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臨時会見/並行在来線資産譲渡の協議経過について

会見日時:平成21年1月8日(木)11:50〜12:20
会見場所:第三応接室
会見者 :三村知事

○企画政策部次長
 ただいまから、並行在来線資産譲渡の協議経過につきまして記者会見を行います。

○知事
 並行在来線八戸・青森間に係る鉄道資産の譲渡協議についてご報告をさせていただきます。

 資産譲渡に関しましては、県はこれまでJR東日本に対し、総額約160億円と見込まれる鉄道資産について無償譲渡もしくは低廉な価格で譲渡することを求め、これまで鋭意協議を重ねて参りました。 
そして去る12月26日に、田中県議会議長同席のもとJR東日本清野社長と会談しました。その席上JR東日本清野社長から最終的な回答がございました。

 清野社長との会談では、私から次のとおり申し上げました。
並行在来線の鉄道資産は、無償もしくは低廉な価額での譲渡を求めJR東日本と協議を重ねてきた。これを踏まえ、鉄道資産の譲渡価額については県民が納得する、すなわち県に実質的負担が生じない内容となるよう次のとおり要請をする。
 一つとして、鉄道資産の譲渡価額について、特段の配慮をすること。
 二つとして、青い森鉄道線の円滑な開業と運営に向けて、鉄道施設の幅広い修繕など、譲渡価額を上回る支援・協力を誠意をもって実施すること。
 三つとして、全県的な新幹線開業効果の観点から、大々的な観光キャンペーンの実施、県内への新たなリゾート列車の導入を進めること、であります。

 また、同席した田中県議会議長からは、本県並行在来線は地域住民の重要な足であるが、青森開業後は厳しい経営となることが必至である。
JR東日本は本県並行在来線を取り巻く厳しい状況を踏まえ、県議会の意見を十分認識し真摯に受けとめ、知事要請を実現するようにと、そのように要請されました。

 これに対しまして、JR東日本清野社長からは、知事と議長の要請を重く受け止め、誠意をもって対応する。
一つとして、JR東日本は、概ね80億円程度、消費税を含めると83億7千万円程度で譲渡する。
二点目として、並行在来線分離に先立ち、「駅舎をはじめとする鉄道施設の幅広い修繕」、「大々的な観光キャンペーン」など、青い森鉄道による運行が円滑にスタートし、その後の経営が順調にいくための協力や支援を最大限行っていく考えである。
三点目として、青い森鉄道線、JR線両方で運行するリゾート列車について真剣かつ具体的に検討する、との最終的な回答があったものであります。

 私は、これらの内容につきましては、鉄道資産の譲渡に当たり、JR東日本からは、本県への鉄道資産の譲渡価額を相当程度上回る貢献策が実施されること。そして、譲渡価額については、当初想定しておりました約160億円の50%程度、税抜きで概ね80億円程度となること。以上の点から、JR東日本による貢献策の実施と今回の譲渡価額を合わせれば、八戸・青森間の鉄道資産の譲渡について、並行在来線開業後の長期的視点に立てば、県の負担は実質的に生じないものであると考えるところであります。

 私としては、清野社長との会談でJR東日本から示された内容については、同社が公共交通機関を担う公的使命を踏まえ、東北新幹線青森開業とともに経営分離される並行在来線の将来を見据え、地域とともに歩む決意と本県への配慮を表したものと高く評価し、了としたいと判断したものであります。そして、1月5日に関係部局長会議を開催し庁内での検討を指示し、本日総合的に判断し合意する方針を決定したところであります。

 本合意につきましては、県議会及び県選出国会議員の皆様の支援・協力があってこその成果でありまして、それを背景とし青森県とJR東日本双方が誠意をもって交渉してきた結果だと確信をしております。議員各位に心から感謝申し上げる次第であります。

今後につきましては、平成22年度に予定されます資産譲渡契約締結に向けて、必要な諸手続を取り進めていくとともに、JRによる貢献策の実施についても適宜確認していくこととしております。なお、並行在来線の開業に向けては今後も様々な課題を解決していく必要がございますので、JR東日本に対しましては引き続き最大限の支援・協力をお願いしていく所存であります。
以上で私からの報告を終わらせていただきます。

○企画政策部次長
 それでは、記者の皆さんからご質問をお受けしたいと思います。

○記者
 知事の方にお伺いしたいんですけども、JR側から示された協力策についてですが、それは金額に換算するとどのくらいと見ているのかということが1点とですね、観光キャンペーンもしくは駅舎、鉄道施設の修繕ですが、開業に先立ちというお話ですけれども、いずれも開業までの対応ということなんでしょうか。開業後は別だということなんでしょうか。

