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平成31年度当初予算案について[臨時]

会見日時:平成31年2月19日火曜日 14時00分~14時50分
会見場所:第三応接室
会見者:三村知事

〇知事
 平成31年度当初予算案について、お手元の資料「平成31年度当初予算案の概要」に基づきご説明いたします。

 まず、今回の予算編成についての基本的な考え方を申し上げます。

 平成31年度当初予算の編成に当たっては、平成30年12月に策定した「青森県基本計画『選ばれる青森』への挑戦」と「青森県行財政改革大綱」を踏まえ、財政健全化努力を継続しつつ、さらなる挑戦となる「選ばれる青森」の実現に向け、人口減少克服をはじめとする本県の重要課題に対応するため、新たに設定した5つの戦略プロジェクトに基づく施策の重点化を図り、経済を回す仕組みづくり、労働力不足への対応、若者や女性の県内定着・還流の促進、2025年以降を見据えた「青森県型地域共生社会」の実現、県民の健康づくりなど、各種施策に総力を挙げて取り組むことといたしました。

 以上の結果、年間総合予算として編成した平成31年度一般会計当初予算は、規模としては、6,650億円、平成30年度当初予算対比20億円、0.3パーセントの増となり、4年ぶりのプラス予算となりました。
 なお、一体として編成した平成30年度2月補正予算を加えた「実行」予算ベースとしては、6,814億円余となっております。

 また、財源不足額(基金取崩額)については、歳入環境の見通しが厳しい中ではあるものの、平成29年度以降3年連続で収支均衡を実現するとともに、県債発行総額についても可能な限り抑制し、持続可能な財政基盤の確立に向けて前進することができたところであります。

 次に、平成31年度の重点施策について、お手元の別資料「平成31年度『選ばれる青森』への挑戦推進事業の概要」に基づきご説明いたします。

 平成31年度は、「青森県基本計画『選ばれる青森』への挑戦」のスタートの年でございます。
 また、「まち・ひと・しごと創生青森県総合戦略」の最終年度でもあり、さらなる成果を着実に積み重ねていく、大事な年となります。

 世界が認める青森ブランドの確立に向けて、引き続き最重要課題であります人口減少の克服に分野横断でチャレンジするために、「経済を回す」仕組みづくりの推進、世界へ打って出る視点、労働力不足への対応、2025年の超高齢化時代を見据えた「青森県型地域共生社会」の実現、県民の健康づくり、ふるさとあおもりへの自信と誇り、こういった視点を重視し、平成31年度「選ばれる青森」への挑戦推進事業を構築いたしました。
 総額は311億円となります。平成30年度と比べまして3億円の増額ということになります。

 まず、現計画「未来を変える挑戦」のこれまでの成果についてでございます。
 産業・雇用分野では、農業産出額が3年連続で3,000億円の大台を突破、県産農林水産品の輸出額も目標である210億円を3年連続で達成し、さらに、外国人延べ宿泊者数は大幅に増加しているという状況でございます。
 安全・安心、健康分野では、平均寿命や健康寿命、健康寿命は本当によくなったと思っていますが、着実に延伸し、男性の平均寿命の延び幅は全国3位となっております。
 環境分野では、本当に長くかかりましたけれども、ごみ排出量やリサイクル率が着実に改善をしたところでございました。
 教育・人づくり分野では、医学部医学科への合格者数が、これまで30名前後ぐらいだったところですけども、70名を超える人数を維持している、要するに倍増したということですけれども、移住者も着実に増加しています。
 各分野とも取組の成果が現れている、ということの振り返りでございました。

 では、いよいよ本編でございますが、来年度スタートいたします「青森県基本計画『選ばれる青森』への挑戦」では、本県の強みである食や観光など、成果が現れている分野を一層強化し、得意分野をさらに伸ばそうということですが、若者・女性の県外流出や労働力不足、超高齢化時代の到来などの課題に的確に対応するため、取組の重点化を図りました。

「選ばれる青森」食と観光成長プロジェクト6.5億円。
多様なしごと創出プロジェクト4.8億円。
「住みたいあおもり」若者・女性プロジェクト3.4億円。
未来へつなぐ「地域のゆりかご」プロジェクト3.5億円。
健康ライフ実現プロジェクト1.8億円。

