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更新日付:2024年3月14日 広報広聴課

知事記者会見(臨時)/令和6年2月20日/令和6年度当初予算

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知事記者会見録

会見日時:令和6年2月20日火曜日 15時15分~16時30分
会見場所:県庁西棟8階中会議室
会見者:宮下知事

〇知事
 10月からかれこれ5か月かけて、来年度の予算編成に取り組んできました。本日いよいよ発表できることを非常に嬉しく思います。こちらはあくまでも案ですので、議会でしっかりと説明して、決定していただき、県政に送り出していきたいと考えています。身の引き締まる思いで会見に臨ませていただきますので、ぜひ報道機関の皆さんからも県民目線で活発に質問いただきたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、令和6年度当初予算案についてご説明します。
<予算計上額>
 年間総合予算として編成した令和6年度一般会計当初予算の規模は7,022億円であり、275件、60億円余の既存事業の廃止・見直しを行った上で積極的な事業構築を図りました。これに加えて、公共事業関係費や施設整備費等が増となった結果、7,000億円を上回る規模となりました。令和5年度当初予算との対比では362億円、4.9パーセントの減となっていますが、新型コロナ関連経費の減を除けば実質的なプラス予算となっています。

<基本的な考え方>
 令和6年度当初予算においては、青森県物価高騰緊急対策本部での検討、県民対話集会「#あおばな」で寄せられた県民の皆さまからの声、青森県教育改革有識者会議や青森県こども未来県民会議の意見・提言なども踏まえ、青森新時代を切り拓くための施策を本格的に展開しています。
 青森県基本計画に掲げる7つの政策テーマに基づく各種施策を推進するとともに、最重要課題であるこども・子育て「青森モデル」の実現に向けた支援策の充実、本県の将来を見据えた教育改革への推進、各分野におけるDXの加速、直面する物流の2024年問題や物価高騰への対応等に重点的に取り組んでいきます。
 また、各種財源の確保や有効活用などにより、当初予算において財政調整用基金の取崩額をゼロとする収支均衡を継続するとともに、県債残高についても着実に縮減することとしました。

<令和6年度歳入予算の概要>
 一般財源総額につきましては、前年度並みの額を確保しました。なお、県税につきましては、核燃料物質等取扱税の充実などにより前年度を上回りました。また、国庫支出金につきましては、新型コロナウイルス感染症対策関連の交付金の減などにより、前年度を大幅に下回りました。

<令和6年度歳出予算の概要>
 投資的経費のうち、普通建設事業費につきましては、公共事業関係費や自然災害に備えたインフラの機能強化、県有施設の老朽化対策などの増により前年度を上回っております。
 なお、その他の経費のうち、物件費、補助費等および貸付金が前年度を大幅に下回っているのは、主に新型コロナウイルス感染症対策関連経費の減によるものです。

<財政調整用基金の状況>
 当初予算における財政調整用基金の取崩額は8年連続でゼロとなり、収支均衡を継続しました。

<県債発行額と県債残高の状況>
 県債発行額は増となりましたが、償還の進捗により、県債残高は平成22年度をピークに14年連続で減となる見込みです。

 次に、主要な事業について、基本計画に掲げる「しごと」、「健康」、「こども」、「環境」、「交流」、「地域社会」、「社会資本」の7つの政策テーマに沿ってご説明します。
 まず、1つ目の柱、最重要課題である「しごと」では4つの政策について、142事業、739.6億円を計上しています。地域経済の持続的な発展と若者の県内定着に向けて最も大切なのは県民の皆さまの所得向上です。多様な仕事と安定した収入があれば、若い世代が夢や希望を持って道を選ぶことができます。
 そこで、まず「若者を惹きつけるしごとづくり」のため、
〇誘致企業への補助要件の緩和と2024年問題に対応した物流枠の創設
〇産学官の連携による若者の県内定着促進に向けた協議会の設置や、学校と企業の連携促進
〇UIJターンによる創業等の支援対象となる移住者の全国への拡大
などに取り組みます。
 「地域経済の成長を支える県内産業の競争力強化」では、
〇企業のスタートアップ創出に向けたネットワークの拡充
〇革新的技術の発掘・磨き上げ、企業との結び付けによる事業化支援
〇脱炭素化と生産力向上につながる設備や自家消費型太陽光発電設備等の導入への支援
などに取り組みます。
 「豊かさを実感できる力強い農林水産業の実現」に向けて、
〇県産品情報サイトの刷新や、全国へのブランド発信強化、販売促進活動の展開
〇産業技術センターりんご研究所について、人材育成や情報発信機能を強化した「りんごイノベーションセンター」として整備
〇超プレミアム米や超低コスト米の生産
〇ホタテガイ100億円産業の恒久化に向けた生産、経営、販売・輸出等の総合的な戦 略策定、採苗不振や高水温被害に対応した生産技術の確立
などに取り組みます。
 「産業を支えるDXの実現」に向け、
〇DX総合窓口の運営による事業者支援や農業分野でのDX推進
などに取り組みます。

