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平成22年年末 記者会見/平成22年を終えるにあたっての知事会見

会見日時:平成22年12月28日(火) 16:00 〜 16:39
会見場所:第三応接室
会見者 :三村知事

○知事
 まず、平成23年度予算関係でありますが、12月24日に平成23年度政府予算案が閣議決定され、その主なるものについて当日お知らせをし、コメントを発表しましたが、あらためて状況をお知らせします。
 まず、地方財政対策関係であります。
 平成23年度の地方財政対策において、厳しい国の財政状況の中、地方交付税の総額が約5,000億円の増となりましたこと、これをまずは評価し、片山総務大臣をはじめ、政府・与党関係者のご尽力に対し感謝を知事会でも申し上げてきたところです。
 今後の具体の配分に当たって、本県のような財政力の弱い団体に対する適切な措置について引き続き国へ求めていきたいと考えております。
 いずれにしても、我々青森県の財政環境は引き続き予断を許さない状況にありますが、平成23年度当初予算編成に当たっては、経済・雇用状勢や県民生活の安全・安心などにしっかりと対応できるよう精一杯仕上げていきたいと考えているところであります。
 次に、並行在来線関係であります。
 並行在来線の支援につきましては、国土交通省から、「平成23年度から、線路使用料の算定に当たっては旅客と貨物の走行量に応じて按分していたものから、より貨物の走行実態、すなわち車両数を反映するよう「車両キロ」に算定指標を見直すとともに、平成21年度に新規投資が線路使用料の対象経費とされたのに加え、JRからの譲渡資産である既存資産についても算定対象とされる」ことになるものと聞いております。
 貨物の走行実態を踏まえた線路使用料の増額については、これまで青森県と県議会が全国の先導役となり、長年にわたって国に粘り強く働きかけてきたものですが、地方負担の軽減に向けた大きな前進であり、これまでより相当の改善となるものと考えます。まさに並行在来線の安定的な維持・存続に大きく寄与するものと評価するところであります。ご尽力いただいた馬淵国土交通大臣をはじめ国の関係者にあらためて御礼申し上げますとともに、ここに至るまでご協力いただいた県議会、国会議員の皆様をはじめ多くの関係者に心から感謝申し上げます。
 支援の具体的な内容については、引き続き国土交通省に説明を求め、確認をしていきたいと考えます。
 続いて公共事業関係。まずは、津軽ダム・河川関係です。
 ダム関係予算として、全国枠国費で1,425億円が決定されました。このうち、津軽ダム建設事業費としては、159億2,600万円となり、ダム本体建設工事の促進が着実に図られるものと考えます。
 今後とも、平成28年度の完成に向け、国に対し整備促進を働きかけますとともに、県民の生命や財産を守るため、浸水災害などの対策として、河川改修事業等の一層の推進が図られるよう、働きかけていきます。
 続いて、同じく道路関係です。
 道路関係では、主要幹線道路ネットワークなどの道路整備として、全国枠で国費9,862億円、今年度に比較して100.4%が決定されました。
 道路関係予算においては、「国土ミッシングリンクの解消」など地域の活性化に必要な道路事業に重点化しつつ、計画的な事業を推進することとしていることから、上北横断道路を始め、八戸・久慈自動車道、津軽自動車道、下北半島縦貫道路などについて、なお一層の整備促進が図られるよう、国に対して強く働きかけていきます。
 また、今年度創設されました社会資本整備総合交付金につきましては、一部が一括交付金化されたことから、国費1兆7,539億円、今年度に比較して79.7%と決定されました。一括交付金に移行した額との合計では、今年度との比較で96.8%と、やや減少する結果となりました。
 県としては、引き続き、本県の道路整備が真に必要なものであることや、社会基盤整備が遅れている地方への予算の重点配分について、国等に対し理解を求めていきたいと考えております。
 続きまして八戸港関係であります。
 港湾関係では、港湾整備事業費として、全国枠で国費1,666億円余が決定されました。今年度に比較して約100.7%であり、八戸港は重点港湾に選定されたものの、「選択と集中」の中で、本県に配分される予算については予断を許さないものと考えています。
 このような状況を踏まえ、八戸港に平成27年度から入港する大型LNG船などに対応した航路・泊地等の整備促進など、国に対し、所要額の予算確保を求めていきたいと考えています。
 その他、雇用対策関係についてです。
