ホーム > ようこそ知事室へ > 議会での提案説明 > 第304回定例会提出議案知事説明要旨(令和2年11月)

更新日付:2020年11月24日 

第304回定例会提出議案知事説明要旨(令和2年11月)

 提出議案の御説明を申し上げる前に、議長のお許しを得て、県内で発生した新型コロナウイルス感染症クラスターの概要及び県の対応について御報告申し上げます。
 はじめに、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられました方々に、謹んで哀悼の意を表しますとともに、御遺族の方々に心よりお悔やみを申し上げます。
 また、現在、入院中及び療養中の皆様方におかれましては、一日も早い御回復をお祈り申し上げます。
 さらに、感染症患者が急激に増加するなど厳しい環境の中、最前線で患者の治療に当たられている医療関係者の皆様、感染防止に努めながら懸命に高齢者等の生活を支えておられる介護・福祉施設等の職員の皆様に対し、県民を代表し、改めて心からの感謝を申し上げます。
 まず、本年十月十二日以降における県内の新型コロナウイルス感染症患者の発生の経緯及び概況について御説明申し上げます。
 今回の県内の感染は、大きく二つのグループに分けられます。
 一つ目は、十月十二日に最初の感染症患者が確認された弘前市のクラスターに起因するものであり、二つ目は、十月三十日に最初の感染症患者が確認された八戸市のクラスターに起因するものであります。
 弘前市のクラスターの関連では、十月十二日に市内医療機関の医師二名の感染が確認され、十四日には市内飲食店の従業員二名、十五日には当該医療機関の医療従事者二名、当該飲食店の利用者・従業員等十四名の感染が確認され、当該飲食店を中心としたクラスターが発生していることが認められました。このため、同日、厚生労働省クラスター対策班に専門家の派遣を要請し、クラスター対策班の支援を受けながら、感染の封じ込めに当たってまいりました。
 また、当該医療機関においては、十月二十四日に入院患者二名の感染が確認され、院内感染の発生が認められたことから、同日、厚生労働省に災害派遣医療チーム(DMAT)事務局の派遣を要請したほか、二十六日に当該医療機関に現地対策本部を設置しました。
 一方、八戸市のクラスターの関連では、十月三十日に通所型介護施設の利用者一名の感染が確認され、当該施設の利用者及び従業員全員の検査の結果、十月三十一日から十一月三日にかけて、当該施設の利用者及び従業員合わせて七名の感染が確認されました。
 また、このうちの一名が入所型高齢者施設の入所者であり、当該施設の入所者及び従業員全員の検査の結果、十一月二日から四日にかけて、当該施設の入所者六名の感染が確認されました。
 現時点において感染経路が確認中あるいは不明の事案もありますが、県内で確認されている感染症患者の多くは、これら二つのクラスターを起点とするものです。
 次に、今回のクラスターに対する県の対応について御説明申し上げます。
 まず、保健所機能の強化として、弘前市のクラスターについては、公衆衛生医師、保健師、獣医師等の専門家を弘前保健所に派遣し、積極的疫学調査の体制強化を図るとともに、厚生労働省クラスター対策班による専門的な助言や、医療機関及び消防機関の協力による入院搬送調整機能の強化に係る支援、厚生労働省DMAT事務局、県内医療機関等による医療継続の支援を行いました。また、八戸市のクラスターについては、八戸市保健所に県の感染症対策コーディネーター、公衆衛生医師及び保健師の派遣を行うなど、保健所設置主体である八戸市を全面的に支援してまいりました。
 次に、検査体制の強化として、医療機関及び医師会の協力を得ながら検体採取能力の強化を図るとともに、県環境保健センターの体制拡充、民間検査機関及び医療機関への委託による検査分析能力の向上を図りました。
 また、医療提供体制の整備として、入院病床の確保を進めるとともに、新型コロナウイルス感染症患者専用の病棟を有する重点医療機関の指定等により、必要な医療の確保・充実に取り組んでいるところです。また、宿泊療養の体制整備を図り、青森市、弘前市及び八戸市の宿泊療養施設の運用を開始したほか、自宅療養についても運用を開始しました。
 十月十二日以降、県内では多くの感染症患者が発生しているものの、入院治療や宿泊・自宅療養が完了した方も順調に増えており、関係者の皆様の御協力により、必要な医療が提供できる体制は確保されているものと考えております。
