ホーム > 組織でさがす > こども家庭部 > 県民活躍推進課 > 青森県女性ロールモデル 辻悦子さん

関連分野

更新日付:2013年3月4日 県民活躍推進課

青森県女性ロールモデル 辻悦子さん

自分の思っていることを惜しまずに、仲間と大いに夢を語り合おう。

辻悦子さん
企業組合でる・そ~れ 理事
辻 悦子さん(五所川原市)

【プロフィール】
 平成8年から「五所川原おやこ劇場」に参加し、平成13年から運営委員長として生の舞台鑑賞や自主性を育てる体験活動などの子育て支援事業を展開。それまでの活動をより公共性や公益性の高い活動にするため、平成16年に「特定非営利活動法人子どもネットワーク・すてっぷ」を設立し、平成23年3月まで代表理事を務める。
 平成21年4月、地域食材の推進と地域交流の活性化を目指し、仲間とともに「コミュニティカフェでる・そ~れ」を設立、平成22年8月に企業組合となり、現在、理事を務めている。
 平成23年度青森県いきいき男女共同参画社会づくり表彰奨励賞「女性のチャレンジ部門」受賞。

辻悦子さんの主な分野 「NPO・ボランティア」「まちづくり」

チャレンジのきっかけは?

きっかけは子どもの成長を共に楽しむ仲間との出会い

 「特定非営利活動法人子どもネットワーク・すてっぷ」の前身である「五所川原おやこ劇場」の活動に参加して、子どもに関わる地域の大人がたくさんいて、子育てが地域の中にあるというのを見つけた時に、自分で産んで育てて責任を持たなければと母親として背負っていたものが、少し軽くなった気がしました。助けてもらうのは悪いことではなく、ごく自然のことだという地域の思いやりを肌で感じ、気持ちがとても楽になりました。

 一緒に活動しているメンバーが、「自分の子どもをよくしたいと思ったら、まわりの子どももよくする、つまり子どもの育つ環境を全体的にちゃんと整備してつくっていき、そこに自分たちが主体的に関わらないといけない。」ということを話してくれて、子どもの友達をたくさん作ることが大事だと思いながら、活動を積み重ね、今日に至っています。子どもの成長を共に楽しむ仲間がいるというのはとても大切ですね。

   「五所川原おやこ劇場」は、基本的に生の舞台を鑑賞するというのが活動の柱だったので、人形劇、舞台劇、様々な演劇から疑似体験をしてきて、そこから得た感動を心の育ちにつなげ、日常生活にも活かしてきました。その疑似体験の場を、子どもにどのように体験させるか、企画を考える時の楽しさやワクワク感を常に仲間と共有できたので続けてこれたと思います。子どもたちの喜ぶ顔が見たかったんですね。

これまでのみちのり

NPO法人の立ち上げと家族の応援

 10年程前、NPO活動が社会の中でクローズアップされ始め、これまでの活動を継続するために法人格を持ってより公益的に活動を行いたいと思ったのが始まりでした。私の子どもの活動から、私たちの地域の子どもへ想いをシフトし、子育て支援分野の活動を本格的に始めたいと思い、NPOについて勉強することになりました。その時に出会ったリーダーのための入門書には、みんなでやろうとすることの地域マネジメントについて書かれてあり、今でも活動に行き詰ったり、困った時には何度も読み返し、この本を見た時の気持ちを思い返したり、ふりかえりをしながら、日々の活動を積み重ねてきました。

 NPO設立までの約1年間、設立準備と同時に、何の活動をするかというミッションをつくるための勉強会をして、想いを紙に落とし込む作業として、「書く」ということを覚えました。やることは何か、そのうち自分でできることは何か、やってもらうことは何か、誰に頼むのかなど、全部書いて整理していくことで、私たちは何をやりたいのか見え、形に出来ました。

 その時は、今よりも10歳位は若かったので、私がやらなければ誰がやるんだという勢いがありましたね。家族も、私が一生懸命やっている姿を見て、半ばあきらめのような感じですが理解してくれて、ちょうど子どもたちも15歳と13歳で手が離れかけていたこともあり、子育て環境も変化し始めていました。8人の大家族だったので、子どもたちの面倒を見てもらえましたし、何より、私がやりたいことを一番応援してくれたのは、子どもたちと夫でした。中学校の授業でNPO関係の紹介などを頼まれることもあり、母親のやっていることが、社会的に価値がある活動だというのを子どもたちも理解してくれていて、私も活動しやすかったです。そして、その活動を身近で見ていた私の子どもたちが、実は、地域の見守りの中で育つ子どもというのを一番実感していたと思います。

「コミュニティカフェでる・そ~れ」の誕生

 子どもが大きくなるにつれ、いろいろな地域の人とのつながりが出来てきました。子育て分野で活動をしていくためには、もっと地域のいろいろな人と繋がっていく必要があると感じていた時、津軽鉄道サポーターズクラブの事務局の一部を「すてっぷ」の中に置いたことにより、全く異質な活動団体との繋がりができました。子どもを主役にするためには、地域の資源とか人の魅力とかを耕していく必要があると思い、徐々に活動の輪も広がり、その後に誕生したのが、「コミュニティカフェでる・そ~れ」です。

 実はこの誕生には、「すてっぷ」で平成19年から3年間実施した、女性再チャレンジ講座の受講生が関わってくれています。この講座は、それまで子育て支援分野だけだった「すてっぷ」の次の重要な役割として、お母さんの元気を地域にひっぱりだそうという、女性への支援に目を向けはじめて実施した事業です。