 雇用対策関係では、既に今年度の予備費及び補正予算において、重点分野雇用創造事業の拡充や新規学卒者の雇用対策の新設、拡充が行われたところであり、本県においても基金の積み増し分として38.7億円の追加交付の内示があったところです。
 平成23年度予算案におきましても、新規学卒者の就職支援等で、厚生労働省、経済産業省合わせて約398億円(全国枠)が計上されるなど、厳しい雇用情勢を踏まえ、地域雇用対策や新規学卒者対策に重点的に取り組む国の姿勢が示されていると考えます。
 また、情報処理技能者養成施設(あおもりコンピュータ・カレッジ)等につきましては、コンピュータ機器リース料及び施設修繕費を来年度から3年間、国が全額負担することとされ、平成23年度予算案においては、全国枠で13.2億円が決定されました。
 県としては、本県の厳しい雇用情勢を踏まえ、引き続き労働局等関係機関と連携して雇用対策に取り組んで参ります。
 続きまして、電源立地地域対策交付金関係であります。
 電源立地地域対策交付金関係では、核燃料サイクル施設に向け交付金制度が新たに創設されました。
 本制度については、これまでの発電施設見合いの出力等による算定から、より施設の稼働実態を勘案した算定ベースとして再整理されるとともに、本県の核燃料サイクルに係る各施設が全国に一つしかない重要な施設であるという事情を踏まえて措置されたものであり、本県における電源地域の地域振興、さらには全県振興を進める上で大変重要なものであると受け止めています。
 また、去る11月15日に開催されました核燃料サイクル協議会の場においても、核燃料サイクル政策に占める青森県の重要性・特殊性に鑑み、原子燃料サイクル施設の実態に見合った交付金制度の充実が不可欠であることを要請し、経済産業大臣からは、地域振興につながるようしっかり対応する旨の回答をいただいたところでありますが、今回の新たな交付金制度の創設は、こうした私ども青森県の要望を踏まえ、国において積極的に対応していただいたものであると認識しているところです。
 なお、海外返還廃棄物の受入れに伴う特別交付金30億円と低レベル放射性廃棄物の貯蔵管理施設を新たに交付金の対象とすることについても、国の財政当局と協議が整い、今後の交付金の交付に道筋がついたところです。
 続いて、子ども手当関係であります。
 子ども手当につきましては、3歳未満の手当月額を2万円とするための財源は全額国費負担となりましたが、平成22年度限りの暫定措置であった児童手当分の地方負担が継続されることになりました。
 子ども手当のように全国一律で地方の裁量権が無い現金給付は国が全額を負担すべきとして、全国知事会など地方六団体でも主張したところでありますが、地方負担が継続されることとなったことは遺憾であります。
 一方で、地域の実情に応じた子育て支援サービスの拡充を支援する新たな交付金制度を設けることになりました。
 子育て支援は、子ども手当のような経済的支援に加え、地域の実態に即した多様なサービスの充実やワーク・ライフ・バランスの実現など、幅広い施策を継続して推進していくことが必要です。
 国におきましては、地方が地域の実情に即した取組を柔軟かつ着実に実施できるよう、地方の声を真摯に受け止め、総合的で持続可能な子育て支援制度を速やかに構築するよう強く望むところであります。
 続いて、農・漁業経営安定対策等であります。
 戸別所得補償制度関係では、米及び畑作物の所得補償交付金として4,052億円、転作作物への助成であります水田活用の所得補償交付金として2,284億円が決定されました。
 また、私ども県が要望してきた規模拡大加算等として150億円が決定されました。
 県としては、水田農業の経営安定が図られ、米以外の作物の生産を増大させ、食料自給率向上に取り組むことにつながっていくものと期待しています。
 本県が転作作物として生産振興している米粉用米、飼料用米は、定額の助成が行われますが、今後は、主食用米や畑作物の所得補償と同様、生産費と販売価格の差額を補償する制度の対象に含めるよう、引き続き提案していきます。
 また、漁業所得補償対策に関しては、518億円の予算が措置され、平成23年度から漁業者の漁業共済掛金の負担が大幅に軽減されますことから、漁業者の経営安定が図られるよう本対策を有効に活用して、加入促進に努めていきます。
 最後となりますが、今回の政府予算案については、制度の運用や箇所付け、配分額等は今後となりますので、一層の働きかけ、情報収集に努めて参ります。
 いずれにしても、県といたしましては、県民生活の向上・安定のため、引き続き全力で取り組む所存であります。
 最後に、地元関係国会議員をはじめとする関係各位のご尽力、ご協力に深く感謝を申し上げるところであります。
 
