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第二百四十五回定例会提出議案知事説明要旨(平成18年2月)

 提出議案の御説明を申し上げる前に、議長のお許しを得て、多年、県議会議員として、また、県議会副議長として県政に御貢献されました故丸井彪先生の御逝去に対し、謹んで哀悼の意を表します。

 それでは、本日ここに、県議会第二百四十五回定例会が開会され、平成十八年度当初予算案をはじめ各般にわたる議案について御審議を願うに当たり、県政の運営に関する所信を明らかにし、提出議案の概要について御説明申し上げ、議員各位並びに県民の皆様の深い御理解と御協力をお願い申し上げます。

 私は、知事就任以来、「参加」、「共生」、「創造」そして「公平」の四つの基本理念の下、自主自立の青森県づくりを目指し、「ふるさと青森県の再生・新生」を実現すべく、常に県民の目線、生活者の視座に立ち、誠心誠意努力して参りました。
 この間、多くの困難な課題に直面いたしましたが、議員各位をはじめ広く県民の皆様の御支援・御協力により、県政を着実に推進することができましたことを心から感謝申し上げます。

 さて、我が国は今、世界で類をみないスピードで進行する少子高齢化、地球規模でのグローバル化や情報化の進展など、大きな構造的課題に直面し、これまで日本の発展を支えてきた社会経済システムの大幅な見直しが迫られております。
 特に、少子化の急速な進展に伴い、昨年から既に到来しているとみられる人口減少社会は、労働力の減少、経済成長への制約、社会保障分野での負担の増大といった経済面への影響のみならず、次代を担う子どもの健やかな成長への影響など、社会全体の活力に影響を及ぼすことが懸念されております。

 このような時代の大きな構造変化の中、地域経済の活性化などの本県の課題を解決するとともに、可能性を更に発展させ、本県の未来を確かなものにしていくためには、自主自立の青森県づくりへと、意識や行動の転換を図ることが大切であります。
 私は、この自主自立の青森県づくりを進めていく中で、今後の青森県の将来像として「生活創造社会」を掲げたところでありますが、「生活創造社会」を実現する上で、最も大切なことは、やはり未来の青森県づくりの財産となる「人づくり」であると考えます。
 経済・雇用情勢が依然として厳しい状況にある本県においては、「産業・雇用」に係る取組みを加速させていくことが何より求められるところでありますが、そのためには、新たな産業を創造し、既存産業を活性化させていく、そして同時にそうした産業を力強く支えていく「人づくり」こそが最も的確で効果的な施策ではないかと考えております。

 そこで、平成十八年度の青森県重点推進プロジェクト(わくわくテン)の展開に当たっては、「元気青森人の創造」をスローガンに掲げ、「人財育成」を最重点課題として、その下で、諸施策・諸事業を体系的・有機的に具体化・推進することとし、将来の青森県を支えていく児童生徒を対象とした人材育成のみならず、現在本県の経済・産業を支えている現役世代に対する施策、さらには現役をリタイアしたシニア世代の活用策などについて全庁をあげて推進することといたしました。
 明日の青森県を支える最大の基盤たる「人財」の育成は、私たちが負っている最大の責務であり、今後とも、最優先の課題として捉え、県民、市町村と一体となって鋭意取り組んで参りたいと考えております。
 本県のもう一つの最重点課題である「産業・雇用」については、地域の資源を有効に活用しながら、本県の強さや比較優位の分野を徹底的に伸ばしていくことが何よりも重要と考え、引き続き「攻めの農林水産業」に取り組むとともに、環境・エネルギー産業関連分野の創出など、豊かな地域資源や優れた人材、様々な分野での最先端を行くローカルテクノロジーといった本県が有する地域力というものを産・学・官・金の新たな連携の中で戦略的にコーディネートし、新たな産業や仕事を創る仕組みづくりなどに取り組んでいくことといたしております。

 また、私は、平成十八年度の施策展開に当たり、少子高齢化の進展と二〇〇七年問題、二〇一〇年の東北新幹線新青森駅開業並びに市町村行政を巡る大きな環境変化といった本県の時代を画するような潮流変化に的確に対応することが非常に重要であると考えております。
 このため、まず、少子高齢化の進展や二〇〇七年問題などによる「人殻変動」とも言うべき状況に対処し、医師確保のためのグランドデザインに基づき医師確保対策を更に充実させるとともに、子どもの命を大切にする環境づくりに取り組むほか、新たに、二〇〇七年から大量に退職期を迎える団塊の世代をターゲットにした施策の展開に努めることといたしております。
 東北新幹線八戸・新青森間については、新青森駅までの開業により、首都圏を中心とした地域との交流人口が飛躍的に拡大することが期待されており、産業や雇用の分野で大きなインパクトとなると考えております。
 このため、観光推進の観点はもとより「産業・雇用」の分野等も視野に入れた取組みを全庁をあげて推進し、新青森駅開業による新幹線開業効果の最大限の獲得に努めて参ります。

 また、時代の転換期とも言うべき大きな環境変化の下にある市町村の地域づくりについては、人口減少社会の到来や地方分権改革が進展する中にあって、住民に最も身近で総合的な行政主体である市町村が、真に自主的、自立的な地域経営の確立を図っていくことが求められております。
 また、合併した市町村においては、その規模や権能の拡大に伴う合併の効果の早期発現を図り、魅力と活力ある地域づくりを推進していくことが喫緊の課題となっております。
 こうした状況を踏まえ、県として、市町村の自主的な地域づくりに対する補助制度や市町村の自立的な地域経営の確立に資する人的支援並びに市町村とともに地域づくりを進めていくための組織整備の三本の柱を基本に、市町村の自立促進のための総合的な支援を行うことといたしております。

 以上、平成十八年度の重点施策推進に当たっての基本的考え方について申し上げましたが、次に、この考え方に基づいて生活創造推進プランを着実に推進するとともに、行政経営資源の効果的活用を図っていくための組織・機構改革について御説明いたします。

