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知事記者会見

知事記者会見(定例)/令和7年4月25日/庁議報告ほか

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知事記者会見録

会見日時:令和7年4月25日金曜日 11時00分~12時10分
会見場所:県庁西棟889会議室
会見者:宮下知事

○幹事社
 ただ今から定例記者会見を始めます。
 まずは知事から報告をお願いします。

○知事
【令和6年度青森空港利用状況について】
 令和6年度の青森空港の利用状況について、全体の数字が確定いたしましたのでご報告申し上げます。
 令和6年度は利用者約125万9千人ということで、コロナ禍前の水準を上回る形になりました。
 その内訳ですが、国内線が約120万2千人、国際線が約5万7千人となっております。
 前年度と比較して、国内線では東京、札幌、神戸への路線が特に好調となっており、青森、東京線が約55万9千人で前年度比6.5%の増、青森、札幌線が約18万2千人で前年度比8.4%の増、青森、神戸線が約4万人で前年度比19.8%の増となりました。
 国際線については、青森、ソウル線が令和6年1月、青森、台北線が同年10月にそれぞれ定期便の運航を再開しており、前年度との比較はできませんが、搭乗率は青森、ソウル線で72.4%、青森、台北線で搭乗率86.5%と好調な数字となっております。
 今後も、インバウンド等の観光需要が期待されます。青森空港は青森県全体の空の玄関口となっておりますので、さらなる利用促進に向け、関係者と協力しながら取り組んでいきます。

【クマ・山火事・山菜採り等遭難事故に関する注意喚起について】
 いよいよゴールデンウィーク、行楽シーズンになりました。山に入る方々が増えてくる時期です。そうした中で改めて、山に関する注意喚起をさせていただきます。
 まずクマについてですが、令和6年のクマ出没件数は、平年の件数を上回っていたほか、残念ながら死亡事案も発生しております。令和6年秋の結実状況調査によりますと、クマのエサとなるブナの実が豊作であり、クマの栄養状態が良くなることで出産が増え、子グマのエサを求める母グマの行動範囲が広がりますので、4月4日付けで全県的にツキノワグマ出没注意報を発表いたしました。山に向かう方々は、なお一層警戒を強めてください。
 山火事についてですが、山火事はひとたび発生すると非常に大きな被害を受けることになります。最近では、岩手県大船渡市で発生し、自衛隊の災害派遣を要しましたし、本県からも多くの消防署員を派遣しました。こうした大規模な林野火災が全国的に多発しております。
 さらに令和6年は山菜採り等の遭難事故で、死亡者が2名発生しております。毎年のように死亡者・行方不明者が発生しており、特に60代以上の高齢者が多くなっております。自分だけは大丈夫だと思わずに、備えをしてください。
 具体的な対策として、まず、ツキノワグマについては遭遇しないことが一番大事です。出没情報を県ホームページや市町村の情報で確認する。単独ではなく複数で行動する。そして高い音を出しながら歩くということも大事です。
 クマは早朝や夕方に活動が活発になります。また霧が深い場合には、クマが近くに来るまで気付かないことも多いので、霧の深い日には山に入らない。水流の激しい沢や悪天候の日は要注意。クマの足跡や糞などがあったら引き返す。
 もし出会ってしまったら、遠くにいる場合は、基本的にクマは臆病な性格ですので、隠れたり、逃げる場合が多いので、逃げるまで少し待ってください。クマが気付いていないようでしたら、物音を立てて立ち去ってください。大声を出したり急な動きをすると、相手もびっくりしてどんな行動をするか分からないので、遠くにいる場合は落ち着いて行動してください。
 一番危ないのが、突然クマに出会った場合です。落ち着いてクマとの距離をとるとクマが立ち去る場合があります。背中を見せると追いかけてくる習性があるので、クマを見ながらゆっくり後退してください。
 子グマはかわいいですが、母グマが必ず近くにいますので、子グマにも近づかないようにしてください。
 YouTubeチャンネル「青森県知事の新時代ちゃんねるA-Tube」にて、クマ対策の動画を制作しました。近日中に公開しますので、ぜひそちらもご確認ください。
 クマを寄せ付けないための対策ですが、クマは臆病な動物なので、草むらを通って移動します。そのため、草刈りをして通り道を分断すると、クマが市街地に出て来にくくなります。川沿いのやぶを取り除くことも同様です。身の周りにそのような場所があって、ご自身で取り除くことができる場合には取り除いてください。また、市町村はこういうところに注意して、クマを市街地に寄せ付けないような対応をしていただきたいと考えています。
 また、クマは鼻がすごく利く動物なので、農作物や家庭用のごみが放置されていると、すぐそこに近づきます。さらに、夏頃になるとハチの巣が出てきて、クマは蜂蜜が大好きですからハチの巣にも寄ってきます。キャンプ場や森林にごみを放置すると、それがクマを寄せ付ける原因にもなりますので、そちらも注意してください。
 続いて山火事です。山火事はひとたび発生すると、雨が降るまでなかなか鎮圧、消火できません。主な原因は、タバコの不始末やたき火が非常に多いので、これは絶対止めてください。また、林業や畑作では新しい土を作るために木や草を燃やすことを火入れと言って、こちらも山火事の大きな原因になっています。火入れは市町村の許可制になっていますので、限定された場所で、適切な方法で行ってください。
 最後、遭難ですが、5~6月は多くの人がタケノコ採りに出かけます。特にこのゴールデンウィークは多くなります。それによって遭難事故も多く発生し、最近5年間では遭難者の9割が60歳代以上の方であり、死亡または行方不明となられた方は全て60歳代以上の方々です。高齢者の皆さん、山は大変リラックスできますし、山菜はおいしいですし、近所に配ることでコミュニケーションの道具にもなります。行くなということではなく、十分に注意してお出かけください。
 遭難事故に遭わないためには、2人以上で出掛けるということと、携帯電話等を必ず持って行ってください。春から夏は日没が遅いので、長時間の行動になりがちですが、疲れてしまいますので、早めに下山するように体力と相談しながら山菜採りを楽しんでください。
 万が一遭難した場合には、すぐに110番または119番通報をしてください。歩き回ると余計に見つかりにくくなりますので、安全そうな場所、見通しのいい場所、見晴らしのいい場所で救助を待ってください。ヘリコプターの音が聞こえたら、白いタオル等を振って、上から見えるような合図をしてください。
 入山時は「ワクワク」と「備え」をセットでお願いします。特にクマスプレーやクマ鈴などの基本的な装備を忘れずに持って行ってください。山火事防止も心得を忘れずに注意をお願いします。一人ひとりが森林を守らないといけないと考えていますので、くれぐれも皆さん、よろしくお願い申し上げます。