 続きまして、(社)青い森農林振興公社の経営改革の方向について決定しましたので、その内容をご説明いたします。
 公社は、昭和40年代からこれまで、農地の利用集積を促す農地保有合理化事業のほか、国の拡大造林を推進する施策に呼応し、公的造林資本の導入による森林資源の計画的造成を行う分収造林事業などを展開してきました。
 ところが、特に分収造林事業につきましては、その後、輸入木材の増加に伴う国産材の価格低迷等、社会・経済情勢の急激な変化により、その経営は誠に厳しい状況に立たされており、これは全国の造林公社共通の問題となっています。
 しかし、今日に至るまで経営改善に資する抜本的な対策が国から何ら講じられておりません。このままでは公社の借入金が増え続けていくだけとなっています。
 このことから、私は、本年9月に、外部有識者からなる「(社)青い森農林振興公社経営検討委員会」を設置し、公社の経営改革に着手することとしたところです。
 そして、経営検討委員会からは、公社全体の経営改革について本年10月に、さらに分収造林事業の分収割合の見直しについて12月に、提言をとりまとめた報告書を提出いただいたところであります。
 また、これらを受けて、11月議会においての質疑、その後の県議会各会派からのご意見、さらには関係市町村・団体や各界各層からのご意見をいただきました。
 県では、これらの提言、意見を踏まえ、県民負担を可能な限り軽減することを基本に、分収林の公共的な意義や分収割合見直しの妥当性、分収造林事業以外の事業が本県農林業に果たす役割等を総合的に検討し、次の方向で公社の経営改革を進めることとしました。
 まず、分収造林事業につきましては、企業的経営の視点では再生が困難であることから、分収林の持つ地域経済の振興や公益的機能の発揮等、県民共通の「公共財」としての性格を考慮して、県が引き継ぐこととします。
 県が引き継ぐことにより必要となります、(株)日本政策金融公庫に係る債務の処理に当たっては、県民負担の最小化を図る観点から、平成25年度までの措置となっております「第三セクター等改革推進債」を活用することとします。
 また、公社は、県債務について所有する森林資産を県に代物弁済し、弁済額が債務額に満たない場合、県は債権を放棄いたします。
 次に、分収造林事業の分収割合については、県民負担を可能な限り軽減する観点から、今後の保育経費や管理費などに応分の負担を求めることや、現行の分収造林契約との継続性、他県における見直し状況などを総合的に検討し、県と契約者の分収割合を現行の「6対4」から「7.5対2.5」を基本とすることとし、契約者が個人、共有地等の場合はその地代相当分を考慮しまして「7対3」、市町村、財産区の場合は、公益的機能の享受や地元雇用を通した地域振興のメリット、公租公課が発生しないことなどから「8対2」とし、変更協議を進めることとします。
 なお、木材価格の変動等の事情変更が生じた場合は、適切な時期に分収割合を見直すことといたします。
 最後に、分収造林事業以外の事業については、経営の効率化やサービスの向上に努めながら、継続して実施することとします。
 以上でありますが、分収造林事業を県が引き継いだ後においても、県民負担の軽減に最大限の努力を払いながら進めることはもちろん、森林の持ちます公益的機能の発揮や多様な生物が生息できる環境の保全などの観点から、国に対しまして更なる支援対策が講じられるよう働きかけていきます。県民の皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 
 続きまして、六ケ所村のオーダーメイド型貸工場について、現在の状況をお知らせいたします。
 県は(財)21あおもり産業支援センターと連携しながら、貸工場とエーアイエス(株)が持っていた技術と技術者を活用して、工場を稼働させるために、様々なところに働きかけをしてきました。
 その結果、仕事を発注したい旨の申し出が複数企業から示されました。
 県としては、来年のできるだけ早い時期に試運転に入れるよう、(財)21あおもり産業支援センターと協力しながら破産管財人等の関係機関と協議を続けているところでございます。以上、報告とさせていただきます。
 
