ホーム > 組織でさがす > 交通・地域社会部 > 地域交通・連携課 > AOMORI LIFESHIFT人財インタビュー14 中嶋 康夫 さん

関連分野

更新日付:2023年12月19日 地域交通・連携課

AOMORI LIFESHIFT人財インタビュー14 中嶋 康夫 さん

「地元が好き」。退職後も、
地域活動をライフワークに

吉田さん01 むつ市大畑新町自主防災会会長、下北地区子ども会育成連合会会長
1948年、大畑町(現むつ市)生まれ。高校卒業後上京、5年後にUターン。1972年に新設された下北地域広域行政事務組合大畑消防署に勤務し、むつ市役所を最後に退職。その後施設管理会社に再就職、71歳で引退。現在は現役時よりライフワークとして取り組んできた地域活動に奮闘中。特に消防署勤務の経験を活かした防災活動に注力し、2021年8月の豪雨災害後は町内でアンケート調査を行うなど、「災害に強い地域づくり」を目指している。趣味は歴史を調べ執筆すること。これまでに、『大畑消防団史』、『大畑まつりの歴史 悠久の時を越えて』など書籍8冊を編集・執筆している。

大好きな地元を守る消防隊員の道へ

生まれは津軽海峡に面する大畑町です。美容室を営む実家は大畑町新町にあり、子どもの頃から祭りに親しんできました。新町は古くから町民に親しまれてきた「大畑八幡宮例大祭」で、享保6年(1721)から山車を繰り出してきたと伝えられる地区。伝統ある山車に、小学生の頃から乗るほど祭り好きでした。また新町は大畑川と隣接し、昭和時代はたびたび水害に見舞われる地区でもありました。大火も経験しており、私は屋根の上からそれを見て、井戸から汲んだ水をかけたことを覚えています。楽しいことも大変なことも、いつも地域の人たちと団結して取り組んできたことが、私の人生のバックグラウンドになっていると感じています。

高校卒業後に上京しましたが、地元への想いが強く、祭りの時期には必ず帰省していました。そして5年後に念願のUターン。その折に、近所の人から消防団に入らないかと誘われます。消防団の活動は地域活動に密接に関わっていましたし、消防団の仲間は祭りの仲間でもありました。地元が好きで地域の人と交わっていたかったこと、そして幼い頃の災害の記憶も残っていた私は消防団の活動に興味を惹かれ、入団することにしました。さらにその翌年には大畑消防署が新設されると聞き、消防の仕事にやりがいを感じたことからすぐに応募。消防隊員として、地域のために働く道を歩むこととなりました。

公務員として地域に貢献

消防署にいた26年の間には、火事といった日常生活における事故に加えて、豪雨、台風、豪雪などの自然災害が度々発生しました。昔は現在よりも防災機能がずっと低く、一度災害が起これば被害は甚大なものになったので、救助隊や救急隊などオールマイティーに何でもやりました。このような経験から、地域の危険な場所を把握できるようになり、また危険水準に達する感覚も備わりました。これらの積み重ねた経験は、退職後に取り組んでいる自主防災活動の基盤となっています。

消防署長を務めた後は役場に異動となり、事務職、税務課長などを経験しました。公務員として事務仕事も経験したことで、地域からの要望に役所が何をどのように、どこまで応えることができるのかがわかるようになったと思います。役所の目線が備わったこともまた、現在の地域活動に大いに役立っています。は消防団の活動に興味を惹かれ、入団することにしました。さらにその翌年には大畑消防署が新設されると聞き、消防の仕事にやりがいを感じたことからすぐに応募。消防隊員として、地域のために働く道を歩むこととなりました。

地域活動はライフワーク

公務員を退職後、民間企業に11年勤めてから引退。働きながらライフワークのように続けてきた地域活動に専念するようになりました。 

私は大畑消防署で働き始めた頃から、地元の子ども会にも関わってきました。消防団に誘われたときと同様に、近所の人から声を掛けていただいたのです。子ども会の活動もまた、地域や祭りと密接に関わっています。公務員も地域に関わる仕事でしたが、プライベートでの地域活動こそまさにライフワーク。地域の新町錦子ども会の世話人から始まったのが、下北地区子ども会、青森県子ども会と広く携わるようになり、現在に至るまで50年続けてきました。活動内容は多岐にわたりますが、最近では県主催の「こども民俗芸能大会」に、地域の子ども会から「大新町放生會祭囃子」が出演し、活動成果を発表しました。

