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平成30年度当初予算案について[臨時]

会見日時:平成30年2月20日火曜日 14時15分~15時5分
会見場所:第三応接室
会見者:三村知事

○知事
 平成30年度当初予算案について、お手元の資料「平成30年度当初予算案の概要」に基づきご説明いたします。

 まず、今回の予算編成についての基本的な考え方を申し上げます。

 平成30年度当初予算の編成に当たっては、「青森県行財政改革大綱」に基づく財政健全化努力を継続しつつ、これまで取り組んできた「人口減少克服」、「健康長寿県」、「食でとことん」の3つの戦略プロジェクトを展開する中で、県産品の高品質化や販路開拓、新産業の創出・育成などの経済を回す仕組みづくり、各産業における労働力不足への対応、2025年の超高齢化時代を見据えた「青森県型地域共生社会」の実現など、最終年度を迎える「青森県基本計画未来を変える挑戦」の総仕上げに向け、各種施策に総力を挙げて取り組むことといたしました。

 以上の結果、年間総合予算として編成した平成30年度一般会計当初予算は、基金積立金や貸付金、施設等整備費の当然減により、規模としては、6,630億円、平成29年度当初予算対比216億円、3.2パーセントの減となったものの、一体として編成した平成29年度2月補正予算を加えた「実行」予算ベースとしては、6,808億円余となり、平成29年度当初予算から国民体育大会開催基金積立金を除いたベースとの比較では、実質的なプラス予算となっております。

 また、財源不足額(基金取崩額)については、地方交付税の見通しが厳しい中ではあるものの、平成29年度当初予算に引き続き、収支均衡を実現するとともに、県債発行総額についても可能な限り抑制し、持続可能な財政構造の確立に向けた取組を着実に推進することができたところであります。

 次に、平成30年度の重点施策について、お手元の別資料「平成30年度未来を変える挑戦推進事業の概要」に基づきご説明いたします。

 平成30年度は、「青森県基本計画未来を変える挑戦」が最終年度を迎え、計画の総仕上げと、次なるステージにつなぐステップアップのための重要な1年となります。

 また、「まち・ひと・しごと創生青森県総合戦略」についても、さらなる成果を着実に積み重ねていく大事な段階にあります。

 そこで、人口減少克服をはじめとする、各取組の戦略的かつ重点的な展開を図ることとしました。
 特に、戦略プロジェクトの推進に当たっては、「「地域で経済を回す」仕組みづくりの推進」、「労働力不足への対応」、「2025年の超高齢化時代を見据えた「青森県型地域共生社会」の実現」の3つの視点を重視し、平成30年度の「未来を変える挑戦推進事業」を構築しました。

 総額は、平成29年度2月補正予算も合わせ、308億円となり、平成29年度と比べ5億円の増額となっています。

 まず、基本計画に掲げる各戦略プロジェクトのこれまでの成果についてです。

 人口減少克服プロジェクトについては、外国人延べ宿泊者数の増加や、合計特殊出生率の上昇など。
 健康長寿県プロジェクトについては、平均寿命の着実な延伸や、医学部医学科合格者数が5年連続で80人を超えるなど。
 食でとことんプロジェクトについては、農業産出額が2年連続で3,000億円突破、農林水産輸出額が過去最高となるなど。
 各取組による成果が着実に現れてきています。

 今後とも、これらの成果を着実に伸ばしていく上で、特に重視する3つの視点についてご説明します。

 1点目は、「地域で経済を回す」仕組みづくりの推進です。

 人口減少社会にあっても持続可能な地域をつくっていくためには、地域において、魅力あるしごとをつくり、多様な雇用を生み出し、そこで生まれた収入を地域の中でしっかりと回していく、という視点が重要です。

 「地域で経済を回す」ためには、本県の豊富な農林水産資源を生かし高品質な県産品づくりを進めること、高品質な県産品を国内・海外に向けて販売していくこと、県外・海外から多くの観光客の方々に本県を訪れていただくこと、新しい産業・事業の創出を進めること、このようなことが重要です。