 今回の当初予算の大きなテーマである「物流の2024年問題・物価高騰への対応」については、65.9億円を計上しました。これまで、物流の2024年問題については、国に対しても実情に応じた制度の運用などについて要望を行っています。また、物価高騰に対しては、9月補正予算において、影響を大きく受ける子育て世帯への支援のほか、市町村への支援など、国に先駆けて緊急対策を講じたところです。
 今回の当初予算では、
〇特別保証融資制度による金融支援
〇中小企業の脱炭素化設備の導入や、製造業における太陽光発電設備等の導入に対する支援
〇生産性向上のためのスマート農業機械導入への支援
〇効率的な農林水産物の物流体制の構築
〇デジタル技術を活用した土壌診断と肥料コストの低減
〇飼料価格高騰に対応した高能力乳用牛の生産支援
などにより、社会経済情勢の変化に対応し、事業構造の転換を図る事業者の皆さまの取り組みを後押しすることとしています。

 次に、2つ目の柱「健康」についてでは、4つの政策について67事業、80.2億円を計上しました。
 「高齢者や障がい者が安心して暮らす共生社会の実現」に向けて、
〇介護ロボットやICT等のテクノロジー導入による介護現場の生産性向上への支援
〇高齢者のフレイルを予防し、生きがいを持って生活していくためのつどいの場への参加促進
〇パーキング・パーミット制度の創設
などに取り組みます。
 本県の平均寿命は着実に延伸しているものの、全国と比較すると依然差があり、健康寿命の改善は道半ばと言えます。
 そこで、「がんの克服をめざす体制づくり」のため、
〇精密検査の受診率向上に向けた市町村との連携によるがん初回精密検査への費用助成
〇託児スペースの設置など、がん検診を受けやすい環境の整備や相談支援体制の構築
などに取り組みます。
 「持続可能な地域医療サービスの整備」では、
〇本県の医療を支える人材の確保に向けた医師・看護師の修学資金の大幅な拡充
〇モバイルICTによる救急医療情報のネットワーク化やへき地等のオンライン診療支援
〇新興感染症に的確に対応するためのマニュアル整備、模擬訓練の実施
〇救急医療相談に対応するための専門家による電話相談窓口、救急安心センター♯7119の開始
などに取り組みます。
 「県民一人ひとりの健康づくりの推進」のため、
〇県民のライフステージに応じた食育の推進や「ふるさと産品給食の日」に合わせた県産食材のPR・啓発
〇自殺防止に向けたSNSによる悩み相談体制の拡充
などに取り組みます。

 次に、3つ目の柱「こども」では、3つの政策について、98事業、271.8億円を計上しました。
 「希望と喜びを持って子育てできる環境づくり」に向けて、
〇本県の合計特殊出生率2以上をめざすこども・子育て「青森モデル」の推進
〇市町村が行う就学前児童の医療費助成への支援
〇結婚応援、市町村と連携したマッチング支援
などに取り組みます。
 「あおもりの未来をつくるこどもたちのための学校教育改革」のため、
〇高校生、県内外大学生に対する青森の価値や魅力の発信、地域・企業との交流
〇グローバル人材の育成に向けた高校生等の海外体験の推進
などに取り組みます。
 「こども・若者に届く包括的な支援の充実・強化」のため、
〇ひとり親家庭に対する総合的な支援体制の強化
〇医療的ケア児やヤングケアラーに対する支援体制の構築
〇こども食堂などの居場所づくりを推進するため、関係者のネットワーク強化や食材提供を行う農産物生産者の掘り起こし
などに取り組みます。

 「青森モデル」の推進につきましては、21.7億円を計上しました。女性や子育て世代等との対話を通じて政策を企画立案していくため、昨年8月に青森県こども未来県民会議を立ち上げました。これまで2回の会議とワークショップを開催し、さまざまな環境、年齢層の方からご意見を伺いました。その中で、少子化の要因として、結婚・出産に踏み切るための若者の所得向上や子育て費用の負担軽減についてのご意見がありました。
 若者の所得向上については、政策テーマ「しごと」においてさまざまな施策に取り組んでいきますが、子育て費用の負担軽減については市町村と連携して新しい支援を行うこととしました。
〇子育て世代が幅広く恩恵を受けられるよう、小・中学校の給食費の無償化を最優先とした子育て費用無償化のための市町村交付金の創設
〇不妊治療の自己負担に対する支援
などに取り組みます。
 なお、これらについては年度途中での制度開始となることから、平年度化する令和7年度以降に要する経費としては、合計で41.8億円となる見通しです。単年度の措置ではなく、今後もこうした政策を続けていきたいと考えております。
 このほか、国の「こども未来戦略」で掲げた、「加速化プラン」に対応し、
〇市町村が行う妊婦から低年齢期の子育て家庭への伴走型相談支援や出産育児関連用具の購入費助成への支援
〇全市町村におけるこども家庭センターの設置に向けた支援
などに取り組みます。

 学校教育改革の推進につきましては、30.9億円を計上しました。昨年7月に青森県教育改革有識者会議を設置し、活発なご議論を行っていただきました。
 先月頂いた提言におきまして、
・学校の働き方改革、教職員のウェルビーイング向上
・教育DX、学びの環境アップデート
・学校の経営力強化
の3つを柱とした今後の教育改革の方向性をお示しいただいたところです。
 この提言を踏まえ、
〇教員の業務負担軽減に向けた全ての公立小・中学校へのスクールサポートスタッフの配置
〇公立中学校における部活動指導員の配置拡充と部活動の地域クラブ移行に向けた体制整備
〇公立小・中学校の働き方改革に向けた環境整備や学校運営のコンサルティング支援
〇県立学校におけるデジタル教材の活用、ICT教育サポーターの配置や自動採点システム等のDX推進
〇小・中学校全学年における1学級を33人以下とする県独自の少人数学級編制の実施
〇特別支援学校の医療的ケア看護職員の配置拡充などの受け入れ体制強化
など、教育委員会において可能な施策からスピード感を持って着手していくこととしております。

