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臨時会見/六ヶ所再処理工場アクティブ試験について

会見日時:平成18年8月11日(金) 16:50 〜 17:05
会見場所:第三応接室
会見者 :三村知事

○知事
 日本原燃株式会社の六ケ所再処理施設に関して、去る8月7日、同社から原子力安全・保安院に対して「再処理施設における作業員の内部被ばくに係る教育訓練を含めた是正措置について」の報告がなされました。

 このことについて、同日、兒島社長から私に対して、

  • 放射性物質の体内取り込みに係わるソフト面の対策として、協力会社を含めた分析員・作業管理者を対象とした汚染トラブルなどに関する教育及び技術・技能認定試験を実施し、今回新たに追加した実技試験において、グローブボックス等を用いた分析作業や放射線管理に関するサーベイ等が確実にできることを確認した。
  • 第2ステップ開始前までに措置を終了するとしていた不適合については、8月4日までに処置を完了した。特に、体内取り込みに係わるハード面の対策として、「放射能分析用フードの設置」、「測定器の改良」、「試料皿運搬容器の導入」について、7月末までに完了し、運用に入っている。
  • 今後とも、第1ステップまでの経験を活かし、半面マスクの着用範囲を明確にすることで放射性物質の汚染や内部被ばく防止はもちろんのこと、協力会社を含めたヒューマンエラー防止小集団活動を精力的に実施し、緊張感を持って慎重に作業を進めていく。

との報告がありました。

 また、同日、原子力安全・保安院薦田審議官から私に対して、

  • 日本原燃株式会社の教育訓練の内容について確認を行うとともに、現地の保安検査官が教育訓練に立ち会い、今回の教育訓練がより実効性のあるものであり、確実に実行されたことを確認した。
  • 技術・技能認定委員会に立会い、分析員として十分な知識を有し、かつ十分な技能を有している者が技術・技能認定試験に合格し、認定されていることを確認した。
  • 同社が第2ステップまでに是正措置を終了するとしている不適合等について、現地の保安検査官により是正措置が全て終了したことを確認した。特に、放射能分析用フードについては、使用前検査の際に、据付及び性能を確認した。
  • 第2ステップ開始前までに行うとしていた教育訓練、不適合等の是正措置が全て終了し、その結果を保安検査官の立会い等により確認できたことから、第2ステップへの移行に支障はないと考える。
  • 日本原燃株式会社における保安活動、品質保証体制の向上等について、第2ステップ開始以降においても、六ケ所再処理施設総点検に関する検討会に諮りつつ、確認していく。

との報告があり、今後とも、事業者に対し、責任をもってより一層厳正な安全規制・指導を行うとともに、協力会社を含めた技術・技能認定制度について、厳しく確認し、その状況を県等に節目、節目で報告することとしています。

 一方、県といたしましても、県民の安全と安心に重点を置いた対応の観点から、「半面マスクの着用状況」及び「ヒューマンエラー防止小集団活動の状況」などについて、8月9日、原子力センター所長から、直接、確認しました。
 また、同日、私が要請いたしました「協力会社を含めた全社的な安全文化の醸成」に係る実効性の向上を図るため、現地において、兒島社長と協力会社社長等に相互連携の強化などについて改めて要請するとともに、分析作業に従事している社員と意見交換をいたしました。
 さらに、本日、作業安全等について専門的知見を得るため、「原子力施設に関する技術顧問」から、現場における作業安全の実施状況などについて、専門的な立場から報告を受けた次第です。

 県として、県民の安全・安心の確保のため、これらひとつひとつ慎重に確認したうえで、先程、私から兒島社長に対し、第2ステップに入る準備は完了しているとのことであるが、試験に当たっては、協力会社と一体となってトラブルの未然防止や運転要員等の技術的能力の向上を図るよう改めて要請いたしました。
 また、県としても、長期研修計画に基づき確実に教育が実施されていることを確認するため、日本原燃株式会社に対しまして、アクティブ試験期間中、四半期毎に長期研修計画の実施状況を県に報告するよう併せて、求めた次第です。
 また、先程報告のあった原子力施設に関する技術顧問からの意見等については、今後の日本原燃株式会社の作業安全の向上を図るうえからも日本原燃株式会社に伝達したいという旨を兒島社長にお話した次第であります。