 以上、合計20億円となっております。これらにより、平成31年度「選ばれる青森」への挑戦推進事業を進めていく考えであります。

 それでは、各戦略プロジェクトの具体的な取組について紹介させていただきます。

 まずは、「選ばれる青森」食と観光成長プロジェクトについてでございます。
 経済を回すけん引役として、食と観光の連携により、さらなる成長を目指したいと思っています。

 食の商品力を極めるため、付加価値の高い商品づくりや効果的な情報発信に取り組み、青天の霹靂、(酒米の)吟烏帽子や、そしていよいよ今年県内デビューを迎えるさくらんぼのジュノハート、こういったものをはじめとする県産品のブランド力強化を強力に推進してまいります。

 また、食の販売力を極めるため、県外の中食・外食業者と県内食品加工業者とのマッチング、A!Premiumやこれまで構築してきた販売ネットワークの活用により、西日本やアジアなど国内外への販路拡大を図っていきたいと思っています。

 立体観光の推進についてでございますが、広域・周遊観光を一層推進するため、陸路・海路・空路に接続する二次交通の利便性向上、青函エリアや縄文遺跡群を巡る観光ルートの魅力発信を進めるとともに、好調なインバウンド需要のさらなる獲得に向けては、この春に利用開始となる青森空港の旅客ターミナルビルや青森港の国際クルーズターミナルを活用し、外国人旅行者の誘客促進に取り組みたいと思っております。
 特に、7月に就航が予定されています台湾国際定期便の利用促進につきましては、力を入れて取り組んでいきます。

 観光消費の拡大についてですが、青森の確かな食の価値や国内外に誇れる豊かな自然を観光消費につなげるため、いわゆる農泊の商品造成やプロモーション、食と自然を組み合わせた上質な滞在型観光のモデル構築に取り組みたいと思っています。

 さらに、投資を呼び込むために、インバウンド旅行者から選ばれるコンテンツの磨き上げと世界への情報発信、そういった中で韓国、台湾、中国、香港、タイ、オーストラリア、欧米からの誘客促進に取り組みたいと思っております。

 続いて、多様なしごと創出プロジェクトでございます。
 魅力ある雇用の創出のため、戦略的な企業誘致として、青森県の強みである食関連産業の商社へのセールス活動や、立地につながる物流ネットワーク構築に取り組むほか、若者・女性の関心が高い情報・クリエイティブ企業の誘致、リチウム回収技術を活用した産業創出に取り組むとともに、県内企業の振興・成長に向け、営業力強化、首都圏での認知度向上、早期の事業承継に向けた支援に取り組みたいと思っています。
 また、県内企業の海外展開を促進するため、海外バイヤーなどとの商談機会の創出や、海外ビジネス展開に向けた支援を行っていきたいと思います。

 労働力不足への対応として、多様な労働力の確保に向け、建設業分野での高校生などを対象としたインフラ教育、薬剤師確保、農林水産業の魅力発信に取り組みたいと思っております。
 さらに、生産性の向上と働き方改革に向けて、県内企業の革新技術の活用と業務効率化を促し、先端設備の導入、農業における先端技術の普及を進めますほか、ICTの利活用促進に向けて、専門知識・技術を有する人材の育成を進めたいと思っております。
 なお、労働力不足への対応につきましては、今、ご紹介した各産業分野における労働生産性の向上と労働力の適正配分に加えまして、女性・高齢者などの活躍促進による労働力率の向上、若者・女性を中心とした県内定着・還流促進などを含めまして、引き続き総合的な取組を進めていきたいと思っております。

 続いて、「住みたいあおもり」若者・女性プロジェクトについてでございます。
 高校生・大学生の県内定着促進に向けては、高校や大学、経済団体などと連携を図りながら、本県の「くらし」や県内企業の魅力を発信いたしますとともに、生徒・学生・保護者・教員と県内企業との相互理解の促進に取り組みたいと思います。

 女性の県内定着促進についてですが、県内中小企業における女性活躍推進の実践事例の形成と普及を支援いたしますとともに、あおもり女子就活・定着サポーターズ、いわゆる「あおもりなでしこ」の活動を強化し、また、建設業における女性の待遇改善、女性ネットワークの強化など、女性が活躍できる環境づくりをさらに進めたいと思っています。

