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臨時会見/平成19年度当初予算案について

会見日時:平成19年2月19日(月) 14:00 〜 14:50
会見場所:第三応接室
会見者 :三村知事

○知事
 平成19年度当初予算案の概要について、お手元に配布してあります「平成19年度当初予算案の概要」に基づき御説明申し上げます。
 まず、今回の予算編成についての基本的な考え方を申し上げます。
 地方交付税総額の大幅削減、国庫補助負担金改革等、近年の地方財政改革の進展による歳入環境の劇的変化により、本県財政は財政改革プランや、青森県行政改革大綱に基づく財政健全化への取組みを徹底・加速してもなお財源不足額の大幅な拡大を余儀なくされ、元来、自主財源に乏しく脆弱な財政構造にある本県財政は厳しい状況に立ち至っております。
 また、国では財政健全化に向け、歳出改革路線を継続することとし、その一環として、地方歳出の厳しい抑制方針を示しており、今後とも地方一般財源の総額確保に相当の困難が予想される一方で、歳出面においては、社会保障関係費や公債費等の義務的経費の増加が見込まれるなど、財政環境は一層厳しさを増すものと見込まれております。
 このため、平成19年度当初予算の編成に当たっては、平成17年10月に策定した「中期的な財政運営指針」に基づき、中長期的視点に立って公債費や人件費などの義務的経費等の改革を進めていくとともに、引き続き、財政改革プラン及び青森県行政改革大綱に基づく取組方策を徹底・加速し、県債発行の抑制等により、平成20年度までの元金ベースでのプライマリーバランスの黒字化達成に向けた改善を着実に進めること、及び拡大が見込まれる財源不足額について、平成18年10月の中期財政試算・ローリング以下に圧縮することを目標に掲げ、「改革努力の継続」に努めることとしたところであります。
 また、構造的改革への不断の努力により財政の自由度を高めながら、「施策の選択と重点化」をこれまで以上に徹底いたしました。今、各分野から出てきた新しい芽、若い芽を大きく伸ばし、自主自立の青森県づくりを進めていく上で必要となります「人財」及び「産業・雇用」を最重点分野とし、併せて、人口減少社会において本県の活力を維持・拡大するための「人口減少への対応」、地域経済の一層の活性化を図る「交流人口の拡大」、市町村が進める自主自立の「地域づくり支援」、子ども達、お年寄りをはじめ県民が健やかで安心して暮らせる「命を守る社会の形成」の四つの視点を大切にし、県民皆が生き生きと暮らせる社会「生活創造社会実現への加速」に努めることとしたいと考えております。
 以上の基本的な考え方により、年間総合予算として編成した平成19年度一般会計当初予算は、規模としては、7,170億円、平成18年度当初予算対比51億円、0.7パーセントの減となりました。
 また、様々な歳入環境の変化や義務的経費に係る歳出増圧力がある中で予算編成に当たって掲げた目標を達成するなど、たゆみない改革努力の継続が図られたところであります。
 次に、別資料として、お手元に配布してあります、「平成19年度 青森県重点推進プロジェクト わくわく10」に基づいて、平成19年度における重点事業について説明申し上げたいと思います。
 それでは、平成19年度「青森県重点推進プロジェクト」わくわく10についてご説明いたします。
 「暮らしやすさではどこにも負けない青森県づくり」をめざす生活創造推進プランでは、ご承知のように、5つの社会像、すなわち「人財」「産業・雇用」「健康」「環境」「安全・安心」の5つの社会像を掲げ、これを実現するために、平成20年度までに、10本のプロジェクトを重点的に推進することとしています。
 平成19年度における重点事業の構築に当たっては、引き続き、「人財」の育成と、これまでも力を傾注してきた「産業・雇用対策」を最重点課題ととらえ、メリハリのある事業の構築に努めました。更に、現在の社会経済情勢やこれまでの取組み等を踏まえまして、1点目として、人口減少が続く中にあって地域の活力を維持・拡大させるために、本県人口減少の主な原因である若年層の県外流出を抑制するとともに、人口減少社会に対応しうる青森県づくりなどの「人口減少への対応」、2点目として、本県経済の一層の活性化を図るため、東北新幹線開業による効果の活用や大量退職を迎えます団塊の世代の方々への取組みなどの「交流人口の拡大」、3点目として、地方分権が進む中で自主自立の地域づくりを進めていくための「地域づくり支援」、そして、4点目として、子どもから高齢者まで県民皆様方の安全・安心を確保する「命を守る社会の形成」、この4つの取組視点を重視することで事業構築を進めました。