 このほか、十月二十二日には、弘前市からの要望を踏まえ、地域経済の維持・回復に向けた緊急的な取組を支援するための予算措置について専決処分を行うとともに、十月二十六日には、感染拡大防止策として、「新型コロナウイルス感染症に関する青森県対処方針」を変更し、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく協力要請として、弘前市の区域における「イベント等の開催の可否の再検討」や、「職場における感染防止策の徹底」等の措置を追加したほか、私からは、県民の皆様方に、御留意いただきたい事項や御協力をお願いしたい事項について、累次にわたりメッセージという形でお伝えしてまいりました。
 また、今回の事案に関連し、感染症患者や飲食店利用者等に対する誹謗中傷が発生していることを踏まえ、十一月四日に「STOP!コロナ誹謗中傷」ネット監視チームを設置し、ネットパトロールの実施等を通じた、インターネット上の誹謗中傷の早期発見・早期対応を図ることといたしました。
 なお、今回のクラスター対策に当たっては、新型コロナウイルス感染症に係る危機対策本部保健医療調整本部及び弘前保健所の業務が大幅に増大したことから、全庁的な応援体制を構築し対応したところでありますが、弘前市をはじめ、多くの県内自治体から人員派遣等の御協力をいただきましたことは誠にありがたく、心より感謝申し上げます。
 最後に、今回のクラスターに関する今後の対応等について御説明申し上げます。
 現在、弘前市及び八戸市のクラスターに関連した感染のほか、感染経路が特定できない事例も発生しておりますが、迅速に積極的疫学調査を進めるとともに、幅広くPCR検査を実施しており、陽性者の濃厚接触者については、概ね把握できております。
 しかし、現状は、決して楽観視できる状況にはなく、今後、市中での感染が広がるなど感染状況が悪化することも想定されることから、引き続き状況を注視し、感染状況に大きな変化があった場合には、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく協力要請など、感染拡大防止のための措置の見直しを行うことも含め、必要な対策を迅速に実施することとしております。
 なお、今般の弘前市のクラスターについては、今後の弘前保健所管内の感染状況を見ながら、事実関係等について確認を行い、今後の対応に生かしていきたいと考えております。
 私は、県民の命と暮らしを守るため、本県における感染のまん延や医療の崩壊は何としても避けなければならないと考えており、市中に感染がまん延することを未然に防止し、できる限り早期の感染収束が図られるよう、引き続き、全庁一丸となって取り組んでまいりますので、県民の皆様、そして議員各位の御支援・御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 それでは、本日ここに、県議会第三百四回定例会の開会に当たり、上程されました議案の主なるものについて、その概要を御説明申し上げ、御審議の参考に供したいと思います。
 まず、議案第一号「令和二年度青森県一般会計補正予算案」について御説明申し上げます。
今回の補正予算は、県内における新型コロナウイルス感染症の発生状況等を踏まえ、検査体制の強化と医療提供体制の整備に取り組むとともに、引き続き「青森県新型コロナウイルス感染症経済対策方針」に基づく地域経済の回復に向けた取組を進めるほか、「新しい生活様式」の推進を図るのに要する経費等について、所要の予算措置を講ずることといたしたものであります。
 また、社会資本整備総合交付金事業及び県費単独事業の早期発注に係る所要の債務負担行為を設定することといたしました。
 その結果、今回の補正予算額は、歳入歳出とも三百三十二億二百七十万円余となり、これと既決予算額とを合計いたしますと、令和二年度青森県一般会計の予算規模は、八千二百二十一億千三十万円余となります。
 以下、計上の主なるものについて、御説明申し上げます。
 はじめに、新型コロナウイルス感染症対策関連経費について申し上げます。
 私はこれまで、県議会、そして県民の皆様の御理解と御協力をいただきながら、感染拡大防止対策と医療提供体制の整備、地域経済の回復と雇用の確保、県民の暮らしや子どもたちの学びを支えるための取組など、必要な対策を適時適切に講じてきたところであります。
