ホーム > ようこそ知事室へ > 知事記者会見録 > 平成29年度当初予算案について[臨時]

平成29年度当初予算案について[臨時]

会見日時:平成29年2月20日月曜日 14時00分から14時50分まで
会見場所:第三応接室
会見者:三村知事

〇知事
 平成29年度当初予算案について、お手元の資料「平成29年度当初予算案の概要」に基づきご説明いたします。

 まず、今回の予算編成についての基本的な考え方を申し上げます。

 私ども青森県の財政は、平成15年度の財政改革プラン策定以降の行財政改革により、極めて厳しい歳入環境の中にあっても、生活創造社会、暮らしやすさのトップランナーの実現、東日本大震災からの創造的復興、人口減少の克服などに向け、県政の重要・緊急課題に積極的に対応してきました。また同時に、財源不足額、いわゆる基金取崩額の圧縮、県債残高の縮減、実質公債費比率や将来負担比率等の改善に不断に取り組み、財政構造改革を着実に前進させてきたところであります。

 平成29年度当初予算の編成に当たっては、「青森県行財政改革大綱」に基づく財政健全化努力を継続しつつ、「青森県基本計画未来を変える挑戦」及び「まち・ひと・しごと創生青森県総合戦略」に基づき、若者・女性の県内定着の促進、北海道新幹線開業効果やインバウンド対策による交流人口の拡大、県産品のブランド価値向上や販路拡大、さらには2025年の超高齢化時代を見据えた対応など、各種施策を中長期的な視点で積極果敢に展開することといたしました。

 以上の結果、年間総合予算として編成した平成29年度一般会計当初予算は、規模としては、6,846億円、平成28年度当初予算対比124億円、1.8パーセントの減となったものの、当然減となった貸付金に加え、これまでの行財政改革効果による人件費、公債費の減を除けば、平成28年度当初予算を上回る規模となっております。

 また、財源不足額(基金取崩額)については、地方消費税清算金収入の減など歳入環境が厳しい中ではあるものの、これまでの行財政改革努力の成果発現によりゼロとなり、収支均衡を実現いたしました。加えて、県債発行総額についても可能な限り抑制し、持続可能な財政構造の構築に向けた新たな一歩を踏み出すことができたところであります。

 次に、平成29年度の重点施策について、お手元の別資料「平成29年度未来を変える挑戦推進事業の概要」に基づきご説明いたします。

 平成29年度は、4年目を迎える「青森県基本計画未来を変える挑戦」の総仕上げに向けて、「まち・ひと・しごと創生青森県総合戦略」に基づく、人口減少克服の取組を充実・強化し、積極的な事業展開を図っていく重要な年と考えています。

 そこで、総合戦略をより一層、加速していくため、北海道新幹線開業効果や県産品のブランド価値向上・販路拡大等による県内経済のさらなる成長、若者・女性の県内定着促進、また、2025年の超高齢化時代を見据えた青森県づくりに特に重点を置き、平成29年度の「未来を変える挑戦推進事業」を構築しました。

 総額は、303億円となり、平成28年度と比べ5億円の増額となっています。

 各戦略プロジェクトについてですが、全体像としては、人口減少克服プロジェクトは、「社会減対策」と「自然減対策」の両面から取り組むもので、87事業、10.7億円。健康長寿県プロジェクトは、大部分が「自然減対策」となり、30事業、3.5億円。食でとことんプロジェクトは、「社会減対策」として、42事業、4.7億円。合計で、159事業、18.9億円となっております。

 次に、各戦略プロジェクトの内容です。
 まず、人口減少克服プロジェクトから説明します。

 人口減少が進む私ども青森県ですが、これまでの取組により、農山漁村の「地域経営」の広がりや、観光客の増加のほか、出生率も引き続き改善するなど、成果も着実に現れています。そこで、平成29年度は、こうしたよい流れを加速させるため、人口減少克服の取組を充実・強化させていきたいと考えております。