 移住・Uターンの促進についてでございますが、首都圏の大学生に対しての就職相談会・企業説明会の開催、協定大学と連携した企業見学会を実施いたしますほか、移住希望者への効果的な情報発信や受入体制の強化など、各ニーズを踏まえたサポート体制の充実を図ってまいります。

 女性や若者が住みたいと思う魅力ある生活環境づくりに向けてでございますけれども、縄文遺跡群での親子で楽しめるイベントの開催でありますとか、太宰治生誕110年を記念した新作「津軽」の公演、あるいは白神山地の魅力発信に取り組み、また、結婚・妊娠・出産・子育てを社会全体が支え、子どもを産み育てやすい青森県づくりに向けましては、県内企業の働き方改革の気運の拡大や、子ども・子育て応援キャンペーンを実施いたしますほか、医療的ケア児や、不登校・引きこもり、親元で暮らせない事情のある子どもたちなど、さまざまな環境にある子どもたちを支える体制づくりを進めたいと思います。

 続いて、未来へつなぐ「地域のゆりかご」プロジェクトについてでございます。
 「青森県型地域共生社会」の実現を目指し、持続可能な地域づくりに向け、地域共生社会の担い手として期待される地域経営体のレベルアップを支援していくほか、本県の地域資源やコンテンツを活用した、観光を重視した地域づくりを進めるとともに、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催効果の獲得に向けて取り組みます。

 また、保健・医療・福祉体制の充実につきましては、生活支援サービスを地域で提供する仕組みづくりのため、各モデル地域での取組の推進・実証と県内市町村への横展開を図るほか、認知症高齢者の見守り体制の強化に取り組んでまいります。

 交通ネットワーク形成・買物支援の推進、これを図りますとともに、多様な主体・人財の参画・協働による地域づくりを支える担い手の確保・育成に向けまして、青森ブランドへの共感やSDGsの普及啓発に取り組むとともに、志の高い県内企業経営者などの次の世代を担うリーダーのステップアップを促しますほか、市町村職員や高校生・大学生などが、主体的に課題解決に向かう意識の醸成に取り組みたいと思っております。

 最後に、健康ライフ実現プロジェクトでございます。
 平均寿命・健康寿命の延伸に向けた取組、今もやっていますけれども、さらに強化してまいります。
 県民の健やか力向上につきましては、農協・漁協や企業経営者に働きかけ、職域を通じて健康意識を高めることにより働き盛り世代の死亡率の改善を図るほか、受動喫煙防止対策についての一層の強化と、がん検診の質・受診率の向上や、がん相談支援の充実など、がん対策の総合的・計画的な取組を推進いたします。

 また、プロテオグリカンをはじめとする機能性素材の活用のほか、医工連携の推進やヘルスケアサービスの創出に取り組みたいと思っております。

 食と運動で健康づくりについてでございますが、食習慣の改善に向けまして、減塩食品の開発を促進し、「無理のない減塩」に取り組みますほか、ライフステージに応じた食育活動を展開するとともに、スポーツイベントの開催などにより、未就学児から高齢者までスポーツへの参加を通じた運動習慣の定着を進めます。

 そして、こころの健康づくりにつきましては、実践的な自殺防止対策として、「誰ひとり自殺に追い込まれることのない青森県」、これを実現するため、高齢者の居場所づくり支援でありますとか、壮年期男性へのメンタルヘルス対策、子ども・若者への相談支援、多職種の連携づくりに向けた研修実施などに取り組みたいと思います。

 以上、5つの戦略プロジェクトの概要でございました。

 続きましては、基本計画に掲げる4分野の事業についての説明でございます。

 「しごとづくりと所得の向上」に取り組む産業・雇用分野は、109事業133.3億円。
 「命と暮らしを守る」安全・安心、健康分野は、107事業94.4億円。
 「自然との共生」「低炭素・循環による持続可能な地域社会」に取り組む環境分野は、28事業19.1億円。
 「生活創造社会の礎(いしずえ)」となります教育・人づくり分野は、67事業40億円。