 平成19年度においては、「結集!青森力」をスローガンとし、306事業、事業費69億円、うち、重点新規事業では108事業、10億円、継続事業も含めると196事業、23億円の予算を計上して、重点推進プロジェクトを推進して参ります。また、平成18年度と同様に、市町村合併を踏まえた地域づくりを支援するために、市町村発元気なあおもりづくり支援事業2億円を計上しております。
 自主自立の青森県づくりを進めるために、これまで進めてきた行財政改革やわくわく10事業をはじめとする各種事業の取組みの種がようやく一つずつ芽吹こうとしていますが、雇用を確保し、安全・安心を確保し、元気な青森づくりを支える人材を育成し、県民の皆様方がこの青森に生まれて良かった、青森に住んで良かったと実感出来るよう、これまで蒔いてきた種を元気に芽吹かせ、着実に育んでいかなければならないと考えます。今こそ、産・学・官・金融、そして県民の皆様と連携・協働して、青森県の諸資源、人財、ネットワークを総動員した自立する力、構想する力、行動する力の、いわば青森県ならではの地域力である「青森力」を結集していくことが私は極めて重要であると考えています。
 「人財育成」「産業・雇用対策」、そして、人口減少下での地域活力の維持・拡大、交流人口の拡大による地域経済の活性化、自主自立の地域づくり、健やかで安心して暮らせる安全・安心な青森県づくりは、どれをとっても、県だけで解決できるものではありません。県民の皆様をはじめとして、市町村、地域の産業・金融、教育関係機関の様々な力を結集することで取り組んで参りたいと考えています。
 それでは、最重点課題と4つの視点に沿って、主な新規事業を私の方から御説明させていただきます。
 まず、「人財」「産業・雇用」分野についてですが、地域に根ざした、世界に通じる、青森にしかない優秀なローカルテクノロジーを活かしたものづくりを重視しながら、環境・エネルギー分野での優位性を活かす——例えばエネルギー産業振興戦略などを踏まえ、より大きな成果をあげるために、本県独自の産業クラスターづくりを進める地域ファンド組成事業や産直野菜工場普及推進モデル事業、ものづくり基盤技術育成事業、高度専門的な人財の育成を進めます攻めの農林水産業「新農業トップランナー育成システム」確立プロジェクト事業、起業家精神・自立心を育む中小企業団体連携元気塾開催支援事業、有為な人財を我々青森県に誘致して参ります青い森の「橋守(はしもり)」育成事業などによりまして、産業を振興するとともにそれを力強く支え、未来の青森県の財産となる人づくりを進めて参ります。また、産業振興の柱の一つである攻めの農林水産業では、安全・安心・高品質な青森産品づくりと、強力な販売戦略を展開します日本一健康な土づくり農業実践事業や「決め手は、青森県産。」販路拡大新展開事業、環境公共による農林水産基盤づくりを進めますあおもり環境公共推進事業などを進めていきたいと思います。
 このように、人財育成、産業・雇用対策に集中投資する一方で、中長期的な次世代教育の視点から、授業力アップ推進事業や未来を切り拓く「逞しい高校生」育成事業、地域と育む子どもイキイキ事業などにより、「学力」「豊かな人間性」「チャレンジする心」「地域の教育力」を育成し、「自立する人づくり」を進めたいと思います。また、家庭、学校、地域、企業及び行政とが一層の連携と協力を深め、一体となって、人材を育成するため、「人づくり戦略」の策定を進めたいと思います。
 続いて視点の1、「人口減少への対応」についてです。
 我が国の総人口は減少に転じまして、本県人口も減少傾向が続き、産業の衰退や地域コミュニティの弱体化など、様々な問題が懸念されます。本県の地域活力を維持・拡大するためには、人口減少を抑制し、人口を定着させるための取組みを進めるとともに、人口減少社会へ対応しうる青森県づくりを進めることが重要であると考えています。