 これまでの取組により着実に成果が現れているところであり、こうした経済活動が生み出す収入が、さらなる雇用の創出や県民の所得向上に結びつくよう、県内経済の好循環を促進していきます。

 2点目は、労働力不足への対応です。

 現在、県内の有効求人倍率は1倍以上の状況が続いており、正社員の有効求人倍率も過去最高を更新するなど、「雇用の質」も大きく改善しています。
 その裏返しとして、多くの分野において、慢性的な労働者不足や、農林水産業における繁忙期の労働力不足などの問題が顕在化しています。

 そのため、女性や高齢者などの潜在的な労働力の有効活用、若者・女性の県内定着・還流の促進、各産業分野におけるニーズや将来の見通し等を踏まえたマッチング、労働生産性の向上や技術革新の支援などの取組を、3つの戦略プロジェクトを通じて、短期及び中長期的な視点で展開していきます。

 3点目は、「青森県型地域共生社会」の実現です。

 本県の平均寿命は着実に延伸しており、合計特殊出生率も上昇傾向にありますが、依然として全国よりも速いスピードで人口減少や少子化・高齢化が進んでいます。
 2025年には団塊の世代が全て後期高齢者となり、保健・医療・福祉ニーズの増大はもちろん、労働力人口の減少や、商店・スーパー等の廃業、公共交通機関の撤退等による県民生活の利便性低下や社会経済活動の衰退など、地域の存続そのものに関わる重大な危機が、目の前に迫っている状況にあると考えています。

 こうした2025年の超高齢化時代の到来を見据え、保健・医療・福祉体制の充実、地域づくりや生活支援サービスを担う多様な人財の確保・育成、交通や買い物など生活機能の維持・確保を強力に進めることとしています。
 さらに、これらの取組を活用しながら、各地域県民局が中心となって、市町村や地域との協働による分野横断的なサービス提供に係る実証とモデル構築を行い、市町村の主体的な取組を県内全域に広げていきたいと考えています。

 次に、3つの戦略プロジェクトについてご説明します。

 人口減少克服プロジェクトは、「社会減対策」と「自然減対策」の両面から取り組むもので、96事業、11.5億円。
 健康長寿県プロジェクトは、大部分が「自然減対策」となり、27事業、3.4億円。
 食でとことんプロジェクトは、「社会減対策」として、43事業、4.5億円。
 合計で、166事業、19.4億円となっております。

 各戦略プロジェクトの具体的な取組をご説明します。

 まずは人口減少克服プロジェクトについてです。

 人口減少社会にあっても持続可能な地域をつくる観点から、地域内交通ネットワークの構築や、商店街を活用した買物支援、産直や地域経営体の育成など、2025年の超高齢化時代を見据え、「青森県型地域共生社会」の実現に向けた取組を展開し、地域の生業(なりわい)と生活を守る仕組みづくりを進めます。
 また、NPO法人や企業等による社会貢献活動の促進、農福連携の一層の推進を図るなど、地域を支える多様な人財の育成を進めるとともに、労働力不足への対応として、女性や高齢者などの潜在的な労働力の有効活用や、農業分野における労働力確保の仕組みづくりを進めます。

 人口増加につなげる移住や県内定着の促進を図るため、移住希望者への情報発信や、民間・市町村と連携した受入・サポート態勢の整備、多様なしごとの確保など、本県への移住・定住を強力に促進していきます。
 また、若者・女性の県内定着促進に向けて、ターゲットに応じたきめ細かなプロモーション、インターンシップによる県内企業とのマッチングを進めるほか、昨年結成されたあおもり女子就活・定着サポーターズ「あおもりなでしこ」との連携を図るなど、引き続き、重点的な取組を展開します。
 さらに、魅力あるしごとづくりと雇用の創出に向けて、さまざまな分野での創業・起業を促進するなど、多様な働き方・多様な生き方ができる青森県を作っていきます。