 まず、本庁については、これからの観光行政の推進に当たり、喫緊の課題である産業・雇用対策に十分配慮し、本県経済の活性化につなげることがより一層求められているという本県の現状があること、また、東北新幹線新青森駅開業を契機とした新幹線開業効果の最大限の獲得を本県の最重要課題としていることなどを踏まえ、観光行政と産業振興や雇用対策との一層の連携強化を図るため、商工労働部に「観光局」を設置して対応することといたしております。
 なお、このことに伴い、文化観光部を廃止することといたしております。
 併せて、東北新幹線八戸・新青森間開業の前倒しも念頭に置きながら、並行在来線八戸・青森間のJRからの経営分離について、県民の皆様方の利用に影響を与えることのないように万全を期するため、企画政策部に「並行在来線対策室」を設置して対応することといたしております。
 次に、様々なエネルギーの導入とともに、その活用についても一体的に取り組むなど、エネルギー対策を総合的に進めるため、体制の一元化を図ることとし、部相当の組織として、「エネルギー総合対策局」を設置することといたしております。
 さらに、農林水産業振興の一体的な取組みを行う体制を維持しつつ、本県の産業の核の一つに位置付けられる水産業の振興を図ることにより、「攻めの農林水産業」に一層強力に取り組むため、農林水産部に「水産局」を設置することといたしております。
 また、本県の活性化の基盤となる「人づくり」を着実に進めるため、「人財」育成の推進方策、教育行政との連携強化・一体的取組みの方策、少子化対策などを全庁横断的・総合的に検討するため、企画政策部に「人づくり戦略チーム」を設置することといたしております。
 一方、本県の公営企業が縮小していくことを踏まえ、公営企業局を廃止し、課の統合を行った上で、県土整備部長に公営企業を統括させることといたしております。

 次に、出先機関については、市町村等地域における他の主体との連絡・連携を一層密にしながら、ともに地域づくりを進めるため、試行的に、総合的な出先機関として、まず、弘前市、八戸市、むつ市の三市に「地域県民局」を設置することといたしております。
 なお、その地域の県税事務所、健康福祉こどもセンター、農林水産事務所及び県土整備事務所は廃止し、地域県民局の内部組織として再編するほか、新たに地域県民局内に地域連携室を設置し、ここを中心として、その地域における課題を把握しながら、市町村との適切な役割分担の下、その地域の経済、風土、文化、社会などの特性を生かした地域づくりを進めることといたしております。
 地域県民局については、柔軟な運用を図りながら、青森県にふさわしいものとして参りたいと考えております。
 このほか、青森県動物愛護センターの設置、五所川原県土整備事務所及び鰺ケ沢県土整備事務所の統合、弘前家畜保健衛生所及びつがる家畜保健衛生所の統合、五所川原保健所鰺ケ沢支所及び西北地方福祉事務所鰺ケ沢支所の廃止を行うことといたしております。

 以上が、平成十八年度の組織・機構改革の主なる内容でありますが、関係条例案として、今回、議案第二十二号「青森県部設置条例の一部を改正する条例案」及び議案第二十三号「青森県行政機関設置条例の一部を改正する条例案」並びに議案第五十七号「青森県公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例案」を提案いたしておりますので、よろしくお願いいたします。

 次に、平成十八年度の我が国の経済見通し等について申し上げます。
 日本経済は、平成十四年初めから四年にわたる景気回復を続けており、平成十七年七月に公表された「経済財政白書」においては、バブル後と呼ばれた時期を確実に抜け出したとされております。
 平成十七年度については、企業部門の好調さが、雇用・所得環境の改善を通じて家計部門に波及しており、民間需要中心の緩やかな回復が続くと見込まれております。
 平成十八年度の経済見通しについては、消費及び設備投資は引き続き増加し、我が国経済は、民間需要中心の緩やかな回復を続けると見込まれており、また、物価については、政府・日本銀行が一体となった取組みを行うことによりデフレ脱却の展望が開け、消費者物価も、年度を通して見るとわずかながらプラスに転じると見込まれております。
 こうした結果、国内総生産の成長率は名目で二・〇パーセント程度、実質で一・九パーセント程度になると見通されております。

 次に、本県の経済動向について申し上げます。
 平成十七年度における本県経済のこれまでの動向を見ますと、生産面では、生産額のウェイトの高い食料品工業で一部原料不足から生産水準を落とす動きも見られましたが、電子部品・デバイスや電気機械工業では夏場以降在庫調整が進んだことから生産水準を引き上げるなど、持ち直しの傾向にあります。
 次に需要面を見ますと、住宅建設や公共投資は低調に推移しているほか、個人消費も大型小売店販売額が天候等の影響から秋頃までは盛り上がりが欠けておりましたが、冬場に入り、早めの降雪や寒さから季節商品の販売が伸び、対前年の売上が増加に転じるなど明るい動きが出ております。
 次に雇用面ですが、有効求人倍率が緩やかな上昇傾向にあり、昨年十一月には全国最下位を脱出したほか、今春の新規高卒者の就職内定率も前年比でプラスに推移するなど、改善の動きが出ております。
 なお、企業倒産件数は、低水準で推移しております。
 このように、本県経済は、生産面を中心に、需要面や雇用面で改善の動きが見られますが、依然として予断を許さない状況が続いております。
 このようなことから、引き続き「産業・雇用」を県政の最重要課題と捉え、地域経済の活性化と雇用の維持拡大に向けた取組みを徹底・加速して参ります。

 次に、提出議案について、その概要を御説明申し上げます。
 まず、議案第一号「平成十八年度青森県一般会計予算案」について申し上げます。
 県では、平成十五年十一月に本県財政の健全化への道筋を示す財政改革プランを策定したところでありますが、プラン策定直後の平成十六年度の地方財政対策における地方交付税総額の急激かつ大幅な削減に加え、平成十七年度の国の予算においても地方交付税総額が前年度の水準を更に割り込むなど、本県財政を取り巻く歳入環境は一変し、財政改革プランや青森県行政改革大綱に基づく財政健全化への取組みを徹底・加速してもなお財政改革プランに掲げた各年度毎の財源不足額は大きな乖離を余儀なくされております。
 こうした財政改革プランの歳入面における環境の劇的変化、さらには三位一体の改革や国全体の歳出改革路線といった状況等を踏まえ、昨年十月、中期的な財政運営の基本的考え方を明らかにした「中期的な財政運営指針」をお示しし、財政改革プランが目指す持続可能な財政構造の確立を目標としつつ、その達成に向け、中長期的視点に立って公債費や人件費などの義務的経費等の改革を進めていくとともに、財政改革プラン及び青森県行政改革大綱に基づく取組方策を徹底・加速し、毎年度の財源不足額の圧縮に努めていくこととしたところであります。
 このため、平成十八年度当初予算は、「中期的な財政運営指針」に沿って、「県債発行の抑制等により、平成二十年度までの元金ベースでのプライマリーバランスの黒字化達成に向けた改善を着実に進めること」及び「財源不足額について、財政改革プランとの乖離幅をできる限り縮小すること」を目指して編成することといたしました。
 また、構造的改革への不断の努力により財政の自由度を高めながら、「施策の選択と重点化」をこれまで以上に徹底し、生活創造推進プランを踏まえつつ、先に述べました平成十八年度の重点施策推進の考え方に沿って、「人財」及び「産業・雇用」に係る施策展開や、市町村の自立促進のための支援策、団塊世代をターゲットにした施策、医師確保対策、新幹線観光対策などに特に意を用い、今後の青森県づくりの将来像としての「生活創造社会」実現に向けた取組みの着実な推進に努めたところであります。