 本県の人口減少の主な原因である若年層の県外流出を抑制するため、第一に、先に説明した産業振興策により良質な雇用の場を確保するとともに、若者の県内の職場への定着を図るところの「がんばれ新社会人」定着促進事業や、地域への愛着心を醸成する私たちのふるさと理解推進事業等を進め、若年層の青森県への定着を図りたいと思います。また、本県において安心して子育てを出来るようにいたします、あおもり子育て応援わくわく店(てん)事業や青い森のほほえみプロデュース事業(庁内ベンチャー事業)などの取組みを進めます。
 一方、人口減少を悲観的にだけとらえず、前向きかつ積極的に、私たちの青森県が活力を失わず、暮らしやすさのトップランナーとなるよう、県民ぐるみで取組みを進めていくことが重要であると考えます。このため、本県における人口減少下の地域社会の姿(モデル)の検討とともに、団塊世代等の取り込みや民間との協働・共生の視点からの取組みを進めたいと思います。こうした取組みを進めることで、本県の地域活力の維持・拡大を図ります。
 続いて、視点の2、「交流人口の拡大」についてです。
 新幹線の開業や団塊の世代の大量退職に伴い、ヒト・モノ・カネや情報などの流動性が高まるものと期待されています。この好機を的確につかみ、交流人口の拡大を図り、本県経済の活性化につなげていくため、団塊世代対策として、団塊世代生活創造サポートシステム構築事業など、団塊世代の方々の生き方に対応するための取組みなどを進め、「交流」・「二地域居住」・「定住」の拡大を図っていきたいと考えます。また、新幹線開業効果の活用については、新幹線開業のインパクトを県下全域の産業振興や地域経済の活性化につなげる新幹線開業対策「その先のあおもり」リゾート創出事業や新幹線開業を平成14年の八戸に継ぐ第二の開業ととらえた三八地域交流人口拡大資源活用検討調査などを進めます。さらに、本県の魅力の向上を図るところの、縄文遺跡群の世界遺産暫定リスト登載に向けた取組みや、こうした取組みを効果的に進めていくため、「情報力観光」IT活用推進事業など情報発信の強化に取り組んで参ります。このような諸取組みを進め、あおもりツーリズムを推進し、地域経済の活性化を図って参ります。
 視点の3、「地域づくり支援」についてです。
 市町村とともに地域づくりを進めていくため、現在設置されていない地域にも地域県民局を設置し、県内全域をカバーするとともに、現在地域県民局が所掌していない産業・雇用・観光をはじめとする業務も担当させ、地域における県の総合窓口としての役割を担うこといたしました。また、中南、三八、下北の3つの地域県民局において、地域活性化協議会を組織し、地域の様々な声を伺いながらとりまとめた提言の具体化を図って参ります。また、市町村等への補助制度として、18年度に新設した、市町村発元気なあおもりづくり支援事業(2億円)について、補助金執行の権限を地域県民局長に委譲し、より現場に近いところで執行できるようにします。また、自主的な市町村合併を更に推進していくため、18年10月に、県単独の新たな交付金制度を創設しております。これらの支援策と引き続き実施する合併市町村への人的支援によりまして、市町村による自主自立の地域づくりをこれまで以上に支援して参ります。
 視点の4、「命を守る社会の形成」についてです。
 県内外において様々な事故・事件や災害が発生している中にあって、本県の未来を担う子どもたちをはじめとして、県民が健やかで安心して暮らせる安全・安心な社会を形成することが極めて重要になっています。このため、安全・安心まちづくり事業など、子どもの安全・安心の確保、犯罪のない安全・安心なまちづくりのための取組みを進めて参ります。また、年々減少はしてきておりますものの尊い命が失われていることは誠に残念であります。そこで、自殺の予防について、自殺対策フォローアップ事業など、様々な分野での総合的な対策を進めるとともに、医療の充実を図るため、医師・看護師定着効果向上対策事業など医師や看護師の確保定着に向けた取組みを進めるほか、救急救命搬送の高度化を進めます。さらに、あおもり食育大作戦(庁内ベンチャー事業)など、生涯にわたって健康で活力に満ちた「くらし」の実現をめざし、県民の健康づくりを進めて参ります。
 以上、平成19年度は、「人財育成」と「産業・雇用対策」を最重点課題ととらえ、「人口減少への対応」「交流人口の拡大」「地域づくり支援」「命を守る社会の形成」の4つの視点に留意しながら、産・学・官・金融、そして県民の皆様方との連携・協働のうえに、青森県が持つ多様で恵まれた諸資源、人財、ネットワークを総動員した「青森力」を結集し、生活創造社会の実現に向けて取り組んで参ります。