 交流人口を増やす仕組みをつくる観点からは、2020年東京オリンピック・パラリンピックを契機としたさらなるインバウンド需要の拡大や、立体観光・周遊観光を推進するため、訪日誘客支援空港制度を活用した国際定期便の就航促進・定着、青森・ソウル線の維持・拡大を図るほか、奥津軽いまべつ駅の利用促進や、下北地域への誘客対策、λ(ラムダ)プロジェクトのさらなる展開などに力を入れるとともに、青森空港の旅客ターミナルビルのリニューアル計画とも連携していきます。
 また、情報発信の強化と受入環境の充実に向け、交通機関や観光施設における多言語対応の強化、海外メディアとの連携やSNS等の活用、白神山地の新たな魅力の創出などに取り組みます。

 また、自然減対策として、子どもを産み育てやすい環境をつくる観点から、結婚・妊娠・出産・子育てを社会全体で支援するため、企業・団体・大学との連携による全県的な結婚支援体制の構築、人口減少地域における保育サービスの安定的・継続的な提供体制の構築支援などを行います。

 次に、健康長寿県プロジェクトについてです。

 働き盛り世代の健康づくりと県民の健康意識の向上に向けて、幅広い職域や分野における健康づくりを推進するとともに、民間企業との協働による啓発活動や、5周年を迎える「だし活」による減塩の定着、糖尿病の発症・重症化予防対策の強化などに取り組みます。
 がん対策については、全国最下位であるがん死亡率の改善に向け、女性を対象としたがん検診体制の強化、がん検診の精度向上、相談支援体制の充実など、総合的な取組を展開します。

 保健・医療・福祉体制の充実については、「青森県型地域共生社会」の実現に向けた保健・医療・福祉機能の強化、包括的な相談支援体制の構築、市町村が行う生活支援サービスの拡充支援などを行うほか、訪問看護に係る人財確保と体制整備を図るなど、2025年の超高齢化時代においても、誰もが安心して暮らせる青森県づくりを着実に進めていきます。
 また、引き続き、ライフ関連産業の集積による地域経済の活性化と雇用の創出に取り組みます。

 食でとことんプロジェクトについてです。

 食の生産力・商品力を極める観点から、県産品のブランド確立・付加価値の向上に取り組むこととし、「青天の霹靂」の品質の安定化、さらなるブランド力の向上を図るほか、「つがるロマン」を超える新たな良食味品種の導入に向けて取り組みます。また、おうとう新品種「ジュノハート」のブランド化に向けた全体戦略に基づき、本格デビューに向けた生産・販売態勢の整備を行います。
 新技術・機械の導入等による生産性の向上に向けては、水田を活用した加工・業務野菜への転換促進や、ながいも等の安定生産に向けた排水改良技術の検証・普及などを行い、農業分野における労働力不足にも対応していきます。

 食の販売力を極める観点から、市町村と連携したセールス活動や、西日本における 「A!Premium(エープレミアム)」の一層の活用や需要の掘り起こしなどにより、国内外市場の開拓と販路拡大を進めるとともに、東京オリンピック・パラリンピックを契機とした県産品の情報発信強化に取り組みます。
 また、食をとことん極めるための基盤づくりに向けては、HACCP(ハサップ)の推進やGAP(ギャップ)の取組促進などにより、県産農産物の一層の安全・安心の確保と競争力強化を図ります。

 以上が、戦略プロジェクトの概要であります。

 次に、基本計画に掲げる4分野に対応して取り組む戦略キーワード事業についてご説明します。

 地域資源や地域特性を生かした魅力あふれる「しごとづくり」では、103事業、145.4億円。
 誰もが安んじて健やかに暮らせる「まちづくり」では、107事業、66.2億円。
 3R(スリーアール)でめざす人と自然にやさしい「さとづくり」では、26事業、18.5億円。
 あおもりの今と未来を変える「ひとづくり」では、83事業、54.5億円。
 戦略キーワード事業全体で、319事業、284.6億円となっています。

 「しごとづくり」の取組についてご説明します。

 観光事業者向け勉強会や、海外誘客プロモーションの戦略策定を行うほか、青森港におけるクルーズ船のターミナル機能及び中小企業者の商品・サービス提供機能を有する施設の整備や、県観光物産館アスパムの機能強化等により、戦略的な誘客を促進します。
 また、ビッグデータや未利用熱エネルギー、知的財産等の利活用による新たなビジネスモデルの創出などに取り組みます。

