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更新日付:2012年1月27日

第二百六十五回定例会提出議案知事説明要旨(平成23年2月)

 本日ここに、県議会第二百六十五回定例会が開会され、平成二十三年度当初予算案をはじめ各般にわたる議案について御審議いただくに当たり、県政運営に関する基本的な方針について、申し上げたいと思います。
 平成十五年に青森県知事に就任して以来、私は、「ふるさと青森県の再生・新生」を心に誓い、持続可能な青森型社会の実現を目指して、県民の皆様方とともに考え、行動する県政を進めてまいりました。
 まず、「行財政基盤の安定なくして県政なし」という強い思いの下、本日、議場におられる多くの議員の皆様方にも御理解を賜り、平成十五年度に策定した「財政改革プラン」等に基づき、徹底した行財政改革を進めてまいりました。
 その結果、本県財政は、地方交付税の大幅削減などの極めて厳しい歳入環境が続く中にあっても、多額の財源不足に対処し、財政再建団体への転落を回避するとともに、元金ベースでのプライマリーバランスを実質的に黒字転換させ、県政史上はじめて通常の県債残高を減少局面に導くことができました。
 また、平成二十三年度当初予算においては、収支均衡、すなわち基金に頼らない財政運営の実現に目処が立ち、次世代にしっかりと引き継いでいくための財政構造の確立を果たすことができました。
 こうした取組みは、未来を担う子どもたちの可能性を広げたいとの思いから、これからの地域社会を予測する中において、私が特に重視してきた取組みであります。
 そして、こうして強化された行財政基盤に支えられ、産業・雇用と、県民生活の安全・安心を守るためのシステムづくりを着実に進め、本県発展のための基盤づくりを全力で進めてまいりました。
 すなわち、「青森の元気は経済の元気から。そして雇用の場づくりから。」との考えの下、「あおもり型産業」の創造・育成、「攻めの農林水産業」の推進、農商工連携による食産業の振興等を図ってきたほか、戦略的な企業誘致活動の展開、創業・起業による働く場の確保、「ジョブカフェあおもり」による就職支援等、本県経済の発展のための仕組みづくりを進めてきました。
 その結果、農林水産業においては、「攻め」の姿勢で取り組む生産者の動きが目に見える形で現れてきています。
 また、社会経済情勢が不安定な中においても、平成十五年度からの企業誘致・増設数が二百件に達しました。
 さらに、県内中小企業が地域資源を活用した数々の新製品を開発し、高い評価を得ているなど、これまで蒔いてきた種が着実に芽を出し、実を結びつつあります。
 また、県民一人ひとりの命が輝き、人と人がしっかりとした絆で支え合う社会の実現を図るため、全国に先駆けて「保健・医療・福祉包括ケアシステム」を推進するとともに、医師確保対策に全力を尽くすほか、ドクターヘリの運航、弘前大学高度救命救急センターの開設、青森県立中央病院救命救急センターの整備など、救急医療体制の構築を図り、県民の命と暮らしを守るための取組みを進めてまいりました。
 この間、国内においては景気の低迷が長期化し、米国発の金融危機に端を発した経済不況が私たちの生活に大きな影を落とすなど、先行きの不透明な状況が続いてきました。
 また、我が国においては、かつて経験したことのない人口減少や、経済・社会のグローバル化が進展し、国外においても、政治・経済情勢が大きく変動するなど、世界全体が、今まさに大きな変革の渦の真っただ中にあるといっても過言ではありません。
 このような変動の時、私たちが大きな時代のうねりに翻弄されることなく、一人ひとりがいきいきと暮らすことのできる生活創造社会を実現していくためには、今持てる地域の資源を存分に活かし、自立できる地域、自立する地域を創っていくことが必要であります。
 私は、地道に、そして丁寧に、ものづくりに勤しむ県民性、正直で生真面目な県民性、また、誰も成し遂げたことのないことに取り組む、進取の気性に富んだ県民性、私たちが先人から受け継いだこうした優れた精神を持ち続け、希望を抱き、未来へ向かって挑戦し続ける限り、青森県は、自立する地域を創っていくことができると確信しております。
 これまで申し上げたとおり、大変に厳しい社会経済情勢が続いている中にあっても、これまで私が、県議会議員の皆様方、そして県民の皆様方とともに蒔いてきた種は、多くの芽を出し、徐々に広がりを見せつつあります。
 青森県民の正直で真面目な県民性を表した「青森の正直」というキーワードを大切にしながら、青森県の潜在力を十分に活かし、これらの芽をしっかり育て、青森県の未来を切り拓いていくことこそが、今の私に課せられた使命であり、責務であると考えております。
 さて、昨年十二月、三十八年の時を経て、県民の悲願であった東北新幹線が全線開業いたしました。
 新幹線の全線開業は、私たちと国内各地、そして世界各地との距離感を確実に縮め、人的・物的交流を活発化させます。
 全線開業の効果を、青森県の発展のためにどう活かしていくのか、今、そのことが問われています。
 そして、しっかりと分析する力、構想する力、実行する力が必要な時であります。
 このたびの全線開業を、本県発展のための、またとないチャンスとし、「青森の元気」を創るための大きな契機として活かしていかなくてはなりません。
 一方、新幹線全線開業と時を同じくして「平成二十二年国勢調査」の速報値が公表され、本県の人口は前回の「平成十七年国勢調査」に比べ、四・四パーセント減少し、過去最大の減少幅となりました。
 人口減少は、労働力人口の減少、消費活動の低迷、地域コミュニティ機能の低下など、地域の社会経済に様々な影響を及ぼすことが予想されます。
 私たちは、この現実をしっかりと受け止め、あらゆる資源を最大限に活用し、人口減少のスピードをできるだけ緩やかなものにしていくことが必要です。
 このような新たな状況を踏まえ、私たちが目指す自主自立の青森県づくりをしっかりと進めていくためには、豊富な食料、エネルギー、恵まれた自然環境や、地域において育まれた技術、優れた人財など、持てる資源を戦略的かつ効果的に活用していく必要があります。
 また、将来予想される状況に対応できる新たなシステムを創り、これまで皆様方とともに進めてきた取組みをより一層深化させ、新たな価値を生み出していく必要があります。