 以上の基本的な考え方により編成した平成十八年度青森県一般会計当初予算の規模は、歳入歳出とも七千二百二十一億円となり、前年度当初予算に対して、百八十億円、二・四パーセントの減となっております。
 また、財政構造の観点からは、平成十六年度当初予算編成以降、三年連続して元利ベースでのプライマリーバランスの黒字化を達成し、将来世代への最低限の責任を果たすことができたことに加え、元金ベースでのプライマリーバランスの着実な改善、義務的経費の縮減、普通建設事業費における単独事業費から補助事業費へのシフトなど、改革の着実な前進が図られたものとなっております。

 なお、ここで三位一体の改革について申し上げます。
 三位一体の改革は、真の意味での地方分権を進めるものでなければならず、私自身も全国知事会等の場を通じて、国庫補助金等の改革と税財源の移譲などを強く訴えてきたところであります。
 昨年十一月末の三位一体の改革に係る「政府・与党合意」において、四兆円を上回る規模の国庫補助負担金改革と三兆円規模の税源移譲についての最終的な決着をみたところでありますが、これにより、少なくとも財源面においては分権が前進したものの、内容的には私たち地方が求めていたものと大きくかけ離れており、不満が残らざるを得ないものとなっております。
 したがいまして、これまでの改革内容が、地方分権や地方財政の自立につながっていくかどうかについてよく総括した上で、今後の議論につなげていかなければならないと考えております。

 以下、平成十八年度の主要施策について、「生活創造推進プラン」の五つの社会像に沿って、その概要を申し上げます。

 第一は、「青森の豊かさを知り、夢をもって未来を拓く社会」についてであります。
 まず、「子どもたちの生きる力と夢を育む教育の推進」については、
 きめ細かな学習指導や生徒指導を実施するため、引き続き、小学校一・二年生及び中学校一年生を対象に、少人数学級編制を実施するほか、小・中学校の教育課程を見通した一貫性のある指導内容・指導方法について、工夫や改善を図るための調査・研究に取り組むことといたしております。
 また、教員の進路指導能力の更なる向上を図るため、教員の長期企業派遣研修を実施するほか、高校生の職業観の醸成・高揚を目的とした仕事力養成プログラムを実施することといたしております。
 さらに、県立学校に自動体外式除細動器を配備することにより、学校における救急体制を整備するとともに緊急時に対応できる人材の育成を図ることといたしております。
 私立学校については、経常費補助をはじめ、高等学校授業料軽減補助、特色教育支援経費補助等の助成を行い、特色ある教育の振興を図って参ります。
 以上のほか、「元気青森人の創造」に向け、官民連携による「人づくり戦略」の策定や少子化をも組み込んだ持続可能な人材育成の検討等に取り組むことといたしております。
 次に、「地域の教育力を高める環境づくりの推進」については、
 子どものキャリア形成における親の支援や役割の強化を図るため、次代を担う小・中学生を持つ保護者等を対象としたフォーラムやセミナーを開催するほか、地域全体で子どもたちを育む環境づくりを推進するため、学校と地域の協働による教育活動を推進する人材を養成することといたしております。
 次に、「文化・スポーツの振興と国際交流の推進」について御説明申し上げます。
 まず、芸術文化の振興についてであります。
 県立美術館が本年七月十三日に開館を迎えます。
 これは、「生活創造社会」実現に向けた推進拠点ともなるものであり、このため、優れた美術品の鑑賞機会を提供することはもちろん、様々な芸術に取り組むことにより、県民に感動を与え、子どもの感性と創造性を育む美術館にしたいと考えております。
 また、近接する三内丸山遺跡と一体の文化・観光拠点として運営することにより、国内外から多くの方々が集う文化の拠点として、さらには都市型観光の拠点として県内各地の活性化に寄与できる美術館を目指したいと思います。
 本年度の企画展としては、開館記念展として「シャガール展」を開催するほか、「縄文と現代展」及び「工藤甲人展」を開催することといたしており、さらに、美術館のブランドイメージ形成のため、国内外のアーティストによる舞踊劇「アレコ」の上演等を実施することといたしております。
 また、三内丸山遺跡との一体的文化・観光拠点の形成を図るため、県民参加型演劇「戯曲寺山修司論」の公演を行うほか、縄文文化と美術館をつなぐプロジェクトの実施や誘客促進等に努めることといたしております。
 次に、青森の歴史・文化の発信についてであります。
 本県には三内丸山遺跡をはじめとした学術的に重要な縄文遺跡が数多く存在しておりますが、私は、これらの遺跡について、青森県の縄文遺跡群として、世界文化遺産への登録を目指したいと考えております。
 世界文化遺産の登録に向けては、縄文文化が我が国の基層文化であるという重要な認識が、国内外において確立されていないこと、また、縄文文化に対する学術上での国際的な認識が不足していることなどの課題もあることから、息の長い運動を展開することとし、まずは、文化庁の暫定リスト入りを目指して、国内外での認識を一層高めるための情報発信等に取り組んで参ります。
 次に、スポーツの振興については、
 青森市で開催される「二〇〇七年世界女子カーリング選手権大会」への支援を行うほか、平成十九年度に本県で開催される「第二十回全国スポーツ・レクリエーション祭」の開催準備を進めて参ります。
 また、財団法人青森県体育協会が行う国民体育大会等への選手派遣や選手強化等の事業並びに運営費に対する支援を行うことといたしております。
 さらに、青森県総合運動公園陸上競技場について、第一種公認継続等のための改修を行うことといたしております。
 次に、国際交流の推進については、
 本県が友好協定を締結している各地域の特性に応じた分野での交流を引き続き推進するほか、経済交流協定を締結している中国大連市との交流を進めることといたしております。
 また、地域に在住する外国人と民間国際交流団体とが、子どもたちの国際理解を促進するため協働して行う事業への支援を行うことといたしております。

