け止めています。
 なぜこのようになったかということをお伝えしたくて、長くなりましたけれど経緯の説明をさせていただきました。

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