 「まちづくり」の取組についてご説明します。

 誰もが安心して暮らせる社会づくりでは、乳幼児の医療費助成について、保護者の所得制限基準を大幅に緩和し、対象となる未就学児の範囲を拡大することとしています。
 また、生活困窮世帯の子どもに対して、大学進学を支援する返還免除型の奨学金制度をはじめとする学習機会の提供に引き続き取り組むとともに、県・市町村・民間団体等の連携強化による子どもの貧困対策を推進するほか、特殊詐欺被害及び交通事故の防止に取り組みます。
 防災力の強化に向けては、大規模災害発生時に備えた体制・機器整備を行うとともに、備蓄物資に係る検討を行うほか、県民向け防災ハンドブックの作成・配布を行います。

 「さとづくり」の取組についてご説明します。

 低炭素・循環型社会の推進に向けて、省エネと快適な暮らしにつながる「賢い選択」である「COOL CHOICE(クールチョイス)」を推進するとともに、引き続き、家庭や事業者におけるごみの排出量の削減に取り組んでいきます。
 また、白神山地など本県の豊かな自然環境の保全と適正な活用を図るとともに、ニホンジカやツキノワグマなど野生鳥獣による被害防止対策、適正管理に取り組みます。

 「ひとづくり」の取組についてご説明します。

 子どもたちの「生きる力」の育成に向けて、国際社会で活躍できるグローバル人財の育成や、韓国済州特別自治道との交流を推進するとともに、いじめ防止に向けた教員研修、いじめ防止マニュアルの作成等により、安心して学べる学校環境づくりに取り組みます。
 三内丸山遺跡をはじめとする「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界遺産登録に向けては、今年こそという強い思いで、県内外における気運醸成や戦略的な情報発信などに取り組んでいくとともに、増築される縄文時遊館を活用した各種イベントを実施します。
 さらに、本県開催となります第80回国民体育大会に向けた競技力の強化についても、しっかりと取り組んでいきます。

 続いて、地域県民局の主な取組についてご説明します。

 東青地域では、「自然、歴史・文化、食」を活かした地域づくりの活動を継続・発展させていくための支援など。
 中南地域では、「津軽のミニトマト」の生産力向上やプレミアム商品の開発支援など。
 三八地域では、域内の農水産物の加工・冷蔵・冷凍技術の推進等による付加価値の向上など。
 西北地域では、「シャインマスカット」の産地形成に向けた省力化等の新技術の確立など。
 上北地域では、国立公園満喫プロジェクトを契機とした十和田湖奥入瀬地域のインバウンド受入態勢強化など。
 下北地域では、国内外からの誘客を促進するための滞在型観光メニューの造成や情報発信など。
 各地域県民局が、地域の課題を克服し、強みを磨き上げるための事業を進めることとしています。

 また、引き続き、未来を変える元気事業費補助3億円を確保し、県内市町村の総合戦略に基づく取組を強力に支援していきます。

 最後に、これまで紹介した「未来を変える挑戦推進事業」を、「総合戦略」の4つの政策分野に沿って整理すると、全体で、458事業、259.1億円となっています。

 以上が、平成30年度未来を変える挑戦推進事業の概要です。

 来年度も「地域で経済を回す」仕組みづくりをはじめ、人口が減少しても、誰もが安心して暮らせる青森県づくりに取り組んでいきます。
 人口減少は一朝一夕には解決できない非常に大きな課題ですが、人口減少克服への道は、県民の皆様の幸せの増加につながる道であると信じています。
 将来の青森県、そして、子どもたちのために、全力で取り組んでいきますので、県民の皆様のご理解、ご協力をお願いします。

