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更新日付:2013年5月1日 三内丸山遺跡センター

連載企画 『縄文遊々学』

第71回 推薦書協議案提出

 3月29日、青森県・北海道・岩手県・秋田県の4道県は、ユネスコへ提出する世界遺産登録推薦書のもとになる推薦書協議案を文化庁へ提出しました。今後、この協議案について文化庁と協議を行い、より充実した内容にしていくことになります。
 推薦書作成作業としてはひとつの区切りとなりますが、新たな段階へのスタートでもあります。協議を重ね、文化庁の了解が得られれば、あらためて正式な推薦書原案を提出することになります。
 この協議案は平成21年度から4年間をかけて、考古学(縄文文化)や文化遺産の専門家らによって構成される縄文遺跡群世界遺産登録専門家で12回の会議を開催し、議論し整理したものをまとめ、それを文章化したものです。
 会議では、縄文文化とは何か、その定義、年代や範囲の確認といった基本的な事項から、同時代の国内外の遺跡や文化との比較検討、遺跡の保存管理方法など、多岐にわたる内容について活発な議論が交わされました。また、海外の専門家を招いた国際会議での助言も各所に盛り込まれています。
 協議案では縄文遺跡群の特徴や価値について「狩猟・漁労・採集による定住の達成」と「自然と共生する文化」を具体的に示す顕著な見本であると主張しています。ヨーロッパなどでは定住は農耕・牧畜を伴うものとされていますので、専門家委員会の菊池徹夫委員長(早稲田大学名誉教授)は「縄文遺跡群の世界遺産登録は人類史の発展モデルに全く新しいものを加えることとなり、世界遺産の価値をさらに高めることになる」と考えています。そして、それは持続可能な自然の恵みを利用していたことにより達成されます。このことは自然と良好な関係が出来上がり、継続していたことになります。
 自然との共生は人類が長い時間をかけ、築き上げてきたものです。その関係が偏り、不安定になっている現代こそ、その過程と歩みを見つめつつ、必要性を問い直すことは人類にとって大事なことだ思います。
 現在、この協議案はA4版で約230ページほどになっています。余談ですが、確認のため、全部を何度も読み返し、修正するといった作業を繰り返し行いましたが、最初から最後まで読むと約40時間ほどかかりました。
 早期の登録実現に向けて取り組んで行きたいと思いますので、今後とも御支援、御協力をお願いいたします。
  • 推薦書協議案(表紙)
    推薦書協議案(表紙)

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三内丸山遺跡センター
電話:017-782-9463  FAX:017-781-6103

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