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更新日付:2013年12月4日 県民活躍推進課

青森県女性ロールモデル なぎさなおこさん

何のためにその活動をしたいのか。自分の中で、しっかりとした軸を持つことが大切です。

なぎさなおこさん
フードクリニックナギサカフェ 主宰
なぎさ なおこさん(八戸市)

【プロフィール】
 高校卒業後、仙台の調理師学校に進学。調理師学校卒業後は、ホテルやイタリア料理店、老人ホームなどの様々な場所で「食」に携わる仕事に取り組む。
 2006年に八戸市六日町で小料理「渚」を開店。2008年には八戸市根城で「ナギサカフェ」を開店。2009年に野菜ソムリエの資格を取得し、料理教室を開始。受講者は3歳から80代と幅広く、開講4年で受講者は延べ4000人を超える。
 現在、八戸市類家で、病気予防をコンセプトにした「ナギサカフェ」を経営。カフェを活動の拠点に、食事だけではなく、コミュニケーションを重視したレッスンを開催。幼稚園、保育園、各種教育施設、医療機関から講演や料理教室の依頼がある。
 また、地方の起業家として、全国写真家協会、建築士会など異業種の勉強会でも地方発信をキーワードに講師を務めている。

なぎさなおこさんの主な活動分野 「起業」「まちづくり」「子育て・介護」

チャレンジのきっかけは?

働きたいと思える職場を作りたい

 仙台の調理師専門学校を卒業した後、ホテルや料理店、老人ホームなど様々な場所で「食」に携わる仕事をしてきました。様々な飲食店を転々とし、キャリアを積みながら、一生働ける職場を作りたいと考え、27歳のときに起業しました。

 当時、娘はまだ3歳でした。自分の中でのひとつの区切りは、娘が小学校に入るまでだったんです。「結果が出なければ辞めるから、それまでは娘にも家族にも負担をかけるけど頑張らせて欲しい」と娘や家族に伝えました。

 料理を作るのも好きでしたが、「食」のある環境づくりにも興味があったので、飲食店を経営するだけでなく、イベントプロデュース、料理教室、講演など、少しずつできることを増やしていきました。

フードクリニックナギサカフェの看板

これまでのみちのり

中学生の頃は「食」がストレスでした

 もともと好き嫌いが多かったんです。食も細くて、量も食べられず学校の給食も全然好きではなかったし、「食べなくてもいいなら食べたくない」というぐらい「食べる」ことがストレスになっていましたね。体調を崩して学校を休むことも頻繁にありました。高校受験を迎えたときに「体が丈夫にならないと好きなことも出来ないし、周囲にも迷惑をかけてしまうんだな」ということに気がつきました。その頃、家庭科の授業で調理方法を変えると少量でも栄養が効率よく取れるんだなぁ」ということを知り、そこから自分で料理を作ったり、友達や家族に料理を作るようになり、体質改善もできて、「食」がストレスから好きなものに変わったんですよね。

老人ホームで作った食事

 高校を卒業した後は仙台の調理師専門学校に進学しました。調理師専門学校を卒業後、様々な飲食店で働いてから、八戸の特別養護老人ホームに勤務しました。

 そこでは介護食を作っていたのですが、ミキサーやフードプロセッサーにかけた食事をしている方があまりにも多くてショックを受けました。食事風景を見ながら、自分たちが年を取ったときはどうなるんだろう??と思ったんです。現在、高齢の方たちは現役世代よりも運動量も多く、体が丈夫な人が多いと思うんですが、それでも最期まで通常の食事を取ることが難しいんだなぁ…と食事風景を見ながら感じました。「せっかくだったら美味しい食べ物を最期まで美味しいと感じて最期を迎えられたらいいな」と強く思うようになりました。

フードクリニックナギサカフェのランチ

フードクリニック

 また、私は曾祖母や祖母、祖父とも一緒に暮らしていたので、それぞれが最期どのような食事を取っているのかも見届けてきました。「食」は本当に最期まで切り離せないものだなぁということを実感しました。お店や料理教室では病気になったときの食事の相談も少なくありません。病気は薬で症状を抑えることができますが、薬で病気が治ったとしても、そのあとに再び不健康な食事を摂っていたら、また健康を崩してしまいますよね。そう考えると、食事と健康は切っても切れない関係なんです。

 病気になってから治すというのは、すごくエネルギーのいることですし、治療にはお金も時間もかかります。そして、病気になると心身共に余裕がなくなってしまいますよね。

 老人ホームでの食事や、働いている中で体調を崩してしまった人たちを見て、「病気になってから薬や検査などに時間とお金をかけるのではなくて、病気になる前の予防にもっと時間とお金をかけられたらいいのに」と感じたんです。お金と時間を、病気になってから使うのか、病気になる前に使うのか。普段の食事のセルフケアのお手伝いができたらいいな、という気持ちからフードクリニックというものを意識し始めるようになりました。

現在の活動状況や今後の目標など

自分の中で軸をしっかりと決める

 カフェを始めたとき、お客さんから「こんなの家でも作れるような料理だ」と意見をもらったことがあります。当時は自分の中で「こういう路線でいこう」という軸がしっかりしていなかったので、その言葉に傷つき、「確かに私よりも料理が上手な人なんてたくさんいるしなぁ」と感じたりしました。でも、そこで「何がしたいのかな」と考えたときに、「家庭で真似して作ってもらえたらいいな」「普段から食べられるような料理を作りたいな」と感じたんです。自分の伝えたい客層やターゲットが見えてきたような気がしました。

