ホーム > 組織でさがす > 企画政策部 > 地域活力振興課 > AOMORI LIFESHIFT人財インタビュー06 及川 敬子 さん

関連分野

更新日付:2022年10月26日 地域活力振興課

AOMORI LIFESHIFT人財インタビュー06 及川 敬子 さん

48歳で新聞社を退職し、地元に小さな保育園を開園。
地域は面白いことがいっぱいつまったワンダーランド。

山際氏写真
東京都在住。夫と大学生の息子の3人家族。新卒で朝日新聞社に入社し、24時間・365日、取材執筆に追われる毎日を送る。48歳の時、定年後も長く続く人生を考え、退職を決意。ボランティア活動をしながら、以前から関心のあった地域×子育て分野での道を模索。3年後の2017年9月、地元・文京区に小規模保育園「ちいさいおうち小石川」を開園。現在は、3園の保育園を運営しつつ、子育てサロン、地域メディア、子育て・地域イベントも主宰している。次の目標は、「都心の森のようちえん」を開園させること。座右の銘は、「人生プラスマイナスゼロ/楽あれば苦あり」。
 

多忙な毎日の中で漠然とあった不安

学生時代はフィリピンに通ってボランティア活動をしていました。そこで知った発展途上国の現状を伝えたいと、新卒時は使命感をもって新聞記者に。地方勤務で警察回りや役所回りを経験し、本社では芸能記者(放送局やタレント、番組取材)を皮切りに生活・家庭関連の取材、2000年に子どもが生まれてからは妊娠・出産・子育て・保育・医療などについて取材執筆してきました。

選挙や大事件があれば土日祝日、盆暮れ正月関係なく、呼ばれればすぐ駆けつける体制で、国内外問わず、出張などもありました。文字通り24時間・365日、とにかく取材や執筆に明け暮れ、子どもも生後8カ月で保育園に預けて、仕事の合間を縫って送り迎えや家事・育児をこなす生活をしていました。夕方から深夜に勤務する部署に配属になった時は、子どもと直接話せず、メモのやりとりで会話するような時期も2年ほどありました。

そんな忙しい生活の中でも、なんとなく自分のキャリアについて不安に思っていました。新聞記者は、何の資格もないし、仮に辞めたらただの人だなぁと。将来、何かしら役に立つように資格でも取ろうかといろいろ調べた中で、記者の仕事にも役に立ち、手が届く保育士資格を42歳の時に2年かけて取得しました。

辞令を機に考えた定年後のこと

その後も、記者としてやりがいを感じて仕事をしていたのですが、48歳の時に、記者以外の部署への異動を打診されました。このまま会社にいても、管理職や記者以外のキャリアが待っていると、先が見えました。また、多忙な毎日を続けることで、定年までの間に心身ともにすり減っていく自分の姿も見えました。

「会社員生活は残り10年だけど、人生はあと30年は続く。いまは折り返し地点。体力気力のあるうちに社会起業し、これからは会社のためではなく、社会のために働こう」と決意しました。

自分が育休中に地域の子育て支援に救われたことから、「いずれ会社を辞めたら地域に恩返ししたい。地域のおせっかいおばちゃんになろう」と思っていました。取材を通して、子ども・子育て支援新制度が始まることを知っていたので、保育士資格もあるし、私にも何かしらのチャンスはあると考えました。

退職金をそれなりにもらえたということも決意を後押ししました。わが家は夫婦独立採算制なので、夫は「金銭面の援助はできないが、やりたいならやれば」と、比較的あっさり退社を認めてくれました。最初は、50歳になると退職金の上乗せなどがあるため「あと2年我慢できないか」と粘られましたが、この先の会社員としてのキャリアの見通しについては認識が一致しており、理解してくれたのだろうと思います。

駆け回っているうちに「夢物語」が形に

会社を辞めると決めたときから「小規模保育園をやれないか」と思っていたのですが、夢物語だったので口には出さず、学童保育事業やメディア事業、フリーの記者など、生業にできるかどうか、取材を通して情報収集し、探ることにしました。