【青の煌めきあおもり国スポ・障スポ公式マスコットのLINEスタンプ等の販売について】
 2026年に開催する青の煌めきあおもり国スポ・障スポに向けて、アップリート君のLINEスタンプを販売いたします。販売方法と価格はこちらに掲載されているとおりです。
 日常使いができるようなデザインですので、私もぜひ使ってみたいと思います。
 アニメーションスタンプもありますので、こちらの動画をご覧ください。
 また、もう1点、ジップジャケットを販売いたします。
 これらの収入の一部は国スポ開催のための寄付に充てることになっていますので、ぜひLINEスタンプを購入し、あるいはジップジャケットで気運醸成にご協力いただきながら、国スポの運営にもご協力いただきたいと考えています。

【公用車のテレビ受信機能に係るNHK受信契約について】
 全国各地で話題になっていたことから、青森県でも調査をしたところ、教育委員会、警察本部を含め県が保有している公用車1,401台のうち、テレビ受信機能があるカーナビが設置されている公用車は274台あり、そのうち251台で受信料が未払いだったということが判明いたしました。
 主な要因としては、事業所のカーナビにテレビ受信機能がある場合は、一般家庭と異なり1台ごとの受信契約が必要という認識が不足しており、用務上必要となるカーナビを調達した際に、テレビ受信機能を除外する仕様としていなかったことが原因と考えています。
 未払いとなっている受信料については、今後、NHKと協議の上、適切に対処してまいります。
 また今後は、受信機能を外して公用車を運用することも考えています。

【質疑応答(報告案件について)】
○幹事社
 それではただ今の報告に対する各社からの質問としますが、質問は簡潔になるようご協力をお願いします。
 質問のある方は挙手をお願いします。

○記者
 定期便の搭乗者数について、過去20年で最多となりましたが、それに対する所感と、その要因をどのように考えているか教えてください。

○知事
 コロナが明けて観光需要が再開した結果、青森の観光地としての魅力が大いに花開いた瞬間なのかなと考えています。
 また国際定期便も再開して、インバウンドも40万人来ていただいています。そういう意味で、インバウンド新時代の幕開けということ、その2つの要素があって今回、過去20年で最大になったと評価しています。