 第二は、「いきいきと働ける豊かな社会」についてであります。
 はじめに、「働く場の創出・充実」について御説明申し上げます。
 まず、雇用の促進については、
 若年者の雇用拡大・維持を図るため、引き続き「ジョブカフェあおもり」の運営等を通じて、若年者の就業支援に取り組むほか、若年者の就職促進及び人材育成を図るための教育訓練の受講に対する支援を行うことといたしております。
 また、団塊世代を本県に呼び込むことで交流・定住人口の拡大を図るため、各種調査や情報発信を行うほか、団塊世代を中心とした働き盛りの離退職者等の円滑な再就職を支援するための「キャリア情報センター」の開設等を行うことといたしております。
 さらに、障害者の雇用・就業を促進するため、地域の障害者の就業支援に積極的に取り組む社会福祉法人等への支援を行うほか、盲・聾・養護学校におけるインターンシップ協力事業所の拡大を促進することといたしております。
 次に、県民仕事づくりについては、
 商工会等が自ら合併による組織基盤の強化等に向けて行う意欲的な取組みを支援するほか、県内中小企業の活性化を図るため、事業の分野を異にする複数の中小企業者が連携して行う新たな事業活動を支援することといたしております。
 また、本県における起業を促進するため、弘前市において創業希望者に創業準備スペースを提供するなどの支援を行うほか、起業を志す優秀な人材の本県招致や次代を担う商業者の育成等に取り組んで参ります。
 続いて、誘致企業等の県内立地に係る助成制度について、新たに土地リース制度を活用して立地する企業も対象とする等の拡充を図ることなどにより、企業誘致に強力に取り組むこととしているほか、誘致企業をサポートする受注能力のある企業の集積を図るためのモデル事業を実施することといたしております。
 さらに、県内企業の製品・技術の首都圏における新規市場開拓を支援するほか、中国大連市などにおいて海外ビジネスを展開しようとする県内企業等に対する支援等を行って参ります。
 このほか、県内中小企業が依然厳しい環境に置かれていること等に対処するため、引き続き「セーフティネット資金」をはじめとする特別保証融資制度を活用した金融支援を実施して参ります。
 なお、青森中核工業団地については、独立行政法人中小企業基盤整備機構と県が共同で事業を実施しているものでありますが、今回行うこととされた分譲価格の値下げ等に対処するため、県の業務を代行する県土地開発公社に対し、借入金の増嵩を抑制するための措置等を講ずることといたしております。
 次に、「『攻めの農林水産業』の推進」について御説明申し上げます。
 まず、市場競争に打ち勝つ販売活動の強化については、
 首都圏等において、生産者団体等と一体となって機動的かつ戦略的なセールス活動を展開する県産品販売戦略チームを設置するほか、本県の旬の食材や工芸品を提供する協力店を首都圏に設置し、県産品の魅力を広くPRしていくことといたしております。
 また、ふるさと産品消費県民運動を関係機関と一体となって推進するほか、県産品の販路拡大やイメージの向上を図るための「地域こだわり特産品」のブランド化に対する支援や青森シャモロックの生産拡大に向けた生産拠点づくりに対する支援等を行うことといたしております。
 さらに、米とりんごの新品種を売れる商品として銘柄確立するためのプロモーション活動等を展開するほか、米、りんご、野菜、ほたてがい等のブランド力向上と消費拡大を図るため、農林水産団体が実施する消費宣伝等に対する助成を行うとともに大手量販店等における県産品フェアの開催等に取り組んで参ります。
 次に、安全・安心の青森産品づくりについては、
 県産米の一層の評価向上と競争力強化を図るため、極良食味品種等の早期開発や県産米の食味・品質の高位平準化を図るためのリモートセンシング技術の実証・確立に努めるほか、稲作地帯における野菜産地づくりを支援していくことといたしております。
 また、出荷団体等が実施する農産物の残留農薬検査や生産段階でのリスク管理手法の導入に対する支援を行うなど、食の安全・安心を推進して参ります。
 続いて、県産材の利用促進については、認証県産材制度の普及啓発に努めるとともに、県産材を多用した住宅建築を促進して参ります。
 さらに、りんごわい化栽培の推進や新たなりんご加工需要の創出を図るほか、優良種雄牛の活用などによる高品質な肉用牛生産を維持発展させるための産地体制づくり、資源管理型漁業やつくり育てる漁業などによる水産物の安定生産等を推進して参ります。
 次に、山・川・海をつなぐ「水循環システム」の再生・保全については、
 農業水路や農地などを地域全体で支えていく適正な保全管理手法や体制の確立のため、モデル地区における実践を通じて実効性を検証することといたしております。
 また、環境や公益的機能に配慮した森林整備の推進を図るため、複層林施業や混交林施業への転換を推進するほか、海域浄化機能を持つ水産資源の培養を通じて、多様な水産生物からなる豊かな海の創出を図って参ります。
 次に、あおもり発食文化・農村文化の発信については、
 都市住民のスローライフへの関心の高まりや農家民泊に係る規制緩和の動きに対応し、グリーン・ツーリズムの受入体制の整備を推進するほか、県内の主要な農業用施設を活用した農業農村の情報活動等を支援していくことといたしております。
 次に、農林水産業を担う革新的な経営体の育成については、
 国が平成十九年度から導入する品目横断的経営安定対策に対応し、支援の対象となり得る認定農業者等の担い手の育成に取り組むとともに集落営農組織の加速的な育成を推進して参ります。
 また、地域の多様な農林水産資源を生かした産業づくりを推進するとともに、市町村等の創意工夫を生かした起業活動への取組みを支援して参ります。
 さらに、災害に強い漁業経営体の育成を図るため、漁業生産に意欲のある優良な経営者等の共済掛金に対し助成するほか、大型クラゲの大量出現により被害を受けた漁業者の経営安定を図るため、緊急特別対策資金の利子補給費に対する助成を行うことといたしております。
 次に、「『あおもりツーリズム』の推進」について御説明申し上げます。
 「新幹線で青森が変わる、新幹線で青森を変える」ためには、東北新幹線新青森駅開業を契機とした人的・物的交流の拡大を図っていく必要があります。
 このことから、平成十八年度、新たに「新幹線交流推進課」を設置するとともに、総合的な新幹線開業対策に全庁をあげて取り組んでいくことといたしております。
 その主な取組みとして、県内外の団塊世代を本県に環流・流入させるための受入体制の整備、県内温泉地を核とした観光や産業観光による誘客促進並びに介助が必要な観光客に対する受入体制の整備などを推進していくほか、本県の観光・物産・農林水産物の情報についても、より効果的・戦略的に発信していくことといたしており、観光や物産、交通等の事業者や県内各地域の皆様と一緒になった取組みの推進母体を組織し、新青森駅開業に向けた準備を進めることといたしております。
 青森空港については、計器着陸装置等の高カテゴリー化を絶好の機会として捉え、エアポートセールスを強力に推進するほか、ソウル便の増便対策をはじめ、より一層の国際化を目指した活動を展開していくことといたしております。
 このほか、三沢市の仏沼がラムサール条約湿地として登録されたことを記念したフォーラムの開催や十和田八幡平国立公園十和田地区指定七〇周年記念事業についても取り組んでいくことといたしております。
 次に、「青森の特性を踏まえた地域産業の振興」について御説明申し上げます。
 まず、先端型成長産業の創造・育成については、
 環境・エネルギー分野での新たな地域産業の創造と雇用の創出を図るため、環境・エネルギー産業創造特区やあおもりエコタウンプランの推進及び未利用エネルギーを活用した技術開発の支援を行うほか、本県のエネルギー関連産業の振興とエネルギー資源の有効活用による地域産業の活性化につなげていくため、エネルギー産業振興に関する具体的な取組方針を体系化・戦略化したエネルギー産業振興戦略を策定することといたしております。
 また、むつ小川原工業開発地区への液晶産業を中心としたフラットパネルディスプレイ関連産業の集積を目指すクリスタルバレイ構想を推進するとともに、医療分野における次世代型のフラットパネルディスプレイの実用化技術の開発に努めて参ります。
 さらに、津軽地域においても、優れた技術を持つ企業が数多くあり、これらの製品や技術を生かした青森発イノベーションの創出を促進して参ります。
 国際熱核融合実験炉(ITER)計画については、次世代炉の本県への誘致も念頭に置きながら、「国際核融合エネルギー研究センター」等幅広いアプローチの六ケ所村への円滑な立地推進に努めて参ります。
 次に、ローカルテクノロジーなどを生かした地域産業の振興については、
 医療・健康福祉関連産業の創出育成を図るとともに、「あおもり型農工ベストミックス」による新しい産業の創出を推進していくほか、豊富な農林水産資源を活用した食品やサプリメント等の開発に努めて参ります。
 また、マーケティング力や商品開発力等に秀でた大企業と連携し、本県中小企業の販路開拓及び新商品の開発を支援することといたしております。
 産業創出のための環境づくりについては、
 部局を横断した県の試験研究機関と県内の大学及び企業による産学官連携による共同研究開発を推進するほか、県内中小企業の戦略的な特許流通・活用を支援して参ります。
 産業振興のための人づくりについては、
 県内の産業界をはじめ教育機関、行政等が一体となって、「元気青森産業人」の育成に取り組むこととし、県内中小企業の若手技術者の育成や小・中学生を対象とした体験型の起業家教育研修をモデル的に実施することといたしております。

