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更新日付:2013年8月20日 県民活躍推進課

青森県女性ロールモデル 門上富美子さん

困難な壁は、それを乗り越えられるから自分の前にやって来る。
ちょっとずつ頑張って乗り越えていけば、おのずと実力がついていきます。

門上富美子さん
株式会社小坂工務店 営業部リーダー
門上 富美子さん(三沢市)

【プロフィール】
平成9年 株式会社小坂工務店(総務部)へ入社。
平成15年 同社営業部発足の際、立ち上げスタッフとして抜擢。
平成17年 同社アパマン事業部で店長を務める。
平成22年 体調不良のため、3か月休職したのち営業部に復職。
平成24年 営業部リーダーに昇格し、現在は戸建て住宅の営業も手がけている。

門上富美子さんの主な分野 「就業・キャリアアップ」

チャレンジのきっかけは?

今までの知識・経験を次のステップへ

 総務部に所属していた際、本社で新しく賃貸マンション建築のFC(フランチャイズ)に加盟したのですが、社長から「今は仕事もなくなってきているから、生半可には営業できないぞ」と言われたので、会社内に新しく営業部を立ち上げることになりました。各部から営業部立ち上げのスタッフが集められ、総務部からは私が抜擢されたんです。

 当時は、私も他のスタッフも営業という知識や経験がなかったものですから、「全社営業」を基本理念に掲げて社員全員で営業研修を実施したり、他の営業研修に率先して参加したりしました。営業部というくくりだけでなく、部門を越えて情報共有をするなどして、会社全体で協力し合うという姿勢がありました。そのおかげで営業の方は徐々に軌道に乗るようになりました。

 不動産賃貸部門の前店長が辞められたときも、「営業部にいたときの知識を活かせるだろうから、店長をやらないか」と声がかかりました。店長というものをそれまで一度もやったことがなかったのですが、営業部の知識を活かせるなら、ということで店長を引き受けました。もちろん知識だけでは新しい仕事はできませんので、そこは外部の人に来ていただいて技術を見よう見まねで覚えていきました。

 また、前に勤めていた会社で得たISO(品質や環境に対する取組を証明する国際標準規格)認証取得の知識があったので、今の会社でISO委員会が立ち上がったときは委員長を務めました。工場でのISO認証取得ならともかく、当時は地方の建設業でISO認証を取得しているところは少なく、「そもそも建設業にISOがどう関係しているの、ISOって何?」という意識の方が多かったです。そのため、準備期間として1年以上前から研修に参加したり、外部から講師をお招きしたりといったことをたくさんしました。

 自分がそれまでいた部門で知識をしっかり覚えていると、社長や上司に「次の新しい職場でもこいつは使えるんじゃないか」と思ってもらえるんだなと感じました。知識や経験が次へのステップとなって、今では戸建て住宅まで扱うようになったんです。

これまでのみちのり

「とりあえずやってみよう」の精神で臨む

 前の会社でいろいろ指導していただいた直属の上司が定年に達したということで私の中で一区切りついた部分がありました。ちょうどその時期に今の会社の友人からお誘いがあったんです。

 最初に総務部の配属になったのですが、当時、手書き文書から電子文書に移行する頃でしたので、総務部で初めにやったのは今までの過去の文書を全てスキャニングしたり、経理ソフトで採番つけをしたりといった基礎の部分でした。

 社長は、出張に行くと新しいパソコンソフトを買ってきて朝、私の机の上に置いておくんです。何のソフトかはよく分からなかったのですが、「とりあえずやってみよう」という気持ちで試してみました。そして、使えそうだったら会社の業務に使っていく、というような感じで仕事を進めていました。中にはうまくいかないものもあるんですけど、それでも「とりあえずやってみて使えるものを活かしていく」という気持ちを持ち続けました。そのあとに社長から「現場を知ってる事務員はいいぞ」と言われたので、「じゃあ現場事務員をやりにいこう」と思ったんです。

 建設部の現場事務所には1年間所属し、そこでも経理関係の業務を担当していました。当時は今みたいなLANシステムがなかったので、見積書を作成するときは、見積書を現場事務所で作って、電話回線を使ってその見積書を本社の方に印刷してもらうというやり方でした。今では、作成した文書をメールで本社に送ったりということも簡単にできますが、当時はそういう方法がなかったので、手探り状態で新しい方法を試したりしていました。

不動産という仕事

 新しく立ち上げられた営業部では営業事務を担当していましたが、様々な調査をしたり、頻繁に資料をもらいに行ったりしていたので、おそらく私が最初に外に出て行く女性になったのかもしれません。営業部に配属されたことにより、様々な場所へ出向くことが多くなりました。当時は建設業の女性事務員は事務所の中で働くことが当たり前と言われていたので、研修や会議等で出張することはめずらしいことでした。現社長から女性でも研修や出張はどんどん経験してほしいと言われ、広く勉強する機会を与えてもらいました。
 また、FC関連の研修や会議等に出張する機会も増えてきまして、そこで知り合いになった方々と情報の共有なども行うようになりました。外部のつながりを作ったおかげで、新しいお仕事にもつながったということもありました。

