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更新日付:2010年3月24日

第二百六十一回定例会提出議案知事説明要旨(平成22年2月)

 本日ここに、県議会第二百六十一回定例会が開会され、平成二十二年度当初予算案をはじめ各般にわたる議案について御審議いただくに当たり、県政運営に関する基本的な方針について、申し上げたいと思います。
 私は、知事就任以来、持続可能な青森型社会を築き、次世代にしっかりと引き継いでいくため、県民の皆様方の御理解と御協力をいただきながら行財政基盤の確立に向けた改革を進めてまいりました。
 また、本県の未来と今を支える「人財」を育成するとともに、本県産業の振興のため、地域が有する農林水産資源やローカルテクノロジーを活用した「攻めの農林水産業」や「あおもり型産業」、豊富な観光資源を活かした「あおもりツーリズム」の充実・強化に取り組んできました。
 そして、県民の命と暮らしを守る「保健・医療・福祉包括ケアシステム」や医師確保対策の推進、さらには原子力施設の安全対策の徹底など、県民の安全・安心に向けたシステムづくりを着実に進め、青森県発展の土台となる基礎固めを行ってきました。
 この間、私たちを取り巻く環境は大きく変動し、一昨年には米国発の金融危機に端を発した世界的な経済不況が、私たちの生活にも大きな影を落としました。現在、世界経済は緩やかに持ち直しつつありますが、国内経済はデフレの霧に包まれ、今もなお先行きが見通しにくい状況にあり、地方の経済や住民生活に漂っている閉塞感や不安感は、未だ解消されるには至っておりません。
 また、私たちが今過ごしている社会は、グローバル化の進展により国境を越えた活動が行われ、その活動は企業や団体、そして個人に思いもよらぬ様々な影響を与えています。こうした中で一人ひとりが輝いて生きていくためには、それぞれが知恵を絞り、力を尽くして課題に取り組み、問題を解決することが重要です。しかし、そのためには、それぞれの拠って立つ基盤を、しっかりとしたゆるぎないものとすることが必要です。心を支え合い、暮らしを支え合う社会が必要です。このグローバル社会を生き抜いていくためには、個々の自立とそれを支えるシステムをどう創っていくのか、今まさにそのことが問われています。
 私は、このような社会経済情勢の中にあればこそ、県民一人ひとりが輝いて生きられる社会、そして心の豊かさ、命・健康・環境など、暮らしやすさが守られ、安んじて生きられる社会の実現に向けた取組みが、より一層重要であると考えています。
 これまで進めてきた行財政改革や「人づくり」、「攻めの農林水産業」、「あおもりツーリズム」、そして「良医を育むグランドデザイン」、「保健・医療・福祉包括ケアシステム」、これらはすべて青森県が新たな歩みを始めるためのシステムづくりでありました。これからは、私たちが創り上げてきたこの土台の上で、新たな歩みを始める時であります。
 そのため、喫緊の課題である、新規学卒者や中高年齢で離職を余儀なくされた方々の雇用を支援する取組みや、産業活性化の取組みを強化し、県民の安心な暮らしをしっかりと支えていく必要があると考えています。
 そして今年は、東北新幹線が、全線開業を迎える年であります。
 これまで進めてきた取組みにより、私たちは、今、道路、空路、航路、そして鉄路、この四つの基盤を手にすることとなります。この四つの基盤をいかに活かしていくか、全線開業というこのチャンスをいかに活かしていくか、今年は私たちの知恵と力が試される年でもあります。
 この偉業に携わってきた方々のこれまでの御労苦に、心からの感謝を捧げるとともに、先達が永い年月をかけて実現してくれた私たちへの贈り物を十二分に活かし、青森県の新たな地平を切り拓くことこそ、私たちに課せられた使命との認識の下、新幹線が全線開業するこの平成二十二年という年を、青森県が新たな飛躍をする年にしたいと考えています。
 新幹線全線開業は、国内各地、そして世界各地とのアクセス時間の短縮を図り、それは観光産業のみならず、私たちの生活のあらゆる分野、青森県の社会経済全般へ大きな影響をもたらすものであります。
 新幹線で青森が変わる、新幹線で青森を変えるためには、まず、人的・物的交流の拡大を図ること、それを各地域まで広げること、そして、その動きを地域の活性化に活かすことが必要です。
 言い換えるならば、地域が積極的に動き、地域の活性化を図り、地域に人や物を引き込む、その結果、県全体として人や物の交流拡大が実現できるのです。
 県民の皆様方の「地域を変える」という強い意欲と確かな行動こそが、青森県の新たな地平を切り拓く原動力となるのです。
 新幹線全線開業を千載一遇のチャンスとして捉え、観光のみならず他の産業をも活性化して元気な青森県を創るため、今こそ力をあわせて進むときです。
 私は、皆様方の挑戦をしっかりと支えていく所存です。
 そのため、まずは、地域の魅力づくりに取り組みます。
 そして、それを観光産業の活性化、産業振興へとつなげ、新たな雇用を創ります。
 また、交通手段の整備や保健・医療の充実など、ハード、ソフト両面にわたって体制の充実を図ります。これは住みよい地域づくりにもつながります。
 こうした一連の取組みが、新たな青森づくりにつながっていくものと確信しています。
 そこで、平成二十二年度の重点施策について申し上げます。
 まず、「雇用の創出・拡大」に取り組みます。
 本県が抱える最大の課題である人口減少対策のためには、創業・起業をはじめ、企業誘致や異業種参入などによる雇用の場の確保、そして中長期的な視点に立った良質な仕事の場の創出・拡大が不可欠であります。
