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更新日付:2023年7月6日 財政課

所信表明(令和5年7月定例会冒頭あいさつ)

 青森新時代。選挙戦を通じて、県民の皆様から頂いたのは「今の青森を変えたい」、「大きく変えたい」という声でした。それは悲痛な叫びのような、あるいは希望にあふれたものでした。青森新時代への挑戦は私自身の挑戦ではなく、全ての青森県民の新しい未来への挑戦です。
 本日ここに、県議会第三百十四回定例会の開会に当たり、今後の県政運営について所信の一端を申し述べ、議員各位並びに県民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げたいと存じます。
 青森新時代。青森県内のごく普通の家族を思い浮かべると、これから私たちが取り組まなければならない多くのことが見えてきます。
 その家族には、まず二十代の共働きの若い夫婦がいて、小学生の子どもが一人います。その子のおじいちゃんとおばあちゃんは近くで暮らし、ひいおじいちゃんも九十歳ですが結構元気です。親戚もたくさんいます。おじさんとおばさんは別の町や村に住み、りんご農家やほたて漁業を営んでいます。
 その家族と親戚は「若い人たちがあふれて、若い人たちが戻ってくる青森」にして欲しいと口を揃えて言い、そして、「お年寄りも含めて全ての人に居場所があって健康で長生きができる青森」であって欲しいと願っています。
 若い夫婦は、もう一人子どもを授かりたいけれど、経済的なことや仕事のことを考え、迷っています。家族・親戚の全員が、給料や所得は上がらないのに物価や燃料費の高騰で生活費が増えることに困っています。
 おじいちゃんとおばあちゃんは、自分で運転を続けていいものか迷いながらも、近くの病院には何とか車で通っていますが、遠くの大きな病院に通うのは年々大変になっています。りんご農家やほたて漁師のおじさん、おばさんは、手伝う人手が少なくなり、所得も不安定なことから後継者に不安を抱いています。
 「若い人たちがあふれて、若い人たちが戻ってくる青森」
 人口減少という危機的な状況を見れば、若い人であふれるどころか青森県そのものが消滅しかねません。まずは、若い夫婦の一人目の子、そして次の子を望む声に応える対策が必要です。
 このため、「青森県こども未来県民会議」を開催し、女性や子育て世代等との対話から政策を企画していく新たな取組を展開します。具体的には、子育て費用の段階的な無償化、子供の預け先の確保、若い世代の所得の向上など、総合的な施策を実現し、合計特殊出生率二以上を目指す「青森モデル」を構築します。
 次に、家族と親戚全員の悩み。青森県民共通の課題と言ってもいいでしょう。第一次産業から第三次産業までの生業の所得向上に取り組まなければなりません。
 このため、まずは直面する物価・燃料費高騰等に対応するための対策本部を設置し、スピード感を持って支援を行い、県民の生業の維持・回復を図ります。そして、特に本県の主力産業である農林水産業の生産者所得の向上に中心的に取り組むほか、各産業におけるDX(デジタル・トランスフォーメーション)の活用推進等による生産性の向上や新しい事業展開に取り組んでいきます。
 さらに、この小学生の子どもが将来にわたり青森県内で暮らしていくため、そして、高い志を持って県外の大学などに進学した若者たちが本県に戻ってくるためには、所得の向上と併せて、魅力ある企業誘致を四十市町村でバランスよく実施するとともに、創業支援を展開し、新しい仕事を創り出す必要があります。
 「お年寄りも含めて全ての人に居場所があって健康で長生きができる青森」
 おじいちゃんとおばあちゃんの悩みにも応える必要があります。医療過疎対策としての医師確保、検診から始める新たながん対策を中心とする医療を推進します。さらに、身近な医療を目指し、オンライン等での医療連携も進めていきます。
 また、高齢者、障害者の方を含め、全ての人たちが生きがいを持って豊かに暮らしていける社会の実現を目指していきます。
 このストーリーに終わりはありません。教育、介護・福祉、地域交通、観光、プロモーション、防災・減災などあらゆる政策の芽をこの家族から見いだすことができます。この視点を大切にして、これからの県政を進めていきます。
 青森新時代。それは、知事が青森県を一つの家として、県民は皆が家族と考えて、県民一人一人に直接向き合う時代です。見せかけだけではなく、パフォーマンスだけではなく、まるで団らんをしながら居間にいるかのように語り合う。そして、県民お一人お一人の意見が県政を大きく動かす可能性がある時代です。
 さらに、常に県民の皆様と最前線で向き合う四十市町村長とのホットラインを形成し、直接つながります。要望や陳情のやり取りだけではない日常的な連携を深め、地域の悩みにそっと県政が手を差し伸べる時代です。
 私は、青森や日本を覆うこの閉塞感を打破して欲しいと願い、変化を望む多くの県民の皆様から負託を頂き、この場に立たせていただいております。ただ、本当に大切にしたいのは、一票の重みです。
 投開票当日、朝一番の七時に二歳の子供を連れて投票所に向かったという若いお母さんに出会いました。ワクワクしながら投票したのは初めてだと伝えてくれました。
 選挙期間中に入院し、病床から最後の力を振り絞り不在者投票を行い、そして開票前に他界したという方の話を御家族から伺いました。「未来の青森は宗一郎に託す」と言ってくれたそうです。
 普段コミュニケーションの少ない父と娘の会話の中で、中学三年生の娘が「四年後に選挙で投票できるのが楽しみだ」と言ったというエピソードも聞きました。
 お一人お一人の思いが、大きなうねりとなった選挙でした。選挙の歴史は変わったと思います。次は、政治と県政の歴史を変えます。
 一票に託されたそれぞれの思いを、今改めてひも解き、県政発展へとつなげていきます。それこそがまさに、県民による県民のための県政、そして県民が主役になる県政であると確信しています。
 たった一人でも悩みや不安が解消され、希望が叶うことがあれば、その人は新しい青森県政によって、新時代を迎えることになります。政策の力で百二十万県民の多くがそう実感してもらえるよう、実行力と発信力を高め、スピード感を持って県政をリードしていきたいと考えています。
 道のりは長く険しいものになるかもしれません。それでも一人、また一人と共感と協力の輪を広げて、青森県政を自分のこととして考えてくれる方が増え、振り返ってみると大きく変わっていたと言える一つの時代を築いていきたいと考えています。この決意と覚悟を申し上げ、私の所信表明とさせていただきます。

過去の議会説明要旨

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