 具体的な取組の説明を申し上げます。

 人口減少社会にあっても持続可能な地域をつくる観点から、地域における経済と生活機能を維持する仕組みづくり、そして、担い手育成に取り組んでいく必要があります。
 そのため、農山漁村における「地域経営」の取組拡大とレベルアップを図るほか、住民主体の地域づくりや持続可能な交通ネットワークの構築などに取り組みます。また、地域産業を支える事業者等の経営基盤の強化や人財の確保対策を積極的に進めるほか、これからの時代や地域のニーズに即した新たな人づくり戦略、今の戦略が策定から10年目を迎えますので、これを策定するとともに、多様な人財の活躍を推進していきます。

 人口増加につなげるための移住・定住促進、これは非常に大事な観点でありますが、引き続き、移住に興味を持つきっかけづくりから定着まで、段階に応じた情報提供や相談支援等を行うほか、特に、本県の社会減の大きな要因となっている若者・女性の県外流出に歯止めをかけ、将来の産業や地域を担っていく人財を確保するため、若者・女性の県内定着促進と、県外に進学・就職した方々のUIJターン促進に重点的に取り組みます。

 この「若者・女性の県内定着促進」については、就職先の約6割が県外となっている工業高校などの高校生や、大学生等、女性など、ターゲットを明確にした上で、きめ細かい取組を、各部局が連携して多角的に実施していきます。

 例えば高校生の県内定着促進では、学校と県内企業の連携を強化し、生徒・保護者・教員に対して、県内の暮らしや仕事、企業の情報等を積極的に発信・共有していきます。

 ややもすれば、「東京とかあっちの企業がいい企業だ」というような技術系高校の思いがあったりするといけないものですから、「それは違うよ」と。「実はこんなに最先端が青森にあるって、知らなかったでしょ」と。親御さんにも高校生にもそうですけど、先生にも知っていただくということで、細やかに段取りしたいと考えております。

 大学生等の県内定着促進では、県内の大学生等に対して、COC+(シー・オー・シープラス)、弘前大学その他の学校と連携しておりますけど、これを強化しまして、大学・学生・企業の相互理解の促進や、地元志向の人財育成をしていきます。

 また、県外の大学生等に対しては、専修大学のように首都圏の大学との連携協定、これをさらにあちこち進められればと考えておりますが、これによりまして、県内就職に関する情報発信を強化します。

 併せて、県内企業におけるインターンシップの実施と受入態勢の構築などを進めます。インターンシップは非常に効果があるものですので、それなりの財源等を含めて、各部局とも取組を考えています。

 女性の県内定着促進では、仕事と子育て等の両立支援、キャリア形成の推進、社会全体で子育て世代を応援する気運の醸成などを進めます。

 また、交流人口を増やす観点からは、これも今まで相当進めてきたわけですけども、北海道新幹線開業を契機とした津軽海峡交流圏の形成に向けて、青函アフターDC対応などを軸としながら、引き続き、ラムダプロジェクトを強力に展開していきます。

 さらに、韓国済州特別自治道との姉妹提携協定締結といった交流の輪の広がりや、クルーズ船寄港の増加、中国定期便の就航機運の高まりといった、さまざまな好機を捉えた積極的な誘客促進に取り組みたいと思っています。そのことによって、陸・海・空の交通手段を組み合わせたいわゆる立体観光や、周遊観光をさらに推進し、インバウンド受入態勢などを強化します。海外からのグリーンツーリズムも大いに伸ばしたいと考えています。

 また、今積極的に進めているアニメなどの若者向けコンテンツの活用や、企業・ブランドとのコラボレーションなどによる戦略的な情報発信を図るほか、青森ならではの自然を生かした観光の推進などにより、国内外からの誘客を促進します。

 自然減対策としては、結婚、出産、子育ての希望を実現しやすい環境づくりに取り組まなければいけないと思っています。そのため、新たな企業認定制度の創設等により、結婚・出産・子育てを積極的に応援する企業を増やしていくほか、質の高い保育サービスの提供と保育士等の確保・定着を図ります。また、妊娠期から子育て期までの母子に対する包括的な相談支援体制について、市町村等と連携しながら充実させていきます。