 一方で、今般の感染拡大は、本県にとってこれまでに経験したことのない規模のものであり、今後、医療提供体制の確保はもとより、地域経済や県民生活に大きな影響を及ぼすことが懸念されることから、各分野において一層の取組強化が必要であると考えております。
 このような状況を踏まえ、今回の補正予算においては、以下の三つを施策の柱と位置付け、新型コロナウイルス感染症対策に全力で取り組むこととしております。
 第一の柱は、検査体制の強化と医療提供体制の整備であります。
 季節性インフルエンザの本格的な流行期が間近に迫る中、検査需要の増加への対応が急務であるほか、県内における感染拡大の状況等も踏まえ、医療提供体制の一層の充実が求められています。
 そこで、季節性インフルエンザと新型コロナウイルス感染症の同時流行に備え、地域の身近な医療機関が「診療・検査医療機関」として両疾患の相談・検査・診療に対応できる外来診療体制を構築することにより、検査体制の強化を図ります。
 また、「新型コロナウイルス感染症に係る医療確保計画」に基づき、入院病床の更なる確保を図るため、感染症患者を受け入れる重点医療機関に対する支援を拡充します。
 第二の柱は、経済対策方針に基づく経済・雇用対策であります。
 本県経済の動向は、県の宿泊キャンペーンや国のGo To トラベルキャンペーンの効果等により、県内宿泊者数や観光入込客数など一部に回復の兆しが見られるものの、今般の感染拡大により、飲食業や宿泊業をはじめとした幅広い業種にわたって、依然として厳しい状況が続いており、影響の長期化が懸念されるところです。
 そこで、県内経済の落ち込みを最小限に食い止め、社会経済活動の早期の正常化と成長基調への転換を図るため、本年七月に策定した「青森県新型コロナウイルス感染症経済対策方針」に基づき、以下の取組を進めることとしております。
 まず、事業の継続と雇用の維持を図るため、年末に向けた県内中小企業の資金需要に対応し、青森県特別保証融資制度の融資枠を大幅に拡大するとともに、引き続き、信用保証料の免除及び一定期間の無利子化を行います。
 次に、「新しい生活様式」への対応など「コロナの先」を見据えた事業展開に対する支援として、物流の停滞や渡航制限等の影響を受けている県内企業の輸出拡大や販路開拓を促進するとともに、21あおもり産業総合支援センターによるITを活用した中小企業の支援体制を強化します。また、産業用ロボットやIoTデバイスの導入によるものづくり企業の生産性向上、県産農産物の付加価値向上による食品加工業者の収益力向上等を図るため、県産業技術センターの機能強化を図ります。
 県産農林水産品の需要喚起と域内消費の促進に向けては、中食・外食需要の低迷により業務用米の販売が落ち込む中、「まっしぐら」等の需要拡大・認知度向上に向けた県産米フェアを開催するほか、本格的な輸出シーズンを迎える本年産りんごの輸出拡大に向けたプロモーション展開を支援します。
 また、安全・安心な観光の促進と観光需要回復に向けた取組として、観光ガイド団体が行う感染防止対策を推進するとともに、青い森鉄道のWEBサイトにおける多言語コンテンツの作成、県観光情報サイトのリニューアル等により、観光客の利便性向上と情報発信の強化を図ります。
 さらに、地域を支える公共交通網の維持やインフラ整備の推進に向け、利用客が減少している大間・函館航路の船体維持経費に対して助成を行う大間町への支援のほか、青い森鉄道におけるICカードの導入に関する課題整理等を行うこととしております。
 県内経済の回復に向けては、本定例会に御提案したこれらの取組のほか、二十万人泊分にのぼる県内宿泊キャンペーンをはじめ、今月スタートした飲食店応援キャンペーンなど、これまでに予算計上した施策も最大限に活用しながら、引き続き、早期の効果発現に努めてまいります。
 第三の柱は、「新しい生活様式」の推進等であります。
 感染拡大の影響が続く中、「新しい生活様式」を取り入れた教育環境の充実を図るとともに、引き続き、生活や修学に困難を抱える方々に寄り添った支援が重要であると考えております。
 そこで、県立学校において、生徒一人につき一台のパソコン端末が整備されることに対応し、プロジェクタや電子黒板等の導入を進めるとともに、教員向け研修の充実に向けた環境整備を行うなど、情報教育の更なる推進を図ります。