 当時はお客さんの一言がショックでした。でも、今思うとショックだと思うこと自体が、自分の中で軸がしっかりしていなかったということを示しているような気がします。現在はSNSなどで繋がろうと思えば簡単に繋がれるし、中傷しようと思えば様々な手段で中傷できるので、「中傷する人が居ても、絶対に伝えたい!負けない!」と思えるくらい軸がしっかりしていないと、起業しても長く続けられないなと感じました。

料理するなぎさなおこさん

仕事と家庭のバランス

 正直に言ってしまうと、家庭との両立は不可能に近いぐらい難しいと思います。

 自分が学校行事に100%参加できない部分など、最初は自分でもどうなのかなと思いました。「こんなに家庭を犠牲にして、私は何をやっているんだろう」と、ふと感じることもありました。ですが、そこで「じゃあなぜ家庭を犠牲にしてまでやりたいのか」と考えたときに、「どうしてもこの仕事がやりたかった」という思いが勝っていたんです。

 私の世代はまだ「専業主婦がいい」という風潮もあるので、「母親が家にいないのは可哀想」と言われることもありました。そんな中で、「子どもにとって、そして自分にとって、いったい何が可哀想なんだろう」と考えました。子どもがやがて大学へ行ったりして自分の手を離れたときに、はたして自分に何が残っているんだろう、と思ったときに、そのとき自分が自立できないような大人になってしまっていたら、子どもの足を引っ張ってしまうような気がしました。

 将来のイメージなども、子どもと一緒に考えているのですが、将来、それが自分にも子どもにもプラスになるのであれば、やはり我慢する部分は大事だという結論に至りました。「なんとなく、子どもと一緒にいたい」とか、「なんか可哀想だ」とか、なんとなくそう感じたからというのではなくて、現在の状況だけではなく「なぜ可哀想なのか」、「その状態を続けていくとどうなるのか」という将来のイメージも必要だと思います。

 子どもや家族に協力してもらっている部分もたくさんありますし、仕事の悩みなどもあまり隠さず素直に伝えているので、今ではこの仕事を「一緒に共有できて、一緒になって頑張れるもの」だと認識してくれているような気がします。先日も「辛いな~。ちょっと辞めたいな~」と弱音を吐いていたら「折角ここまで来たのに??」と叱咤されるくらいになりました。娘は強力なパートナーです。

子どもの頃から「食育」を

 料理教室も5年ぐらい続けているのですが、今では料理教室の開催数や生徒さんの受講数がかなり増えてきました。小学校や中学校、養護施設や看護師学校などからも講演依頼を受けたりしています。

 最初からこうなることを目指していたわけではないのですが、「食のある空間作り」や「食を通したコミュニケーション」ということをテーマに活動してきたら、「時代が、繋がりやコミュニケーションといったものを求めているのかな?」と感じるようになったんです。

 昨年には食育に特化した、子ども向けのレシピ本を出版しました。3歳から作れるような簡単な料理や、誰かと一緒に作って楽しめるような料理のレシピを作りました。「子どもに料理を教えるのは手間もかかるし、ちらかるし、危ないし、時間もない」と思ってしまいがちですが、一度覚えると将来的に自分にも子供にもプラスになります。小学校入学あたりから料理を覚えると、ご飯を炊いたり、サラダなど簡単な料理を作ることもできますし、高学年になると、チャーハンややきそば程度は上手に作れるようになります。高学年になると部活や塾を優先させてしまうので、親と一緒に料理を作る機会がどんどん減ってしまうんです。だから、小学3年生までが料理の種まきのチャンスです。早めに種をまいておくと、子どもが大きくなってから、その料理の種が芽吹いて、自分の食べるものを自分で作れるようになると思うんです。自分で料理が作れるというのは大きな自信にもなります。

 料理もコミュニケーションも楽しくできるような「食育」を、これからも子どもたちに伝えていきたいと思っています。

なぎさなおこさんの著書

これからチャレンジする女性へのメッセージ

ストップする時間も必要です

 起業するときは、明確な目的が必要です。ただ好きだから、得意だからというだけでは長く続けることは難しいのかな、と思います。一生懸命あれをやらなきゃ、これもやらなきゃ……と、目の前の仕事で精一杯になってしまうと目的とずれてしまっていて、「どうして頑張っているんだろう」という部分が抜けていることがあるんです。忙しすぎると、自分を見失っちゃう時期ってあるんですよね。だから、「何がしたいんだっけ」という部分をはっきりさせるためにもストップして見直す時間が必要だと思います。何ヶ月かに一回は「私、今、どこに向かって何をしているんだっけ」と、自分の中で気持ちと頭を整理する時間を作ってみることも大切です。

必要なのは「しっかりとした軸」と「応援してくれるパートナーや仲間」です

 大事なのは、自分の中でしっかりとした軸を持つことと、目標を明確にすることです。何のためにその活動をしたいのか。その活動をすることでどんな変化が期待できるのかということを、しっかりと言葉にして発信してみることが大切です。頭の中身を文章にして書き出してみると、頭の中も整理されますし、発信するときのキーワードも見つかります。

 また、ナギサカフェでは、月に1回、スタッフたちを交えたミーティングをしています。職場の中で自分には何ができるのか、自分の目的と仕事の目的は一致しているのか。このようなテーマを設けて、一緒に働いてくれているスタッフたちと日々話し合い、そして学び合いながら、人生や仕事に対する気持ちを共有しています。仕事でもプライベートでも、応援してくれる、協力してくれるパートナーを見つけることも大切です。1人で頑張ってると限界もきますし、できることも限られてきます。支えられたり、支えたりしながら一緒に成長できるパートナー選びも、生きていく上では欠かせませんね!

なぎさなおこさんとスタッフの皆さん

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青少年・男女共同参画課 男女共同参画グループ
電話:017-734-9228  FAX:017-734-8050

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