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更新日付:2015年1月14日 県民活躍推進課

青森県女性ロールモデル 日景弥生さん

「体力は知力である」「武器をもつ」「友は財産である」をモットーに、様々なことにチャレンジしましょう。

日景弥生さん
国立大学法人弘前大学教育学部 教授
弘前大学男女共同参画推進室 室長
日景 弥生さん(弘前市)

【プロフィール】
 平成13年4月から、国立大学法人弘前大学教育学部教授(家政教育講座)として教鞭を執っているほか、平成19年から弘前大学男女共同参画推進準備室室員として、平成21年から同大学男女共同参画推進室室員として、平成24年からは同室長として、学内における男女共同参画の推進に取り組んでいる。

日景弥生さんの主な分野 「まちづくり」「専門職・研究職」

チャレンジのきっかけは?

家訓?“性別にかかわらず定年まで働く”

 家訓というわけではないですが、私の母や叔母たちが結婚をしても定年まで働き続けていたので、私自身、「性別にかかわらず定年まで仕事を続けることは当たり前」という考えを持っていました。働き続ける母や叔母たちは、まさしく私のロールモデルであり、「定年まで働き続けることができ、なおかつ私自身が働きたいと思えるような職業に就きたい」と自分なりに考えた結果、大学教員を志望することにしました。

 大学院修了後、なかなか就職が決まりませんでしたが、無事に弘前大学への就職が決まりました。経済的な安定を得たということで、「これで病気になっても大丈夫」と安心したことは、今でも思い出されます。当初は、3年程度したら首都圏内の大学に転出したいと思っていましたが、縁あって結婚し、弘前に根を下ろすことになりました。

 また、大学教員としてキャリアを継続させるためには、学位(博士)が必要です。子どもが小学校に入学するまでになんとか取得したいと思い、寝る時間も惜しんで研究と論文執筆に励みました。恩師や同僚の教員、家族のサポートのおかげもあり、無事に学位を取得したと同時に、ある学会の奨励賞もいただくことができました。お世話になった方々には今でも心から感謝しています。

弘前市からの委託研究を引き受ける

 男女共同参画に関わることになったきっかけは、平成9年に「弘前市における女性関連施策推進のための調査及び研究」を委託したいというお話が弘前市役所からあったことです。当時の市長が、2期目の公約として「女性施策」をあげていましたが、2期目の半ばになった時点でまだ着手していなかったために、まずは実態把握のために調査を行うことになり、そのお話が私のところにきたようです。

 最初は、そのお話をお断りしました。というのも、私自身、当時は男女共同参画の知識を持っていたわけでもありませんでしたし、積極的に関わろうと思っていなかったからです。ですが、他に適任者がいないということで、市役所の担当者から熱心なアプローチを受けるうちに、自分のエンパワーメントにもつながるのではないかと考え、思い切ってお引き受けすることにしました。

これまでのみちのり

男女共同参画について勉強する

 弘前市委託研究の研究代表者になりましたが、私自身の知識が乏しいため、調査に一緒に取り組んでくれる仲間を集めました。地域における男女共同参画は、内容が多岐にわたっており、皆で取り組むことによって波及効果が得られると思ったからです。そこで、市役所の担当者を含め、仲間たちと一緒に男女共同参画について勉強することにしました。勉強会は月2回、弘前大学で夜7時から9時頃まで1年間行いました。最初は、弘前市における男女共同参画の現状と課題を把握するために、弘前市からいただいたデータを見たり、市の担当者から説明を受けたりして、質疑応答や意見交換などを中心に行いました。テーマごとの勉強会やメンバーによる報告なども行っていくうちに、気づいたら私だけではなくて調査研究に関わるメンバー全員が、弘前市で男女共同参画を進めるためにはどうしたらいいかということを深く考えていました。

 この調査研究と続く2つの調査研究により、弘前市が男女共同参画を推進するための方向性が固まったと思います。

女性塾で得た人脈が一番の財産

 調査研究を経て、平成11年には、弘前市による女性のエンパワーメントのための塾「弘前きらめき女性塾」が4期(5年間)にわたって開催され、私はその塾長をお引き受けしました。この塾は、開塾頻度が2週間に1回くらい、しかも開始時間が夜からということで、最初は人が集まるかどうか不安だったのですが、そんな心配は不要でした。1期目も2期目も無事に定員30名に達したのです。また、主婦の人たちも参加しやすいように、3期目は思い切って開始時間を午前中に移しましたが、驚いたことに3期目も定員を満たしたのです。

 弘前市から転出するということで何名かが途中で退塾しましたが、結果的に、4期(5年間)で110名の女性が卒塾しました。全期間を通し、定員120名のうち110名が卒塾したという事実は、とても誇れるものだと思います。つけ加えると、卒塾した女性が何らかの形で成果を出して活躍しているので、塾長としてこれほど嬉しいことはありません。

 また、塾長を務めさせていただいたおかげで、塾生はもちろん、講師や民間団体の方、行政の方々と様々な形でつながりを持つことができました。男女共同参画に関する知識が深まったこともとても大切な財産ですが、人脈が広がったことが一番の大切な財産でしたね。

