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更新日付:2015年3月12日 県民活躍推進課

青森県女性ロールモデル 金田一成子さん

学んだ知識や技術を誰のために使うのかということを見据えれば、働き続ける意識は自ずと変わってくるのではないでしょうか。

金田一成子さん
あおもり協立病院 副院長
一般社団法人日本女性薬剤師会 副会長
一般社団法人青森県薬剤師会 副会長
金田一 成子さん(青森市)

【プロフィール】
 大学卒業後、東京でドラッグストアの管理薬剤師、青森市内の保険薬局、八戸市内の精神科病院、青森市内の内科病院の勤務を経て、平成6年から株式会社あおもり健康企画に勤務し、平成18年から常務取締役となる。約20年間、在宅医療の分野で薬剤訪問活動に取り組む。
 平成26年11月から、あおもり協立病院の副院長に就任し、薬局長を兼務している。

金田一成子さんの主な分野 「就業・キャリアアップ」「専門職・研究職」

チャレンジのきっかけは?

化学や数学が得意で、「薬」に興味を持っていた

 学生の頃から化学や数学が得意で、自分の得意分野を活かした職業に就きたいと思っていました。半分ふざけていますが、中学校の文集では将来の夢を書く欄に、「ハゲが治る薬を発明する」と書いた記憶があります。当時の担任の先生の頭がそうだったということもありましたが、おそらく中学生の頃から「薬」に興味があったのだと思います。

 自分が得意とする理系科目や薬への興味を活かせる職業は何かと考えたときに、薬剤師という職業が思い当たり、資格を取得するために薬学部がある大学を選択しました。

これまでのみちのり

大学卒業後は管理薬剤師として勤務

 大学の薬学部を卒業後、東京駅にあるドラッグストアに勤務し、主に、丸の内に勤務しているサラリーマンやOL、出張中の方や旅行客に薬を販売していました。店を訪れるほとんどのお客様が、どんな薬がいいかということを私にご相談されるので、結果として、店の棚に並ぶ多くの医薬品の中から私が選んだものをお客様が購入することになるわけです。常に新しい薬について知識を得ていなければ、お客様のご相談にお応えすることはできないので、働きながら薬に関する勉強や情報収集に励みました。

 約1年間、東京で働いた後、青森に戻って保険薬局に勤めました。夫の転勤に伴って何回か職場を変え、精神科病院や内科病院などを経験しましたが、平成6年に、当時勤めていた病院が診療所に変更になることをきっかけに病院を退職し、株式会社あおもり健康企画の設立メンバーの一人として、保険薬局「大野あけぼの薬局」を開設しました。

あおもり健康企画で在宅医療に力を入れる

 あおもり健康企画では、新規薬局の開設の責任者に就任し、新たに4店舗を立ち上げました。また、保険薬局以外の新たな事業として高齢者住宅を1棟建設するなど、あおもり健康企画での仕事は多岐にわたりました。

 その中でも特に力を入れて取り組んだのが、在宅医療です。患者様のお宅を訪問して薬を届け、安全に服薬しているかを確認することはもちろん、おむつやガーゼなどの介護用品を届け、介護中のご家族をサポートする在宅介護にも携わりました。また、患者様が亡くなった際は遺族訪問をし、ご家族から患者様との思い出話や亡くなるときの様子などを話していただいたりします。

 在宅医療は、ただ薬を届けて服薬指導するだけではありません。患者様やそのご家族に寄り添い、心のサポートまで行うのが在宅医療なのです。患者様やそのご家族が安心して自宅での治療・介護に向き合うことができるよう、約20年間にわたって実際に患者様のもとを訪問するなどして、在宅医療の推進に取り組んできました。薬剤師による在宅医療は今や、薬学教育のカリキュラムにも取り入れられるようになり、私たちが今まで実践してきたことに自信を持つことができました。

薬剤師会での活動

 保険薬局での仕事のかたわら、薬剤師会の活動にも自然と関与するようになりました。平成14年に、青森県薬剤師会青森支部長の木村隆次先生(現青森県薬剤師会会長)からのお声がけをきっかけに、県薬剤師会青森支部と女性薬剤師会の役員に就任しました。