○記者
 今回の予算で、知事の言葉で、キャッチフレーズがあったら教えてください。

○知事
 「結集!青森力」です。

○記者
 「結集!青森力」ですと一般名詞ではないので、記事になりにくいのですが。「何とか予算」みたいなものはありますか。

○知事
 青森力を結集し、未来に向かい、共に歩んでいく。それもちょっと。急にキャッチコピーを考えてもいい結果、考えが出ないので。

○記者
 去年は非常に分かり易く、「青森が元気になる」といった感じで、今年も県民の皆様の胸にすっと入っていくような言葉はありませんでしょうか。

○知事
 では、会見終了後20分ぐらい時間を頂いて。業界にいた私としては、コピーは大事なものですから。当て字も含めて間違えないように自分で言わないとと思いますので、ちょっと考えさせてください。

○記者
 今回、わくわく10について伺った訳ですが、知事として今回悩まれたところ、ご苦労された点があれば県民の皆様にご紹介ください。

○知事
 私としても人財育成、産業・雇用ということをずっとテーマとしてきました。なかでも、チャレンジャーを増やすというか、プレイヤーを増やす、わかりやすく言えば、起業・創業を含めて、自主自立、ここで何かしてみようという人財育成に向けての各年代向けの施策。また、産業の部分では、なかなか面白いローカルテクノロジーが出てきて、それを基にあおもり型産業が芽吹きつつあると。これをいかにして例のファンドの面でもそうですし、具体のコラボレーションの面でもそうですし、どう推し進めていくかということを考えた、私だけではなく県庁のチームワークを総動員、まさに結集して、青森県庁力で対応したという思いがあります。

○記者
 この予算について、明日、県民の皆さんが朝刊やテレビで見ると思うのですが、知事が一番伝えたいこと、御理解いただきたいことをお願いします。

○知事
 分野分野になりますと、今日、自民党総会でも細かく分かれすぎているのではないかとのお話もありましたが、いわゆるわくわく10に対し具体の予算を配置して、徐々にではありますけれども確実に、青森県の元気を回復する方向に向かっているということは申し上げたいと思います。

○記者
 普通建設事業費が、知事就任以来初めてプラスになっていますが、県境産廃の本格撤去など一時的なものも含まれていると思いますが、実質的にはマイナス 4.9%の圧縮分としてみても過去一番小さい形としての圧縮——この辺りに重点的に腐心されたのではないのかなと思うのですが、知事はどうお考えですか。

○知事
 今回、新幹線に枠が付きました。なおかつ、ご存じのとおり県境の不法投棄対策事業が本格撤去ということでこれもまた大幅にということで。この二つを除きますと実質4.9%の減となっていますし、これまでも財政改革プランに基づいて、きちんきちんと進めてきたわけでございます、全体の投資についてのあるべき方向に。しかし、国の方の骨太2006でも抑制ということが言われているわけですけれども、我々も投資規模の適正化に今後とも段階的に取り組んでいく必要があると思っております。

○記者
 この点について、先ほどの二つめの柱の雇用の確保ということで、本県は公共事業に頼っている部分が大きいものですから、知事は12月にギアチェンジということで過去の予算編成に比べると、プライマリーバランスも見えてきたので、知事としては少し、削減部分をゆるめたのかなと思うのですが、その点はどうですか。

○知事
 財政改革プランに則って来てますから、そういうことはないと御理解頂ければと思いますし、今お話ししたとおり、大物二つを除けば今年も実質4.9%減ですから、非常に厳しいものがあると思います。これまで本県を支えてきた産業であります公共関連の部分、これはこれで大切でありますし、繋がっていない道路のネットワークであるとか上下水道等生活関連は、今後とも投資の必要な部分は必要だと思っております。しかしながら、非常に苦しい中でも選択集中して、新しい産業——得意分野であります攻めの農林水産業やあおもりツーリズムといった観光の部分を進めてきましたけれども、いわゆるものづくり関連産業をなんとしてでも本県においても少しずつではありますけれども、小さいものから、芽から育てていくというところに我々としては集中している部分があるということが肝心だと思います。