 このため、地域資源を最大限に活かし、また、低炭素社会も見据えた「あおもり型産業」の創出・育成に取り組みます。
 そして、「あおもり型セーフティネット」の構築に取り組みます。
 県民が安んじて暮らしていける社会の実現をめざし、保健・医療・福祉包括ケアシステム、医師確保やがん対策、社会保障など多岐にわたる対策に全力を挙げて取り組みます。
 また、厳しい雇用情勢の中、新規学卒者や中高年齢で離職を余儀なくされた方々の就職支援をはじめとした、雇用のセーフティネットの確保に取り組みます。
 そして、「新幹線全線開業元年」であるからこそ、開業効果の最大限の獲得に取り組みます。
 観光分野のみならず、あらゆる分野で総力を結集し、開業効果の全県的・重層的な波及に取り組むとともに、この効果を一過性のものとすることなく、長期間にわたり持続的に波及させる態勢づくりを進めます。
 そのためにも、「あおもり食産業」の充実・強化に取り組みます。
 農商工連携の推進等による食品製造業の振興と商品の高付加価値化、新たな流通・販売体制の構築、それらを支える農畜水産物の安定供給、さらには青森ブランドの拡大など、「食」に関わるすべての産業を一体のものとして捉え、新たに設置する「農商工連携推進監」を中心に、横断的な取組みを進めることにより、外貨獲得のための大きな柱となる産業として充実・強化を図ります。
 そして、私たちの未来を創る子どもたちのため、「子ども総合支援」体制の構築に取り組みます。
 人口減少の大きな要因となっている少子化問題が深刻化する中、凶悪な家庭内犯罪の発生、子どもたちの成長を支える家庭や地域力の低下など、子どもたちを取り巻く環境は厳しさの度合いを増しています。
 このため、子どもたちを産み、守り、そして成長させることについて関係者が緊密に連携し、切れ目のない総合的な支援を行う体制の構築を図ります。
 最後に、各地域県民局においては、それぞれの地域が持つ特長、魅力を活かし、地域における「生業(なりわい)」づくりの具現化に向けて、全力を挙げて取り組みます。
 一方、こうした取組みを安定的かつ継続的に推進するためには、これを支える行財政の経営基盤がしっかりとしたものでなければなりません。
 私はかねてから、国から地方への分権の流れに伴い、地方の自立が求められる中、地方の財政基盤の強化が不可欠であり、強固な財政基盤こそが、地域経済の活性化と安定した住民福祉の実現に欠かせないとの認識の下、財源の裏付けを伴った地方分権改革を強く求めてきたところであります。
 平成二十二年度の地方財政対策は、厳しい地方税収の減収に的確に対応するとともに、地方がかねてから強く訴えてきた地方交付税の復元・増額の要請に一定の配慮がなされたものとなっており、政府が掲げる「地域主権」改革に向けた取組みの第一歩として、評価するものでありますが、一方で、臨時財政対策債への依存度合いが高まり、将来負担への不安を残す結果となっております。
 国・地方を通じた厳しい財政環境にあっては、公債に一定程度頼らざるを得ないものと認識しておりますが、厳しい経済環境の克服が求められる一方で、少子高齢化が進行し、年金や医療、介護などの社会保障負担の増大が見込まれる中、持続可能な行財政運営のためには、財政規律に意を用い、歳入・歳出両面においてバランスのとれた改革が必要であると考えております。
 そのため、真に地域主権を支える地方財政の充実を国に対して訴えていくとともに、「青森県基本計画未来への挑戦」に基づく諸施策の推進を支えるための安定した行財政基盤の確立、すなわち、基金に頼らない持続可能な財政構造の確立に向け、「青森県行財政改革大綱」に基づく行財政全般にわたる改革に引き続き取り組んでまいります。
 私は、青森県が持つ大きな可能性を信じています。
 そして、その可能性を実現できる県民の力を信じています。
 一人ひとりの力は決して大きくないかもしれませんが、その力を支え、結集し、県民の皆様方とともに青森県のステップアップにチャレンジしていく所存でありますので、議員各位並びに県民の皆様方の御協力と御支援をよろしくお願い申し上げます。
 次に、提出議案について、その概要を御説明申し上げます。
 まず、議案第一号「平成二十二年度青森県一般会計予算案」について申し上げます。
 本県財政は、平成十五年度の財政改革プラン策定以降における行財政改革の取組みにより、財政再建団体への転落を回避するとともに、生活創造社会推進のための重点施策や、東北新幹線鉄道整備事業費負担金等の県政が抱える課題に積極的に対応してきたところであります。また、財源不足額(基金取崩額)の圧縮を図るとともに、元金ベースでのプライマリーバランスを実質的に黒字転換させることにより、将来世代への負担先送り体質から脱却し、財政構造改革を着実に前進させてまいりました。
 しかし、こうした改革努力にもかかわらず、過去数年にわたる地方交付税総額の削減や社会保障関係費の増加等により、真に持続可能な財政構造の確立に向けては未だ道半ばを強いられております。
 平成二十二年度当初予算の編成に当たっては、引き続き県税収入等の厳しい状況が見込まれる中、「青森県行財政改革大綱」に基づく財政健全化努力の徹底を図るとともに、国の予算において大幅減となった公共事業費等の縮減幅にも配慮しつつ、雇用の創出に資する施策について積極的な対応を図ったほか、東北新幹線全線開業対策等、「平成二十二年度「選択と集中」の基本方針」に掲げた五つの戦略キーワードに基づく施策の重点化に努め、本県の厳しい経済・雇用情勢と県民生活の安心確保のための施策に、でき得る限りの対応を行うことといたしました。
