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更新日付:2022年12月1日 地域活力振興課

AOMORI LIFESHIFT人財インタビュー07 美曽作 友紀子 さん

輸入に頼らず、古きよきやり方で
この土地の食糧生産を実現したい

美曽作氏01 南部ベース代表

8年務めた海上自衛隊を退職後、紆余曲折を経て地元の八戸市に近い南部町で経験ゼロから農業を開墾。「食糧生産は国防につながる」との思いから、輸入資材に頼らない農業を目指している。「南部ベース」代表。



「食糧生産は国防!」
自衛隊から民間企業を経て農家へ

高校時代、就職活動で友達が公務員の願書を書いているのを見て、わたしも1枚書いてみたんです。それが海上自衛隊の願書でした。

地元の商業高校を卒業後は海上自衛隊に入隊して、横須賀や広島、八戸など全国の基地を行き来する自衛隊生活を送りました。有事に備えて訓練するのが自衛隊の仕事ですが、より充実感ややりがいを得られる仕事を求めて8年弱勤めた自衛隊を退職。

その後、全国に300店舗以上あったリサイクルのチェーン店で働き始めました。最初は八戸店勤務でしたが、担当するエリアがどんどん広がり、東北エリアを担当するエリアマネージャーに。収益改善業務で店舗を飛び回っていました。若くて勢いのある会社だったので、仲間と一緒に経営知識を学んで…ゼロからお店を立ち上げる仕事は忙しく大変だったけれど楽しかったです。

そうしてバリバリ働いていた時に起こったのが、東日本大震災でした。

福島県郡山市で通販部門の立ち上げ準備をしているときに震災が起き、店舗は被災してしまいました。被災した福島はひどい状態で、発生当時は食料を買いに行ってもスーパーにはなにもない。揺れが続いていて怖くて眠れず、原発の事故もあって放射線量も高い。震災がきっかけで、それまでがむしゃらに仕事を頑張ってきた心が折れてしまったんです。全店舗の復旧確認をした後に、退職して八戸市へUターンしました。

Uターン後もしばらくは立ち直れない日々が続きましたが、友人に紹介された会社で働き始め、社長に薦められて八戸学院大学の学長が主催する社会人向けの起業家養成講座を受講しました。

ある会合で講師の先生と「担い手不足の日本の食糧問題はやばい。食糧生産は国を守る国防だよね」という話になりました。そのとき、国防職を担っていた自分と、震災を経験してきた自分が重なり「国防のための食糧生産は私にしかできない!」と思ったんです。

そして2015年の春、南部町の畑と空き家を借りて、農業経験ゼロでひとり農業をスタートさせました。

地域の土地で種をつなぎ
先人からは知恵をつなぐ

経験ゼロからはじめた農業なので、栽培方法なども手探り。その当時、無農薬や自然栽培の機運もあって、そういう栽培から挑戦してみたものの、うまくいかない。このままでは食糧生産どころではないと、改めて自分はどんな農業がしたいのかを考えました。わたしが挑戦したいのは、「国防のための食糧生産」。日本の農産物は海外から輸入される農業資材や化学肥料に頼って栽培されているから、輸入された資材に頼らない農業を目指そうと。そこから軌道修正し、試行錯誤しながら作物を収穫できるようになりました。

現在は、米、小麦、大豆などの穀物、季節の野菜と果物を栽培しています。野菜は大根やサツマイモなどの根菜類や葉物野菜。万が一に備えて、保存が効く作物を選んでいます。収穫した野菜は八戸市にあるスーパーなど数店に取り扱ってもらっています。また収穫した作物を使って味噌作りや伝統料理などにも挑戦しています。義理の母がやっているりんご畑も手伝っていて、りんごジュースなど加工品の販売も行っています。

いろいろな作物を植えていますが、一人作業のため、あまり手をかけてやることができないのですが、在来種の種はその土地に根付いて力強く生き残っていく。そうして生き残った作物の種を「ききん箱」に入れて、毎年更新しているんです。種さえあれば、作物はまた育てることができますからね。食糧のベース(基地)を作りたいというのが農業を始めたきっかけなので、地域の遺伝子を残すこと、未来につなげることを大切にしています。

