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知事記者会見(臨時)/平成25年2月20日/平成25年度当初予算案について

会見日時:平成25年2月20日月曜日 14時00分から15時00分まで
会見場所:第三応接室
会見者 :三村知事

○知事
 平成25年度当初予算案について、お手元の資料「平成25年度当初予算案の概要」に基づき御説明申し上げます。
 まず、今回の予算編成についての基本的な考え方を申し上げます。
 青森県の財政は、平成15年度の財政改革プラン策定以降、10年に及ぶ行財政改革の断行により、極めて厳しい歳入環境の中にあっても、財源不足額である基金取崩額の圧縮や県債発行総額の抑制に努め、財政構造改革を着実に前進させるとともに、生活創造社会の実現に向けて、県政が抱える諸課題に積極的に対応してきました。
 平成24年度当初予算においては、東日本大震災の影響等により、実質的な収支均衡予算を達成した平成23年度当初予算に対し、財源不足額が拡大するなど、財政健全化に向けた動きは足踏みを余儀なくされましたが、その一方で、平成24年度を「復興元年」と位置づけ、震災をバネにした県民の暮らしと本県産業の更なるレベルアップを積極的に推進することといたしました。
 平成25年度当初予算の編成に当たりましては、平成20年12月に策定した「青森県基本計画未来への挑戦」と「青森県行財政改革大綱」が最終年度を迎えることから、その総仕上げとして、持続可能な財政構造の確立に向け、財政健全化努力を継続するとともに、「平成25年度「選択と集中」の基本方針」に掲げた4つの戦略キーワードに基づく施策の重点化と部局間の連携強化により、震災からの創造的復興をはじめ、国内外との交流促進、地域資源を活用した産業基盤の強化と雇用の創出など本県の重要課題に果敢に取り組むことといたしました。
 また、国の緊急経済対策にも呼応しながら、施策効果を最大限に発揮するため、国の補正予算等関連の平成24年度2月補正予算を一体で編成したところであります。
 以上の結果、年間総合予算として編成した平成25年度一般会計当初予算は、規模としては、6,995億円、平成24年度当初予算対比80億円、1.1パーセントの減となったものの、
一体として編成した平成24年度2月補正予算を加えた「実行」予算ベースの規模としては、7,257億円余と、平成24年度の「実行」予算ベース対比166億円余、2.4パーセントの増となっております。
 また、財源不足額である基金取崩額と県債発行総額については、財政健全化努力を継続し、可能な限りの圧縮・抑制に努めたところであります。

 次に、平成25年度の重点施策について、お手元の別資料「平成25年度未来への挑戦推進事業の概要」に基づき御説明いたします。
先程お話いたしましたとおり平成25年度当初予算の規模については、震災対応の一時的経費の削減等により、前年度に比べ80億円の減となりますが、一体編成した平成24年度2月補正予算を加えた「実行」予算ベースでは、7,257億円余と、近年では最大規模となりました。

 次のページから具体的に申し上げます。来年度の重点施策の概要についてです。
 県では毎年度、「戦略キーワード」を定め、そのキーワードに基づいた「選択と集中」により、「未来への挑戦推進事業」について、4つの分野に分けて取り組んでおります。「東日本大震災からの創造的復興の推進」、「基本計画の最終年度を迎えるに当たっての一層の取組強化」の視点を取り入れて組んでいるものです。
1点目としては「雇用の創出・拡大」、2点目としては「低炭素・循環型社会の実現に向けた取組の強化」、3点目としては「あおもり型セーフティネット」、4点目として「志を持ち、青森県を創造する人財の育成」ということでの予算となります。これらのキーワードと地域別計画に基づく「未来への挑戦推進事業」の総額としては約209億円ということとなります。
 また、「平成25年度未来への挑戦推進事業」の特長としては部局・地域県民局間の連携を強化しております。あとで説明する「ラムダプロジェクト~大入り大作戦~」をはじめとして20の連携事業を設定しました。

 それではキーワードに沿って、未来への挑戦推進事業の内容について説明申し上げます。
 1つめのキーワードは、私が知事就任以来言い続けてきた、何よりの課題である「雇用の創出・拡大」であります。

 東日本大震災をバネに、県民の暮らしと本県産業の更なるレベルアップを図る「創造的復興」を加速させた結果、例えば港湾の機能回復、有効求人倍率が20年ぶりに0.6倍台に上昇するなど雇用環境の改善、あるいは震災以降減少していた観光客の回復など、様々な分野で明るい兆しが見え始めております。そして、これまで着実に取り組んできた地域資源を活用した産業基盤の強化や海外との経済交流・観光交流について、改めてしっかりと取り組んでいき、創造的復興そして暮らしやすさのトップランナー、生活創造社会の実現につなげていきたいと考えているところです。