男女共同参画推進準備室を設置

 政府が策定している計画のひとつに、「科学技術基本計画」という、科学技術の振興に関する施策を総合的に進めるための計画があります。世界と比較して日本の女性研究者が非常に少ないということで、この計画の3期目(平成18年度から平成22年度まで)に初めて女性研究者の支援や採用目標が組み込まれました。

 弘前大学においても、以前から女性研究者が少ないという事情もありましたし、学長自らが「今後は女性研究者の支援に力を入れていく必要がある」とお考えになったことにより、平成19年に男女共同参画推進準備室が大学内に設置されることになりました。

 この準備室は、後に設置される男女共同参画推進室を整備するためのものです。それまで全く取り組んでいなかった「男女共同参画」という分野で事業を実施するためには、ある程度の資金が必要です。大学で男女共同参画を推進するための取組については、文部科学省から助成金が出るので、準備室では主にその助成金獲得に向けた作業を行いました。

準備室から推進室へ

 2年間の準備を経て、ついに平成21年10月に男女共同参画推進室(以下、推進室)が設置され、平成22年からは文部科学省の助成金が得られ、本格的な活動を開始しました。

 主な活動は職場の環境整備、とりわけ女性研究者のワーク・ライフ・バランスの推進です。子育て中の女性研究者は仕事と育児の両立が難しいので、研究者に学生サポーターを配置できるようにしました。この事業は、子育て中の研究者がサポートを得ることはもちろんですが、それは学生へのロールモデルにもなります。学生も、教員の研究に触れることで自身のスキルアップにもつながるわけです。

 また、今ではかなり多くなりましたが、学会の際の託児支援も行いました。学会に設けられている託児スペースは有料のところが多いので、推進室がその利用料をある程度まで負担しました。

 推進室が設置されてから5年ほど経ちますが、ワーク・ライフ・バランスを始めとする環境整備は今もなおとても重要な部分です。現在は女性研究者だけでなく、男性研究者向けのワーク・ライフ・バランスにも取り組んでいますし、今後もこの取組を拡大したいと思っています。

現在の活動状況や今後の目標など

トップにも積極的に発信することが大事

 推進室では、参加者同士がお茶を飲みながら、本学の環境整備や支援のあり方についてざっくばらんに話し合う「さんかくカフェ」という場を設けています。

 今年度の第1回目は学長を交え、男女が働きやすい弘前大学について意見交換を行いました。そのときに、職員から「つわりなど、体調が優れないときに休めるような女性休養室が欲しい」という意見が出されたのですが、それを聞いた学長がすぐに「つくりましょう」とおっしゃっいました。現在は、その設置場所も決まり、女性休養室の設置が現実のものとなりつつあります。

 大学だけでなく、企業などにおいても言えることですが、男女共同参画の推進にはトップのコミットメントが大変重要となってきます。トップが方針を示せば、教職員はそれを尊重し、実現しようと努力します。ですから、私たち推進室の役割は、大学の教職員や学生に男女共同参画の推進を発信することはもちろんですが、大学のトップである学長にもその重要性を積極的に発信し続けることなのです。

弘前大学に女性役員を誕生させたい

 現在、残念ながら本学の役員会に女性はいません。役員会は本学の最高決定機関ですから、その場に、まずは最低1人は女性の役員が欲しいと強く考えています。

 一方で、なぜ女性役員が誕生しないのかを考えると、女性が役員になれるようなトレーニングの場や機会がないこと、女性自身が申し出を断ることなどが背景にあると思います。

 研究者に求められることと、役員やリーダー等に求められることは質的に違います。要は、経営的な考え方ができるかどうかです。研究者としてのトレーニング場面は、学生時代から多々ありますが、経営的な考え方のトレーニングの機会はなかなかありません。これは男性にも当てはまることです。

 また、女性には、上位職就任への不安や性別役割分担意識等により、「断ることが美徳」という風潮があるように思います。上位職を断ることで、上司は「女性は断るから、もう打診しない」と思ってしまうかもしれませんが、引き受けることで、次に続く女性が現れるかもしれないのです。女性も申し出を断らない(引き受ける)勇気をもって欲しいと思います。

 大学の運営にも多様性が求められています。今まであまり意見を言う機会がなかった女性教員や職員が積極的に大学運営に関わることで、大学がより良い方向に変容していきます。弘前大学に、1日も早く女性役員が誕生するよう、これからも男女共同参画に関する取組を進めていきたいと考えています。

これからチャレンジする女性へのメッセージ

武器を持とう

私には3つの座右の銘があります。

  1. 体力は知力である
  2. 武器を持つ
  3. 友は財産である

 チャレンジする女性には、特に「武器をもつ」を心がけてほしいと思います。武器とは、「卓越した能力」のことです。すべての人々は、さまざまな能力をもって生まれてきます。しかし、それらがすべて秀でた能力になるわけではなりません。それらに磨きをかけること(=開発)により「卓越した」能力になっていきます。そのようなことから、私は開発しない能力を「武器」とは呼びません。

 これからチャレンジする方、あるいはチャレンジしたい方、あなたの武器をもちましょう。

 なお、2014年6月に弘前大学出版会から刊行された「弘前大学でみつけた107の言の葉ノート」にも、同様のことを記載致しましたのでお読みください。

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青少年・男女共同参画課 男女共同参画グループ
電話:017-734-9228  FAX:017-734-8050

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