 以上、4分野合計で、311事業286.8億円となっております。
 分野ごとの取組につきまして、若干でございますが申し上げます。

 産業・雇用分野でございますが、農林水産業の持続的な成長に不可欠な生産基盤の確立のため、良質な土づくりに向けた技術の見える化や指導・普及、また、りんご黒星病の発生防止対策の強化などに取り組みますほか、産業を支える物流・交通基盤の整備に向けて、八戸港における定期航路の新設やコンテナ貨物のさらなる増加を目指しますとともに、青森港において、物流と広域防災の拠点としての機能を確保するための検討・検証を行います。
 また、交通基盤としては、引き続き、主要幹線道路ネットワークの整備や航空路線の維持・拡充に取り組みます。

 安全・安心、健康分野でございますけれども、災害が多様化・大規模化する中で、県民を災害や危機から守るため、地域における自主防災活動の活性化や、新たな防災活動の担い手を育成しますほか、県民を犯罪や交通事故から守るため、青少年のインターネットの適切な利用の推進、県内企業におけるサイバーテロへの対処能力の向上、歩行者・ドライバー両面からの交通安全対策を進めてまいります。

 環境分野でございますが、白神山地をはじめ本県の豊かな自然環境の保全と適正な利活用に向け、自然公園の利用ルール、マナーの周知を図りますほか、近年悪化の傾向にございます小川原湖の水質改善に向けまして、国や流域市町村と連携しながら、水質調査でありますとか水質改善に向けた気運醸成に取り組みたいと思います。
 また、野生鳥獣の適正な管理や松くい虫被害対策等の強化を図ってまいります。

 低炭素・循環型社会の推進についてでございますが、二酸化炭素排出量の削減に向けて、環境負荷の少ない交通・移動を推進するスマートムーブのさらなる普及拡大や、中小事業者における省エネ活動を推進いたしますとともに、ごみ排出量のさらなる削減を図るため、とにかく排出量1,000gを切りたいと思っているんですけど、事業者や市町村、関係団体と連携し、紙ごみや生ごみの減量、リサイクルの促進などの取組を強化してまいります。

 最後、教育・人づくり分野でございますが、子どもたちの学力向上と「生きる力」の育成に向けまして、小・中学校における授業改善、児童生徒の情報活用能力の育成、高校生の地域課題解決に向けた能力の育成、新学習指導要領への対応や英語教育の高度化などに取り組みますほか、いじめの早期発見・未然防止に引き続き取り組みたいと思っております。

 そして、いよいよと思っているんですけど、北海道・北東北の縄文遺跡群につきましては、世界遺産登録に向けて、推薦書の作成や諸条件の整備、学術的価値の浸透を進めるほか、プロモーション活動、三内丸山遺跡センターでの特別展の開催など、気運醸成や戦略的な情報発信に積極果敢に取り組んでいきます。

 また、この秋には、新青森県総合運動公園陸上競技場や八戸市の屋内スケート場などスポーツ環境が充実し、2025年には国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会といった大きなスポーツイベントを控えておりますことから、その効果をスポーツ振興や競技力の向上に生かすための取組を進めたいと考えております。

 続いて、県民局の取組でございます。

 東青地域では、移住・交流や新規就農の促進のため、地域の魅力発信と、農村などでの多様な交流機会の創出など。
 中南地域では、地域課題の解決のため、実施主体の育成と多様な主体のネットワークの構築など。
 三八地域では、働き盛り世代の死亡率改善のため、地域内の事業所に対する健康づくりプログラムの普及啓発など。
 西北地域では、一次産品などを活用して外貨を獲得し、住民自らの手で地域課題の解決を目指している地域運営組織への支援など。
 上北地域では、十和田湖奥入瀬エリアを核とする滞在型観光促進に向けた外国人旅行客の受入体制整備など。
 下北地域では、栽培技術・経営管理など新規就農者の育成のほか、市町村と連携しました「関係人口」の構築に向けた取組など。

 各地域県民局が、地域の課題を克服し、強みを磨き上げるための事業を進めることといたしております。
 また、引き続き、市町村元気事業費補助3億円を確保し、県内市町村の総合戦略に基づく取組を強力に支援したいと考えるところであります。

 なお、これまで紹介いたしました「『選ばれる青森』への挑戦推進事業」を、「まち・ひと・しごと創生青森県総合戦略」の4つの政策分野に沿って整理をいたしますと、全体で445事業259.2億円となっております。