 具体的には、本県の持つ様々な地域資源を活用し、人口減少及び高齢化に対応したライフイノベーション産業や、「食」産業など、次世代の成長産業の創出に取り組んでいく考えであります。
 また、世界を見据えたヒトとモノの交流を促進するため、本県の情報を積極的に発信するとともに、県内での受け入れ態勢の整備などにより一層、今こそ地道着実に準備すべきことを準備して進めていきます。

 そして成長分野に向けた取組ということで説明します。農林水産業を核とした「アグリ」、医療・健康・福祉の「ライフ」、環境・エネルギーの「グリーン」、これら3分野は、現代日本が抱える大きな課題であり、これを克服することにこそ、経済成長というか「仕事」ということにもつながる成長分野と考えています。 この「アグリ」「ライフ」「グリーン」こそ我々が進めるべき大きな新しい時代のテーマであると思っています。課題であるからこそそれをどう克服するかということ、そこにまた産業というものが出てくると考えております。
 そして、これらは、私たち青森県の得意分野であるとともに、既にそれぞれに具体的な推進戦略を策定し、実行に移しているものでもあります。
 来年度の代表的な取組としてそれぞれ申し上げますと、「アグリ」では、「食」産業の更なる強化に向けた取組と海外との交流促進、「ライフ」では、青森県ライフイノベーション戦略推進総合対策事業、これをがっちりと進めてまいります。また、「グリーン」の分野では、「再生可能エネルギー導入促進に向けた取組」、そして先々のパッケージシステムをどう作っていくかということにつながるわけです。このようなことを強めていきたいと思っております。

 それでは具体的に「食」産業の強化に向けた取組について紹介します。県産品の認知度向上などに取り組んだ結果、大手量販店との通常取引額は大幅に増加しています。
 また、農産物の6次産業化に取り組む農業経営体数は、999経営体で全国7位というところまで来ました。これに関しては本当に地道によくやってきたと自分でも思っております。
 「食」産業の一層の充実強化のため、更なる県産品の認知度向上と農商工連携による農林漁業の6次産業化の推進が必要であります。これまでの取組に加えて、本県を代表するフラッグシップ製品の創出や、食品中間加工の強化に必要な機械設備の整備に対する支援などに取り組む。これは要するに加工産業ということで雇用がまた出てきますし、利幅も出てきます。本県はまだ弱い分野ですが、このようなことに力を入れていきたい、「攻めの農林水産業」の一層の推進を図っていきたいと考えております。

 続いて、海外交流促進についてです。御案内のとおり、人口減少による国内市場の縮小が数字にも表れている中、世界経済の成長エンジンである東アジアといかにビジネス展開していくか、いかにターゲットとして市場として開拓していくかということが重要と考えます。
 ヒトの交流拡大を目指し、海外での本県の知名度アップなどに取り組むほか、県内では通訳ガイド付きバスの運行など、本県に来てくださる方にきちんと対応できることも含めて非常に地道な戦略を積み重ねていくことが大事だと思っています。
 モノの交流拡大を目指し、海外での商談会の開催などのほか、県内では本県在住外国人によるテストマーケティングに取り組んでいきます。 海外に向けた対策としては、これまでの中国、韓国、台湾、香港に加えて、新たな市場として、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、オーストラリアを開拓し、日本の国にとっても、青森県にとっても重要な課題である海外からの外貨の獲得を目指していきます。

 青森県ライフイノベーション戦略推進総合対策事業を紹介します。青森県ライフイノベーション戦略に掲げている3つの分野のうち医工連携分野では、医療福祉機器の開発支援などに取り組んでいきます。これは、日本で一番伸び率が高いということですがさらに進めていきたいと思います。
 プロダクト分野では、地域資源を生かしたスーパーヒット商品の開発支援やプロテオグリカンブランド力強化対策に取り組んでいく。いわゆる起業・創業ということを重要視してきたのですが、このプロテオグリカンという物質によって県内の方々が起業・創業するような動きが出てきたということが大事なことだと思っています。これをさらにどういう風に経済、利益につなげていくかと考えています。
 サービス分野では、ヘルスプロモーションカーです。この分野の世界最大規模であるGEが、日本国内の実証にはなりますが、世界の高齢化とか医療資源の不足といったことがアメリカでもどこでも現在ありうまくできるのではないかということでしたので、我々はこのモデル構築に取り組むだけでなく、現場での命、暮らしを守ることに加えて、このサービスソフトというものが経済や雇用につながるのでしっかりとやっていきたいと思っております。そして、本県の優位性を生かした次世代型ライフ分野関連産業の創出による地域産業の活性化と雇用の創出を目指していきたいと思っております。