 私からは、以上であります。

○記者
 今回の予算にタイトルを付けるとすると、どうなりますか。

○知事
 「未来にかけるチャレンジ予算」です。
 平成30年度は青森県基本計画の最終年度を迎える重要な年度です。
 取組の成果のさらなる獲得と人口減少をはじめとする諸課題の解決に向け、これまで取り組んできた3つの戦略プロジェクトを戦略的かつ重点的に展開するとともに、「「地域で経済を回す」仕組みづくりの推進」や「各産業における労働力不足への対応」、「2025年の超高齢化時代を見据えた「青森県型地域共生社会」の実現」、この3つの視点を重視して、最終年度を迎える青森県基本計画の総仕上げをして、ふるさと青森県の元気につなげて、次の未来に架けていくというものとなっています。

○記者
 三内丸山遺跡の有料化についてご質問します。
 一つは、平成31年4月から三内丸山遺跡と縄文時遊館を三内丸山遺跡センターとして設置し、有料化するに至った理由について。もう一つは、有料化に伴って来場者が減少するのではないか、といった否定的な意見に対して。
 それぞれ知事のお考えを教えてください。

○知事
 三内丸山遺跡は、平成6年に保存・活用が決定されて以来、全世代に無料で公開し、現在では年間約30万人が訪れています。
 現在、北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録に向けた取組が進められているところですが、その中核である三内丸山遺跡において、積極的な保存・活用に取り組み、人類共通の財産として次世代へ着実に継承する、さまざまなコストがかかる部分だとか、新しい保存の仕組みやご覧いただく仕組みを整えたわけでございますから、そういったことがあり、有料化ということを考えた次第です。審議会等で揉んでいただき諮問をいただいた上で、そういう決断をしました。
 北海道・北東北の縄文遺跡群の中核である三内丸山遺跡の保存・活用の取組は、遺跡の価値・魅力を高めて次世代へ継承するための取組であることから、逆に言えば、有料化させていただく分グレードを上げることは世界遺産登録にも資していく。取組を今後も維持していくためにも今決断することが大事ではないかと考え、繰り返しになりますが審議会の諮問もいただいたので、今回提案させていただくこととしました。

○教育委員会教育次長
 入場者減の心配はないかというご質問ですが、今後、三内丸山遺跡の積極的な保存・活用のさまざまな取組をやっていきます。
 そのメインとなるのが、先ほど知事が申しましたとおり、縄文時遊館の増築でございます。この増築は春には完成しますが、一定の枯らし期間を経て、秋口の11月頃にはプレオープンで特別史跡をはじめご覧いただくことが可能となります。
 7月の国内推薦、それから11月の縄文時遊館のリニューアルオープン等々踏まえれば、さらなる入場者数が見込めるのではないかという風に考えております。

○記者
 知事が就任以来取り組んできました財政改革に関して、2年連続で収支均衡ということですが、その辺りの思いについて。
 また、先ほども熱く語られておられましたが、人口減少克服に懸ける思いについて。
 この2点についてお聞かせください。