 続いて、健康長寿県プロジェクトです。

 これがうまくいくことが人口減少の改善に寄与することはご案内のとおりですが、保健・医療・福祉包括ケアシステムが着実に普及し、「だし活」であるとか「食命人」といった取組も拡大している状況です。また、ライフイノベーション戦略の展開で、本県の地域特性を踏まえたライフ関連産業の活性化という成果も現れてきています。

 その一方で、がん死亡率が全国最下位であるなど、厳しい現状も踏まえ、平成29年度は、引き続き、予防を重視した県民の健康づくりを促進し、地域の保健・医療・福祉体制を充実・強化させることとしています。がん対策については、県立中央病院等からのアイディアも活かしながら取組を進めていきたいと考えています。

 具体的な取組でありますが、健康づくりの取組拡大に向けては、県民の健康意識の醸成と自発的な健康づくり、これがなかなかご理解いただくことに時間がかかっていますが、これを促進します。とりわけ、がん検診等の受診率向上など、健康づくりに積極的に取り組む企業や団体等を増やし、働き盛り世代の死亡率を改善したいと考えています。また、むし歯保有率の低下や、妊産婦及び同居者の禁煙に向けた環境づくりを行います。

 続いて、食・運動での健康づくりという観点からは、豊富な野菜など本県ならではの食を生かした食育や、「だし活」などの取組を通じて、健康づくりと県産品の消費拡大を進めるとともに、世界自然遺産白神山地や十和田八幡平国立公園など本県の豊かな自然を生かした健康づくりや、スポーツを通じた運動習慣の定着を図っていきます。

 保健・医療・福祉体制の充実については、安心して暮らせる地域づくりと人づくりの観点から、多様化・複雑化する福祉ニーズに対応した相談・支援体制の整備を進めるほか、ICTを活用した遠隔医療モデルの構築や、若手医師等の確保・育成にしっかり取り組んでいきたいと考えています。また、引き続き、ライフ関連産業の集積による地域経済活性化と雇用の創出を併せて進めていきます。

 続いて、食でとことんプロジェクトです。

 「厳しいときは得意分野を伸ばそう」ということでこれまで踏ん張ってきたわけですが、攻めの農林水産業の積極的な展開により、平成27年の農業産出額は19年ぶりに3,000億円を突破し、12年連続で東北1位となっています。

 「青天の霹靂」をはじめとする農林水産品のブランド化の着実な進展、「A!Premium(エープレミアム)」の活用による販路拡大、りんご・ほたてなどの輸出の増加など、多くの成果を出してきました。平成29年度は、本県の強みである農林水産業の成長産業化に向けて取組を充実・強化したいと思っているところであります。

 具体的な取組ですが、まず、食の生産力・商品力を極める観点から、農業労働力の不足解消に向けた生産の省力化・低コスト化と、県産品のさらなる付加価値向上に取り組みます。そのため、安定供給の確立と生産システムの効率化に向けて、自動作業トラクターなどの省力機械・技術の実証や普及を図ります。

 また、「青天の霹靂」ブランドを確立するため、首都圏等における積極的なプロモーション活動等を展開し、県産米全体の評価向上につなげていくとともに、今売り込みをかけているおうとう新品種、ハート形の大きい「ジュノハート」、このブランド化に向けて、生産・販売対策が一体となった全体戦略を構築するなど、産地間競争に打ち勝てる県産品づくりを進めていきたいと考えています。