 続きまして平成27年度末の北海道新幹線新函館開業は、交流人口の拡大や地域活性化に向けた本県と道南地域共通の大きなチャンスです。
 λ(ラムダ)とは、青森、弘前、八戸、道南地域が、ギリシャ文字のラムダに似た形で鉄路により結ばれることで名付けたものです。また、「λ」の形と、津軽半島と下北半島を結んだ線を組み合わせると、「大」の字にも見立てられ、また「λ」、「大」それぞれの字が「入」という字にも通じることから、「大入り」大作戦改めラムダプロジェクトとして、県全体、また道南も含めて交流拡大を図っていくものです。
 これは単に弘前、八戸にとどまるものではなく、北三県また四道県でいろいろなことをやっております。そのことも含めて御理解いただければと思います。ラムダプロジェクトでは、圏域内の交流活発化に係る取組、圏域外からの交流人口の拡大に係る取組、滞留時間の質的・量的拡大に係る取組を図っていきます。これはまた本県関係の新幹線3回目の開業ということで、一つのいい勝負所となると思っています。
 また、北海道・北東北の4道県でやっております縄文遺跡群の世界遺産登録ですが、平成25年度はいよいよ国からユネスコへ推薦していただくための正念場の年となりました。4道県が共同で行う推薦書案の作成や共同フォーラムの開催など、登録推進の取組を一層強化してまいります。また、普及啓発・気運醸成については、これまでの取組に加えて、縄文コンテンツを発信する電子書籍の作成、4道県共同のホームページ等により、PRを強化していき、交流人口の拡大を目的として、県立美術館や遺跡で縄文をテーマとした展示を行っていきます。

 続いて、白神20周年についてです。白神山地は、今年で登録から20周年の節目を迎えます。これを契機に白神山地の普遍的な価値と保全の必要性を改めて情報発信していきたいと考えております。世界自然遺産については、その価値が普遍的に継続しているかが重要となります。併せて、豊富な資源を生かした誘客促進を図りたいと思っています。また、各地域県民局の取組による「食」の視点での生業づくりなどを各市町村、関係団体と連携して実施していきます。これらの取組により、白神山地の保全と持続可能な利活用を通じた地域の発展を目指します。

 そして、三陸復興国立公園として平成25年5月に指定される予定です。日本を代表する風景地としての評価が加わり、種差海岸や階上については国内外から注目度が高まることなどが期待されています。そこで、国立公園編入について、県内での気運醸成を図り、これを契機として保全意識の向上を図りたいと思っております。
さらに、岩手、宮城と連携して平成25年度の日本ジオパークの認定をめざし、認定に係る取組や機運醸成を図る事業にも取り組んでいく。こういった取組により、国立公園指定を、交流人口の拡大、地域活性化につなげ、私どもの創造的復興のみならず東北全体の復興ということにもつなげていきたいと思う次第です。

 続いて、2つめのキーワードである「低炭素・循環型社会の実現に向けた取組の強化」について説明いたします。
 東日本大震災によって、私たちはエネルギーや資源の大切さを再認識したところであります。豊かな自然環境がもたらす清らかな水の恵みなど、美しいふるさとを次代に引き継ぐため、持続可能な循環型社会づくりを推進していく必要を新たに感じたところです。これについては具体的に3つの方向性から強化に取り組んでまいります。まず、再生可能エネルギーの導入や利用促進に向けた検討などを行うとともに産業振興にもつなげる取組を進める。また、省エネルギーや廃棄物の発生抑制、減量、リサイクル促進に向けた県民運動を強い意志をもって推進します。そして、本県の豊かな自然やきれいな水を守る取組についても怠らず継続していきたいと思います。

 そこで、これに関係します成長分野のひとつである「グリーン」に向けた取組の中で、再生可能エネルギーの導入促進について紹介します。
 本県においてポテンシャルが高い風力、太陽光、地中熱、木質バイオマスなどの導入促進を図り、産業振興へとつながるよう戦略的に取り組んでいきたいと考えております。
 具体的には、県内事業者による風力発電事業への参入を促進するため、借り入れる資金の利払いに対する経費を補助するということ。あるいは住宅用太陽光発電を普及促進するため、グリーン電力証書制度の周知や取引拡大を図ること。また、地中熱の利用促進を図るため、導入に関する知識を広く提供するためのセミナーを開催していきます。また木質バイオマスの利用拡大を図るため、導入モデルについて調査・検討し、課題の整理を進めていきたいと思います。