 しかし、営業の仕事は大変でした。お客さんの家に行くと、顔も見ずに「帰れ」「そんなのいらない」と言われたりすることも多かったです。当時はマンションというものがまだ一般的ではなかったので、「マンションなんていらない」とよくお客さんに断られました。

 そのような状況の中でも、やるしかない、という気持ちで仕事をしました。また、全体研修もありましたから、研修の中でロールプレイングを行うなどして、スタッフ全員でスキルを磨き合いました。

 不動産業というのは、電話でクレームを言われることもあるし、直接店までお客さんがいらっしゃることもあります。お客さんに気持ちよく住んでもらいたいから、お客さんのためにできる限りのことをしてあげたいと思い、お客さんの要望を全部受けとめていたんです。それでどんどんストレスが溜まってしまいました。

 不動産賃貸部の店長を4、5年ほど務めていたあとに、体調不良で3か月ほど休職していた時期がありました。このときは自分でも先行きが不安で、復帰できないんじゃないかとも思いました。ですが、社長は「ゆっくり休んでから出てこい」と言ってくれましたし、加えて、「最初から店舗に戻るとやっぱり大変だろう」という温かい配慮もあり、営業部の方で復帰することができました。

 復帰してから1、2年後に社長から「そろそろ営業部リーダーにならないか」と言われました。このとき、既に課長代理としていろいろな業務に携わっていましたから、リーダーになることへの躊躇は特にありませんでした。

現在の活動状況や今後の目標など

どの経験もきっと活かされる

 前の会社ではISO認証やPCの操作を習得し、その技術で今の会社に勤めることができました。総務部で経理を覚え、現場事務所で原価管理に活用でき、営業部での接客体験で不動産部へ異動になった際はオーナー様と対応できる技術がついており、再度営業へ復職したときは、不動産の知識があったので有効な土地活用の提案ができました。ひとつひとつの経験が次の職場で活かされていくのを実感しています。

 現在は、戸建て住宅の営業も手がけており、また新しい技術を習得する機会ができています。今では女性のスタッフもどんどん増えてきていますので、今まで自分が体験してきたことを後輩に伝えていくことで、さらに多くの女性スタッフが活躍していくことが楽しみです。

説明をする門上富美子さん

これからチャレンジする女性へのメッセージ

変化に対応すること、そして何事も面白いと思うこと

 仕事を辞めようと思ったことは何回もありました。部署が変えられるたびに「どうして私が?」と考えたり、「今、せっかくここで一生懸命頑張っているのに、どうして次のところに行けと言うんだろう」と悔しく思ったりしました。でも、最近は「よし、また新しいところがきた」と思えるようになったんです。やっぱり変化についていけるような気持ちにならないとだめなんだなと感じました。

 部長に言われたんです、「ダーウィンの進化論みたいだ」と。当初の営業部は男女混合の4人で立ち上げたんですが、結局残っているのは私だけなんです。それを見た部長が、「ダーウィンの進化論は本当だよな。あれは強い者やできる者が残るんじゃなくて、環境の変化に対応できる者が残るんだ」と言ったんです。やっぱり何事も楽しく思わないとだめだなと思います。おもしろくないと思ってやると面白くないし、おもしろいなと思ってやるとおもしろくなるんでしょうね。面白いなって思うように自分の気持ちを変えていきました。

 仕事をしている限り、どんな人にも困難な壁が訪れるものだと思います。やっと困難な壁を乗り越えたのに、また次の壁が来た、ということもあると思います。ですが、それは、乗り越えられるからその壁がやって来るものなんだそうです。自分がそれを乗り越えられるから壁がやって来る、それをちょっとずつ頑張って乗り越えていけば、自分の知らないうちに実力が必ずついてきます。

 大切なのは環境の変化に対応していくことです。どんな経験も無駄になることはないと思います。その変化や経験を柔軟に自分の中に取り入れていってください。

 そして変化に対応していくためには、やはり人とのつながりが重要になります。自分一人でできることには限りがありますが、周囲の人とのつながりで自分の可能性はどんどん広がっていきますから、人とのつながりを大切にしていってください。

平成25(2013)年7月取材

企業紹介

株式会社小坂工務店(三沢市)

  1. 総合建設業
  2. 不動産仲介・販売・賃貸業
  3. 携帯電話販売業
  • 平成24年度青森県いきいき男女共同参画社会づくり表彰 奨励賞「企業の職場づくり」部門受賞
小坂工務店の皆さん

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青少年・男女共同参画課 男女共同参画グループ
電話:017-734-9228  FAX:017-734-8050

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