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更新日付:2013年3月4日 県民活躍推進課

青森県女性ロールモデル 佐藤芳子さん

「りんごで元気になりたい」という強い想いと「やってみなければわからない」と踏み出す心で。

佐藤芳子さん
りんご工房 代表
佐藤 芳子さん(弘前市)

【プロフィール】
 農業に従事しりんごを販売するかたわら、自ら考案したりんごの草木染めを商標登録し、りんご加工品と併せて観光みやげ品として販売するなど、生産から販売まで取り組む6次産業化を実践している。また、グリーン・ツーリズムインストラクターの資格を生かし、農業体験活動の受入を行うなど、後継者育成や地域活性化にも貢献している。

  • 平成8年  優れた農山漁村女性リーダーとして「ViC・ウーマン」認定
    Village Conductor Womanの略称で、「地域のよりよい『農林水産業と暮らし』を指揮する女性リーダー」を意味します。青森県知事が県内市町村長から推薦を受けて、特色ある地域農林水産業の推進や住みよい社会づくりに取り組んでいる優れた農山漁村女性リーダーを「ViC・ウーマン」として認定する青森県独自の制度です。
  • 平成23年 青森県いきいき男女共同参画社会づくり表彰 奨励賞「女性のチャレンジ部門」受賞

佐藤芳子さんの主な分野 「起業」「農林水産」

チャレンジのきっかけは?

ひらめきから始まる起業への道

 最初に農業以外で何かを始めたのは、家庭用のりんごをトラックに積んで東京に売りに行くことでした。東京の妹や親せきに送ったりんごが、近所や知り合いに好評だったこともあり「いける」と思い何度か直接販売に行き、昭和49年からは通信販売を始めました。ほとんど口コミで広がり、今でもその数を増やしながら、毎年注文が続いています。

 それから10年程して次に始めたのは、無人販売です。旅行先で花畑にあった無人販売の小屋を見かけて、「りんごでもできるのでは」と思い、当時は誰もやっていなかったのですが、車通りの多いわが家の畑の前に小屋を置いてみました。すると、買えずに戻っていく人がいて申し訳なくなるほど好評で、それを見て、近所にも広がっていきました。今は、仲間4人で新しく小屋を建てて、「なかよしショップ」として当番制のグループで経営しています。

 また、農家は秋に1回の収入があるだけなので、冬の農閑期を利用して年間を通しての収入に繋げようと思い、加工技術を学び、昭和60年頃からジャムの加工・販売も始めました。5、6年前からは、県がブランド化を目指している「清水森ナンバ」の醤油煮の瓶詰めも始めました。農家では比較的手の空く夏の時期にできるし、ジャム加工で瓶詰めの技術もあるので、味付けを試行錯誤して加工すれば売り物にできると思い、自分で苗から栽培し、加工して販売しています。

りんごジャム

これまでのみちのり

「りんごろまん」から本格的な販売活動へ

 草木染めを始めたのは平成13年です。冬に桜の枝が捨てられていたのを見て、なにか活用できないかと思い、出会ったのが「桜染め」でした。桜でできるなら同じバラ科だし、りんごでもできるのではと思い、「自分がやるならりんごでやりたい」と農業改良普及センターに相談したところ、真剣にやるなら事業にしないかと勧められました。それまで無人販売などで貯めた資金を元手にやりたいと夫に相談したら、「やってみろ」と後押ししてくれたので、県の育成事業を活用し助成を受けて、京都の草木染め研究所や地元の女子大学教授から染色の基礎技術等を学び、始めることになりました。

 その年は、県が2001年を「りんご元年」と位置付けて、弘前市にある県武道館で大きなイベントを開催したのですが、そこでブースを1つもらい、りんごの花が浮き出るオリジナル生地で「りんごろまん」と名付けたハンカチを出展しました。同じ年にリニューアルオープンした弘前市りんご公園や、市立観光館から声がかかり販売できるようになって、とても幸せなめぐりあわせだったと思います。翌年には、りんご草木染めを「りんごろまん」、桜染めを「さくらろまん」として商標登録し、本格的な販売活動を始めました。