○知事
 全体の効果としては100億円プラスアルファという、アルファというのは観光キャンペーン等の部分でどれだけ多くの方が来るかを含めて金銭上換算できない部分があるわけですけれども、施設等の関連等々を合わせますと、アルファという言い方がどうかというのはあるんですけれども、100億円プラスアルファという貢献策を示していただいたと、そう考えています。あと段取りについては青山副知事から。

○青山副知事
 開業前に全部やるのかというお話でございましたけれども、一応この額が了承されればですね、今後JR東日本とどの駅舎の部分をどのように改修していくのかとか、あとレールをどこの部分をやっていくのかとか、という詳細な詰めは開業前にすべて行えるわけではございませんので、そこを一つずつお互いにいつの時点でどこをどう改修するとかというのは、今後の詰めになってきます。

○蝦名副知事
 観光キャンペーンというのはですね、重点販売地域というのがございまして、通常3年でございますけれども、知事から少なくとも5年やって欲しいということでお願いをしているわけでございます。これはおそらく八戸駅の開業の時もですね、2、3年ということでありましたけれども、やはり落ちる時期もございましたので、5年ということをお願いしているわけでございまして、やはり我々としては多くの観光客に青森県に来ていただく、そのためにJR東日本が何をするのかについて知事から厳しい要請をしたわけでございまして、それに応えるというふうに私どもとしては受けとめます。

○記者
 財源はどうなっているのかということと、先程、自民党と新政会で配った資料を記者会見を開いて配らないというのはどういう意味があるのか、その2点について伺います。

○総務部長
 まず、財源のところですけれども、22年度の予算になりますので、その予算編成の中で具体的に考えていくということになりますけれども、基本的な考え方ということで申し上げれば、80億円のうち最大で70パーセントまでは起債を活用できるものと見込んでおります。残りの30パーセントをどうするかということになりますが、それにつきましては並行在来線のために積み立ててきた基金がありますので、この基金の中から取り崩して対応することにしたいと考えております。以上のような考え方のもとに、具体的には22年度の予算の中で考えていくということであります。

○並行在来線調整監
 議員総会で配布した資料については、申し訳ないんですが、特に配布することは予定してございません。

○記者
 理由は何なんでしょうか。

○並行在来線調整監
 交渉相手方のJRの意向ということで、ご理解いただきたいと思います。

○記者
 意向というのも、自民党と新政会の方には教えて、記者会見を開いた上で資料を出さないというのはどういう内容があるんでしょうか。本来、記者会見を開いたのはそちら側の要望でやっていて、それで資料を配らないというのはあまりにもおかしいのではないでしょうか。

○並行在来線調整監
 内容については知事からお話した内容でございますので、ご理解いただきたいと思います。

○記者
 我々には説明する必要がないということですか。そんなにやばい内容が入っているんですか。おかしいじゃないですか、資料を配布しないというのは。何か言えないところがあるのであれば、そこをのけてもらっても結構なんですけれども。

○知事
 内容は話をしたとおりです。

○記者
 資料を配れないというのは何か理由があるんですか。JR側の本当に意向なんですか。どういう意向なんですか。

○蝦名副知事
 要するに、向こうも株主総会があるわけであります。当然いわゆる具体的な数字についてはこれから詰めていくということでございます。今まで粗々で事務的には詰めてきているわけであります。我々はそれについては100億円を超えるという感触を得ているわけでございます。ただし、これから少しずつ詰めていくというわけでありますし、JRもこれから株主総会があるということでございまして、そういう関係から資料をお配りはしませんでしたけれども、これから企画政策部長なり調整監から詳しく説明させますから、そこはひとつご理解いただきたいと思います。

○記者
 今回JRさんの方で修繕に協力して下さるということですが、100億円規模になるのかどうかわからないですけれども、実際に県の方で現在想定している修繕に係る費用というのはいくらくらいなものなんでしょうか。この100億円というのが全体の半分ぐらいなのか、どのぐらいの割合かわからないものですから。

○並行在来線調整監
 まだ幅広い修繕の総額いくらというのはですね、感触としては得てはいますけれども、きちんとした数字が出てはいません。というのは、当然レールにしても毎年値段が違うわけですし、その辺も含めてこれから一つ一つ確認しながら、貢献策については我々としても確認していきたいというふうなことになります。