○記者
 これから青森空港の利用をさらに促進するために、県としてどういった取組を進めていく予定があるのか教えてください。

○知事
 まず利用のしやすさが大事であり、かねてから駐車場が問題になっていましたから、駐車できる車両の数をどう増やしていくのかということや、駐車場にアクセスする利便性をどうやって高めていくのかということがまず基本的なことです。
 それ以上に、観光や国際交流などと連携して利用者を増やしていくことが大事だと考えています。

○記者
 公用車について伺います。以前、調査の途中で取材させていただいた際に、知事部局の本庁舎管理分では未払いはないというお話もありました。
 そうしますと、この未払いが確認されたものは出先機関の管理のものなのでしょうか。教育委員会や警察本部の方も含めて、どういった性質の車両であるのかというのが分かればお願いします。

○知事
 車両の管理は複数のラインに分かれていて、取材いただいた時に知事部局の分はないとお答えしたのは、財産管理課で所有している分のことです。財産管理課では、NHKの受信契約について詳細を理解して対応していました。
 一方で、他にも県土整備部や農林水産部、各事務所で使用する車両がありますが、そちらではそこまでの認識がなく、今回未払いになっていました。
 県警や教育委員会も同様に、各所属において管理する中で、当該所属において認識がなかったということだと考えています。

○記者
 インバウンドが好調ということで、定期便も寄与した形かと思います。一方、定期便の活性化には青森から台湾に向かうアウトバウンドも必要だと考えています。
 そのあたり、県として今後、どのように取り組んでいきたいか、お考えがあれば教えてください。

○知事
 これから国際交流が盛んになってくると考えています。県内自治体では、新竹や台南、台中、高雄と連携協定を結んでいる市があります。さらには我々青森県も連携協定を結んでいる、あるいは結んでいくという段階にあります。
 それに加えて、高校生の交流も始まっており、県が実施する「高校生海外フィールドワークチャレンジ」でも台湾に行って学んだ生徒がいます。このように、折に触れてこちらからの国際交流を深めていく中で、アウトバウンドの方も強化できればと考えています。

○記者
 先ほどインバウンド新時代という発言がありましたが、今後、国際線の増便や新しい国への就航など、今の時点で具体的にご検討されていることはございますか。

○知事
 現状、空港側の人員不足がネックになっていますので、お声がけいただいている国や地域、航空会社との関係をより一層深めていきながら、できる限り増便に向けて取り組んでいきたいと考えています。

○記者
 公用車のNHK受信料の関係でお尋ねします。
 対応方針の中で、NHKと協議して適切に対応するとのことですが、具体的にはどういった内容なのでしょうか。

○知事
 未払いの額をどのように算定して、どのようにお支払いをしていくのかというもので、一括で支払うのか、分割で支払うのかなどの話です。

○記者
 クマ・山火事・山菜採りについて、今、このタイミングで知事から注意喚起したというのは、どのようなお考えからなのでしょうか。

○知事
 県民の皆さまの生命や財産が脅かされるようなことがあってはならないと考えています。昨年はクマ被害で亡くなった方もいました。また、毎年のように全国で林野火災があり、最近では隣県でも大きな林野火災が発生しました。さらには、毎年のようにタケノコ採りやキノコ採りで遭難される方や死亡される方がいます。このように、知事が会見の場で注意喚起することは危機管理の一環だということでご理解ください。
 また、これらのことが発生すると県としてもコストがかかります。例えば、1人の方が遭難すると、自治体を挙げて消防団や消防が駆けつけて捜査活動にあたります。
 県としても、青森県防災ヘリコプター「しらかみ」を出して上空から捜索します。まして死亡事案ということになれば、県警も含めて大変な山の中をかき分けて、亡くなられた方をご家族のもとに届けることになりますので、そういう意味では危機管理上の観点から注意喚起をしているということでご理解ください。

○記者
 山火事について、全国的に大規模な火災が多発したということを受けて、県として、改めて備えを見直したり、強化したりするお考えはございますか。

○知事
 県としてというより、一人ひとりが気を付けるしかないので、このような周知活動が全てだと考えていますし、特に林業を生業とする森林組合をはじめ関係者の皆さまには、本当に徹底していただきたいです。
 一度発生してしまうと火はなかなか消えないので、油断できません。