 そのため、本県ならではの資源を活かし、あらゆる分野でイノベーションを促進し、元気な地域づくりを進め、青森県の元気、日本の元気につなげていかなければならないと考えております。
 私はこうした取組みに県民の皆様方とともに不退転の決意で臨んでいく覚悟であります。
 そこで、平成二十三年度当初予算においては、これまで皆様方とともに築き上げてきた土台を基に、持てる資源を集中し、新幹線全線開業の効果を確実に活かしながら、この変革の時代に、我が青森県の新たな地平を切り拓いていくことができるよう、皆様方とともにしっかりと取り組んでまいる所存です。
 具体的には、県民生活の安心と安全を守る「雇用の創出・拡大」、「あおもり型セーフティネット」、そして新たな状況に対応し、未来へ向かって歩みを進める「はやぶさ時代の元気創出」、「未来を支える人財育成と地域力再生」の四つを戦略キーワードに掲げ、持続可能な青森型社会の実現に取り組んでまいりたいと考えております。
 第一に、「雇用の創出・拡大」に取り組みます。
 県民が輝いて生きられる社会の実現のためには、地域資源を最大限に活用して雇用の場を創出・拡大し、県民の経済的基盤の確立を図っていくことが重要です。
 このため、「あおもり食産業」の更なる充実・強化を図るとともに、新たなビジネスチャンスを創出する低炭素社会を見据えた環境・エネルギー産業の振興等に取り組みます。
 第二に、「はやぶさ時代の元気創出」に取り組みます。
 東北新幹線全線開業は、国内各地、世界各地とのアクセス時間の短縮をもたらし、本県の社会経済へ大きな影響を与えるものであります。
 私たちは、この絶好のチャンスを活かし、観光産業はもちろん、あらゆる産業の振興と地域の活性化につなげていかなければなりません。
 このため、全線開業を起爆剤として、創業・起業をはじめ、新産業の創出、企業誘致等を積極的に進めて産業振興を図り、ブランド力の強化や、めざましく進展する情報通信技術の活用を促進するなど、新たな時代の元気創出に向け、集中的に取り組みます。
 特に、チャンスが広がる観光産業においては、観光客数の拡大のみならず、経営力強化、競争力の向上に努め、持続的な利益獲得につなげます。
 さらに、経済成長が著しく、今や世界経済を牽引しているといっても過言ではない東アジアをターゲットに、企業の海外展開や輸出の拡大・促進、外国人観光客の誘致などを強力に進めます。
 こうした取組みを進めるに当たっては、海外戦略を一元的に推進するため、商工労働部の「観光局」を発展させ、新たに「観光国際戦略局」を設置し、しっかりとした成果をあげてまいりたいと考えております。
 第三に、「あおもり型セーフティネット」の構築に取り組みます。
 暮らしやすさが守られ、安んじて生きられる社会は、私たちの最大の願いであり、「保健・医療・福祉包括ケアシステム」の推進や、がん対策をはじめとした心身の健康づくり、医療提供体制の充実など、県民の命を守る取組みを進めていく必要があります。
 あわせて平均寿命の延伸や、県民の健康力を向上させる効果的・効率的な取組みを進めます。
 また、厳しい雇用情勢に鑑み、雇用のセーフティネットの確保に全力で取り組みます。 
 第四に、「未来を支える人財育成と地域力再生」に取り組みます。
 人口減少社会、少子高齢社会の中で、地域が発展していくためには、未来を支える人財の育成が最も重要です。
 そうした人と人との絆が大きな鍵となります。
 私はこれまで「あおもりを愛する人づくり戦略」を定め、地域や産業を支える人財、新たなビジネスにチャレンジする人財を育成し、子どもの生きる力を伸ばすことに力を注いでまいりました。
 それは、こうした人財が今の青森を支え、未来の青森を創っていく礎となるからです。
 変動の時代、私たちは地図にない道を歩んでいかなくてはなりません。
 今を支え、未来を担う力を育成すること、このことこそが、私たちの一番の責務であると考えています。
 このため、関係者が緊密に連携し、地域や産業を支える人財の育成、地域力を高めるための体制づくりを進め、子どもたちを育て、見守り、生きる力を育成するための取組みを推進します。
 最後は、地域県民局における取組みについてであります。
 私は、各地域県民局が、地域の市町村長や、農林水産業者等の地域産業を支える方々と連携して様々な事業を展開し、大きな成果をあげてきていると認識しており、今後ともそれぞれの地域が持つ特長、魅力を活かし、市町村長等と連携して地域における「生業(なりわい)づくり」の具現化に向けて、全力を挙げて取り組みます。
 次に、組織・機構改革の主なる内容について御説明申し上げます。
 まず、東北新幹線全線開業という大きなチャンスを生かし、さらに「世界とつながる青森」を意識して、観光産業の振興や東アジアをはじめとする海外への情報発信について、戦略的に取り組むため、商工労働部の「観光局」を発展させ、新たに部相当の組織である「観光国際戦略局」を設置することといたしております。
 また、がんの克服と生活習慣病の改善に向け、医療・予防対策を一体的に推進するため、健康福祉部に「がん・生活習慣病対策課」を設置することといたしております。
 以上が、平成二十三年度の組織・機構改革の主なる内容でありますが、関係条例案として、議案第十九号「青森県部等設置条例の一部を改正する条例案」などを提案いたしておりますので、よろしくお願いいたします。
 次に、提出議案について、その概要を御説明申し上げます。
 まず、議案第一号「平成二十三年度青森県一般会計予算案」について申し上げます。
 本県財政は、平成十五年度の財政改革プラン策定以降の行財政改革努力により、地方交付税の大幅削減などの極めて厳しい歳入環境が続く中、多額の財源不足に対処し、財政再建団体への転落を回避するとともに、生活創造社会推進のための重点施策や、東北新幹線鉄道整備事業費負担金等の県政が抱える課題に積極的に対応してきたところであります。また、元金ベースでのプライマリーバランスを実質的に黒字転換させるとともに、財源不足額(基金取崩額)の圧縮に努めるなど、財政構造改革を着実に前進させてまいりました。