○知事
 「行財政基盤の安定なくして県政なし」、15年前に就任した時のあの状態、もうどうしたらいいのだろう……という状態でありました。
 そういった中で、ご存知のとおり財政改革プランや全体の行財政の運営計画というものを相当しっかりと、まさに骨太の行財政改革と財政運営の仕組みということを進めてきました。一気に行うと県経済に対しての影響が大きいので、時間をかけながらも、しかしかなり大胆に、きっちりと丁寧に進めてきました。
 そういった中で、本音を言うと(交付税を)臨財債でなくて真水でもらっていればもっときちんと示せるのだけれど、そのぐらい自前の借金の部分を減少させることができましたし、そして震災等にも対応しながら、こうして収支均衡というところまで来たなという思いです。
 ただ、本当に道半ば。臨財債も含めた県債残高を考えてみれば。
 言い方は変だけれども、当時は誰も貸してくれない、借入れすらできない状態。はっきり言えば債務超過的な状態から、なんとか借入れして回すことができる状態まで来たけれども、まだまだ自前の経済等含めて、従って自前の収入等含めて、もっと経済を回すことを図っていかなければならないし、まだまだシステム改良による行財政改革ということを考えていかなければいけない。
 要するに、支出を絞るうんぬんではなくて、経済を回すあり方とか段取り方で行政コストを下げていく、ということをしないといけない。
 ということで、収支均衡ではあるけれども、実際の抱えている数字を見れば「道半ば」といったところ。
 さらに、「行財政基盤の安定なくして県政なし」という初心と、しつこく言うかもしれないけれども「財政規律」、これらについて自分がしっかりと自分自身に対して守っていくぞ、ということで今後とも進めていきたいと考えています。
 人口減少について話させていただくとすれば、何回か発表している数字だけれど、いかにして2040年の80万人ラインを維持できるか、要するにそこから40万人まで下がるか80万人を維持できるか、というところ。
 現状から下がっていくのは統計分析的に見てどうしようもないことだけれど、止めて、並行していけるか、というところの瀬戸際が今だと思っています。
 だからこそ、健康対策で言えば、今40~50代の方々に健康になっていただけたら、その方々の人生をこの青森でよりよく送っていただけたら、などいろいろ思いを持って対策しているし、インバウンドでたくさん人を集めているのだって、県内総時間を増やそう、人口減少で減った経済を他から来た方々に補ってもらおうという思いがあるのだけれど。
 話を戻すと、2025年問題をなぜ徹底して取り上げているかと言ったら、まだ先があるでしょとか言われるけれどもう7年しかないのだから、例えば交通の仕組みがなくなって買い物できない、移動できないといったことについて、今から相当段取りしておかないと、市町村ごとの街の部分と集落の部分のあり方だとかを相当細やかに段取りしていかないと、持たないぞ、ということ。
 それぞれの地域で安んじて人生を送ってほしいと言葉にしている以上、安んじて送るための基本的なサービスと、それに対応した医療システム、ものすごい時間かけてつくっているけれど、そういうことを総合的にぶつけていかなければならないと考えています。
 地域社会を維持できないところが出てきたら青森県の底が抜けてしまう。だからこそ、ゆりかごを守れと言って経済を集めている。若い人たちが農村集落に帰ってくる方向性が辛うじて出てきた。起業、創業も出てきた。青森で人生の新しいチャレンジをする人が出てきた。そういうことに力を入れているわけです。
 この人口減少に関して言えば、国には本当に、どうすれば大都市と我々地域が両立するのか、もっともっと骨太に見通して、長期的視点に立って、一緒に対応を考えていただきたいとも考えています。
 とりあえず2025年、例えば百石の○○集落でもまあなんとか生活できるねって状態じゃないと、底が抜けていく、集落が消えていく。そうならないように力を入れているわけです。

○記者
 2点お伺いしたかったのですけども、新中央埠頭に新しいターミナル施設が整備されるということで、これまで仙台で入国の手続きをやっていたのが、今度できる施設でできるようになるということで、この施設に期待するところについて。
 青天の霹靂が3年連続特A評価で成果を上げている中で、つがるロマンを超える新品種の導入をこれから本格的に進めるわけですけども、こちらにかける期待について。
それぞれお願いします。

○知事
 言うのも恥ずかしいが、船が来るのに合わせて小屋やテントを借りるなどしていたのだけれど、あれでは風雪に耐えない。我々が接遇とかおもてなしの心とか言っていたのにもかかわらずああいう状態でした。
 今回、新中央埠頭でも大きい船が入れるということになりました。一度に乗ってくるお客さまも多いわけですから、出入りのこととか、それから事業者の方々が土産だとかの商業的活動を併せてできれば、お客さまへのサービス向上にも繋がるし、これを目指してやってきたのだから、今回設備を整えたいと考えているところです。華美・派手なものではないが、ちゃんと雨・風・日光を防げて、シンプルで実際的なものをきちんと整えなければ、ということであります。
 「青天の霹靂」、「まっしぐら」、おかげさまで非常に好調です。まっしぐらも地域によっては青天の霹靂と価値が同じだと言われていて、価値が同じだから同じ値段だ、というような評価もいただくようになってきました。
 それぞれの特徴として、青天の霹靂は、ご存知のとおりものすごく栽培水準を厳しく設定している。まっしぐらは、県南というか寒い地域でも一定の数量が収穫できる。
 この青天の霹靂に並ぶぐらいおいしくて、しかも一定の数量が取れて、なおかつ、きちんと作ればその分きちんと収穫できる米。このような米が必要だと我々としても考えていたし、そのような声もいただきました。
 トップブランドとしての青天の霹靂は、独特なおいしさ・さっぱり感ということで売っているわけだけども、つがるロマンのような、長年食べてきたあのもちっとした分野でもいいものを作りたいなという思いがあります。