 以上の結果、年間総合予算として編成した平成二十二年度一般会計当初予算は、規模としては、六千九百二十三億円、平成二十一年度当初予算対比十一億円、〇・二パーセントの増となり、前年度とほぼ同額となりました。
 また、財源不足額(基金取崩額)を平成二十一年度当初予算から半減させたほか、県債発行総額を、大幅に増額となった臨時財政対策債を含め、前年度当初発行総額以下に抑制するなど、財政健全化を着実に進めることができたところであります。
 なお、国の第二次補正予算に呼応した平成二十一年度二月補正予算については、平成二十二年度当初予算と一体で編成することとし、切れ目のない予算執行により施策効果の最大限の発現を図ることといたしました。
 それでは、平成二十二年度の主要施策について、五つの戦略キーワードに沿って、その概要を申し上げます。
 第一は、「雇用の創出・拡大」についてであります。
 まず、外貨獲得と域内循環の強化については、
 地域資源を活用した新事業の創出や技術開発により高付加価値化を図るとともに、域内外での取引拡大による外貨の獲得を図るため、農商工連携、医療・健康福祉関連産業、環境・エネルギー関連産業等のあおもり型産業の創出・育成に向けた各種取組みを進めることといたしております。
 このため、地域資源を活用した新商品・新サービスの開発等により域外需要の獲得をめざすための事業化検討や、首都圏企業との取引拡大を図るための新商品開発及び新事業創出の取組みに対するアドバイス、首都圏企業とのマッチングなどの支援を行うことといたしております。
 また、首都圏企業との新たな業務提携につなげるため、県内中小企業が有する知的財産や技術の磨き上げを支援するとともに、知的財産の管理や活用戦略の策定を担う人材の育成を行うことといたしております。
 このほか、本県の優位性を活かした企業誘致活動を展開し、次世代自動車関連産業の集積に向けた取組みを行うことといたしております。
 また、あおもり型産業の担い手である県内中小企業の事業活動の促進や、経営の安定化を図るため、特別保証融資制度において、現行制度に比べて大幅に融資利率を引き下げた「未来への挑戦資金」を創設することといたしております。
 さらに、関係機関と緊密に連携し、「あおもり元気企業チャレンジ基金」、「あおもりクリエイトファンド」及び「あおもり農商工連携支援基金」等を活用した、事業活動の支援を行うことといたしております。
 また、地域経済の活性化を図るためには、域内連携の強化と新分野進出による域内循環の拡大が求められております。
 このため、大型店の進出等により厳しい状況にある商店街において、地域との連携による商店街観光等の新しい商店街の創出を検討することといたしております。
 また、スギ等の認証県産材を使用して住宅の新築・リフォームを行う施工主に対し、県産材を使用した家具・建具等と交換できるポイントを発行する、全国初の「県産材エコポイント」制度を創設し、県産材の利用促進と関連産業の活性化を図ることといたしております。
 国においては、「コンクリートから人へ」の理念に立ち、公共事業関係予算を大幅に圧縮したところであり、今後の事業進捗に不安を残すとともに、県内雇用への影響も懸念されることから、事業費の縮減幅にも配慮しつつ、雇用の創出に資する施策について積極的な対応を図ったほか、建設企業の新分野進出を図るための取組みを強化するとともに、特別保証融資制度の対象項目に建設企業の新分野進出を加え、資金的支援についても強化することといたしております。
 また、県内企業等の海外ビジネス展開への支援については、海外企業との商談機会の創出等を行い、海外ビジネスが促進される環境を整備するほか、経済成長が著しく、今後もビジネス展開が期待できる中国マーケットについては、効果的な経済交流を行うための取組戦略を策定することといたしております。
 また、本県から世界へ開かれた窓である青森・ソウル線の需要拡大により交流人口の拡大等を図るため、交流訪問団の派遣や、韓国からの誘客促進を図るための各種取組みを展開することといたしております。
 本県経済や地域づくり等を牽引していく人材の育成については、引き続き「あおもり立志挑戦塾」を開催するほか、塾修了生をはじめとする様々な分野で育成してきた人材のネットワークづくりに取り組むことといたしております。
 また、創業・起業を増やし、地域経済の活性化を図るためには、人材の発掘と育成が重要であることから、青森市、弘前市及び八戸市に設置されている創業支援拠点の運営を支援するとともに、創業・起業を支援する専門家の育成に取り組むほか、県内製造業の基盤強化を図るため、ものづくりに関わる人材の育成支援を行うことといたしております。
 次に、低炭素社会を見据えた環境・エネルギー産業の振興については、
 低炭素型のライフスタイルへの転換促進を図るため、省エネ住宅の普及促進に向けた取組みを行うほか、経済的インセンティブの付与により環境配慮行動を促す方策の仕組みづくりを検討することといたしております。
 また、運輸部門における脱化石燃料、エネルギー消費構造の転換を進めるため、電気自動車及びプラグインハイブリッド車の導入・普及の加速化に取り組むことといたしております。
 このほか、青い森セントラルパークにおいて、民間主導による低炭素型モデルタウンの実現に向け、産学官連携による構想の推進を図ることといたしております。
 また、エネルギーに関して高いポテンシャルを有する六ケ所村での、スマートグリッドに関する実証試験の実現をめざすとともに、低炭素社会システムに関する社会実験の検討やエネルギー関連産業への地元企業の進出を支援することといたしております。