 平成22年の仕事を終えるにあたりましての所感を申し上げます。
 平成22年も残すところ、あと4日となりました。 皆さんには、この1年間、県勢の発展のためご協力いただきました。ありがとうございます。
 今年も慌ただしい年でありましたが、地球規模での温暖化が進んでいることを強く感じた年でもありました。本県においても記録的な猛暑が続き、農林水産物に大きな影響を与えました。特に陸奥湾の養殖ホタテは来年以降への影響も懸念されるところであります。一方、様々な分野で県人が活躍した年でもございました。正月気分の抜けない1月、青森山田高校が全国高校サッカーで準優勝、バンクーバー五輪ではチーム青森は8位に入賞しました。県出身の川口教授がプロジェクトマネージャーとして関わった小惑星探査機「はやぶさ」が無事帰還しましたことも、記憶に新しいところであります。
 去る12月4日には、県民の38年にわたる悲願であった東北新幹線、そして青い森鉄道が全線開業いたしました。
 この日の開業に向け、県内の各地域では、開業を盛り上げるための多くの取り組みが行われ、県民の皆さんのあふれるような熱気の中、無事開業を迎えることができました。ご尽力くださいました県民の皆さんに、心からの感謝とお礼を申し上げたいと思います。
 開業当日は、大変に寒い日ではありましたが、開業を迎える県民の皆さんの、強いエネルギーを全身で感じることができました。県内のみならず県外も含め、たくさんの方々が開業を迎えるにあたって自分に何ができるか考え、そして行動してくれました。皆さんの、この大きなエネルギーを、青森の元気づくりの今後の取組へしっかりとつなげていかなければならないと強く感じた次第でありました。
 開業はゴールではなく、青森県の新しいスタートであります。新幹線の全線開業は、首都圏との時間距離を大幅に短縮し、航空路線、高速道路と合わせ、交流人口の飛躍的増大や新たなビジネスチャンスの拡大など、ふるさと青森県の更なる「元気づくり」の出発点となるものであると考えるところであります。
 先般策定した「未来へのあおもり観光戦略」を展開していく観光産業はもちろんのこと、農林水産業の「6次化」など、本県の強みや特性を生かした様々な取組と融合させ、開業効果を産業全体、県全体へ波及させていくことが、我々の使命であると考えています。
 そしてまた、青森まで延伸されました「青い森鉄道」につきましても、地域に密着し、地域の皆さんに愛される鉄道として発展し、地域の活性化の拠点となることを期待するところであります。
 開業の際に私が感じたエネルギーを、青森の元気づくりにしっかりと活かし、これまで築いてきた土台の上に、新たなイノベーションを進めていかなくてはならないと考えております。
 全線開業という大きなチャンスを活かして、県民の皆さんと力を合わせ、知恵を出し合い、「未来への挑戦」を進めていきたいと考えている次第です。
 来る年も、県民皆様の幸せが増え、県勢が大きく発展しますよう、全力を尽くしていきたいと思います。
 