 次に省エネルギーの推進と循環型社会づくりについてです。
 本県は、県民一人当たりのごみ排出量が多く、リサイクル率も低い状況です。一生懸命声をかけてきたところですが、市町村の取組を支援し、それらの向上にしっかりと取り組みたいと思います。
 中小企業のCO2排出削減対策が様々な要因により進んでいないことから、中小企業のサポートを進めたいと思います。自動車からのCO2排出量が多い状況であるため、エコと安全の組み合わせた運転などについての普及啓発を地道ながらも取り組んでいきたいと思います。
 そして、子どもの時からの環境教育の実践や家庭内での取組を進め、社会全体で環境配慮に取り組む仕組みづくりを進める。
 以上の取組を進め、持続可能な循環型社会の実現を目指したいと思います。

続いて、3つめのキーワードである「あおもり型セーフティネット」です。
 県民の皆様の命を守るため、健康的な生活習慣づくりや疾病予防への取り組みを強化します。また、依然として厳しい雇用情勢に対応したあらゆる角度からの就労支援に取り組みたいと思います。
 これについては、5つの戦略で進めていきます。がん・生活習慣病対策、医療サービスの充実などに取り組みます。
また、子どもを産み育てやすい環境づくり、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らすことができる環境づくりに取り組みます。災害やインフルエンザなどに対する安全確保対策に取り組みます。犯罪や交通事故の抑制などに取り組みます。さらに、若年者・障害者などへの就労支援体制の充実に取り組みます。

 まず、健康分野です。ヘルスリテラシー、つまり健康教養と訳すのでしょうか、各々が自らの健康のことを考えてもらうということの気運醸成を進めていくということに強い決意があります。
 本県は、三大生活習慣病による死亡率が40代から既に全国と比べ大きく、特に男性の生活習慣に課題が多く、悪性新生物と心疾患の死亡率は横ばいで推移という改善しなければならない状況にあります。
 そこで、ヘルスリテラシーを定着させ、よりよい生活習慣を身に付けていくことをそれぞれ県民自らが考えていくということが必要であると思っています。そのため引き続き、糖尿病の予防・改善、子どもの肥満予防、食育の推進に取り組んでいきます。
 また、3月までに策定する「健康あおもり21(第2次)」の初年度となることから、県民の健康づくりに関する取組を関係団体とともにステップアップしていく、そして県民が主体的に健康づくりに取り組む気運を醸成するため県民大会を開催します。そのほか血圧に関する正しい知識の普及、若年男性の生活習慣等の課題を把握する食生活診断に取り組んでいきます。そのことは、私自信も含めてですがしっかり気を付けたいと思います。

 本県の健康分野における最大のテーマでもあるがん対策については、引き続きがん診療連携拠点病院を中心にがん医療の充実・強化、ホームページ等での情報発信を行っていくことに加え、科学的根拠に基づくガン対策の推進に向け、地域がん登録のデータの質的・量的精度の一層の向上を図りたいと考えています。弘前大学に地域がん疫学研究に係る寄附講座を設置し、データ等の分析を進めることも行わせます。また、がん予防に取り組む市町村などの人財を育成し、的を絞った戦略的ながん対策を実現させていきたいと思います。かつて結核対策等で市町村が力を合わせてそれぞれの人財がいろんなことを地元でやってくれたということを思い出し、そのことを今度はがん対策に向けてしっかりやっていきたいと思っております。

 続いて、総合的な防災力の強化についてお話します。
 いわゆる「自助」、「共助」、「公助」の取組を、各市町村と連携しながら推進し、県民の命を守るための総合的防災力を高めることを進めていきます。
「自助」については、防災教育センターの機能強化などにより、県民一人ひとりの防災意識の向上を図っていきます。「共助」については、自主防災組織の組織率の向上や消防団の活性化に取り組み、地域における防災力の強化に取り組んでいきます。「公助」について、災害時に「孤立集落をつくらない」という視点に立ったインフラ整備やソフト対策を充実・強化します。
 具体的には、市町村と一体となった避難経路・避難場所の確保計画の策定、津波襲来時の漁船避難のルールづくり、重要港湾におけるBCP策定、海岸防災林の再生、ため池の管理マニュアルの作成やため池の浸水予測、河川堤防の耐震性調査などに取り組んでいきたいと思っています。