○記者
 2点伺いたいのと一つ要望を申し上げます。
一つはリゾート列車の運行とありますが、実は八戸以北は今でもリゾート列車「きらきらみちのく」が走っております。ですから、新しく新設するのかそれともリニューアルなのか、それによって随分やはり経済効果の位置付けが違ってくると思いますが、この点について。
もう1点は大規模なキャンペーンの展開とありますが、デスティネーションキャンペーンをやるというのはもう実は織り込み済みであります。ですからこれについてもレトリックなのか、本当の意味で実質的な効果があるのか、やはり何がしかの根拠が示されなければ基本的には信じられない。
ですからこの2点に絡んですべての資料を、これは要望です、示せとは申しませんけれども、ある程度我々が県民の皆さんに自信を持って、確信を持って伝えられるだけの資料を書き物で提示していただくのはやはりこれは必要なことだと思うんですけれども、という要望です。以上です。

○並行在来線調整監
 まず、リゾート列車の導入につきましては、知事からJR東日本の社長の方に要請しましたけれども、社長は真剣に受けとめるということで、まだJRとしても公式に公表しているということではございません。ただ、我々が伺っている限りでは、新しい車両を造って導入したいという意向であるというふうに承っております。そのリゾート列車については、開業後、青い森鉄道線・JR線双方で運行したいというふうなお話を承っております。それから、観光キャンペーンにつきましては、これは我々のちょっと事務レベルの捉え方かも知れませんけれども、これまでに無い規模の経費をかけてJRでも実施したいという意向でございまして、詳細な内容等については、また関係部局を含めながら検討していくことになろうかと思います。その辺の公表についてはその辺の調整が終わり次第、公表していきたいと思っています。

○記者
 わたくし算数が弱いものでちょっと理解に苦しむんですけれども、知事は先程長期的視点に立てば、県の負担は実質的に生じないと考えるとおっしゃいましたけれども、本当にそうなんでしょうか。県民の一般的な感覚からすると、そうではないだろうというふうに思うんですけれども、その辺のご説明をもう一度お願いいたします。

○知事
 例えばレール周辺直せば50年持つとか、駅舎直せば20年、30年持つとかということ等、要するに我々がいろんなところを直さないといけないところを、JR側でやってもらうという形でトータルしていく部分、その他車両その他の部分のいろいろの積み重ねということで、我々とすれば長期的に非常にレールの維持管理等含めての修繕というのは、実に我々としてやるとすれば、我々の見積もったところよりも、非常に手間暇、コストの及ぶところなんですけども、そういったことをしっかりやっていただいていること等を積み上げますと、非常に納得できるところが私としてはありますけども。

○蝦名副知事
 考え方ですね、だから今簿価が160億円なわけです。これに100億円をですね、社員の派遣についてはあれですけど、これに100億円を単純に足すと260億円なんですね、修繕して直すとですね。それを我々は80億円で買うということになりますので、我々としては非常に安く買ったということになるわけです。要するに、160億円何も直さないで、それを80億円で買えば80億円の負担ですけども、向こうの方は100億円設備投資をして修繕をして価値を上げるわけですね。価値を上げたものを我々は80億円で買うということですから、実質的には県としてはマイナスになるということなんですよ。そこのところを考えた場合、負担はマイナスになるということなんですね。もしそういうのをやってもらわないと、開業後にレールを取り替えるとか駅舎を直すとか様々なもので金がかかっていく。あるいは車両を買う時に、新車両で買えば膨大な金がかかるけれども中古のものを売ってもらえば非常に安く済むとか、そういうものをやるとか、あるいはJRからの派遣職員の負担の割合を向こうの負担を多くして県の負担を少なくするとなると、青い森鉄道の負担が減るとか、ということなんですよ。そういうことを全部積み上げながら 100億円プラスアルファということなんですね。そこはご理解賜わりたいと思います。

○記者
 先程の副知事の説明で、価値のあるものにして買うということで、価値の無いようなもののまま買って、そこから県が補修をしていった方が逆に安いのかなと思うのですけども、そこら辺はどうなんでしょうか。

○並行在来線調整監
 青い森鉄道開業後に当然現状であれば相応の修繕費とか経費がかかる形になります。JRが今の貢献策を実施することによってですね、そういう負担が大幅に軽減されると、要するに県なり青い森鉄道が将来負担すべき金額が軽減される、そういうものを合わせれば約100億円程度になるだろうという内容でございます。

○記者
 要望なんですけど、そういったいろいろな話を先程の資料じゃないですけど、普通説明する時は図示するなり表を使ってやるというのが常識的というか、株主総会かどうか知らないですけども、分かりづらいというのは口頭でいろいろ言ってるから分かりづらいんであって、当然説明して我々も県民の代表として聞いているわけなんですが、株主総会は別にして、ちゃんとした形で資料を出して説明すれば、こんな折角の晴れの舞台で何となくうやむやにして、僕らも言葉聞いただけでよくわからない状況になってるんですけど、知事の方から何とかその辺できないんでしょうか。