 私として、安全・安心の確保のため、これら、ひとつひとつ慎重に確認いたしましたところ、第2ステップに入ることを理解をいたしました。
 県としては、今後とも、国及び事業者の対応状況を厳しく見極めつつ、安全確保を第一義に慎重に対応して参りたいと存じます。
 以上ご報告といたします。

○記者
 質問三項目ほどさせていただきますので、よろしくお願いします。まず第2ステップ入りへの理解を下すにあたって、一番の決め手は何であるかということについてお願いします。第2ステップに入るにあたって、原燃側へ改めて要望すること、これが二点目。本日の技術顧問の意見についてはどのような点が参考になったかについてお願いいたします。

○知事
 第一点目からですけれども、一番の決め手はと言われるとちょっと。やはりなんといっても、薦田審議官からの国としての、なんといっても法的に規制しているのは国でございますから、その話がございました。そしてまた、私自身としても、私どものセンターの所長から、要するにこちらからの要請についてきちんと対応しているということを我々のチームが確認してきたわけですけれども、その報告があり、なおかつそれでも自分自身としても協力会社間との相互連携、このことについての要請をし、それに応えるという強い思いをいただいたわけです。
 そして、皆さんには現地でかなりお待たせしたわけですけども、いわゆる分析員の方々、実際に現場で仕事をしている方々とお話をさせていただきました。出席された十数名ひとり一人といろんなことについてやりとりしたわけですけども、非常に安全に向けての意識の高さ、そして品質保証体制を自分たちで作り上げていこうという創意工夫とか、今日顧問団からも話があったわけですけども、意識を高めていかなければいけないんだということについての、非常に安全、品質保証、そして自分達が自分達のために益々この事業をより良いものにしていくという強い意識というんですか、そういったこと等がございました。
 しかし、一つと言われれば国が法的規制を行っているからということになりますけれども、私としては県民の安全・安心という思いがありますので、国は国としての判断があったわけですけども、自分としてもそういったことがひとつの理解のために重要であったと考えている次第であります。
 もちろん重ねて言うのであれば、技術顧問団、本当のプロの方々のお話でございましたけれども、それぞれから知見が得られた中において、彼らとしても理解し得るというお話があったことは、先程一緒に話を聞いてくださったので繰り返しになりますので言いませんけども。ということでございます。

 また、改めて要望・要請したことは、今話をしたということなんですが。具体のあれこれというのは先程話しましたので略しますけれども、やはり私どもは、安全なくして安心なくして原子力なしということを、先日六ケ所の方でも話をしてきたわけなんですけども、強く要請するとすれば兒島社長以下、そしてまた協力会社の社長含め、そしていろんな社員の方々含め、協力会社の方々を含めて、安全ということに、なによりも安全ということに立脚した仕事を進めていただきたい。その積み重ねが安心ということに至っていくんだということを強く自覚していただきたいということでございます。具体の要請したことは先程話をしたので省かせていただきます。

 それと技術顧問団につきましては、今日、まさにこれも時間を延長させていただいたわけですけども、自分とすれば最も、山之内先生たちがお話しておりましたけども、ゼロコンタミネーション、要するに汚染ゼロというための仕組み作りはまずフィロソフィーから、思想から入り、そしてまた具体に起こさないためにはどうあるべきかということ等のお話がありました。
 私とすれば、非常に第一線であった方々、今でもその意味では第一線だと思いますけども、この分野の第一線の方から、そういう何よりも発想がそこにあるということを頂いたことは大事なことだと思っています。また、非常に具体の細かい話でありまして、ここにも自分でまとめたメモを持っているんですけども、危険予知活動についての重要性の話ですとか、自分たちが14件、東海の話ですけども、9件が内部被ばく、5件がおそれだけで実際になかったとか、そういう話も含めて、そういった実態の経験の中で、まさに管理職の方々が現場を把握して、管理職を含め皆が適切な改善ができる職場風土を作るということを経験の元で語られたことも非常に大事なことでしたし、小集団活動のことの重要性も、私どももそれは訴えましたけども、そしてまた危険予知活動のことについてもお話いただきました。そのようなこと、あるいはより具体に、流れという話がございましたね。流れがいろいろあると。その流れの上流で様々な異常事態発生の芽を摘むんだという創意工夫のあり方についての提案もありました。多重バリアを張りながらも常に上流で、先般も具体の、廊下の話とかいろいろありましたけども、そういったこと等も非常に参考になったと思っております。