 続いて「志を持ち、青森県を創造する人財の育成」であります。
東日本大震災からの創造的復興、そしてさらなる飛躍を実現するために重要なのは、人の財(たから)、すなわち人財であると考えております。青森県のみならず、日本や世界に向けて青森県から発信していく人財。コツコツと育成していくための段取りをしていき、それぞれがそれぞれに育っていくことが大事だと思っております。
 そこで、未来を切り拓いていく人財、そして創業・起業、ベンチャーなどの新たな分野に意欲的に取り組む人財などを強化していきたいと思っています。

 これについては3つの方向性で進めていきたいと思います。具体的には、青森を体験し、青森を知る教育やキャリア教育を推進するとともに、語学力を含めたコミュニケーション能力の向上に取り組みます。また、農業、製造業、観光業など地域産業を支え、牽引する人財や人口減少社会に対応した人財の育成に取り組んでいきます。さらに、生きがいのある充実した生活を送るため、文化・芸術活動やスポーツを親しむ環境づくりにも取り組んでいきたいと思います。

 まず、キャリア教育等のお話をさせていただきます。
 子どもたち一人ひとりの社会的、職業的自立に向け、これまでの取組に加え、高校生が地域の職業人との交流を通じて、地域や職業観を学ぶ取組など、小学校から高等学校、大学などの段階に応じたキャリア教育を充実させたいと思います。
 併せて国際社会に対応するコミュニケーション能力の向上を図る取組などを充実するほか、三沢市と連携し、グローバル人財を育成するセミナーを開催します。
 それぞれは、地道で堅実な事業となりますが、これらを組み合わせ、これらを年代毎に配置して進めることにより、青森県の個性や可能性を知り、グローバルな視野と素養を持って、世界を舞台に、たくましく生きる人財の育成を目指します。

 続いて、自分自身これまで重要なことと考えて取り組んでまいりましたが、女性人財の育成について紹介します。 
 人口減少が進む中でますます女性人財の活躍が期待されています。農業、漁業などの一次産業の場面でも本当に女性の活躍が著しいわけですが、これまでの取組に加え、女性の活躍によるメリットの見える化や女性人財を育成するモデル研修を実施したいと思います。
 また、あおもり発ベンチャー大賞に女性起業家賞を創設します。加えて地域の取組として、西北地域における女性人財のネットワーク化などに取り組みます。
 以上のように、様々なことを行いますが、女性の視点による新たな起業・創業を支援し、女性の活躍により本県経済や地域の活性化ということ、女性も元気に、青森県も元気にということを進めていきたいと思います。

 続いて、地域別計画の推進に向けたそれぞれ主だった取組を県民局毎に紹介します。
 東青地域は、温泉などの地域資源を活用した生業づくりを行う「東青地域温泉活用生業の芽づくり推進事業」。
 中南地域におきましては、桃が非常に伸びており、また評価も高いので、中南地域の桃の認知度向上と販路拡大を図る「つがるの桃全国展開支援事業」。
三八地域は、革新的な金属粉末を活用し、地域産業をけん引する産業を育成する「三八地域次世代ものづくり地場産業育成事業」。
 西北地域におきましては、地元食材を利用した料理のブランド化、加工品の検討などに取り組む「白神山地の恵み活用による食農観光連携事業」。
 上北地域では、上北地域における短角牛の消費拡大を図る「想入れ短角牛肉生産推進事業」。
 下北地域におきましては、生産者同士の連携活動を持続的なビジネスへと育て上げる「下北農林水産業連携ビジネス定着支援事業」など、各地域の特長を生かした事業を実施したいと思います。

 最後に、東日本大震災からの復旧・復興関連経費の全体像をお示しします。
 平成25年度当初予算における震災関連経費は184億円となります。これに被災中小企業者等向けの震災対応分の特別保証融資制度貸付金を加えると、総額としては406億円となります。内訳は記載のとおりですが、公共事業関係費については96億円の計上、また、その他の経費として88億円計上していますが、東日本大震災復興基金活用事業2億円、東日本大震災復興推進基金活用事業11億円、緊急雇用創出対策事業21億円のほか、その他関連経費として54億円を計上しております。