 次に、4つ目の柱「環境」では、5つの政策について、59事業、81.7億円を計上しました。
 「再生可能エネルギーの共生と環境配慮型ビジネスの推進」では、
〇地域エネルギーの活用による課題解決のモデルづくりと人材育成
〇「自然環境と再生可能エネルギーとの共生構想」を踏まえた制度の構築や、条例の制定
などに取り組みます。
 「カーボンニュートラルに向けた脱炭素社会の実現」に向けて、
〇ブルーカーボンクレジット認証の仕組みづくり
〇住宅向け太陽光発電設備等の導入や、断熱・気密性能を備えた住宅の新築・リフォームへの支援
〇低コスト再造林と集約化への支援、林業ベンチャーの育成や企業等による森林経営の促進
などに取り組みます。
 「資源効率の高い循環型社会の実現」に向けて、
〇食品廃棄物やホタテ養殖残さなどの地域資源の循環利用システムの構築
〇大規模災害時の廃棄物発生に備えた仮置場の設置や運営訓練の実施
などに取り組みます。
 「豊かな自然環境の継承」では、
〇世界遺産白神山地30周年を契機としたアウトドアブランドとの連携によるアクティビティの充実強化や国内外への情報発信
などに取り組みます。
 このほか、「原子力施設の安全確保対策と原子力防災対策の充実」を図ります。

 次に、5つ目の柱「交流」では4つの政策について、80事業、88億円を計上しました。
 「国内外とつながる観光の推進」では、
〇インバウンド需要の拡大、サステナブル観光やアウトドアスポーツツーリズム、平日閑散期対策など新たな旅行需要の獲得
〇データ分析に基づく誘客など、観光DXの推進とクロスメディアによる情報発信
などに取り組みます。
 「輸出・海外ビジネスの拡充と物流の確保」に向けて、
〇航空機材小型化への対応を通じたA!Premiumの利用促進
〇商社、経済団体等と連携した輸出拡大
〇県産ホタテの輸出先転換
など、輸出のメインターゲットとしてきた東アジア・東南アジアの取組を強化するとともに、欧米に対する取組を推進していきます。
 「国際交流の推進」では、
〇在留外国人向けの日本語学習デジタルコンテンツの開発や交流機会の提供
〇海外の協定締結地域等との交流
などに取り組みます。
 暮らしと交流、経済の循環をさせるのは交通ネットワークです。人口減少や車社会の進展に加え、物価高騰や人手不足など地域交通を取り巻く環境は厳しさを増していることから、デジタルの活用や行政と地域の連携による新しい取組を展開していく必要があります。
 そこで「暮らしの交流を支える交通ネットワークづくり」では、
〇過疎地域や半島地域における移動手段の確保に向けたライドシェアのモデル導入支援や地域公共交通におけるDXの推進
〇国内線の需要拡大や国際線の再開・安定運航に向けた支援
〇航路や民営鉄道の維持に取り組む関係市町村への支援
などに取り組みます。

 次に、6つ目の柱「地域社会」では、3つの政策について86事業、240.4億円を計上しました。人口減少・少子高齢化が進展する中で、地域社会をどのように維持させていくかが、本県の大きな課題であります。
 「元気な地域づくり・人づくり」では、
〇20~30代をメインターゲットとした情報発信や企業・市町村との連携によるUターン促進
〇あおもり型農村RMOの実現に向けた地域経営体等の育成や農泊受け入れ強化
〇核燃税交付金のリニューアル
などに取り組みます。
 「文化・スポーツの振興」では、
〇老朽化している県営野球場の移転整備に向けた検討および基本計画の策定
〇2026年に本県開催となる国スポ・障スポの競技施設整備等の準備や、競技力向上に向けた選手・団体への支援
〇この春にJR青森駅東口ビル内にオープンする「青森の縄文遺跡群」の情報発信拠点施設を活用した県内構成資産への来訪・周遊の促進
〇県立美術館作品の海外展開のための調査、提案
などに取り組みます。
 「安心で快適な生活基盤づくり」に向けて、
〇特殊詐欺被害防止、中高生の性犯罪被害防止のための啓発
〇食の安全確保に向けた獣医師修学資金の拡充等による県獣医師職員の確保
などに取り組みます。

 次に、7つ目の柱「社会資本」では、3つの政策について63事業、661.5億円を計上しました。今回の能登半島地震の状況を受け、自然災害に備えたインフラ整備の重要性と必要物資の備蓄など災害時の備えの重要性を改めて認識しました。
 そこで、まず「安全・安心な県土づくりを推進する社会基盤の整備」では、公共事業において激甚化・頻発化する風水害や地震災害から県民の皆さまを守るため、
〇道路橋梁など防災・減災、国土強靭化の推進
〇河川整備等の流域治水対策やダム整備の推進
などに取り組みます。
 加えて、国の公共事業の対象とならない道路、河川、港湾についても緊急的な安全対策を集中的に行います。
 このほか、下北半島を横断する泊陸奥横浜停車場線の通年通行化や、主要地方道今別蟹田線の小国峠区間の平坦化について事業化を見据えた取組を進めていきます。
 「産業・交流を支える社会基盤の整備」として、
〇津軽自動車道や下北半島縦貫道路をはじめとする主要幹線道路ネットワークの整備
〇農業農村整備や漁港漁場整備など、農林水産業の持続的な発展を支える生産基盤の整備
〇青森港油川埠頭の基地港湾機能や、津軽港のO&M(保守・管理拠点)港利用等に向けた整備
などに取り組みます。
 「防災・減災の推進や危機管理機能の向上」では、
〇大規模災害に備えるため、市町村と連携して行う津波避難訓練や備蓄および災害時受援体制の強靭化
〇防災士のスキルアップや消防団員確保に向けた消防団員カードによるPR
などに取り組みます。