 そのほか、農商工連携による地域の6次産業化を推進し、「食」産業の発展と、地域資源による収益性の向上を図ります。

 また、食の販売力を高める観点から、トップセールスの積極的な展開や、「A!Premium(エープレミアム)」を活用したさらなる販路の開拓、東アジア等に向けた輸出の拡大などを進めていきます。
 また、食をとことん極めるための基盤づくりの観点から、食の安全・安心を支える体制を強化するため、健康な土づくりのレベルアップということ、生産者の技術向上ということ、若手・新規就農者の確保・育成、UIJターンなどによりこの分野は新規就農も多いわけですけれども、「さらに青森に来て一緒にやりましょう」ということを進めていきたいと考えています。

 そこで、誰もが真剣に考えていかなければならない時期になったわけですけれども、2025年を見据えた多角的展開について説明します。

 今後、いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上となる西暦2025年、今まで2人で1人を支えていたのが、1.5人で1人どころか場所によっては2人で3人という、支え方も厳しくなることが現実となりつつあります。

 この超高齢化時代の到来を踏まえると、地域における保健・医療・福祉体制はもちろんのこと、さまざまな生活機能の確保・提供体制の構築と連携が大きな課題となります。要するに、バラバラでやっていては地域はもう持たないぞ、ということ。だからこそ、地域経営ということをじわじわやってきたわけですけれども。

 そこで、地域で生まれ、地域で育ち、地域を助け、地域で安心して老後を迎えることができる「青森県型地域共生社会」の実現に向けて、保健・医療・福祉体制の一層の充実を図るとともに、地域づくりや生活支援サービス等を担う多様な人財の確保・育成、市町村や地域との協働など、さまざまな取組を中長期的な視点で展開していきます。

 確実に2025年に向けて段取りしていかなければいけないと考えています。これは市町村とか県というだけでなくて、この国のあらゆる方々と一緒にそれぞれ考えていかなければならない課題となってきたと思います。

 次に、戦略キーワード事業について説明します。

 地域資源をとことん生かした魅力あふれる「しごとづくり」では、114事業、134.9億円、安んじて健やかに暮らせる持続可能な「まちづくり」では、107事業、66.7億円、省エネと3Rでつなぐ人と自然にやさしい「さとづくり」では、29事業、19.1億円、あおもりの今と未来を切り拓く「ひとづくり」では、79事業、60.0億円、戦略キーワード事業全体で、329事業、280.7億円となっています。

 「しごとづくり」の取組についての説明ですが、自由な発想に基づく多様な創業・起業支援や、IoT活用による新産業の創出に取り組みます。

 ものすごく若い方々といろいろな懇談をしていますと、いろんな仕事があります。ネイルアートだとか、いろんなことにチャレンジできるというのが地域の力ということを話しておりますし、私もそう思います。従前のいわゆるものづくり産業や派手なことだけではなくて、小さな商いの中に自分を表現したい、ということはっきり言われて、なるほどと思ったところです。ということで、多様な起業支援ということを考えております。

 また、これは例のロジスティクスに関係したところですけれど、パーツセンターやメンテナンスセンターなど物流を軸とした新たな産業立地の推進、温泉熱エネルギーを利用した地域活性化モデルの構築など、地域の特性を生かした産業振興につなげていきます。

 また、地域の魅力を、多様化する観光ニーズや旅行形態に即した観光コンテンツに磨き上げるとともに、インターネットを利用する個人旅行客への対応に積極的に取り組むなど、観光産業、これも元来得意分野と思ってやってきたわけですけれども、さらにお客さまにお出でいただける仕組みを考えていきます。

 「まちづくり」の取組についてお話しします。

 まず、社会福祉分野では、さまざまな環境にある児童・生徒に対する学習支援や、大学進学への奨学金貸付事業等を実施し、子どもの将来に向けた社会的自立を促進します。

 続いて、防災関連ですが、「命は自分で守る。みんなで守る。」取組の強化により、県民の防災力を高め、自主防災組織の活動を活性化し、自助・共助の推進を図ります。また、地域防災を支える地域コミュニティの活性化に向けて、地域と連携した形の防災訓練を開発します。