 このうち、東日本大震災復興関連基金活用事業について紹介します。全国から寄せられた善意とふるさと納税の寄附金を原資とした東日本大震災復興基金、国からの地方交付税等を原資とした東日本大震災復興推進基金により、青森県全体の震災復興に資する事業を推進しているわけですが、平成25年度は、東日本大震災復興基金を活用して、県外被災者の交流支援、災害時の石油燃料の安定供給、高校生を対象としたボランティア活動を通じた「絆」の意識啓発に取り組んでいきたいと思います。
 また、東日本大震災復興推進基金を活用して、被災者の住宅再建の支援、創造的復興を支える生業づくり、県民の命を守るための防災公共の検討、防災教育に取り組んでいきます。
 以上、基本計画未来への挑戦の仕上げの年でありますので、今回の予算においても、そういった観点と復興の観点で取り組んでいきたいと思っております。
私からは以上です。

○記者
 経済対策という点から聞きますが。補正を加えて予算規模が膨らんだ分についてはアベノミクスに対応した公共事業分が大半だと思いますが、結果的に経済対策という側面もあるわけで、その点について県経済を浮揚させる上での自己評価等ありましたらお聞かせ下さい。

○知事
 県とすれば、防災公共等について3年間継続して取り組み、すぐに取りかかれるように様々な準備をしてきました。そういった中から、具体に経済を動かせる部分を公共事業として対応させていただき、予算を組みました。
 これまで自分自身行ってきた行財政改革についてはもちろん進めますが、いかに多くのお金を市中に回すかということが重要だと思っております。だからこそ「攻めの農林水産業」に係る外貨の獲得も、県外からお客様を連れて来るといったようなこともやってきたわけです。その意味でも、私どもの防災公共については中山間地域とかの部分でも経済的な効果が働くことになりますので、自分としては非常に重要なことだと思っております。防災公共の取組も評価していただいて、一緒に経済を回せるという部分もあるということについては良いことかなと思っています。具体の設計とか段取り等については今後しっかり対応していきたいと思います。

○記者
 人口減少社会を迎える中、青森県基本計画未来への挑戦について最終年度の予算となるという御説明がありましたが、今回の予算編成で知事の中でベースとなっているもの、どのような思いで予算編成をされたのかというところを教えていただきたい。

○知事
 常に財政規律を念頭に置きながらも、今回の7,000億円という予算を有効に経済として県内に回すことにより、その経済がまた新たな経済を生んでいくという仕組みを作っていきたいと自分自身強く思っています。産業雇用の対策というものをいかに進めていけるかということが、人口減少社会に対応していくことにとっては大事なことだと思います。
 自分自身、こういった現場を一番よく知っているのは県内の保健師さんだと思っておりまして、今年は特に意見交換をしているのですが、ある時こういった方々から出てきた話の中でも、「働く場、雇用の場の確保が一番大切な人口減少の対策であり、健康づくりの対策にもつながっていきます。」ということがありまして、このことを非常に重いものとして自分自身受け止めてまいりました。
 進学や就職の関係で県外に出て行くとなかなか(雇用の場がないので)県内に帰って来ない、帰って来られないといった現状があります。だからこそ企業誘致に関しても、二ヶ所居住のような企業誘致の仕方も進めてきました。
 念頭においておりますのは、我々の経済に対応して、産業・雇用を作り出すことによって、人口減少に一定の歯止めをかけ、それで県民の皆様がやっていけるかということです。
 仕事があり暮らしが安定するからこそ、子どもを生み育てたりといった環境が整うわけでありますし、若い方々が県外に出て行っても、また帰って来られるということにもつながっていくと思います。そこで、企業誘致もかなり積極的に展開してきました。現在257件の誘致をしておりますが、大事だと思うのは、地域において自分たちの地域資源でベンチャー、起業・創業など具体のことができることだと思います。
 そして「アグリ」、「ライフ」、「グリーン」という優位資源、具体的には、これまで準備してきた「攻めの農林水産業」であるとか、プロテオグリカン、再生可能エネルギーなど、我々が持っている地域資源でかつ企業誘致だけではなく、起業・創業にもつながり、結果として自分たちの保有する資源で自分たちが食べていけるという段取りを作っていくことが大事だということを、今回まとめあげ、方向性として打ち出させていただきました。これは日本の国が抱えている課題でもあると同時に、世界でも今後迎えるであろう高齢化社会に、どういうふうに日本が対応するシステムを作って、具体に取り組むかということが、世界にも貢献できることだと思います。
 例えば「グリーン」分野のパッケージシステムについて言い続けてきましたが、これは産業であると同時に世界にも貢献できること、そういったことをビジネスという点だけでなく世界への貢献ということも念頭に置きながら、やっていきたいということです。
 また、観光分野もまだまだ伸ばせると思います。国際観光戦略も積極的に展開します。我々が持っている資源、身の丈に合う資源、これが日本の国にとって必要であり、産業投資、産業転換することによって世界にとっても必要であるということを進めていくことが重要だと思います。持続可能で誇りを持って若者が一緒にやってくれる環境の整理ということで、この「アグリ」、「ライフ」、「グリーン」そして国際観光戦略ということを打ち出しました。
 打ち出すと即効性が必ず求められるのですが、積み重ねで「攻めの農林水産業」を続けてきたからこそ、いろいろなことができるようになり、それを地域経済まで結びつけることができたわけです。我々がやることは、地道な戦略を立てて、コツコツと段取りをし、一定の形ができたときに方向性を示し「これから一番チャンスがあるのは青森ですよ。」とPRしていきたいと思います。

