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更新日付:2013年11月22日 県民活躍推進課

青森県女性ロールモデル 米坂恵子さん

「オラだっきゃまいね」と言わずに、一度きりの人生をいきいきと前に向かっていって欲しいです。

米坂恵子さん
お山のおもしえ学校 登山ガイド
米坂 恵子さん(黒石市)

【プロフィール】
 廃校になった学校を利用して開設した「お山のおもしえ学校」の登山ガイド。津軽弁を交えた明るく楽しいトレッキング「米ちゃんトレッキング」を始め、シャワーウォーキングや登山に関するコラムの連載など、登山ガイドとして地域活性化に尽力。
 日本山岳ガイド協会認定登山ガイド。

米坂恵子さんの主な分野 「就業・キャリアアップ」「専門職・研究職」「地域活性化」

チャレンジのきっかけは?

大好きな山に恩返しがしたい

 子どもの頃から両親と山で山菜採りやキノコ採りなどをしていて、山からたくさんの恩恵を受けてきました。おかげで登山ガイドになる前から、山菜やキノコならひとりで採って食べられるぐらいの知識がありました。

 高校を卒業し、社会人になってからは生活のために一生懸命働きました。当時は祖母の介護や兄弟の世話、子育てなど、仕事だけではなくて家庭でもやるべきことがあり、とても忙しかったです。介護や兄弟の世話が一段落し、子育てが楽しくなってきた頃、ふと自分の人生を見つめ直したのですが、その時に「自分を育ててくれた大好きな山になにか恩返しがしたい」と思ったのです。

 私たちが実際に食べているものが山の斜面のどこにあるのかという情報や、山菜・キノコ採集のルール、山と上手く付き合うにはどうすればいいかということをお客さんに伝えたいなと思いました。

これまでのみちのり

山のガイドとして勉強の毎日

 山のガイドになる前も山菜採りなどで山に入っていたため、植物やキノコについてはある程度の知識がありましたが、ほとんどが「見たことがあるけど、名前は分からない」という状態でした。山のガイドですから、「あの植物は何?」と聞かれたら、名前や特徴などをしっかりと説明できなければいけません。今まで見てきた植物を、今度は名前と照らし合わせて覚えるように、ひたすら写真のシャッターを切って自分なりに勉強しました。

 勉強しているうちに、日本山岳ガイド協会で出している正式な資格があるということを聞き、そこから資格取得に向け、さらなる勉強の毎日が始まったんです。「どうせ資格を取得するなら、ランクが少し上の試験を受けよう」と思ったので、自然ガイドではなく登山ガイドを受けました。登山ガイドはほとんどが男性でしたが、「お客様の命を預かる仕事に男性も女性も関係ない」という気持ちで勉強に励みました。勉強と言っても、山や植物に関する知識だけでなく、レスキュー技術や山を歩きながらガイドする技術、お客様を楽しませるという意味でエンターテイナーとしての技術も求められました。仕事と家庭のことはいつも通りにこなした上での勉強だったので、とても忙しく大変でしたが、それでもなんとか資格を取得することができました。

山について説明する米坂恵子さん

廃校を利用して立ち上げた、お山のおもしえ学校

 私が現在勤めている会社は、常に前進しているような会社で、とにかくどんなチャレンジでもひるむことなくぶつけていくんです。次々と考えて前進しなければいけないので、良い意味でのんびりと会社員をやっていられないんですよ。お山のおもしえ学校も、そのチャレンジのひとつになります。

 お山のおもしえ学校は、廃校になってしまった黒石市の大川原小学校を利用して2009年に開設しました。ちょうどこのおもしえ学校を立ち上げる時期というのが、私が「別に白神山地に行かなくても、恩恵を受けた地元の山に恩返しができるのではないか。地元をどうにかして盛り上げられないか」と考えていた時期でもあったんです。そこで、思い切ってアポを取ってもらい、私の気持ちを社長に伝えると「それだったら、このおもしえ学校に来て、山の案内をすればいいんじゃないか」と言ってくれたので、今の会社に勤めることになりました。

 おもしえ学校は本当にゼロからのスタートなので、どうやって人を呼ぶか、どうやってこの学校を生かすか、どうやって採算を取るか、どうやって地元の雇用を生むか、そういった問題がたくさんありました。精神的にも大変な時期がありましたが、立ち上げたおもしえ学校を守り上げるために、社長や同僚と話し合いながら常に新しくて楽しいと思えるようなものを企画していきました。