 第三は、「健やかで安心して暮らせる社会」についてであります。
 まず、「健康寿命アップの推進」については、
 県民の健康寿命の延伸を図るための県民健康づくり運動「健康あおもり21」の着実な推進を図るとともに、新たに、がんの予防対策の充実と誰もが標準的ながん医療を受けることができる環境づくりを推進することといたしております。
 次に、「医療サービスの充実」についてであります。
 私は、本県における慢性的な医師不足問題の深刻さに鑑み、これまで、高校生への職業教育や新たな修学資金制度を発足させるなどの医学部進学対策、必修化された臨床研修制度に的確に対応するための指導医の育成や研修医の増加促進、県外の医師が安心して本県で勤務できるための受け皿となる機構の設置など医師確保対策に精力的に取り組んできたところであります。
 平成十八年度は、これらの取組みの充実に加え、新たに医師確保のためのグランドデザインに基づき、県内の医育環境の充実に取り組むことといたしております。
 まず、県内の臨床教育水準の向上を図るため、海外と連携した臨床教育についての調査・検討を行うとともに、へき地医療に興味を持つ県内外の医学生を受け入れ、将来のへき地勤務医師の養成を図ることといたしております。
 また、県内で指導医が手薄な診療科を中心に、県外大学等の専門医師を地域の中核的な病院に派遣することにより、県内医師が年間を通じて高度な医療技術を習得できる機会を提供することといたしております。
 さらに、地域で医師を育成するシステムの構築や医師の勤務環境改善のために、県内自治体病院が行う優れた事業に対する助成を行うほか、地域医療問題についての普及啓発にも努めるなど、県と市町村とがパートナーとなって、優れた医育環境、そして医師が意欲をもって勤務できる環境の整備に強力に取り組んで参ります。
 産科医療の確保については、医学的な視点から、本県産科医療提供体制のあり方に関するビジョンを作成するほか、産科医療に関する県民理解の促進や産科医確保のための環境整備に努めて参ります。
 また、救急医療体制の充実強化については、救急医療に関する訓練を積んだ看護師を防災ヘリコプター等に搭乗させ、重篤な救急患者に対する速やかな救命措置等を行う体制の整備を図ることといたしております。
 県立病院に関しては、県立中央病院における臨床研修終了者の専門医資格取得に向けた研修環境を整備するほか、「県立病院改革プラン」に基づく改革を着実に進めていくための行動計画を策定するとともに、県立つくしが丘病院の施設整備に向けた実施設計を行うことといたしております。
 次に、「親と子の健やかな育ち合いの推進」については、
 次代を担う子どもたちが、命を大切にし、他人への思いやりを持ち、たくましく生きていけるよう、県民一体となった「命を大切にする心を育む県民運動」を県をあげて推進して参ります。
 また、少子化対策の一環として、不妊に悩む夫婦の経済的負担を軽減するため、特定不妊治療に要する費用の一部を助成するほか、育児と仕事の両立に向けた職場環境づくりに取り組むことといたしております。
 さらに、子どもを事故外傷から守るため、セーフティ・プロモーションの手法を取り入れた総合的な外傷予防対策を推進していくことといたしております。

 第四は、「環境と共生する循環型社会」についてであります。
 まず、「水と緑の自然環境づくり」については、
 水循環系に係る地域の問題の本質を解明し、その解決策や具体的な効果を示す水健全化プログラムを策定するとともに、県民参加による水循環健全化行動の促進を図るため、新たに水循環健全化によって向上する環境価値・便益の把握・評価に取り組むことといたしております。
 次に、「ゼロエミッションをめざす資源循環の推進」については、
 地域特性を生かしたバイオマス資源の利活用を図るため、専門家の指導・助言を得ながら民間事業者等の新たな取組みを支援していくほか、ほたて貝殻のリサイクル推進と水産資源の増大を図るため、ほたて貝殻の海域敷設による漁場づくりに向けたガイドラインの作成に取り組むことといたしております。
 また、照明や融雪施設等の道路施設へのエコエネルギー導入の可能性を検討するほか、下水道資源を新エネルギーとして利活用するための具体的方策について検討して参ります。
 次に、「廃棄物処理・公害防止対策の推進」については、
 県と産業界、関係団体等が協働して行う廃棄物の撤去作業体験キャンペーンや環境フォーラム等の不法投棄防止対策に対して助成することといたしております。
 また、県境不法投棄対策については、引き続き、不法投棄された産業廃棄物の撤去や遮水壁の建設等を進めるほか、新たに廃棄物本格撤去のための詳細計画及び詳細設計等に取り組むことといたしております。
 さらに、アスベストによる新たな健康被害を防止するため、建築物の解体等に係る監視強化など、アスベストの飛散防止対策を推進して参ります。