 もともとNPOとコミュニティビジネスという分野を同時に勉強していたので、立ち上げには学びが活かされました。コミュニティビジネスとは、地域の資源を活用し、課題を解決し地域活性化を図るものといわれています。平成18年に廃線の危機になった津軽鉄道は津軽鉄道サポーターズクラブの立ち上げで、もう一度地域にあるものの魅力を捜し磨き上げていくという思いから、地域のシンボルとしての津軽鉄道に注目しました。そして、本社1階の空き店舗を活用できれば、駅前をはじめとした地域に活気がでると思い、コミュニティカフェの場づくりに結びつきました。同時に、子育て支援の活動と女性の生きがいとか社会参画の出番、地域のマネジメントが1つにつながったので、講座の受講生に声をかけました。1年半後、ようやく採算ベースに経営を持っていきカフェとしてなんとか成り立ち、継続性が見えてきたので、もう一度関わる人たちと話をして、5人で出資をして企業組合として再出発しました。

コミュニティカフェでる・そ~れ

困難を乗り越えるために

 今でもハードルはたくさんありますが、その先を見据えていくために、それを乗り越えないといけないという思いがあります。そのため、活動している中で知り合った人達からもらった言葉も大事にしています。私と同じように子育て支援NPOの活動をされている方からは、目的地にたどり着くには、同じ汽車だけではなく、船や飛行機に乗ったり、時には高速や鈍行列車など、乗換していかないと目的地にたどり着けない、という言葉をいただきました。また、女性再チャレンジ講座の講師の方からは、一つの扉を開けるとまた次の扉があって、その扉をノックするかどうかはその人次第、扉の向こうで開けるのを待っていてくれるかもしれないけど、それは開けないとわからない、というお話をされ、心に残っています。

 これまで活動してきて、大変なこともあったけど、忘れてしまったというか、忘れるようにしています。何かをやろうとするには、感情に縛られていると新しい判断ができなくなってしまうので、常に前へ進むことを考えて行くしかない。登山の前は、あの山登れるかなと思うけど、登ったらまた今度違う山にも登ってみたいと思うのと同じように、経験を重ねることで出来ることが増えます。

 今でもいろいろと不安はありますが、新しいことには不安はつきものなので、経験から蓄積された自分の感覚で自信をもってやることが、結果的にはよい結果につながるし、大事なのではないかと思っています。

現在の活動状況や今後の目標など

今後の目標は

 始めた頃に比べ、小さな経済効果を意識しています。コミュニティカフェの運営が経営的に自立できるように、もう少し高い目標を設定して、交流や集客に繋がるような発信もしていきたいと思います。そのことが、お母さんたちが本当にいきいきと働ける場所をつくることにもつながり、子どもを産み育てやすい環境づくりや、高齢化社会への対応等、生活環境全般の整備になります。女性には、家庭、仕事の他に、地域でも色々なことが可能な場があることを知ってほしいです。子育て中や子育て前の女性で、思いを共有できる人、小さくても自分たちで何かやってみたいと始める人たちと、お互いに情報交換しながら、共感できる友だちを増殖していきたいと思っています。

 今、大学生とのコラボ商品を作っていますが、地元の赤いリンゴのジュースに鮭の軟骨から抽出したプロテオグリカンを入れた健康商品ができたので、これで青森県を売り込んでいきたいという大きな夢が、また新たに出てきました。

 地域の魅力、人、物、文化、歴史など、青森県ならでは、五所川原ならではのものがたくさんあるので、アイディアとネットワークを活用して、女性も外に出る機会をつくるという意味で、みんなで稼げる仕組みを作っていければいいなと思っています。

店内で商品を紹介する辻悦子さん

これからチャレンジする女性へのメッセージ

これからチャレンジする人へのメッセージ

 私たちが何かを始めるとき、とにかく語り合います。メンバー同士の「対話」です。オープンの場で自分の思いを表現できるということが重要で、お互い尊重しながらも言いあえることに慣れていく必要があります。自分の思っていることを表現するというのを惜しまずに、きちんとディスカッションできる仲間を見つけて、大いに夢を語り合っていけばいいのではないでしょうか。そうすれば、その夢が近づいてきます。そして、その夢のために何をするべきかが見えてくると思います。

 コミュニティカフェを始める時、お料理できる人、宣伝する人、計算する人、接客する人等、一つの事を成し遂げるには、それぞれの役割を担当する人が必要になりました。そんな時、特技を活かし、違いをプラスの目で見つけ出して、「じゃあ、これは私がやる!」「こっちは私」「これはお願い」と関係性を明確にしながら、みんなが自発的になった方がいいですよね。楽しく計画すると仲間の意外な発見もあったりして、それがまたおもしろいです。

 仲間と共感し、実践しながら経験を積んでいくと、様々な可能性が見えてきて、「おもしろい」「うれしい」の本質が解り、気持ちも変化します。丁寧に心をこめて繋がっていくことを大事にしたいと思います。

関連ページ

この記事についてのお問い合わせ

【現在作業中】R5の問い合わせ先です
青少年・男女共同参画課 男女共同参画グループ
電話:017-734-9228  FAX:017-734-8050

この記事をシェアする

  • facebookでシェアする
  • twitterでシェアする
  • LINEでシェアする

フォローする

  • facebookでフォローする
  • twitterでフォローする