 防犯・交通安全対策については、特殊詐欺やサイバー犯罪、交通事故など身近な危険の未然防止に、しっかりと対応していきます。

 「さとづくり」の取組についてご説明します。

 まず、環境負荷の軽減と快適な暮らしの両立を目指して、3R(スリーアール)や移動に係る二酸化炭素を削減するスマートムーブの実践を推進するとともに、市町村におけるごみ処理の見える化や中小企業の省エネ推進などに取り組んでいきます。

 また、ニホンジカやツキノワグマなど野生鳥獣による被害が広域化・深刻化していることから、捕獲体制や被害防止対策の強化に取り組み、野生鳥獣の適正管理を図ります。

 続いて、「ひとづくり」の分野です。

 まず、「いじめ防止対策の充実」に向けて、学校において、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを増員します。また、相談支援体制のさらなる充実を図るとともに、いじめ防止対策推進教員「ハートフルリーダー」を新たに指名し、いじめの予防・早期発見・解消に取り組んでいきたいと思っています。さらに、ほほえみプロデュースということを長年やってきたわけですが、「輝く笑顔推進キャンペーン」を展開し、県民が一丸となって、いじめのない環境づくりに取り組む気運を醸成します。

 歴史・文化の継承、スポーツライフの関連ですが、「縄文遺跡群」の世界遺産登録について、勝負の年と考えています。登録の早期実現に向けた諸条件の整備とともに、県内外における認知度向上、気運醸成など、引き続き、強力に取り組んでいきます。そして、私ども青森県開催で予定されている第80回国民体育大会を見据えて、競技力強化に取り組むなど、あおもりの未来を支えるスポーツ人財を育成し、地域の活性化につなげていきます。

 続いて、地域県民局の主な取組について説明します。

 東青地域では、北海道新幹線開業効果の持続的獲得に向けた冬季観光の育成などであります。
 中南地域では、地元就職の促進と早期離職防止に向けた、高校生と地元企業の相互理解促進など。
 三八地域では、広域観光に向けた意識醸成と、管内をひとつの観光パッケージとした情報発信など。
 西北地域では、グローバルGAP認証取得や輸出を視野に入れた米生産者のスキルアップなど。
 上北地域では、女性目線による農作業の負荷軽減や、大学生等による農業サポーターの確保など。
 下北地域では、地元の小・中・高校生を対象とした建設産業への興味喚起や就職先としての意識醸成など。

 各地域県民局が、地域の課題を克服し、強みを磨き上げるための事業を進めることとしています。

 引き続き、未来を変える元気事業費補助3億円を確保し、県内市町村の総合戦略に基づく取組を強力に支援していきます。

 最後に、これまで紹介した「未来を変える挑戦推進事業」を、「まち・ひと・しごと創生青森県総合戦略」の4つの政策分野に沿って整理すると、全体で、472事業、248.3億円となっています。

 以上、平成29年度未来を変える挑戦推進事業の概要です。

 人口減少、急激に低下しているところになんとか歯止めをかけなければならないんですが、克服への道のりは、私は幸せが増えるという方向で考えていく道であると考えています。すぐには踏破できない長い道のりではありますが、県民の皆さんとともに、一歩、一歩、着実に前進していきたいと思います。

 私からは、以上であります。

〇記者
 まず、来年度の予算について、一言で表現するとすればどんな予算と言えますか。また、各事業を見ると、人口減少対策の事業が継続していますが、中でも観光事業、インバウンド対策の事業がここ数年の中でもバリエーション豊かな印象があります。インバウンド対策に対して、来年度どのような気持ちで臨まれますか。

〇知事
 一言でいうと「未来をつむぐ・チャレンジ予算」。
 人口減少の克服などに向けて引き続きぶれることなくチャレンジするとともに、先ほど話しましたとおり若い方々の県内定着とかインバウンド対策とか2025年のこととか、そういったことを総合的に未来に向けてつむいでいくということで、これまでの取組成果を踏まえ一歩一歩着実に前進させるとともに、各種施策のさらなる成果獲得に向けて将来の青森県を見据えながら中長期的な視点で積極果敢に取り組む予算。
このようなことをもって、「未来をつむぐ・チャレンジ予算」。そうさせていただきます。