○記者
 発災を想定した備えについては、どのようにお考えでしょうか。

○知事
 常に備えていて、基本的には地域の消防が出動することになりますし、県の初動は、発生を受けて自衛隊の派遣要請を検討することであり、私はちゅうちょなくお願いしたいと考えています。自衛隊は火がどこについているのかが分かるサーモモニターを持っていますので、火点を特定して、地上部隊と連携して消火活動に取り組みます。
 県としては、「しらかみ」が空中散水できる装備を整えていますので、基本的には常に備えている状況にあります。

【質疑応答】
○幹事社
 次に、報告以外の案件に対する質問に移ります。
 まずは幹事社の方から質問させていただきます。
 アメリカ・トランプ政権の関税政策による影響について伺います。
 いわゆる「トランプ関税」の動きが世界経済を大きく揺さぶっています。アメリカとの交渉を始めた政府は、国内の米価上昇を背景に、アメリカ産の米の輸入を増やす検討に入っています。実現すれば、安い米の流入により県内の米農家にも影響が及ぶ可能性があると言われていますが、知事のご所感をお願いします。

○知事
 日本政府が、アメリカからの米の輸入拡大を検討しているというのは本当なのでしょうか。昨日の新聞では、米は対象にならないと報道されていました。そのため、何を根拠にそういうことを言っているか疑問に思います。
 私たちは常に冷静にならなければなりません。実際、何が交渉になるのか明らかにされていませんので、現時点では見解を述べる段階にないと考えています。

○記者
 高レベル放射性廃棄物の最終処分についてお伺いします。
 六ケ所村に初めて搬入されてから、明日で30年となり、期限まで残り20年となりました。最終処分場の選定が進んでおらず、期限内の県外搬出が難しい状況になっていると思いますが、それについて知事の受け止めをお伺いします。

○知事
 約束事ですから、しっかり果たしてもらわなければいけないと考えています。

○記者
 知事も就任後、節目でサイクル協議会を開いて、最終処分地にしないという方針を確認しています。歴代の知事もそれぞれのやり方で、最終処分地にしないということを確認してきました。
 今後、期限までの時間がより短くなっていく中で、県として、どのように国に約束の厳守を求めていかれますか。

○知事
 順番からいくと、口頭で確認する以前に文書でも確認しています。そもそも事業者との協定の中で、搬出されると記載されています。経済産業大臣との関係でもそのように取り扱っていくということが決まっており、また核燃料サイクル協議会で関係閣僚や官房長官等が期限内に搬出するということを約束されていますので、これはしっかり守ってもらうということに尽きると考えています。
 皆さんは30年で節目だと捉えるかもしれませんが、私はスタートの時点からカウントダウンが始まっていると考えていますので、30年の節目だからどうこうということではなく、早期に結論が出るように、あるいはその結果が出るようにしっかり取り組んでいただきたいということはあらゆる場面で申し上げていますし、これからも申し上げていきます。

○記者
 タイムリミットまでの時間が短くなる中で、今後県としてさらに強く求めていくことや、具体的に何か求めていくことはありますか。

○知事
 例えば、これから日本原燃再処理工場がしゅん工するタイミングや、安全協定が結ばれる、あるいは実際に操業を開始するタイミングで、しっかりと確認していくことになると考えています。

○記者
 今のお答えは、国に対するスタンスの話が中心だったと思いますが、サイクル協議会では知事は電事連に対して新たな約束の厳守に向けた具体的な取組を求めており、先日、国で開かれた使用済燃料対策推進協議会でも電事連から検討しているというお話がありました。
 その辺は今後具体化してくるのかなと思うのですが、どういった取組を求めたいということはおありでしょうか。

○知事
 それについては事業者が考えることだと思います。
 詰め将棋に例えると、その一手、一手が大事だということです。令和6年12月の核燃料サイクル協議会での知事発言によって、一手駒が進んだが、王は逃げていく。それを追いかけて、再度詰めるということを常にしていくことだと考えています。

○記者
 今、これから再処理工場のしゅん工などの節目でまた確認していくというお話がありました。再処理工場では26年度の完工を目標にしていますが、その時点では、知事としては何かしら進展というか、具体的な道筋をさらに国に求めたいということでしょうか。

○知事
 私たちはそのことについて常に確認しており、その時々で必要な一手を打っていますので、その時にどうするかについてはお答えできません。
 また、私たちのカードをここで全部見せる必要もないと考えています。

