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更新日付:2013年5月1日 三内丸山遺跡センター

連載企画『縄文遊々学』

第72回 縄文人の傑作

 遺跡からの出土品の中で、貴重なものは文化財保護法により国宝や重要文化財に指定され、保護されています。県内では八戸市風張1遺跡出土の土偶が国宝に、弘前市十腰内2遺跡出土の猪型土製品などが重要文化財に指定されています。これらは単品の指定ですが、三内丸山遺跡出土品のように土器や石器、土偶、骨角器など1956点が一括で指定されている場合もあります。文化庁によると、平成24年4月現在、考古資料では国宝が44件、重要文化財が586件指定されています。これは件数ですので、実際の点数はこれ以上ということになります。
 青森県でも出土品を青森県文化財保護条例に基づき、県重宝として指定し、保護を進めています。3月に開かれた文化財保護審議会において、考古資料として鹿角櫛(七戸町史跡二ツ森貝塚出土)と人物線刻石冠(青森市近野遺跡出土)の2点を指定する旨の答申が出され、先日の教育委員会定例会において承認されました。
 鹿角製櫛は鹿角を薄く加工し、幾何学的な透かし彫りや彫刻を施しており、優れた加工技術と豊かな美意識の存在を示しています。この櫛は、その素材がはっきりとしていませんでしたが、今回鹿角であることがはじめて確認されたものです。
 人物線刻石冠は、石冠と呼ばれる三角柱状の石器(多くは木の実などを敲く、すり潰すために使われたものと考えられます)の一面に、線刻により3体の人物が描かれたものです。人物は頭部や四肢が明確であり、指も5本はっきりと表現されています。これらの人物は家族を表現したとか、埋葬した状態を示した、など諸説あります。縄文時代には土偶のように人物を立体的に表現したものはよく見られますが、このように線で描いたものはとても少なく、貴重です。
 県重宝の中には、現在国の重要文化財となっているむつ市二枚橋2遺跡出土品のように県重宝から重要文化財に指定されたものもあり、県重宝といえども資料的価値が低いということではありません。本県にはこれら以外にも縄文人の傑作が数多く残されており、まさに縄文文化の中心地域としてふさわしい内容を示しており、県立郷土館や縄文時遊館、埋蔵文化財調査センター、そして各市町村の博物館や資料館で展示されています。大型連休にはこれらの見学に出かけてはいかがでしょうか。
  • 鹿角製櫛
    鹿角製櫛
    (七戸町二ツ森貝塚出土:長さ11.3cm、幅3.9cm、厚さ2.5cm)
  • 人物線刻石冠
    人物線刻石冠
    (青森市近野遺跡:長さ6.1cm、幅7.4cm、厚さ4.1cm)

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電話:017-782-9463  FAX:017-781-6103

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