 次にインバウンドですけれども、交流人口は非常に重要な部分であると思っています。県内に滞留している人口といいますか。人口減少ということは、元は40代50代が減っていく、実数として人が減るということですけれど、しかし、旅行でも何でも本県に来てくれる方々がいる、常に誰かが来ている、ということになりますと、実際に住んでいる人数は減っていきますけども、それを補える部分がある。健康づくりと同様に補える部分がある。そういった意味でこの交流人口というのは非常に大事なことだと考えています。
 その場面において、国内でもいろいろやってきましたけれども、立体観光ですとか、船の関係等も含めて、「インバウンド」、我々はアジアとのやりとりを物品・物販を含めて進めてきました。その一方で、本当に細やかに営業といいますか、観光コンテンツを商品化して選んでもらう、ということを航空会社や旅行会社に対してやってまいりました。これを進めることが実は、交流人口を増やす、ということにつながってきました。アジアにおいては、今後もまだまだ可能性があると思っていますので、しっかりと対応していきたいと思っております。アジアだけでなく、オーストラリアなども含めてです。

〇記者
 収支均衡のことでお尋ねいたします。知事就任以来、財政健全化を大きな命題として取り組んでこられたことと思います。ここ数年は基金取崩額を抑えて、実質的に収支均衡とおっしゃっておりましたが、今回は基金取崩額ゼロで、名実ともに収支均衡実現ということで、改めてお気持ちをお願いいたします。

〇知事
 振り返れば平成23年、基金取崩額を一桁で抑えられ、さぁこれから、というときに震災が発生し、いろいろとやりくりに苦労したことを思い出しますが、その後、また取崩額一桁台というところまできておりました。今年もまたいろいろとやりくりをきちんと見極めていくなかで、取崩額一桁ということよりも、当初から取崩額ゼロという強い意志を示していこう、ということでございます。
 厳しい歳入環境について、既に何度か説明しておりますけれども、さまざまな改革の努力でありますとか、借金を具体に減らしたわけですから、そういったこと等も踏まえて、財政課長や総務部長も基金取崩ゼロで行けます、ということでしたので、やはりそのような姿勢を示して、これからもゼロでやっていこう、ということです。

〇記者
 これからもそれでいくということですが、単年度ではなく、これからも継続していくということでしょうか。

〇知事
 継続していくぞという強い決意、意識を持ってやっていくということです。今までも、一度も財政規律についてぶれずにやってきました。一旦ゼロにすることは、災害などいろいろなことはあるにせよ、財政規律を守ってここまで来ました、今後ともこの志は決して忘れません、という意味でのゼロだということです。

〇記者
 関連して、今回収支均衡を実現する中で人件費、公債費、貸付金を除けば前年度を上回るとは言いつつも、投資的経費全体の伸び率は削減傾向にあり、そうした厳しいやりくりの中で実現できているのだなと感じます。実際に必要なものを精査した結果だと思いますが、その評価について聞かせていただけますでしょうか。

〇知事
 自分で言うのがいいのかどうかありますが、やはり経済というものを全体として捉えた場合に、一定の投資的経費やその関連産業というのは、先ほど下北での人財確保の話をしましたが、実際は防災上もメンテナンス上も産業について必ず持続していかなければならないものであります。かつ、まだまだ日本の端は高規格道路も自分でやらなければいけないような状況であります。要は、完成していないうちに国が撤退したというような状況になったわけですけども。

 そういった中でも基本的なインフラの部分と維持していく部分が、産業技術を含めて、非常に伸展しています。
 例えば、竣工から相当年数が経って、国体が全く開催できない県営プールの整備などにも対応していかなければならない。こういったやりくりについては、各部局、特に施設設備を管理している部局は非常に苦労したところでありました。やりくりして、必要な投資的経費を確保し、そして経済も回し、メンテナンスもしなきゃいけない。最近耐震が流行っているがそういうこともしなきゃいけない。