○記者
 今回の予算は、知事就任一期目の締めくくりとなる予算編成だったんですけれども、この四年間の財政運営を簡単に振り返って、思うところがありましたらお願いします。

○知事
 常に心掛けてきたのは、自分自身が責任を持って編成する予算の中においては少なくとも入るものと出るもの——元利ベースのプライマリーバランスの確保ということに苦労、苦心してきたという思いがあります。またこれに応えるべく各部局とも、我々の担当する時代において借財を増やしていくという方向性を決して作らないという絶対的方針には皆それぞれに努力、工夫、知恵も出してくれたと感じております。

○記者
 知事は二期目に向けて、リセットからクリエイトとお話しされますけれども、今回の予算で人財と産業雇用の中にクリエイトが入っていると思うのですが、特にこの辺がクリエイトというものが何かありますか。

○知事
 それぞれ個々を見ていただいてということになるんですけれども、農業に例えれば、作物を植える場合でも水はどうする、土の状態はどうだとかそういうのを一つずつ見分けながら、この部分にはこの種を植えるとやりますよね。人づくりというのは本当に時間のかかるものです。だとしても、これが最終的に本県の力をさらに強めていくものだと思いますけれども、そのための種々施策が予算として組み込めるようになったということとか、ものづくり関連にしても、これから一番期待すべくは民間の方々との協働ですけれども、起業創業ファンド的な部分も本県として段取りが出来たこと、あるいは、あおもり型産業ということで提案してきた静脈産業、生命関連産業の分野でも民間の方々、金融機関も研究機関も含めて協議会が立ち上がってきたとかそういうのが出来てきた。それを後押しするような予算を組めたということだと思います。

○記者
 青森県すこやか福祉事業団の民営化のことで教えていただきたいんですが、数年間で基金を造成するということで平成19年度の予算額が示されたんですが、全体像がよく見えないなという印象がございます。これまで青森県では年間数億円ずつ拠出してきたのが民営化ということで、これからはそういうのが無くなる訳なんですけれども、これから基金造成のために、展望としては何年ぐらい、いくらぐらい拠出するお考えなのか、もし決まっていたら教えてください。

○知事
 もちろんこれからまた議会等のご審議があるわけですが、今、お話しできる段階として、後でまた担当部長からもお話しさせますけれども、青森県すこやか福祉事業団の民営化及び安生園、八甲学園、なつどまりの民間移譲に当たっては、施設利用者の処遇を維持するために自立経営に必要な資金を事業団の基金として確保することとし、その原資を平成19年度からの5カ年で分割して補助することといたしました。造成する基金の総額は約10億8,500万円となる予定であります。詳細に関しましては担当部長から説明をさせます。また、安生園、八甲学園、なつどまりの土地及び建物につきましては社会福祉法人の基本財産として所有する必要がありますことから、事業団に無償譲渡することとしております。細かい点は部長から。

○健康福祉部長
 今知事が申しました造成する基金の内容についてでございますけれども、まず、施設整備費用について。これは平成23年度までに必要となる安生園、八甲学園、なつどまり各施設の大規模な修繕の費用、老朽化の著しいなつどまりの居住環境を改善するために居住棟を改築するための費用などとして計約7億 3,500万円。
 次に、修繕等引当分について。これは大規模修繕の対象とはならない程度の修繕及び備品の更新のために必要な額として2億円。
 次に、退職手当引当分について。これは平成18年度末現在の退職手当の額と共済制度との差額分を支給するために必要とされる退職手当引当金相当分として約1億5,000万円という内訳でございます。

○記者
 財政の話に戻るのですが、今回も財源不足額が編成途中で増えたりして大変だったと思うんですけれども、それでもいろんな予算を種々組めるようになったということで、知事として財政運営に、この四年間で手応えを感じたのか、やっていけるとお思いになったのか、その辺りの所感をお願いします。