 これまで、それぞれの政策テーマにおける取組の中でも申し上げてきましたが、DXの加速化に向けて、「産業・しごと」、「暮らし・まち」、「行政経営」の各分野における取組を推進していきます。
 さまざまな場面でDXの進展が必要とされる中で、企業・団体等の各主体をけん引する県庁DXを強力に推進していく必要があります。県庁の生産性向上を図るため、ペーパーレス会議システムの導入や庁内無線LANの整備など、時間や場所を選ばない柔軟な働き方を推進していきます。県庁内の各種業務を再構築するとともに、市町村DXの推進に向けて取り組んでいきます。
 以上が、令和6年度当初予算の概要であります。

 最後に、一体編成した令和5年度2月補正予算の概要についてご説明します。
 今回の補正予算額は60億円余であり、これを現計予算に加えますと、令和5年度一般会計予算の規模は8,026億円余となります。「デフレ完全脱却のための総合経済対策」に係る国の補正予算に対応するため、所要の予算措置を講ずることといたしました。
 補正予算の歳出の主なものとしては、
〇国からの割当見込額に基づく公共事業関係費の増額
〇介護職員の処遇改善に対する支援
〇食材料費高騰の影響を受ける医療・福祉施設等に対する支援
などを計上しました。
 以上が令和5年度2月補正予算案の概要です。

【質疑応答】
〇記者
 予算案全体について、さまざまな事業がありますが、これらの予算の執行や事業の展開によって、どういう青森県の未来像を実現したいか、お考えをお聞かせください。

〇知事
 端的に言うと、「若者が、未来を自由に描き、実現できる青森」をめざしていきたいと考えています。若者がその夢を実現できることによって、ほかの世代の方々もハッピーになる社会のイメージです。仕事をしている現役世代がこどもたちを支え、そしてさらに上の世代を支えていくことになります。やはり主役となるのは、生産年齢人口の世代であって、その若者たちがしっかりと定着して戻ってくる青森県を実現して、青森県全体が活性化することを目標に予算編成をしました。

〇記者
 先ほどの知事からの説明の中で、新しい協議会を設立するとのことでしたが、若者の県内定着に向けて、新年度はどのような位置付けとしたいとお考えでしょうか。

〇知事
 私が一番期待している事業でもあります。協議会を設立したからといって、若者の定着・還流が促進されるわけではありません。まずは県内の全ての大学と連携して、現状をしっかりと把握することから始めて、若者が定着するために、具体的に各主体が自立して動いていくところまで実現しないと、なかなかうまくいかないと思います。そのスタートを切る予算、事業になることを期待しています。

〇記者
 知事の肝いりとも言えるこどもへの投資について、「青森モデル」と教育改革はどんな思いで生まれたのでしょうか。

〇知事
 まず「青森モデル」については、今年の10月頃までにしっかりと提示したいと考えています。それに先立って、こども未来県民会議や教育改革有識者会議を開催しています。こどもたちへの投資は、青森県の未来への投資そのものです。こどもたちが、若者になって私たちや私たちの上の世代を支えてくれます。そしてさらに下の世代へと青森県をつないでいってくれるので、やはりこどもを真ん中に置いた政策が必要だと考えています。
 また、こども関連の事業だけということではなく、今回は総合予算ですので、青森県民120万人全てが関わるような予算になっていると私自身は自負しています。

〇記者
 過去20年余りの財政運営を振り返ると、当初は身の丈に合った規模に適正化していく抑制的な予算運営が続き、近年は幾分か和らぎながらも規律重視の運営がとられてきました。その中で知事も県民経済に貢献する環境が整っていると話してきましたが、改めて新年度以降、県財政はどのような段階に入るとお考えでしょうか。

〇知事
 県財政そのものは極めて健全な状態が続いていますし、この状態を確保していくことが必要だと考えています。
 当初予算の中では、財政調整用基金の取崩額はなし、県債残高は減少させる、ということなので、財政規律は保ったまま、来年度の予算編成を行いました。

〇記者
 無償化政策はこれからも本格化していくので中長期的に安定した財源を確保していくことが求められると思いますが、どのように財源を確保していくお考えでしょうか。

〇知事
 新年度の予算では財源を確保できており、財政調整用基金の取り崩しがないということが財源を確保できるという証拠だと思いますし、再来年度以降も同様の対応になると考えています。

〇記者
 給食費の無償化について、知事は自治体間の子育て支援策の競争は意味がないと話しておりました。今回、給食費が一律無償化ということになれば全国初になりますが、それについて何か思うところはありますか。