 女性薬剤師会は、県薬剤師会にある部会のひとつです。組織的に言えば、任意団体という位置づけですが、青森・弘前・八戸の3ヶ所に支部を設置して、県内の女性薬剤師を対象とした情報発信や職能向上のための研修会などを開催しています。

 従来の女性薬剤師会は、どちらかと言えば年上の女性薬剤師が集まっており、あまり若い薬剤師が活動に参画していないイメージがありました。そこで、私が会長に就任した平成20年以降は、将来の医療を担う女性薬剤師を育成するため、徐々に組織の若返りを図ることにしました。まずは、研修会にあまり参加したことのない人たちを思い切って役員に抜擢し、その人たちを巻き込んで誰でも参加できる公開講座を企画しました。どんなに小さな企画でも、「こういう講師を呼びたい」「こういうことをやりたい」という想いを大事にして、自らが積極的に運営・企画に関わるよう呼びかけています。

 また、医療現場でよく見られる光景ですが、平日の仕事が終わった後、夜7時から9時くらいまで勉強会が行われます。しかし、子育て中の女性薬剤師はその時間帯になかなか参加できません。そこで、子育て中の人、または出産のために一時的に仕事を離れている女性薬剤師のために、テキストを作成して1年間の通信講座を開催しています。受講人数は1年間で30人ほどですが、やはり青森市以外に住んでいて夜の勉強会には参加できない方の受講が多いです。女性薬剤師会としては、そういった人たちのために今後も何かしらの支援をしていきたいと思っています。

薬局薬剤師から病院副院長へ異例の抜擢

 長年勤め続けてきたあおもり健康企画を退職し、平成26年11月からはあおもり協立病院の副院長及び薬局長を務めています。他の組織、それも病院に勤めている薬剤師でもなかったのに、いきなり病院の副院長や薬局長のお話をいただくことは異例のことのようです。病院への移籍のお話をいただいたときは驚きましたが、それまで務めていた委員会の任期もちょうど一区切りつくことや、これまでに得てきた知見や経験を、病院という場でなにかしらの形に残せるかもしれないということで、思い切ってお話をお引き受けすることにしました。

 約20年ぶりに病院薬剤師として勤務していますが、外部組織から副院長に就任したという前例がないため、資料ひとつ作るのにも四苦八苦しています。また、副院長兼薬局長ということで、担当する業務も大変幅広く、かつ重要なものばかりなので、それなりにプレッシャーを感じています。ですが、気になること全てに中途半端に手を出してしまうと、全てが中途半端に失敗してしまうので、他の副院長さんの意見を聞いたり、薬局のスタッフと話し合ったりしながら、慌てずにひとつひとつ解決しようと思っています。

現在の活動状況や今後の目標など

病院薬剤師に期待されていること

 薬剤師と聞くと、処方箋をもとに飲み薬を調合するというイメージがあるかもしれませんが、薬剤師の仕事はそれだけではありません。医薬品の管理、医師や看護師への薬の情報提供(DI情報)、抗がん剤の調整、注射薬のセット、救急カートの医薬品の点検など、薬を安全に使用してもらうために様々な仕事をしています。もちろん入院患者様の服薬指導や退院時の服薬指導も重要な仕事です。

 しかし、現在、薬剤師の業務量は増える一方で、薬剤師不足に悩んでいる病院・薬局が多く存在します。特に、青森県では薬剤師の数が著しく不足しており、マンパワーが増える見込みがなかなかありません。

 そのような状況の中で重要になってくるのが、業務全体の見直しです。ひとつの部署が抱え込んで業務を担当するのでなく、お互いの専門性を発揮して連携することで、医療サービスの質の向上にもつながります。最近では、病棟薬剤業務といってそれぞれの階の病棟に担当薬剤師を配置し、医薬品の安全管理とチーム医療をよりスムーズに実践する取組も行われています。

 私自身、11月から副院長兼薬局長として働き始めたばかりで、まだ薬剤の管理や資料の確認作業に追われているような状態ですが、医師や看護師、リハビリスタッフや管理栄養士と常に相談して連携を取りながら、患者様やそのご家族に向き合っていく薬剤師集団を作っていけたらと思っています。