 また、事業所等での職場体験や実習の機会が減少していることを踏まえ、県立高校における産業教育設備の充実を図り、本県の地域産業を支える人財の育成に取り組みます。
 さらに、高等学校等において、修学旅行の中止や延期が発生していることに鑑み、キャンセル料に係る保護者負担の軽減を図ることとしております。
 以上が、新型コロナウイルス感染症対策関連経費の概要であります。
 今般の感染拡大に対しては、早期の収束に向けた対応を最優先としつつ、安全・安心な県民の暮らしと、活力ある本県経済を早期に取り戻すことができるよう、県議会での御議論等も踏まえながら、引き続き、適時適切に取り組んでまいります。
 次に、新型コロナウイルス感染症対策関連以外の経費について、御説明申し上げます。
 農林水産業費についてでありますが、林業費において、ナラ枯れ被害の拡大防止に取り組む森林組合への支援に要する経費二百二十万円を計上いたしました。
 以上が歳出予算の概要であります。
 次に、歳入について申し上げます。
 今回の補正予算の主なる財源としては、歳出との関連等において、国庫支出金、諸収入等を計上したほか、普通交付税五億二千八百万円余を計上いたしました。
 このほか、公共工事の施工時期の早期化及び平準化を図るため、道路事業等の早期発注を行うこととし、社会資本整備総合交付金事業について四十一億円、県費単独事業について二十八億千八百八十万円の債務負担行為をそれぞれ設定することといたしました。
 以上が、「令和二年度青森県一般会計補正予算案」の概要であります。
 このほか、上程されました議案の主なるものについて御説明申し上げます。
 議案第二号から議案第四号までは、特別会計一件及び企業会計二件の予算補正に係るものであります。
 条例案については、議案第五号、議案第六号及び議案第二十七号から議案第二十九号までの五件であります。
 その主なるものとして、
 議案第二十七号「特別職の職員の給与に関する条例の一部を改正する条例案」及び議案第二十九号「青森県議会議員の期末手当支給条例の一部を改正する条例案」は、知事等の特別職の職員及び県議会議員の期末手当の支給割合を改めるものであります。
 議案第二十八号「職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例案」は、青森県人事委員会からの「職員の給与等に関する報告及び勧告」に基づき、職員の期末手当の支給割合を改めるものであります。
 なお、これらの給与改定等に係る議案については、本年十二月支給の期末手当の額等を確定させる関係上、早急に施行する必要がありますので、今後の御審議におきましては、格段の御配慮をお願い申し上げます。
 その他の議案は、議案第七号から議案第二十六号までの二十件、報告案件は三件であります。
 その主なるものとして、
 議案第十三号「和解の件」は、原子力損害賠償紛争審査会にあっせんを申し立てた東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故によって生じた損害の賠償について、同審査会から提示された和解案により和解するものであります。
 議案第十四号から議案第二十五号までの「公の施設の指定管理者の指定の件」十二件は、いずれも公の施設の指定管理者を指定するものであります。なお、今回の補正予算案において、それぞれの指定期間内における委託料総額について、所要の債務負担行為を設定いたしております。
 次に、専決処分した事項の報告及び承認を求めるの件について御説明申し上げます。
 報告第一号「令和二年度青森県一般会計補正予算」は、新型コロナウイルス感染症の拡大に対処するため、地域経済の維持及び回復を図るための緊急的な取組を行う市町村に対する支援に要する経費について、早急に予算措置を講ずる必要が生じましたが、議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認め、本職において専決処分をいたしたものであります。
 以上をもちまして、提出議案の概要について御説明申し上げましたが、議事の進行に伴い、御質問に応じ、本職をはじめ関係者から詳細に御説明申し上げたいと思います。
 なにとぞ、慎重御審議のうえ、原案どおり御議決並びに御承認を賜りますようお願い申し上げます。