 平成二十三年度当初予算の編成に当たっては、県税収入等の歳入環境が不透明な中、「青森県行財政改革大綱」に掲げる財政健全化目標の実現に向けて改革努力の徹底を図ることとし、「収支均衡型の財政運営の実現を展望し、財源不足額(基金取崩額)を極力圧縮すること」及び「県債発行総額を抑制し、県債残高の圧縮に向けて努力すること」に留意するとともに、「平成二十三年度「選択と集中」の基本方針」に掲げた四つの戦略キーワードに基づく施策の重点化に努め、産業・雇用対策や東北新幹線全線開業対策について積極的な対応を図ることといたしました。
 また、切れ目ない予算執行を行うため、平成二十二年度二月補正予算を一体で編成することにより、本県の厳しい経済・雇用情勢と県民生活の安全・安心のために最大限対応することといたしました。
 以上の結果、年間総合予算として編成した平成二十三年度一般会計当初予算は、規模としては、六千九百二十八億円、平成二十二年度当初予算対比五億円、〇・一パーセントの増となり、二年連続のプラス予算となりました。
 なお、平成二十三年度当初予算と一体編成した平成二十二年度二月補正予算を加えた「実行」予算ベースの規模としては、七千十五億円余となりました。
 また、財源不足額(基金取崩額)を平成二十二年度当初予算から大幅に改善させ、実質的に収支均衡予算を達成したほか、県債発行総額を前年度当初予算から大幅に縮減し、将来世代の負担軽減を図るなど、今後の青森県づくりを支える持続可能な財政構造の確立に向けて、大きく前進することができたところであります。
 以下、平成二十三年度の主要施策について、四つの戦略キーワードに沿って、その概要を申し上げます。
 第一は、「雇用の創出・拡大」についてであります。
 まず、「あおもり食産業」の取組加速化については、
 本県の比較優位資源である豊富な農林水産資源を活用した食産業の強化のため、農商工連携や農林水産業の六次産業化を図ることは、本県経済の潜在力を引き出す取組みであり、取りも直さず、本県の基幹産業である農林水産業を、より強い産業に導く取組みであります。
 このため、本庁及び各地域県民局に設置した「農商工連携食産業づくり相談窓口」が収集した情報を活用し、県内の農林漁業者と食品製造業者、流通・販売業者等による新たな連携に対する支援を強化するほか、食産業を担う事業者の経営力の向上や、地域における推進体制の強化に取り組むことといたしております。
 また、消費者が求める安全・安心で良質な農林水産物や加工品を強力に売り込んでいくため、「総合販売戦略」を積極的に推進することとし、これまで構築してきた大手量販店との強固なネットワークを最大限に活用し、販売エリアや販売手法の拡大に取り組むとともに、成長性・将来性が期待できるネット販売市場への参入支援に取り組むほか、農林水産物の地産地消を強力に推進するため、ふるさと産品消費県民運動協力店との協働による新たな「地産地消応援キャンペーン」を実施し、県民の地産地消の意識の喚起を図ることといたしております。
 さらに、地域の特性や優位性を生かした生産・流通対策に取り組むとともに、食の安全・安心を支える産地体制の強化を図るほか、「青森型りんご経営安定対策」を実施し、りんご生産者のセーフティネットを構築することといたしております。
 昨年夏の猛暑による、陸奥湾ほたてがい高水温被害対策については、生産体制の早期回復を図るため、漁業者団体が設置する再生産体制の確保に向けた基金の造成に対して支援するとともに、陸奥湾ホタテガイ高水温被害対策専門家委員会からの提言等を踏まえ、採苗器の海中投入や管理、ほたて貝殻の処理等による雇用対策、養殖場の水温、潮流推定方法等の開発、不足する加工原料を県外から購入する際の輸送費支援、並びに養殖業及び加工業における経営の複合化を支援することといたしております。
 また、「攻めの農林水産業」や「環境公共」など、本県が全国に先駆けて取り組んできた取組みを発展させるため、国の総合特区制度に、「環境公共」を基盤とした「きれいな水」食料特区を提案しており、この先行モデルとして、「きれいな水」をキーワードに、山から海に至る流域において、ストーリー性のある商品づくりを通して、流域関係者が一体となって「きれいな水循環」を支えるための仕組みづくりを進めることといたしております。
 次に、低炭素社会を見据えた環境・エネルギー産業の振興については、
 再生可能エネルギーなど本県の強みを生かしながら、新たなビジネスチャンスを創出するため、地中熱、太陽光発電の利用拡大、電気自動車及びプラグインハイブリッド車を活用した産業振興策の検討に取り組むほか、青い森セントラルパーク低炭素型モデルタウン構想の実現に向け、産学官連携による実証研究体制の構築を図ることといたしております。
 また、低炭素エネルギー関連施設が集積するむつ小川原開発地域への企業立地を促進するため、国の新たな低炭素社会政策に対する当該地域の環境・エネルギー面の優位性を整理するほか、県内企業の原子力関連業務への参入を促進するため、技術力向上及び営業活動についての支援を行い、雇用の創出・拡大を図ることといたしております。
 低炭素・循環型社会づくりについては、県内の温室効果ガス排出量の抑制に向け、県民総参加型の取組みや、省エネルギー対策などに関する産業、民生、運輸の部門毎の体系的な取組みを展開するほか、昨年六月に制定された「青森県稲わらの有効利用の促進及び焼却防止に関する条例」を踏まえ、市町村域を越えた稲わらの有効利用や、地域が持続的に取り組むことができる、稲わら有効利用システムの構築支援を行うことといたしております。
 また、県産材の利用促進と関連産業の活性化を図ることを目的とした「あおもり型県産材エコポイント」制度については、国が創設した「地域材活用促進支援事業」と組み合わせ、利用促進を図っていくことといたしております。
 第二は、「はやぶさ時代の元気創出」についてであります。
 まず、東北新幹線全線開業を契機とした産業振興と観光力の強化については、
 青森の持つ強みである観光、医療・健康・福祉関連産業などの育成を図るとともに、企業誘致や新産業の創出、地域経済を活性化するための域内連携の強化などに取り組むこととし、若者を対象とした起業家養成研修を実施するなど、若者によるベンチャービジネスの起業化を強力に支援し、本県産業の底上げを図ることといたしております。