 さらに、原子力人材育成・研究開発推進構想の実現に向けた取組みを進めるほか、国際熱核融合実験炉(ITER)計画と並行して取り組まれる幅広いアプローチとして、六ケ所村に整備される「国際核融合エネルギー研究センター」の円滑な立地推進に努めるとともに、国際研究拠点にふさわしい教育環境の整備を図ることといたしております。
 二酸化炭素吸収機能などの多様な機能を有する森林の適切な整備については、間伐等の森林整備や県民参加型の森林づくりを推進するほか、松食い虫被害の拡大防止に万全の体制で臨むことといたしております。
 また、農林水産業を支えるとともに、地域の環境を保全する「環境公共」の更なる推進を図ることといたしております。
 第二は、「あおもり型セーフティネット」についてであります。
 まず、あおもりの安全・安心総合対策については、
 命を守る地域医療の充実を図るため、「良医を育むグランドデザイン」を踏まえ、医育環境の充実に取り組むこととし、修学資金の貸与等による医学生の育成や県内定着の推進、県外の医師が安心して本県で勤務できるための受け皿づくり、臨床研修制度への的確な対応等による医師の研修・研究体制の充実等に取り組むことといたしております。
 また、救急医療体制の充実・強化を図るため、県立中央病院において救命救急センター等の整備を行うほか、西北五地域保健医療圏においては、診療体制の整備や医療従事者の質的向上により医療サービスの充実を図ることといたしております。
 下位に低迷している平均寿命の改善のため、引き続き、積極的にがん対策に取り組むこととし、がん診療連携拠点病院に対する機能強化支援を行うほか、がんに関する正しい知識の普及や医療機関等が活用できる情報の集積・発信を行うがん情報センター機能を整備することといたしております。
 県民が生涯にわたり地域において安心して生活できるよう、保健・医療・福祉包括ケアシステムの構築を進めてきた成果として、全県的にこの取組みの広がりが見られることから、当該システムの円滑な運営のため、システム運営の中核的な役割を担う保健師の地域保健活動の高度化を支援することといたしております。
 また、新型インフルエンザの流行による県民の健康被害及び社会生活への影響を最小限にとどめるため、危機管理体制の構築、医療提供体制の整備等の対策を講じることといたしております。
 さらに、全国的に高い水準にある本県の自殺率の低減を図るため、新たに地域自殺予防情報センターを設置するなど、各種取組みを展開することといたしております。
 安全で安心なまちづくりについては、防犯・交通安全・消費分野等の関係団体が連携・協働し、地域の安全・安心を守る体制の構築を図るとともに、消費者対策の充実や、声かけ・ストーカー対策、高齢者の交通安全対策などを実施することといたしております。
 また、全国的に単身高齢者の孤独死などが社会問題化していることから、県営住宅において世代間交流の促進やコミュニティの活性化を図る取組みをモデル的に行うことといたしております。
 このほか、老朽・狭隘化したむつ警察署については、運転免許証の即日交付機能も備えた新庁舎の整備を行うことといたしております。
 原子力施設については、安全確保を第一義に、国や事業者に対して施設の安全確保の強化と情報公開の徹底を求めるとともに、県としても対策を強化し、県民の安全・安心を確保します。
 次に、雇用のセーフティネットについては、
 緊急雇用創出事業臨時特例基金及びふるさと雇用再生特別基金を積極的に活用し、約六千人規模の雇用創出を図るとともに、離職者等の円滑な労働移動及び雇用の安定確保を図るための職業能力習得機会を大幅に拡充したほか、非正規労働者の正社員化を促進する取組みを行うことといたしております。
 また、貧困・困窮者の生活・就労支援の強化を図るため、住居喪失者等に住宅費用を支給するとともに、福祉事務所及び市町村社会福祉協議会に就労支援相談員等を配置し、就職活動の支援等を行うことといたしております。
 中高年齢求職者に係る就職支援対策については、円滑な再就職を促進するため、福祉・介護分野への受入が図られるよう、雇用奨励金を支給するなどの対策を講じることといたしております。
 本年三月の新規高等学校卒業予定者に係る就職支援対策については、今年度内に就職できるよう、企業への求人拡大要請や就職面談会を開催するほか、特別保証融資制度に雇用創出特別支援枠を創設するなどの対策を講じてきたところでありますが、これらによっても年度内に就職できなかった方々のため、職業訓練等による資格取得支援や、民間企業等からの提案型事業を設けるなどの対策を講じることといたしております。
 また、雇用環境の厳しい現状を踏まえると、高等学校在学中における就職支援対策を更に強化する必要があることから、就職指導の充実のために専任の支援員を学校に配置するとともに、在学中における資格取得を強力に推進することとし、全庁を挙げて高校生の就職支援に取り組むことといたしております。
 第三は、「新幹線全線開業元年」についてであります。
 まず、新幹線全線開業を契機として、本県への誘客促進を図るための宣伝活動の推進については、
 全線開業前に首都圏情報交流拠点を設置し、これを中心として、青森四大祭りの競演や、東京駅等の主要駅での観光情報の発信、演劇「津軽」の東京公演などの関連イベントの開催、マスメディアと連携した広報活動等を行う「東京ジャック」を実施することといたしております。
 また、全線開業を国内に強くアピールするため、全線開業直後の開催となる全国的なスポーツイベントである国民体育大会冬季大会を開催し、本県の魅力を全国へ発信することといたしております。