 SDGsの関係ですけれども、「『選ばれる青森』への挑戦」の推進に当たっては、国際社会全体で取組を進めている持続可能な開発目標、SDGsの理念を踏まえることとしております。
 主な事業だけでございますけども、持続可能な青森県をめざすSDGs推進事業により、県民の理解促進と普及啓発を図ります。
 地球温暖化対策の推進の分野では、「COOL CHOICEあおもり」スタートダッシュ事業など。
 生物多様性、自然環境の保全の分野では、世界自然遺産「ビジット白神山地」プロジェクト事業など。
 女性の活躍推進の分野では、女性の活躍推進加速化事業など。
 すべての人の健康と福祉の向上の分野につきましては、地域の子ども支援ネットワーク形成事業など。
 こういうこととなっております。

 TPPでございますが、TPP等対策関連事業は、これまで説明してきた事業など、3分野で110事業117.9億円となっております。

 以上が、平成31年度「選ばれる青森」への挑戦推進事業の概要でございます。
 来年度も「経済を回す」仕組みづくりをはじめ、人口が減少しても、誰もが安心して暮らせる青森県づくりに取り組んでいきたいと思っております。
 
 この人口減少は、お分かりのとおり、一朝一夕には解決できない、この日本だけでなくていろいろな国々が抱えている非常に大きな課題でありますけれども、人口減少克服への道は、県民の皆さま方の幸せにつながる道でもあると、そう信じるところでございます。
 将来の青森県、そして、子どもたちのために、全力で取り組んでまいりますので、県民の皆さま方のご理解、ご協力をお願いしたいと思っております。

 以上、事業の概要ということで説明させていただきました。

〇記者
 新しい基本計画の中で重視する点として掲げている「青森県型地域共生社会」、この新年度の予算にも各種事業が盛り込まれていると思うんですが、この点に対する知事の新年度予算に込めた思い、それから、この地域共生社会を実現するための決意を改めてお聞きします。

〇知事
 実はこの課題は、「攻めの農林水産業」の出発点にも関わってくるんだけれども、人口減少が進む中において、集落営農をさらに推し進めて、地域でいろんなことをやっていこうということで、まず経済の分野から地域経営体というものを作りました。
 その地域経営体を念頭に置きながら考えていただくといいんですけれども、本当に、「ゆりかごを守りたい」、「農山漁村集落を守りたい」ということ。
 そのための経済をまず集めて、経済を集めることによって、若い人たちも含めていろんなUIJターンがあり得るようにし、いろんな自助と共助の部分で一定の部分を自分たちでも出費できるようにする、といったことをじわじわと進めてきたところでございました。
 そして、いよいよ2025年というものを念頭に置く。2025年になったから急にどうこうというわけではないですけれど。
 団塊の皆さま方が本当によく今の社会をつくってくれましたし、いわゆる60歳や65歳で定年になった後も、地域のために本当に尽くしてくれています。そういった方々も2025年には75歳になっていく、2030年には80歳になっていく。
 そういったところを見渡した場合に、どうやって経済を集めるのか。これまで経済を回してきた部分の維持も含めてですけれども、社会の成り立ちそのものを、地域、集落の社会の成り立ちそのものを、本当に守っていきたい。持続していきたい。その強い意思。
 例えば各県民局においても地域ごとの実例をやってきたけれど、そういった具体のものをさらに推し進めていく。ずっと言ってきたことだけど、移動すること、病院へ行くこと、そして食。こういったものの段取りも具体化していかなければならない、一層加速化させいきたい。そういう思いで予算を組んだところです。
 相当前から意識はしていて、これまで言い続けてきた「攻めの農林水産業」が何かといえば、「ゆりかごを守りたい」、「集落を残したい」、「村を残したい」、そのためにどうあるべきか、ということ。
 経済を集めることからスタートして、所得を倍にしたりいろいろしてきましたけども、その力をもって、今度はさまざまな地域支援活動や人財を活用しながら、「青森県型地域共生社会」に向かっていく。そういう流れであります。

〇記者
 新しい基本計画で重視している点として、「世界へ打って出る」という言葉がありますけども、今までも「攻めの農林水産業」をはじめとして世界へ出て行っていると思いますが、今回の予算案では、他の品目でも「世界へ打って出る」という視点が、工芸品やさまざまな製品に織り込まれています。
 改めて、どのような思いでこの「世界へ打って出る」という視点を入れたのか、お願いします。