○記者
 使用済燃料についてお伺いします。これに関しては、毎年度、搬出元の電力会社のプールの状況などを基に、事業者であるRFSが事業を継続できるかどうかについて、県が判断するタイミングがあったと思います。
 以前、知事は、使用済燃料についてはまだ立ち止まれる、サイクル政策が立ち行かないということが分かった段階で燃料を搬出元に戻すことができるというふうにおっしゃっていました。
 一方で、高レベル放射性廃棄物の場合、現状、貯蔵されている施設以外に出口がない状況だと思われます。この点について、事業者と、RFSと同様の取り決めを交わすなどのお考えはございますでしょうか。
 要は、今後再処理施設がしゅん工し、貯蔵が再開された際に、毎年度、貯蔵していっても大丈夫なのかどうか、県として確認を行うのかどうかということについてお伺いします。

○知事
 高レベル放射性廃棄物に関する話は、RFSに関する話とは全く性質の異なる話です。
 再処理工場が稼働して操業を開始すれば、当然、ガラス固化体が発生します。今日の新聞で「ガラス固化体は30年から50年冷却貯蔵される」と大きく報道されていましたが、そもそも、RFSと再処理工場では施設の性質が異なります。RFSは、施設そのものが50年経ったら撤去しなければならないという前提のもとに建てられています。そのため、そこに保管される燃料も、いつまでに搬出するのか、という期限が明確に定められる必要があります。
 日本原燃の場合、高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターについては、施設がいつまで供用しているかという決まりはありません。さらに、再処理工場で発生した高レベル放射性廃棄物については、そのまま再処理工場で貯蔵されます。そして、再処理工場そのものは長期利用が前提になっていますので、そこに期限はありません。

○記者
 消費税の減税に関する質問です。現在、減税に関する議論が与野党間で活発になっています。物価高の中で苦しんでいる国民が多い中で、知事としてこういう議論が進んでいることについてどう思われますでしょうか。

○知事
 消費税そのものを引き下げるという考えについては、基本的には私も賛成の立場です。ただし、これはどのように実施するかが非常に重要だと考えています。
 経済理論の一つに「恒常所得仮説」があります。これは、人々はその時々の収入ではなく、生涯を通じた中長期的な所得の見通しに基づいて消費行動を行う、という考え方です。この理論によれば、仮に2年間だけ消費税をゼロにしたとしても、人々はその間に将来分の消費を先食いするだけであり、税率を戻した時点でまた消費が冷え込みます。結果的に中長期で見ると同じ経済情勢になります。
 したがって、このような理論をどう乗り越えていくのかを、しっかりと検討する必要があります。
 また現在、野党も含めて与党の一部から、食品の税率を引き下げるべきだという意見も出ています。それは確かに一理あると考えています。自動車や家などの耐久財は、一度購入すると10年、20年と買い替えの必要がないため、まさに消費の先食いになってしまいます。一方で、食品や日用品などの非耐久財は、常に必要なものであり、消費の増加に結び付くという説もあります。
 ただ、本当にその説のとおりになるのかという問題もあります。10%減税したとして、同時に10%物価が上がったら消費の先食いがあるのかどうか。
 消費税の減税という経済政策の壮大な社会実験を、やるならやれば良いと考えていますが、本質的な課題はそこではなく、どちらかと言うと給料が上がらないという点にあります。物価が上がる中でも、実質賃金や実質所得が上がれば、それは経済の好循環となり、経済が拡大していく局面になっていきます。
 そういう状況をどうやって作り出すか、その政策は何かということを見極めて取り組むことが正しい日本経済の政策のやり方だと考えています。

○記者
 人口減少対策について、今月1日に発表された青森県社会経済白書の関係の質問です。20代女性の県外転出について、なぜそういうデータになっているのか、今後裏付けとなる調査が必要だというお考えを示されていました。
 まだ日が経っていないので時期尚早かもしれませんが、今後どういう調査を行いたいかなどのお考えはありますか。

○知事
 年単位での話になると考えています。来年度の事業の中で、そのような事業が出てくるというレベルでご理解ください。

○記者
 関税の関係で、先ほど、冷静に見極めるべきだという趣旨の発言がありました。県が取り組んでいる事業に関して、関税の関係で何か懸念があるかどうかをお伺いします。
 例えば、半導体関連産業の誘致に向けた取組が始まっていますが、こちらに関してはどのように注視されていますでしょうか。