 そういったバランスをとりながらの苦労というのは、私が自分を、と言うよりも、土木や農林や財政部門を、私は高く評価しています。
 決して産業を軽視せず、必要性を認め、しかしながら、変な言い方だけどやれる部分だけしかやれない。やれる分をみんなで総枠確保しながら、可能な限り公共枠をどんどんとっていきながらやる、という。だからすごく苦労してきた。苦労したと言ったことはないけど。
 例えば、「ジュースをこうやって作ったらばんばん売れると思うんです」とアイディアを出すと「おもしろいな」と言っていただいたりとか、あまり具体的にそういうことを言っているわけではないけど、こういう風にして国とかいろいろな外部の資金を確保しながらやってきました。みんな頑張っています。
 自分はみんなに、「こういう風にできればすごく楽なんですけど、こういった資金を取って来れないですか」って言われれば、取ってくるための努力をするというところです。

〇記者
 基金取崩しゼロというこの数字がまず先にあって、取り組んでいったという印象を受けたんですけど。

〇知事
 違う。借金部分が具体的に減っているから払う利子が減ったりという面もあるが、例えばこの14年間、各部局各部門がどうやってコストダウンできるかだけではなく、もし稼げたら稼ぐということで将来の成果も意識しながらやってきた。こうした隠れた努力を積み重ねてきたからこそ今がある。つまり、基金取崩しゼロにするための予算にしたんじゃなくて、収支均衡こそ我々にとっての、過去のこといろいろありますから、未来に対する責任だ、という思いを持って今までやってきた結果だと理解してほしい。

〇記者
 胸を張って議会に出せる予算案だと。

〇知事
 議会にはもっと頑張れって言われるかもしれないけれど、我々とすれば可能な限りさまざまな分野に配慮しながら積極的に投資すべきところは投資していくということ。特に安全関係など。

〇記者
 関連ですが、収支均衡を達成したということですけれども、これまで「出」を抑えるということで切り詰めてこられて、今後は収入を増やしていくということが課題になっているということですが、その辺りの所感と、課題と目標について教えてください。

〇知事
 「出」を抑えるというか、自然体の「出」は大事にしていく。
 この「出」はどうなのかということを14年前、延べ1,100回説明会を開いて、佐々木副知事は当時財政にいて二人でいろんな所に行ったことを思い出すけれども、「出」というものは、一度出だすと当然だということになる。その中で、これは納得感のある「出」だというものを大事にするということを努めてきた、という思いがあります。これは県庁全体でそのようにやってきました。

 そして、今年は農業関係の税収がついに増えるんじゃないかと期待していて、あれだけ売れて伸びたら増えますねということと、プラス観光関係とかは直接収入になってくるわけですし、県民経済が回っていると我々にも必ずプラスになってきますし、我々が投資したものも動く、外からのお金も中で動くといいますか、そのことを考え、その結果としての税収を増やすということを考えていかなければいけませんし、だからこそ自腹で稼ぐ、例えばロジスティクス戦略、ロジスティクスの仕組みまで変えてもっと利幅をとって自分たちで稼ぐとか、メンテナンス・部品産業とかの具体化であるとか、要するに新しい産業のあり方をきっちりと、徹底奨励して起業創業を進めると同時に、自前で稼げる経済のパターンを構築していかなければもたないという思いです。

〇記者
 農業関係の税収が増えると仰いましたが、具体的に教えていただければありがたいのですが。

〇財政課長
 県税のうち、個人県民税が対前年度当初比で3.4%ほど伸びるわけですが、それが所得の増加、そのうち農業所得関係が伸びているということでございます。

〇記者
 それは知事が進められた「攻めの農林水産業」が反映された結果だと自負されているところでしょうか。

〇知事
 自負まではいかないけども、700~800億円だったりんごが1,000億円になったら、やはり何か我々の頑張った分がないと。例えば、決め手くんが40回営業に行っていたのが380回も営業に行っている。
 それに関連して、他産業への連関などにより消費が増えるのが結構大事だということ。