 さらに、平成二十三年四月から実施される青森デスティネーションキャンペーンに向け、本県観光の一層のイメージアップを図るための効果的なプロモーションを行うことといたしております。
 このほか、全線開業という好機を活かし、安全・安心で高品質な県産品を首都圏に強力に売り込むため、全線開業イベントと連携し、「あおもり食の魅力キャンペーン」等を展開するほか、首都圏における販売拠点であるアンテナショップの機能強化を図ることといたしております。
 次に、文化・芸術拠点の形成については、
 世界遺産登録をめざしている三内丸山遺跡をはじめとする「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」について、県内外に対して効果的な情報発信を行うとともに、世界遺産登録推薦に求められる条件整備を着実に進めることといたしております。
 また、県立美術館においては、「古代ローマ帝国の遺産展」等の企画展を開催するほか、バレエ背景画「アレコ」を活用したダンス作品の公演や、アレコホールでの演奏会を開催することなどにより、総合的な芸術拠点としての魅力を全国へ発信することといたしております。
 このほか、世界自然遺産である白神山地の大自然を国内外に積極的にアピールするため、当該地域の自然と文化を活かした体験型観光の受入態勢の整備を行うことといたしております。
 次に、観光コンテンツの育成強化については、
 体験型観光やまち歩き観光の推進、各地域の歴史や文化、温泉、食などの地域資源を活用した観光コンテンツの魅力づくりを行うほか、本県の魅力を最大限に満喫してもらうための滞在期間が長い観光モデルコースの検討や、新たな冬季観光イベントの創出支援を行うとともに、こうして創出された観光コンテンツを高度化することにより、本県の魅力向上を図ることといたしております。
 また、宿泊施設が集積している地域において、観光客に対して観光や食の情報を提供するとともに、地域におけるイベント等を企画する人材を育成し、ホスピタリティの充実・強化を図ることといたしております。
 次に、交通利便性の向上については、
 全線開業効果を全県に波及させるため、新幹線駅と県内各地を結ぶ二次交通の整備促進に引き続き取り組むとともに、交通事業者等が行う観光二次交通に係る取組みや、二次交通ネットワークについて強力に情報発信していくことといたしております。
 また、交通ネットワークの強化のため、羽田空港発着枠の拡大と新幹線全線開業を見据え、航空需要の拡大に係る取組みを強化することといたしております。
 このほか、上北横断道路や下北半島縦貫道路の早期整備が図られるよう国に強く働きかけていくとともに、主要幹線道路ネットワークの整備促進に努めます。
 また、新幹線全線開業と同時に青森駅まで延伸される並行在来線・青い森鉄道については、鉄道施設事業特別会計において、新たに必要となる指令システムなどの施設・設備の整備費、JR東日本からの鉄道資産の購入費、野内地区の新駅の整備費、十二月以降の青森駅までの分を含む保守管理経費等を計上し、開業に向けて万全の体制で臨みたいと考えております。
 なお、並行在来線に対する国の財政支援については、国土交通省が設置した「整備新幹線問題検討会議」において、昨年末に「整備新幹線の整備に関する基本方針」が取りまとめられ、その中で、並行在来線の維持を含む地方負担の軽減や貨物鉄道ネットワーク維持のために必要な対策について検討することとされました。
 この検討の一環として、去る二月九日に、関係地方自治体からのヒアリングを行うため、関係政務官からなる「整備新幹線問題調整会議」が開催され、当日、私が高橋北海道知事及び達増岩手県知事とともに出席し、本県の並行在来線に関する実情について説明してまいりました。
 この席上、私からは、本年十二月に青森駅開業となる青い森鉄道の維持・存続に当たっては、多額の県費負担が大きな課題となっていること、経営区間が我が国物流の大動脈でもあり、貨物輸送維持のために高水準の保守管理を行わざるを得ない状況になっていること、貨物線路使用料の見直しや国の財政支援策が講じられなければ維持・存続が困難であることなどを説明し、青森駅開業までに、抜本的な支援を実現していただくよう直接、強く要請してきたところです。
 私としては、今後も将来にわたり安定した経営が可能となるスキームの実現に向けて、県議会議員並びに国会議員の皆様方、関係道県と連携しながら、引き続き国に対し、並行在来線の支援策の早期実現をしっかりと求めていきたいと考えております。
 第四は、「あおもり食産業」についてであります。
 まず、食品製造業の強化については、
 本県の比較優位資源である豊富な農林水産資源を活用した食品製造業の強化を図るため、新たな連携や事業展開を総合的に支援する「あおもり食産業プラットフォーム」を整備するとともに、これを中心に、首都圏販路の確立支援や、食品製造事業者に対する製品化技術の開発支援、加工・業務用野菜の産地育成支援、首都圏企業等のニーズに対応した商品開発の推進等を行うことといたしております。
 また、農産物を安定的に生産・供給できる植物工場について、青森県産業技術センターにおける技術面でのサポート体制を構築するとともに、立地促進に向けた検討に取り組むことといたしております。
 次に、総合販売戦略の推進については、
 民間活力による大都市圏及び県内における県産品統一キャンペーンを展開するほか、消費者ニーズに対応し、消費者に訴える商品づくりの促進を図ることといたしております。
 また、県産品の一層の販売促進及び生産者等の収益性の向上を図るため、本年四月に設立される新たな物産振興団体との連携を強化しながら、全県的な県産品振興をこれまで以上に推進していくことといたしております。