○記者
 予算の概要の冒頭にも書いてありますが、財源不足額の圧縮、つまり基金の取崩額を少なくすることに努めてこられた知事ですが、今回基金の取崩額が81億円と大きく増えたことについて、地方交付税が減ることが要因であると思うんですが、これまで減らし続ける努力をしてきた中、このような取崩額となってしまったということについて知事の所感をお聞きしたい。

○知事
 国から、地方交付税を給与分削減すると言ってきたものですから、その交付税削減に対応するために新年度予算を編成するに当たってこのようにせざるを得ないということです。10年間、地道に行財政改革や定数削減など努力を重ねてきた思いの我々からすれば、より苦労して頑張っている地域が、より厳しい状況にあるということについては何と言ったらいいのかという気持ちです。
 しかし、今までも踏ん張って来たじゃないかという思いです。
 今回色々計算をした結果、交付税削減は70億円くらいかなということで、まだ国の動向が分からないですが、このような額で基金を取り崩すという結果になりました。もともと11億円ぐらい基金を取り崩す予定でしたが、今般の交付税削減の動きに対応するため、こうせざるを得なかったわけです。

○記者
 そういう意味では悔しさとかはあったのですか。

○知事
 しかし、踏ん張るぞ。ということです。これまでも職員をはじめみなさんに苦労をかけてきたところです。またみんなで頑張るぞと思っています。ということで、総務部長から何か付け足すこと等ありましたらお願いします。

○総務部長
 まさに知事が言われたとおり、国家公務員の給与減額支給措置を理由に、長年地方が取り組んできた職員の定数や給与の削減等の改革努力があまり評価されないまま、地方財政計画上の給与関係経費が削減されているということについては、非常に遺憾であります。

○知事
 あの地震、津波をみんなで乗り越え頑張ってきたわけなので、何があっても踏ん張って支えられる財政構造を作るために、さらに知恵を出し合って、汗をかいて、工夫して働いていきます。

○記者
 給与削減に関しては、今のところ本県は着手しないという考えでよろしいか。

○知事
 現段階では着手の時期や評価の仕方など状況が分からない。
 現段階で予算を組む形とすれば、このような想定で組んでおかざるを得ないということです。

○記者
 当初予算で八戸港の防護ラインなど、津波地震対策が事業に盛り込まれていましたが、ハード対策についての知事のお考えを聞かせていただきたい。

○知事
 我々の基本的な考えは、今まで勉強会等やってきましたが、いかにして最初の災害を防ぎ、逃げるかという減災という考えと、いかにして孤立集落を作らないか、この2点を念頭に、逃げる段取りに資する橋の修理とか、避難道の整備等の対策をしておき、何より命を現場で直撃されないように逃げる、逃げた先で孤立集落とならないようにする、そしてそこへ物資を送り込んで支えるという考えでいます。
 例えば、高い防潮堤を作ったとしても、そこに漁港があれば出入り口から浸水する。最初の災害だけで命が狙われるのではなく、二次、三次の災害から身を守り、どう逃げることができるかということを重要視しなければいけないと思っています。
 それに関して防災公共の提案をさせていただきました。今回、防災減災等いろいろな形で我々の考えが採用されており、国もその方向で考えてもらっているということは、提案が受け入れられたものとして嬉しく思っています。

○記者
 12年度の補正予算を加えると7,200億というかなり大規模の予算となっていますが、国の交付金等を使って防災の公共事業等を行えるというのは本県にとって大きなメリットだと思うのですが、しかしこれによって県債の発行額が嵩み、こういった形の予算になったというのは、今までの財政規律の維持という点からみると、一歩後退したという印象もあるのですが、この点についてはどうお考えでしょうか。