○農林水産部長
 補足させていただくと、青天の霹靂は、トップブランドとして、主食用米としてブランドの定着化が図られつつあるところですが、一方で、まっしぐらやつがるロマンは、業務用米として非常に稼いでいる現状があります。
 今まで、まっしぐらやつがるロマンに頼ってきたわけですが、つがるロマンについては、生産現場からは業務用米としては作りにくいという声が聞かれるところですし、まっしぐらについては、業務用米としてまっしぐらよりいい米はないのかという声が聞かれているところです。
 他県との競争も厳しくなってきていることから、それらをテコ入れするという意味で、青天の霹靂とそれに次ぐ主力米の両方をカバーしていく必要があるということで、今回事業化しました。

○記者
 先ほどの人口減少の問題にも関わると思いますが、「青森県型地域共生社会」地域機能強化推進モデル事業など、地域共生社会の実現に向けた知事の意気込み・思い入れをお聞かせください。

○知事
 「青森県型地域共生社会」は、郡部と市部とで仕組みを変えながら、皆で暮らしていけるパターンを作っていこうとするもの。
 攻めの農林水産業を進めてきた非常に大きな目的が、ゆりかごを守るということ、食と命とともに祭りなどの文化を育む農山漁村集落を守るということを一つの大きなテーマとしてきました。
 郡部では経済の問題があって、しっかりと収入が伸びていくことによって、若い人たちが戻り子供を育んでくれるようになることが重要で、その際に子育てや高齢者支援の仕組み、病院や買い物の移動手段、食べ物を供給する手段、訪問医療・訪問看護とか、いろいろな問題が出てくる。集落や地域経営体だけではできない部分は行政としてセッティングしながら、経済だけでなく健康づくりや命を一体で守っていく仕組みをつくりたいというのが趣旨。モデルケースを6県民局でやろうとしているところ。
 一方、東京でもそうだが、都市部では団地が一気に高齢化したりする。そういう都市型に対して、交通や買い物は便利だけれども支える地域の力が弱い、といったところに対してどうするのか。
 「青森県型地域共生社会」ではこの2パターンに対する具体化をこの7年間でどれだけ段取りできるか、ということで進めています。企画政策部、農林水産部、健康福祉部、商工労働部などさまざまな部局で一緒に勉強会などを行って具体化に努めているところです。

○記者
 健康長寿県に関して伺います。これまで健康づくりの施策を進められてきて、意識の高い人には浸透しているものの、そうではない人に対しての浸透が課題であると思いますが、知事の思いをお聞かせいただけますか。

○知事
 県のこれまでの取組は、減塩にしても何にしても、誰かにお願いするというものだった。例えば市町村や食生活改善推進員連絡協議会などへ「検討した結果、こういう活動をやっていただきたい」とお願いするだけだったから、だし活事業や食命人事業を実施する際、県が具体に示して行動しなければ進まない、という声をいただきました。
 言われたとおり具体的に現場に下りて行動をしたら、塩分の摂取量は0.1g程度の減だけども、野菜の摂取量が50g増えたりだとか、歩数が3百数十歩増えたりだとか、結果が出てきました。
 今度、青森市と弘前市において大腸がんに対する取組を徹底して行おうとしているし、また、糖尿病に対しても、保健師のアドバイスも受けながら、だし活みたいにスーパーや企業の催しだとかに直接出向いて理解を広めようと考えている。やはり普及啓発とはそういうものだろうと。
 それぞれの持ち場に対し、県は、お願いはしていたけれど体を張ってなかった。より具体の現場に行って、よりわかりやすく、いろいろな方々に説明して、理解してもらう活動をしよう、ということで予算を組んでいます。

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