〇知事
 この数年来、力をつけてきたんですね。打って出るためには、「良品」でなくてはならない。黒にんにくにしても、りんごは元々そうでしたけれども、ほたてだとか、いろんな分野で、結構力をつけてきた。
 工芸品の分野においても、技術はいいわけですから、どうしたらお客様、国内だけでなくて外にでも打って出られるか、買ってもらえるか、愛好してもらえるか。今までと違う感性を持つことによって、いろいろな状況が整ってきました。
 加えて、ご存知のとおり、あの6,000トン程度から始まったりんごにしても、きちんと販路を確保する仕組みを作って、適正にビジネスベースでやりとりをすれば、良いものはちゃんと動くんだ。そういうことを皆さんも感じてくれているんですよね。
 ブナコなどもいい例ですけども、そういった状況ができたわけです。
 だからこそ、「経済を回す」といっても国内で叩き合うというよりも、堂々と新しい市場へ、新しいお客様へ打って出て行く。しかもロジも、例えばA!Premiumのロジで、次の日には生きているほたてやひらめが香港まで届く、というパターンまで作ったわけですから、ロジも整ってきて、こちらの打って出るべきものも非常に可能性の高いものが整ってきて、そして気運も整った。
 この間、台湾で例の協定、交流じゃなくて本当に経済をやり取りしよう、というものを結んできたわけですけども、そういった流れも出てきたからこそ、いよいよ打って出る。そのことによって経済も集まる。
 ローカル・トゥ・ワールドという話もしましたけれど、グローカルという言葉もかつて流行りましたけれど、要はローカルにしてしかしワールドであると。そのことが青森のブランドにつながってくると思っています。
 堂々と、本当にいい産品が、農作物、水産品にしても工芸品にしても整ってきた。だからこそ、今、打って出る。TPPだとかEPAだとか来るじゃないですか。来るならやっぱり、「お互い楽しくビジネスやろう」という感覚です。
 機も熟してきたし意欲も整ってきたし、何よりも国内シェアが非常にこれからは縮んでいくのがもう目に見えている。そういう思いです。

〇記者
 そういうふうにさまざまな品目が出てきた関係で、どうしても農林水産業の分野が、今日の説明の中ではあまり表立って出てこなかったんですが、もちろん力を入れている分野だと思いますので、改めてこの基幹産業に対する思いをお聞かせください。
 いろいろな品目に広がった分だけ、例年よりは前面に出てこなかったように感じましたが、労働力不足とか抱えている問題はあるわけで、その農林水産業を盛り上げていくに当たっての知事の思いをお願いします。

〇知事
 当然に力を入れている。一言で言えば「良品」づくりなんですよね。
 いいものをちゃんと作る、ロジ、動かし方を整える、出口を整える、そして決済システムを整える。それを念頭に置きながらも、農林水産業については、水、土、人。
 いつまでも徹底してやっているんですけども、知ってのとおり、水路11,000kmを栄養分が行き渡るように整え直しましたし、日本一の健康な土づくりということでやってきた。トップランナー等を含めて、財務やマーケティングもわかる、六次産業化もわかっていて売り方もわかっている、そういった人財育成も次々してきていますし、そういった青森県の財(たから)、目に見えなくても整えてきた財、これがやっぱりいいものを生んでいるんですね。
 これだけ天候が厳しかった年でも、青天の霹靂もちゃんと95%以上取れた、いろいろご意見あるかもしれないけれども、いい物を作っていてびっくりした。
 私どもの持っている農林水産業の、それぞれの分野における技術力の水準というのは本当に高いものがありますし、「攻めの農林水産業」ということを進めていく中において、「良品生産」ということを念頭に置いたことを、皆がしてくれるようになりました。
 そういったものを力として、販売力強化だけじゃなくて、例えば吟烏帽子、お酒の話もちょっとしたけれど、そういう分野も広げていきますし、例えば野菜の分野だって、玉ねぎを自動で作るような方向に進んでいるわけですし、生産性向上という意味では、キヤノンと組んでIoT、具体的にはドローンを使って作業を楽にしようとか、この間、青天の霹靂の生産の仕組みもお話ししたけれども、新たな技術を活用しながら、いつどうすればいいかということを、農家にとって楽になるような仕組みをわかりやすく、緻密化してきている。
 生産体制の緻密化と販売体制の濃密化、こういったことについてはしっかりやってきたつもり。
 「攻めの農林水産業」については、第4期計画を見ていただければ。言うまでもなく、もっと攻める。
 秋から冬、毎週営業に歩いていて、インフルエンザをもらったり苦労もしたけれど、体力をつけてこれからも売りまくる。だから安心してください。絶対手を抜いていません。青森県の産業の基礎中の基礎だから。