 また、本県ものづくり産業の振興に貢献する先進的な技術の実用化を目指す県内企業を強力にバックアップする新たな支援制度を検討するとともに、低炭素型ものづくり産業を戦略的に振興するための指針の策定に取り組むほか、本県の豊富な地域資源の高付加価値化に重要な役割を果たしてきた青森県産業技術センター弘前地域研究所については、施設の老朽化も踏まえ、地域から求められる当該研究所の産業支援機能等を調査検討することといたしております。
 観光分野においては、「未来へのあおもり観光戦略」に基づき、観光産業全体に波及効果が高い宿泊業への経営支援を実施するとともに、宿泊客の満足度を高めることにより、観光産業の収益力の向上を図ることといたしております。
 さらに、「クラウドあおもり戦略」に基づき、クラウド時代に対応した情報通信技術の活用を、市町村、企業、県民に働きかけるとともに、情報通信技術を活用した産業振興を図り、県内へのデータセンターの立地に向けて強力に推進していくことといたしております。
 このほか、特別保証融資制度については、四百億円の融資枠を設定し、新たに中小企業の農業参入を支援する「アグリチャレンジ資金」を創設するとともに、本年度から融資利率を大幅に引き下げた「未来への挑戦資金」の融資対象に、中小企業が行う環境負荷の低減に資する取組みを追加するほか、「経営安定化サポート資金」についても、融資条件の緩和、災害枠に係る融資利率の引き下げにより、あおもり型産業の担い手である県内中小企業の活性化や、経営の安定を図ることといたしております。
 また、関係機関と緊密に連携し、「あおもり元気企業チャレンジ基金」、「あおもりクリエイトファンド」及び「あおもり農商工連携支援基金」等を活用した、事業活動の支援を行うことといたしております。
 東北新幹線全線開業効果を逃さずつかみ取り、観光産業はもちろんのこと、あらゆる産業の振興と地域の活性化につなげていくためには、本県への観光客誘致のための宣伝活動等を強力に展開する必要があります。
 このため、本年四月二十三日から三か月間にわたり実施される青森デスティネーションキャンペーンを推進するとともに、開業一周年を契機とした大型観光キャンペーンを実施するほか、経済成長が著しい東アジアに対しては、本県の魅力を強力に情報発信することといたしております。
 また、本県の魅力ある観光資源を生かしたコンテンツの創出やイベントの開催など、観光コンテンツの量的・質的拡大を図ることとし、本年九月には、「日本の祭り二〇一一」を開催することといたしております。
 さらに、本県の優れた文化・芸術を広く情報発信することとし、「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」の世界遺産登録に向けた取組みを強力に展開するほか、三内丸山遺跡と県立美術館を一体的に活用し、文化観光拠点として一層の誘客促進を図ることといたしております。
 このほか、航空路線の需要拡大や路線の増便、主要幹線道路ネットワークの整備など、産業基盤を支える交通体系の充実に向けた取組みを推進することといたしております。
 なお、懸案でありました、並行在来線に対する国の財政支援については、貨物の線路使用の実態を反映した貨物調整金制度の拡充が行われ、地方負担を大幅に軽減する方針が示されました。
 これは、県議会議員各位とともに、これまで粘り強く訴えてきた成果であり、制度拡充に御尽力いただいた国の関係者はもとより、ここに至るまで御協力いただいた県議会議員、県選出国会議員の皆様方をはじめ多くの関係者に心から感謝申し上げます。
 県としては、青い森鉄道線が地域住民の重要な足として、将来にわたって維持・存続が図られるよう、引き続き取り組んでまいります。
 次に、海外展開の促進については、
 先程申し上げたとおり、観光国際戦略を担う組織を立ち上げ、経済成長が著しい東アジアを中心に、海外ビジネスを展開する企業への支援や県産品の輸出拡大などを充実・強化し、外貨獲得に向け、強力に取り組んでいくことといたしております。
 また、国際チャーター便の誘致、民間レベルでの交流促進、留学生を活用した情報発信など、海外からの交流人口の拡大を図ることといたしております。
 第三は、「あおもり型セーフティネット」についてであります。
 まず、健康力の向上については、
 県民が地域において適切な医療が受けられる仕組みづくりに積極的に取り組むこととし、引き続き、「良医を育むグランドデザイン」を踏まえ、医育環境の充実等を強力に推進するとともに、ドクターヘリの運航や県立中央病院の新たな救命救急センターの開設など、救急医療体制の整備を図るほか、西北五地域保健医療圏において進められている自治体病院機能再編成計画に関しては、青森県地域医療再生臨時特例基金による支援に加え、新中核病院の施設整備費に対して、平成二十三年度から三か年で総額二十五億円を上限として財政支援を行うことといたしております。
 また、がん予防等のための生活習慣の改善・定着の支援や、子宮頸がん予防ワクチン等の接種費用の助成、こころの健康問題への対応等、早期に健康課題を解決する仕組みづくりを進め、県民の健康の維持・確保に取り組むことといたしております。
 次に、暮らしのセーフティネットについては、
 誰もが住み慣れた地域で安心して暮らすことができる環境づくりに取り組むこととし、認知症になっても安心して暮らせる地域づくりを支援するほか、単身高齢者や高齢夫婦世帯が増加している県営住宅における地域見守り体制の構築に取り組むことといたしております。
 また、消費者対策の充実を図るとともに、多重債務状態に陥っている方に対する相談体制の一層の強化とセーフティネット貸付の充実・強化を図るため、消費者信用生活協同組合による相談並びに貸付事業が、県内全域で行われる環境を整備することといたしております。
 このほか、東北新幹線全線開業後の持続可能な総合交通ネットワークに係る整備指針の策定に向けて、各交通機関の利用実態調査等を行うとともに、全線開業後の諸課題に関係者が連携して対処するための協議の場を設けることとしているほか、大間・函館航路に係る新船建造費に対する財政支援を行うことといたしております。
 また、既存住宅の耐震、耐久性の向上により、良質な住宅ストックの形成を図るため、既存住宅の性能向上のための改修工事費等を支援する制度を創設することといたしております。