○幹事社
 幹事社から何点か質問させてください。
 予算の関係なんですけども、まず順番に一点。
 子ども手当なんですが、児童手当の地方負担の継続分については遺憾だというお話があったと思うんですけども、いくつかの自治体では地方負担分については負担しないということを明言している自治体があると思うんですけども、知事の考えとしては、地方分は負担はするけども遺憾だということでしょうか。
 
○知事
 本来、最初から全部国でやるというお話で、(地方負担は)1年限りということでしたが、今年もということで遺憾でございますが、制度という中において様々運用していく部分も有りということで、本当にやむなしというところでございます。
 
○幹事社
 あと、分収造林で一点教えてください。
 分収造林以外の事業については継続して実施するということになっていますけれども、その理由としては、資料の「本県農林業に果たす役割等を総合的に検討し」というところだと思うんですけれども、もうちょっと具体的に継続させることの理由についてわかりやすく教えていただきたいんですが。
 
○知事
 農地の関係とかいろいろありますので、部長の方から。
 
○農林水産部長
 青い森農林振興公社が実施しています分収造林以外の事業ですが、担い手に農地の利用集積を図る農地保有合理化事業を実施しています。この事業を継続していきたいということ、それから、畜産の基盤整備ということで事業を実施しておりますが、本県の主要な農林水産業である畜産の部門の基盤の整備を引き続き行っていくということで、その部分については継続ということになります。
 
○幹事社
 幹事社からは以上です。
 他に各社さんお願いします。
 
○記者
 分収造林について、三セク債を使うことでどれくらい県民負担が軽減できて、最終的にどれくらい県民に負担をお願いすることになるのか、また、県の債権放棄について、具体的な額の見込みについてもお願いします。
 
○農林水産部長
 三セク推進債の活用の部分ですが、債権を発行した時の金利の2分の1または5億円のいずれか低い額を地方交付税で措置されるということになっています。具体的には、三セク推進債の活用予定額がいくらになるか、その時の長期金利がいくらになるかということで決まってきますので、現段階では明確な数値は出せない状況にあります。それから、債権放棄の部分ですが、現在あります1万219ヘクタールの分収造林事業の資産の評価をすることが大前提になります。
 この資産の評価がいくらになるかによって、代物弁済の額が決まりますので、債権放棄額がいくらになるかは、今後行います資産の評価の結果に基づいてということになります。

○記者
 具体的なものがまだ見えていないということで、それでも進めていくということでしょうか。

○知事
 我々も国に対していろんな制度要求してきたわけですが、少なくとも今回総務省から出された金利に対する交付税が入ってくるとか、現状で一番有利な制度を活用して決断していく方が、トータルとして県民に負担をかける金額が少なくなるという判断をしました。

○記者
 直近の試算ですと償還財源不足が313億円という金額があったと思うのですが、いくらか軽減されたとしても相当な額が県民の負担になると思うのですが、そのあたりをどのような形で説明していくかというのは。