〇知事
 本県は農林水産県であり、食に重きを置いた教育も必要と考え、まずは給食費を無償化することとしました。
 私が自治体間の競争の意味がないと言っているのは青森県内の話であり、まずは給食費の無償化で県内の足並みを合わせることは意味があると考えています。制度をよく見ていただくと、今回の無償化は給食費だけに留まりません。現時点で給食費を無償化している自治体はメリットがないわけではなく、給食費の無償化分の交付金が各自治体に交付されるので、各自治体は今まで無償化できていなかった部分を無償化できることになります。したがって、段階的、連鎖的に県内の各自治体で子育て費用の無償化が進んでいく内容になっていますので、そこは誤解のないように報道をお願いします。

〇記者
 和歌山県も令和6年度当初予算で給食費の半額を補助して無償化をめざすこととしていますが、和歌山県知事は記者会見にて、本来は国がやらなければならない仕事であると発言していました。知事として、給食費無償化のような政策は全国に広がるべきとお考えでしょうか。

〇知事
 国がやるべきなのかということよりも、青森県で生まれたこどもたちを、食を通じて大切にするというメッセージを発信していきたいと考えています。

〇記者
 不妊治療の支援も含め、無償化などのインパクトのある支援を始めると、支援をやめるのはすごく大変になると思います。今後、県として恒久的に全額補助、全額無償化を考えていくということでよろしいでしょうか。

〇知事
 もちろんそのつもりで予算化しています。支援ができるというシミュレーションの中でやらせていただいています。

〇記者
 例えばそれがなかなか出生率に反映されていないなど、検証などをするタイミングもいずれあるのでしょうか。

〇知事
 もちろんそれはあると思います。そもそも給食費を無償化しただけでは、合計特殊出生率が上がるとは考えていません。しかし、子育て世代の費用負担が軽減されることによって可処分所得が増えます。可処分所得が増えることで、所得が向上するのと同様の効果があると考えています。経済的に見てそのような形が続いていけば、結果的に合計特殊出生率に反映されると仮定していますので、それをどの時点で検証するかについて今の時点ではまだ言えません。少なくとも10月をめどに「青森モデル」を作り込んでいきますので、その過程の中で議論を深めたいと考えています。

〇記者
 教育改革について、今回の予算案は、まずは第一歩だと思いますが、知事の教育改革はどこまでを見据えたものになっているのでしょうか。

〇知事
 まだ一歩も踏み出せていなくて、現場がしっかりついてきてもらわないと何も生み出せないと考えています。
 県の予算はどうしても抽象的になり、なかなか現場まで届かないことが多いため、有識者会議で高い理想を掲げて、今回予算化しました。それを現場に行きわたらせるように、教育委員会を通じて現場と対話をしながら進めていきたいと考えています。
 政策がこどもたちまで到達するのに、私がいて、教育長がいて、教育委員会があって、教育委員会事務局があって、校長がいて、教務主任や学年主任がいて、担任がいて、こどもがいる。政策の対象である現場までがすごく遠いので、時間はかかるかもしれませんが、理想と意思を示しました。教育委員会や私の方で現場に対して、この理想をしっかりと伝えて、現場レベルで自立的に改革が進んでいけるようなお手伝いをしていきたいと考えています。
 本丸は、来年度、有識者会議で検討していただく授業改善や入試改革、高校統合のあり方などまで踏み込んで理想を掲げて、それが現場でしっかりと定着するまでなので、もう少し時間かかると思いますが、良いスタートを切れるように、来年度から進めていってほしいと考えています。

〇記者
 10月をめどに「青森モデル」を示していきたいとのことでしたが、具体的な今後の段取りや思いについて教えてください。

〇知事
 こどもの政策を考えていくと、無償化というのは、単に一つの方向性にすぎません。給食費の無償化によって、その他の無償化が連鎖的、段階的に進むことで、青森県内の無償化のレベルが上がります。ただそれだけでは合計特殊出生率には反映されてこないので、社会全体が子育てに向かう環境をしっかり作っていかなければいけません。
 子育て政策は、県や市町村だけが取り組むものではなく、各企業や各団体も取り組むべきものです。社会全体がこどもに対する見方、子育て世代に対する考え方が変わらないと達成できないので、そのようなインフラ整備までを含めた総合的な政策をしっかりと打ち出すところが「青森モデル」のスタートになるのではないかと、こども未来県民会議の議論を経て考えています。

〇記者
 今回の当初予算案を一言で言い表すとしたら、どのような予算でしょうか。

〇知事
 「AX(Aomori Transformation)」です。青森大変革を達成したいと考えています。

〇記者
 知事の認識として、今回の予算案には積極的に財政を出動したという理解でよろしいでしょうか。

〇知事
 むつ市長時代、最初の予算編成の時に2億円足りなくて、どの事業を削るかというところからスタートしました。それに比べて、今回の予算編成では、重点枠事業や7,000億円という事業規模やスクラップアンドビルドという点で、すごくダイナミックに予算編成できたと考えています。また、県民の皆さまからお話を聞いてやらなければいけないことや自分自身がこうあるべきだと考えることも含めて、ある程度、予算の中に閉じ込めることができたと考えています。

〇記者
 若者を惹きつける仕事づくりについて、どのようにお考えでしょうか。

〇知事
 青森県内は、有効求人倍率1以上が続いており、仕事はあるという状況です。そのため、県内企業の魅力をいかに大学生や高校生に伝えられるかが重要であると考えています。また、スタートアップ(創業支援)や企業誘致にもしっかり取り組んでいきます。
 ただ一方で、今ある青森県内の企業がこれからどう生き残って成長していくか、それに対して県内の人材をどのような形で定着させることができるかということが一番大事ですので、その部分をしっかりと新しい協議会の中で表現していきたいと考えています。