○知事
 企業誘致との関連については、現時点ではほとんど関係がないと考えています。県内には自動車関連や医療機器の設備を製造する企業、パワー半導体のウエハを開発している企業、あるいは半導体チップの検査装置を作っている企業などがあります。企業の皆さんと意見交換をさせていただきましたが、まだ状況は見極められないという現状です。
 先日、私は「トランプ大統領による世界経済への自爆テロだ」と発言しましたが、まさにそのような状況になっていると考えています。
 最初、一律で10%の関税を課すと言って、相互関税だと言って日本は24%という話も出ました。言った矢先に、これはまずいことになるなと思って90日延長して交渉期間に入りましたが、特に進展するとは思えません。
 米の話が本当だとすれば、それは米が交渉カードになるのではなく、農家と農家の生活をカードにすることになるので、それは止めた方が良いです。
 今回の関税に関しては、アメリカに付き合う必要はないと考えています。時間稼ぎしている間に、トランプ大統領はあと3年もすればいなくなりますから、それまで頑張って時間を延ばせば良いと考えています。
 ちなみに米の輸入に関しては、ミニマム・アクセスによって輸入枠が設けられており、77万トン(玄米ベース)の範囲内で輸入するのであれば何の影響もありません。これは平成7年くらいにガットのウルグアイ・ラウンド交渉の中で決まった枠です。
 TPP11で、その中の枠をオーストラリアが少し取りましたが、隔離政策も行っており、日本の米に影響はありません。
 また現在の制度では、約340円の関税をかけたうえでも、アメリカの米の方が国内の米より安くなるという状況になっています。関税をかける分はいくらでも輸入できる状況になっています。
 そういう意味では、米が交渉カードになることはないと考えています。

○記者
 GX青森について、今年度、誘致の検討に向けた会議体を立ち上げる意向であったかと思います。今のところ、いつ頃を目途に考えていらっしゃいますでしょうか。

○知事
 5~6月には協議体を立ち上げる予定です。

○記者
 りんごの苗木不足についてお伺いします。
 先日、知事がりんご園を視察した際に、生産者とりんごの苗木不足について意見を交わしており、苗木の不足を懸念する声があったと思います。このあたりについて、今後県としてどのように取り組むお考えでしょうか。

○知事
 総合対策については5月上旬に発表させていただきます。りんごの苗木については作り方がたくさんあり、苗木業者が作って販売するルートもありますし、農家の方が作っていることもあります。
 そういった中で、苗木を増やしていくのはリスクもあることですから、リスクテイクを青森県がどれだけできるかも含めて、関係者と一丸となって取り組むことが必要だと考えています。

○記者
 陸奥湾ホタテについて質問させていただきます。主力の半成貝が非常に今、値が上がっておりまして、このままだと生産者だけでなく加工・流通・販売にも大きな影響があると思いますが、このあたりについて、知事はどのように認識されていますでしょうか。

○知事
 28日に、西湾を中心に漁協を回って状況を聞いて意見交換させていただきます。その後、そういった課題についてもホタテ総合戦略を踏まえながら対応していきたいと考えています。

○記者
 県漁連では、県に要望したいということでしたが、そのあたりについてはいかがでしょうか。

○知事
 県漁連とも28日に意見交換させていただきます。

○記者
 先ほどのトランプ政権の関税の米のところで、農家と農家の生活をカードにすることになるから止めた方がいいというご発言がありました。これについて、もう少し詳しくお願いします。

○知事
 米をカードにするという表現がよく報道されますが、米が交渉のカードになるわけではありません。米は農家が作って、作ったお米の収入で農家の生活が成り立っていますので、カードになるのはあくまで農家の生活です。
 それは全ての産業に当てはまることです。大豆をカードにするなら、大豆の生産者とその生活がかかっています。
 現状、ミニマム・アクセスによって、輸入をしてもアメリカの米の方がずっと安いので、関税をかけても国内では日本米の方が高いという状況になっています。アメリカ米は1キログラムあたり149円、日本米は407円です。関税が341円ですので、平均をとるとアメリカ米の方が高いですが、平均より高い日本のお米は、もう既に関税をかけてもアメリカ米の方が安くなっています。

○記者
 関わっている人たちの生活が、交渉の材料として関わってくるというお話だと思います。今回米のお話でしたが、今、大豆も例に挙げられましたし、ほかの製造業含めてこれから交渉に向けてのいろいろな品目がこれから挙がってくると思いますが、そのあたりも含めて、つまり交渉するにあたってはその産業に関わっている人たちのことをきちんと考慮すべきだというような趣旨の発言ということでしょうか。