〇記者
 今回の予算にもしタイトルをつけるとしたら、何て名付けられるのかというのが一つと、改めて人口減少克服に全力に取り組むという意気込みを、カメラに向かってコメントいただきたいと思います。

〇知事
 毎年聞かれるのでちゃんと考えてきました。シンプルに、「『選ばれる青森』チャレンジ予算」。新しい基本計画のスタートの年だからシンプルにしました。
 人口減少克服、簡単なことではないことはわかっています。でも、経済をうんと良くして、帰って来たい青森にして、そして選ばれる。ここで生きたい、暮らせるし、そして楽しいし。ここでちゃんと生きていけるから、そういった青森にして、人口減少克服に向けて着々確実に前へ向かっていきたいと思っています。

〇記者
 もう一つ改めてお聞きしたかったんですが、一般的に、選挙が控えている年だと骨格予算になることもある中で、お見受けしたところ積極的に組んでいらっしゃると思うんですけども、今回の予算について知事はどう捉えてらっしゃるのか。
 あえて通常の予算を組んだということであれば、その意義というか、例えば行政運営の継続性とか何かしらの思いがあると思いますので、どんな意図で組んでいるのか、あえて伺いたいと思います。

〇知事
 6月いっぱいが任期なんですが、今ちゃんとした予算を組んでおかないと、骨格予算でやったりしていると、7月以降に段取りをして9月の議会で予算を…などとやるのは現実的にはちょっと無理なんですね。
 だからこれまでも予算案については本格的にしっかり組んできた。
 県全体の経済としても、4月から連動していろんなことが始まるものだから、通常に予算を組んでおかないと4、5、6月は何もできなくなるし、7月以降に段取りして9月で半年分の予算を、というわけにはいかないということかな。
 だから、これまでも別に骨格だとか何だとか深く考えたわけではなくて、順調な県政の運営のための段取りとしてしっかりやってきた。
 よそ(他県)でも、5月、6月に選挙をやる地域は、やっぱり予算が遅れちゃうと大変だということで、本格予算ということでやっていると思う。
 意図的にどうこうしたわけじゃなくて、これまでもそうしてきた。

〇記者
 あと、戦略プロジェクトの予算の中身にも関連している部分があると思うんですけど、厚労省の発表で、青森県が医師少数県になったということについての所感を一言お願いしたいと思います。

〇知事
 現時点ではそういう状況だけれども、ご存知のとおり、例の「良医を育むグランドデザイン」を段取りして、教育が「医学部の合格者を絶対増やせますから」と言うのを本当かと思いながらやってきたけど、そうしたら、平成20年度に30数名だったのが、70数名になって、今は70名~90名の間で推移していて、要するに合格者が倍増しているわけです。
 そういう人たちが医師になるのに10年ぐらいかかるわけだけれども、研修医が増えてきたし、確かに現状と過去においては足りなかったんだけれども、これから我々は本格的に医師も増えていく状況になっていくと思っている。
 今の段階で調査をすると確かに少ないんですけれども、うちの場合はまだ医学生だという人も多いので。ということは、これからも医学部にきちんと合格するようにバックアップしていくわけですけれども。
 医学部には合格しているわけですから、結構県外で合格する人もいるんですが、そういった方々も含めて、今後、青森に来て、医師になってもらう。そういう形で増やしていきたい。
 医師の方々からも選ばれる青森になるべく、「良医を育むグランドデザイン」、君たちのキャリアをここでデザインできるようにしっかりと支えます、ということをもっと訴えながら、もっと増やしていきたい。実数を伸ばしていきたいと思っています。