〇記者
 今回の予算事業としては成長産業対応型融資促進事業や産業立地促進補助の要件緩和など誘致企業に対する支援策のほか、創業支援についても予算をつけていますが、改めて県内で新しくどういう産業が生まれ、もしくは育まれるのがよいとお考えでしょうか。

〇知事
 東京・大阪で開催した産業立地フェアにて、県内に来たいという方々や誘致企業として県内に立地している方々と交流をする機会がありました。例えば、最先端の半導体を担っている企業が青森県内でもうすでに複数かつ広域にわたって点在していて、このようなところを一つつなぐだけでも、産業クラスターとしてはかなり魅力ある形になると考えています。これをしっかりPRできれば、定着につながると考えています。
 一方で、創業支援や企業誘致にもしっかり取り組んでいかなければなりません。仕事のボリュームを増やすことで戻ってくる人や定着する人たちの数を増やすこともできます。
 今ある企業を大切にすること、そして青森県に誘致して、来ていただいている企業を大切にして定着と還流の元にしていくということ、そして若い人たちの創業したいという気持ちを大切にして、青森県をチャレンジの土地にすること。その3つの柱で仕事づくりに取り組んでいきたいと考えています。

〇記者
 知事として初めての当初予算編成に臨まれましたが、予算に込めた思いをお聞かせください。

〇知事
 ダイナミックな予算編成になりました。県庁職員の力を感じています。前例にとらわれることなく、新しい未来を作るための新しい事業を考えていきましょうとお願いしたところ、本当に前向きに取り組んでいただきましたし、そこに自分自身のオリジナリティを付加して、いい予算案に仕上がりました。まだ案ですので、これをどうやって実行していくかということの方が大切です。これからまずは議会で丁寧に説明して成立させた上で、来年度からしっかり頑張っていきたいと考えています。

〇記者
 各分野にまたがるDXの位置づけと、DXが加速化することでどんな青森を作っていきたいかをお願いします。

〇知事
 これからの県政は3つ。1つは「挑戦」。何事も挑戦しかありません。後ろを振り返ってもしょうがない。今のままいくと、ゆっくりゆっくり崖から落ちていくような青森県になってしまいます。だからこそ全然違う道に行かなければいけないし、全然違う方向性を向かなければいけないという意味で、まず挑戦が大事です。
 もう1つは「対話」。対話が大事なのはいつもそうですが、確証バイアスが働いて、最初スタートしたことは最後まで正しいと思ってしまう。現場にいる県民の皆さまの意見を聞きながら向かっている方向性がそれで正しいかどうかをみんなで検証しながら進んで、納得のいく方向性にしなければいけない。だから対話が必要です。
 もう1つが、「DX」。DXは私達を次の世界に連れていってくれます。例えば、今回の予算の中ではライドシェア。これだけ地域での公共交通がままならない中で、ライドシェアは本当に大きな一手になる可能性があります。助け合いながら病院に行ったり、買い物に行ったり、通学したりすることは、青森県にすごくフィットするような制度・仕組みになる可能性があります。ただ、これも単に電話して来てくれるとかではなく、スマホでやらなければいけない。そういう面でDXというのは関係してきます。
 この「挑戦」・「対話」・「DX」というのは、これからの私自身の県政の大きな変革の翼になってくれると考えていますので、その一端のDXにもしっかりと取り組んでいきます。

〇記者
 歳入について、いわゆる核燃税収が239億円と見込まれ、県税収入全体も押し上げていますが、昨年11月の核燃税収一部引き上げの際に、知事は、物価高騰、所得向上、子育てなどいろんな分野を下支えできるようにするには安定した財源が必要だと、核燃税収の増収の意義について話していました。法定外普通税であることは承知した上で、核燃税交付金以外でこの増収分がこの予算案にどう反映されたのかお伺いします。

〇知事
 まず核燃税交付金の使い道について、私たちが何ら明らかにしていないということは決してなく、少なくとも特定納税義務者に対しては安全対策やインフラ整備などに使うと伝えています。
 核燃税収の増収分の使途に係る質問については、これはあまり意味のない問いになっています。例えばあなたが、小学校5年生だとします。お年玉として、お父さんから1万円をもらい、学習テキストを買うように言われました。また、3人の親戚から3万円をもらい、これで遊んでねと言われました。あなたはその4万円を貯金箱に入れておき、後日学習テキストを買うために1万円を取り出しました。この1万円はお父さんからもらった1万円でしょうか。
 これが全ての答えです。普通税はそういう考え方のもとに執行しているので核燃税収の使途を説明することは意味がなく、私たちとしては事業者に説明した防災・減災対策等に使っていますという説明で尽きているとご理解ください。

〇記者
 核燃税交付金に関して、要望に来られた下北半島の4市町村長から、税収の25パーセント配分という要望がありました。今回は25パーセントではなく18パーセントという予算案でありますが、その税率の設定理由についてお伺いします。
 加えて、別枠での支援という要望内容もありましたが、これは今回の予算案に反映されているのでしょうか。