 第五は、「安全・安心で快適な社会」であります。
 まず、「安全・安心な生活環境づくり」については、
 県民の治安に対する不安感を取り除き、犯罪のない安全で安心して暮らすことができる地域づくりを進めていくためには、防犯意識の向上に基づいた人々の自主的な活動と犯罪が発生しにくい環境の整備が重要であります。
 このため、県民一人ひとりが防犯意識を高め自主防犯活動に取り組めるよう、防犯ガイドブックや防犯指針を作成・配布するとともに、県民の関心と理解を深めていくための取組みを推進していくことといたしております。
 なお、関係条例案として、今回、議案第十九号「青森県犯罪のない安全・安心まちづくり推進条例案」を提案いたしておりますので、よろしくお願いいたします。
 また、登下校時における児童生徒の安全を確保するため、地域ぐるみの学校安全体制の整備に取り組むほか、子どもの健全育成と被害防止を図るため、子どもを犯罪から守る地域力の向上に努めていくことといたしております。
 次に、「災害に強い地域づくり」については、
 「日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法」に基づき、津波からの防護及び円滑な避難の確保に関する事項等について定めた推進計画を作成するとともに、津波による人的・物的被害の最小化を図るための津波浸水予測図の作成及び既存施設の実態調査に取り組むことといたしております。
 また、新型インフルエンザの発生・流行に備え、抗インフルエンザウイルス薬を購入し、県内に備蓄することといたしております。
 次に、「原子力安全対策の推進」について申し上げます。
 本県における原子燃料サイクル事業及び原子力発電については、資源小国である我が国ではエネルギーの安定供給が不可欠との観点から、安全確保を第一義に国策に協力して参りました。
 県としては、県民の安全、安心を確保するという立場から、これまでも立地村とともに事業者と安全協定を締結して、環境の監視を行うとともに、施設への立入調査を実施するなど、県民の安全と安心に重点を置いた対応をすべく、安全確保を第一義に取り組んできているところであり、今後ともこの姿勢を堅持して参ります。
 次に、「交流を支える基盤づくり」について御説明申し上げます。
 まず、ITの活用による県民生活の向上については、
 現在、青森市、五所川原市において、我が国のユビキタス技術の最先端を行く実証実験が進められておりますが、来年度も引き続き、ユビキタスネットワーク社会の実現に向けて、電子タグ等の新しい情報通信技術の利活用推進のための調査・検討を行うほか、携帯端末による総合交通情報システムの構築に向けた検討を行うことといたしております。
 また、各種申請・届出等の行政手続のオンライン化については、平成十九年度のできるだけ早い時期からの運用を目指し、準備を進めて参ります。
 次に、交通ネットワークの整備についてであります。
 まず、平成十八年度の東北新幹線八戸・新青森間の整備に係る予算配分については、前年度とほぼ同程度の規模となっております。
 八戸・新青森間については、既に平成十六年十二月の政府・与党申し合わせで「平成二十二年度末の完成を目指す」ことが決まっておりますが、本区間は工事を進めるための環境が整っていることから、今後の予算配分の状況によっては開業時期をさらに早めることが十分に可能であると受けとめており、今後とも、県議会の皆様方のお力添えをいただき、政府・与党をはじめとした関係機関への働きかけを進めていきたいと考えております。
 次に、青森空港については、昨年四月に三〇〇〇メートル滑走路が供用開始されたほか、同十二月には約千台の車が収容可能な立体駐車場も暫定供用されるなど、安全性や利便性の一層の向上が図られてきており、さらに、就航率向上の有効な手段である計器着陸装置等の高カテゴリー化についても、平成十八年度末の供用開始に向けて整備を進めて参ります。
 また、道路整備については、津軽自動車道や下北半島縦貫道路及び一般国道四五号上北道路の早期整備が図られるよう国に強く働きかけていくほか、主要幹線ネットワークの整備促進に努めて参ります。

 最後に、「五つの社会像を実現するための仕組みづくり」について御説明申し上げます。
 まず、「男女共同参画の推進」については、
 国の男女共同参画基本計画の改定に合わせて、あおもり男女共同参画プラン21を改定し、県民に周知するとともに、青森県男女共同参画推進条例に基づく苦情処理体制を整備することといたしております。
 次に、「社会参加と協働の推進」については、
 NPO団体の経営体制の強化を図るため、一貫したカリキュラムによる専門的・総合的な講座を開催するほか、県民主体による地域づくり活動を効果的に展開していくため、県民による地域の暮らしやすさの評価と協働による取組みを支援して参ります。
 続いて「市町村発・元気なあおもりづくり」について御説明いたします。
 時代の転換期にある市町村の地域づくりについては、先に申し上げました趣旨で、総合的な支援を行うこととし、その柱の一つである市町村の自主的な地域づくりに対する補助制度として、総額二億円の「市町村発・元気なあおもりづくり支援事業費補助」を創設することといたしております。
 以上が、平成十八年度の主要施策の大綱であります。