お山のおもしえ学校(大川原小学校校舎)

「米ちゃんトレッキング」

 おもしえ学校が開設されてすぐに山のガイドができたというわけではありませんでした。最初、雇用契約の関係で温泉熱利用のハウスでヒマワリもやしを作ったり、山野草の展示をしていたりしたんです。それからは雇用期間も延長してもらい、少しずつお客さんに山の案内をできるようになっていきました。それから社員として雇用され、今では商品開発部次長という役職をいただいていますが、「この地元をどう盛り上げていくか」ということを考えながら働いている点は今も昔も変わっていません。

 そう考えると、トレッキングや山のガイドもある意味、「地元を盛り上げていくための商品」ですね。今年は春から21本(週に1度、その他に夏は沢で遊ぶシャワーウォーキング)、「米ちゃんトレッキング」と題してお客様に楽しんでもらっています。

山の風景

現在の活動状況や今後の目標など

毎日が濃いんです

 私の職場では、社長の理解もあり、里山を自由に案内できる毎日がとても楽しいです。それに、毎日が本当に濃いんです。一日一日の内容が濃いせいか、疲れていてもなぜか楽しく思えてしまうんです。ですが、あまり無理をしてもいけないので、心の逃げ所もしっかりと作っています。私の逃げ所は「写真」です。

 私がガイドをしている黒森山というのは、みんなが馬鹿にしているような小さな山なんですけど、春先に行けば八甲田山とか白神山地にはない花がたくさん咲いているんです。ですから、黒森山だけでなく、地元の山で見つけた花や植物の写真を撮って、それを見た人が「こんな花もあるんだな」と温かい気持ちになれたらいいなと感じています。また、写真を撮って自分でコメントをつけるのが趣味みたいな部分があって、シャッターを押した瞬間に自分が感じた気持ちをそのまま正直に書いたショートストーリーを作ったりもしています。その延長で、「登山ガイドの寄り道」という津軽弁400文字で書いたコラムを1年間、毎週新聞で連載させてもらうこともできました。

 本当に、楽しくて濃い毎日を送っています。常に楽しいという気持ちがあるので、前に進んでいけるのだと思います。どんなことをしても辛いなら長続きしません。逆に、どんなことをしても楽しいという気持ちがあれば立ち向かっていけるものなんです。

山について説明する米坂恵子さん

津軽弁は「おもてなし」

 また、私のトレッキングの売りのひとつに、「津軽弁」があります。

 残念なことですが、津軽弁というものが今、消えゆく文化になってしまっています。ですが、県外から来た人は、青森にまで来て共通語なんて聞きたくないと思うんです。だから、津軽に来たという風土を楽しむなら津軽弁。おもてなしの一部として、お客さんを楽しませるために、そして青森県を楽しんでもらうために、これからも津軽弁を使ってガイドを続けていこうと考えています。また、今年から社内教育として津軽弁を教える担当にもなっているので、忘れかけられている津軽弁をこれからどんどん発信していきたいし、守っていきたいと思っています。

これからチャレンジする女性へのメッセージ

時間は自分で作っていくものです

 働きながら主婦業をこなす女性は基本的に自分の時間がありません。家庭のことも仕事のことも、どちらも生活のためですから頑張るしかありません。

 ですが、「自分は主婦だから」とか「自分には家事があるから」とか、そういった理由をつけるのが、私は好きではありません。自分が勤めている職場ごとに必要な資格や技術があるはずです。例えば、私の場合だと、ガイドの仕事をするので日本山岳ガイド協会の資格が必要になりました。

 なぜ資格を取るのか。それは、「平社員で終わりたくないから」、「誰にも負けたくないから」なんです。おそらく、私は「どうせ働くなら、普通の社員ではなく、その上のところに行きたい」という気持ちが強いんだと思います。

 そのためには、自分の時間を自分で作っていかなければいけません。仕事や家庭の隙間にあるほんの少しの時間でもいいから、自分に使っていってあげると、自分が温めてきた夢に一歩ずつ向かっていっているはずです。もちろん、家族の理解・応援も大切にしながら、「オラだっきゃまいね。」と言わずに一度きりの人生をいきいきと前に向かっていって欲しいです。

「次官は自分でつくっていくもの」と語る米坂恵子さん

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青少年・男女共同参画課 男女共同参画グループ
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