〇知事
 まず、設定の根拠から言うと、私がむつ市長のときに前回(青森県核燃料物質等取扱条例(第7期))の税収をベースに25パーセントの要望をしているので、今回の要望もおそらくそれを基礎として考えていると理解しています。今回は核燃税収そのものの分母が増えているので、25パーセントには届かなくても、額としては立地および周辺市町村で1.5倍程度になっています。立地市町村長にはすでにそのことをご説明して、ご理解いただいています。
 別枠の支援があるかについては、これは現状、別枠の支援というものはございませんが、その他さまざまな県の事業もあるのでしっかりと配慮していきたいと考えています。

〇記者
 核燃税収は使途が限られていないというお話でしたが、今回、定額から率に変更になったということは、少なくとも核燃税交付金の部分は核燃税収が原資になっているという考えでよろしいでしょうか。

〇知事
 (あくまでも使途は特定していないが)核燃税交付金という名称なので使途として核燃税交付金に充てていると理解されていますし、率になった理由というのは、下がるときは連動して下がるのがふさわしいという要望も受けていたので、率への変更については立地市町村には理解していただいていると考えています。

〇記者
 公約でも掲げていた全県での防災訓練が予算に盛り込まれていました。これまでも沿岸の市町村では各自治体、時には県も合同で訓練を実施してきましたが、改めて全県で同じタイミングで訓練をすることで得られる効果についてどのようにお考えでしょうか。

〇知事
 今回、能登半島地震での教訓として私が感じているのは、やはり半島という地形がいかに災害に対する脆弱性を持っているかということでした。ご存じのとおり、青森県には二つの半島がありますが、青森県そのものも本州最北端にあり、三方を海に囲まれていることから、交通という意味では半島地形といえます。日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震が発生したときには県全体が被災するのと同時に、被災していない市町村があるとすると、一気に応援に回らなければいけないと考えていますので、全県体制で災害対応、応援対応、そして受援体制の構築が必要であると考えています。

〇記者
 環境生活部の事業の中で、災害ゴミの仮置き場に関する事業がありました。能登半島地震でも災害ゴミの処理は問題になっていると思いますが、こういった訓練をやる狙いをお伺いします。

〇知事
 災害ゴミの対応は即応性が求められると考えています。自分自身の経験からいっても、災害ゴミを持っていく先をあらかじめ決めておけば、早めに対応をスタートすることができます。被災あるいは発災してしまうと、やることが膨大になっていて、次から次へといろんなことが起こります。ですから、あらかじめ、今わかっていることを決めておくことはとても大事です。災害ゴミの置き場については、今まではあまり考えてきませんでしたが、そこをきちんと決めておくことは復旧・復興のスピードを上げていく上で非常に重要なことだと考えていますので今回予算化しています。

〇記者
 今回の核燃税交付金の増額というのは、知事が市長時代から求めてきたことで、それを知事になって自身の手で成し遂げたという状況かと思いますが、このことについての受け止めをお聞かせください。また、改めてこれをやることの狙い、どういったポジティブな影響が立地地域に期待されるのかをお聞かせください。

〇知事
 そのために知事になったわけではないので、このことによっての達成感は特にありません。今回の予算案では、核燃税交付金以外の部分でも、市町村の要望や意見をかなり組み入れていますので、その一環だとご理解ください。
 要望に対して満額で回答しているわけではなく、どちらかというと率にして、その率を18パーセントということでご理解いただいています。自分自身が要望していたことを知事になったから全部実施したということではなくて、県の財政状況やさまざまな事業とのバランスを含めて、立地市町村にもご理解いただいた上で実現しています。
 狙いについては、立地地域の4市町村というところで見ると、やはり原子力・核燃料サイクルの事業に大きく経済が依存している状況にあります。この10年間、全く規制の審査によって動かなかったことで、他地域では県民所得も向上し、経済の状況もコロナを除いては改善しているにもかかわらず、下北と上北一部地域は非常に厳しい状況にあったので、今回の交付金を使って、しっかりとした地域振興について、仕事づくり等を通じて次の新しい産業の構築に努めていただきたいと考えています。

〇記者
 元々どうしても原子燃料サイクル政策に依存している部分があって、それゆえにこの10年間停滞していたという問題意識があったとのことですが、逆に交付金を増やしてしまうと、さらに依存してしまうという見方もできます。この点について、どのようにお考えでしょうか。

〇知事
 今申し上げたとおり、この交付金やさまざまな交付金を活用して次の新しい産業づくり、仕事づくりに取り組んでいただきたいと考えています。

〇記者
 「青森モデル」の推進の3つ目、子育て世帯優先の駐車スペースの確保について、県の施設なのか、商業施設なのか、具体的にどのように想定しているのでしょうか。また、かなり珍しい取り組みだと思いますが、県としてこのような事業を進める狙いや効果についてどのように考えているのかお伺いします。

〇知事
 県有施設も商業施設も含めて広げていきたいと思います。対象となる施設のご理解も必要ですので少しずつだと思いますが、特に大規模な集客のある施設についてはお願いしたいと考えています。
 狙いとしては、こども未来県民会議の方でもよく議論になっていて、子育てをしている世帯が、非常に肩身の狭い思いをする社会になってきています。こどもの数が少なくなっている分、こどもが騒ぐと眉をしかめる人が多くなっているような気がします。
 そのため、そのようなことを少しでも社会として許容できるような青森県にしていけば、子育てをする雰囲気と環境が整ってくるだろうという意味でパーキング・パーミット制度も進めていきたいと考えています。