○知事
 いつぞや、予算を組んだら二百何十億円(地方交付税総額の大幅削減)というのがありました。常に緊張感を持って、どういう歳入状況にあるのかという情報リサーチがますます大事だと思いました。常に情報収集しながら、県民の皆様と共にやっていきましょうという編成のための努力をしていくということ、常に予断を許さないというのが、あれ以来、染み付いてしまいました。今年もいろいろありました。

○記者
 それでは、なんとかなるもんだという感じで……。

○知事
 そんなことはない。是非、そんなふうな心境になってみたいものです。

○記者
 それでは、ハコ物が建設凍結状態ですけれども、二期目に向けて解除とかは。

○知事
 お約束したことを着々淡々とやっている状況と思ってください。

○記者
 プライマリーバランスについて、就任当時の四百何十億円という赤字のところから11億円のマイナスまで回復したということについて感慨みたいなものがあれば。また、とはいえ基金の残高がどんどん減っていく中で今後の財政の展望を伺いたいと思います。

○知事
 まさに不退転の決意、強い意思を持って——これは、私だけではなくて、財政当局だけではなくて県庁全体としてその思いでやってきたということであり、今後ともその気持ちを決して失わずにいくというだけです。

○記者
 プライマリーバランスの改善についてどう考えていますか。

○知事
 毎年改善していますよ。

○記者
 選挙の前に、黒字化も見えるぐらいにこぎ着けたということについてはどうですか。

○知事
 選挙の前だからということではなくて、きちんと計画を立てて、途中の地財大ショックがあったことも含めて、県民の皆様へ延べ千回以上の説明会もやった大変な経緯、県庁を挙げての努力でここまで来た。一歩一歩、一つ一つの努力でありました。

○記者
 農林水産部の予算について。
 知事が提案されている環境公共について、初めて予算化されましたけれども、環境公共に対する知事のお考えを改めてお示しいただきたいのと、その推進事業を通してどのような成果を期待されているのか2点についてお願いします。

○知事
 かいつまんだ話で。我々青森県は全国に誇るべき豊かな自然と文化を有しており、農林水産業が営まれることによって形作られてきた本県固有の美しい風景や伝統文化を健全な形で次世代に引き継がなければいけないと思います。また、食料供給県として健全な水循環の再生・保全を進めて、安全・安心な食料生産の仕組みをきちんと整えておかなければいけないと思います、水づくりは土づくりと繋がってきますから。
 さらに、厳しい財政環境にあったとしても、そういったことに必要な社会基盤の整備を着実に推進していかなければならないと考えているわけですけれども、このため私は、農林水産業の持続的発展により本県が誇るこういった環境が守られるという基本的な考えのもとで、これらを一体的に支える公共投資の重要性を環境公共という言葉を用いて、広く一般にPRするセミナー等も開催しました。
 それと共に従来の投資効率や経済合理性を優先する仕組みということをも重要視しながらも、しかしながら、新しい公共事業という言葉で言うと誤解されるかも知れませんが、新しい公共投資の在り方を模索しているところであります。例えば今までホタテ貝殻の有効活用など資源循環にも取り組んできましたし、間伐材を使っての炭であるとかいろいろやってきましたけれども、さらに地域経済や雇用ということを考えれば、地元企業をいかに活用するかというのが重要な課題であります。地場の資源、地場の技術、地場の人材というものをうまく活用しながら持続可能で地域振興に繋がる国土づくり、社会システムづくりを進めていきたいという提案を国に対しても続けてきたわけであります。
 そこでその具体策として、平成19年度の予算案では、県民本位の新しい公共的投資の実施の仕組みを構築するために学識経験者等で構成します、環境公共推進委員会というものを立ち上げまして、今までの取組みや全国的な状況というものを整理して事業実施の各段階における地域住民、企業、行政の新たな役割を検討した上で具体的手法や数値目標等について検討していくこととしております。あるところに投書したものがありますのでお渡ししたいと思います。

○記者
 頂いております。

○知事
 そうですか。失礼しました。

○記者
 本県と同じような状況にある他県等に、知事の考えに賛同してくれという呼びかけはお考えですか。

○知事
 北海道・北東北知事サミットで、そのようなお話しは少しさせていただいたことはあるのですが、なかなかまだ。特に国の方、財務省等にも御理解いただかなければならないという思いはあります。