 このほか、学校給食における地産地消の推進を図るため、県産食材の安定供給に向けた取組みや、食育の視点から学校給食への県産食材の定着を図る取組みを行うことといたしております。
 また、県産農林水産品の輸出促進については、輸出ルートの開拓や青森ブランドの確立による輸出規模の拡大を図ることとし、商談活動等を支援することといたしております。
 次に、儲かる農林水産業の推進については、
 生産者の収益性の向上につながる新たな流通・販売体制の構築を図るとともに、他県産との差別化を図るために日本一健康な土づくりのレベルアップを図り、その優位性を消費者に効果的に情報発信することといたしております。
 また、飼料用米や米粉用米などの新規需要米の生産振興や、乳牛の泌乳能力の向上による酪農経営の安定化、青森シャモロック及び短角牛の生産・販売体制の強化、陸奥湾産ほたてがいの母貝不足の解消と大型貝の安定供給、県産天然ひらめの安定供給、日本海におけるさくらます資源の再生などに取り組むことといたしております。
 次に、農業・農村を支える人づくりについては、
 「攻めの農林水産業」を担う新たなトップランナーの育成に向けた体制づくりの推進や、農山漁村の女性起業者間の連携による法人化を促進するほか、「青森県攻めの地域営農企業化戦略」に基づき、地域全体の収益性向上を図る営農モデル組織の育成に取り組み、地域住民が安心して暮らせる農村社会の維持・発展を図ることといたしております。
 また、県の獣医師不足に対処するため、修学資金の給付などの緊急対策を講じることといたしております。
 第五は、「子ども総合支援」についてであります。
 社会全体で子どもを育む体制づくりについては、
 次代を担う子どもたちが、命を大切にし、他人への思いやりを持ち、たくましく生きていけるよう、県民一体となって、「命を大切にする心をはぐくむ県民運動」を展開することといたしております。
 また、子どもを虐待等から守るため、県・市町村の相談支援体制を強化するとともに、多くの住民・団体が子どもの安全・安心に関心を持ち、地域が子どもを見守る環境を整備する取組みを進めるほか、ネットいじめ等のいじめの根絶に向けた取組みを進めることといたしております。
 さらに、子どもの命を守るため、周産期医療から療育の場までのライフステージに応じて、安定的かつ継続的な医療を提供できる体制を構築することといたしております。
 次に、未来を担う子どもの育成については、
 子どもを安心して育てることができる体制を整備するため、子育て支援対策臨時特例基金を活用し、保育所等の緊急整備を図るほか、子どもの望ましい食習慣の形成や、子どものスポーツ活動を地域ぐるみで支える体制の整備を図ることといたしております。
 次に、学校教育の充実については、
 健やかな心と体を持つ、創造力豊かな子どもを育てるとともに、次代の青森県を担う人材育成を推進するため、小学校一・二年生及び中学校一年生を対象とした少人数学級編制を実施するほか、他の学年においても少人数指導教員等を配置し、小学校及び中学校におけるきめ細かな学習指導や生徒指導を実施することといたしております。 
 国においては、家庭の状況にかかわらず、全ての意志ある高校生等が安心して勉学に打ち込める社会をつくるため、公立高校の授業料を無償化するとともに、私立高校等に対する高等学校等就学支援金を創設し、家庭の教育費負担を軽減することといたしております。
 このことから、県立の高等学校においては、専攻科に係る授業料を除き原則徴収しないこととするとともに、私立の高等学校等については、国が創設した高等学校等就学支援金の交付に加え、当該支援金と授業料の差額部分に対し、県独自に一定額を助成することにより、保護者負担の一層の軽減を図ることといたしております。
 最後に、各地域県民局が行う地域づくりについてであります。
 東青地域県民局では、東青地域における農林水産資源を活用し、関係者の相互連携による食関連産業の強化に取り組むほか、初代高橋竹山の生誕百年を記念したメモリアルイベントの開催等に取り組むことといたしております。
 中南地域県民局では、中南地域の新たな観光商品としてまち歩き観光を展開するほか、県産りんごの消費拡大を図るため、「ホット」というこれまで普及していない、りんごジュースの新たな飲み方の提案・普及等に取り組むことといたしております。
 三八地域県民局では、三八地域の企業が有する技術や商品を情報発信することにより、ものづくり産業の活性化に取り組むほか、地域一体となった環境・エネルギー関連産業の振興等に取り組むことといたしております。
 西北地域県民局では、西北地域の歴史資源を活用した観光コンテンツの創出に取り組むほか、産地直売団体や商店街等と連携して「軽トラ市」を開催し、地産地消の推進等に取り組むことといたしております。
 上北地域県民局では、上北地域の温泉施設をネットワーク化することにより、温泉を核とした地域活性化に取り組むほか、人口減少社会における持続可能な新たな農村社会システムの検討等に取り組むことといたしております。
 下北地域県民局では、近県をターゲットとした観光情報の発信による交流人口の拡大に取り組むほか、ほたてがい養殖業における協業化の検討等に取り組むことといたしております。
 以上が、平成二十二年度の主要施策の大綱であります。
 次に、歳入予算の主なるものについて御説明申し上げます。
 県税については、地方税制改正の内容、本県経済の動向等を踏まえ、千百二十九億九千三百五十余万円を計上いたしております。
 地方交付税については、原資総額の伸び率及び国の算定方針を基礎に、過去の交付実績等を勘案して普通交付税の交付見込額を推計したうえで、当初予算において二千八十億円を計上したほか、特別交付税については、三十五億円を計上いたしております。