〇記者
 医療費の所得制限をつけない18歳までの無償化、保育料の無償化、オムツの無償化など、無償化のやり方はいろいろあると思いますが、改めて給食を今回最優先でやろうと思った理由について教えてください。

〇知事
 影響範囲が大きいことから、社会全体で子育てを応援していくというメッセージの広がりが一番あると考えています。そして子育て世帯にとっても、その費用が軽減されていくという予見性が高められることも効果としてあります。
 さらにはこども未来県民会議のワークショップ、あるいは市町村長の意見の中でも、学校給食の無償化を求めるところが多かったということもありますし、食育として、給食に使われる県産の農林水産物への関心を高めるだとか、県そのもののPRにもつながるような社会政策に昇華できる取組であると考えていますので、今回、給食費の全面的な無償化をスタートしたいと考えています。

〇記者
 昨年の秋に全40市町村の首長と意見交換をして、その際に無償化のやり方については、事前に皆さん方のご意見を聞きますと話していましたが、事前に報告をしたのでしょうか。また、今回の県が始める給食費無償化等のこども子育て支援の事業について首長からはどういう評価がありましたか。

〇知事
 1月に40市町村長とオンラインでミーティングをしました。全員は出席できませんでしたが、出席できなかった市町村長には後日、アーカイブの動画を見ていただいています。
 評価について、私は聞いていませんが、複数の市町村長からは、思い切ってやってくれて感謝するという言葉はいただいております。そうでないところがあったとしても、これは交付金なので受け取らないということもできます。そうはならないと私は確信していますが、市町村と協力して子育て費用の無償化に向けて取り組んでいきたいと考えています。

〇記者
 こども・子育てについて、事業全体では半年分で21.7億円、平年ベースで41.8億円という説明がありました。この41.8億円に膨らんだ規模感について知事はどう評価しているのでしょうか。また、これが県財政の今後の負担にならないかという点についての見解をお聞かせください。

〇知事
 41.8億円を無償化に充てるというのはすごく思い切ったと考えています。
 しかし、将来にわたって県の財政の負担にはならないと考えています。なぜならばこどもの数が減っていくからです。令和7年度が支出としては最大になり、合計特殊出生率が2を超えるまでは、段階的に下がっていく予算になるので、これは負担にはなりません。そういうシミュレーションをしていますが、令和7年度の予算編成の中でしっかりとした形を示したいと考えています。

〇記者
 再エネとの共生構想について、これから検討するに当たって、すでにある施設も課税するお考えなのか、もしくは来年度以降の施行後に建設・稼働したものを対象とするのでしょうか。

〇知事
 その前提についても、来年度しっかり議論していきたいと考えています。

〇記者
 AXの予算をダイナミックに編成していくに当たって、財政を気にせずに財政調整用基金を取り崩してでも、という方法もあったかと思いますが、そうした中で基金の取崩額をゼロに抑えたことの意図をお聞かせください。

〇知事
 基金を取り崩し、財政規律が守られていないと指摘されないよう、まずは均衡予算にしました。令和7年度もおそらく均衡予算になると思います。積極財政に転換するには、県民の皆さまから財政規律への信頼を得てからになると考えています。

〇記者
 今回の予算額と事業数をどのように評価、表現しますか。

〇知事
 250の新規事業はどれくらいの量かというと、1年間の平日は約250日なので、毎日新しいことが始まる予算になっています。
 予算というと、自分は関係ないと思う県民の方々もいると思いますが、おそらく多くの県民の皆さまに関係のある幅広い予算になっていますので、そういう意味では本当に積極的な事業展開になるのではないかと期待しています。

〇記者
 今後、一般財源総額の確保に向け、来年度以降、国に求めることなどの考えはございますか。

〇知事
 一般財源総額の確保については、まず国は骨太の方針の策定から始まり、それから概算要求があり、予算案が出て、国会で審議するという政治過程にあります。我々は折に触れて総額の確保に向けて、要望活動をしていますので、特別に再来年度の予算の中で何かあるということは今の時点では想定していません。
 むしろ一般財源総額より大事なのは、我々の財源の確保であって、国庫の事業をどう増やしていくか、自主財源をどう確保していくかということです。来年度の大きなテーマの一つに再生可能エネルギーへの課税がありますが、これは法定外税なので、どれぐらい確保できるのかということはすごく大きな論点になりますし、知事の役目というのはそういうところにあると私自身は感じています。

【最後に知事から】
 あくまで予算案ということなので、これから議会で議論をいただいて、決定いただくことになります。それを経て県民の皆さまに改めて事業がスタートしたというアナウンスができます。そして、県民の皆さまと一緒に今回のAX予算、青森新時代への架け橋を県内で定着させていきたいと考えています。
 そういう意味では、今回の予算案はまだ種の状態です。これが議会で議論を経て成立すると、土にやっと植えられて、県民の皆さまと一緒に肥料と水を与えて芽が出て、花が咲いて、やっと成果が見えてくるようになります。しかし、大事なことは花が咲いて終わりではなくて、実がなって、その実をみんなが収穫に来る、つまり自律的にいろんなことが県内で動き出すというところまで行って、初めてこの令和6年度の予算が完成します。来年度だけではなく、今回のスタートが10年、20年そして50年後の青森県を支える予算になるように、まずはしっかり県議会で説明して、そして執行していく覚悟でありますので、ご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

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