○記者
 元金ベースのプライマリーバランスが、再来年度には黒字化できるという見通しがついたというお話しを伺ったんですが、それにしてもやはり、県債残高が1兆数千億円もあるという状態で、それを解消していくには県民所得を上げることによって県税を上げていくというのはあるのですが、それを待っていてもということで、やはり新たな財源確保ということでの新税の導入などを今検討なさっているのかどうか、新年度以降にその検討をなさるのかどうかということをお知らせ下さい。

○知事
 基本的な考え方というものを申し上げる必要があるのかと思うのですが。
 我々地方公共団体というものは、公という立場でございます。交付税というものもありますが、県民の皆様からの税をどのように運用していくかが一つの仕事であるわけですが、どの場面においても我々が大切なことは、少なくとも私自身が知事として心掛けてきたことは、自分の責任下において、少なくともこれ以上の借財が増える状態にしないための元利ベースのプライマリーバランスの黒字化ということに徹底してきたわけです。
 その一方で大切なことは、だからこそ人財育成、産業・雇用。何を申し上げたいかというと、例えばどの商売をしていても経営が苦しいときには赤字を増やさないということをまず心掛けます。そしてその一方で、いかにして収入を増やしていくかということになるわけですけれども、我々行政でございますから、県民の皆様方の暮らしというものも考えながら、世の中を回していかなければならない。
 大変に苦しくても地道に起業創業あるいは誘致や増設も含まれますけれども、不足していた部分をのばしていくことによって基礎的収入を上げていくことが非常に重要なことだと思います。だからこそ徹底投資をしているわけです。
 得意分野である農林水産業で外貨、国内からという意味も含めてですが、観光の部分とか早めにスタートできるものはスタートさせ、ご案内のとおり様々な量販店等販路を確保することによって、売れれば県民の皆様の収入となるわけですから、そういう様々な手を尽くしているということです。
 産業を振興していくこと、農林水産業もそうですし、観光もそうですけれども、得意分野から始めて、これまで伸ばし切れていないところを伸ばしていくということが、どんなに苦しくても王道であると思っております。

○記者
 遠い道のりであっても産業振興であると。急に新税を課すということは考えていないと。

○知事
 めちゃくちゃ苦しいときは、堂々と王道でいくべきだと考えております。それがわくわく10であるということです。

○記者
 産業政策についてお伺いしたいんですけれども、主要施策を拝見させていただいたときに、中国とビジネスですとか建設業の異分野進出とかファンドとかチャレンジする企業を県としてより支援していこうという姿勢が強くなったなという印象を受けるんですが、知事として今後の産業政策を重点としているという理解でよろしいでしょうか。

○知事
 予算上のキャッチフレーズが付く部分では、そういう起業・創業・チャレンジャーというところが強く見えるかも知れませんが、先ほどの環境公共もそうですが、水、土、そして今新しく人づくりの農業関連も出していますけれども、そういった基礎的な部分をきちっと守っていくということについても、かなり予算で意を用いている。基礎的なものを守ってこそ、チャレンジ分野に投資できるということですので、そのバランスは非常に苦しみながらも、それぞれ部局ごとに揃えてあると私は思っております。しかしながら、本県において今後大切なことは、チャレンジしていく方々にいかに産・学・官・金融と言っておりますけれども、そういった形での支援の仕組みが出来ていくかということだと思います。そういう点ではご指摘ありがとうございます。

○記者
 今回の説明にもあったんですけれども、三八地域の検討委員会を設置ということと、私立学校の補助金の補助率の確保——前年度と同じにしたということなんですが、それらは、自民党との政策協定の内容、自民党県連の要望を踏まえた形だとは思うのですが、自民党県連のアドバイスを活かした予算配分と考えてもよろしいでしょうか。

○知事
 県庁内でも様々な検討をしているわけでもありますし、前半の部分は県民局単位で様々検討会が立ち上がってくる中で、いわゆる第二開業的な部分に対してどのような仕組み作りが重要かということが出てきたということだと思います。後半部分については、先生方の団塊の部分があり、退職財団に係る予算についても必要な部分には対応するという行政の在り方としては適切だと思っております。その場合において、様々な観点から様々な判断というものが出てくると。

−以上−

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