子どもの頃からずっと好きだった祭りであること、そしてこの活動が地域の継続に欠かせないものであることが、長年続けている理由です。下北の端にある町ですから、例外なく過疎化は進んでいるのですが、この地域は住民同士の仲がすごく良いので、祭りのときに人が足りないなんていうことはありません。人が、人を呼んで集まってくるのです。たとえ地域の体力が衰退の一途を辿っているとしても、人のつながりはある。これはすごく大切なことだと思うんですね。祭りのたびに人が集まること、そのことを心から喜んでいます。
  • yoshida07
    2023年の「大畑八幡宮例大祭」にて

居住地区の自主防災組織整備に注力

引退後、子ども会以上に力を入れているのが地域の防災活動です。これまでの経験を役立てることができる活動であるというのも一つですが、「地域の自主防災組織を強固なものにしなければならない」と危機感を覚え、使命感に駆られた出来事が起こったのです。それは、2021年に下北地域を襲った豪雨による災害でした。大畑町から風間浦方面へ向かう国道において土砂が流出するなどの甚大な被害が出る中、新町でも内水氾濫が発生しました。私は新聞を取りに行ったときに水かさが増していることに気がつきましたが、水害が起こっているのに誰も何もしない静けさに、不安を覚えました。なぜ誰も知らせることなく浸水が進んでしまったのか、その理由を調査するため、後日町内会でアンケートをとりました。「誰も教えてくれなかった」という多くの声で浮き彫りになったのは、人々が他力本願になっていたという現状でした。昔は住民同士で助け合いながらやっていたようなことを行政がやるようになり、自ら動く人がいなくなったのです。もちろん行政もやらなければならないのですが、手が行き届かないこともあるということも、これまでの公務員経験でわかります。今回でいえば、この地区ではむつ市との合併のあとに起きた初めての災害であり、離れた本庁からの指示がないと動けないという現状にも直面していました。何らかの理由で情報が来ないこともあるということを頭に入れて、自分たちで知る方法も必要だということ。そのために、自主防災組織をもっと充実させなければならないと、強く感じたのです。

その年の冬にアンケート討論会を行い、自主防災組織を再編。調査結果をまとめ公表し、翌年の夏までに地域の防災計画を作成しました。町内には、一人では動くことができない高齢者もたくさんいます。災害時に住民同士が助け合うことは必要不可欠で、そのためには日頃から意識しておくこと、広く知識を持っておくことが大切です。そこで私は、過去に地域で起こった災害履歴や災害の危険を発信する「新町だより」を月1回発行する活動を始めました。回覧板に入れて回すことで、自主防災会や災害予防などをPRする活動を続けています。
  • yoshida08
    「新町だより」は回覧板にはさみ、町内会員に届けている

次世代につなげたいという想い

現役時も引退した今も、常に地域に関わりながら暮らしてきました。地域のことを考えない日は1日もありません。地域活動は私の人生そのものです。 

日々の地域活動のなかで強く芽生えているのが、「この活動を子どもたちへどう伝えていくか」という想いです。災害時には子供たちも災害弱者となりますが、日頃の防災に関する地域活動の一役を子どもたちに担ってもらうことができれば、今活動していることを伝えていくことができるはずです。

また、私は歴史好きで、調べたことを編集することも好きです。これまでの人生で得た知識、経験を次の世代につなげたい。そんな想いで、現役時代から執筆・編集活動も行っています。
  • yoshida07
    主な著書は『大畑消防団史』『大畑まつりの歴史 悠久の時を越えて』など
どの活動においても、根底にあるのは、地元が好きという気持ち。地元のために日々活動すること、それを伝えていくことは、私にとっても明日への活力になっているのだと思います。

この記事についてのお問い合わせ

若者定着還流促進課人づくりグループ
電話:017-734-9133  FAX:017-734-8027

この記事をシェアする

  • facebookでシェアする
  • twitterでシェアする
  • LINEでシェアする

フォローする

  • facebookでフォローする
  • twitterでフォローする