 原子力施設については、安全確保を第一義に、国や事業者に対して施設の安全確保の強化と情報公開の徹底を求めるとともに、県としても対策を強化し、県民の安全・安心を確保することとしており、リサイクル燃料備蓄センター及び大間原子力発電所の運転開始等に対処するため、オフサイトセンターの整備を進めるとともに、環境放射線等モニタリングの拡充を図ることといたしております。
 次に、雇用のセーフティネットについては、
 若年者の就職支援対策、とりわけ新規高等学校卒業予定者に係る就職支援対策については、引き続き、積極的に取り組むこととし、高等学校在学中における資格取得支援等の更なる充実を図り、介護分野への就職を目指す高校生の資格取得支援の定員を増員確保したほか、就職指導の充実のための支援員については、私立学校にも配置することといたしております。
 また、緊急雇用創出事業臨時特例基金及びふるさと雇用再生特別基金を積極的に活用し、約七千二百人の雇用創出を図るとともに、学卒未就職者等の円滑な就職を図るための職業訓練の機会を充実することといたしております。
 このほか、県内雇用の受け皿となってきた建設企業の新分野進出支援に取り組むとともに、二月補正予算において、約二十四億円の県単公共事業費を予算計上し、現下の厳しい県内経済・雇用情勢を踏まえた積極的な対応を図ることといたしております。
 第四は、「未来を支える人財育成と地域力再生」であります。
 自主自立の青森県づくりを進め、「生活創造社会」を実現していく上で、最も基本となるのは人の財(たから)、すなわち「人財」であり、人財の育成は未来の青森県づくりの礎であります。
 こうした考え方の下、これまで進めてきた「あおもりの未来」と「あおもりの今」をつくる人財の育成に係る取組みを深化させていきたいと考えております。
 まず、人財育成と地域力の再生・創出については、
 未来を担う人財の育成を図る取組みとして、分野の垣根を越えて全県的に人財育成を推進する気運の隆盛を図り、その姿勢を県内及び全国に発信することにより、「人づくりのメッカ青森県」を創出していくとともに、高校生を対象とした新たなキャリア教育の推進を図ることといたしております。
 産業を支える人づくりに係る取組みとして、営農大学校と八戸大学との連携により、経営管理能力が高い農業経営者を育成するとともに、農山漁村における地域経営の中核を担う経営体を育成・確保していくため、地域リーダーの育成と集落等における経営革新実践活動への支援体制の強化を図るほか、浜の将来を担い、経営改善に取り組む漁業者等の育成を図ることといたしております。
 また、県内製造業における技術開発力の向上と商品化、事業化を推進するため、創造的な企画開発能力を備えた人財の育成や、観光資源を独自の視点で発掘・活用し、地域経済の発展や地域づくりに取り組む人財の育成を図ることといたしております。
 このほか、県民の生涯にわたる豊かなスポーツライフの実現を目指し、スポーツ環境の更なる充実に向けたスポーツ振興基盤の調査検討を行うとともに、屋内スケート場については、これまでの課題の検討状況を踏まえ、現地の状況を調査し、将来の整備に向けた検討を行うことといたしております。
 人口減少社会、少子高齢社会の中で、安心して暮らしていくためには、これらに対応した地域コミュニティの活性化や生活支援体制の整備など、地域力の再生・創出が求められます。
 このため、都市部と農村部との日常的な交流や、高齢者等が安心して暮らせる地域社会の実現に向けた、民間事業者等による地域見守り活動体制の構築について、試行的に取り組むことといたしております。
 また、犯罪のない安全・安心なまちづくりを実現するための意識啓発活動等を展開するほか、老朽・狭隘化したむつ警察署については、運転免許証の即日交付機能も備えた新庁舎の整備を行うことといたしております。
 次に、「子ども総合支援」の推進については、
 子どもを育てやすい環境の整備を図るため、子育て世代の孤立化や不安、悩みの解消に向けた取組みを進めるとともに、子育て支援サービスや「あおもり子育て応援わくわく店」等の情報を提供するほか、結婚を希望する方への出会いの場の提供など、家庭、地域、職域における縁結び機能の再構築を図り、官民を挙げて結婚・出産・子育てを支援する気運を醸成することといたしております。
 また、地域ぐるみで子どもを見守る態勢を整えるため、命を大切にし、他人への思いやりを持ち、たくましく生きていけるよう、県民一体となって、「命を大切にする心を育む県民運動」を展開するとともに、子どもを虐待等から守るため、県・市町村の相談支援体制を強化することといたしております。
 平成十四年度から実施している、小学校一・二年生及び中学校一年生を対象とした三十三人による少人数学級編制については、これまでの成果等を踏まえ、平成二十三年度から、これを小学校三年生まで拡充することとし、次代の青森県を担う子どもたちの教育環境の整備に取り組むことといたしております。
 また、平成二十三年度から小学校において外国語活動が全面実施されることから、小学校、中学校、高等学校の連携による本県独自の外国語教育モデルカリキュラムを作成するとともに、児童・生徒の社会人、職業人として必要となる能力や態度を育成するため、小学校から高等学校に至る、一貫したキャリア教育指針を策定することといたしております。
 私立学校については、経常費補助をはじめ、特色教育支援経費補助、私立幼稚園特別支援教育費補助等の助成を行い、特色ある教育の振興を図るとともに、国の私立高等学校等就学支援金に加え、県独自に一定額を助成することで、保護者負担の軽減を図ることといたしております。
 このほか、創造性豊かな人財を育むため、子どもたちのものづくり体験や科学に触れる機会の拡大を図ることといたしております。 
 本年七月から開催される「平成二十三年度全国高等学校総合体育大会」については、高校生相互の交流の場として、また、本県の魅力を全国に発信する場として、万全の体制で臨みたいと考えております。
 最後に、各地域県民局が行う地域づくりについてであります。
 東青地域県民局では、東北新幹線全線開業により、交通環境が変化する温泉地や、本県の新たな顔である東北新幹線新青森駅周辺の賑わい創出に向けた課題検討に取り組むほか、地場産米粉を活用したスイーツ開発を通した米粉の利用拡大等に取り組むことといたしております。