 なお、この機会に議長のお許しを得て、第十二回核燃料サイクル協議会の結果について御報告申し上げます。
 核燃料サイクル協議会につきましては、これまでも核燃料サイクル政策に係る重要な節目において、本県の要請を受け、国が開催してきたところであります。
 本県においては、核燃料サイクルの要である六ケ所再処理工場について、去る七月二十九日、原子力規制委員会において新規制基準適合に係る事業変更の許可が決定され、八月二十一日には、日本原燃株式会社から県に対し、新たなしゅん工時期を令和四年度上期とする旨の報告があるなど、しゅん工に向けた動きが具体化してきたところです。
 一方で、現状の核燃料サイクル事業には、高レベル放射性廃棄物の最終処分やプルトニウム利用など、様々な課題があります。
 こうした状況を踏まえ、私としては、核燃料サイクル政策上、重要な節目と受け止め、核燃料サイクル政策にブレが生じないかどうか、確認する必要があると考え、核燃料サイクル協議会の開催を要請いたしました。
 十月二十一日に開催された同協議会では、加藤内閣官房長官、梶山経済産業大臣、井上科学技術政策担当大臣、高橋文部科学副大臣、池辺電気事業連合会会長に御出席いただきました。
同協議会において、私からは、
一 原子力・核燃料サイクル政策について
一 特定放射性廃棄物の最終処分について
一 原子力人材育成・研究開発について
の三項目について、確認及び要請をいたしました。
 一点目の「原子力・核燃料サイクル政策について」は、私から、改めて中長期的にブレない確固たる国家戦略としての原子力発電・核燃料サイクルの推進について確認させていただくとともに、利用目的のないプルトニウムを持たないという国是を大前提として、MOX燃料加工の実施や、プルサーマルの一層の推進、高速炉の実現に向けた取組などについて、確認いたしました。
 これに対して、梶山経済産業大臣からは、
・核燃料サイクルについては、エネルギー基本計画で閣議決定しているとおり、我が国の基本的方針として引き続き堅持をしていく。その上で、原子力発電所については、新規制基準に適合すると認められた場合、地元の理解を得ながら再稼働を進めることとしている。地元の理解を得るため、政府としてもエネルギー政策における原子力の意義などを丁寧に説明し、国民の信頼確保と安心の醸成に努めていく。今後のエネルギー基本計画の見直しにおいては、こうした原子力の意義も念頭に、しっかりした議論を進めていきたい
・核燃料サイクルの中核施設である六ケ所再処理工場が合格したことは、核燃料サイクル政策において大きな前進である。引き続き安全確保を最優先に、六ケ所再処理工場やMOX燃料加工工場のしゅん工を進めるとともに、新規制基準に適合した原子力発電所の再稼働を進め、プルサーマルを着実に推進していく
・高速炉開発については、放射性廃棄物の減容化、有害度低減、資源の有効利用という核燃料サイクルの効果をより高めるものであることから、将来を見据えた一貫性のある継続した取組を進める必要があり、戦略ロードマップに基づき、国際協力を活用しながら着実に進めていく
旨の発言がありました。
 井上科学技術政策担当大臣からは、
・我が国は、利用目的のないプルトニウムは持たないとの原則を堅持しつつ、核燃料サイクルを推進することとしている
・今後とも、プルトニウムの適切な管理と利用に取り組んでいきたい
旨の発言がありました。
 池辺電気事業連合会会長からは、
・各事業者での確実なプルトニウム使用を原則として、プルサーマルの着実な推進に取り組んでいく
・さらに、事業者間の連携・協力によるプルサーマルの推進についても取組を進める
・プルサーマル計画及びプルトニウム利用計画について早期にお知らせしたい
旨の発言がありました。
 二点目の「特定放射性廃棄物の最終処分について」は、私から、特定放射性廃棄物の最終処分地の選定に関しては、文書で「青森県を最終処分地にしない」との確約をいただいているが、最終処分法の施行から二十年が経過した現時点でも、最終処分の見通しが得られていない状況にあることから、青森県を特定放射性廃棄物の最終処分地にしないことや、本県に搬入されたガラス固化体の搬出期限を遵守すること、また、最終処分の見通しを得るための具体的な取組について改めて確認するとともに、一刻も早く処分の実現が図られるよう、国が前面に立って、不退転の決意で取組を加速させることや、最終処分に対する理解促進などについて要請いたしました。