 初めて展示会の話が来た時に、それまでハンカチやストールだけだったので、以前から染めムラができてハンカチなどの商品にできないものを、なにか活用できないかと考えていたこともあり、ブローチや小銭入れ、ポーチなど小物に加工できる人を探して、アイテムを増やしていきました。やはり自分で気に入らない物は人にあんまり勧めたくないし、飾っておくだけのものも作りたくないので、自分でもアイディアを出し、実用的なものを作っています。

草木染(りんごろまん)の展示

やってみて広がった人とのつながり

 加工・販売をするようになって、一番大変だったのは、知らないところへ営業に行くことで、前日などは夜も寝られないほどでした。でも、農家をやっているだけでは知り合うことのない人たちに出会うということは、とてもありがたいことだと思っています。販売業者の会合などで知り合った方から、新たな売り場などを紹介していただいて販売につながっていったり、テレビや新聞の取材なども断らず全て受け入れるようにしています。

 染めを始めていろいろな人と交流するようになったのも、思い切って役職を引き受けてみたこともひとつのきっかけだと思います。ViC・ウーマンの会長のお話をいただいた時、最初は自分には無理だと断るつもりでしたが、夫から、「一人でやれなければ助けて貰えばいいし、やれるかどうかはやってみなければ分からない」と背中を押され、引き受けることにしました。

 会長在任中、県の外部評価委員を務めた時に、同じ委員で平賀町出身の東京在住の方と知り合いになり、その方の依頼を受けて生活改善グループの仲間と一緒に東京へ行って「津軽伝承料理を食する会」を開催したり、反対に東京からねぷた観覧や草木染め体験のツアーを組んで弘前に来ていただいたりと、いろいろな分野で交流の幅が広がっています。

現在の活動状況や今後の目標など

りんごの町から発信~ものと人づくり

 りんごの草木染めもずいぶん認知されてきて、最近では、組紐の糸の染めや、縫製会社との共同開発で赤いりんごの果実染めでポロシャツをつくるなど、これまでやったことのない依頼が来るようになりました。でも、そこで断れば、自分にとって進歩がないので、出来るか出来ないかはともかく、とにかくやってみることにしています。そして、りんごを活用した青森のいいみやげ品をどんどん提供していきたいと思っています。

 それと、せっかく、りんごの町でりんごを利用して起業したので、それを継続していけるように、後継者を育てていきたいと思っています。また、周りにいる人たちの隠れた才能を発見することも、自分の役割かなとも思っています。それまで趣味でしか物を作っていなかった人に、アイディアを伝えて加工を頼んで、話し合いながら売れる商品をつくることで、本人が自信を持ってくれます。そうやってその人の才能を認めて、きっかけを与えることで、自分自身で商品がつくれるように導いていければと思います。

草木染と佐藤芳子さん

これからチャレンジする女性へのメッセージ

自分の周りを大切に

 農家の作業をしながら加工も続けるのは、両立が難しくて大変だという人もいますが、そういう人には、「貴方が頑張っていれば、いずれ必ず認めてくれる」と励ましています。夫もいろいろな場面で背中を押してくれていましたが、私が農作業の合間を縫って配達などに出かける姿を見て、今やらなくてもと心配されたりもしました。農家の男性は、未だに古い考えをもっている人が多いので、認めてもらうまでには時間がかかりますが、家族の理解と協力を得て長続きさせるためにも、家族を優先し仕事に専念出来るときと出来ないときをきちんと線引きして、徐々に自分の頑張りとそれに伴う収入も見せていく努力が必要だと思います。

 また、何かを始めたいと思った時には、是非、周りに目を向けて周りにあるものをどうやって活かすかということを考えてほしいと思います。私の場合は、りんごで元気にならないと、りんご農家は生きていけないという思いで、りんごのジャムや染物をやってきました。技術的なことは勉強すれば出来ますが、周りの資源というのは自分の努力だけではどうにもならないことだし、せっかく周りに宝物となる資源がたくさんあっても、そのことに気がつかないでいることもあるので、そういう視点が大事だと思います。

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電話:017-734-9228  FAX:017-734-8050

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