 中南地域県民局では、りんごを基幹とした複合経営の推進のため、もも栽培技術の高度化等による産地力の向上を図るほか、女性の活躍の場の拡大を図るため、創業・起業を志す女性を対象とした研修機会の提供等に取り組むことといたしております。
 三八地域県民局では、子どもたちが年間を通じて農業・自然活動を体験できる「農業小学校」を試行的に開校するほか、三八地域の食を活用した観光メニューの磨き上げ等に取り組むことといたしております。
 西北地域県民局では、「奥津軽」の広域的な観光エリアとしてのアピール性を高めていくため、若者の視点を活かした誘客策に取り組むほか、地域で発生する間伐材等の利用促進を図るため、未利用木質資源の有効活用システムの検討等に取り組むことといたしております。
 上北地域県民局では、「ご当地グルメ」関係者のネットワーク形成、七戸十和田駅等を活用した関連イベントの開催により、地域全体の活性化を図るほか、地域内の公共牧場の機能分担やネットワーク化による効率的かつ合理的な牧場利用システムの構築等に取り組むことといたしております。
 下北地域県民局では、リゾート列車や観光団体バスの乗客等をターゲットに下北の海産物を利用した新たな弁当づくりに取り組むほか、大型クラゲの出現量が少ない時期に来遊するサケ資源の造成等に取り組むことといたしております。
 また、市町村の自主的な地域づくりに対する支援については、引き続き、「創意と工夫が光る元気なあおもりづくり支援事業費補助」を実施するほか、市町村振興資金制度においては、財政事情が特に厳しい市町村に対する、長期・無利子の貸付制度を創設することとし、議案第四十四号「青森県市町村振興基金条例の一部を改正する条例案」を提案するとともに、制度創設に伴う将来的な基金残高の確保を考慮し、二月補正予算において、十億円の基金積立を行うことといたしております。
 以上が、平成二十三年度の主要施策の大綱であります。
 次に、歳入予算の主なるものについて御説明申し上げます。
 県税については、地方税制改正の内容、本県経済の動向等を踏まえ、千百六十六億八千八百四十万円余を計上いたしております。
 地方交付税については、原資総額の伸び率及び国の算定方針を基礎に、過去の交付実績等を勘案して普通交付税の交付見込額を推計したうえで、当初予算において二千百四十五億七千四百万円を計上したほか、特別交付税については、三十億円を計上いたしております。
 県債については、地方債計画、その運用方針等を勘案して積算のうえ、千二十二億五千七百万円を計上いたしております。
 繰入金については、これまでの財政健全化努力により、財源不足額(基金取崩額)を大幅に改善させ、財政調整基金から九億円を繰り入れることといたしております。
 このほか、国庫支出金等については、主として歳出との関連において計上いたしております。
 以上が「平成二十三年度青森県一般会計予算案」の概要であります。
 このほか、上程されました議案の主なるものについて御説明申し上げます。
議案第二号から議案第十六号までは、青森県公債費特別会計等の特別会計及び青森県病院事業会計等の企業会計に係る予算案であります。
 議案第十七号「青森県暴力団排除条例案」は、暴力団排除について、基本理念を定め、県、県民及び事業者の責務を明らかにし、並びに暴力団排除に関する施策の基本となる事項を定めるとともに、暴力団排除のための規制等について定めるものであります。
 議案第二十五号「青森県指定管理者による公の施設の管理に関する条例の一部を改正する条例案」は、青森県総合社会教育センター及び青森県立郷土館の管理を指定管理者に行わせることができることとするものであります。
 議案第二十七号「青森県飲食店営業許可申請手数料等徴収条例の一部を改正する条例案」は、イベント等において臨時的に簡易な施設を設けて行う魚介類等の販売業について、一定の制限を設けた上で許可することとし、これに係る手数料を定めるものであります。
 議案第三十二号「青森県県営土地改良事業分担金等徴収条例の一部を改正する条例案」は、県営土地改良事業の施行に要する費用のうち事務費について、受益者からの分担金を徴収しないこととするものであります。
 なお、市町村からの負担金については、農業農村整備事業、漁港漁場整備事業、急傾斜地対策事業、港湾事業及び街路事業において、事務費に関する負担金を徴収しないことといたしております。
 議案第四十号 「青森県人事委員会委員の選任の件」は、青森県人事委員会委員遠藤妙子氏の任期が来る三月三十一日をもって満了いたしますので、後任の委員として同氏を再任いたしたく、御同意を得るためのものであります。
 議案第四十一号「平成二十二年度青森県一般会計補正予算案」は、公共事業関係費及び国庫補助事業費等の追加割当てが見込まれるほか、現下の厳しい県内経済・雇用情勢を踏まえ、県単公共事業費等について所要の予算措置を講ずるものであります。
 議案第四十二号「青森県新しい公共支援基金条例案」及び議案第四十三号「青森県子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例基金条例案」は、補正予算案に関連し、それぞれに定める事業に要する経費の財源に充てるための基金を設置するものであります。
 その他の議案につきましては、各議案の末尾に記載されている提案理由等のとおりであります。
 過日、建築家の安藤忠雄さんと対談する機会がありました。
 氏は独学で建築を学び、昨年、文化勲章を受章なさいました。
 対談の中で、氏は、「差し込む光を、自分で探し求めて、そこに向かって走らなければならない、自分の力で道を獲得していかなくてはならない。」と話されました。
 私は、これこそが現在の私たちに必要な姿勢である、青森県の未来を切り拓くために重要な姿勢である、と深く感じたところであります。
 大きく変動する社会経済情勢の中、私たち一人ひとりが、仕事や暮らし、それぞれの場で、希望を見つけ実現するため、様々な困難に立ち向かわなければならない時代です。
 希望を実現するため、その困難に前向きに取り組んでいく、この私たち一人ひとりのチャレンジが積み重なることによって、大きな結果を生み、地域をそして社会を発展させていく力となる、そのような歩みを、私は皆様方とともに進めたい。