 これに対して、梶山経済産業大臣からは、
・青森県を特定放射性廃棄物の最終処分地にしない約束は引き続き遵守する
・最終処分は必ず実現しなければならない重要な課題であり、早期に最終処分地に関する目途がつけられるよう、最善の努力を尽くしていく
・寿都町と神恵内村が文献調査の受入れを判断いただいたが、それぞれの町長、村長とのコミュニケーションを取りながら、今後進めていく。その上で、さらに多くの自治体に関心を持っていただき、複数の地域での文献調査の実施につながるよう、最終処分の実現に向けて、国として前面に立って、着実に取り組んでいく
・青森県内の不安の声などにも配慮し、その進捗等について、積極的に情報発信や説明を行う
旨の発言がありました。
 池辺電気事業連合会会長からは、
・特定放射性廃棄物の発生者として基本的な責任を有する立場から、引き続き国やNUMOと連携しつつ地域の皆様との対話活動等を通じて、皆様の御関心や御理解が深まるよう取り組んでいく
・また、青森県に搬入されたガラス固化体の搬出期限については、事業者として責任を持って遵守する
旨の発言がありました。
 三点目の「原子力人材育成・研究開発について」は、私から、原子力施設の安全性の向上や、核燃料サイクルの確立のためには、その基盤となる人材・技術の維持・強化が不可欠であるところであり、人材育成及び関連技術の研究開発の着実な実施について要請いたしました。
 また、再処理工場周辺住民の不安払拭、安心醸成のため、再処理施設の放射線影響に関する調査研究や住民への情報発信が、ますます重要となることから、国としての引き続きの取組を要請いたしました。
 これに対して、高橋文部科学副大臣からは、
・技術的な協力や運転員の育成といった支援を、日本原燃に対して今後も最大限行っていく
・原子力分野の研究開発の推進や高いレベルの人材を確保・育成することが重要と考えており、安全性向上のための研究開発、核燃料サイクル関連の研究開発、再処理施設等の放射線影響を含めた原子力の基礎基盤研究や人材の維持・育成など、引き続き研究開発や人材育成について着実に取り組んでいく
旨の発言がありました。
 梶山経済産業大臣からは、
・原子力発電所の安全な運転・保守や円滑な廃炉を行うため、様々な人材による技術の維持・強化が求められており、研究開発支援、研修支援、学生のインターンシップ受入れ支援などについて、官民を挙げて取組を進めていく
旨の発言がありました。
 最後に、私から、加藤内閣官房長官に対し、原子力発電・核燃料サイクルの推進について、安全確保を第一に、政府一体となって取り組んでいくこと、また、特定放射性廃棄物の最終処分については、一刻も早い最終処分の実現に向け、政府一丸となって取組を加速させていくことについて、改めて確認しました。
 これに対し、加藤内閣官房長官からは、
・我が国の原子力政策にとって、六ケ所再処理工場をしゅん工し、核燃料サイクルを確立することは重要な課題である
・政府として一つ一つの課題を着実に解決するとともに、青森県内の不安をお持ちの方に対応しながら、しっかりと核燃料サイクル政策を進めていく
・これまで関係閣僚と青森県知事の間でなされた、青森県を最終処分地にしない旨の約束については、現内閣においてもしっかりと継承している
・最終処分は必ず解決しなければならない課題であり、更に多くの自治体に関心を持っていただき、複数地域での文献調査の実施につながるよう、最終処分の実現に向けて、国が前面に立って取り組んでいく
・今後も、原子力政策については、安全確保を第一に、政府一丸となって、ブレることなく進めていく
旨の発言がありました。
 私といたしましては、核燃料サイクル協議会における加藤内閣官房長官をはじめとする関係閣僚、また、池辺電気事業連合会会長からの発言内容を重く受け止めるとともに、県民の安全・安心を守る立場から、引き続き、政府一体としての対応を厳しく見極め、慎重かつ総合的に対処してまいります。
 以上、御報告といたします。

過去の議会説明要旨

この記事をシェアする

  • facebookでシェアする
  • twitterでシェアする
  • LINEでシェアする

フォローする

  • facebookでフォローする
  • twitterでフォローする