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更新日付:2018年1月17日 県民生活文化課

H29アートスクール[音楽(合唱)部門)]を開催しました

 県では、日々芸術活動に取り組んでいる県内の高校生を対象に、首都圏の芸術大学等との連携による「アートスクール」を開催し、先端の芸術表現に触れ、表現技術を伸ばす機会を提供するとともに、本県の芸術分野における人財の育成につなげることを目的として、平成29年度アートスクール[音楽(合唱)部門]を開催しました。

開催概要

 国内最高峰の芸術教育機関である東京藝術大学音楽学部の協力を得て、第一線で活躍されている現役音楽家の方々を講師を迎え、異なる高校の生徒どうし楽しみながら合唱をつくりあげることで、さらなる音楽への興味や向上心を引き出すアートスクールを開催しました。

実施時期

平成29年11月25日(土)~26日(日)

実施会場

青森公立大学(青森市大字合子沢字山崎153番地4)

講師

布施 雅也 【テノール】
三宅 悠太 【作曲家】
前田 拓郎 【ピアニスト】
市川 恵 【合唱指導】

《東京藝術大学 音楽学部 佐野 靖 教授 協力》

講座内容

●発声技法
●合唱の魅力と楽しさ
●日本の歌の歌い方

実施レポート

 当日は、高校生36名の他、高校の合唱指導の先生方の見学もあり、発声方法から合唱の作り方など、さまざまな知識と技術を学びました。

1日目

~開講式~

  • テノール歌手の布施雅也氏
  • 作曲家の三宅悠太氏
  • ピアニストの前田拓郎氏
  • 合唱指導の市川恵氏

発声について

テノール歌手の布施先生から、横隔膜の動きと効率よく肺に空気をいれる呼吸についての講義。

●肺が4つに分かれている意識で、左上・左下・右上・右下とそれぞれ丁寧に深く呼吸。
●息は惜しまないで、深く吸って深く吐く。
●背中側も意識。
●身体をいい状態に整えることを意識すること。ピアノという楽器は形は変わらないけど、人間を楽器とすると、形が日々変わっていく。毎日いい状態になるように考えること。

日本歌曲「花」「椰子の実」「赤とんぼ」

まずは前田先生伴奏により、全員で一度合唱。引き続き、布施先生が歌い方について指導しました。

日本の名曲、「花」「赤とんぼ」「椰子の実」の3曲を歌ってみる。
有志が独唱。布施先生から丁寧な指導が。
「歩きながら歌うと、余計な力が抜けて遠くまで声が通るようになる」と指導。
これは知らなかった人も多かったのではないでしょうか!?

講義「歌唱における日本語の発音」

(布施先生)
●必ず縦書きの詩を読むこと。たとえば、赤とんぼの「おわれて」は、「背負われて」という意味ですが、音だけ聞いていると「追われて」と勘違いしてしまう場合もあります。その唄の理解を深めるため、必ず音読すること。
(布施先生)
●外国では一音一音はっきりと発音・発語しますが、日本語は母音が消えることがあります。また、日本独特の鼻濁音という発音もあります。
●おなかの周りに温かい輪があるようなイメージで、適度な緊張感を持って。
●空気を出し惜しみしないで、たくさん吸ってたくさん吐くと、徐々にブレスが長くなります。
●歌うときは、楽譜の持ち方、姿勢、呼吸に気をつけること。

合唱曲「大地讃頌」の指導

ここから、合唱指導担当の市川先生の登場。

組んでいたステージを利用して、ソプラノ・アルト・テノール・バスのパートごとに整列して音を合わせました。
(市川先生)
●「大地讃頌」は、カラオケにも入っているくらい今でも人気のある曲。
でも、ただ大声で歌い続けるのではなく、強弱・メリハリをつけて。

●発語に気をつけて。
伴奏する前田先生のピアノを囲んで合唱。
一流のピアニストの方の伴奏のそばで歌えるなんて贅沢!

講義「作品の解説と、声楽アンサンブルの音楽づくりについて」

ここから、作曲家の三宅先生が、作曲家の視点による作品解説と音楽づくりに関する講義を行いました。

三宅先生は、2016年に第83回NHK全国学校音楽コンクール高等学校の部課題曲《次元》を作曲されるなど、非常に今人気のある先生です。

●アートスクールは美術もありましたが、美術と音楽の違いは、音楽は時間の芸術だということ。
●普段の日常生活の中で(例えば恥ずかしかったりして)なかなか言葉にできないことであっても、「歌」という音楽に乗せると、違和感なく気持ちを伝えられたりもする…音楽の魔法だと思っています。
●「詩」という既に独立した存在に対して作曲家が音を紡ぐということは、ある意味特別なことでもあります。詩に自分なりの光をあてたり、行間に感じる世界を音で表現しようと試みたり、ドラマを深めたり…
●《私が歌う理由》は2015年の作品。生きることや涙を流すことの根底にあるのは、他者への愛。この詩は、今この時代に私たち、人と人を繋いでくれるのではないかと思いを寄せながら、音を紡いだ作品です。