○知事
 せっかくですから自分としての思いを話しさせてもらいますが、平成15年に知事に就任し、行財政改革に取り組んできました。その中において、分収造林事業は、いろいろなことに取り組む中で、大きな課題として見えてきたわけですから、従ってその時点から新規契約をしないこと、また県の貸付金無利子化の継続、政策金融公庫の借り換え制度の活用による金利負担の軽減とか、要するに金利が金利を生まないよう、森林整備に係る公社負担を伴わない定額助成事業の実施など、経営改善策を実施してきました。とにかく、出血を抑えるための対策を徹底的に取ってきました。その中で、平成19年に滋賀県の林業公社の訴訟がおきました。債務の減免を裁判所に申し立てたということがありました。また平成20年11月に国と地方の代表が公社の経営支援策等についての検討を始めたという動きもございました。
 そういった動きにも注意を払いながら、要するにどの段階で、一番被害を最小に抑えながら、ふんぎりをつけるか、しかしながらその一方で、全国35都道府県で一斉に進めてきたもので、全国的な課題でありますから、国に対して実効性のある対策を求めてきたわけですが、今日にいたるまで抜本的対策は講じられずに、分収造林事業を取り巻く環境は一層厳しさを増してきたわけであります。
 私はこのままでは、公社の借入金が増え続けるだけだと考えておりましたが、今回総務省が、第三セクター等改革推進債を創設するという動きが出てており、その金利部分の半分が交付税として入ってくるとのことから、この度、抜本的経営改革に取り組むことを決断したと考えていただきたいと思います。
 今後とも自分としては、これからも可能な限り、県民負担を軽減していくために最大限努力していく所存です。
 同時に、年間240億弱円という公益的機能を果たしている分収林を公共財として引き継ぐことも我々としては必要なことだと考えております。公共財として引継ぎ、公益的機能が守られるように、適切に管理していくことも責務だと考えております。
 こういったこと等を勘案しながら、ここでしっかりとした決断をして、今後の負担を増やしていかないためにも進むべきだということをご理解いただきたいと思います。

○記者
 分収割合の見直しの部分なのですが、個人の場合は7対3になるということですが、そのあたりはどのように考えているのですか。

○知事
 経費負担のこととか、公租公課のこととかあるので、説明をしてご理解をいただきたいと思います。

○農林水産部長
 少し補足いたします。今現在6対4ということで分収割合を契約しているわけですが、県に移す段階、これから管理する経費については、県と森林所有者の間で応分に費用負担・管理費負担をし合いましょうという考え方がございます。これまで6対4で契約してきたという継続性、また、他県も分収割合の見直しを行っていますが、他県の状況も総合的に勘案しますと、基本的に7.5対2.5となります。
 しかし森林所有者はこれまで契約者として、土地の提供をしてきております。 この地代相当分を見るべきではないかという考え方に立ちまして、個人の場合は7対3、そして市町村有林の場合につきましては固定資産税等の公租公課を納めなくてもよいということ、また地域振興の部分で、その地域で山林の造成等、地域としての経費が落ちてきたということを勘案し、市町村の場合は8対2ということで、こういった考え方のもとに、これから契約者に説明をして同意を求めていくと、このように考えております。

○記者
 分収造林事業について、国の抜本的な対策が講じられてこなかったというお話もありましたが、改めてここまで債務が膨らんだ責任はどこにあるとお考えかということと、県民負担が生じるということで来年の知事選に何か影響があるとお考えですか。何かあればお願いします。

○知事
 就任以来、「振り向くな。後ろには何もない。」という寺山修司の言葉どおり、行財政改革で絶対に青森県をつぶさないということで、様々な改革の決断をし、延べ1,100回説明会を開いたりとか、様々なことをやってきました。
 いかに金利が金利を生む状況をなくすかということで、元金ベースのプライマリーバランスとか収支均衡が見えてくるところまで進んできたところであります。
 知事として、青森県が抱えているたくさんの荷物をいかに軽くするかということをひたむきにやってきたという思いがありますから、知事選のことを聞かれるのは心外であります。
 実際に、この課題については、国として昭和40年代からスタートし、長い歴史的経緯があると認識しています。自分自身、平成15年から行財政改革を進めるにあたり、絶対に1ヘクタールとも増やさないという決断をし、様々な軽減策を進めてきました。
 その上で、今回の三セク債という、金利について有利である制度を活用する決断をし、進めていくことにしました。多くのご指摘・ご批判もいただきましたが、(青森県の背負っている荷物を)どう軽くするか、そしてそれを途中でさらに軽くしていく方向性をとったとご理解いただければありがたいと思っております。
 
○幹事社
 では、これで終了します。
 
-以上-

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