 次に、歳入予算の主なるものについて御説明申し上げます。
 県税については、地方税制改正の内容、本県経済の動向等を踏まえ、千二百五十七億二百四十余万円を計上いたしております。
 地方消費税清算金については、地方消費税の都道府県間における清算金二百八十五億七千五百九十万余円を計上いたしております。
 地方交付税については、原資総額の伸び率及び国の算定方針を基礎に、過去の交付実績等を勘案して普通交付税の交付見込額を推計したうえで、当初予算において二千二百一億九千百万円を計上したほか、特別交付税については、三十六億円を計上いたしております。
 県債については、地方債計画、その運用方針等を勘案して積算のうえ、九百三十七億千五百万円を計上いたしております。
 繰入金については、厳しい財政状況等に対処するため、財政調整基金から四十億円、県債管理基金から九十億円、公共施設等整備基金から十億円及び地域振興基金から十九億円をそれぞれ繰り入れることといたしております。
 このほか、国庫支出金等については、主として歳出との関連において計上いたしております。
 以上が、「平成十八年度青森県一般会計予算案」の概要であります。
 このほか、上程されました議案の主なるものについて御説明申し上げます。
 議案第二号から議案第十八号までは、青森県公債費特別会計等の特別会計及び青森県病院事業会計等の企業会計に係る予算案であります。
 議案第二十六号「職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例案」は、平成十七年十月十一日付けの青森県人事委員会からの職員の給与等に関する報告及び勧告に基づき、職員の給料月額並びに勤勉手当及び期末特別手当の額を改定し、昇給制度を改め、調整手当を地域手当に改める等の改正を行うものであります。
 議案第二十八号「職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例案」は、国家公務員退職手当法の改正に準じ、退職手当の額を基本額に調整額を加えた額とし、基本額の支給率を改定する等の改正を行うものであります。
 議案第四十四号「青森県肢体不自由児・重症心身障害児施設条例の一部を改正する条例案」は、県立さわらび園を重症心身障害児施設とするとともに、肢体不自由児・重症心身障害児施設の名称等を改め、障害者自立支援法の施行に伴う所要の整備を行う等の改正を行うものであります。
 議案第六十三号「警察署の名称、位置及び管轄区域に関する条例の一部を改正する条例案」は、大鰐警察署及び金木警察署を廃止し、これらの管轄区域をそれぞれ黒石警察署及び五所川原警察署の管轄区域とし、市町村の合併に伴い警察署の名称及び管轄区域を変更する等の改正を行うものであります。
 議案第六十八号「青森県社会福祉研修所条例を廃止する条例案」及び議案第六十九号「青森県母子福祉センター条例を廃止する条例案」並びに議案第七十一号「青森県青年の家設置条例を廃止する条例案」は、いずれも青森県行政改革大綱に基づき、施設を廃止するものであります。
 議案第七十六号「公の施設の指定管理者の指定の件」は、青森県武道館の指定管理者を指定するものであります。
 議案第八十一号「青森県教育委員会委員の任命の件」は、青森県教育委員会委員花田隆則氏の任期が来る三月三十一日をもって満了いたしますので、後任の委員として田村充治氏を任命いたしたく、御同意を得るためのものであります。
 議案第八十二号「青森県人事委員会委員の選任の件」は、青森県人事委員会委員虎谷一郎氏の任期が来る三月三十一日をもって満了いたしますので、後任の委員として工藤一雄氏を選任いたしたく、御同意を得るためのものであります。
 議案第八十三号「青森県収用委員会予備委員の任命の件」は、青森県収用委員会予備委員一人が欠員となったので、後任の予備委員として赤津重光氏を任命いたしたく、御同意を得るためのものであります。
 その他の議案につきましては、各議案の末尾に記載されている提案理由等のとおりであります。

 さて、時代は今、ものすごいスピードで変化しています。
 こうした中で、青森県の未来を切り拓いていくためには、時代の潮流がもたらす変化に敏感に反応し、現状を変革していく不断の努力が必要であります。
 宮本武蔵の「五輪書」に「千里の道もひと足ずつはこぶなり」とあります。
 私は、この言葉を胸に刻みつつ、前途がいかに厳しく困難な道であろうとも、歩みを休めることなく、暮らしやすさのトップランナーを目指して一歩一歩着実に前進していく決意であります。

 以上をもちまして、県政の運営に関する所信を申し述べるとともに、提出議案の概要について御説明申し上げたところでありますが、議事の進行に伴い、御質問に応じ、本職をはじめ関係者から詳細に御説明申し上げたいと思います。
 なにとぞ、慎重御審議のうえ、原案どおり御議決、御同意並びに御承認を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、この機会に議長のお許しを得て、今冬の豪雪による被害の概況及びその対策について御報告申し上げます。
 御承知のとおり、昨年十二月から今月にかけて大陸からの強い寒気が断続的に日本上空を覆い、本県でも青森市や弘前市をはじめとして県内各地に記録的な豪雪をもたらしました。
 この豪雪に対処するため、県は、二月六日に豪雪対策本部を設置して、道路交通確保のための除排雪の計画的実施をはじめ、りんご樹、ハウス等の被害防止に関する指導の強化など諸般にわたる対策を講ずるとともに、県として除排雪に要する経費十億円余を専決処分したほか、県及び市町村の除排雪経費に対する国の財政措置等について、関係省庁に対し、要請を行ったところであります。
 今回の豪雪による被害は、二月二十一日現在で、屋根の雪下し作業中の転落事故等による人的被害において、死者七名、負傷者百六十八名に達したのをはじめ、県内で住家の一部損壊が十九棟、青森市及び弘前市で流雪溝等の溢水による住家の床下浸水七棟、県内各地で農業用ハウスの損壊が八十三棟などとなっております。このほか、JR等の公共交通機関が運休するなどし、大幅にダイヤが乱れるなど、間接的被害も甚大で、県民生活に大きな混乱をもたらしたところであります。
 このたびの豪雪により不幸にして尊い生命を失われた方々の御冥福をお祈り申し上げるとともに、御遺族の方々に深く哀悼の意を表します。また、被害にあわれた方々に対し心からお見舞いを申し上げます。
 なお、豪雪はまだ予断を許さない状況であります。また、これから春先にかけて、なだれや融雪災害等の発生が危惧されるところでもあり、引き続き関係機関との連携を密にしながら、防災対策に万全を期して参ります。
 以上、御報告といたします。

第二百四十五回定例会追加提出議案知事説明要旨(平成18年2月)

 ただいま上程されました議案の主なるものについて、その概要を御説明申し上げ、御審議の参考に供したいと思います。

 まず、議案第八十四号「平成十七年度青森県一般会計補正予算案」について御説明いたします。
 今回の補正予算は、県営住宅に係るアスベスト等対策工事に要する経費、青森中核工業団地の分譲価格の値下げ等に対処するための県土地開発公社に対する助成に要する経費、今冬の豪雪災害により亡くなられた方々の御遺族に対する災害弔慰金の支給に要する経費、県管理道路及び青森空港の除雪に要する経費等について、それぞれ所要の予算措置を講ずることといたしたものであります。
 また、現年発生災害の発生状況に応じた災害公共事業費の減額のほか、去る二月三日に成立した国の補正予算に係る公共事業関係費等について、所要の予算措置を講ずることといたしました。
 さらに、後年度の財政負担の軽減を図るため、県債の繰上償還に要する経費を計上したほか、県債管理基金について所要の積立てを行うことといたしたものであります。
 その結果、今回の補正予算額は、歳入歳出とも三十四億三千二百九十余万円の減額となり、これと既決予算額とを合計いたしますと、平成十七年度青森県一般会計の予算規模は、七千四百四十八億五千八百九十余万円となります。