○知事
 財政規律を維持しながらも、可能な限り手元にある現金については、市中に回して経済を動かせと指示をしてきました。金融対策が必要であれば金融対策をするなどをしてきたところです。
 防災ということに対しても一定のB/C(ビーバイシー=費用対効果)を考えつつ、安全や安心、命のためには必要な投資を行う。しかしそれでも財政規律を守り、青森県を絶対に破綻させないということで自分自身10年間仕事をしてきました。このことを念頭において今後もやっていきます。これまでこのような形で運営してきたということについては一定の評価をいただけるのではないかと思っています。

○総務部長
 私から少々補います。補正予算に関しては地方負担の部分は地方債でやっておりますが、これについてはほぼ全額について交付税措置があります。そして詳細まではまだしっかりと分かりませんが、地方負担分については交付金を配るということを聞いております。従って、経済対策に伴って財政規律が一歩後退したということには、直接的にはならないかなと思います。

○記者
 人件費の削減を国から求められて、交付税を削減するという話がありましたが、2011年度の予算編成で収支均衡を達成したということを知事もおっしゃっていたと思いますが、もし今回交付税の削減がなければ、今年度でその路線は元に戻っていたとお考えでしょうか。
○知事
 収支均衡の点で言えば、今回の特殊要素分の70億円の基金取崩が無ければ、取崩額は11億円であり、それは収支均衡の誤差(努力)の範囲とも言えます。これまで震災等の対策についても本当に様々なやりくりをして乗り越えてきましたが、また新たな課題として収支均衡に取り組んでいかなければなりません。

○記者
 昨日の記者レクの際、今後の中期財政見通しについて資料を拝見したのですが、その見通しのとおりにいけば、元の収支均衡路線に戻っていくとは思うのですが、そのあたりの意気込みについて。

○知事
 国の方では地方交付税削減は今年だけとも言っているようですが、意気込みとすれば、明治時代以来からの大きな課題であった、借金本体を返すというところまで辿り着けたというのを、今後も維持していくというのが何よりも本筋であると考えています。その本筋をしっかりと通していきたいという思いがありますが、今回我々の努力外のところで変則的な要素が来たというのは、本県にとって非常に痛いことだと思っています。

○記者
 行財政改革の効果を見ると、そろそろ効果額の積み増しが大分少なくなってきているようなので、改革努力も従来型は限界にきているのではないかという見立てができるのでしょうか。
 例えば行財政改革の効果額を見ると、平成25年度は296億円で最大になっていますが、積み増し額でみると過去5年では一番少ない額になっているので、改革努力もほぼし尽くしてきたということなのか。

○知事
 いえ、さらに次に向けての改革のプランを策定し、トータルとして経営管理的な感覚を持って、収支均衡を常に目標としながら行財政改革を進めていく必要があります。本県財政の歳入環境を考えた場合に、やはり努力を継続していくことが重要だと思いますし、日本が今こういった状況の中にあって、地方として自助努力を徹底して踏ん張っていかなければいけないということが、地方という現場を預かる身として、自分の責任であると思っています。今後ともこれまでよりさらに工夫した形での行財政改革が必要となるだろうし、そういったものを新しい行財政改革推進委員会の委員の方々とやりとりしながら、作っていかなければいけないと思っています。


○記者
 もう一点ですが、人件費については、実際交付税が減額された場合、知事は県職員の給与を減らす考えがあるか。仮定の話で申し訳ないですが聞かせていただければ。

○知事
 今のところ国も仮定の話をしている状況であります。人件費削減の努力をした団体には交付税措置を配慮する等、それぞれに条件が附随しているので、現段階では何と答えていいか、非常に微妙な段階です。これについては、全国の自治体はどこでもどうすればいいかといった状態だと思います。一定の推定があれば、一定の推定でお答えできますが、現状においてはあらゆることが仮定条件となっていることから、現段階では推移を見ながら適切に対応するというほか答えられないかなと思っています。

○記者
 スケート場について、八戸市の方から新年度では設計までいってくれというお話があったと思いますが、当初予算を見ると計画までが盛り込まれていますが。

○知事
 手戻りのないようにきっちりとやっていくということです。計画ですので、手戻りがあると大変なことになってしまうので、しっかりやっていかなくてはと思います。

○記者
 1年かけてしっかりやるということですか。

○知事
 計画なのでしっかりとやっていきたいと思います。


-以上-
(記録:財政課)

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