 県債については、地方債計画、その運用方針等を勘案して積算のうえ、千百六十六億七千七百万円を計上いたしております。
 繰入金については、厳しい財政状況等に対処するため、財政調整基金から十三億円、県債管理基金から十五億円、公共施設等整備基金から五億円及び地域振興基金から五億円をそれぞれ繰り入れることといたしております。
 このほか、国庫支出金等については、主として歳出との関連において計上いたしております。
 以上が「平成二十二年度青森県一般会計予算案」の概要であります。
 このほか、上程されました議案の主なるものについて御説明申し上げます。
議案第二号から議案第十六号までは、青森県公債費特別会計等の特別会計及び青森県病院事業会計等の企業会計に係る予算案であります。
 議案第二十号「特別職の職員の給与に関する条例の一部を改正する条例案」は、公安委員会委員等の報酬額の改定等を行うものであります。
 議案第二十二号「青森県指定管理者による公の施設の管理に関する条例の一部を改正する条例案」は、青い森鉄道の管理を指定管理者に行わせることができることとするものであります。
 議案第二十三号「青森県鉄道施設条例の一部を改正する条例案」は、鉄道施設の設置の目的及び位置を改め、旅客等の利便に供するため鉄道施設を使用する場合の使用料を定め、指定管理者に鉄道施設の管理を行わせた場合の使用料金の納入等について定めるものであります。
 議案第三十三号「青森県立高等学校授業料、受講料、入学料及び入学者選抜手数料徴収条例の一部を改正する条例案」は、専攻科に係る授業料以外の授業料及び受講料について、徴収しないことが県立高等学校における教育に要する経費に係る生徒間の負担の公平の観点から相当でないと認められる特別の事由がある場合を除き、徴収しないこととするものであります。
 議案第三十四号「青森県警察本部組織条例の一部を改正する条例案」は、警務部において所掌している事務の一部を所掌させるため、総務室を設置するものであります。
 議案第五十二号「青森県道路公社が行う有料の県道の新設に係る変更について同意するの件」は、みちのく有料道路の料金徴収期間の変更等について御同意を得るためのものであります。
 議案第五十五号「青森県教育委員会委員の任命の件」は、青森県教育委員会委員田村充治氏の任期が来る三月三十一日をもって満了いたしますので、後任の委員として橋本都氏を任命いたしたく、御同意を得るためのものであります。
 議案第五十六号「青森県公安委員会委員の任命の件」は、さきに逝去されました青森県公安委員会委員橋本八右衛門氏の補欠の委員として、木村八脩氏を任命いたしたく、御同意を得るためのものであります。
 議案第五十七号「青森県人事委員会委員の選任の件」は、青森県人事委員会委員工藤一雄氏の任期が来る三月三十一日をもって満了いたしますので、後任の委員として遠間敏子氏を選任いたしたく、御同意を得るためのものであります。
 議案第五十八号「平成二十一年度青森県一般会計補正予算案」は、去る一月二十八日に成立した国の第二次補正予算に呼応し、所要の予算措置を講ずるものであります。
 その他の議案につきましては、各議案の末尾に記載されている提案理由等のとおりであります。
 昨年末、司馬遼太郎の「坂の上の雲」を手に取る機会があり、多くの日本人がどうしてこの小説に惹かれるのか、改めて考える機会がありました。
 この小説には、多くの人々が新たな時代を目の前に、迷い、ためらい、決断し、決断しながらも逡巡し、それでも自分たちが新しい時代を創っていくのだという、希望と意志をもって行動していく様子が描かれています。
 私たちはこうした姿、迷いながらも、悩みながらも、未来へ向かって行動していく姿、未来を切り拓いていく姿に、強く心を惹かれるのではないでしょうか。
 そして、今、今こそ私たちの行動すべき時です。
 世界が、そして日本が大きく変動しているとき、私たち一人ひとりの「挑戦」が青森県を変えます。
 私たちが行動を起こすことによってのみ青森の未来を拓くことができるのです。
 今こそ力をあわせ、未来への挑戦を始めようではありませんか。
 以上をもちまして、県政運営に関する基本的な方針を申し述べるとともに、提出議案の概要について御説明申し上げましたが、議事の進行に伴い、御質問に応じ、本職をはじめ関係者から詳細に御説明申し上げたいと思います。
 なにとぞ、慎重御審議のうえ、原案どおり御議決、御同意並びに御承認を賜りますようお願い申し上げます。

第二百六十一回定例会追加提出議案知事説明要旨(平成22年2月)

 ただいま上程されました議案の主なるものについて、その概要を御説明申し上げ、御審議の参考に供したいと思います。
 まず、議案第六十一号「平成二十一年度青森県一般会計補正予算案」について御説明いたします。
今回の補正予算は、介護基盤緊急整備等特別対策事業費に対する国からの追加内示に伴う基金積立てに要する経費、平成十四年度に撤退した小川原湖総合開発事業に係る清算等に要する経費、県管理道路等の除雪に要する経費等について所要の予算措置を講ずることとしたほか、現年発生災害復旧費、青森県特別保証融資制度貸付金及び県立病院運営資金貸付金等について減額を行うことといたしました。
 また、予算執行段階において経費の節減等に努めて生じた財源による基金の復元に要する経費について所要の予算措置を講ずることといたしました。
 その結果、今回の補正予算額は、歳入歳出とも百二十八億七千八百十余万円の減額となり、これと既決予算額及び今定例会に既に提出しております補正予算額とを合計いたしますと、平成二十一年度青森県一般会計の予算規模は、七千五百七十一億七千百五十余万円となります。