今は、自分の想いに共感してくれる人と出会って、一緒に仕事ができたとき、やりがいを感じます。遠方でも協力してくれる異業種の方との出会いがあったりして。先日参加した「南部夜市」での大豆を使った肉まんのレシピも、そういうご縁でつながった方の協力があってできたものでした。

「南部夜市」は南部町商工会青年部が主催しているイベントで、将来を見据えて出店してみたけれど、メニューを決めたりコストを考えたり、とても大変でした。大変ながらも、この土地で作った野菜や食べ物を販売できたのは大きな収穫です。
  • 美曽作氏02
    「旬の野菜を旬の時期に食べてほしい」と美曽作さん
  • 美曽作氏03
    イベントでは大豆や黒豆の量り売り、自家製の紅玉りんごジュースを販売

人生の転機は人との出会いの数だけある。
これまでの経験が地域とつながることもあるかも

これまでの人生を振り返ると、ターニングポイントは1回ではないと思うんです。川の流れのようにさまざまなカーブがあったり、いろんなものにぶつかったり、堰き止まれば違うところから水が流れたりして。そんな感じだから、誰かとの出会いでこれから先も変わっていきそうな気がしています。やりたいことがたくさんあるからこそ大変な思いもしているけれど、最後には海まで到達できるといいなと思います。

この地域をこうして行きたいというのは、今は思わないようにしています。やらなければいけないことが農業の中でたくさんあるので、自分の進む道を今はひたすら100%で進みたい。その先に、自分がやってきた経験が結果的に地域のために活かせるならいいなと思います。地域の伝統食を伝える活動だったり、農家のための弁当屋さんとか。そういうものも、結果的に地域おこしにつながっていくかもしれませんね。今は自分のことで精一杯だけれど、自分の取り組んでいることが地域に影響してくれればいいな、と思います。
  • 美曽作氏04
    収穫間際の田んぼは黄金色に輝く

種を守り、食文化を守る
県内各地にベースを増やしたい

今後は「南部ベース」という名前にもあるように、それぞれの地域で昔から栽培されてきた種の保存をしていくために、県内に仲間を増やし、「○○ベース」を増やしていきたいですね。そういう種の保存に共感してくださる個人の方とつながって、文化の共有をしていきたい。規模が小さくてもいいんです。畑に2、3人集まればできるはず。やりたいことをひとつひとつ形にしていきたいですね。

地元の年配の方達と話していると、それぞれの土地ならではの在来種の野菜を知っている人だったり、伝統料理を作れる人がたくさんいるんです。今その知恵を引き継がないと途絶えてしまう。そう感じています。種と土があれば植物は育つ。だからこそ、つないでいくことが大事なんです。
  • 美曽作氏05
    農家7年目の美曽作さん。やりたいことはまだまだある

自分らしく地域活動をするポイント

たぶん皆さんは、なにか行動を起こす前には失敗をしないように、綿密な計画を持って進めようとしますよね。なるべく失敗しないように、一生懸命考える。

私は逆です。不器用なので、大量行動と大量失敗を繰り返す。失敗の数は誰にも負けません。まずはやってみること。とにかくやってみる、試してみる。その先に見えるものは自分だけの成功体験に必ずなるのではないかなと思うのです。

この地域での農業は1年に大体1作です。農業を始めて7年終わった今しみじみ思うのは、本当にこの農業の世界は、1回の失敗が他の業種に比べても打撃が大きいと思うのです。それゆえに、先人の方々の失敗経験のお話を参考にするのはとても重要なことになっています。

旧(ふる)き良き時代の農業を私が再現して繋いでいけたらなと思いながら日々精進しています。

この記事についてのお問い合わせ

地域活力振興課人づくりグループ
電話:017-734-9133  FAX:017-734-8027

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