○知事
 私は知事ですから、現場に近いところにいます。霞が関や永田町などの国際関係で仕事をしている方々には、私たち地域の人たちがどういう気持ちで生きていて、どういう気持ちで国や地域を支えているか、そしてどういう気持ちでそういう交渉事を見ているのかというのが届いていないのではと考えています。農林水産大臣が、米の輸入拡大は止めた方がいいというのは、現場に近いからこそだと思います。
 一方で、外務省や交渉にあたる人たちは、何とか交渉をまとめなければいけないという方向になった時に、カードというものはなく、本当に考えなければいけないのは、そこに国民の生活や国民の命がかかっているということです。それを誰かが言わなければならないと考えています。
 青森県も米の生産量全国11位の主産地です。その意味でも、米は交渉のカードにはならないと考えています。

○記者
 先ほど消費税の減税について、知事は基本的には賛成のお立場だとご回答されました。この賛成の理由について伺います。

○知事
 経済政策が今、成果を出せていない状況だと考えています。昨年の所得税減税や、定額給付の4万円、定額減税の話も、もう皆さん忘れているのではないでしょうか。
 確かにその瞬間はありがたいという気持ちはあったかもしれません。コロナの時にも、10万円の給付金を、私も市長として真っ先に配らなければと一生懸命対応しました。でも、そうした支援策も、皆さん忘れてしまっている、あるいは長期的に意味があったかどうか分かりません。
 経済政策では、何をやってもなかなか成果が出ないというのが現状であり、日本経済全体や日本社会全体を覆う閉塞感や、30年間続いたデフレマインドが覆いかぶさっていて、前に進めない日本になってきています。そうした中で、新しい道筋、新しい経済政策をやってみることは、一つの手だと思います。
 そして国民的なインパクトのある経済政策という意味で、減税は意味のあることだと私は考えています。やる必要はあると思います。
 ただ、注意しなければいけないのは、「恒常所得仮説」と言われている、最終的に戻す時に大変なことになる可能性もあります。結果、経済状況の中であまり意味のないことだったと評価される可能性はあるし、物価がそれ以上に上がったら消費税減税分というのは意味のないことになってしまうため、むしろ給料がどう上がっていくかという成長のシナリオの方が大事な可能性もあります。
 経済政策は一つの施策だけでなんとかなる問題ではありませんが、少なくとも閉塞感打開のために必要な一手であるかもしれないと考えています。

○記者
 21日に福井県知事とお会いしたという話を伺いました。どのような意見交換をなされたのかということと、福井県は原発が多数立地する県、青森県はバックエンドが集中する県ということで、原子力行政という観点から福井県との連携について、何かお話になったのでしょうか。

○知事
 他県の知事と2人で会食するのは私も初めての経験で、非常に有意義な機会でした。
 もちろん核燃料サイクルを巡るさまざまなお話もしましたし、それに加えて家族の話や、政務と公務の話、選挙の話など、知事としかお話しできないようなことがたくさんありましたので。
 また、杉本知事はやはり私よりも期数が長く、役人の経験も長いので、たくさんのことをご存じで、いろいろな部分でご指導を受けました。
 具体的に何を話したかは、この場で言うような話ではありませんが、いろいろ情報交換をしながら進めていきましょうという話はしました。

○記者
 先ほど、民間輸入も増えているということで、関税がかかっていても国産米よりも安い状況があるとのことでした。青森県産の米も、都内では一部安くなっているという話もありましたが、やはりこれからを考えると民間輸入が今後拡大していくと国産米の米離れが進むのではと、青森県の農家さんも懸念しているところがあるかと思いますが、それに対する対策をどのようにお考えでしょうか。

○知事
 関税を上げるしかないと考えています。ただ、これはアメリカだけの話ではなく、関税は国際的な枠組みの中で一律に決めているため、日本のお米を守るためには関税を上げるしかないと考えています。

○記者
 ホタテについて、近く西湾を視察するというお話もありましたが、東湾の方からも懸念の声が聞こえています。
 一昨年実施した親貝確保の基金造成の支援など、また実施してほしいといった声もありますが、現時点での知事のお考えはいかがですか。

○知事
 平内町から順次回って行って、むつ市以外には行くので、その中でお話を聞いてみたいと考えています。
 親貝の確保の取組や基金の取組が有効だったかどうかということも、次の支援を考えていく上で重要だと思いますので、その辺も意見交換していきたいと考えています。

○記者
 県内経済の話でお伺いします。
 賃上げなど明るい話題も一部ありますが、直近では倒産件数が増えていて、八戸市のアルパジョンやむつ市のファミリーマートさとうなど、県民になじみの深い企業の倒産も出ています。
 知事としまして、こういった状況をどのようにご覧になっているかお聞かせください。