〇記者
 2点ありまして、まず財政についてなんですけども、3年連続基金取崩しゼロで安定する見通しですけれども、知事が就任して以来、財政的に苦しい状況が続いてきた中で、財政健全化について込めた思いを教えていただきたいと思います。

〇知事
 10数年前は毎年泣いていた。どうなるんだ、どうするんだ、って。
 今だって笑っているわけじゃなくて、自分の責任として、例えば県債残高(臨財債以外)を5,000億円強削減したりしたけれども、それでも生で6,000億円プラス臨時財政対策債(に係る県債残高)を持っている状態。1年の予算が7,000億円弱なのに。これはなかなか厳しいと思っています。
 だから気を引き締めて、常に財政規律を念頭にこれまでもやってきましたけれども、一度もぶれずにその点は進めてきましたし、これからも進めていかないといけないと思っています。

〇記者
 あと一点短く。現在、世間では白血病についての関心が高まっていますけど、県でも新年度から骨髄ドナーの支援を始めると思うんですけど、新年度から始める意義や知事としての思いを教えていただければと思います。

〇知事
 共助、その分野は本当にご協力をいただかなければできないもの。
 お互いに、この地球で共に人類として生きていくに当たって、できることを協力してください、ということを訴えかけていく。そういうことだと思います。
 性善説だと思うんです。人は人と支え合って生きてきた。だからこそこの地球でここまで頑張ってこれたと思うんです。
 言い方が派手になったけど、要するに、一人一人が、できることで世の中に協力していこう、ということを我々としても普及啓発していく。そういうことになると思います。

〇記者
 改めてなんですけれども、今回の予算の柱に掲げています5つの戦略プロジェクトに込めた思いをコンパクトに教えていただいてよろしいでしょうか。

〇知事
 「この青森で頑張れる」というふうな青森にしていきたい。コンパクトに言えば。
 そのことによって、うちだけじゃないけど、最大課題である人口減少社会に対しても抗うところは抗っていく。食える、生きられる、頑張れる。そういう青森にしていきたい。

〇記者
 前までは5つではなかったわけですけど、今回この5つに込めた思い、決意を教えていただけませんか。

〇知事
 課題を分野別にすると5つになったということだけれども、5つの分野をそれぞれしっかりと前に進めることによって、ふるさと青森で、県民の皆さま方が、そして次の世代が、生きていける、選んでいただける青森にしていきたいという思いです。

〇記者
 収支均衡の実現の話なんですけれども、3年連続で達成できたということで、ご苦労もあったかと思うんですけれども、それが継続してできたということは、どういったことの成果だとお考えですか。

〇知事
 県民の皆さま方、県議会を含めて、「青森県を絶対に破綻させるな」という強い思いがある。その思いに、県としてもいろんな財政のやりくりを見て、いろんなことがあったとしてもきちんと説明しながら、破綻させないための最大限の努力を、県職員も含めて、この予算編成の中でやってきたわけです。
 さらに、その中で「経済を回す」、積極的に稼ぐ、財政再建を進めながらも稼ぐことがしっかりできるということを、我々としては示している、という思い。
 でも、まだまだきついですからね。1年の予算以上の(県債残高という)お荷物を持っているわけだから。臨時財政対策債を含めると大変ですから。

〇記者
 財政に関連してですが、収支均衡を保ったという一方で、県税が6年ぶりに減収になったと思うんですけれども、これについてはどのように対策をとっていくんでしょうか。

〇知事
 (税収は)常に上げ下げあるもの。だから、自分たちができること、つまり経済でもっと稼いでもっと税収を上げていく。
 積極的に、例えば「攻めの農林水産業」にしても、農家は所得が増えていて税収も増えていて、そういう形で県内の経済、景気の部分を上げていく。そのことによって、税収を確保する等しっかりと努力していきたいと思っている。
 外的な影響も確かにある、消費税だとかいろんなことがあるんですが、常に財政についてはその年の個々の事情があるんだけれども、基本方針は、入ってくるもので出ていくものを考える。その基本をきちんと持ちながら、その一方で経済を回すんだ、財政再建をしながら稼ぐんだということを続けていけばいいと思っている。
 だから、数字にはあまり一喜一憂しないという思い。でも、要注意ではある。

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