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更新日付:2026年4月1日 

知事コラム(2026年4月)

嗚呼、大湊線

鬱蒼とした防風林のトンネルを抜けるとコバルトブルーの陸奥湾が広がり、さらに紺碧の空を借景にそびえ立つ釜臥山に向かっていく。目を閉じて思い浮かぶ大湊線の原風景。海の上を走っているような瞬間もある。高校、大学、就職とふるさとを離れた私が、新幹線ができる前までは、いつもこの瞬間に『ああ、帰ってきたな』と思ったものだ。

大きな荷物を抱えておそらく帰省するであろう家族、かつての私と同じような学生や若人、スーツ姿のビジネスの人たち。見送りの大湊駅では、家族を涙で見送る別れの場面も何度も目にした。「この先に街があるのか」という失礼な会話が耳に残っていて、それでも皆、夢、希望、もしかしたら不安、絶望といった感情と一緒に乗車したものだ。

令和9年4月にJR津軽線の蟹田以北の廃止、そして令和10年4月に弘南鉄道大鰐線の運行休止が決まっている。災害を契機に、そして利用者減を契機にやむを得ない判断だった。そして、関係者が一丸となって代替交通を模索していて、地域住民にとってはかえって使い勝手が良くなるように、県としても取り組んでいる。ノスタルジーで行政経営はできないことは言うまでもないし、むしろそれとは程遠いところでいつも仕事をしているが、それでも寂しい気持ちになる。電車に乗っているのは、きっと人だけではないからだ。

「線路はつづくよ どこまでも 野をこえ山こえ 谷こえて はるかな町まで ぼくたちのたのしい旅の夢 つないでる」

美しい昭和の唱歌は、線路が私たちの旅の夢までつないでいるという、鉄道の持つ意味と素晴らしさを私たちに教えてくれる。その一方で、過ぎ去った時代を優しく示唆している。そして旅をしているのは観光客だけではなく、私たちの人生も旅だ。

デマンド交通、ライドシェア、自動運転。テクノロジーの進化で交通モードも変化していく。むしろ変化させていきながら、地域の足を確保していくことが必要となる。県では「アオモリモビリティシェア」として、市町村と連携して大いに進めていく。

鉄道がつないでいるものを大切にしながら。

追伸:原曲はI've Been Working on the Railroad

(JASRAC 出2601133-601)
(AOMORI MAG(あおマグ) - 2026年4月号)

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