 あんまり繰り返し言うのもなんですけども、何よりも彼らの中にあるところの、分かりやすくですね、私たちにも具体に自分たちがこういう事象があったトラブルがあった、だからこそ分かりやすくお話していただき、それを改めるために、具体のいろんな話を出していただいたということが大変に重要なことかなと思っておりました。
 また、これも山之内先生でありますけども、いわゆる社長以下、この原子力ということについて、素直に原子力に対しての県民感情というものを拾い上げて自らを律しながら、自らいろんな場面場面において理解していただくという努力を求めるという話も非常に私としては感じるところがございましたし、それに具体の部分にすれば、いかにして各工程の核燃料物質を設備の中に閉じこめて運転していくかという意識を常に持つことが大事だということ。我々が常に安全というものに立脚した感性と意識を持ってもらいたいということを自分自身も話してきましたけれども、専門家からもそういう話をいただいたことは重要なことであったと思っております。

 あと作業員全体の、放射性物質が原子力発電所では全ては密封の形ですけれども、いわゆる分析とかを含めて、どうしても持ち出すというと誤解があるかもしれないが、負圧のないところに出す場合には操作単位ごとにチェックするとか、そういったことを作業員、従事者全体で繰り返し体感して欲しいと。体感する、要するに体で覚えてもらいたいと。負圧のないところへ持って次の場所へ行くということは、大変に重要なことだと体感して欲しいという、非常に具体の話もあったことは重要なことかなと思っておりました。
 繰り返しになりますけども、放射線、この分野の従事者の認識とこれを構成する管理体制ということを、したがってきっちりとしなければならないとの話もございましたが、そのようなことを五人の先生方それぞれご自身が直接にこの分野で仕事をしてきた方ですので、そういった内容等の話があったことは非常に重要なことだと考えております。とりとめなく話をさせていただきましたが、それぞれ5人分お話をさせていただきました。

○記者
 知事が理解という言葉を使ったように法的には、県を待つということはなかったかと思いますが、原燃さんが保安院の決定からこれまで第2ステップに入っていないということをどのように理解していますか。

○知事
 まさに今日、顧問団からも話しがあったんですけども、お互いこの青森においてこういった関連の仕事を進めていくという中において、法的には国ということになり、また事業者の判断ということになる部分なわけですけれども、やはり県民の安全・安心に対して、我々県のみならず、議会も含めまして、様々に今回県民の皆さんからも、今日おいでのメディアの皆さんからもご指摘等あったわけです。そういった様々な点できちんと勘案すべきことを事業者としてきちんと考えているということだと思います。またそうあるべきだと思っています。

○記者
 今回行われた作業員との意見交換などについては、保安院の方針を待たずしても、県としてもできたと思うんですけども、今後第2ステップ以降、ホールドポイントあるんですけども、かかわりようについては、県として技術顧問団からの意見などをどのように考えていますか。

○知事
 当然技術顧問団ですから、必要な時に我々としてはご意見を伺っていく、そして今日皆さん方もお聞きいただいたと思うんですが、非常に客観的に、そして自らの体験・経験、はっきり言うとトラブル類も含めてお話をいただけるわけでございますから、非常に重要なことだと思います。必要に応じて話しを聞いていきたいと思います。

○記者
 今回非常に大事なことだと思うんですけども、内部被ばくのこともあったということで、作業員の教育状況についてですね、四半期に一回長期研修計画を提出させてみたいということを盛り込んだ意図について改めてお知らせください。

○知事
 今おっしゃったとおり、常に品質保証体制、プラス実際の運転段階に入る訳ですから、作業している方々の、今日顧問団からも話しがあったとおり、技術能力が高まっていくということが非常に重要ですね。したがって、そういった方々により、ゼロ汚染という方向に行くためには、要は安全をきちんとしていくためには、常に前に向かって品質を上げていくために学ぶという姿勢を我々として示してもらうということが重要だと思います。

−以上−

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