合唱曲「私が歌う理由(無伴奏)」パート別練習

ソプラノ・アルトは市川先生が引き続き同会場で、テノールは布施先生・前田先生が青森公立大学内にある交流ハウス1階サロンで、バスは三宅先生が同じハウス内にある部屋でそれぞれパート別にレッスンを行いました。

前田先生の伴奏により、布施先生が歌唱指導。
青森公立大学のサロンは雰囲気がよく、先生方からも好評でした!
作曲者の三宅先生が自らピアノを弾きながら歌唱指導。
こんなに贅沢なことがあるでしょうか~~!
ソプラノとアルトは市川先生が引き続き指導。
分かれてピアノを囲むように並んで練習。

合唱曲「私が歌う理由(無伴奏)」の指導

作曲者の三宅先生が、自らの曲について表現してほしいことなど指導。

事前に各自練習しているので、まずは音あわせから。
この日初めて集まったメンバーで、初めて合唱したはずなのですが、みなさんなかなかのハーモニーです。
(三宅先生)
●全部の音に意味があります。音のニュアンスということが大切なのですが、それを伝えるには、「フレーズ(文節)の軸」と「フレーズの入り口」を意識する必要があります。「軸」がどこにあるのか、「入り口」をどのようなニュアンスで歌いだすのかを考えること。
●倚音(いおん)という音がありますが、よりかかるという意味。作品の中によく出てきますが、寄りかかる感じを出して。

ピアノ演奏指導

ピアノを学んでいる高校生の希望者に、ピアニストの前田先生が指導してくださいました。

一人ひとりに優しく、丁寧に指導してくださいました。

2日目

まずは準備運動!
しっかりストレッチをして体をほぐします。

発声指導

声を遠くに届けるつもりで!
おなかを意識して。呼吸に気をつけて発声。
1日目に習ったように、全員で歩きながら歌ってみる
「花」を合唱。先生から

●「われさしまねく」の「さしまねく」はもっと細かく丁寧に。
●「錦おりなす」の「錦」はもうちょっと堂々とした感じで。子音を早めて。
●「おぼろ月」、そこはちょっと息を変えましょうか。

などの指導が。

合唱曲「大地讃頌」の指導

午後の成果発表で、全員で合唱する「大地讃頌」について先生方が指導。
ホール客席まで広く使って声を出す練習。
布施先生も自らお手本を示しながら声の出し方、合わせ方を熱心に指導してくださいました。
1日目は緊張気味でおとなしかった受講生の皆さんも、技術と知識を得て、どんどん声が出るようになりました!
布施先生から、

●音を切らないでフレーズを大きくとらえて歌って。
●このピアノはとてもいいもので、憧れのピアノ(スタインウェイ製)。
客席で聴いていると、ピアノの音が先に来て声が遅れて聴こえてしまうので、もう少し早めに歌いだすような気持ちで。

という指導が。
東京藝術大学音楽学部の佐野教授からは、

●強弱はピアノに任せて。ピアニシモになると、みんなエネルギーが落ちちゃうからあまり意識しないで。
●言葉を大切に歌って。

というアドバイスが。

合唱曲「私が歌う理由(無伴奏)」の指導

三宅先生の曲の合唱の仕上げ。無伴奏の曲ですが、練習のときは市川先生がピアノでサポートをしていました。
(三宅先生)
●息を届けるように。

●音楽の魅力が伝わるのがいい演奏。
歩きながらの練習。三宅先生から「大名行列みたいになってるよ!」と言われたときには(笑)が。
布施先生からも「行進のようになると音が刻まれてしまうので、自然に歩きながら歌って。」と言われ、だんだんと慣れてきた様子。
隣の人と手を叩いて。みんな、楽しそうに練習していていい感じ!!

ピアノ演奏指導

1日目に引き続き、前田拓郎先生から希望者に対してピアノの個別レッスンがありました。

皆さん、普段練習している曲の楽譜を持参し、先生にみてもらいました。
時には先生がお手本を示すことも。
現役の一流ピアニストの先生に指導してもらえるなんて、贅沢!
かなり緊張したかもしれませんが、音楽の道を志す高校生の方にはまたとない機会だったと思います。
着実にレベルアップにつながったのではないでしょうか。

日本歌曲「花」「椰子の実」「赤とんぼ」の指導

 成果発表では、日本歌曲を有志で何組かずつつくり、「花」を合唱、「椰子の実」「赤とんぼ」をソロで歌うこととなりました。
 初日に緊張してなかなか手が挙がらなかったのがうそのように、たくさんの受講生から手が挙がり、午後の発表が楽しみになりました!