○知事
 県内の景況感が悪化していると感じています。そして、倒産が相次いでいるということについては非常に残念に思っています。実際のデータでも、負債額1千万円以上の企業倒産件数について、令和6年度の全国累計が前年度比12%増であるのに対し、青森県では36%増と、全国と比べても相対的に多いということになっています。
 県としては、特別保証融資制度によって支援を行っており、この制度の中で、連鎖倒産を防ぐための枠や経営安定枠を設けており、金融機関から一時的に低利で資金を借りられる仕組み等を作って対応しています。
 この取組がどこまで効き目があるのかということについて、少なくとも連鎖倒産が起こらないようにしたいと考えています。そのための資金ですので、有効に活用していただきたいと考えています。

○記者
 その関連で、県内経済を支えていくには青森みちのく銀行の存在は欠かせないと考えます。今週、同行が開いた設立記念祝賀会でも、知事自身、これからの県内企業の象徴という趣旨の発言があったかと思います。以前、同行に対して貸し渋りがないようにと注文をつけられていましたが、このように経済状況が不透明な中で、改めて同行への期待や果たしてほしい役割などがあれば教えてください。

○知事
 今後は、やはり事業承継やM&Aといったあたりが非常に重要になってくると考えています。 銀行の役割は大きく3つありますが、その中に金融仲介機能があります。青森みちのく銀行には、その金融仲介機能を発揮していただき、県内の事業承継やM&Aを積極的に支援し、経済の情勢が上向いていく、あるいは拡大していくようなことに取り組んでいただきたいと考えています。

○記者
 国内向けの米についてお伺いします。現在、備蓄米が流通する中でも米の価格が15週連続で値上がりしていまして、全国平均で5キロあたり4千円を超えるような価格帯となっています。米の高値が続く中で、家計に与える影響を知事としてどのように捉えていらっしゃいますか。

○知事
 当然、家計を直撃していると考えています。お米を食べない日本人はいませんからね。
 備蓄米が流通していると言われていますが、実際には0.3%しか流通していなかったとのことで、放出した備蓄米がきちんと流通するような仕組みを早く作らないといけないと考えています。
 新米が店頭に並ぶまでに3週間ぐらいのはずですが、どうして高値が続いているのか私にもよく理解できません。

○記者
 米の高値が続く中で、県の事業として実施している給食費の通年無償化について、当初予算への影響などどのようにお考えでしょうか。

○知事
 物価高騰分については、特別枠として40市町村で4億円確保して配分していますので、通常の給食費無償化分に加えて、米の価格高騰等にも対応できるようにしています。
 こどもたちには、温かくておいしいお米を提供してもらえるように、各市町村で対応してほしいと考えています。

○記者
 先ほど、福井県の杉本知事と会食をしたというお話がありましたが、会食することになった経緯を教えてください。

○知事
 青森県に来られて、青森市内に宿泊されるとお伺いしましたので、私の方からお声がけさせていただきました。今年、全国知事会が本県で開催されますが、昨年は福井県で開催されていたので、それについてもお話を聞いてみたいと思いご連絡したところ、実現しました。

○記者
 直接対面してゆっくりお話をする機会というのは初めてだったのかなと思いますが、杉本知事にどういう印象を受けましたか。

○知事
 先ほど申し上げたとおり、私よりも長く知事を務められていますし、霞が関の経験も長いので、さまざまな部分で公私ともにご指導いただきました。

○記者
 福井県と連携できそうな政策分野などの話はしましたか。

○知事
 そのような話はしませんでした。

○幹事社
 最後に知事からお願いします。

○知事
 春らんまんということで、桜も満開になりました。今年の冬は雪が多かった分、春の訪れが待ち遠しかったです。弘前公園に2回行きましたが、日本だけではなく世界各国から多くのお客さんに来ていただいて、大変なにぎわいがありました。
 また桜の名所は弘前公園だけでなく、県内各地にあります。短い桜の季節ですが、私も各地に赴いて、ぜひ楽しみたいと考えています。
 その一方でりんごやホタテ、お米の生産者の皆さんの中には、不安を抱えている方もいらっしゃいます。こうしたことについても現場を重視して、現場の事務所とよく連携してしっかり取り組んでいきたいと考えています。
 今年度、スタートしたばかりですが、これからゴールデンウィーク、行楽シーズンを迎えます。くれぐれも車の事故、あるいはさまざまな事故に巻き込まれないよう、安全に、そして楽しくお過ごしください。
 私からは以上です。今日もありがとうございました。

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