 歳入については、歳出との関連等において、国庫支出金、繰入金、諸収入、県債等について、それぞれ増減額を調整のうえ計上したほか、県税について二十三億二千二百十余万円を計上するとともに、地方譲与税について十五億三千八百二十余万円を減額計上いたしました。
 また、普通交付税については、交付決定額と既計上額との差額四十億三千七百六十余万円を計上いたしております。
 以上が、「平成二十一年度青森県一般会計補正予算案」の概要であります。
 このほか、上程されました議案についてでありますが、議案第六十二号から議案第七十五号までは、特別会計十二件及び企業会計二件の予算補正に係るものであります。
 その他の議案については、各議案の末尾に記載されている提案理由のとおりであります。
 以上、提出議案の概要について御説明申し上げましたが、議事の進行に伴い、御質問に応じ、本職をはじめ関係者から詳細に御説明申し上げたいと思います。
 なにとぞ、慎重御審議のうえ、原案どおり御議決を賜りますようお願い申し上げます。
 なお、この機会に議長のお許しを得て、海外返還廃棄物の受入れに係る国及び事業者からの要請について御報告申し上げます。
 去る三月一日、経済産業大臣の命を受け来県した資源エネルギー庁の石田長官から、
一  我が国が原子力を利用していく上で、再処理によって生じる高レベル放射性廃棄物やTRU廃棄物を貯蔵管理することは、非常に重要である。
一  フランスからの返還廃棄物については、二〇一三年から返還開始とされており、返還が遅れた場合、我が国の国際的な信用を損なうことが懸念される。
一  返還廃棄物貯蔵管理の政策的重要性、緊急性に鑑み、海外返還廃棄物の受入れについて御検討をお願いしたい。
との要請がありました。
 私としては、我が国の国際的な信用を失わないために、今回、国から要請があったものと受け止めていますが、経済産業大臣から直接お話を伺い、確認する必要があると考え、その旨直嶋経済産業大臣にお伝えいただくよう石田長官にお願いしたところです。
 翌三月二日には、電気事業連合会森会長及び日本原燃株式会社川井社長から、
一  日仏事業者の国際的な合意であるフランスからの二〇一三年の返還開始を実現するため、様々な方策について、必要な期間・技術的な成立性を検討してきたところ、海外返還廃棄物の受入れについて、早急に準備を取り進めなければならない状況となっている。
一  フランスから返還される低レベル放射性廃棄物を一時貯蔵する施設として、「低レベル廃棄物受入れ・貯蔵施設」を新たに建設する計画であるが、二〇一三年の返還開始には操業が間に合わないことから、既設の「高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター」において、フランスから返還される低レベル放射性廃棄物を一時貯蔵する計画である。
一  イギリスから返還低レベル廃棄物と交換して単一返還される高レベル放射性廃棄物については、既設の「高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター」において一時貯蔵する計画である。
との説明があり、フランスからの返還低レベル廃棄物及びイギリスからの単一返還される高レベル放射性廃棄物を六ケ所村で一時貯蔵する計画について、御理解、御協力をいただきたい旨の要請がありました。
 三月六日には、直嶋経済産業大臣が来県され、海外返還廃棄物について、フランスからの返還開始時期が遅れた場合、我が国の国際的な信用を損なうおそれがあるため、我が国と諸外国との国際的な原子力協力・相互信頼の維持の観点から、海外返還廃棄物を青森県六ケ所村で受入れ・一時貯蔵して欲しい旨の御要請がありました。
 今回の御要請を受け、私としては、県民の安全、安心を守る立場から、直嶋経済産業大臣に対し、
一  今回の御要請は、我が国の国際的信用に係る、政府が前面に立った要請であること。
一  六ケ所再処理施設の安全操業をはじめとする核燃料サイクル政策を確固たる決意で推進すること。
一  地層処分相当の低レベル放射性廃棄物について、高レベル放射性廃棄物と同様に、青森県を最終処分地としないこと、また、最終処分地の早期選定が図られるよう、国が前面に立ち政府一体として、不退転の決意で取り組むこと。
の三点について確認いたしました。
 直嶋経済産業大臣からは、
一  今回の要請は、政策的重要性、緊急性に鑑み、国として国際的信用を維持するための要請である旨。
一  政権交代後も、核燃料サイクルの推進については、何ら変わりはなく、安全の確保を大前提に進める旨。
一  高レベル放射性廃棄物と同様に、地層処分相当の低レベル放射性廃棄物について、青森県を最終処分地にしない旨、また、最終処分地の立地選定に向け、あらゆる機会を捉え、国が前面に立って取り組む旨。
の確約をいただきました。
 私としては、直嶋経済産業大臣自らが来県し、我が国の国際的な信用を失わないため、国が前面に立って要請されたこと、また、県からの確認事項に対して、確約をいただいたことを重く受け止め、六ケ所村長の意向も踏まえ、海外返還廃棄物の受入れに係る安全性等について検討を開始することとしたところです。
 今後、県としては、チェック検討会を設置し、専門家の意見を聞きながら、検討を重ね、安全確保を第一義として、慎重かつ総合的に対処していきます。
 以上、御報告といたします。

過去の議会説明要旨

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