会社員としての名刺があるうちに!と、退職前の有給休暇は取らず、地域で社会起業した人や、気になっていた保育園の代表など様々な人に取材しました。退職後も、ビジネスや保育に関わること、社会起業に関してのインプットをしつつ、ボランティアで地域活動をし、地域資源を把握しながら、人脈を広げました。

経営は未経験だったので、地域の創業支援セミナーにも参加しイチから学びました。このセミナーでは、事業計画書の書き方など基礎を学んだのはもちろん、年齢も経歴も違う仲間が、様々な目標を掲げて創業を志していることに勇気をもらいました。

こうして駆け回っている中でも、小規模保育園をやりたい思いは終始一貫して持っていました。物件を見て回り、区に提案し、断られ、挫折を繰り返しながらようやく良い物件が見つかったのが、退職から2年後の2016年夏。一般社団法人を立ち上げ、2017年9月に小規模保育園をオープンしました。

地域にはさまざまな出会いと学び、楽しさとやりがいがある

一般社団法人を立ち上げるにあたって、「たべる、あそぶ、まなぶ、くつろぐ、多世代が集える『まちのLDK』のような場をまちじゅうに張り巡らすことにより、子どもたちがまちの様々な人に見守られながら育つ環境としくみをつくりだす」という方針を仲間と共に考えました。保育園は、その核となる拠点の一つです。

そのため、地域イベントやワークショップの主催、子育て支援者のネットワーク作り、さらに地域メディアサイトも運営しています。こういった活動で知り合った地域の方々から、さまざまな学びや気づきを得ています。子育てに悩むパパママから土地活用に悩む地主の方、会社の社長などなど、とにかく出会いもたくさんあります。

社会起業した今、心身共に開放された感があり、会社員時代、とてもストレスフルな生活をしていたのだと改めて気づかされました。地域は面白いことがいっぱい詰まったワンダーランドです。かつては世界を駆け巡るジャーナリストを志していたのに、今は毎日半径2キロ以内を駆けまわっています。マス(グローバル)からローカルへ、足元を見つめる生活に楽しみとやりがいを感じています。

まだ50代。次の目標は「都心の森のようちえん」

その後ご縁がつながって、現在は文京区内で3園を運営しています。ここ2年はコロナ禍で、この3園の運営に注力していましたが、今後は子育てサロンや地域イベント、地域メディアサイトの運営にも、もっと力を入れたいと考えています。それから私たちの地域には公園などにも素晴らしい自然があるので、そこを活用して「都心の森のようちえん」を作れないかと思っています。まだ、“思い”だけですが、これまでも信念を持って、あきらめずに、とにかく走り回り、ご縁も運も引き寄せてきたので、実現できると思っています。

まだ50代。まだまだ人生長いです。取材した中では、92歳の園長先生もいました。あわよくばそれぐらいまで、現役で保育や地域の子育てに関われたらなと思います。

ライフシフトしたいと思っている人へのアドバイス

地域活動を通して思うのは、会社員が組織で培ってきたスキル、例えば組織運営や経理の能力などが、とても役に立つということです。“転職しよう”“お金を稼ごう”と思うと、ハードルが高くなりますが、まずは、自分が好きなことを見つけ、そういったスキルを活用して、ボランティアや地域活動に参加することから始めてはいかがでしょうか。とくに子どもと関わる分野は子どもからパワーがもらえておすすめです。

それから、やりたいことを口に出すことも大切です。私も、起業前に受講した創業支援セミナーで、講師に『やりたいことは口に出しなさい』と言われて「保育園をやりたい」と初めて口に出し、保育園立ち上げへ向けて気持ちのスイッチが入りました。今でも、目標を口に出すことはとても大事だと思っています。

この記事についてのお問い合わせ

地域活力振興課人づくりグループ
電話:017-734-9133  FAX:017-734-8027

この記事をシェアする

  • facebookでシェアする
  • twitterでシェアする
  • LINEでシェアする

フォローする

  • facebookでフォローする
  • twitterでフォローする