「花」は女声アンサンブル。別室で三宅先生が指導しました。
布施先生から、

●楽譜の持ち方に気をつけて。持っていていいから、できるだけ見ないように、暗譜を心がけよう。
●合唱のときと違って、自分が歌いたいと思う形を少し膨らませていい。

という指導が。
2日目午前でスクールの指導は終了しました。
ぎりぎりまで練習し、午後は「県内高校生と東京藝大によるミニコンサート」と称して、いよいよ成果発表です!

県内高校生と東京藝大によるミニコンサート

 2日目午後は、第1部に布施先生・前田先生のミニコンサート、第2部に受講生による成果発表の2部構成で、一般観覧者も入れてのコンサートを実施しました。

東京藝術大学 音楽学部 佐野靖教授から一言。
4人の素晴らしい講師を迎えることができたこの企画は、佐野教授の御理解・御協力なくしては実現しませんでした。

第1部 布施雅也氏&前田拓郎氏によるミニコンサート

[演奏曲目]
 荒城の月/初恋/鳩笛の唄/英雄ポロネーズ/子守唄(三宅悠太作曲)/落葉松

布施雅也氏は、奏楽堂日本歌曲コンクール第15回歌唱部門で第一位、併せて中田喜直賞を受賞されたほか、数々のオペラでも出演(『コシ・ファン・トゥッテ』フェランド、『ドン・ジョヴァンニ』、オッターヴィオ、『魔笛』タミーノ他)されているテノール歌手です。また、日本歌曲も積極的に演奏されている方なので、圧巻のステージでした。

今回の演奏では、「鳩笛の唄」(清水みのる作詞、中田喜直作曲)は、津軽の唄ということで選曲してくださいました。
また、講師の三宅悠太氏の作曲した「子守唄」(立原道造作詞)もとても素敵な歌で、観客を魅了しました。
前田拓郎氏は、第4回安川加壽子記念コンクール第1位、第2回ショパン国際ピアノコンクールin ASIA派遣部門金賞、第35回日本ショパン協会賞などの受賞実績があり、また、2004年には皇太子殿下ご臨席の下、ショパンのピアノ協奏曲を演奏したのをはじめ、国内外のオーケストラとの多数共演されている方です。

今回は、ピアノソロで「英雄ポロネーズ」(ショパン作曲)で聴かせてくださいました。
華麗なテクニックで、華やかに気分が高揚する素敵な演奏でした。

第2部 県内高校生によるアートスクール成果発表会

[演奏曲目]
 花/椰子の実/赤とんぼ/大地讃頌/無伴奏混声合唱のための二つの「理由」より 「私が歌う理由」

最初に「花」1曲を6人の女子がアンサンブルで披露。

その後、市川恵氏から、
「有志で日本歌曲を歌いますが、有志が多く、
「椰子の実」と「赤とんぼ」はそれぞれ3回ほど歌います。」
  • 赤とんぼ
  • 椰子の実
  • 赤とんぼ
  • 椰子の実
  • 赤とんぼ
  • 椰子の実
  • 赤とんぼ
  • 大地讃頌
  • 無伴奏混声合唱のための二つの「理由」より 「私が歌う理由」
 最後の三宅先生作曲の曲を歌い終わった際には、観客から大きな拍手がありました!
 2日間がんばって練習し、見違えるように元気で素晴らしい合唱を聴かせてくれた受講生の皆さんには、講師の先生もスタッフもちょっと目が潤みそうになりました(苦笑)

 閉講後、受講生の皆さんからいただいたアンケートからは、
● 一流の先生方に質の濃い練習・指導をしてくださって、すごくためになったし、今後の練習に活かしていきたいです。

● 先生が取り入れていた個人レッスンがとても素晴らしいと思いました。その人の能力を引き出すこともすごいですが、一番すごいと思ったのは、歩くとリラックス効果で「がんばろう!」が消えて、とても良い声になるというところです。

● 学校の音楽部での練習でも、呼吸や音楽の表情のつけ方に気をつけて、皆で意見を共有し、より自分たちらしい音楽を創りあげれられればいいなと思います。

● プロの方や作曲家の方から、歌い方やブレスについていろいろ勉強して、改めて合唱の素晴らしさを実感しました。

● 発声法だけでなく、発語の仕方や呼吸法、作曲者御本人の曲のこだわりや演奏者に求めていることを知ることができたことがよかったです。本当に楽しい2日間で、これからも今回の経験を胸に合唱をがんばっていきたいです。最後に最高の演奏ができたのではないかと思います。

・・などなど、うれしい反響がありました!


今年度のアートスクールは、美術、合唱の2部門で開催しました。
受講された皆様には、今回の事業で得たものが今後の活動の励みになることを期待します。
※来年度以降は、この2年間の事業で得た実績を糧に、新たな取組を展開していく予定です。
おたのしみに!

この記事についてのお問い合わせ

環境生活部 県民生活文化課 文化・NPO活動支援グループ
電話:017-734-9208  FAX:017-734-8046

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