○蝦名副知事
 さっき言いましたように、企画政策部長と調整監からきちんと説明させますから。ただ先程も言いましたように個々具体的なものについては、これから一つ一つJRと交渉しながら価格を積み上げていくことになります。ですから、その具体的な内容についてはこれからやるわけでございましてですね、ただ我々100億円という数字が出ているわけですから、100億円に見合う分のきちっとしたものを出していただくと、それを確認しながらやっていく。ですから、これからさっきも言ったようにキャンペーンの関係もそうですけれども、これからもちろん県民の声を聞かなければならないし、市町村のご意見、あるいは民間の観光関係者のご意見を聞きながらですね、JR東日本にどういう形のものを要請していくかもですね、当然これは必要になるわけでございまして、そういうものを向こうはやると言っているわけでございますから、我々はそれに対してどういう形でやって欲しいということもですね、これから当然具体的に要請していくわけでございます。ですから、そういう様々なものについては、これから一つ一つ積み上げていくことになりますので、なかなか具体に数字を出せないのは大変残念でございますけども、これは様々な交渉経過の中でずっと誠意を持って積み上げてきたものでございまして、少なくともそこは理解していただきたいなと、そう思っているわけでございます。

○記者
 そこは理解したんですけども、今日の新政会と自民党に配ったものにはその数字は書いているんですか。だから出せないっていうことなんですか。

○蝦名副知事
 いいえ書いてません。

○記者
 書いてないんだったら、まったく出せるんじゃないんですか。そこがよくわからないです。記者会見をしてるわけだから、出せないものは出せなくて結構なんだけども、少なくとも自民党と民主党に出した分ぐらいは、我々も同じように出してもらうのは当然なんで、そちらから記者会見を開いて時間を取ってもらってやっているわけだから、そこを出さないというのは口頭だけでやって、しかもJRの株主って言うんであれば、数字のところは副知事のおっしゃっていることは分かるんだけども、新政会の資料すらも出せないっていうのはどういうところなのか、ちゃんと説明してもらわないと、記者会見をなめてるじゃないですけども、ちゃんとした形でやろうとしてないんじゃないかと、おかしいんじゃないかなと思うんですけども。いかがでしょうか。

○蝦名副知事
 先程も言いましたようにですね、企画政策部長以下にきちんと説明させますので。

○記者
 説明は説明で当然するんですけども、資料を出さないというのは株主総会を理由にするんであれば数字のところ伏せてもいいんだけども、あの資料は出せてこっちに出せないという理由についてがよくわからないんですけれども。

○蝦名副知事
 そこはですから、数字についてはですね、様々ないきさつがあって誠意を持って積み上げてきた経緯があるわけです。ですからその数字はありませんけども、どういう項目でやるかということについてはですね、それは当然出します。

○記者
 資料としては出してもらえないんですか。新政会にその数字は載ってないんだから、その資料を出せないというのは記者会見の場を開いてて、出さないという理由をちゃんと明確に説明してもらわないと記者会としてもそれは受け入れられないと思うんですけども。

○蝦名副知事
 ですから数字入っていない部分を入れてほぼ出しますから、ご心配しないで下さい。

○記者
 1点だけ。買わなかった資産はありますか。鉄道資産のうち買わなかったものはあるんでしょうか。全部買ったんでしょうか。

○並行在来線調整監
 こちらが不要なものについては、既にJRさんの方でですね、お金をかけながら撤去しているものもございます。そういう意味では県にとってですね、不要なものについては当然買わないという形になります。

○記者
 基本的なことなんですが、資産譲渡の交渉だったわけですから、80億円という資産評価の根拠は何だったのかということと、交渉事なのでいろんな差し引きがあってのことだと思うんですけども、単純なそういう100億円プラスアルファの効果が保証されたから80億円で妥協したというのか、それともしっかり資産価値を県としても80億円と認めた上でプラスアルファを引き出したのか、コアと言いますか基本的なところを。

○蝦名副知事
 これは元々160億円の簿価で160億円の価値があるわけです。ですからそういうふうに認識していただければいいと思います。ただ様々な交渉を詰めながら最終的に向こうから80億円が示された、三村知事が言ってきたのは譲渡価額を上回る貢献策を出して欲しいということを強く要請してきた。その二つをですね、今回は向こう側がOKをした。それからもう一つさっき言ったように大規模キャンペーンをやって青森県に多くの観光客を運んで欲しいということについても、三村知事から強く要請してそれも向こうは受け入れたということです。ですからうちの方の要請を、ほぼ受け入れたということなんですよ。そこで80億円については、100億円を上回る貢献策が示されたということでございますから、ほぼ受け入れられたというふうに認識したということなんですよ。

○企画政策部次長
 それでは以上をもちまして記者会見を終了いたします。


― 以上 ―
(記録:並行在来線対策室)

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