 希望へ向かって皆様方とともに歩みを進めてまいりたい。
 自主自立の青森県づくりのため、是非とも、皆様方の御理解と御協力をお願い申し上げます。
 以上をもちまして、県政運営に関する基本的な方針を申し述べるとともに、提出議案の概要について御説明申し上げましたが、議事の進行に伴い、御質問に応じ、本職をはじめ関係者から詳細に御説明申し上げたいと思います。
 なにとぞ、慎重御審議のうえ、原案どおり御議決、御同意並びに御承認を賜りますようお願い申し上げます。

第二百六十五回定例会追加提出議案知事説明要旨(平成23年2月)

 ただいま上程されました議案の主なるものについて、その概要を御説明申し上げ、御審議の参考に供したいと思います。
 まず、議案第四十九号「平成二十二年度青森県一般会計補正予算案」について御説明いたします。
 今回の補正予算は、財団法人二十一あおもり産業総合支援センターが整備したオーダーメイド型貸工場の活用促進を図るための貸付けに要する経費、増額が見込まれる扶助費及び社会保障関係費等について所要の予算措置を講ずることとしたほか、現年発生災害復旧費、青森県特別保証融資制度貸付金及び県立病院運営資金貸付金等について減額を行うことといたしました。
 また、「青森県行財政改革大綱」に基づき、基金の復元や後年度の公債費負担の軽減を図るため、財政調整基金及び県債管理基金にそれぞれ積立てを行うとともに、「青森県基本計画未来への挑戦」に基づく諸施策の着実な推進や県政の緊急課題等への機動的な対応を図るため、地域振興基金に積立てを行うのに要する経費等について予算措置を講ずることといたしました。
 その結果、今回の補正予算額は、歳入歳出とも七十五億三千万円余の減額となり、これと既決予算額及び今定例会に既に提出しております補正予算額とを合計いたしますと、平成二十二年度青森県一般会計の予算規模は、七千三百二十一億八千六百十万円余となります。
 以下、計上の主なるものとして、財団法人二十一あおもり産業総合支援センターが整備したオーダーメイド型貸工場の活用を促進するための貸付金について、御説明申し上げます。
 まず、オーダーメイド型貸工場制度の活用企業であるエーアイエス株式会社が自己破産手続開始に至り、県議会並びに県民の皆様に御心配をおかけしていることについて深くお詫び申し上げます。
 財団法人二十一あおもり産業総合支援センターが実施しているオーダーメイド型貸工場制度は、急速に市場拡大が期待されていた液晶産業を、むつ小川原開発地区に集積させるため、同センターが、金融機関から資金を借入れし、整備した工場等を企業に貸し付けることで、企業の初期投資を軽減するものであり、県は企業立地策の一環として、同センターの借入金について金融機関との間で、損失補償契約を行っております。
 本制度を活用して、平成十三年七月から携帯電話等のカラーフィルターを主力製品として操業してきたエーアイエス株式会社は、平成十七年三月期には、売上高が百二十五億円を超えるなど、経営は順調に推移してきたところでありますが、平成二十年の世界同時不況による液晶ディスプレイの需要低迷に加え、急激な円高の影響等により、受注が大幅に減少し、平成二十二年十一月二十九日に自己破産手続開始の申立に至ったところであります。
 こうした状況を踏まえ、県では、当該損失補償契約による県民負担を生じさせないことに加え、同社の技術の継続と技術者の雇用の維持・確保を図る観点から、同センターと連携し、様々な企業に対して、貸工場の早期活用を働きかけてきたところであります。
 その結果、六ケ所村に本社を有する相和物産株式会社が貸工場等を利用し生産を行いたい旨の意向を示し、昨日、破産管財人と債権者等の了解の下、旧エーアイエス株式会社所有の生産設備を同センターが取得することについて、裁判所の許可が得られたことから、今後、同センターと契約を締結したうえで、生産を開始する予定としています。
 その他、貸工場の活用に関心を持っている企業が現れてきており、現在、それらの企業と貸工場の利用方法について全体的な調整を行っている状況にあることから、貸工場の活用促進が図られるよう、同センターが金融機関からの借入金を一括返済するのに要する経費等について貸付けすることといたしたものであります。
 次に、歳入について申し上げます。
 今回の補正予算の主なる財源としては、歳出との関連等において、国庫支出金、諸収入、県債等について、それぞれ増減額を調整のうえ計上したほか、県税について九十八億九千七百二十万円余、地方譲与税について十四億四千六百万円余をそれぞれ計上いたしました。
 また、普通交付税については、交付決定額と既計上額との差額四十五億三千四百万円余を計上いたしております。
 以上が、「平成二十二年度青森県一般会計補正予算案」の概要であります。
 このほか、上程されました議案についてでありますが、議案第五十号から議案第六十四号までは、特別会計十三件及び企業会計二件の予算補正に係るものであります。
 その他の議案については、各議案の末尾に記載されている提案理由のとおりであります。
 以上、提出議案の概要について御説明申し上げましたが、議事の進行に伴い、御質問に応じ、本職をはじめ関係者から詳細に御説明申し上げたいと思います。
 なにとぞ、慎重御審議のうえ、原案どおり御議決を賜りますようお願い申し上げます。
 なお、この機会に議長のお許しを得て、クリスタルバレイ構想の成果と課題について御報告申し上げます。
 クリスタルバレイ構想は、平成十三年の策定から十年目という節目を迎えていることから、これまでの取組、成果及び課題を整理いたしました。
 本構想は、策定当時における本県の出生数と死亡数が逆転し自然動態がマイナスに転じたという人口動態や、本県を取り巻く産業経済環境を踏まえた危機意識の下で、若年者を中心とした人口流出を抑制し、県民の暮らしを安定させるため、地域にふさわしい新たな産業を育成して雇用の場を創出することを目的として、地域の主体性による総合的かつ挑戦的な産業施策として策定したものであります。
 本構想で掲げた基本理念である「二十一世紀型産業政策の新たな展開」、また、基本方針である「地域の自主性の発揮」、「地域資源の発掘・再活用」、「グローバルな視点」、「産業と自然・人間が共生した新たなまちづくり」については、現在においても、まさに産業政策上必要なものであります。