 以下、計上の主なるものについて御説明申し上げます。
 はじめに、国の補正予算関連経費について申し上げます。
 まず、一般公共事業費については、国からの割当見込額に基づいて、三十一億五千百二十余万円を計上するとともに、四十二億二百七十余万円の債務負担行為を設定し、合計で七十三億五千三百九十余万円を予算措置いたしました。
 そのうち、歳出計上分の主なるものとして、
 道路関係では、国県道道路補修事業費等十五億五千六百万円、
 河川海岸関係では、総合流域防災事業費等五億六千二百万円、
 港湾空港関係では、港湾高潮対策事業費等三億八千八百万円、
を計上いたしております。
 また、債務負担行為分の主なるものとして、道路関係十五億七千万円、漁港漁場関係六億五千六百万円、港湾空港関係六億二千九百五十万円、河川海岸関係四億四千六百万円を設定いたしております。
 国直轄事業負担金については、河川海岸国直轄事業負担金等十二億二十万円を計上いたしております。
 国庫補助事業費については、アスベスト対策関連経費として一億四百九十余万円を計上いたしております。
 また、特定資金公共投資事業債の繰上償還に要する経費三十七億七百二十余万円を計上いたしております。
 以上の結果、国の補正予算関連経費の総額は、百二十三億六千六百三十余万円、うち本年度歳出予算額は八十一億六千三百五十余万円、債務負担行為の設定に係るものは四十二億二百七十余万円となっております。

 次に、国の補正予算関連経費以外の経費について申し上げます。
 まず、公共事業関係費については、国からの割当決定額等に基づき、各事業費についてそれぞれ増減調整のうえ、一般公共事業費においては二十三億四千八百四十余万円、国直轄事業負担金においては災害に係る負担金を含め三億千二百三十余万円を減額計上いたしておりますが、先ほど申し上げました国の補正予算関連経費に係る歳出計上分と合わせると、それぞれ八億二百七十余万円、八億八千七百八十余万円の増額となっております。
 また、災害公共事業費においては、現年発生災害復旧費を中心に三十億五千七百三十余万円を減額計上いたしております。
 なお、一般公共事業費のうち、今冬の豪雪に対処するため、県管理道路の除雪に要する経費として三億五千四百万円を計上いたしております。
 以下、公共事業関係費以外の計上の主なるものについて、款を追い、御説明申し上げます。
 総務費については
 総務管理費において、「中期的な財政運営指針」に基づき、でき得る限りの基金の復元等を図るため、県債管理基金積立金二十四億九千五百七十余万円を計上いたしました。
 民生費については
 災害救助費において、今冬の豪雪災害により亡くなられた方々の御遺族に対し、市町村が災害弔慰金を支給するのに要する経費に対する負担金九百三十余万円を計上いたしました。
 環境保健費については
 公害対策費において、アスベストを使用した建築物の解体工事等に対する監視及び大気モニタリング調査の実施に必要な機材等の整備に要する経費五百五十余万円を計上いたしました。
 商工費については
 商工費において、独立行政法人中小企業基盤整備機構と県が共同で整備した青森中核工業団地の分譲価格の値下げ等に対処し、県の業務を代行する県土地開発公社に対し価格差補てん等の措置を講ずるための助成に要する経費六億円を計上いたしました。
 土木費については
 土木管理費において、東北新幹線鉄道整備事業費負担金一億八千四百余万円を計上いたしました。
 また、空港費において、今冬の豪雪に対処するため、青森空港の滑走路等の除雪に要する経費一億三千二百万余円を計上いたしました。
 さらに、住宅費において、アスベスト等の使用が確認された県営住宅の改修費七千三百五十余万円を計上いたしております。
 公債費については、県債の繰上償還に要する経費四十八億五千七百九十余万円を計上したほか、既計上の公債費の精査による減少額との調整を行ったうえで所要額を計上いたしました。
 以上が歳出予算の概要であります。

 次に、歳入について申し上げます。
 今回の補正予算の主なる財源としては、主として歳出との関連において、国庫支出金、諸収入、県債等について、それぞれ増減額を調整のうえ計上したほか、県税については、法人事業税等の増収見込額と核燃料物質等取扱税等の減収見込額を合わせた二十六億九千五百二十余万円を計上するとともに、地方消費税清算金について九千三百九十余万円を減額計上いたしました。
 また、普通交付税については、交付決定額と既計上額との差額三十八億八千二百三十余万円を計上いたしております。
 以上が「平成十七年度青森県一般会計補正予算案」の概要であります。

 このほか、上程されました議案についてでありますが、議案第八十五号から議案第九十八号までは、特別会計十件及び企業会計四件の予算補正に係るものであります。
 議案第百八号「中核市の指定に係る申出について同意するの件」は、青森市の中核市の指定に係る申出について同意するためのものであります。
 その他の議案については、各議案の末尾に記載されている提案理由のとおりであります。
 以上、提出議案の概要について御説明申し上げましたが、議事の進行に伴い、御質問に応じ、本職をはじめ関係者から詳細に御説明申し上げたいと思います。
 なにとぞ、慎重御審議のうえ、原案どおり御議決を賜りますようお願い申し上げます。

 なお、この機会に議長のお許しを得て、青森県住宅供給公社旧役職員等に対する損害賠償請求訴訟について御報告申し上げます。
 平成十三年十月に発覚した県住宅供給公社元職員による巨額横領事件に関し、横領期間中に公社役職員等の任にあった県幹部職員等十九名に対して、平成十四年五月二十三日に公社が提起した損害賠償請求訴訟については、本年一月十二日をもって結審し、去る二月二十八日、青森地方裁判所において、判決が言い渡されたところであります。
 判決内容は、被告十九名のうち当時の直属の上司等五名について、善管注意義務違反があったと認め、合計四千二百三十余万円及びこれに対する遅延損害金の支払いを命ずるものであります。
 この判決につきまして、県としては、司法の判断として重く受け止めております。
 原告である公社では、三月一日に理事会を開催し、この判決に対する対応を理事長へ一任する旨の決議をしたと聞いております。
 現在、公社において、判決内容を精査し、対応を検討しているところであり、控訴期限の三月十四日までに対応を決定するものと聞いておりますので、今後の推移を注視して参りたいと考えております。
 以上、御報告といたします。

過去の議会説明要旨

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