〇記者
 中国との国際定期路線について、奥凱航空との流れのなかで引き続き4月以降も取り組むとのことだったが、決定権が中国側にあるところだが、県としてどう実現に向けて取り組むという思いでしょうか。

〇知事
 プログラムチャーター的なところを着実に重ねて、確実に需要があるのか、というところが大事だと思う。

〇企画政策部長
 4月以降の就航に関しては、現在固まっておりません。あくまでも3月までの実績等を鑑みて、先方が判断されるというところです。
 県としては、既に週2便で奥凱航空が中国民用航空局に申請していますので、それをベースにチャーターの実績を積み重ねて、継続的な定期便に結び付けていくなど、いろいろなパターンを考えながら、中国便の就航によって閑散期の観光客が増えるなど現在効果が出ているので、引き続きそういった方向で実現に向けて取り組みたいと思います。

〇記者
 知事としては、チャーターだとか運行形態については柔軟に考えているということでしょうか。

〇知事
 例えば、台湾のお客さんが増えたらそれでもいい。
 函館空港もうちの空港だと思ったっていい。秋田空港も、花巻空港も、仙台空港は特にそう。自分の空港に降りてもらうというよりも、どこで降りようとも、降りた客が実際に青森の商品を買い、青森に来てくれるかが重要なわけで。
 ニセコだって、オーストラリアとやりとりをしたおかげで客がたくさん増えた。某西の方みたいに、自分の空港に客が降りても、降りた客がみんなバスに乗ってUSJに行ってしまうのではどうしようもないけど、青森は周辺エリア全部が商売範囲だと思っている。
 もちろん自分のところの国際定期便やチャーター便が増えることも基本だからそこも頑張るべき。青森県に降ろせば必ず止められますから。うちの場合は、他のところには遠くで行けないでしょ。
 立体観光と宣言したのはそういうことなんです。どこの空港で降りても青森に呼び込めるように営業をかけています。

〇記者
 人口減のところで一言いただきたいのですが、事業数と予算規模ともに昨年度よりは増えていると思うのですが、改めて人口減少対策に対する知事の意気込みと中長期的に見た場合の今年度の事業の位置づけ、この2つをお願いします。

〇知事
 特に象徴的に言うとすれば、例えば工業高校卒業生の就職が7:3で良いのか。7は東京ほか、3は青森ということだけど、これはおかしいのじゃないかと。これが6:4になったと、じゃあそれを4:6から3:7までもっていかないといけないとか。
というように、各分野とも、青森としての価値とか青森としてのやれるっていうことを示しながら、若い人たち含め、女性含め、力を入れているところを少しずつ足していったら、こういう風になったということです。
 だからインターンシップとか、例えば県外に就職した先輩が在校生に声をかけたりすることがあるから、うちもインターンシップを増やすとか、さまざまな防御的手段を打たねばならないということです。
 他にも、待機児童ゼロだ、ということで保育士が法外な賃金で連れ去られるようなことがないようにするために、いろいろイメージアップしていくとか、我々としてこういうことがあります、一緒に頑張ろう、ということとかを示していかないといけない。

 基本的に、しつこく言いたいですけど、東京の問題に手をつけずして、人口について地方同士のゼロサムゲームをやってもしょうがないだろうと。というところはある一方で、そう言ってもしょうがないから、具体にいろんな対抗を、パトリオットで打つみたいなことをやっているわけです。対抗的、積極的ということです。

過去の記者会見録

平成26年度  平成25年度  平成24年度  平成23年度  平成22年度  平成21年度  平成20年度  平成19年度  平成18年度  平成17年度  平成16年度 

この記事をシェアする

  • facebookでシェアする
  • twitterでシェアする
  • LINEでシェアする

フォローする

  • facebookでフォローする
  • twitterでフォローする