 結果として、構想策定時に設定した整備目標に届かなかったことは誠に遺憾でありますが、その推進の過程において、構想推進のために産学官金の総力を結集して取り組んできたところであり、立地企業とそこで培われた優れた技術と技術者をはじめ、研究成果と事業化の芽、そして何よりも「人財」、県内外の「ネットワーク」などがもたらされており、これらは今後の本県の産業振興における貴重な財産であると考えます。
 また、構想を推進してくる中で明らかとなった課題である、
・経済環境の変動を踏まえ適時適切なチェック機能を働かせることが必要であること。
・本県の競争力を維持し活かすことができる産業分野を的確にとらえることが必要であること。
・産学官金の役割分担を踏まえ行政として効率的かつ効果的な施策を検討することが必要であること。
・事業化段階において過少資本であるベンチャー企業の連携や体制整備に向けた支援策を検討することが必要であること。
・研究開発については、これまで培ったネットワークや知見等を活かして、外部資金の獲得に努めることが必要であること。
などの点については、今後の産業振興政策を進める上において、しっかりと活かしていく必要があると考えております。
 クリスタルバレイ構想は、この十年を区切りとして終期をもって期間満了となりますが、これまで育まれた技術と技術者は活かされていくべきものであり、県としては、今後の本県の産業・雇用の創出に向けて、クリスタルバレイ構想の成果と課題を活用していくべきものと考えております。
 以上、御報告といたします。

第二百六十五回定例会追加提出議案知事説明要旨

 ただいま上程されました追加提出議案の御説明を申し上げる前に、この度の「平成二十三年東北地方太平洋沖地震」により、不幸にして尊い命を失われた方々の御冥福をお祈り申し上げるとともに、その御遺族の方々に対し深く哀悼の意を表するものであります。
 また、被災された方々には、心からお見舞い申し上げるとともに、県としては、皆様方の生活の復旧が一日も早く図られるよう、被災対策に万全を期してまいる所存であります。
 さて、去る三月十一日に発生した「平成二十三年東北地方太平洋沖地震」は、観測史上最大級の規模となり、これに伴う大津波により、東北地方を中心に多くの尊い人命が奪われたほか、国内の経済活動に大きな影響を及ぼす物的被害を与えるなど、かつてない大被害をもたらしております。
 県内においても、三月十四日午前九時現在、死者三名、行方不明者一名、負傷者四十四名の人的被害や、多くの住家被害など、日常生活に関わる被害が生じているほか、港湾・漁港施設等の公共施設への被害、さらには漁船・漁具の滅失や農業用ハウス等の冠水をはじめとした農林漁業被害など、農林水産業はもちろん、これらに密接に関連する食品加工業などの商工業にもその影響が及ぶものとなっております。
 県では、地震発生直後、災害対策本部を設置し、直ちに自衛隊に対して災害派遣要請を行うとともに、青山副知事を現地に派遣したほか、私自身も地震発生翌日以降、様々な被災現場に赴き、被災状況を確認したところであります。
 被災現場の状況は、筆舌に尽くしがたい惨状でありましたが、地域住民の避難が迅速になされ、人的被害が小規模に抑えられたことは、過去の教訓と市町村における防災体制の構築によるものと感謝申し上げるものであります。
 また、県内全域が停電という厳しい状況の中で、国をはじめ自衛隊や津軽地域の市町村、民間事業者の方々の御協力をいただき、毛布や食料などの支援物資を届けることができたほか、夜間にも関わらず県全域から駆けつけていただいた消防隊の方々や被災者自らが力を合わせて炊き出しをしている姿には、青森の底力を垣間見たところであり、改めて、被災者支援等に対して、多大な御協力をいただいている関係者に感謝申し上げます。
 さらに、北海道、新潟県からは、食料等の支援物資の提供を受ける一方で、本県からは、防災ヘリコプターを宮城県に派遣し、救出活動を行うなど、都道府県の垣根を越えて、困難に立ち向かっているところであります。
 今こそ、自助・共助・公助による青森県の力を結集し、この難局を乗り切り、青森の元気、日本の元気を取り戻す必要があると考えております。
 私をはじめ、県が現地で把握してきた被災状況や市町村等からの要請、また、被災者の声については、随時、災害対策本部に伝え、これまで人命救助、被災者の安全を第一に対策を講じてきたところでありますが、まずは、何よりも被災された方々の生活支援が重要と考え、昨日、全県にわたる災害救助法やこれに準ずる災害援護対策を講ずるとともに、被災者生活再建支援制度の実施を決定したほか、今般、この度の地震災害により被災された方々に対する支援物資の提供に要する経費等について、予算措置を講ずることとし、議案第七十三号「平成二十二年度青森県一般会計補正予算案」等を御提案するものであります。
 今回は、特に急がれるものについて、対応してきているところでありますが、本日は青山副知事を現地に派遣し、特に甚大な被害を受けた漁業や水産加工業等の状況確認を行わせるなど、引き続き、被災状況の把握に努め、被災地域の方々の生活の復旧が一日も早く図られるよう、被災世帯に係る災害援護資金や、農林漁業者及び中小企業者に係る災害復旧資金の融通、港湾・漁港施設等の災害復旧事業の実施、市町村振興資金の貸付けや特別交付税の確保等の市町村に対する財政支援措置など、国、市町村及び金融機関等の関係者とも連携し、被災対策に万全を期してまいります。
 さらに、私としては、新たな復興モデルとなり得るような、被災者の生活再建や本県産業の再生につながる施策を早急に取りまとめ、これを国に提案し、青森県の元気・活力の創出に向けて取り組んでまいる所存でありますので、議員各位の御支援・御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 以上、提出議案の概要について御説明申し上げましたが、慎重御審議のうえ、原案どおり御議決を賜りますようお願い申し上げます。

過去の議会説明要旨

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