指導する立場にいる人間は「育成する」という意識を持つ

 薬剤師の半分はほぼ女性ですが、全国の会議に参加すると、会長や理事のほとんどが男性です。女性比率を見ると、日本薬剤師会は6.6%、青森県薬剤師会は14%です。数値を見ても明らかなように、国が目指している女性登用率3割には全然届いていません。

 女性が働き続けられるような職場を目指すのであれば、働く女性の意志をもっと表面化させなければいけません。そのためには、理事会や各種委員会などで一定の数値目標を設けることも必要です。ふさわしい人財がいないのであれば、候補になりそうな女性にチャンスを与えるなどして、意識的に育成することが重要です。これは女性に限ったことではありませんが、指導する立場にいる人間は、「育成する」という意識を持って部下に接しなければ、いつまで経っても人は育ちません。

 薬局から病院へと働く場所が変わりましたが、委員会の理事などに実力のある女性薬剤師が就けるよう、引き続き研修会などを開催して後継者育成に力を入れていきたいと思います。

限られた時間で自分なりの仕事をすること

 女性薬剤師会で話題になるのは、やはり出産・育児などで仕事を辞める女性が非常に多いことです。調剤薬局であれば、閉局時間が午後5時となっていても、午後5時以降に病院の受診を終えてから来る方もいるため、結局は午後6時、7時と薬局を開けておかなければいけません。むしろ、仕事帰りに病院を受診する方が多いため、夕方の午後5時以降は忙しくなる時間帯です。子育て中の方からすれば、やはりこの時間帯に帰ることができず、結局辞めてしまったという話をよく聞きます。

 出産は女性だけが経験するものですが、一方で、育児の方は男性も女性も、誰もが関わることができますし、育児する期間がいつまでも続くわけではありません。確かに人員という視点から見れば、働く人が少なくなるのは大変かもしれませんが、産休・育休を取っていた人が、その後も辞めることなく戻ってきて働いてくれるのは、大変喜ばしいことだと思います。働く時間に制約がある人がいるのなら、一緒に働く人はその人を支援・理解することが大事ですし、本人も限られた時間の中できっちりと自分の仕事をすることが、様々な事情を抱えながらもいろんな人が一緒に働いていけるコツだと思います。

今後は「つながり作り」に取り組みたい

 今後、取り組みたいことのひとつに、産休や育休を取得した人に対する情報配信があります。産休や育休に入ると医療現場から離れるので、どうしてもそれまで持っていた知識や経験が薄れてしまいます。また、最新の医薬品や医療機器、医療体制ができたりするなど、医療現場はかなり変化が激しいです。

 そういった中で、定期的に医療知識や現場の情報などをメールで伝えることで、社会とのつながりや薬剤師としてのつながりを実感し続けられるのではないかと考えています。社会や仲間とのつながりが自分にはあるのだと思えるだけで、復帰のしやすさはかなり変わってきます。情報が届かない人たちに対していかにして情報を伝えるかという部分をしっかり考えながら、休んでいる人たちがスムーズに復職できるようなプログラムを今後作っていきたいと考えています。

これからチャレンジする女性へのメッセージ

「働く」ということは「学んだ知識や技術を社会に還元する」こと

 夫の転勤に伴って何回か退職を繰り返していますが、自分の中に「働くことを辞める」という選択肢はありませんでした。

 なぜなら、「働くということは、自分の持っている知識や技術を社会に還元することだ」という意識があったからです。おそらく、それは大学時代の先生が、「君たちはいろんなところからもらったお金で勉強しているんだ。ご両親のお金だけではないんだよ。だから、勉強したことを社会に還元しなければいけないんだ」と言ったことに起因しているかもしれません。
学んだ知識や技術を、誰のために使うのか。働いてからそのことを考え始めるのではなくて、大学で勉強している間に学生たちにしっかりと教えていく必要があると思います。勉強した後にある「先」を見据えるということを身につけると、働き続ける意識は自ずと変わってくるのではないでしょうか。

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